JP2022135486A - 支柱の立設構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】支柱の現地調達をし易くして、土砂災害の対策工を段階的に行える複合捕捉施設の構築方法を提供すること。【解決手段】杭孔50に建て込む埋設部の周囲を絶縁被覆40で被覆た支柱20を使用し、絶縁被覆40で絶縁した状態で支柱20の埋設部を固結材51で支持し、使用目的を完了した支柱20を抜き取り、抜き取った支柱20を転用して別途の仮設用透過型捕捉構造物を構築し、仮設用透過型捕捉構造物で防護した環境下で下流側に本設用透過型捕捉構造物を構築する。【選択図】図1

Description

本発明は土石流、流木等の土砂捕捉工、河川における流木の捕捉工、斜面落石防止工、雪崩防止工、崩落土砂防止工等に利用可能な透過型捕捉技術に関し、特に抜き取り可能な仮設用の支柱の立設構造、及び仮設用の支柱を転用して構築した仮設用透過型捕捉構造物と本設用透過型捕捉構造物を併設する複合捕捉施設の構築方法に関する。
透過型捕捉構造物としては、複数の支柱と、支柱の間に張り巡らせた高強度のワイヤロープを格子状に形成した捕捉ネットとを具備し、捕捉ネットに作用する衝撃荷重を高剛性の支柱が負担する構造になっている(特許文献1,2)。
従来の透過型捕捉構造物は本設構造物(恒久構造物)として使用することから、資材の搬入から完成までに半年以上の施工期間を要していて、その工事も大型の建設機械を導入した大規模工事となる。
これまでは土砂災害の発生直後に応急対策工を講じる必要性が低かったが、近時のゲリラ豪雨や線状降雨帯による集中豪雨災害に伴う甚大な被害を縮小すべく、応急対策工が重要視されている。
応急対策工の実施にあたっては、短期間のうちに山間部の現場に搬入できる資材や施工機械に制約があるため、これまでにない発想が求められる。
特開2002-339338号公報(図1) 特許第6579553号公報(図1) 特開2006-225879号公報(図1)
従来の土砂災害の対策技術にはつぎのような問題点がある。
<1>本設用透過型捕捉構造物は施工に長期間を要するため、工事が夏場にかかると集中豪雨災害に巻き込まれるおそれがあり、危険性の高い環境下での施工となる。
<2>仮設用透過型捕捉構造物を構成する支柱を回収して、別途の透過型捕捉構造物の支柱として再利用することが考えられる。
支柱が杭式の場合は、杭孔内に建て込んだ支柱と孔壁との間にモルタル等の固結材を充填して一体化した構造であるため、支柱の抜き取りが不能に近い。
仮に杭式の支柱を根元位置から切断すると、支柱の撤去は可能であるが、切り取って短くなった支柱は再利用することができない。
<3>特許文献3には、コンクリート基礎に予め鞘管を設置し、この鞘管内に建て込んだ支柱が受撃によって損傷したときに、支柱を抜き取って交換することが開示されている。
この支柱の抜き取り可能な立設技術は、コンクリート基礎を前提とするため、固結材を介して地中深く支柱を建て込む杭式の支柱に適用することが難しい。
<4>このようなことから、従来は既設の杭式支柱を抜き取り、抜き取った支柱を別途の透過型捕捉構造物に再利用するといった発想はなかった。
<5>従来は土砂災害の対策工を段階的に行うという発想はあるものの、これを実現できる具体的な技術が未だ提案されておらず、実現可能な技術の提案が望まれている。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところはつぎの支柱の立設構造及び複合捕捉施設の構築方法を提供することにある。
<1>支柱に必要な十分な立設耐力を確保できるように、支柱の埋設部と固結材間での荷重伝達性がよく、かつ、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱を撤去できる支柱の立設構造を提供すること。
<2>支柱の現地調達をし易くして、安全な環境下で土砂災害の対策工を段階的に行える支柱の立設構造及び複合捕捉施設の構築方法を提供すること。
<3>複数の透過型捕捉構造物の施工効率を高める支柱の立設構造及び複合捕捉施設の構築方法を提供すること。
