JP2985931B2 - 仮埋設物引抜用潤滑材 - Google Patents

仮埋設物引抜用潤滑材

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JP2985931B2
JP2985931B2 JP437995A JP437995A JP2985931B2 JP 2985931 B2 JP2985931 B2 JP 2985931B2 JP 437995 A JP437995 A JP 437995A JP 437995 A JP437995 A JP 437995A JP 2985931 B2 JP2985931 B2 JP 2985931B2
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OKUMURAGUMI DOBOKU KOGYO KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、仮埋設物引抜用潤滑材
に関する。詳しく述べると、H鋼等の杭や鋼矢板等の仮
埋設物をセメント等の硬化性含水物や軟弱地盤中に施工
した後、仮埋設物の用済み後に、前記仮埋設物とセメン
ト層や地盤との間に滑りを与え引き抜き易くするために
使用される仮埋設物引抜用潤滑材に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の高層ビル、河川、地下等の建設ま
たは土木工事において一般的によく用いられている工法
の一つに柱列ソイルセメント連続壁工法というものがあ
る。これは、工事現場敷地周囲を掘削して、その掘削し
た部分にソイルセメントを流し込んで埋め、土水圧を抑
えるためのソイルセメント壁を構築する工法である。こ
のソイルセメントの壁は通常のコンクリートに比べ強度
が弱いため、H鋼等の仮埋設物をソイルセメント層に投
入している。また、山止め工事などにおいても、H鋼等
の杭をセメント系物質中に埋め込んでこれを支持体とし
てコンクリート壁を形成している。これまで、セメント
層に投入されたH鋼等の仮埋設物は、硬化後のセメント
との密着性が高く、引き抜くことが困難なために、通常
工事終了後においても埋められた状態で放置されてい
た。
【0003】一般的に、仮埋設物として使用されていた
鋼材は、セメント硬化後には強度的に必ずしも必要とし
ないことが多く、従って、工事終了後に仮埋設物として
使用されていた用済みの鋼材を、硬化したセメント層か
ら引き抜いて回収し、再利用することができれば非常に
経済的である。また、建設物の増設・改修または下水・
水道工事等の2次工事を容易にすることができるので好
ましい。
【0004】セメント系硬化物から鋼材を引抜易くする
ための方法として、特開昭58−104058号公報に
は、仮埋設物表面にワックスや糖類を含む有機物を塗布
して使用する試みが提案されているが、これらの方法の
うち、ワックスを使用する方法ではワックスを熱溶融さ
せる必要があり、施工の迅速性や作業性に問題がある。
一方、糖類を添加する方法ではセメント硬化防止効果が
セメント内部にまで広がることがあり、セメントの強度
低下をきたし、必ずしも良い方法ではない。
【0005】最近では、吸水性ポリマーを表面に付着さ
せた仮埋設物を、セメント層に投入することで、セメン
ト水を吸収膨潤した吸水性ポリマー層で仮埋設物との間
に隙間を形成させ、さらに膨潤した吸水性ポリマーゲル
を引き抜き時の潤滑材として作用させ、仮埋設物を容易
に引き抜き回収する方法がいくつか提案されている。
【0006】例えば、特公平04−44045号公報で
は、吸水性ポリマーがでん粉糊等の再湿性バインダーで
固定された吸水潤滑テープを、仮埋設物の表面全面に貼
着することで、補強材の引き抜きを容易にすることが開
示されている。
【0007】しかしながら、この方法によれば、そのテ
ープを仮埋設物全面に貼着する作業が非常に煩雑であ
り、特に現場での作業となれば実際に使用するのは困難
であった。また、吸水性ポリマーをでん粉糊等の再湿性
バインダーで固定しているため、テープ支持体と吸水性
ポリマーとの接合力は弱く、使用時に吸水性ポリマーの
脱落が起こり、所定の位置に吸水性ポリマー層を設ける
ことが困難なため、潤滑材として吸水性ポリマーを使用
できないものであった。吸水性ポリマーの脱落を抑える
ためにはバインダー量を多くする方法があるが、この場
合には、吸水性ポリマーの膨潤規制が起こり、吸水量が
不十分で、仮埋設物の抜取り潤滑効果が低下した。また
特開平01−58715号公報では、所定の重量比の吸
水性ポリマーと展着剤からなる表面処理剤を心材に直接
塗装する方法が開示されている。しかしながら、この方
法によっても作業がやはり煩雑であり、吸水性ポリマー
の脱落或は展着剤による吸水力の低下の2点については
不十分なため、現時点で満足のいく結果は得られていな
い。更に展着剤を塗料分散させるための溶剤を加えなけ
ればならず作業環境の安全性にも問題がある。
【0008】上記従来技術の方法で仮埋設物を引き抜い
て再利用するためには、引き抜かれた仮埋設物表面に付
着している吸水性ポリマーまたはその接合剤等を除去し
た後に、新たな潤滑テープの貼付けや表面処理剤の塗工
をする必要があり、再利用に際しても煩雑で不経済であ
った。
【0009】更に、セメント層に投入された仮埋設物
は、セメント硬化後も抜き取るまでに半年以上の長期に
渡り放置されるケースがあり、長期間放置される間にセ
メント水(ブリージング水)中に含まれる多価金属塩の
影響で吸水性ポリマーが収縮し、吸水性ポリマーが仮埋
設物引き抜き時に潤滑材として作用しなくなることがあ
った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、新規な仮埋設物引抜用潤滑材を提供することに
ある。
【0011】本発明の他の目的は、現場での施工作業性
に優れ、工事終了後に仮埋設物をセメント層から容易に
引き抜き・回収・再利用することができる経済性に優れ
