JPH06193190A - コンクリート系外壁材のコーナー用同質役物構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コーナー用壁材に好適なコンクリート系外壁
材のコーナー用同質役物構造を提供する。 【構成】 コーナー用材１３，１４の切断端面１３ａ，
１４ａには、斜面部１５ａ，１６ａを先端部側に設け、
突合せ時に一方のほぞ穴部１５ｂは他方のほぞ部１６ｂ
と、他方のほぞ穴部１６ｃは一方のほぞ部１５ｃと嵌り
合うようにして突合せ端面１５，１６とし、ほぞ穴部と
ほぞ部とを嵌着して突合せ端面１５，１６相互を一体化
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコンクリート系外壁材の
コーナー用同質役物構造に係り、さらに詳しくは、一般
住宅などの建築物においてコンクリート系外壁材を用い
て外壁を構築しようとする際に、取付け対象たるコーナ
ー部分に適用されるコーナー用壁材（以下、「コーナー
用同質役物」と称す）の組上げに好適なコンクリート系
外壁材のコーナー用同質役物構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、一般住宅などの建築物において
は、防火性能や断熱性能に優れたコンクリート系外壁材
を用いて外壁を構築する例が多くなってきている。

【０００３】このようにコンクリート系外壁材を用いて
外壁を構築しようとする際は、通常、所定の規格サイズ
のもとで板状となって用意される多数枚のコンクリート
系外壁材を胴縁材を介して間柱材の側に一枚ずつ張りめ
ぐらせることで行われる例が多い。

【０００４】ところで、このようにして構築される外壁
にあって、コーナー部の施工処理については、コンクリ
ート系外壁材を用いることで特別に用意されるコーナー
用同質役物が利用されている。

【０００５】図２の（イ）〜（ハ）は、このようなコー
ナー用同質役物を形成する際の従来工程の一例を示すも
のである。

【０００６】同図によれば、まず、所定規格のもとで形
成されるコンクリート系外壁用基板材１からコーナー用
同質役物を形成するための一対のコーナー用材３，３を
得るべく所要のサイズのもとでコンクリート系外壁材２
が（イ）に示すようにして切り出される。

【０００７】このようにして切り出されたコンクリート
系外壁材２は、カッター５を用いて切断され、一対のコ
ーナー用材３，３が形成される。

【０００８】次いで、所望するコーナー角度が例えば９
０°であれば刃先６，６相互の角度が９０°となったカ
ッター５を用いて（ロ）に示すように切削したり、ある
いは、図示しない丸鋸により切断端面の傾斜角度が４５
°となるように切断するなどしてそれぞれに突合せ端面
４，４を形成する。

【０００９】このようにしてコーナー用同質役物を構成
するコーナー用材３，３を形成した後は、コーナー用材
３，３のそれぞれの突合せ端面４，４を接着剤７を用い
つつ釘８を打ち込んで一体化した後、所定の養生時間を
経るまで（ハ）に示すように治具９上に載置し、確実に
固着した後に治具９から外し、コーナー用同質役物が形
成されるものであった。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図２に示す
従来法によってもコーナー用同質役物を形成することは
できる。

【００１１】しかし、上記従来法による場合には、突合
せ端面４，４相互の位置関係がずれやすいほか、接着剤
７のかみ具合により所望する角度が正確に出しずらい不
具合があった。

