JP2007315171A - シート状可撓性材料 - Google Patents

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功一 岡本
Yoshihiko Masuda
善彦 増田
Hideyuki Tawara
秀行 田原
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Abstract

【課題】例えば、各種物品を被覆するのに好適なシート状可撓性材料を提供する。
【解決手段】 本発明に係るシート状可撓性材料は、シート状基材に、少なくとも水溶性樹脂と吸水材とを含む、該シート状基材からの脱落率が50%以下である樹脂層が形成されているものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート状可撓性材料に関するものである。
一般に、建築分野並びに土木分野の基礎工事において土留め擁壁等の構造体としての地盤基礎構造体を施工する際には、掘削孔に例えばH型鋼を緩挿した後、該H型鋼の周囲にセメントミルクや生コンクリート等の水硬性組成物を注入して硬化させること、若しくは、掘削孔に注入された水硬性組成物に例えばH型鋼を芯材として埋め込んだ(打ち込んだ)後、該水硬性組成物を硬化させることが行われている。H型鋼は、水硬性組成物の硬化が終了した後、後年に地下を再び開発する際の障害とならないように、該硬化物から引き抜かれて撤去されることが望まれている。
ところが、H型鋼と水硬性組成物の硬化物とは強固に接着しており、工事終了後にH型鋼を撤去するために、H型鋼を該硬化物から引き抜く作業には、付着強度(接着強度)に打ち勝つための相当な労力(引張力)が必要であるので設備や経費、日数等がかかる。
そこで、上記の引き抜き作業を容易に行うために、従来より、i)H型鋼の表面にワックスやグリース等の潤滑油を予め塗布する方法や、H型鋼の表面に吸水性樹脂を接着剤を用いて付着させる方法、或いは、ii) H型鋼の表面に潤滑材を貼着する方法、さらには、iii)H型鋼を被覆材で被覆する方法、等の各種方法が提案されている。
上記i)の方法として、例えば、特開昭64−58715号公報には、吸水性樹脂と、ポリエステル系樹脂やビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の展着剤とからなる芯材引き抜き用表面処理剤を用いることが提案されている。
また、例えば、特開昭63−165615号公報には、吸水性樹脂と、天然ゴムや合成ゴム、プラスチック等の揮発性膜形成樹脂とからなる水膨潤性膜を用いて、鋼材を引き抜く際の摩擦抵抗力を低減する方法が提案されている。
また、上記 ii)の方法として、例えば、特開平6−185054号公報には、超吸水性繊維からなるシート状の潤滑材を鋼材の表面に貼着することが提案されている。また、例えば、特開昭62−174418号公報には、吸水性樹脂とバインダーとからなる潤滑テープを用いて、鋼材を引き抜く際の摩擦抵抗力を低減する方法が提案されている。
また、上記iii)の方法として、例えば、特開平7−247549号公報には、吸水性樹脂を織布や不織布等の基材に直接的に固着させてなるポリマーシートからなる袋状の潤滑材で仮埋設物を被覆することによって、該仮埋設物を引き抜く際の摩擦抵抗力を低減する方法が提案されている。
特開昭64−58715号公報 特開昭63−165615号公報 特開平6−185054号公報 特開昭62−174418号公報 特開平7−247549号公報
しかしながら、特開昭64−58715号公報に記載の表面処理剤に含まれる展着剤、並びに、特開昭63−165615号公報に記載の水膨潤性膜に含まれる揮発性膜形成樹脂は、水硬性組成物に含まれるアルカリ性を呈する水(以下、セメント水と記す)に対する溶解性または膨潤性に乏しい。このため、該展着剤並びに揮発性膜形成樹脂は、吸水性樹脂が水を吸水して膨潤する際の体積膨張を阻害してしまう。上記従来の表面処理剤並びに水膨潤性膜は、このように展着剤並びに揮発性膜形成樹脂が吸水性樹脂の表面を覆ってしまい、該吸水性樹脂の体積膨張を阻害するので、該吸水性樹脂がその吸水特性(性能)を充分に発揮することができない。さらに、上記従来の表面処理剤並びに水膨潤性膜に含まれる吸水性樹脂は、セメント水に対する膨潤性に乏しい。その上、表面処理剤をH型鋼等の芯材(仮埋設物)に塗布することによって形成される塗膜、並びに水膨潤性膜は、柔軟性および靱性に劣っているので、作業現場の温度変化によって芯材から剥離したり、べとついたりし易い。また、作業現場において表面処理剤を塗布する場合には、表面処理剤を加熱、溶融、塗布するための労力や時間、場所等を確保する必要があるという欠点も有している。
また、特開平6−185054号公報に記載の潤滑材、並びに、特開昭62−174418号公報に記載の潤滑テープは、セメント水に対する超吸水性繊維や吸水性樹脂の吸水膨潤性が低く、従って、仮埋設物の引き抜き作業の改善性が不充分である。また、仮埋設物(鋼材)の表面は通常、錆や汚れ等が付着しているので、潤滑テープが貼着し難く、しかも、施工時におけるセメント水との接触や、不意の水ぬれ・降雨によっても吸水性樹脂が脱落し易い。このため、潤滑テープは、効果を発揮することができない。また、仮埋設物が野積みされている場合には、降雨等によって仮埋設物が濡れると潤滑テープを貼着することができなくなる等、施工上の制約が多い。一方、上記の潤滑材についても、それを貼着する仮埋設物(鋼材)の表面は通常、錆や汚れ等が付着しているので、潤滑材が貼着し難く、従って、上記と同様の問題点を招来することとなる。
さらに、上記従来の表面処理剤や水膨潤性膜、潤滑材、潤滑テープは、H型鋼等の芯材に直接的に固着している。それゆえ、これら表面処理剤等は、セメント水と片面側(表面側)だけでしか接触することができないので、吸水性樹脂や超吸水性繊維がその吸水特性(性能)を充分に発揮することができず、それゆえ、該芯材を水硬性組成物の硬化物から引き抜くことが困難となる。
従って、上記従来の表面処理剤や水膨潤性膜、潤滑材、潤滑テープは、満足する性能が得られず、H型鋼等の芯材を引き抜く作業を容易にする効果が乏しいという問題点を有している。
また、特開平7−247549号公報に記載の袋状の潤滑材は、吸水性樹脂を基材に直接的にかつ強固に固着させている。該潤滑材には、柔軟で繊維規制が弱く薄い基材が用いられている。これは、厚みが厚くて強度が高い基材を用いると、製品(潤滑材)の生産性が極端に低下するという理由により、また、繊維規制が強い基材を用いると、風合いが硬く、皺が生じ易くなるので製品(潤滑材)の品質が低下するという理由による。従って、強度が低い基材を用いた上記従来の袋状の潤滑材は、芯材を被覆するときや、注入された水硬性組成物に芯材を埋め込む(打ち込む)とき等にかかる外力によって破損するおそれがある。このため、芯材が水硬性組成物の硬化物に固着することを充分に防止することができない場合がある。