た仮埋設物引抜用潤滑材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、吸水性ポ
リマーが基材に直接固着した吸水性ポリマーシート層を
設けてなることを特徴とする仮埋設物引抜用潤滑材によ
り達成される。
【0013】本発明はまた、該吸水性ポリマーが基材上
で重合により吸水性ポリマーに転換し得る水溶性エチレ
ン性不飽和モノマーを重合して得られたものである前記
仮埋設物引抜用潤滑材である。本発明はさらに、該基材
が多孔質材である前記仮埋設物引抜用潤滑材である。本
発明は、該吸水性ポリマーと該基材との重量比が、該基
材100重量部に対して該吸水性ポリマーが10〜10
00重量部の範囲である前記仮埋設物引抜用潤滑材であ
る。本発明はまた、該多孔質材が繊維質基材またはスポ
ンジである前記仮埋設物引抜用潤滑材である。本発明は
さらに、該埋設物引抜用潤滑材の厚さが10〜1000
μmである前記仮埋設物引抜用潤滑材である。本発明は
また、該吸水性ポリマーが(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸塩、スルホン酸基含有(メタ)アクリル
酸エステルおよびその塩、および2−(メタ)アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩よ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の水溶性エチレン
性不飽和モノマーを主成分とするモノマーを重合させて
得られるものである前記仮埋設物引抜用潤滑材である。
本発明はさらに、該吸水性ポリマーがスルホン酸基を含
有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを含む水溶性エ
チレン性不飽和モノマーを重合して得られるものである
前記仮埋設引抜用潤滑材である。本発明は、該水溶性エ
チレン性不飽和モノマーが該モノマーに対して0.00
1〜10モル%の架橋剤を含有してなる前記仮埋設物引
抜用潤滑材である。本発明はさらに、該吸水性ポリマー
層の片面に非透水性層を設けてなる前記仮埋設物引抜用
潤滑材である。本発明はまた、該非透水性層の厚さが1
〜1000μmである前記仮埋設物引抜用潤滑材であ
る。本発明はまた、該仮埋設物引抜用潤滑材が袋状ない
し筒状物である前記仮埋設物引抜用潤滑材である。本発
明はまた、該袋状ないし筒状の仮埋設物引抜用潤滑材の
吸水性ポリマー層の内側に非透水性層を設けてなる前記
仮埋設物引抜用潤滑材である。本発明はさらに、該袋状
ないし筒状物の開口部にハンガーが取付けられてなる前
記仮埋設物引抜用潤滑材である。
【0014】本発明における仮埋設物引抜用潤滑材は、
土砂やヘドロ等の軟弱地盤やセメント等の硬化性含水物
を受けるH型鋼材等の杭や平板鉄板等の鋼矢板等の仮埋
設物の表面を覆って土砂やセメント中に打設される。そ
して、土砂やセメント部分の工事終了後、不要になった
仮埋設物を引き抜くが、その際、本発明の仮埋設物引抜
用潤滑材を使用していることにより、容易にH型鋼や鋼
矢板を引き抜くことができるというものである。
【0015】以下、図面を参照しながら、本発明を詳細
に説明する。
【0016】図1に示すように、本発明の吸水性ポリマ
ーシート層を設けてなる仮埋設物引抜用潤滑材1は、吸
水性ポリマーがバインダー等を使用せずに基材2に直接
固着してなる吸水性ポリマーシート層3を具備してな
る。バインダーを使用していないことで、吸水性ポリマ
ーの本来有している吸水特性を失うことなく、仮埋設物
とセメント層との間に吸水性ポリマー層を吸水性ポリマ
ーの脱落なく設けることができ、仮埋設物を引き抜くた
めの潤滑材として使用できる。
【0017】図2は、本発明の他の実施態様を示すもの
で、基材12に、バインダー等を使用せずに吸水性ポリ
マーシート層13が形成され、さらに該吸水性ポリマー
シート層13の片面に非透水性層14が設けられてなる
仮埋設物引抜用潤滑材11である。
【0018】本発明における吸水性ポリマーとしては、
例えば、アクリル酸またはアクリル酸塩あるいはスルホ
ン酸基含有(メタ)アクリル酸エステルまたはその塩を
主成分とし、場合により架橋剤を添加してなる水溶性の
エチレン性不飽和モノマーを重合させて得られる、自重
の10〜1000倍の水を吸収し膨潤する吸水性ポリマ
ーを挙げることができ、好ましく用いられる。
【0019】上記の吸水性ポリマー以外の例としては、
例えば、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピ
ロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビ
ニルピリジン、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリ
ルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−ポリ(メ
タ)アクリル酸(およびその塩)グラフト架橋共重合
体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)の反
応物、架橋ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビ
ニルアルコール−アクリル酸グラフト共重合物等も例示
できる。
【0020】本発明に用いられる基材としては、例え
ば、親水性または疎水性の織布、不織布、編布、紙、ス
ポンジ等の多孔質材を挙げることができる。基材がその
中に空隙を有していることで、吸水性ポリマーの膨潤許
容空間を確保でき、またセメント水が吸水性ポリマーと
有効に接触できるので好ましい。基材に使用される素材
としては、基材が繊維基材の場合、親水性のものとして
木材パルプ、綿、羊毛、レーヨン、アセテート、ビニロ
ン等の繊維が挙げられ、疎水性のものとしてはポリエス