本発明は、捕捉ネットを掛け渡す地上部と地中に建て込む埋設部を有する杭式の支柱を杭孔に建て込み、支柱の埋設部と支柱の間に充填した固結材で以て支柱を支持するようにした支柱の立設構造であって、前記支柱の埋設部の周囲を可撓性を有するシート状の絶縁被覆で被覆し、前記支柱の外周面と杭孔内に充填した固結材の間を前記絶縁被覆で絶縁し、使用目的を完了した支柱の埋設部を、絶縁被覆を境にして固結材から抜き取り可能に立設した。
さらに本発明の他の形態において、前記絶縁被膜が支柱の埋設部を被覆可能な袋体、または支柱の埋設部に巻き付けて被覆可能なテープの何れか一種である。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の底部にキャップを装着して絶縁被膜を固定してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の埋設部に沿ってエア抜き用のチューブを付設してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の埋設部に沿って着脱可能な単数または複数の間詰材を設置してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱が仮設用透過型捕捉構造物の支柱である。
前記した捕捉ネットは、複数の支柱の間に掛け渡した水通し部ネットと、最外端の支柱と渓岸との間に掛け渡した間隙部ネットとを具備する。
前記した水通し部ネットが複数の縦索と横索を交差させて格子状に組み立てた帯状のネット本体と、ネット本体を複数の支柱に跨って取り付ける背面ロープとを具備したループ構造体であり、ネット本体状を支柱の渓谷山側に配設し、背面ロープを支柱の渓谷谷側に配設して複数の支柱間に巻き掛けてある。
前記した間隙部ネットは枠ロープと、該枠ロープに固定して設けられた内接ネットとにより構成されている。
さらに本発明は、斜面の上流位置に位置する抜き取り可能な支柱を具備した仮設用透過型捕捉構造物と、斜面の外流位置に位置する本設用透過型捕捉構造物とよりなる複合捕捉施設の構築方法であって、前記仮設用透過型捕捉構造物を先行して構築し、前記仮設用透過型捕捉構造物で防護した環境下で本設用透過型捕捉構造物を構築する。
さらに本発明の他の形態において、仮設用透過型捕捉構造物の支柱は既述した何れか一つの支柱の立設構造である。
さらに本発明の他の形態において、抜き取った支柱を別途の仮設用透過型捕捉構造物の支柱として再使用する。
本発明はつぎの何れかひとつの効果が得られる。
<1>杭式支柱の埋設部の周囲を可撓性を有するシート状の絶縁被覆で被覆して、支柱の外周面と杭孔内に充填した固結材の間を隙間なく密着させて立設した。
そのため、絶縁皮膜のコストを大幅に低減できるだけでなく、支柱の埋設部と固結材間での荷重伝達性をよくして、支柱に必要な十分な立設耐力を確保できるとともに、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱を撤去することができる。
<2>本設用透過型捕捉構造物の上流側に仮設用透過型捕捉構造物を先行して構築する。
本設用透過型捕捉構造物の施工中に集中豪雨災害があっても、仮設用透過型捕捉構造物が流下物を捕捉して防護機能を発揮するので、本設用透過型捕捉構造物を安全な環境下で早期に構築することができる。
したがって、安全性を確保した環境下で仮設用透過型捕捉構造物および本設用透過型捕捉構造物からなる複合捕捉施設を段階的に構築できて、実現性の高い土砂災害の対策工を提供できる。
<3>支柱を途中から切断したり損傷させることなく、支柱をきれいに抜き取って回収することができる。
<4>抜き取って回収した支柱を転用して別途の仮設用透過型捕捉構造物を構築することができる。
<5>支柱を現場近くから調達し易くなるので、別途の仮設用透過型捕捉構造物の支柱を平地から現場へ搬入する場合と比べて、支柱の搬入に要する時間とコストを大幅に削減できるうえに、別途の仮設用透過型捕捉構造物を早期に構築することができる。
<6>一般に、山岳部の近隣エリアの複数個所に本設用透過型捕捉構造物を構築する場合には、仮設用透過型捕捉構造物と組み合わせて構築することで、複数の複合捕捉施設の施工効率を高めることができる。