【００１２】また、人手を介する作業が多いため、完全
自動化ができず、しかも、必ず治具９が必要になるため
作業性が悪くなる不都合もあった。

【００１３】さらには、釘８を打った後の釘頭の補修や
テープやバンドの引き剥しや焼却等の後処理が必要な
り、しかも、釘やテープ、バンドなどの消耗品が必要に
なるなど、作業コストが高くなる不都合もあった。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術にみ
られた上記課題に鑑みてなされたものであり、その構成
上の特徴は、一対のコーナー用材を得るべくコンクリー
ト系外壁材を切断して形成される切断端面のそれぞれに
は、その突合せ時に取付け対象たるコーナー角度に合致
する角度を相互間で形成し得る斜面部をその先端部側に
設けるとともに、前記突合せ時に一方の側のほぞ穴部は
他方の側のほぞ部と、他方の側のほぞ穴部は一方の側の
ほぞ部と相互に嵌り合う位置関係のもとで設けられるほ
ぞ穴部とほぞ部とを基端部側に設けることで突合せ端面
を形成し、一方のコーナー部用材と他方のコーナー部用
材とは、前記斜面部相互を対面させつつ、対応合致する
ほぞ穴部とほぞ部とのそれぞれを嵌合係止させて突合せ
端面相互を密着固定させて一体化させたことにある。

【００１５】また、本発明における前記コンクリート系
外壁材は、少なくともその表面に模様が付されたサイデ
ィング材を用いるのが望ましい。

【００１６】

【作用】このため、一方のコーナー部用材と他方のコー
ナー部用材とは、先端部側に位置する斜面部相互を対面
させつつ、接着剤を介在させながら対応合致するほぞ穴
部とほぞ部とのそれぞれを嵌合係止させることで、突合
せ端面相互を位置ずれさせることなく、かつ、接合角度
のとおり密着固定して一体化することができるので、治
具を用いた養生や釘打ちなどに要する消耗品を必要とす
ることなく、コーナー用同質役物を形成することができ
る。

【００１７】

【実施例】以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明
する。

【００１８】図１の（イ）〜（ニ）は、本発明に係る一
実施例としての隅角度が９０°となるコーナー用同質役
物構造を得るための作業工程を示す説明図である。

【００１９】同図によれば、所定規格のもとで形成され
るコンクリート系外壁用基板材１１からコーナー用同質
役物２０を形成するための一対のコーナー用材１３，１
４を得るべく、まず所要のサイズのもとでコンクリート
系外壁材１２が（イ）に示すようにしてコンクリート系
外壁用基板材１１から切り出される。なお、前記コンク
リート系外壁材１２としては、少なくともその表面に模
様が付されたサイディング材を用いるのが好ましい。

【００２０】このようにして切り出されたコンクリート
系外壁材１２は、カッターもしくは手作業によりその切
断端面に必要な切削加工を施しつつ、二つに切断され、
一対のコーナー用材１３，１４が形成される。

【００２１】図１の（ロ）は、コンクリート系外壁材１
２の切断と同時に行われる切削加工状態の一例を示すも
のであり、この際の切断及び切削加工は、回転体である
一次切削加工用カッター２１を用いることで行わる。

【００２２】すなわち、用いられる一次切削加工用カッ
ター２１がその外周面に備える刃部２２は、その一側寄
り外周面に４５°の傾斜角度を有して形成されている一
側刃部２３と、他側寄り外周面に前記一側刃部２３との
間で９０°の刃先部を形成する他側刃先部２５と、この
他側刃先部２５から外縁部２８へと向かって形成される
凹陥刃部２６ａと突出刃部２６ｂとからなるほぞ形成用
刃部２６とを備える他側刃部２４とで形成されている。

【００２３】このようにして形成された一次切削加工用
カッター２１を用いてコンクリート系外壁材１２を切断
することにより、一対のコーナー用材１３，１４の切断
端面１３ａ，１４ａのうち、一方のコーナー用材１３の
切断端面１３ａには４５°の一次加工としての斜面部１
５ａが形成され、他方のコーナー用材１４の切断端面１
４ａにはその奥側に形成される４５°の斜面部１６ａ
と、表側に形成されるほぞ部１６ｂとほぞ穴部１６ｃと
で最終加工としての突合せ端面１６が形成されることに
なる。

【００２４】次いで、一時加工を施された一方のコーナ
ー用材１３の切断端面１３ａに対しては、（ハ）に示す
ように回転体である二次切削加工用カッター２７を用い
て切削加工が施され、突合せ端面１５が形成される。