テル、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、グ
ラスウール、ロックウールの繊維を挙げることができ
る。また、基材がスポンジ様の場合にはポリアセター
ル、ポリウレタン、セルロース、フェノール樹脂等を挙
げることができる。中でも、得られる仮埋設物引抜用潤
滑材の作業性、柔軟性、経済性の観点から、好ましい基
材としてポリエステル、ポリプロピレン等の疎水性の繊
維からなる不織布を用いることが好ましい。基材の厚み
は特に制限はないが、一般に0.01〜10mnの範囲
である。また、坪量は10〜500g/m2 の範囲であ
る。
【0021】本発明において、前記吸水性ポリマーと基
材の重量比としては、基材100重量部に対し、吸水性
ポリマー10〜1000重量部、好ましくは80〜50
0重量部の範囲である。吸水性ポリマーの量が10重量
部未満の場合には、吸水性ポリマーの仮埋設物引き抜き
の際の潤滑効果が小さく好ましくない。一方、1000
重量部を越える場合には、得られる吸水性ポリマーシー
トの柔軟性が低下し、作業性の点から好ましくない。
【0022】これらの吸水性ポリマーが基材に直接固着
した吸水性ポリマーシートを得る方法としては、A)基
材に水で軟化した吸水性ポリマーを直接プレスし、必要
により乾燥する方法。B)架橋により吸水性ポリマーに
転換し得る水溶性ポリマーを基材に施し、その後架橋せ
しめる方法。C)重合により吸水性ポリマーに転換し得
るモノマーを基材に施したのち重合せしめる方法等、基
材に吸水性ポリマーがバインダーを介さずに直接固着で
きるのであればその方法は特に限定されない。
【0023】中でも、製造の容易さ、経済性、得られる
吸水性ポリマーシートの耐久性等の観点から、重合によ
り吸水性ポリマーに転換し得るモノマーを基材に付着せ
しめた後、該モノマーを基材上で重合する方法が好まし
い。この製法により吸水性ポリマーが基材に直接固着し
た吸水性ポリマーシートをより簡便に得ることができ
る。
【0024】重合により吸水性ポリマーに転換すること
ができるモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタ
クリル酸およびそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム
塩;2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−
(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メ
タ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸およびそ
れらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩;(メタ)アク
リルアミド、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレートおよびその4級化物;ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メ
タ)アクリレート等を挙げることができ、これらの1種
または2種以上を用いることができる。
【0025】潤滑材のセメント水の吸水膨潤性の観点か
ら、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−
(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メ
タ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸およびそ
れらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩等のスルホン酸
基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーがより好ま
しい。スルホン酸基を有する水溶性エチレン性不飽和モ
ノマーを基材に付着させて重合・架橋することで得られ
る吸水性ポリマーシートからなる本発明の仮埋設物引抜
用潤滑材は、セメント水中に含まれるカルシウム等の多
価金属塩やpHの影響を受けにくいため長期間において
もセメント水の吸水膨潤性が高く、仮埋設物の引き抜き
がさらに良好となる仮埋設物引抜用潤滑材とすることが
できる前記モノマー中には、架橋剤として、ジビニルベ
ンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メ
タ)アクリレート、N,N−メチレンビスアクリルアミ
ド、イソシアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパ
ンジアリルエーテル等に代表される多官能性の水溶性エ
チレン性不飽和モノマーを加えておくことができる。架
橋剤の使用により、得られる潤滑材の耐久性や保形性を
向上できる。架橋剤の使用量は、上記モノマーの種類や
重合条件により適宜選択することができるが、一般に
0.001〜10モル%(対モノマー)の範囲であり、
好ましくは0.01〜5モル%(対モノマー)の範囲で
ある。
【0026】上記したモノマーを基材に付着させる方法
としては特に限定はされないが、例えば水溶液の状態
で、基材にモノマー水溶液を印刷したり、噴霧、含浸、
含浸後に搾り取る方法等によりモノマーを基材に付着で
きる。このようにして基材に付着させたモノマーは、公
知の手段により重合し基材に吸水性ポリマーを直接固着
できる。重合させる方法としては、例えば、熱、光、電
子線、紫外線等を用いる方法を採用できる。必要に応じ
て、上記したモノマーの水溶液中に過硫酸塩や水溶性ア
ミノ化合物等の水溶性ラジカル重合開始剤やその他の添
加剤が加えられてもよい。
【0027】このようにして得られる本発明の仮埋設物
引抜用潤滑材は、その厚さが10〜1000μm、好ま
しくは20〜500μmである。すなわち10μm未満
