JPH0620363Y2 - 脱穀機における選別装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、扱室の受網下方に搖動板を設けて、受網から
漏下した穀粒等を搖動移送する脱穀機における選別装置
に係るものである。

〔従来技術〕

一般に刈取られた穀稈を脱穀処理する脱穀機には、扱室
に設けた受網の下方から風選室にかけて搖動板を設け、
受網から漏下した穀粒等を、搖動板の搖動による揉解作
用と選別風の風選作用によって穀粒と藁屑等に分離選別
しながら後方へ搖動移送するようにした選別装置が知ら
れている。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

ところが、搖動板上を後方へ搖動移送される穀粒、藁屑
等は、選別作用を受けながら、まづ一番口に大半の穀粒
が漏下されるので、一番口後方の二番口上方に臨む位置
まで移送されたときには、穀粒よりも切藁等の混入率の
方が多くなり、二番口の上方にストローラックを設けた
だけの従来の選別装置では、藁屑等とからんだ僅かな穀
粒を、藁屑等から確実に分離することができなかった。
このため藁屑等と穀粒が一度に二番口に落下したり、あ
るいは後から搬送された藁屑等とともに搖動移送され、
層状となったまま機外へ排出されたりする。しかも処理
する材料が変れば藁屑等の量も変るので、麥や倒伏材の
ように、特に藁屑等が多く発生する場合には、穀粒の分
離が一層困難になって、穀粒を完全に二番口から回収す
ることができないという問題があった。

本考案は上記の如き問題点を解決すべく創案されたもの
であって、二番口の上方に臨む位置に、多量の切藁等が
混入して搬送されても、僅かな穀粒を切藁等から確実に
分離して藁屑等は機外へ排出し、穀粒を完全に二番口か
ら回収することができ、しかも処理する材料が変って
も、これに対応した適正な作業状態として能率よく選別
作業を行うことができる脱穀機における選別装置を提供
しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するため、本考案が講じた技術的手
段は、扱室の受網下方から風選室にかけて、クリンプ網
が一番口に臨む搖動板を設け、該搖動板の後端側に、二
番口に臨むチャフシーブを設けた脱穀機において、上記
チャフシーブを移送始端側の流板と、該流板の後方に設
けた複数の横機を並設してなる横棧部と、風選室の排塵
口に向けて横棧部と一体的に形成したストローラックと
で構成し、かつ上記横棧部を流板に対して前後摺動自在
に形成すると共に、搖動板には、クリンプ網面に出没す
る前後摺動自在のスライド流板を設けて、該スライド流
板と横棧部とを連動連結することにより、スライド流板
をクリンプ網面に突出させると横棧部が排塵口に向けて
後退するように構成したことを特徴とするものである。

〔考案の作用〕

したがって本考案によれば、受網から漏下した穀粒、藁
屑等は受網下方から風選室にかけて設けた搖動板により
後方へ搖動移送される。そして二番口の上方に臨んで搖
動板の後端側に設けたチャフシーブに穀粒、藁屑等が搬
送されると、チャフシーブの移送始端側に設けた搖動す
る流板が藁屑等と穀粒とを層状に選別し、ついで横棧部
では、並設した複数の横棧が層状の藁屑等と穀粒を横手
方向に分離選別して穀粒を二番口に落下させる。そして
横棧部から排塵口に向うストローラックが更に穀粒と藁
屑等とを搖動選別するので、藁屑等の混入率が多くて
も、僅かな穀粒を完全に分離して二番口から回収するこ
とができる。さらに、麥や倒伏材のような特に藁屑等が
多く発生する材料を処理する場合には、スライド流板を
クリンプ網面に突出させれば、クリンプ網の漏下面積が
狹くなり、これに連動して横棧部が後退して、有効面積
が拡大すると同時にストローラックが排塵口に近づき、
横棧部を通過する風速が強くなって藁屑等が落下し難く
なるので、藁屑等が特に多く発生しても良好な風選別を
行うことができる。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を添付した図面に基いて詳述する。
１は脱穀機であって、該脱穀機１の扱室２に多数の扱歯
３を植設した前後方向の扱胴４が回動自在に軸支されて
おり、扱胴４の外周には受網５が張設されている。６は
扱室２の扱口に沿って配設された穀稈供給チェン、７は
穀稈供給チャン６の搬送終端から機体後方に向って配設
された排藁チエンである。