【００２５】この際に用いられる二次切削加工用カッタ
ー２７は、一方のコーナー用材１３の肉厚方向と直交す
る方向から切断端面１３ａを切削するものであり、その
外周面には、切断端面１３ａに形成されている斜面部１
５ａのうち、奥側部分（コーナー用材１３，１４相互を
突き合わせた際に先端隅部を形成する部位）と対応合致
する斜面用刃部２７ａをその一側寄り外周面に備え、前
記一次切削加工用カッター２１におけるほぞ形成用刃部
２５との対応関係のもとでほぞ穴１５ｂとほぞ部１５ｃ
とを表側部分に形成することができるほぞ形成用刃部２
７ｂを他側寄りに備えて形成されている。

【００２６】このようにして形成された二次切削加工用
カッター２７を用いて一方のコーナー用材１３の切断端
面１３ａに切削加工を施すことで、（ハ）に示すように
奥側部分の斜面部１５ａを残しつつ、他方のコーナー用
材１４のほぞ部１６ｂとほぞ穴部１６ｃとに嵌合するほ
ぞ穴部１５ｂとほぞ部１５ｃとを備えた突合せ端面１５
が形成されることになる。

【００２７】かくして、一対のコーナー用材１３，１４
の一方の切断端面１３ａには、斜面部１５ａとそれに続
くほぞ穴部１５ｂとほぞ部１５ｃとで一方の側の突合せ
端面１５を、他方の切断端面１４ａには、同じく一方の
突合せ端面１５の前記斜面部１５ａと同一長さとなった
斜面部１６ａとそれに続くほぞ部１６ｂとほぞ穴部１６
ｃとで他方の側の突合せ端面１６をそれぞれ形成するこ
とができる。

【００２８】このようにして一対のコーナー用材１３，
１４のそれぞれに突合せ端面１５，１６を形成した後
は、これら突合せ端面１５，１６を相互を対面させ、対
応合致する一方のほぞ穴部１５ｂには他方のほぞ部１６
ｂを、他方のほぞ穴部１６ｂには一方のほぞ部１５ｃを
嵌合係止することで、（ニ）に示すように一対のコーナ
ー用材１３，１４相互を一体的に組み合わせることがで
きる。この場合、突合せ端面１５，１６相互間に接着剤
１９を介在させて確実に接合固着することで、コーナー
用同質役物２０が形成されることになる。

【００２９】なお、一対のコーナー用材１３，１４のそ
れぞれの切断端面１３ａ，１４ａに形成される突合せ端
面１５，１６は、前記一次切削加工用カッター２１や二
次切削加工用カッター２７を用いることなく人手により
形成するものであってもよい。さらに、用いられるカッ
ターやその作業工程も図示例に限られるものではなく、
例えば、まず、コンクリート系外壁材１２を垂直に切断
して一対のコーナー用材１３，１４を形成しておき、次
いで、各切断端面に対しそれぞれの突合せ端面１５，１
６の形状に対応するカッターを用いて切削加工を施すこ
とで所望する突合せ端面１５，１６を形成するものであ
ってもよい。

【００３０】また、用いられる一対のコーナー用材１
３，１４が十分に厚い肉厚を備えるものである場合に
は、相互に対応合致するほぞ穴部とほぞ部とを切断端面
に複数個設けることで突合せ端面を形成してもよい。

【００３１】さらには、図示例のような９０°の隅角度
のほか、所望により鈍角もしくは鋭角の適宜角度の隅角
度により一対のコーナー用材１３，１４相互を突き合わ
せることもできる。

【００３２】さらにまた、一対のコーナー用材１３，１
４相互の突合せ構造は、出隅タイプのほか、入隅タイプ
のもであってもよい。

【００３３】本発明はこのようにして構成されているの
で、一方のコーナー用材１３と他方のコーナー用材１４
とは、先端部側に位置する斜面部１３ａ，１６ａ相互を
対面させつつ、接着剤１９を介在させながら対応合致す
るほぞ穴部１５ｂとほぞ部１６ｂ，ほぞ部１５ｃとほぞ
穴部１６ｃとのそれぞれを嵌合係止させることで、突合
せ端面１５，１６相互を位置ずれさせることなく、しか
も、接合角度のとおり密着固定して一体化することでコ
ーナー用同質役物２０を形成することができる。