では機械的強度が不充分であるばかりでなく、吸水量が
不充分であるので、仮埋設物を引抜くための潤滑性が不
充分である。一方、1000μmを越えると、該潤滑材
は柔軟性に欠けたものとなり、仮埋設物の表面に該潤滑
材を配することが困難になることがある。
【0028】このようにして得られる本発明の吸水性ポ
リマーシート層を設けてなる仮埋設物引抜用潤滑材は、
上記したように吸水性ポリマーが基材に直接固着してい
るため、仮埋設物のセメント層への投入またはセメント
水の吸水膨潤または硬化セメント層からの引き抜き時に
おいて吸水性ポリマーの脱落が少なく、仮埋設物の全表
面に渡って均一に吸水性ポリマーが配置されるものとな
る。従って、本発明の潤滑材は仮埋設物引き抜き時に、
極めて高い滑り性を発現する潤滑材となる。
【0029】また、本発明の仮埋設物引抜用潤滑材は、
吸水性ポリマーの吸水膨潤を妨げるバインダー等の接合
剤の使用によって吸水性ポリマーを基材に固定していな
いため、高い膨潤性を示すことができる。従って、本発
明の潤滑材を用いることで仮埋設物とセメント層との間
に大きな空隙を形成することができ、仮埋設物引き抜き
時の摩擦抵抗を小さくすることができるのである。
【0030】さらに上記した吸水性ポリマーシート層の
片面に非透水性層を設けることで、仮埋設物の引き抜き
を更に容易にすることができる。
【0031】非透水性層の材料としては、非透水性で上
記吸水性ポリマーシート層と貼り合わせが可能な材料で
あれば特に制限はされるものではない。例えば、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等
の疎水性の樹脂フィルムおよびボード;アルミニウム
箔;アルミニウム等の金属製フィルムが挙げられる。中
でも、非透水性層を設けてなる吸水性ポリマーシートの
柔軟性、作業性、経済性等の観点からポリエステル、ポ
リアクリロニトリル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等からなる樹
脂フィルム層が好ましい。その厚さは、1〜1000μ
m、好ましくは10〜500μmである。
【0032】上記吸水性ポリマーシート層の片面に非透
水性の材料を貼り合わせる方法としては、粘着剤や接着
剤等の接合剤で貼り付ける方法や、吸水性ポリマーシー
ト層の片面に熱溶融可能な材料を熱溶融した状態で押し
出し塗布加工する方法等が挙げられる。潤滑材の生産
性、柔軟性、作業性、経済性等の観点から溶融押し出し
による塗布加工が好ましい。
【0033】この非透水性層を設けた潤滑材を仮埋設物
表面に配設するときは、仮埋設物側に非透水性層が配置
されるようにし、セメント層側には吸水性ポリマー層が
配置されるようにする。この片面に非透水性層を設けて
なる潤滑材の非透水性層によって、硬化前の流動するセ
メントが仮埋設物側へ移動するのを防止し、セメント層
と仮埋設物との分離を完全にすることができ、仮埋設物
をより容易に引き抜き回収することができる。回収した
仮埋設物の表面にはセメントが付着したり錆が発生する
ことが防止されるので、仮埋設物は回収後そのまま再使
用できる。
【0034】さらに、仮埋設物引き抜き時の潤滑性また
は補強材の防錆・防蝕性を向上させるためにワックス等
の潤滑材や防サビ剤等を予め仮埋設物表面に塗布してお
いても良い。
【0035】
【作用】本発明の仮埋設物引抜潤滑材は、仮埋設物の表
面に配設しセメント等の硬化性含水物中に施工する。仮
埋設物の表面に潤滑材を配設する方法として、例えば、
潤滑材で前記仮埋設物を包んだり、挟んだりする方法が
挙げられる。また、ボルトで固定したり、あるいは各種
接着剤で貼り付けたりすることもできる。中でも工事現
場での作業性の観点から好ましくは、仮埋設物引抜用潤
滑材を袋状に加工して仮埋設物を包む方法である。袋状
に加工することにより、H鋼のように大きくて重い仮埋
設物の表面に潤滑材を容易に配設することができる。袋
状に加工した潤滑材は、更に蛇腹状に加工されているこ
とが好ましい。蛇腹状に加工されていると、潤滑材がコ
ンパクトな形状になり、作業現場で場所をとらず、また
仮埋設物に容易に配設することが出来るようになり好ま
しい。
【0036】仮埋設物引抜用潤滑材は、予め仮埋設物に
配設し作業現場に運ぶこともできるが、作業現場で仮埋
設物に配設しセメント中に施工することが好ましい。作
業現場で配設する方法としては特に制限ないが例えば、
図3〜5に示す方法が挙げられる。図3には、架台25
に蛇腹状に加工した仮埋設物引抜用潤滑材21を設置
し、上方からH鋼22を蛇腹状に加工した仮埋設物引抜
用潤滑材21の袋の中に挿入しながら(A方向)、地盤
に掘削された穴中に充填されたソイルセメント23中に
施工する方法が示されている。仮埋設物引抜用潤滑材2
1の袋の内側には、必要によりポリプロピレンの非透水
性層(図示せず)が設けられている。また袋の底はヒー
トシールされており、硬化前のセメント23が仮埋設物
引抜用潤滑材21を通過しH鋼22と接触することを防
いでいる。図3において、仮埋設物引抜用潤滑材21は
蛇腹状の袋に加工されているので場所もとらず、袋の上
からH鋼22を挿入するという簡便な手段によりH鋼2
2の表面に仮埋設物引抜用潤滑材21を配設することが
できる。
【0037】図4には、H鋼22の一方の端に蛇腹状の
仮埋設物引抜用潤滑材21をかぶせ、次いでクレーン2
7等で該H鋼22を吊り上げた後、前記仮埋設物引抜用
潤滑材21を人29が紐28で引き降ろし、H鋼22の
表面に仮埋設物引抜用潤滑材21を配設する方法が示さ
れている。硬化前のセメントがH鋼22と接触するのを
防ぐため、仮埋設物引抜用潤滑材21の内面に非透水性
層が設けられていたり、袋の下側をヒートシール等によ
りシールしておくこともできる。
【0038】図5には、クレーン27等でH鋼22を吊
り上げ、袋状に加工した仮埋設物引抜用潤滑材21を滑
車30を介して紐28で引き上げる方法が示されてい