それゆえ、H型鋼等の芯材を引き抜く作業を容易にすることができる被覆材、つまり、芯材を施工する際における上記の各種問題点を招来することなく、該芯材を水硬性組成物の硬化物からより簡単にかつ確実に引き抜くことができる被覆材が求められている。尚、現状では、引き抜き性や施工性が不充分であり、引き抜き作業時に、予定以上に大型の引き抜き装置を急きょ搬入する必要性が生じる等の問題点は有るものの、代替技術が無いために、H型鋼等の芯材の表面に潤滑油を直接、塗布する方法、および、潤滑性を備えたポリ塩化ビニルシート等を用いて芯材を被覆する方法が、実施されているだけである。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、例えば、各種物品を被覆するのに好適なシート状可撓性材料を提供することにある。
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく、被覆材について鋭意検討した。その結果、シート状基材に、水溶性樹脂を含む樹脂層が形成されている被覆材、または、シート状基材と、水膨潤性樹脂等の吸水材と、該吸水材をシート状基材に付着させる接合剤とを含む被覆材を用いて仮埋設物を被覆することにより、例えば、仮埋設物と水硬性組成物の硬化物との接着を抑制することができ、仮埋設物を水硬性組成物の硬化物から引き抜く作業の作業性を改善することができることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明の発明のシート状可撓性材料は、上記の課題を解決するために、シート状基材に、少なくとも水溶性樹脂と吸水材とを含む、該シート状基材からの脱落率が50%以下である樹脂層が形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、例えば、各種物品を被覆するのに好適なシート状可撓性材料を提供することができる。
本発明のシート状可撓性材料は、以上のように、シート状基材に、少なくとも水溶性樹脂と吸水材とを含む、該シート状基材からの脱落率が50%以下である樹脂層が形成されている構成である。
上記の構成によれば、例えば、各種物品を被覆するのに好適なシート状可撓性材料を提供することができるという効果を奏する。
本発明にかかる被覆材によって被覆すべき仮埋設物は、使用後若しくは不用となったとき等に引き抜くことを前提として埋設される埋設物、または、引き抜くことが望ましい埋設物であればよく、特に限定されるものではないが、以下の説明においては、仮埋設物と水硬性組成物の硬化物とで少なくとも構成される構造体に使用される該仮埋設物を例に挙げることとする。即ち、以下の説明においては、該構造体に使用される仮埋設物を被覆する被覆材を例に挙げることとする。
上記の構造体としては、例えば、建築分野並びに土木分野の基礎工事における土留め擁壁や土台等の地盤基礎構造体が挙げられる。構造体を構成する水硬性組成物としては、例えば、ソイルセメント等の各種コンクリート、各種モルタル等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、一般に建築分野並びに土木分野の基礎工事において、土留め擁壁や土台等の地盤基礎構造体を施工する際に用いられる水硬性組成物であればよい。該水硬性組成物は硬化することによって硬化物となる。尚、水硬性組成物に含まれるセメントや混和材、混和剤、骨材、補強材等の種類や組み合わせ、即ち、水硬性組成物の組成は、特に限定されるものではない。
構造体を構成する仮埋設物としては、具体的には、例えば、H型鋼、I型鋼、鉄柱、コンクリート杭、ポール、筒状のパイル(中空パイル)、長尺板状の杭である鋼矢板(シートパイル)や波板等が挙げられるが、特に限定されるものではない。仮埋設物は、一般に建築分野並びに土木分野の基礎工事において、土留め擁壁や土台等の地盤基礎構造体を施工する際に用いられ、かつ、使用後に水硬性組成物の硬化物から引き抜く必要がある埋設物(芯材)、または、引き抜くことが望ましい埋設物であればよい。また、仮埋設物の形状、長さ、材質等は、特に限定されるものではない。
本発明にかかる被覆材(シート状可撓性材料)を構成するシート状基材は、地盤基礎構造体を施工する際にかかる種々の外力、例えば、仮埋設物や水硬性組成物の重量がかかることによって生じる引張力や剪断力;仮埋設物を埋設するときに生じる衝撃力や引張力、水硬性組成物との間の摩擦力;等に対して耐え得る強度、つまり、上記外力がかかっても破損しない強度を備えている材質からなっていればよく、特に限定されるものではない。
該シート状基材の材質としては、具体的には、例えば、割繊維不織布(例えばワリフ「商品名」等)、カーペット、フェルト、石綿布、石綿フェルト、ガラス繊維不織布、ガラス繊維強化プラスチック、ステッチボンド不織布、ニードルパンチ不織布、等の不織布類;フラットヤーンの繊維織物、綿織物、麻織物、帯状織物、帯ひも、ポリプロピレン等からなる合成樹脂織物、等の織物類;ポリエステル繊維と綿繊維とを混紡して得られる織物、等の混紡織物;ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ゴムフォーム等からなる素材の内部に、独立気泡および/または連続気泡が形成されてなる発泡体;ウレタンゴムやシリコーンゴム、フッ素ゴム、エーテルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ネオプレン(クロロプレンゴム)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、天然ゴム等からなるエラストマーシート、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン)、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等からなるプラスチックシート、皮革シートや木材シート、防水加工を施した紙シート、厚紙シート等の天然物シート、アルミニウムや鉄、銅、銀等からなる金属シート、ステンレス等からなる合金シート、ステンレス鋼繊維シート、セラミックファイバーシート、アルミニウムや鉄、銅、銀等からなる金属箔、ステンレス等からなる合金金属箔、等のシート類;ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン)、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等からなるネットまたはメッシュ、アルミニウムや鉄、銅、銀等からなるネットまたはメッシュ、ステンレス等の合金からなるネットまたはメッシュ、等のネット・メッシュ類;等が挙げられる。これら材質は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用(複合)してもよい。
上記例示の材質のうち、透水性や加工性により優れると共に、廉価であることから、割繊維不織布、ニードルパンチ不織布、フラットヤーンの繊維織物、綿織物、麻織物、帯状織物、合成樹脂織物、および、混紡織物が特に好ましい。