脱穀機１の下方側には、前端部に唐箕８を備え、後端に
排塵口９が開口した風選室１０が形成されており、その
後端側上方には吸引ファン１１が装着されている。また
上記受網５の下方から風選室１０にかけて揺動板１２が
前後搖動自在に架設されている。上記搖動板１２には、
受網５の下方に位置して第１グレンパン１３と、該第１
グレンパン１３の後端部下方から後方に延びる第２グレ
ンパン１４とが設けられており、第１グレンパン１３の
後方に複数の横棧１５を配設した横棧部１６が連接さ
れ、第２グレンパン１４の後端には、一番口１７の上方
に臨むクリンプ網１８が接続されている。

そして上記クリンプ網１８の後端部から、二番口１９の
上方に臨むチャフシーブ２０が排塵口９に向って設けら
れている。すなわち、上記チャフシーブ２０の移送始端
側には、上記クリンプ網１８の後端部下方に位置する流
板２１が形成されており、該流板２１の後方には、傾斜
面２２の下端部にかえり部２３を備えた複数の横棧２４
を、所定間隙ごとに並設してなる横棧部２５が、配設さ
れている。また該横棧部２５の前端側は、流板２１の下
面に摺接して前後に摺動自在となっており、横棧部２５
の後端部には、排塵口９に向う複数のラック体２６を平
行状に配設したストローラック２７が一体的に形成され
ている。

２８は前記第２グレンパン１４の後端からクリンプ網１
８上に出没するスライド流板であって、該スライド流板
２８が連結棒２９を介して上記横棧部２５に連動連結さ
れており、その先端部に固定したワイヤ３０の他端が操
作レバー３１に連結されていて、操作レバー３１を搖動
操作することにより、スライド流板２８がクリンプ網１
８上に突出して漏下有効面積を挾くし、これに連動し
て、横棧部２５が後方に移動して、横棧部２５の有効面
積が広くなるのと同時に、ストローラック２７が後方に
突出して二番口１９の流板３２に接近するようになって
いる。

また風選室１０には、唐箕８の起風により搖動板１２に
向う主選別風路Ａが形成されると共に、１番口１７の流
板３３と、底板３４と対向間に、唐箕８から直接チャフ
シーブ２０に向う副選別風路Ｂが形成されている。３５
は横棧部２５を後方に引張り付勢する弾機である。

上記の如き構成において、扱室２から漏下した穀粒、藁
屑等は第１グレンパン１３上で層状に選別され、穀粒と
小さな藁屑等は横棧部１６から第２グレンパン１４上に
落下し、ついで第２グレンパン１４からクリンプ網１８
上に移送され、選別風により風選されて穀粒は一番口１
７に落下し、藁屑等は選別風により吹き飛ばされて吸引
ファン１１および排塵口９から機外へ排出される。この
とき少量の穀粒が切藁等とともにチャフシーブ２０上に
移送され、一方上記横棧部１６から漏下しなかった穀
粒、藁屑等も横棧部１６の後端からチャフシーブ２０上
に放出される。そしてチャフシーブ２０上では、まず移
送始端側の流板２１上で更に層状選別されて横棧部２５
に移送されるが、横棧部２５では、並設した横棧２４の
対向間を吹き抜ける副選別風路Ｂからの強い選別風によ
り、横方向に拡散分離されながら風選別され、しかも、
横棧２４のかえり部２３が切藁等を一度に漏下させない
ので、穀粒は藁屑等から容易に分離して二番口１９に落
下する。また細かい藁屑等は吹き飛ばされて機外に排出
され、切藁等は横方向に拡散した状態でストローラック
２７に移送される。そして排塵口９に向う縦方向のラッ
ク体２６の搖動選別作用と、下方から吹き抜ける選別風
の風選作用により穂切等のわずかな穀粒を分離し、切藁
等を排塵口９から機外に排出することができる。