る。袋の内側には硬化前のセメントがH鋼22と接触す
ることを防ぐため、必要により非透水性層(図示せず)
が設けられている。前記袋の上部には紐28が取り付け
られており、クレーン27の先に取り付けられた滑車3
0を通じてH鋼22を包むように人29の力で引き上げ
られる。引き上げた後、仮埋設物引抜用潤滑材21の袋
は適当な長さに切り取られ、下の部分は硬化前のセメン
トが浸入しないよう接着剤やヒートシールによりシール
される。セメントの浸入を防ぐため紐等でくくることも
できる。この方法によってもH鋼22の表面に仮埋設物
引抜用潤滑材21を容易に配設することができる。仮埋
設物の表面に仮埋設物引抜用潤滑材21を配設する方法
がこれら方法に限定されるものではない。
【0039】図6は、被仮埋設物であるH鋼22への仮
埋設物引抜用潤滑材21の取付け方法の他の例を示すも
ので、折りたたまれた袋状ないし筒状の仮埋設物引抜用
潤滑材21の開口端31にH鋼22を挿入し、紐28を
引張ることにより該開口端31を上昇させて、H鋼22
全体を包む。
【0040】図7および図8は、取付け方法のさらに他
の例を示すもので、袋状ないし筒状の仮埋設物引抜用潤
滑材21の開口端31に紐32等を介してハンガー33
を取付ける。この仮埋設引抜用潤滑材21の開口端31
に、H鋼22を挿入し、紐28を引張ることにより前記
ハンガー33とともに開口端31を上昇させて、H鋼2
2の側面に沿って仮埋設物引抜用潤滑材21は上昇する
が、H鋼22の上端よりやや上部に達した時点で引張り
を解除すると、ハンガー33はH鋼22の上端に下降し
て固定する。したがって、以後の埋設作業中に仮埋設物
引抜用潤滑材21を特に固定する必要はなくなる。
【0041】仮埋設物引抜用潤滑材は、ヒートシール、
接着剤、縫製、連結金具等により袋状や筒状に加工する
ことができる。
【0042】本発明の吸水性ポリマーシート層を設けて
なる仮埋設物引抜用潤滑材は、吸水性ポリマーが基材に
直接固着しているため、仮埋設物のセメント層への投入
またはセメント層からの引き抜きまたはセメント水の吸
水膨潤時において、吸水性ポリマーの脱落が少なく、仮
埋設物の全表面に渡って均一に吸水性ポリマーが配置さ
れるものとなり、補強材を引き抜く時に極めて高い滑り
性を発現する。また、バインダーを使用していないので
吸水性ポリマーの吸水膨潤を妨げることなく、補強材と
セメント層との間に大きな空隙を形成することができ
る。従って、本発明の仮埋設物引抜用潤滑材を用いるこ
とで、仮埋設物引き抜き時の摩擦抵抗を小さくすること
ができ、補強材を極めて容易に引き抜き回収することが
できる。
【0043】本発明の仮埋設物引抜用潤滑材は、厚みが
薄く、柔軟な繊維や不織布等の基材に吸水性ポリマーを
直接固着させてなる吸水性ポリマー層を具備しているの
で、厚みが薄く柔軟な潤滑材である。従って、セメント
層に投入する補強材表面に本発明の仮埋設物引抜用潤滑
材を配設するときは、挟む、包む等の簡単な作業で良
く、作業性、取り扱い性の高い潤滑材となる。また、ヒ
ートシール、縫製、連結金具等による種々の加工が容易
で袋状にしたり他の材料と複合化することができる。例
えば、本発明の仮埋設物引抜用潤滑材で袋を予め作れ
ば、仮埋設物をその袋の中に挿入するだけで良く作業性
を更に向上させることができる。
【0044】吸水性ポリマーシート層の片面に非透水性
層を設け、使用時に非透水性層を仮埋設物側に配設する
ことによって、硬化前の流動するセメントの仮埋設物側
への移動を防止し、セメント層と仮埋設物との分離を完
全にすることができ、仮埋設物を極めて容易に引き抜く
ことができる。また、従来技術では仮埋設物表面に吸水
性ポリマーやその接合剤等が付着したまま引き抜かれる
のに対して、本発明の吸水性ポリマーシート層を設けて
なる仮埋設物引抜用潤滑材は、仮埋設物引き抜き時に潤
滑材が仮埋設物に付着することがないため、仮埋設物の
みを引き抜き回収することができる。このことから、一
度使用した仮埋設物引抜用潤滑材を仮埋設物表面から剥
す手間がなく仮埋設物の再使用が極めて簡便となる。ま
た、表面にセメントや土が付着したり、錆が発生したり
することもなく再使用することができ好ましい。
【0045】基材に直接固着した吸水性ポリマーがスル
ホン酸基を有するポリマーである場合には、セメント水
中に含まれるカルシウム塩の影響を受けにくいため長期
間においてもセメント水の吸水膨潤性が高く、吸水性ポ
リマーが潤滑材として良好に作用し、仮埋設物の引き抜
き性を更に向上させることもできる。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0047】実施例1 75%が水酸化ナトリウムにより中和された部分中和ア
クリル酸ナトリウム水溶液にN,N−メチレンビスアク
リルアミド0.12モル%(対アクリル酸ナトリウムモ
ノマー)および過硫酸ナトリウム1.0g/モル(対ア
クリル酸ナトリウムモノマー)を溶解し40重量%のモ
ノマー水溶液を調製した。このモノマー水溶液に、坪量
が25g/m2 のポリプロピレン製不織布を浸漬し、該
水溶液を含浸させた後、余分なモノマー水溶液をローラ
ーで絞り取った。この含浸物を加熱しラジカル重合を行
って、40g/m2 の吸水性ポリマーが基材に直接固着
した吸水性ポリマーシート(1)を得た。この吸水性ポ
リマーシート(1)を本発明の仮埋設物引抜用潤滑材
(1)とした。その厚さは200μmであった。
【0048】本発明の仮埋設物引抜用潤滑材(1)で包
んだ高さ150mm、幅70mmの平板鉄板をセメン
ト、水、ベントナイト、土等を混練したセメントミルク
の入った容器に投入した。この本発明の仮埋設物引抜用
潤滑材(1)で包んだ平板鉄板の引き抜き強度を3か月
放置後に測定した。
【0049】潤滑材(1)で包んだ平板鉄板の引き抜き
強度は15g/cm2 で容易に引き抜くことができた。
また、作業性についても平板鉄板に仮埋設物引抜用潤滑
材(1)を包むだけの簡単な作業でよく作業性、取り扱