また、上記例示の材質のうち、透水性を備えていない材質、例えば、シート類等に対しては、必要に応じて、例えば切り目や孔等を形成してもよい。この場合、切り目や孔の形状、大きさ、個数、形成位置は、特に限定されるものではなく、上記外力がかかってもシート状基材が破損しない強度を維持することができる範囲内で以て、適宜設定することができる。
上記シート状基材の厚さは、材質に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、0.01mm〜10mmの範囲内がより好ましく、0.05mm〜8mmの範囲内がさらに好ましく、0.2mm〜5mmの範囲内が特に好ましい。シート状基材の厚さが10mmよりも厚いと、被覆材の柔軟性が低下するおそれがある。また、被覆材が嵩高くなるので、その取り扱い性や保管性が低下するおそれがある。シート状基材の厚さが0.01mmよりも薄いと、外力に耐え得る強度を維持することができないおそれがある。
尚、上記シート状基材の坪量は、材質や厚さに応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、10g/m〜10,000g/m の範囲内がより好ましく、20g/m 〜1,000g/mの範囲内がさらに好ましい。
シート状基材の引張強度は、特に限定されるものではないが、1kgf/2.5cm以上であることがより好ましく、10kgf/2.5cm以上であることがさらに好ましく、30kgf/2.5cm以上であることが特に好ましい。引張強度が1kgf/2.5cm以上であれば、シート状基材は、上記外力がかかっても破損しない強度を維持することができる。シート状基材の引張強度が1kgf/2.5cm未満であると、外力がかかったときに破れたり裂けたりし易くなる。
上記の引張強度は、幅2.5cm、長さ20cmの大きさに裁断した後、イオン交換水に30分間浸漬して充分に濡らした試験片(シート状基材)を用い、JIS L 1096(一般織物試験方法)の引張試験方法(引張強さ)に基づく低速伸長引張試験機を使用して、引張速度20mm/min、つかみ間隔10cmの条件で以て測定した。該試験機によって得た測定値(単位:kgf/2.5cm)が大きいほど、シート状基材の引張強度が大きいと判断できる。
上記シート状基材、つまり、被覆材は、仮埋設物を被覆することができる形状並びに大きさに形成されていればよいが、後段にて詳述するように、仮埋設物を挿入可能な袋状若しくは筒状に形成されていることがより好ましい。シート状基材(つまり、被覆材)を袋状若しくは筒状に形成することにより、大きくかつ重量物である仮埋設物をより一層簡単にかつ迅速に被覆することができるので、作業現場における作業性をより一層向上させることができる。
本発明にかかる被覆材に含まれる接合剤は、吸水材をシート状基材に付着させることができる物質であればよく、特に限定されるものではない。該接合剤としては、例えば、水溶性樹脂、水分散系樹脂(エマルション)、溶剤系樹脂、ホットメルト樹脂、粘着剤等が挙げられる。
上記の水溶性樹脂としては、具体的には、例えば、でんぷん質糊料、溶性でんぷん、変性でんぷん、デキストリン、メチルセルロース、部分メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルアルコール誘導体;ポリアクリル酸;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら水溶性樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記の水溶性樹脂は、水膨潤性樹脂等の吸水材と併用する場合においては、吸水材をシート状基材に付着させるバインダー(接合剤)としての機能を果たす一方、吸水材と併用しない場合においては、シート状基材表面に、樹脂層を形成する。
上記の水分散系樹脂としては、具体的には、例えば、天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステルの共重合体、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ブチルアクリレート共重合体等が挙げられるが、特に限定されるものではない。水分散系樹脂は、これらゴムや合成樹脂を、水に分散若しくは懸濁することによって得られる。これら水分散系樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
上記の溶剤系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられるが、特に限定されるものではない。溶剤系樹脂は、これら合成樹脂を、溶剤に溶解若しくは分散することによって得られる。これら溶剤系樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。また、該溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、ヘキサン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら溶剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
上記のホットメルト樹脂としては、具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、アタクチックポリプロピレン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらホットメルト樹脂は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
上記の粘着剤としては、具体的には、例えば、アクリル系粘着剤、ポリイソブチレン粘着剤、SBR粘着剤、ブチルゴム粘着剤等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら粘着剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
そして、上記例示の接合剤のうち、水溶性樹脂が、水に溶解するので、吸水材が水を吸水して膨潤する際の体積膨張を阻害するおそれが無く、より好ましい。また、上記水溶性樹脂の中でも、ポリビニルアルコールが、吸水材(後述する)等のシート状基材からの脱落を防止する性能により一層優れており、より具体的には、下記脱落率を50%以下に抑えることができるため、特に好ましい。
本発明において、上記シート状基材からの脱落率は、下記方法によって算出される値である。即ち、脱落率(%)とは、本発明にかかる被覆材の、イオン交換水に浸漬する前と、5分間浸漬した後(乾燥させた後)との重量変化から、上記シート状基材から脱落したポリマー(接合剤および吸水材を合わせたもの)量を測定し、脱落したポリマー量(g)をイオン交換水に浸漬する前にシート状基材に付着していた全ポリマー量(g)で除して算出される値である。つまり、
脱落率(%)=
