JP2535721Y2 - 自動変速機装着車のキーおよびセレクタレバーのインタロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動変速機が装着される自動車のキーおよ
びセレクタレバーのインタロック装置の改良に関する。

（従来の技術） 従来、板道に駐車した場合に誤ってセレクタレバーを
パーキング位置から他の位置に切り換えると自動車が不
意に動き出すことや、走行中に誤ってキーを抜き取った
場合にステアリングがロックされてしまうこと（盗難防
止を目的としてキーを抜き取るとステアリングがロック
される機構を装着することが一般的になっている。）
や、駐車中の盗難をより完全に防止することを目的とし
て、自動変速機のセレクタレバーをパーキング位置とし
なければイグニッションキーを抜き取ることができず、
またキーを抜き取ると（抜き取り可能の位置にすると）
セレクタレバーがパーキング位置にロックされ、キーを
差し込んで回動変位させないとセレクタレバーをパーキ
ング位置から他の位置に切り換えることが出来ないよう
にしたキーおよびセレクタレバーのインタロック装置
が、例えば特開昭60−135352号公報により知られてい
る。

そして、この特開昭60−135352号公報により知られる
インタロック装置は、セレクタレバーがパーキング位置
にある時にディテントピンに係合して回動変位するベル
クランクにより、キーシリンダ近傍に設けられるロック
機構をケーブルを介して作動させることによって上記の
目的を達成するものとなっていた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記従来のインタロック装置は、レバ
ー側に設けられるベルクランクがケーブルを介してキー
シリンダ近傍に設けられるロック機構を作動させるもの
となってたため、レバーがパーキング位置にない時（デ
ィテントピンがベルクランクに係合しない時）にベルク
ランクおよびロック機構を所定の位置に保つ必要から、
ベルクランクに位置付勢用のばねを装着したものとなっ
ており、セレクタレバーをパーキング位置に切り換えて
もこのばねの付勢力やケーブルの摺動抵抗によってディ
テントピンがディテントプレートのパーキング位置拘束
位置に変位することが妨げられてしまう惧れがあり、こ
のような事態が発生するとキーの抜き取りが不能になっ
てしまう問題がある。このような問題を解消するにはデ
ィテントピンを上方に付勢するスプリングの力を強くす
ればよいが、このスプリングの付勢力を高めるとセレク
タレバーをパーキング位置から離脱させる際に操作する
プッシュボタンの操作力が増大することになり、運転者
（特に女性）にとって使い辛いものとなってしまい運転
者を疲労させやすくしてしまう欠点があった。

（課題を解決するための手段） 本考案は、上記の課題を解決するために創案されたも
ので、自動変速機のセレクタレバー拘束・解除機構のデ
ィテントピンがディテントプレートのパーキング位置に
あるとき上記ディテントピンに係合し上記ディテントピ
ンの拘束・解除動作に連動して変位するロック部材と、
同ロック部材近傍に同ロック部材と別体に配設されると
共に、上記ディテントピンがパーキング位置拘束位置に
あるとき上記ロック部材の解除位置への変位を禁止する
ロック位置と上記ロック部材の変位を許容するフリー位
置との間を変位可能に設けられ上記フリー位置では上記
ディテントピンがパーキング位置拘束位置にないときに
上記ロック部材により上記ロック位置への変位を禁止さ
れる係止部材と、同係止部材に一端を連結されたプッシ
ュプルケーブルと、同プッシュプルケーブルの他端が接
続されイグニッションキーの抜き取り可能位置で上記係
止部材を上記ロック位置に変位させると共に上記イグニ
ッションキーの抜き取り不能位置では上記係止部材を上
記フリー位置に変位させるよう上記プッシュプルケーブ
ルを駆動するよう構成されたキーシリンダとを具備した
ことを特徴とする自動変速機装着車のキーおよびセレク
タレバーのインタロック装置である。

（作用） 本考案によれば、係止部材がロック位置にある時に
は、パーキング位置でディテントピンに係合するロック
部材の解除位置への変位が係止部材により禁止されると
共に、係止部材がフリー位置にあってディテントピンが
パーキング位置拘束位置にない時には、係止部材のロッ
ク位置への変位がロック部材により禁止されるものであ
り、係止部材がプッシュプルケーブルを介してイグニッ
ションキーシリンダの回動変位に応じて駆動され、ディ
テントピンの拘束・解除動作に連動して変位するロック
部材はプッシュプルケーブルを作動させることもプッシ
ュプルケーブルにより作動されることもないものである
ため、ケーブルの摺動抵抗がインタロック機構の作動性
に影響を与えることが少なく、またプッシュボタンの操
作性が重くなることもないのである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて詳細に説
明する。