<7>支柱の底部にキャップを装着して絶縁被膜を固定すると、支柱の取り扱い中にかぎらず、支柱の建て込み時に支柱の底部が孔壁等に当たっても絶縁被膜が損傷を受け難くなる。
<8>支柱の埋設部に沿ってエア抜き用のチューブを付設した場合は、杭孔内に固結材を充填する際に、杭孔内の空気をエア抜き用のパイプを通じて外部へ排気できるので、固結材を密実に形成できる。
<9>支柱の埋設部に沿って着脱可能な単数または複数の間詰材を設置すると、間詰材を撤去した跡が空洞になるため、支柱と固結材の付着面積が小さくなって、支柱が抜き取り易くなる。
仮設用透過型捕捉構造物と本設用透過型捕捉構造物を具備した複合捕捉施設のモデル図で、(A)は仮設用透過型捕捉構造物のモデル図、(B)は本設用透過型捕捉構造物のモデル図 仮設用透過型捕捉構造物の正面図 仮設用透過型捕捉構造物の水通し部ネットの説明図で、(A)は水通し部ネットの斜視図、(B)は支柱に設けた係留部の斜視図、(C)は支柱に設けた他の係留部の斜視図 間隙部ネットの取付け構造の説明図で、(A)は間隙部ネットと支柱の上取付部における部分斜視図、(B)は間隙部ネットと支柱の下取付部における部分斜視図 絶縁被膜を取り付けた支柱の斜視図 支柱の建て込み工程と抜き取り工程の説明図で、(A)は杭孔の削孔工程の説明図、(B)は杭孔に支柱を建て込む工程の説明図、(C)は杭孔内に固結材を充填する工程の説明図、(D)は支柱の抜き取り工程の説明図、 支柱の建て込み工程と抜き取り工程の説明図で、(A)は図6(A)のa-aの断面図、(B)は図6(B)のb-bの断面図、(C)は図6(C)のc-cの断面図、(D)は図6(D)のd-dの断面図 支柱の底部にキャップを装着した実施例2の説明図 支柱の埋設部にエア抜き用のチューブを配置した実施例3の説明図 支柱の埋設部に間詰材を配置した実施例4の説明図で、(A)は間詰材を配置した支柱の埋設部の部分水平断面図、(B)間詰材を撤去した支柱の埋設部の部分水平断面図
図1~7を参照して本発明について説明する。
[実施例1]
1.複合捕捉施設
図1を参照して説明すると、複合捕捉施設は斜面Gの上流位置に先行して構築した仮設用透過型捕捉構造物10(以下「仮設捕捉構造物10」という)と、仮設捕捉構造物10の下流側に構築した本設用透過型捕捉構造物60(以下「本設捕捉構造物60」という)とよりなりる。
2.仮設捕捉構造物
仮設捕捉構造物10は渓床Gに間隔を隔てて抜き取り可能に立設した複数の支柱20と、複数の支柱20の間に掛け渡した捕捉ネット30とを具備する。
図2~5に例示した仮設捕捉構造物10について説明する。
<1>支柱
支柱20は、捕捉ネット30を支持する高剛性の杭式柱状構造物であり、例えば鋼管、コンクリート充填鋼管、コンクリート柱等の高剛性の柱体である。
支柱20は渓床Gの杭孔50に建て込む埋設部と、地表に露出する地上部とを有する。
<1.1>支柱の埋設部
支柱20の埋設部は杭孔50内に建て込み、固結材51を介して立設する部位である。
支柱20の埋設部の全長は土質や支柱20の支持耐力等を考慮して適宜選択する。
各支柱20の埋設部は可撓性の絶縁被膜40で覆われていて、絶縁被膜40を介してモルタル等の固結材51を充填した杭孔50に建て込まれている。
支柱20の埋設部を可撓性の絶縁被膜40で被覆するのは、支柱20に必要な立設耐力を確保しつつ、使用目的終了後に支柱20の抜き取りを可能にするためである。
絶縁被膜40の詳細については後述する。
<1.2>支柱の地上部
支柱20の地上部には、捕捉ネット30を取り付けるための連結素子が設けてあり、これらの連結素子を介して複数の支柱20の地上部の間に捕捉ネット30が掛け渡してある。
本例では、支柱20の地上部の外周面に水通し部ネット30aを取り付けるための複数の係留部21と、間隙部ネット30bを取り付けるための連結部22を設けた形態について説明する。
<1.2.1>係留部
係留部21は、支柱20の前後の外周面に対をなして形成する。
図3に例示した係留部21は、支柱20の外周面に突設した上下一対のブラケット21a,21aと、一対のブラケット21a,21a間に縦向きに貫挿した係留ピン21bを具備する。