い性が良好であった。
【0050】実施例2 2−アクリロイルプロパンスルホン酸のカリウム塩の水
溶液にN,N−メチレンビスアクリルアミド0.1モル
%(対2−アクリロイルプロパンスルホン酸のカリウム
塩モノマー)および過硫酸ナトリウム1.0g/モル
(対2−アクリロイルプロパンスルホン酸のカリウム塩
モノマー)を溶解し、45重量%のモノマー水溶液を調
製した。このモノマー水溶液に、坪量が30g/m2
ポリエステル製不織布を浸漬し、該水溶液を含浸した
後、余分なモノマー水溶液をローラーで絞り取った。こ
の含浸物を加熱しラジカル重合を行って、70g/m2
のスルホン酸基を含有する吸水性ポリマーが基材に固着
した吸水性ポリマーシート(2)を得た。この吸水性ポ
リマーシート(2)を本発明の仮埋設物引抜用潤滑材
(2)とした。その厚さは250μmであった。
【0051】本発明の仮埋設物引抜用潤滑材(2)で包
んだ高さ150mm、幅70mmの平板鉄板をセメン
ト、水、ベントナイト、土等を混練したセメントミルク
の入った容器に投入した。この本発明の仮埋設物引抜用
潤滑材(2)で包んだ平板鉄板の引き抜き強度を3か月
放置後に測定した。
【0052】仮埋設物引抜用潤滑材(2)で包んだ平板
鉄板の引き抜き強度は、11g/cm2 で容易に引き抜
くことができた。また、仮埋設物引抜用潤滑材(2)の
吸水膨潤は長期に渡っても良好であり、作業性について
も平板鉄板に仮埋設物引抜用潤滑材(2)を包むだけの
簡単な作業でよく作業性、取り扱い性が良好であった。
【0053】実施例3 実施例1で得た吸水性ポリマーシート(1)の片面にポ
リプロピレンを熱溶融した状態で押し出し塗布加工する
ことで、吸水性ポリマーシートの片面に厚さ30μmの
非透水性ポリプロピレン層を設け、本発明の仮埋設物引
抜用潤滑材(3)を得た。その厚さは250μmであっ
た。
【0054】次ぎにポリプロピレン層が内面になるよう
に仮埋設物引抜用潤滑材(3)を袋状にヒートシール加
工した。
【0055】この仮埋設物引抜用潤滑材(3)で作った
袋の中に、高さ150mm、幅70mmの平板鉄板を挿
入した後、セメント、水、ベントナイト、土等を混練し
たセメントミルクの入った容器に投入した。この本発明
の仮埋設物引抜用潤滑材(3)の袋に挿入された平板鉄
板の引き抜き強度を3か月放置後に測定した。
【0056】この平板鉄板の引き抜き強度は、10g/
cm2 で容易に引き抜くことができた。また、作業性に
ついても仮埋設物引抜用潤滑材(3)の袋に平板鉄板を
挿入するだけの簡単な作業でよく作業性、取り扱い性が
良好であった。更に、引き抜く際において一度使用した
仮埋設物引抜用潤滑材(3)の鉄板への付着がなく、平
板鉄板のみを引き抜くことができ、その平板鉄板は直ち
に仮埋設物として再利用できる状態のものであった。
【0057】比較例1 100g/m2 のクラフト紙にでん粉糊100部と吸水
性ポリマー20部の比率で混合された混合液をクラフト
紙表面に塗布した後、この塗布面にポリプロピレン製の
不織布を積層し乾燥した。次に裏面にポリアクリル酸エ
ステル系の粘着剤を塗布加工した後、この面に離型紙を
貼合わせてテープ状の比較仮埋設物引抜用潤滑材(1)
を得た。その厚さは400μmであった。
【0058】次ぎに、この比較仮埋設物引抜用潤滑材
(1)を高さ150mm、幅70mmの平板鉄板の表面
に貼着した。
【0059】この比較仮埋設物引抜用潤滑材(1)を貼
着した平板鉄板を、セメント、水、ベントナイト、土等
を混練したセメントミルクの入った容器に投入した。こ
の比較仮埋設物引抜用潤滑材(1)で包んだ平板鉄板の
引き抜き強度を3か月放置後に測定した。
【0060】比較仮埋設物引抜用潤滑材(1)を貼着し
た平板鉄板の引き抜き強度は、70g/cm2 で、引き
抜くことは可能であったが、比較仮埋設物引抜用潤滑材
(1)を平板鉄板に貼付ける作業が煩雑であり、引き抜
かれた平板鉄板の表面には一度使用した比較仮埋設物引
抜用潤滑材(1)が付着した状態であった。この平板鉄
板を再利用するためには、その一度使用した比較仮埋設
物引抜用潤滑材(1)を剥す必要があり、直ちに仮埋設
物として再利用できる状態のものではなかった。
【0061】比較例2 吸水性ポリマー15重量部、アクリル系樹脂の展着剤3
5重量部、キシレン25重量部、n−ブタノール5重量
部およびメチルエチルケトン20重量部で配合した表面
処理剤を、高さ150mm、幅70mmの平板鉄板に塗
布して乾燥後、セメント、水、ベントナイト、土等を混
練したセメントミルクの入った容器に投入した。この表
面処理剤を塗布した平板鉄板の引き抜き強度を3か月放
置後に測定した。
【0062】表面処理剤を塗布した平板鉄板の引き抜き
強度は50g/cm2 で、引き抜くことは可能であった
が、表面処理剤を平板鉄板に塗布する作業が煩雑であ
り、引き抜かれた平板鉄板の表面には吸水性ポリマーお
よび展着剤等が付着した状態であった。この平板鉄板を
再利用するためにはその付着物を除去する必要があり、
直ちに仮埋設物として再利用できる状態のものではなか
った。
【0063】比較例3 高さ150mm、幅70mmの平板鉄板のみを、仮埋設
物としてセメント、水、ベントナイト、土等を混練した
セメントミルクの入った容器に投入した。3か月放置後
に平板鉄板の引き抜きを試みたが、その引き抜きは困難
であった。
【0064】実施例4 60%が水酸化ナトリウムにより中和された部分中和ア
クリル酸ナトリウム水溶液にメチレンビスアクリルアミ
ド0.1モル%(対アクリル酸ナトリウムモノマー)お
よび過硫酸ナトリウム1.0g/モル(対アクリル酸ナ
トリウムモノマー)を溶解し40重量%のモノマー水溶
液を調製した。このモノマー水溶液に、ポリエチレン−
ポリプロピレン複合繊維からなる坪量25g/m2 の不
織布を浸漬し、該水溶液を含浸した後ローラーで絞り取
って不織布に対するモノマー水溶液の付着量を180g
/m2 とした。この含浸物を加熱しラジカル重合を行
い、吸水性ポリマーが不織布に直接重合固着した吸水性