〔(浸漬する前の被覆材の重量(g) −浸漬した後の被覆材の重量(g) )
/(浸漬する前の被覆材の重量(g) −シート状基材の重量(g) 〕×100
で示される値である。
尚、全ポリマー量(g)が不明な場合の測定は、上記接合剤が水溶性樹脂のときには、付着ポリマーがほぼ脱落するまで40℃の0.4重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し(例えば24時間浸漬)、乾燥して、浸漬前後での重量変化を全ポリマー量(g)とすればよい。また、上記接合剤が疎水性樹脂のときには、その樹脂を溶解できる有機溶剤に浸漬し上記同様にその重量変化を全ポリマー量(g)とすればよい。
水硬性組成物が注入された堀削孔中に仮埋設物を打ち込む(打設施工)場合、被覆材にも摩擦力がかかる。この打ち込みがスムーズに行われれば短時間(1分)程度で終了するため特に問題は生じないが、仮埋設物が長尺であるときは打ち込み時間が長くなることと、水硬性組成物を含んだ泥水の圧力が深部で大きくなりその摩擦力を増大させるため、シート状基材に付着している接合剤または吸水材が脱落し易くなり引き抜き性を極端に低下させることがある。また、同様に再投入などにより打ち込み時間が長くなるときも脱落し易くなり引き抜き性を低下させることがある。従って、上記脱落率は50%以下が好ましく、より好ましくは30%以下である。脱落率が50%を超えると上記のように仮埋設物の引き抜き性が低下する場合がある。
また、上記被覆材またはシート状可撓性材料に柔軟性を持たせ、取り扱い性を向上させるために、上記水溶性樹脂または接合剤に多価アルコールなどの可塑剤を含ませることがさらに望ましい。
本発明にかかる吸水材、つまり、上記接合剤によってシート状基材に付着される吸水材は、水を吸水することができる材質からなっていればよく、特に限定されるものではないが、水膨潤性樹脂、水膨潤性樹脂を付着させた織布や不織布等の吸水シート、吸水性繊維、自重の2倍以上の水を吸水・保持することができるスポンジやフェルト等の多孔質体、等が好適である。上記例示の吸水材のうち、水膨潤性樹脂が特に好ましい。
上記の水膨潤性樹脂は、水を吸水することによって膨潤し、かつ、自重に対するイオン交換水の吸水倍率が3倍以上の樹脂であればよく、特に限定されるものではないが、該吸水倍率が10倍以上の樹脂がより好ましい。該水膨潤性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリオキシアルキレン基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド架橋体、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)との反応生成物、架橋ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビニルアルコール−アクリル酸グラフト共重合体、ポリイソブチレンマレイン酸(塩)架橋重合体等が挙げられる。これら水膨潤性樹脂は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。さらに、水膨潤性樹脂が備える各種性質(吸水倍率等)を阻害しない程度に、他の樹脂を水膨潤性樹脂と併用することもできる。
上記例示の水膨潤性樹脂のうち、ノニオン性基および/またはスルホン酸(塩)基を有する水膨潤性樹脂がより好ましく、アミド基またはヒドロキシアルキル基を有する水膨潤性樹脂がさらに好ましい。該水膨潤性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体等が挙げられる。さらに、上記例示の水膨潤性樹脂のうち、ポリオキシアルキレン基を有する水膨潤性樹脂が特に好ましい。該水膨潤性樹脂としては、例えば、メトキシポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体等が挙げられる。メトキシポリオキシアルキレン基を有する水膨潤性樹脂は、長期間にわたって、アルカリ性を呈する水に対する膨潤性に特に優れている。従って、該水膨潤性樹脂を用いることにより、仮埋設物を引き抜く作業を極めて容易に行うことができる。
尚、上記「アルカリ性を呈する水」(以下、アルカリ水と記す)とは、例えばコンクリートやモルタル等の水硬性組成物に含まれるコンクリート水等の水を示すものとする。また、アルカリ水のpHは、特に規定されるものではない。
さらに、本発明にかかる水膨潤性樹脂として、水溶性を有するエチレン性不飽和単量体と、必要に応じて架橋剤とを含む単量体成分を重合することによって得られる樹脂を用いることができる。エチレン性不飽和単量体を(共)重合してなる水膨潤性樹脂は、水に対する膨潤性により優れており、かつ、一般的に安価である。従って、該水膨潤性樹脂を用いることにより、仮埋設物を引き抜く作業を極めて容易に、かつ、より一層経済的に行うことができる。尚、上記の架橋剤は、特に限定されるものではない。また、直鎖状の高分子に、架橋剤を添加して架橋することにより、或いは、電子線を照射して架橋することにより、水膨潤性樹脂を形成することもできる。
上記のエチレン性不飽和単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、並びに、これら単量体のアルカリ金属塩やアンモニウム塩;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、並びに、その四級化物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、並びに、これら単量体の誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルスクシンイミド等のN−ビニル単量体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド等のN−ビニルアミド単量体;ビニルメチルエーテル;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらエチレン性不飽和単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
上記例示のエチレン性不飽和単量体のうち、ノニオン性基および/またはスルホン酸(塩)基を有するエチレン性不飽和単量体がより好ましい。該単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、ポリオキシアルキレン基を有するエチレン性不飽和単量体が特に好ましい。そして、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含む単量体成分を重合して得られる水膨潤性樹脂は、アルカリ水に対する膨潤性に特に優れている。従って、該水膨潤性樹脂を用いることにより、仮埋設物を引き抜く作業を極めて容易に行うことができる。
