JPH06193088A - 地下止水壁の構築法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工が簡便で、かつ構築後の地盤の変形に
追随しうる地下止水壁の構築法を提供する。 【構成】 地表より地下不透水層まで掘削した狭溝の
内部に超吸水性繊維シートを垂直に連続的に埋設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、超吸水性繊維シートに
よる地下止水壁の構築法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、地盤内の地下水を止水する技術と
しては、主として、次の三つの方法が採られている。
薬液注入による地盤の固化。モルタル、コンクリート
製地中連続壁の構築。鋼矢板、シートパイルなどによ
る締切り。

【０００３】しかしながら、の場合、地下水汚染、確
実性などに問題がある。、の場合は止水性は優れて
いるが、剛直であって、構築後の地盤の変形に追随でき
ない。一方、地下ダム構築などの場合の止水壁は、特に
強度を必要とするものではなく、むしろ、構築後の地盤
の変形に追随できる柔軟なものであることが望ましい。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、構築後の地盤の変形に追随できる柔軟な地下止水壁
を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、地表より不透
水層に達するまで垂直に掘削された狭溝内に超吸水性繊
維シートを埋設することによって、柔軟な地下止水壁を
構築するものである。

【０００６】本発明で使用される超吸水性繊維は、例え
ばアクリロニトリル系重合体をアルカリ金属水酸化物水
溶液と反応させて得られるアクリル酸塩単位とアクリル
アミド単位とを有する繊維、ポリ酢酸ビニルとアクリル
酸エステルとの共重合体を加水分解して得られるビニル
アルコールとアクリル酸塩との共重合体繊維、セルロー
ス繊維にアクリル酸をグラフト重合した繊維などの、中
性の水を吸収して、例えば数十倍〜数千倍に膨潤する性
質を有する繊維である。これらの超吸水性繊維は、例え
ばエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレン
グリコールジメタクリレート、Ｎ，Ｎ’−メチレンビス
アクリルアミド、ジビニルエーテル等の架橋性単量体を
共重合することにより、あるいは繊維を適当な架橋剤、
放射線等により架橋することにより、架橋構造が導入さ
れたものであってもよい。また超吸水性繊維は、繊維全
体が超吸水性を有する単層繊維でも、繊維の外層のみが
超吸水性を有する複層繊維でもよい。超吸水性繊維の市
販品には、例えばランシール−Ｆ（東洋紡社製 登録商
標）がある。

【０００７】これらの超吸水性繊維は、そのイオン構造
に起因して、中性の水を吸収して高度に膨潤し、繊維間
の空隙を埋めてしまうという性質を有するものであり、
本発明は、このような超吸水性繊維の膨潤特性を活用す
るものである。

【０００８】超吸水性繊維は、織布、不織布、編物等の
シートとして、狭溝内に垂直に埋設される。

【０００９】シートは、超吸水性繊維のみから作製する
ことができるが、他の繊維（例えば各種植物繊維、合成
繊維等）と混紡して作製することもでき、また、超吸水
性繊維からなるシートと他の繊維からなるシートやその
他の透水性材料とを積層して作製することもできる。

【００１０】本発明の超吸水性繊維シートは、地下水水
面の上部から不透水層まで垂直に連続的に埋設されて、
止水壁を構成する。

【００１１】本発明の超吸水性繊維シートとしては、単
層のシートを何層か積層した厚手のものを使用するのが
好ましい。また、シート接合部は、その端部を数十cm程
度重ね合わせることで止水性は確保されるが、この重ね
合わせ部を超吸水性繊維製縫合糸で縫合するとか、超吸
水性繊維を含む止め具で合体させておくとかするのが好
ましい。

【００１２】本発明による止水壁は、地下ダムのように
地下に地下水を貯留するとき、地下水を揚水するさい周
囲よりの地下水の流入を防止するとき、などに構築され
るものであって、殆どの場合、永久構造物である。

【００１３】超吸水性繊維シートは、柔軟であり、引張
りや圧縮に対しても十分な抵抗力を持っているので、本
発明による止水壁は、地盤の変形にも容易に追随でき
る。

【００１４】

【実施例】以下、図面を参照して、本発明を具体的に説
明する。

【００１５】図１、図２は地下水を貯留することを目的
とした地下止水壁を示すもので、図１は縦断面図、図２
は横断面図である。狭溝が地表６から地下の不透水層３
まで掘られており、その内部に超吸水性繊維シート１が
垂直に連続的に埋設されている。このとき、超吸水性繊
維シートの上端が、設計された貯留地下水の水位５と同
じになるように埋設されている。埋設前は４であった地
下水の水位は、埋設後、供給される地下水により５まで
上昇する。

【００１６】図３、図４は地下水の水位を低下させるこ
とを目的とした地下止水壁を示すもので、図３は平面
図、図４は立断面図である。狭溝が地表６から地下の不
透水層３まで円柱状に掘られており、その内部に超吸水
性繊維シート１が垂直に連続的に埋設されている。そし
て、円柱状に埋設された超吸水性繊維シート１の中央部
に揚水管７が垂直に埋設されている。埋設前は４であっ
た地下水の水位は、埋設後、揚水管７より揚水されるこ
とにより５まで低下する。

【００１７】図４においては、超吸水性繊維シート１の
上端は地表６に達しているが、地表部には地下水が殆ど
なく、地表部の止水が必要ないときは、超吸水性繊維シ
ート１の上端が、埋設前の地下水の水位と同じになるよ
うに埋設することによって、超吸水性繊維シート１の使
用量を低下させることができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明の方法は施工が簡単であり、構築
後地盤が変形しても、それに追随して止水を確保するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】地下水を貯留することを目的とした地下止水壁
の縦断面図である。

【図２】地下水を貯留することを目的とした地下止水壁
の横断面図である。

【図３】地下水の水位を低下させることを目的とした地
下止水壁の平面図である。

【図４】地下水の水位を低下させることを目的とした地
下止水壁の立断面図である。

【符号の説明】

１・・超吸水性繊維シート、２・・透水層、３・・不透
水層、４・・超吸水性繊維シート埋設前の地下水水位、
５・・超吸水性繊維シート埋設後の地下水水位、６・・
地表、７・・揚水管

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地表より不透水層に達するまで垂直に掘
   削された狭溝内に超吸水性繊維シートを埋設することを
   特徴とする地下止水壁の構築法