ポリマーシート(3)を得た。このシートの純水の吸水
倍率は80倍であった。このものを本発明の仮埋設物引
抜用潤滑材(4)とした。その厚さは250μmであっ
た。
【0065】この仮埋設物引抜用潤滑材(4)を2つに
折り曲げ両端をヒートシールし直径約20cmの筒状の
加工した。さらに端部をヒートシールし、直径20c
m、長さ30cmの袋状に加工した。この袋の中に幅3
cm、長さ30cmのH鋼を挿入した。
【0066】引き続き、仮埋設物引抜用潤滑材(4)の
袋の中に挿入したH鋼を、ソイルセメントの満たされた
直径9cm、高さ27cmのポリプロピレン製の容器の
中に注入した。ソイルセメントはセメント12.8重量
部、水52.6重量部、ベントナイト1.3重量部、粘
土33.9重量部を混合し調製した。
【0067】30日後、硬化したセメントからH鋼を引
き抜いたところ最大引抜荷重は20kgfであった。
【0068】実施例5 実施例5で得た吸水性ポリマーシート(3)の片面にポ
リプロピレンを熱溶融した状態で押し出し塗布加工し、
吸水性ポリマーシート(1)の片面に厚さ20μmの非
透水性ポリプロピレン層を設け、本発明の仮埋設物引抜
用潤滑材(5)を得た。
【0069】このものを用いた他は実施例4と同様にし
て、H鋼をソイルセメント中に挿入した。
【0070】30日後、硬化したセメントからH鋼を引
き抜いたところ最大引抜荷重は11kgfであった。引
き抜いたH鋼の表面にはセメントは全く付着しておら
ず、錆も発生していなかった。
【0071】実施例6 実施例5で得た吸水性ポリマーシート(3)の片面にポ
リプロピレンを熱溶融した状態で押し出し塗布加工し、
吸水性ポリマーシート(1)の片面に厚さ100μmの
非透水性ポリプロピレン層を設け、本発明の仮埋設物引
抜用潤滑材(6)を得た。
【0072】このものを用いた他は実施例4と同様にし
て、H鋼をソイルセメント中に挿入した。
【0073】30日後、硬化したセメントからH鋼を引
き抜いたところ最大引抜荷重は1kgfであった。引き
抜いたH鋼の表面にはセメントは全く付着しておらず、
錆も発生していなかった。
【0074】比較例4 仮埋設物引抜用潤滑材を配設しなかった他は実施例4と
同様にして、H鋼をソイルセメント中に挿入した。
【0075】30日後、硬化したセメントからH鋼を引
き抜いたところ最大引抜荷重は130kgfであった。
引き抜いたH鋼の表面にはセメントが付着しており、錆
も発生していた。
【0076】比較例5 厚さ100μmの袋の中に挿入したH鋼をセメント中に
注入した他は実施例4と同様にした。
【0077】30日後、硬化したセメントからH鋼を引
き抜いたところ最大引抜荷重は100kgfであった。
【0078】実施例7 実施例5で得た仮埋設物引抜用潤滑材(5)をポリプロ
ピレン層が内側になるよう2つ折りにし、縁をヒートシ
ールした。さらに長さ6mごとに切り取り、切り取った
片方を同様にヒートシールし、長さ6m、幅1mの封筒
状に加工した。更に、節の間隔50cm毎に折り曲げ、
蛇腹状に加工した。
【0079】引き続きこの蛇腹状に加工した仮埋設物引
抜用潤滑材(5)を図3に示すように架台に装着し、上
方からクレーンで吊り上げた長さ5m、幅20cmのH
鋼を袋の中に挿入しながらソイルセメントを注入した直
径60cm、深さ5mの穴の中に埋設した。なお、ソイ
ルセメントの配合はセメント280重量部、ベントナイ
ト25重量部、水900重量部であった。
【0080】1カ月後、硬化したソイルセメント中から
H鋼を引き抜いたところ、最大引抜荷重1.4tで引き
抜くことが出来た。引き抜いたH鋼は表面に硬化したセ
メント等が付着したり錆が発生することもなくすぐに再
使用できるものであった。
【0081】比較として、直接埋設したH鋼を引き抜く
ときの最大引抜荷重は21tであった。引き抜いたH鋼
の周りには硬化したセメントが付着しており錆も発生し
ていた。
【0082】実施例8 実施例7において穴の深さを10mとし、長さ10m幅
30センチのH鋼を埋設した他は実施例7と同様にして
H鋼を埋設した。なお、蛇腹状に加工した仮埋設物引抜
用潤滑材(5)の長さは11mであった。
【0083】3カ月後、硬化したソイルセメント中から
H鋼を引き抜いたところ、最大引抜荷重2tで引き抜く
ことができた。引き抜いたH鋼は表面にセメント等が付
着したり錆が発生することもなく、直ちに再使用できる
ものであった。
【0084】比較として、直接埋設したH鋼を引き抜こ
うとしたが、引抜荷重100t以上でも引き抜くことが
できなかった。
【0085】
【発明の効果】本発明の仮埋設物引抜用潤滑材は、長期
間ポリマーの脱落がなく、高い膨潤性を有し、仮埋設物
のセメント層からの引き抜き・回収を極めて容易にし、
経済性を向上させるものである。また、現場での取り扱
い作業または2次工事または再利用の際の作業性を向上
させるものである。
【0086】従って、本発明の仮埋設物引抜用潤滑材
は、高層建築物、高速道路、橋、河川・湖、海岸・港湾
等の各種土木建設工事または地下都市、地下鉄道、地盤
改良、下水管、水道管、ガス管、電気配線等の各種地下
工事または山止め工事等で造成されるセメント層や軟弱
地盤からのH鋼や鋼矢板等の仮埋設物の回収を容易にす
る材料として使用できる。
【0087】また、該仮埋設物引抜用膨潤材は、袋状な
い筒状物とすることにより、H鋼、鋼矢板等の被仮埋設
物の配設が容易となる。さらに、該吸水性ポリマーの片
面、特に袋状ないし筒状物の場合には、その内側に非透
水性層を設ければ、セメントミルクが被仮埋設物側に浸
透しないので、錆の心配はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の仮埋設物引抜用潤滑材の一例を示す
断面図である。
【図2】 本発明の仮埋設物引抜用潤滑材の他の例を示
す断面図である。
【図3】 蛇腹状に加工した仮埋設物引抜用潤滑材にH
鋼を挿入し、セメント中に施工する様子を示す図であ
る。