さらに、単量体成分としてエチレン性不飽和単量体を二種類以上併用する場合においては、該単量体成分に占める、ノニオン性基および/またはスルホン酸(塩)基を有するエチレン性不飽和単量体の割合を1重量%以上にすることがより好ましく、10重量%以上にすることがさらに好ましい。上記の割合が1重量%未満である場合には、該単量体成分を重合して得られる水膨潤性樹脂を用いても、仮埋設物を引き抜く作業の作業性をさらに向上させることができなくなるおそれがある。
単量体成分としてエチレン性不飽和単量体を二種類以上併用する場合における、より好ましい組み合わせとしては、例えば、アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩とアクリルアミドとの組み合わせ、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩とメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの組み合わせ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記の単量体成分を重合することにより、水膨潤性樹脂が得られる。単量体成分の重合方法、つまり、水膨潤性樹脂の製造方法は、特に限定されるものではない。また、水膨潤性樹脂の平均分子量や形状、平均粒子径等は、水硬性組成物の組成やアルカリ水のpH、シート状基材との組み合わせ、作業環境等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、平均粒子径が2,000μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは150μm以下である水膨潤性樹脂を用いることがより望ましい。該平均粒子径の水膨潤性樹脂を用いることにより、例えば樹脂溶液(後述する)における水膨潤性樹脂の分散性または混合性が良好となるので、その取り扱い性がより一層向上すると共に、シート状基材表面に、接合剤で付着された水膨潤性樹脂層を容易に形成することができる。さらに、単位面積当たりのシート状基材に付着される水膨潤性樹脂の量を、均一な状態で、より多くすることができる。
本発明にかかる被覆材においては、シート状基材に吸水材が接合剤を介して付着されているので、シート状基材と水硬性組成物の硬化物との間に、水を吸水して膨潤した吸水材の層が形成される。つまり、仮埋設物と水硬性組成物の硬化物との間に、膨潤した吸水材の層を形成することができるので、両者の接着をより一層抑制することができる。これにより、仮埋設物を水硬性組成物の硬化物から引き抜く際には、膨潤した吸水材が潤滑効果を発揮することによって、該仮埋設物が滑り易くなる。従って、仮埋設物を水硬性組成物の硬化物から引き抜く作業における労力(引張力)をより一層低減することができるので、該作業の作業性を向上させることができる。さらに、吸水材を乾燥させることにより、仮埋設物と水硬性組成物の硬化物との間に隙間を形成することができるので、上記作業の作業性をさらに一層向上させることができる。
そして、例えば、接合剤として水溶性樹脂を用いると共に、吸水材として水膨潤性樹脂を用いる場合における両者の割合、即ち、シート状基材に付着させるべき水溶性樹脂と水膨潤性樹脂との割合は、両者の組成や組み合わせ、作業環境等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、重量比で1/99〜99/1の範囲内がより好ましく、10/90〜90/10の範囲内がさらに好ましく、25/75〜75/25の範囲内が特に好ましい。
また、シート状基材の単位面積当たりに対する水溶性樹脂および水膨潤性樹脂の付着量は、両者の組成や組み合わせ、作業環境等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、1g/m〜10,000g/m の範囲内がより好ましく、10g/m 〜5,000g/m の範囲内がさらに好ましく、20g/m〜1,000g/m の範囲内が特に好ましい。尚、シート状基材100重量部に対する水溶性樹脂および水膨潤性樹脂の割合は、1重量部〜10,000重量部の範囲内がより好ましく、10重量部〜1,000重量部の範囲内がさらに好ましく、20重量部〜500重量部の範囲内が特に好ましい。
尚、水溶性樹脂以外の接合剤を用いる場合における該接合剤と水膨潤性樹脂との割合、或いは、シート状基材の単位面積当たりに対する接合剤および水膨潤性樹脂の付着量は、両者の組成や組み合わせ、作業環境等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
シート状基材表面に接合剤を介して吸水材を付着させる方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、接合剤および水膨潤性樹脂を有機溶剤や水等の分散媒に分散してなる分散液をシート状基材表面に、噴霧(スプレー)する方法;上記分散液を刷毛塗り、またはローラを用いて塗布する方法;シート状基材に上記分散液を含浸させる方法;等を採用すればよい。或いは、接合剤を含む溶液または分散液をシート状基材表面に噴霧または塗布した後、該表面に水膨潤性樹脂を均一に撒布し、さらにこの上に該溶液または分散液を噴霧または塗布する方法;等を採用することもできる。シート状基材に塗布された該分散液等は、必要に応じて乾燥させればよい。これにより、シート状基材表面(外面および/または内面)に接合剤を介して水膨潤性樹脂が付着される。つまり、水膨潤性樹脂の層が形成される。尚、シート状基材表面に、水溶性樹脂を含む樹脂層を形成する場合には、上記方法において水膨潤性樹脂を分散する工程や、水膨潤性樹脂を撒布する工程を省略すればよい。また、水膨潤性樹脂以外の吸水材を用いる場合においては、上記方法に準じた方法を採用すればよい。
接合剤と水膨潤性樹脂とを含む溶液または分散液の調製方法は、特に限定されるものではない。また、上記有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の、多価アルコールおよびその誘導体;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。水膨潤性樹脂を含む層の膜厚は、10μm程度あれば充分であるが、水膨潤性樹脂の粒子径等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
そして、シート状基材、即ち、被覆材においては、仮埋設物を被覆した状態において外側となる面に、上記水膨潤性樹脂等の吸水材の層、若しくは、水溶性樹脂を含む樹脂層が形成されていることがより好ましい。これにより、仮埋設物を引き抜く作業をより一層容易に行うことができると共に、例えばアルカリ水に溶解した水溶性樹脂が仮埋設物に付着することが少ないので、引き抜いた仮埋設物の表面を綺麗な状態に保つことができ、再利用(リサイクル)が容易となる。