図3(B)では平板をコ字形に屈曲したブラケット21aを示しているが、同図(C)のように平板状のブラケット21aを使用してもよい。
これらの各係留部21を介して複数の支柱20間にループ状の水通し部ネット30aを巻き掛けて取り付ける。
<1.2.2>連結部
連結部21は、最外端の支柱(端末支柱)20の上下部に形成する。
図4に例示した連結部22について説明すると、連結部22は最外端の支柱(端末支柱)20の上下部に突設した一対のブラケット22a,22aと、一対のブラケット22a,22a間に縦向きに貫挿した止めピン22bとを具備する。
これらの各連結部22を介して最外端の支柱(端末支柱)20と渓岸Gに設けたアンカー52(図1参照)との間に間隙部ネット30bを取り付ける。
<2>絶縁被膜
図2,5を参照して説明する。
絶縁被膜40は支柱20の埋設部の全体を被覆できる被覆部材であり、可撓性を有する薄厚のシート状物で形成してある。
支柱20の埋設部を可撓性の絶縁被膜40で被覆するのは、支柱20と固結材51との間で荷重の伝達を可能にすることと、支柱20と固結材51との間の付着抵抗を小さくして、転用時に支柱20の抜き取りをし易くするためである。
<2.1>絶縁被膜の素材
絶縁被膜40は固結材51の透過を規制できる可撓性を有するシート状物であり、例えばポリエチレン等の樹脂製の袋体または樹脂製のテープ等を適用できる。
絶縁被膜40には1mm以下の、有底または無底構造の極薄ポリチューブが好適である。
本例では絶縁被膜40が袋体である場合について説明する。
絶縁被膜40は支柱20の埋設部を収容可能な深さを有し、袋体の開口部を紐や接着テープ等で閉じておく。
絶縁被膜40がテープの形態である場合は、支柱20の埋設部の外周面にテープを巻き付けて支柱20の埋設部の全域を被覆する。
テープの形態である場合、テープの両端部は支柱20に固定するが、支柱20の埋設部の外周面に巻き付けたテープの大半は非接着状態で巻き付けることが望ましい。
<2.2>絶縁被膜に可撓性を付与した理由
支柱20を固結材51から絶縁する目的だけであれば、支柱20の埋設部に金属、樹脂等の硬質素材の管体を外装すればよい。
被覆部材として硬質の管体を用いた場合、管体コストが高くつくだけでなく、製造公差により、支柱20と管体の間に隙間を生じ易く、支柱20の外周面に密着させて管体を外装することが難しい。
さらに、支柱20と固結材51の間に硬質の管体が介在すると、支柱20と固結材51間の付着力がほとんど期待できないので、支柱20の支持耐力が小さくなる等の問題が生じる。
本発明ではこれらの問題を解消するために、シート素材からなる絶縁被膜40を使用することとした。
シート状の絶縁被膜40を使用することで、絶縁皮膜のコストを大幅に低減できるだけでなく、支柱20の埋設部と固結材51間の密着性を高めて支柱20の埋設部と固結材51との間での荷重伝達性をよくして、支柱20に必要な立設耐力を確保するとともに、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱20を撤去することができる。
<3>捕捉ネット
捕捉ネット30は金属製、繊維製、又は樹脂製のシングルロープ、シングルチェーン、帯状鋼板の何れか一種、又はこれら複数種を組み合わせて、方形、円形、又は楕円形の網目に編成したネット状物である。
捕捉ネット30には公知の各種ネット状物が適用可能である。
図2に例示した捕捉ネット30について説明する。
この捕捉ネット30は、複数の支柱20の間に掛け渡した水通し部ネット30aと、各支柱20と渓岸Gとの間に掛け渡した間隙部ネット30bとを具備する。
間隙部ネット30bは必須ではなく、省略する場合もある。
<3.1>水通し部ネット
水通し部ネット30aはそのネット本体の左右両辺が支柱20に固定してある。
図2,3に例示した水通し部ネット30aについて説明する。
水通し部ネット30aは、複数の縦索31と横索32を摺動不能に交差させて格子状に組み立てた帯状のネット本体33と、ネット本体33を複数の支柱20に跨って取り付ける背面ロープ34とを具備する。