したがってチャフシーブ２０に大量の切藁等が混入して
搬送されても、僅かな穀粒を確実に分離して二番口１９
から完全に回収することができる。

また麥や倒伏材のように特に藁屑等が多く発生する材料
を処理する場合には、操作レバー３１を搖動操作してス
ライド流板２８をクリンプ網１８から突出させれば、ク
リンプ網１８の漏下面積が狹くなり、しかも横棧部２５
の有効面積が拡大すると同時にストローラック２７が流
板３２に接近して横棧部２５を通過する風速が強くなる
ので、藁屑等が落下し難くなって良好な風選別を行うこ
とができる。一方、藁屑等の発生が少ない材料の場合に
は、操作レバー３１を逆に操作してクリンプ網１８の漏
下面積を大きくすれば、ストローラック２７と流板３２
との間隔が自動的に拡張し、選別風がこの隙間を流通す
るので、横棧部２５を吹き抜ける選別風が弱くなり、穀
粒等が落下し易くなって能率よく選別作業を行うことが
できる。従って操作レバー３１を操作するのみで、処理
する材料に対応した適正な作業状態として能率よく選別
作業を行うことができる。

〔考案の効果〕

これを要するに本考案は、扱室の受網下方から風選室に
かけて、クリンプ網が一番口に臨む搖動板を設け、該搖
動板の後端側に、二番口に臨むチャフシーブを設けた脱
穀機において、上記チャフシーブを移送始端側の流板
と、該流板の後方に設けた複数の横棧を並設してなる横
棧部と、風選室の排塵口に向けて横棧部と一体的に形成
したストローラックとで構成し、かつ上記横棧部を流板
に対して前後摺動自在に形成すると共に、搖動板には、
クリンプ網面に出没する前後摺動自在のスライド流板を
設けて、該スライド流板と横棧部とを連動連結すること
により、スライド流板をクリンプ網面に突出させると横
棧部が排塵口に向けて後退するように構成したから、受
網から漏下した穀粒等が、搖動板により選別作用を受け
ながら後方へ搖動移送されて二番口の上方に臨んで設け
られたチャフシーブに達すると、チャフシーブの移送始
端側に設けた流板が藁屑等と穀粒を層状に搖動選別し、
ついで横棧部で、並設された横棧の対向間から吹き抜け
る選別風により横方向に拡散分離しながら風選別される
ので、藁屑等から分離された穀粒を二番口に落下させる
ことができる。そして横棧部から排塵口に向うストロー
ラック上で藁屑等が更に搖動選別作用と風選作用を受け
るので藁屑等にからんだ穀粒を確実に分離して二番口に
回収し、藁屑等を排塵口から機外へ排出することができ
る。しかも特に藁屑等が多く発生する材料を処理する場
合でも、スライド流板をクリンプ網面に突出させれば、
クリンプ網の漏下面積が狹くなるのに連動して横棧部の
有効面積が拡大すると同時にストローラックが排塵口に
接近して、横棧部を通過する風速が強くなるので、多量
の藁屑等から穀粒を確実に分離することができる。した
がって処理する材料に対応した適正な作業状態として穀
粒損失を減少させ効率よく選別作業を行うことができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る脱穀機における選別装置の実施例を
示すものであって、第１図は全体側断面図、第２図は要
部を拡大した側断面図、第３図は同上平面図、第４図は
同上背面図である。 図中、１……扱室、５……受網、９……排塵口、１０…
…風選室、１２……搖動板、１９……二番口、２０……
チヤフシーブ、２１……流板、２４……横棧、２５……
横棧部、２７……ストローラックである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扱室の受網下方から風選室にかけて、クリ
   ンプ網が一番口に臨む揺動板を設け、該揺動板の後端側
   に、二番口に臨むチャフシーブを設けた脱穀機におい
   て、上記チャフシーブを移送始端側の流板と、該流板の
   後方に設けた複数の横機を並設してなる横棧部と、風選
   室の排塵口に向けて横棧部と一体的に形成したストロー
   ラックとで構成し、かつ上記横棧部を流板に対して前後
   摺動自在に形成すると共に、揺動板には、クリンプ網面
   に出没する前後摺動自在のスライド流板を設けて、該ス
   ライド流板と横棧部とを連動連結することにより、スラ
   イド流板をクリンプ網面に突出させると横棧部が排塵口
   に向けて後退するように構成したことを特徴とする脱穀
   機における選別装置。