さらに、接合剤として水溶性樹脂を用いる場合においては、雨等によって該水溶性樹脂が溶解することを防止するために、必要に応じて、水溶性樹脂を含む層(樹脂層)の表面に、耐水性付与剤からなる耐水性被膜を形成(トップコート)することができる。
上記の耐水性付与剤としては、例えば、ワックス等の従来公知の撥水剤、および、アルカリ性の液に接して溶解するアルカリ可溶性樹脂等が挙げられるが、水溶性樹脂や吸水材との組み合わせ等を考慮して選定すればよく、特に限定されるものではない。また、耐水性被膜を形成する方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、耐水性付与剤を有機溶剤や水等の分散媒に分散してなる分散液を樹脂層表面に、噴霧(スプレー)する方法;分散液を刷毛塗り、またはローラを用いて塗布する方法;耐水性付与剤の溶融液を噴霧または塗布する方法;等を採用すればよい。樹脂層表面に塗布された該分散液等は、必要に応じて乾燥させればよい。これにより、樹脂層表面に耐水性被膜が形成される。耐水性被膜の膜厚は、50μm程度あれば充分であるが、特に限定されるものではない。尚、例えば膜厚が50μmの耐水性被膜を形成する場合における耐水性付与剤の塗布量は、50g/m程度とすればよいが、特に限定されるものではない。
水溶性樹脂を含む樹脂層表面に耐水性被膜を形成することにより、雨等がかかっても該水溶性樹脂が溶解することを防止することができる。従って、作業中の降雨等に対しても性能を損なうことがない。また、構造体を施工する際においては、作業現場で仮埋設物を被覆材で被覆することができるが、例えば、仮埋設物を被覆材で予め被覆しておき、該被覆された仮埋設物を作業現場に野積みすることもできる。従って、仮埋設物を防水シートで被覆したり、屋内の資材置場等に保管したりする必要がなくなるので、仮埋設物を簡便かつ安価に保管することができる。つまり、作業現場の状況に応じて、適宜、作業の簡便化、合理化を図ることができるので、構造体を迅速に施工することができる。
仮埋設物を被覆材で被覆した状態において、仮埋設物と被覆材とは、互いに接触はしているが固着はしていない。つまり、本発明にかかる被覆材は、非接着(非固着)の被覆材である。従って、仮埋設物と被覆材との間には、アルカリ水が滲入することができる空隙が形成され、それゆえ、水膨潤性樹脂の吸水膨潤性がさらに向上し、両者の接着をより一層抑制することができる。そして、膨潤した水膨潤性樹脂による潤滑効果との相乗効果によって、仮埋設物を引き抜く作業を極めて容易に行うことができる。
また、仮埋設物を被覆材で被覆する際には、一つの仮埋設物に対して一つの被覆材を用いることが望ましいが、必要に応じて、一つの仮埋設物に対して二つ以上の被覆材を用いることもできる。従って、仮埋設物を被覆材で被覆する方法として、例えば仮埋設物をシート状に形成された二枚の被覆材で挟み込む方法、等を採用することもできる。尚、本発明において「被覆」とは、必ずしも被覆材で仮埋設物が見えなくなるように覆い隠すことではなく、仮埋設物を水硬性組成物の硬化物から容易に引き抜くことができる程度に、つまり、両者の接着を抑制することができる程度に、仮埋設物を被覆材で覆うことを示している。
仮埋設物を被覆材で被覆する方法としては、具体的には、例えば、袋状若しくは筒状に形成された被覆材を仮埋設物に被せる方法、仮埋設物を袋状若しくは筒状に形成された被覆材に挿入する方法、仮埋設物をシート状に形成された被覆材で包み込む方法、等を採用することができるが、特に限定されるものではない。
また、仮埋設物を被覆材で被覆する際には、固定治具を用いて被覆材を仮埋設物に固定しておくことがより好ましい。これにより、仮埋設物をその形状に沿って被覆材で被覆することが可能になり、仮埋設物と水硬性組成物との接触をより効果的に抑制できると共に、仮埋設物を水硬性組成物に打ち込む際の打ち込み精度の向上を図ることができる。
尚、被覆材を袋状若しくは筒状に形成する方法としては、具体的には、例えば、接着剤を用いて接着する方法、ヒートシールによって融着させる方法、縫い合わせる方法、針金や紐等で縛る方法、等の種々の方法を採用することができるが、特に限定されるものではない。また、被覆材の荷姿は、特に限定されるものではないが、ロール状(図1)に巻き取られた状態、または、蛇腹状に折り畳まれた状態が、取り扱い性および作業性の観点から、より好ましい。
仮埋設物を被覆材で被覆する時期は、特に限定されるものではなく、作業現場に仮埋設物を運び込むまでの間の適当な時期であってもよく、作業現場で仮埋設物を保管している間の適当な時期であってもよく、仮埋設物を埋設する作業にかかるまでの間の適当な時期であってもよい。つまり、仮埋設物は、埋設される時点で、被覆材で被覆されていればよい。また、袋状若しくは筒状に形成された被覆材を用いる場合においては、該被覆材は、埋設される時点で、これら形状に形成されていればよい。
仮埋設物を被覆材で被覆する方法としては、より具体的には、例えば、図1(a)に示すように、クレーン6を用いて仮埋設物2を吊り上げると共に、該クレーン6の先端部に設けられた滑車5に通した紐3を被覆材1に取り付け、次いで、袋状若しくは筒状に形成された被覆材1を、例えば作業員4が紐3を引っ張ることにより、下方から履かせるようにして仮埋設物2に挿入した後、同図(b)に示すように、作業員4が紐3をさらに引っ張ることにより、該被覆材1を引き上げて装着し固定する方法;
筒状に形成された被覆材を上方から被せるようにして仮埋設物に挿入し上端部を固定した後、クレーンを用いて仮埋設物を吊り上げ、次いで、被覆材の下端部に取り付けられた紐を例えば作業員が引っ張ることにより、該被覆材を引き下げて装着する方法;
袋状若しくは筒状に形成された被覆材を地面等に載置した後、該被覆材に仮埋設物を挿入し、次いで、被覆材を引き上げて装着し固定する方法;仮埋設物を地面等に載置した後、該仮埋設物に袋状若しくは筒状に形成された被覆材を挿入し、次いで、仮埋設物を吊り上げると共に被覆材を引き上げて装着し固定する方法;
図2(a)に示すように、シート状に形成された被覆材10の上に仮埋設物2をクレーン6等を用いて載置した後、同図(b)・(c)に示すように、該被覆材10で仮埋設物2を包み込み、次いで、同図(d)に示すように、被覆材10を固定治具11…を用いて固定する方法;
蛇腹状に折り畳んだ被覆材の間に仮埋設物を挟み込んで固定する方法;
仮埋設物の上部および下部に被覆材の両端部を固定する方法;
仮埋設物の上部および下部に被覆材の両端部を固定すると共に、該被覆材の中央部を針金(番線)や紐、ベルト、ガムテープ等を用いて固定する方法;
仮埋設物の上部に被覆材の一部分を固定し、該被覆材の残りの部分を仮埋設物に沿って垂らす方法;
等を採用することができるが、特に限定されるものではない。
上記例示の方法のうち、袋状若しくは筒状に形成された被覆材を、下方から履かせるようにして仮埋設物に挿入して装着する方法、並びに、仮埋設物をシート状に形成された被覆材で包み込む方法が、被覆作業の作業性に優れているので、より好ましい。尚、被覆材を仮埋設物に固定する方法は、特に限定されるものではない。また、上記固定治具11としては、具体的には、例えば、洗濯挟み、クリップ、ゴムホースまたは断熱発泡体等のチューブ類を縦割にして形成したキャップ等のバインダー、針金(番線)、紐、ベルト、ガムテープ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