【００３４】このため、コーナー用同質役物２０の製品
精度を安定化することで、製造の完全自動化への途を開
くことができ、コスト低減に寄与させることができる。

【００３５】また、図２に示す従来工法とは異なり、釘
打ち工程や治具を用いた養生工程などを一掃することが
できるので、消耗品コストを節減したり作業能率を高め
ることで、多品種少量生産の要請にも即応しながら需要
者ニーズに応えることができる。

【００３６】さらに、得られるコーナー用同質役物２０
は、凹凸のある突合せ端面相互を嵌合することで接着面
積を大きく確保することができ、よって、強度の向上を
図ることができる。

【００３７】特に、コンクリート系外壁材１２として模
様付きのサイディング材を用いる場合には、構築される
外壁とコーナー用同質役物２０との間の模様合わせも従
来にも増して容易に行うことができ、施工性の改善を図
ることができる。

【００３８】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、一方
のコーナー部用材と他方のコーナー部用材との突合わせ
端面相互の接合固着構造を嵌合構造とすることができる
ので、十分な強度を保持させながら製品精度の向上を図
ることができるほか、消耗品使用量を減らしてコストの
低減に寄与させることができ、しかも、その施工作業も
画一化して完全自動化を達成することができる。

【００３９】また、治具や必要な消耗品などを不要とす
ることで、多品種少量生産の要請にも即応することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例について作業工程を（イ）〜
（ニ）として示す説明図である。

【図２】従来例についての作業工程を（イ）〜（ハ）と
して示す説明図である。

【符号の説明】

１１ コンクリート系外壁用基板材 １２ コンクリート系外壁材 １３ コーナー用材 １３ａ 切断端面 １４ コーナー用材 １４ａ 切断端面 １５ 突合せ端面 １５ａ 斜面部 １５ｂ ほぞ穴部 １５ｃ ほぞ部 １６ 突合せ端面 １６ａ 斜面部 １６ｂ ほぞ部 １６ｃ ほぞ穴部 １９ 接着剤 ２０ コーナー用同質役物 ２１ 一次切削加工用カッター ２２ 刃部 ２３ 一側刃部 ２４ 他側刃部 ２５ 他側刃先部 ２６ ほぞ形成用刃部 ２６ａ 他側刃先部 ２６ｂ 凹陥刃部 ２７ｃ 突出刃部 ２８ 外縁部 ２９ 二次切削加工用カッター ２９ａ 斜面用刃部 ２９ｂ ほぞ形成用刃部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三木 基丞 東京都練馬区高松５丁目19番17号 サンコ ーエンジニアリング株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のコーナー用材を得るべくコンクリ
   ート系外壁材を切断して形成される切断端面のそれぞれ
   には、その突合せ時に取付け対象たるコーナー角度に合
   致する角度を相互間で形成し得る斜面部をその先端部側
   に設けるとともに、前記突合せ時に一方の側のほぞ穴部
   は他方の側のほぞ部と、他方の側のほぞ穴部は一方の側
   のほぞ部と相互に嵌り合う位置関係のもとで設けられる
   ほぞ穴部とほぞ部とを基端部側に設けることで突合せ端
   面を形成し、一方のコーナー部用材と他方のコーナー部
   用材とは、前記斜面部相互を対面させつつ、対応合致す
   るほぞ穴部とほぞ部とのそれぞれを嵌合係止させて突合
   せ端面相互を密着固定させて一体化させたことを特徴と
   するコンクリート系外壁材のコーナー用同質役物構造。
2. 【請求項２】 前記コンクリート系外壁材は、少なくと
   もその表面に模様が付されたサイディング材であること
   を特徴とする請求項１に記載のコンクリート系外壁材の
   コーナー用同質役物構造