第１図に示すように、セレクタレバー１は枢着部２を
中心に傾動可能となるようにベースブラケット３に取付
られている。セレクタレバー１の上部にはセレクタノブ
４が取付られており、セレクタノブ４の上端にはプッシ
ュボタン５が取付られている。セレクタレバー１の下部
には紙面上方に突出するディテントピン６が設けられて
おり、このディテントピン６は、セレクタレバー１に内
蔵される図示しないスプリングにより上方に付勢され上
下方向に変位可能に設けられており、プッシュボタン５
を押し込むことにより下方に変位するものとなってい
る。ベースブラケット３には、ディテントプレート７が
立設されており、このディテントプレート７にはディテ
ントピン６が係合する位置拘束用の係合孔８が設けられ
ている。この係合孔８は第２図に示すような形状に形成
されており、プッシュボタン５を操作してディテントピ
ン６を下方に変位させないとセレクタレバー１のＰ→R,
R→P,N→R,2→Ｌ切換を行うことができないようになっ
ている。また、デイテントプレート７の上方には、セレ
クタレバーの切換位置を表示するための表示プレート９
が装着されている。

ディテントプレート７の係合孔８の図中左方には、２本
のスライダピン10が紙面上方に突出して植設されてお
り、この２本のスライダピン10は、セレクタレバー１の
図示したパーキング位置でセレクタレバー１の軸線方向
に平行な線上に設けられている。ロック部材をなすロッ
クスライダ11は、央部に形成された長孔12を両スライダ
ピン10に嵌め込まれて装着され、パーキング位置でセレ
クタレバー１の軸線方向に平行な方向にスライド自在に
支持されており、両スライダピン10の先端に圧入される
リング13により抜け止めされている。このロックスライ
ダ11には、セレクタレバー１がパーキング位置にある状
態でディテントピン６に係合する係合部14が形成されて
おり、係合部14の上下にはディテントピン６と係合部14
との係合を案内するＶ字状の案内部が形成されている。
このため、ロックスライダ11は、セレクタレバー１がパ
ーキング位置にある状態でディテントピン６に係合して
ディテントピン６の上下変位に連動して略上下方向にス
ライド変位するものとなっている。

係止部材をなすロックピン15は、スリーブ16に摺動可
能に挿入されており、スリーブ16はブラケット17を介し
てディテントプレート７に固定されている。このロック
ピン15は、ロックスライダ11のスライド方向と直交する
方向に摺動変位するものとなっており、第１図に示すロ
ック位置では、ロックスライダ11の下方に突出してパー
キング位置にあるセレクタレバー１のディテントピン６
がディテントプレート７の係合孔８上部（パーキング位
置拘束位置）にある状態からロックスライダ11が下方に
変位することを禁止するものとなっている。そして、こ
の状態では、ディテントピンの下方への変位が禁止され
ることになりセレクタレバー１をパーキング位置から離
脱させることは不可能になる。また、ロックピン15が第
３図に示すフリー位置にある時には、ロックピン15はス
リーブ16側に引き込まれ、ロックスライダ11は自由にス
ライド変位できるようになるため、ディテントピン６の
下方への変位が可能になりプッシュボタン５の操作する
ことによりセレクタレバー１をパーキング位置から離脱
させることが可能になるものとなっている。。また、第
３図に示すようにロックスライダが下方に変位した状態
（パーキング位置にあるセレクタレバー１のディテント
ピン６が下方に変位した図示の状態およびこの状態から
セレクタレバー１を他の位置に切り換えた状態）では、
ロックピン15の先端にロックスライダ11の側部が対向し
て、ロックピン15のロック位置への変位がロックスライ
ダ11により禁止されるものとなっている。