以上のように、仮埋設物を被覆材で被覆することにより、仮埋設物と水硬性組成物とが接触することを抑制し、両者を分離することができるので、仮埋設物を水硬性組成物の硬化物から引き抜く際の摩擦抵抗力を低減することができる。従って、該仮埋設物を容易に引き抜くことができるようになる。回収した仮埋設物は、そのまま再利用することができる。尚、被覆材は、仮埋設物が引き抜かれた後も構造体に残ることになるが、例えば被覆材が仮埋設物に固定されている場合には、仮埋設物と共に引き抜かれる場合もある。
また、上記の説明においては、仮埋設物と水硬性組成物の硬化物とで少なくとも構成される構造体に使用される仮埋設物を被覆する被覆材を例に挙げたが、本発明にかかる被覆材は、土壌に埋設される仮埋設物に対しても適用することができる。これにより、仮埋設物を土壌から引き抜く際の摩擦抵抗力を低減することができ、該仮埋設物を容易に引き抜くことができるようになる。
また、本発明の被覆材は、仮埋設物を被覆した状態において外側となる面に、上記樹脂層が形成されている構成を採用することもできる。上記の構成によれば、仮埋設物を引き抜く作業をより一層容易に行うことができると共に、水に溶解した水溶性樹脂が仮埋設物に付着することがないので、引き抜いた仮埋設物の表面を綺麗な状態に保つことができ、再利用(リサイクル)が容易となる。
本発明の被覆材は、さらに、上記接合剤が水溶性樹脂である構成を採用することもできる。上記の構成によれば、例えば、仮埋設物を水硬性組成物の硬化物から引き抜くべく、上記仮埋設物を被覆材で被覆した場合には、水硬性組成物に含まれる水に水溶性樹脂が溶解するので、吸水材が水を吸水して膨潤する際の体積膨張を阻害するおそれが無い。従って、吸水材は、その吸水特性(性能)を充分に発揮することができる。これにより、仮埋設物を水硬性組成物の硬化物から引き抜く作業における労力(引張力)をより一層低減することができるので、該作業の作業性を向上させることができる。
本発明の被覆材は、さらに、上記吸水材が水膨潤性樹脂である構成を採用することもできる。上記の構成によれば、膨潤した水膨潤性樹脂が潤滑効果を発揮することによって、仮埋設物がより一層滑り易くなる。従って、仮埋設物を引き抜く作業の作業性をさらに向上させることができる。
本発明の被覆材は、さらに、上記水膨潤性樹脂の平均粒子径が2,000μm以下である構成を採用することもできる。上記の構成によれば、水溶性樹脂等の接合剤と水膨潤性樹脂との混合性がより良好となると共に、シート状基材の単位面積当たりに対する水膨潤性樹脂の付着量を、平均粒子径が2,000μmを越えている場合と比較して、多くすることができ、樹脂層をより一層形成し易くなる。従って、仮埋設物の引き抜き性と、引き抜く作業の作業性をさらに向上させることができる。
本発明の被覆材は、さらに、仮埋設物を被覆した状態において外側となる面に、上記吸水材が付着している構成を採用することもできる。上記の構成によれば、仮埋設物を引き抜く作業をより一層容易に行うことができると共に、吸水材や接合剤が仮埋設物に付着することがないので、引き抜いた仮埋設物の表面を綺麗な状態に保つことができ、再利用(リサイクル)が容易となる。
本発明の被覆材は、さらに、上記シート状基材の引張強度が、1kgf/2.5cm以上である構成を採用することもできる。上記の構成によれば、例えば仮埋設物を埋設するときに生じる衝撃力や引張力等の外力がかかっても破損しない強度を備えた被覆材を提供することができる。
本発明の被覆材は、さらに、仮埋設物を挿入可能な袋状若しくは筒状に形成されている構成を採用することもできる。上記の構成によれば、仮埋設物をより一層簡単にかつ迅速に被覆することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
アクリル酸ナトリウムとアクリル酸とを所定の条件下で架橋共重合させることにより水膨潤性樹脂を製造した。該水膨潤性樹脂の平均粒子径は100μmであった。
そして、A4版の大きさに裁断した織布(シート状基材、ポリエステル:綿/50:50(重量比)、坪量200g、厚さ0.5mm)の表面(片面)に、固形分として1.25gのでんぷんのり(6重量%水溶液、水溶性樹脂)を均一にスプレー撒布した。その上に、5.0gの該水膨潤性樹脂を均一に撒布し、さらにこの上に、固形分として1.25gのでんぷんのりを均一にスプレー撒布した。次いで、水膨潤性樹脂が付着された該織布を、乾燥機を用いて120℃で15分間乾燥させた。つまり、織布の片面に水膨潤性樹脂とでんぷんとを含む層を形成した。該織布には、でんぷんが40g/m、水膨潤性樹脂が80g/m の割合で付着していた。また、該織布の引張強度は、30kgf/25cmと極めて高い値を示した。
次に、水膨潤性樹脂とでんぷんとを含む層が形成された該織布、即ち、本発明にかかる被覆材を、上記層が外側になるようにして縫い合わせて、幅80mm×高さ140mmの袋体を形成した。この袋体に、仮埋設物としての、幅70mm×高さ150mm×厚さ0.8mmの鉄板(日本テストパネル大阪製)を挿入した。
一方、水とセメントと粘土とベントナイトとを、重量比25:12:16:0.6で混合することにより、ソイルセメントミルク(水硬性組成物)を調製した。そして、上記の袋体を、容器に入れたソイルセメントミルクに埋め込んだ。つまり、被覆材で被覆された鉄板をソイルセメントミルクに打ち込んだ後、該ソイルセメントミルクを硬化させた。
鉄板を打ち込んでから3日間経過後、該鉄板をソイルセメントミルクの硬化物から、引張試験機を用いて引き抜いた。該引き抜き作業に要した引き抜き荷重は0.9kgfであり、鉄板はソイルセメントミルクの硬化物から極めて容易に引き抜くことができた。
〔比較例1〕
実施例1の操作と同様の操作を行って被覆材を作成した。次いで、この被覆材を、幅70mm×高さ150mm×厚さ0.8mmの鉄板の両面に、接着剤を用いて貼着した。つまり、被覆材を鉄板の両面に直接的に固着した。
次に、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、上記の鉄板をソイルセメントミルクに埋め込んだ。つまり、被覆材が固着された比較用の鉄板をソイルセメントミルクに打ち込んだ後、該鉄板をソイルセメントミルクの硬化物から引き抜いた。該引き抜き作業に要した引き抜き荷重は5.0kgfであり、鉄板はソイルセメントミルクの硬化物から容易に引き抜くことができなかった。
〔実施例2〕
水溶性樹脂の代わりに、合成ゴム系接合剤(住友スリーエム株式会社製;商品名「3M スプレーのり99」)を用いて、被覆材を製造した。該接合剤の成分は、スチレンブタジエンゴム等の合成ゴム10重量%、n−ペンタンやアセトン、トルエン等の有機溶剤40重量%、LPGやジメチルエーテル等のガス(スプレー用)50重量%である。
