JPH06206713A - 板状水酸アパタイトの製造方法 - Google Patents

板状水酸アパタイトの製造方法

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JPH06206713A JP5019669A JP1966993A JPH06206713A JP H06206713 A JPH06206713 A JP H06206713A JP 5019669 A JP5019669 A JP 5019669A JP 1966993 A JP1966993 A JP 1966993A JP H06206713 A JPH06206713 A JP H06206713A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リン酸塩とカルシウム塩とから、カルシウム
原子のリン原子に対する原子比が1.3〜2.0の非晶
質リン酸カルシウムの水性スラリーを調製したのち、こ
の水性スラリーに対して、アルコール10重量%以上を
添加し、水熱処理することにより、板状水酸アパタイト
を製造する方法である。 【効果】 生体高分子化合物の分離や精製などに用いら
れるクロマトグラフィーの充てん材などとして有用な
a、b軸方向に成長した結晶性の良好な板状水酸アパタ
イトが効率よく得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板状水酸アパタイトの
製造方法の改良に関するものである。さらに詳しくいえ
ば、本発明は、a、b軸方向に成長した結晶性の良好な
板状水酸アパタイトを効率よく製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、バイオインダストリーの発展に伴
い、タンパク質などの生体高分子化合物の分離や精製に
対する要請が高まってきている。化学式Ca10(PO
(X=OHなど)で示される水酸アパタイト
は、タンパク質に対する特異的な吸着特性を有してお
り、タンパク質の高能率の分離が期待できる。この水酸
アパタイトは、pH7以上で極めて安定であるため、ア
ルカリによるカラム洗浄が可能であり、かつ有機溶媒に
対して全く溶解しないなど、クロマトグラフィー用充て
ん材として優れた特性を有している。そのため、クロマ
トグラフィー用充てん材として、水酸アパタイトが近年
大いに注目されている。
【0003】このクロマトグラフィー用充てん材として
の水酸アパタイトは、主に湿式法により得られた一次粒
子を1〜100μm程度の球状粒子に造粒することによ
り、製造されている。
【0004】ところで、該水酸アパタイトは、結晶面に
よって吸着するタンパク質の種類が異なるといわれてお
り、そのため、結晶面の相対的な大きさを制御すること
によって、クロマトグラフィーの分離能の向上が期待さ
れている。
【0005】これまで、結晶面の相対的な大きさの制御
については、低結晶性アパタイトに種々の添加物を加え
て水熱処理することにより、c軸方向に優先的に成長し
た針状水酸アパタイトを製造するなど、いくつかの報告
例がある。しかしながら、a、b軸方向に優先的に成長
した六角板状水酸アパタイトを効率的に製造する方法は
まだ見出されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、クロマトグラフィー用充てん材などとし
て有用なa、b軸方向に成長した結晶性の良好な板状水
酸アパタイトを効率よく製造する方法を提供することを
目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のモル比
のリン酸塩とカルシウム塩とから得られた非晶質リン酸
カルシウムの水性スラリーに、アルコールを所定の割合
で添加して水熱処理することにより、その目的を達成し
うることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。
【0008】すなわち、本発明は、リン酸塩とカルシウ
ム塩とから非晶質リン酸カルシウムの水性スラリーを調
製したのち、水熱処理して水酸アパタイトを製造するに
当り、該非晶質リン酸カルシウムにおけるカルシウム原
子のリン原子に対する原子比を1.3〜2.0に調節
し、かつ前記水熱処理の際に、該水性スラリーに対して
アルコール10重量%以上を添加することを特徴とする
板状水酸アパタイトの製造方法を提供するものである。
【0009】本発明方法においては、まずリン酸塩とカ
ルシウム塩とから非晶質リン酸カルシウムの水性スラリ
ーを調製する。この際、原料として用いられるリン酸塩
としては、カルシウム塩と反応して非晶質リン酸カルシ
ウムを精製するものであればよく、例えばリン酸水素カ
ルシウムやその二水和物を好ましく挙げることができ
る。一方、炭酸塩としては、前記リン酸塩と反応して非
晶質リン酸カルシウムを生成するものであればよく、例
えば炭酸カルシウムを好ましく挙げることができる。
【0010】該非晶質リン酸カルシウムの水性スラリー
の調製は、例えばリン酸水素カルシウムやその二水和物
などのリン酸塩と炭酸カルシウムなどのカルシウム塩と
を、カルシウム原子のリン原子に対する原子比が1.3
〜2.0、好ましくは1.5〜1.8になるような割合
で用い、スラリー濃度が1〜10重量%程度になるよう