プッシュプルケーブル18は、ロックピン15とキーシリ
ンダ19とに連結されており、キーシリンダ19の回動位置
に応じてロックピン15を摺動変位させるものとなってい
る。そして、このキーシリンダ19はロックポジションで
のみイグニッションキーの抜き取りが可能なものとなっ
ており、ロックポジションではプッシュプルケーブル18
が連結される出力部20が第１図中実線で示した左方位置
に変位してロックピン15をロック位置にするものとなっ
ている。また、キーシリンダ19がアクセサリポジション
になると出力部20は第１図中点線で示した右方位置に変
位してロックピン15は第３図に示したフリー位置に引き
込まれるものとなっており、オンポジションあるいはス
タートポジションになると出力部20は更に右方向に変位
しロックピン15が更に引き込まれるものとなっている。

キーシリンダ19としては種々の構成のものが考えられ
るが、第５図にその一例を具体的に示す。イグニッショ
ンキー21が差し込まれるシリンダ本体22の回動部にはセ
クタギア23が連結されキーの回動変位に連動してセクタ
ギア23が回動するものとなっている。中継部材24には、
セクタギア23に噛み合うラック25が形成されると共にプ
ッシュプルケーブル18に連結された出力部材26が連結さ
れている。このため、イグニッションキー21の回動変位
に連動して出力部材26が第５図中左右方向にスライド変
位するものとなっている。

上記構成によれば、ロックピン15とキーシリンダ19が
プッシュプルケーブルを介して連結され、セレクタレバ
ー１をパーキング位置拘束状態にしない限り、ロックピ
ン15をロック位置にすることは不可能であるため、セレ
クタレバー１がパーキング位置にない時にキーシリンダ
19をキーの抜き取りが可能なロックポジションにするこ
とはできず、誤ってイグニッションキーが抜き取られる
ことが防止されるものである。また、キーシリンダ19が
ロックポジションにある状態では、ロックピン15がロッ
ク位置にありロックスライダ11のスライダ変位が禁止さ
れるため、セレクタレバー１をパーキング位置から離脱
させることは不可能で、停車中に誤ってレバーを操作す
ることにより車両が不意に動き出すことや盗難を効果的
に防止することができるものである。

特に上記実施例によれば、ロックスライダ11とロック
ピン15は機械的に連結されておらず、ロックスライダ11
およびディテントピン６の作動に対してプッシュプルケ
ーブル18の摺動抵抗が作用することはないため、前記従
来例に比べて確実かつ円滑な作動が得られしかもプッシ
ュボタン５の操作力が軽減される効果を奏する。

なお、本考案は上記従来例に何ら限定されるものでは
なく、本考案の要旨を変えない範囲内で種々の変形実施
が可能であることは言うまでもない。

（考案の効果） 以上、実施例と共に具体的に説明したように、本考案
によれば、確実かつ円滑な作動が得られ、しかもプッシ
ュボタンの操作力が低く保たれる自動変速機装着車のキ
ーおよびセレタトレバーのインタロック装置を提供する
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す構成図、第２図は第１
図に示される係合孔８の詳細図、第３図は第１図に対応
した作動説明図、第４図は第３図のIV−IV矢視図、第５
図は第１図に示されるキーシリンダ19の詳細構成図であ
る。 １…セレタトレバー,5…プッシュボタン,6…ディテント
ピン,7…ディテントプレート,11…ロックスライダ,15…
ロックピン,18…プッシュプルケーブル,19…キーシリン
ダ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動変速機のセレクトレバー拘束・解除機
   構のディテントピンがディテントプレートのパーキング
   位置にあるとき上記ディテントピンに係合し上記ディテ
   ントピンの拘束・解除動作に連動して変位するロック部
   材と、 同ロック部材近傍に同ロック部材と別体に配設されると
   共に、上記ディテントピンがパーキング位置拘束位置に
   あるとき上記ロック部材の解除位置への変位を禁止する
   ロック位置と上記ロック部材の変位を許容するフリー位
   置との間を変位可能に設けられ上記フリー位置では上記
   ディテントピンがパーキング位置拘束位置にないときに
   上記ロック部材により上記ロック位置への変位を禁止さ
   れる係止部材と、 同係止部材に一端を連結されたプッシュプルケーブル
   と、 同プッシュプルケーブルの他端が接続されイグニッショ
   ンキーの抜き取り可能位置で上記係止部材を上記ロック
   位置に変位させると共に上記イグニッションキーの抜き
   取り不能位置では上記係止部材を上記フリー位置に変位
   させるよう上記プッシュプルケーブルを駆動するよう構
   成されたキーシリンダと、 を具備したことを特徴とする自動変速機装着車のキー及
   びセレクトレバーのインタロック装置。