【図4】 本発明の仮埋設物引抜用潤滑材をH鋼に配設
する一例を示す図である。
【図5】 本発明の仮埋設物引抜用潤滑材をH鋼に配設
する他の例を示す図である。
【図6】 本発明の仮埋設物引抜用潤滑材をH鋼に配設
するさらに他の例を示す図である。
【図7】 本発明の仮埋設物引抜用潤滑材をH鋼に配設
する別の例を示す図である。
【図8】 仮埋設物潤滑材がH鋼に固定された状態を示
す図である。
【符号の説明】
1,11,21…仮埋設物引抜用潤滑材、 2,12…基材、 3,13…ポリマーシート層、 14…非透水性層、 22…H鋼、 23…ソイルセメント、 24…地盤、 25…架台、 26…プラスチック製円筒、 27…クレーン、 28,32…紐、 29…人、 A…H鋼の挿入方向 30…滑車、 31…仮埋設物引抜用潤滑材の開口端、 33…ハンガー。
フロントページの続き (72)発明者 中村 智明 大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1 号 株式会社日本触媒 大阪本社内 (56)参考文献 特開 昭62−174418(JP,A) 特開 昭63−312421(JP,A) 特開 昭52−113004(JP,A) 特開 昭59−88537(JP,A) 特開 昭64−58715(JP,A) 実開 平6−63634(JP,U) 特公 平4−44045(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 9/02 C10M 107/28 C10M 107/42 C10M 107/46 C10N 40:00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水性ポリマーが基材に直接固着した吸
    水性ポリマーシート層を設けてなることを特徴とする仮
    埋設物引抜用潤滑材であって、 該吸水性ポリマーシートは基材上で重合により吸水性ポ
    リマーに転換し得る水溶性エチレン性不飽和モノマーを
    重合して得られたものである仮埋設物引抜用潤滑材
  2. 【請求項2】 吸水性ポリマーが基材に直接固着した吸
    水性ポリマーシート層を設けてなることを特徴とする仮
    埋設物引抜用潤滑材であって、 該吸水性ポリマーシートは基材上で架橋により吸水性ポ
    リマーに転換し得る水溶性ポリマーを架橋して得られた
    ものである仮埋設物引抜用潤滑材
  3. 【請求項3】 該基材が多孔質材である請求項1または
    2に記載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  4. 【請求項4】 該吸水性ポリマーと該基材との重量比
    が、該基材100重量部に対して該吸水性ポリマーが1
    0〜1000重量部の範囲である請求項1〜3のいずれ
    か一つに記載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  5. 【請求項5】 該多孔質材が繊維質基材またはスポンジ
    である請求項3に記載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  6. 【請求項6】 該仮埋設物引抜用潤滑材の厚さが10〜
    1000μmである請求項1〜5のいずれか一つに記載
    の仮埋設物引抜用潤滑材。
  7. 【請求項7】 該吸水性ポリマーが(メタ)アクリル
    酸、(メタ)アクリル酸塩、スルホン酸基含有(メタ)
    アクリル酸エステルおよびその塩、および2−(メタ)
    アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および
    その塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水溶性
    エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマーを重
    合させて得られるものである請求項1〜6のいずれか一
    つに記載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  8. 【請求項8】 該吸水性ポリマーがスルホン酸基を含有
    する水溶性エチレン性不飽和モノマーを含む水溶性エチ
    レン性不飽和モノマーを重合して得られるものである請
    求項7に記載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  9. 【請求項9】 該水溶性エチレン性不飽和モノマーが該
    モノマーに対して0.001〜10モル%の架橋剤を含
    有してなる請求項7または8に記載の仮埋設物引抜用潤
    滑材。
  10. 【請求項10】 該吸水性ポリマーシート層の片面に非
    透水性層を設けてなる請求項1〜9のいずれか一つに記
    載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  11. 【請求項11】 該非透水性層の厚さが1〜1000μ
    mである請求項10に記載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  12. 【請求項12】 該仮埋設物引抜用潤滑材が袋状ないし
    筒状物である請求項1〜11のいずれか一つに記載の仮
    埋設物引抜用潤滑材。
  13. 【請求項13】 該袋状ないし筒状の仮埋設物引抜用潤
    滑材の吸水性ポリマー層の内側に非透水性層を設けてな
    る請求項12に記載の仮埋設物引抜用潤滑材。
  14. 【請求項14】 該袋状ないし筒状物の開口端にハンガ
    ーが取付けられてなる請求項12または13に記載の仮
    埋設物引抜用潤滑材。
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