に、湿式法やポットミル中でのかくはんなどによって、
行うことができる。
【0011】本発明においては、このようにして調製さ
れた非晶質リン酸カルシウムの水性スラリーを水熱処理
するが、この際アルコールを添加することが必要であ
る。このアルコールの添加量は、該水性スラリーに対し
て10重量%以上、好ましくは30重量%以上であるこ
とが必要である。また、該アルコールとしては、低級脂
肪族アルコール、例えばメタノールやエタノールなどを
好ましく挙げることができ、これらは1種用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】次に、アルコールが添加された非晶質リン
酸カルシウムの水性スラリーは、オートクレーブなどの
耐圧容器中で、かきまぜながら水熱処理される。この水
熱処理は、通常120〜200℃の範囲の温度におい
て、2〜20時間、好ましくは150〜200℃の範囲
の温度において、5〜20時間程度加熱することによっ
て行われる。
【0013】このようにして水熱処理したのち、水性ス
ラリー中の固形分を、ろ過や遠心分離などの手段によっ
て取り出し、乾燥処理することにより、結晶性の良好な
板状水酸アパタイトの微結晶が得られる。
【0014】
【発明の効果】本発明によると、a、b軸方向に成長し
た結晶性の良好な板状水酸アパタイトが容易に得られ
る。この板状水酸アパタイトは、タンパク質などの生体
高分子化合物の分離や精製などに用いられるクロマトグ
ラフィーの充てん材などとして有用である。
【0015】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。
【0016】実施例1 モル比で3:2の割合のリン酸水素カルシウム二水和物
と炭酸カルシウムとから得られた濃度5重量%の非晶質
リン酸カルシウムの水性スラリー200ミリリットル
に、メタノール200ミリリットルを添加したのち、p
Hを10に調整した。次いで、これをオートクレーブ中
にて、180℃で5時間水熱処理したのち、固形分をろ
取して60℃で乾燥後、解砕した。
【0017】このようにして得られた粉体のX線回折ス
ペクトルによると、生成物は水酸アパタイトであり、透
過型電子顕微鏡による形態観察では、すべて約50nm
の大きさの板状微結晶であった。
【0018】実施例2 モル比で2:1の割合のリン酸水素カルシウム二水和物
と炭酸カルシウムから得られた濃度5重量%の非晶質リ
ン酸カルシウムの水性スラリー250ミリリットルに、
エタノール75ミリリットルを添加したのち、pHを1
0に調整した。次いでこれをオートクレーブ中にて、1
80℃で10時間水熱処理したのち、固形分をろ取して
60℃で乾燥後、解砕した。
【0019】このようにして得られた粉体のX線回折ス
ペクトルによると、生成物は水酸アパタイトであり、透
過型電子顕微鏡による形態観察では、すべて約100n
mの大きさの板状微結晶であった。
【0020】比較例1 実施例1において、メタノール添加量を5ミリリットル
に変えた以外は、実施例1と全く同様に実施した。この
ようにして得られた粉体のX線回折スペクトルによる
と、生成物は水酸アパタイトであり、透過型電子顕微鏡
による形態観察では、すべて約100nmの大きさの棒
状又は不定形の微結晶であった。
【0021】比較例2 実施例2において、リン酸水素カルシウム二水和物と炭
酸カルシウムとのモル比を5:1に変えた以外は、実施
例2と全く同様に実施した。このようにして得られた粉
体のX線回折スペクトルによると、生成物は水酸アパタ
イトであり、透過型電子顕微鏡による形態観察では、す
べて約100nmの大きさの棒状又は針状微結晶であっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河本 ゆかり 愛知県名古屋市昭和区折戸町6丁目27番地 針原荘101号 (72)発明者 鈴木 高広 愛知県名古屋市瑞穂区北原町3丁目11番地 三旺マンション瑞穂北原102号 (72)発明者 西澤 かおり 愛知県西区香呑町3丁目90番地 サンハイ ツ前田A−206 (72)発明者 長江 肇 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70番 地 猪子石住宅9棟402号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸塩とカルシウム塩とから非晶質リ
    ン酸カルシウムの水性スラリーを調製したのち、水熱処
    理して水酸アパタイトを製造するに当り、該非晶質リン
    酸カルシウムにおけるカルシウム原子のリン原子に対す
    る原子比を1.3〜2.0に調節し、かつ前記水熱処理
    の際に、該水性スラリーに対してアルコール10重量%
    以上を添加することを特徴とする板状水酸アパタイトの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 水熱処理温度が120〜200℃である
    請求項1記載の板状水酸アパタイトの製造方法。
  3. 【請求項3】 アルコールがメタノール又はエタノール
    若しくはその両方である請求項1又は2記載の板状水酸
    アパタイトの製造方法。
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