ネット本体33は支柱20の渓谷山側に配設し、背面ロープ34は支柱20の渓谷谷側に配設し、これらのネット本体33と背面ロープ34が複数の支柱20の間に連続したループ状の形態で巻き掛けてある。
背面ロープ34はネット本体33の横索32を延長して形成してもよいし、横索32と別体のロープ材を連結して使用してもよい。
支柱20の渓谷谷側に位置する背面ロープ34は、その重合部を固定具等で摺動不能に固定する。
本例では水通し部ネット30aがループ構造を呈している場合について説明するが、水通し部ネット30aは非ループ構造(例えばシングルネット)でも適用可能である。
<3.2>間隙部ネット
間隙部ネット30bは水通し部ネット30aの目合い寸法以下の網目を有するネット状物である。
図2,4を参照して説明すると、間隙部ネット30bが略三角形、又は略台形に囲繞した枠ロープ36と、枠ロープ36内で複数のロープ材を縦横方向に交差させ、その交差部を固定して格子状に形成した内接ネット35とにより構成する。内接ネット35の周縁は枠ロープ36に一体に固定してある。
3.本設捕捉構造物
図1に示すように、本設捕捉構造物60は仮設捕捉構造物10を構築した後に、仮設捕捉構造物10の下流側に構築した捕捉構造物である。
本設捕捉構造物60は公知のコンクリート製堤体、または複数の鋼材を立体的に組み立てた鋼製の砂防ダムや砂防堰堤を含む。
[複合捕捉施設の施工方法]
本願発明では仮設捕捉構造物10を先行して施工し、その後に本設捕捉構造物60を施工するものである。以降に複合捕捉施設を段階的に構築する施工方法について説明する。
1.仮設捕捉構造物の先行施工
図6,7を参照して仮設捕捉構造物10の施工方法について説明する。
図6を参照して特に支柱20の立設方法を中心に説明する。
<1>杭孔の削孔(図6(A),図7(A))
仮設捕捉構造物10の構築予定の渓床Gに所定の間隔を隔て複数の杭孔50を削孔する。
杭孔50を削孔する際、必要に応じてケーシング53を使用して孔壁の崩落を防止する。
<2>支柱の準備(図5)
つぎに埋設部の周囲を絶縁被膜40で覆った支柱20を準備する。
<3>支柱の建て込み(図6(B),図7(B))
絶縁被膜40で覆った支柱20の埋設部を杭孔50に建て込む。
<4>固結材の充填(図6(C),図7(C))
最後に杭孔50と支柱20の間にモルタル等の固結材51を充填する。
削孔時に残置したケーシング53は、固結材51の充填時に撤去する。
なお、以上は支柱20の建て込み後に杭孔50内に固結材51を充填した形態について説明したが、固結材51を先行充填した杭孔50内に支柱20を建て込んでもよい。
<5>支柱の外周面と固結材の密着状態(図6(C),図7(C))
絶縁被膜40は可撓性を有するので、支柱20の埋設部の外周面の全面に密着して付着する。支柱20の埋設部の外周面に多少の凹凸があってもこれらの凹凸に追従して密着し、支柱20の埋設部と固結材51の間に隙間を生じない。
絶縁被膜40は支柱20埋設部と固結材51との間に介在して両部材の間の絶縁している。
<6>捕捉ネットの取り付け(図2)
複数の支柱20の間に捕捉ネット30を取り付けて仮設捕捉構造物10の施工を完了する。
本例では、複数の支柱20の間に水通し部ネット30aを掛け渡すと共に、各支柱20と渓岸Gとの間に間隙部ネット30bを掛け渡す。
<7>支柱の支持耐力
支柱20の埋設部は極薄の絶縁被膜40を介して固結材51と全面的に密着しているため、支柱20に作用する曲げ力等の外力は絶縁被膜40を通じて固結材51へ伝えられ、最終的に杭孔50で支持される。
したがって、支柱20と固結材51の一部の接触部に荷重が集中することを回避できて、支柱20として必要とされる十分な支持耐力を確保できる。
2.本設捕捉構造物の施工(図1(B))
<1>本設捕捉構造物
仮設捕捉構造物10の施工を完了したら、仮設捕捉構造物10の下流側に公知の各種本設捕捉構造物60を構築する。
<2>本設捕捉構造物の施工環境
仮設捕捉構造物10は、本設捕捉構造物60を防護する目的で、本設捕捉構造物60の上流側に先行して構築するものである。
したがって、本設捕捉構造物60の施工中に集中豪雨災害があっても、仮設捕捉構造物10が補足機能を発揮して崩落土砂や流木等の流下物を捕捉することができる。