先ず、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとを所定の条件下で架橋共重合させることにより水膨潤性樹脂を製造した。該水膨潤性樹脂の平均粒子径は200μmであった。
そして、A4版の大きさに裁断した不織布の表面(片面)に、合成ゴム(固形分)の付着量が0.5gとなるように該接合剤を均一にスプレー撒布した。その上に、2.5gの該水膨潤性樹脂を均一に撒布し、さらにこの上に、合成ゴムの付着量が1.5gとなるように該接合剤を均一にスプレー撒布した。そして、該不織布の裏面にも、上記操作と同様の操作を行って、水膨潤性樹脂を合成ゴムにて付着させた。次いで、水膨潤性樹脂が付着された該不織布を、乾燥機を用いて100℃で5分間乾燥させた。該不織布には、合成ゴムが64g/m、水膨潤性樹脂が80g/m の割合で付着していた。
次に、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、袋状の被覆材で被覆された鉄板をソイルセメントミルクに打ち込んだ後、該鉄板をソイルセメントミルクの硬化物から引き抜いた。該引き抜き作業に要した引き抜き荷重は3.0kgfであり、鉄板はソイルセメントミルクの硬化物から容易に引き抜くことができた。
〔比較例2〕
実施例2で用いた合成ゴム系接合剤を、幅70mm×高さ150mm×厚さ0.8mmの鉄板の片面に、その付着量が0.5gとなるように均一にスプレー撒布した。その上に、実施例2で製造した水膨潤性樹脂2.5gを均一に撒布し、さらにこの上に、合成ゴムの付着量が1.5gとなるように該接合剤を均一にスプレー撒布した。そして、該鉄板の裏面にも、上記操作と同様の操作を行って、水膨潤性樹脂を合成ゴムにて付着させた。次いで、該鉄板を乾燥機を用いて100℃で5分間乾燥させた。鉄板には、合成ゴムが64g/m、水膨潤性樹脂が80g/m の割合で付着していた。
次に、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、本発明にかかる袋状の被覆材で被覆されていない鉄板をソイルセメントミルクに打ち込んだ後、該鉄板をソイルセメントミルクの硬化物から引き抜いた。該引き抜き作業に要した引き抜き荷重は7.0kgfであり、上記実施例2の結果と比較して引き抜き荷重が大きく、鉄板はソイルセメントミルクの硬化物から容易に引き抜くことができなかった。
〔実施例3〕
A4版の大きさに裁断した織布(シート状基材、ポリエステル:綿/65:35(重量比)、坪量150g、厚さ0.4mm)の表面(片面)に、固形分として1.25gの88%けん化ポリビニルアルコール(商品名 クラレポバールPVA−217、水溶性樹脂)が付着するように、該ポリビニルアルコールの水溶液を均一にスプレー撒布した。
その上に、アクリル酸ナトリウム塩とアクリル酸とを所定の条件下で架橋共重合させることにより製造した水膨潤性樹脂(平均粒子径100μm)5.0gを均一に撒布し、さらにこの上に、固形分として1.25gの88%けん化ポリビニルアルコールが付着するように、該ポリビニルアルコールの水溶液を均一にスプレー撒布した。次いで、水膨潤性樹脂が付着された該織布を、乾燥機を用いて120℃で40分間乾燥させた。つまり、織布の片面に水膨潤性樹脂とポリビニルアルコールとを含む層を形成した。該織布には、88%けん化ポリビニルアルコールが40g/m、水膨潤性樹脂が80g/m の割合で付着していた。また、該織布の引張強度は、52kgf/2.5cmと極めて高い値を示した。
次に、水膨潤性樹脂と88%けん化ポリビニルアルコールとを含む層が形成された該織布、即ち、本発明にかかる被覆材を、上記層が外側になるようにして縫い合わせて、幅80mm×高さ140mmの袋体を形成した。この袋体に、仮埋設物としての、幅70mm×高さ150mm×厚さ0.8mmの鉄板(日本テストパネル大阪製)を挿入した。
次に、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、袋状の被覆材で被覆された鉄板をソイルセメントミルクに打ち込んだ後、該鉄板をソイルセメントミルクの硬化物から引き抜いた。該引き抜き作業に要した引き抜き荷重は0.7kgfであり、鉄板はソイルセメントミルクの硬化物から容易に引き抜くことができた。
〔実施例4〕
本発明にかかる被覆材のポリマーの脱落率試験、即ち、織布に付着しているポリマーの脱落率試験を行った。先ず、実施例3に記載の被覆材の材料および作成方法に基づき、下記に示す三種類の試料を、脱落率試験用の試料として用意した。尚、本実施例におけるポリマーとは、水溶性樹脂(接合剤)および水膨潤性樹脂(吸水材)を合わせたものを示す。
ア.88%けん化ポリビニルアルコールの付着量を80g/m (片面)とした以外は、実施例3と同様の操作を行って、試料(1)を作製した。
イ.88%けん化ポリビニルアルコールの代わりに完全けん化ポリビニルアルコールを用い、その付着量を80g/m(片面)とした以外は、実施例3と同様の操作を行って、試料(2)を作製した。
ウ.88%けん化ポリビニルアルコールの代わりにでんぷんのりを用い、その付着量を80g/m(片面)とした以外は、実施例3と同様の操作を行って、試料(3)を作製した。
そして、イオン交換水が注入された100mlの容器内に、縦5cm×横5cmに裁断した上記三種類の試料(1)(3)を入れて5分間浸漬した後、これら試料(1)(3)をイオン交換水より引き上げ、余分な水を除去した後に乾燥した。
次に、イオン交換水に浸漬する前と浸漬した後(乾燥させた後)との試料の重量変化から、織布から脱落したポリマー量を測定し、脱落したポリマー量(g)をイオン交換水に浸漬する前に織布に付着していた全ポリマー量(g)で除して、脱落率(%)を算出した。つまり、
脱落率(%)=
〔(浸漬する前の試料の重量(g) −浸漬した後の試料の重量(g) )
/(浸漬する前の試料の重量(g) −織布の重量(g) 〕×100
で示される脱落率(%)を算出した。
その結果、試料(1)(3)の脱落率は、この順に28.5%、11.6%、70.9%であった。従って、水溶性樹脂(接合剤)の中でも、ポリビニルアルコールが、施工前或いは施工中における、水膨潤性樹脂(吸水材)の織布(シート状基材)からの脱落を防止する性能に、より一層優れていることが判った。
本発明によれば、各種物品を被覆するのに好適なシート状可撓性材料を提供することができる。
(a)、(b)共に、本発明の実施の一形態にかかる被覆材を用いて仮埋設物を被覆する手順を示す概略の斜視図である。 (a)〜(d)共に、本発明の実施の他の形態にかかる被覆材を用いて仮埋設物を被覆する手順を示す概略の斜視図である。
符号の説明
1 被覆材
2 仮埋設物
10 被覆材

Claims (1)

  1. シート状基材に、少なくとも水溶性樹脂と吸水材とを含む、該シート状基材からの脱落率が50%以下である樹脂層が形成されていることを特徴とするシート状可撓性材料。
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