一般に本設捕捉構造物60の施工には長期間を要するため、工事が夏場にかかっても、安全な環境下で本設捕捉構造物60を構築することができる。
3.仮設捕捉構造物の支柱の移設
本設捕捉構造物60の施工を完了したら、以下の要領で仮設捕捉構造物10を構成する支柱20を抜き取り、別途の仮設捕捉構造物10の構築に転用する。
<1>支柱を抜き取り(図6(D),図7(D))
使用目的を終えた仮設捕捉構造物10の構成材を解体する。
最後に残った支柱30に抜取力を加えて、支柱30を抜き取る。
支柱本体は固結材51との間に絶縁被膜40が介在して絶縁構造となっていて、その間の摩擦抵抗が小さくなっているので、支柱20を途中から切断せずに抜き取って回収できる。
そのため、支柱20と固結材51間の付着力を越える抜取力を支柱20に加えることで、支柱20を簡単に抜き取ることができる。
支柱20に抜取力を加える手段としては、例えば支柱20の裾部と突起物と地表の間に介挿した単数または複数のジャッキを利用して支柱20を持ち上げて抜き取ることができる。
現場にクレーンやバックホー等の建設機械の導入が可能な場合は、これらの建設機械を使用して支柱20を抜き取ってもよい。
支柱20と固結材51間は絶縁被膜40で絶縁されているので、その付着力は小さい。
そのため、比較的に小さな力で支柱20を抜き取ることが可能である。
必要に応じて、支柱20に回転力や衝撃力を与える場合もある。
<2>支柱の転用が必要な理由
土砂の崩落が予想される沢に対して間隔を隔てて複数個所に本設捕捉構造物60を構築する場合が多い。さらに、複数の沢が合流している現場では、合流前の分岐した複数の沢に対して本設捕捉構造物60を構築する場合がある。
このような現場において、各本設捕捉構造物60の上流側に防護用の仮設捉構造物10を先行して構築する。
仮設捉構造物10を構築するためには、現地へ資材を搬入する必要がある。
仮設捉構造物10の資材のなかで最も重量が重たい資材は支柱20である。
新規に製作した支柱20を平地から山間部の現場まで搬送して仮設捉構造物10を構築するには、多大の時間と搬入コストを要する。
本発明は仮設捉構造物10の資材のなかで最も重たい支柱20に着目し、支柱20を転用可能にするために、支柱20を抜き取り可能に立設し、使用目的を終えた仮設捉構造物10の近くに、別途の仮設捉構造物10の施工現場があれば、抜き取って回収した支柱20を、別途の仮設捕捉構造物10の構築に転用して再利用することとした。
前述したように、使用目的を終えた近隣の仮設捕捉構造物10から調達した支柱20を再使用して別途の仮設捕捉構造物10を構築できれば、支柱20の搬入に要する費用と時間を大幅に削減できる。
したがって、別途の仮設捕捉構造物10を早期に構築できるだけでなく、別途の仮設捕捉構造物10の下流側に別途の本設捕捉構造物60を安全な環境下で早期に構築することができる。
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
<1>支柱の底部にキャップを付設した形態(図8)
キャップ23を使用して袋状を呈する絶縁被膜40の底部を位置決めするようにしてもよい。
キャップ23は絶縁被膜40の上から被せて、絶縁被膜40の底部の位置ずれを阻止する。
キャップ23は支柱20の底部に内挿する形態でもよいし、支柱20の底部に外装するの何れでもよい。
<2>本例の効果
絶縁被膜40はその口部を固定するだけでなく、キャップ23を取り付けて絶縁被膜40の底部も支柱20の底部に位置決めできるので、支柱20の取り扱い中にかぎらず、支柱20の建て込み時に支柱20の底部が孔壁等に当たっても絶縁被膜40が損傷を受け難くなる。
[実施例3]
<1>支柱にエア抜き用のパイプを付設した形態(図9)
支柱20の建て込み前に、支柱20の埋設部の全長に亘る長さを有する単数または複数のエア抜き用のパイプ54を支柱20の外周面に付設してもよい。
絶縁被膜40は支柱20と共にエア抜き用のパイプ54を被覆する。
<2>本例の効果
杭孔50内に固結材を充填する際、杭孔50の底部近くに空気溜まりを形成し易い。
支柱20の埋設部にエア抜き用のパイプ54を付設することで、杭孔50内に固結材50を充填する際に、杭孔50の底部内の空気をエア抜き用のパイプ54を通じて排気できるので、固結材50を密実に形成することができる。
[実施例4]
<1>支柱の外周面に間詰材を配置した形態(図10)
支柱20の建て込み前に、支柱20の埋設部の全長に亘る長さを有する単数または複数の間詰材55を支柱20の外周面に着脱可能に取り付けてもよい。
間詰材55は軟質材または硬質材の何れでもよい。
絶縁被膜40は支柱20と共に間詰材55を被覆する。
支柱20の外周面に間詰材55を配置したまま、固結材51を充填する。
支柱20を抜き取る際には、支柱20の外周面に配置した間詰材55を撤去する。
間詰材55の撤去方法としては、間詰材55の抜き取りだけでなく、薬液等を使って間詰材55を溶解したり、燃焼により消失させたりしてもよい。
<2>本例の効果
本例にあっては、間詰材55を撤去した跡が空洞になるため、支柱20と固結材51との付着面積が小さくなって、支柱20が抜き取り易くなる。
G・・・・・・斜面
・・・・・渓床
・・・・・渓岸
10・・・・・仮設用透過型捕捉構造物(本設捕捉構造物)
20・・・・・支柱
21・・・・・係留部
22・・・・・連結部
23・・・・・キャップ
30・・・・・捕捉ネット
30a・・・・水通し部ネット
31・・・・・縦索
32・・・・・横索
33・・・・・ネット本体
34・・・・・背面ロープ
30b・・・・間隙部ネット
35・・・・・内接ネット
36・・・・・枠ロープ
40・・・・・絶縁被膜
50・・・・・杭孔
51・・・・・固結材
52・・・・・アンカー
53・・・・・ケーシング
60・・・・・本設用透過型捕捉構造物(本設捕捉構造物)
本発明は土石流、流木等の土砂捕捉工、河川における流木の捕捉工、斜面落石防止工、雪崩防止工、崩落土砂防止工等に利用可能な透過型捕捉技術に関し、特に抜き取り可能な仮設用の支柱の立設構造に関する。
透過型捕捉構造物としては、複数の支柱と、支柱の間に張り巡らせた高強度のワイヤロープを格子状に形成した捕捉ネットとを具備し、捕捉ネットに作用する衝撃荷重を高剛性の支柱が負担する構造になっている(特許文献1,2)。
従来の透過型捕捉構造物は本設構造物(恒久構造物)として使用することから、資材の搬入から完成までに半年以上の施工期間を要していて、その工事も大型の建設機械を導入した大規模工事となる。
これまでは土砂災害の発生直後に応急対策工を講じる必要性が低かったが、近時のゲリラ豪雨や線状降雨帯による集中豪雨災害に伴う甚大な被害を縮小すべく、応急対策工が重要視されている。
応急対策工の実施にあたっては、短期間のうちに山間部の現場に搬入できる資材や施工機械に制約があるため、これまでにない発想が求められる。
特開2002-339338号公報(図1) 特許第6579553号公報(図1) 特開2006-225879号公報(図1)
従来の土砂災害の対策技術にはつぎのような問題点がある。
<1>本設用透過型捕捉構造物は施工に長期間を要するため、工事が夏場にかかると集中豪雨災害に巻き込まれるおそれがあり、危険性の高い環境下での施工となる。
<2>仮設用透過型捕捉構造物を構成する支柱を回収して、別途の透過型捕捉構造物の支柱として再利用することが考えられる。
支柱が杭式の場合は、杭孔内に建て込んだ支柱と孔壁との間にモルタル等の固結材を充填して一体化した構造であるため、支柱の抜き取りが不能に近い。
仮に杭式の支柱を根元位置から切断すると、支柱の撤去は可能であるが、切り取って短くなった支柱は再利用することができない。
<3>特許文献3には、コンクリート基礎に予め鞘管を設置し、この鞘管内に建て込んだ支柱が受撃によって損傷したときに、支柱を抜き取って交換することが開示されている。
この支柱の抜き取り可能な立設技術は、コンクリート基礎を前提とするため、固結材を介して地中深く支柱を建て込む杭式の支柱に適用することが難しい。
<4>このようなことから、従来は既設の杭式支柱を抜き取り、抜き取った支柱を別途の透過型捕捉構造物に再利用するといった発想はなかった。
<5>従来は土砂災害の対策工を段階的に行うという発想はあるものの、これを実現できる具体的な技術が未だ提案されておらず、実現可能な技術の提案が望まれている。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところはつぎの支柱の立設構造を提供することにある。
<1>支柱に必要な十分な立設耐力を確保できるように、支柱の埋設部と固結材間での荷重伝達性がよく、かつ、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱を撤去できる支柱の立設構造を提供すること。
<2>支柱の現地調達をし易くして、安全な環境下で土砂災害の対策工を段階的に行える支柱の立設構造及び複合捕捉施設の構築方法を提供すること。
<3>複数の透過型捕捉構造物の施工効率を高める支柱の立設構造及び複合捕捉施設の構築方法を提供すること。
本発明は、捕捉ネットを掛け渡す地上部と地中に建て込む埋設部を有する杭式の支柱を杭孔に建て込み、支柱の埋設部と支柱の間に充填した固結材で以て支柱を支持するようにした支柱の立設構造であって、前記支柱の埋設部の周囲を可撓性を有するシート状の絶縁被覆で被覆し、前記支柱の外周面と杭孔内に充填した固結材の間を前記絶縁被覆で絶縁し、使用目的を完了した支柱の埋設部を、絶縁被覆を境にして固結材から抜き取り可能に立設した。
さらに本発明の他の形態において、前記絶縁被膜が支柱の埋設部を被覆可能な袋体、または支柱の埋設部に巻き付けて被覆可能なテープの何れか一種である。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の底部にキャップを装着して絶縁被膜を固定してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の埋設部に沿ってエア抜き用のチューブを付設してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の埋設部に沿って着脱可能な単数または複数の間詰材を設置してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱が仮設用透過型捕捉構造物の支柱である。
前記した捕捉ネットは、複数の支柱の間に掛け渡した水通し部ネットと、最外端の支柱と渓岸との間に掛け渡した間隙部ネットとを具備する。
前記した水通し部ネットが複数の縦索と横索を交差させて格子状に組み立てた帯状のネット本体と、ネット本体を複数の支柱に跨って取り付ける背面ロープとを具備したループ構造体であり、ネット本体状を支柱の渓谷山側に配設し、背面ロープを支柱の渓谷谷側に配設して複数の支柱間に巻き掛けてある。
前記した間隙部ネットは枠ロープと、該枠ロープに固定して設けられた内接ネットとにより構成されている。
さらに本発明は、斜面の上流位置に位置する抜き取り可能な支柱を具備した仮設用透過型捕捉構造物と、斜面の外流位置に位置する本設用透過型捕捉構造物とよりなる複合捕捉施設の構築方法であって、前記仮設用透過型捕捉構造物を先行して構築し、前記仮設用透過型捕捉構造物で防護した環境下で本設用透過型捕捉構造物を構築する。
さらに本発明の他の形態において、仮設用透過型捕捉構造物の支柱は既述した何れか一つの支柱の立設構造である。
さらに本発明の他の形態において、抜き取った支柱を別途の仮設用透過型捕捉構造物の支柱として再使用する。
本発明はつぎの何れかひとつの効果が得られる。
<1>杭式支柱の埋設部の周囲を可撓性を有するシート状の絶縁被覆で被覆して、支柱の外周面と杭孔内に充填した固結材の間を隙間なく密着させて立設した。
そのため、絶縁皮膜のコストを大幅に低減できるだけでなく、支柱の埋設部と固結材間での荷重伝達性をよくして、支柱に必要な十分な立設耐力を確保できるとともに、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱を撤去することができる。
<2>本設用透過型捕捉構造物の上流側に仮設用透過型捕捉構造物を先行して構築する。
本設用透過型捕捉構造物の施工中に集中豪雨災害があっても、仮設用透過型捕捉構造物が流下物を捕捉して防護機能を発揮するので、本設用透過型捕捉構造物を安全な環境下で早期に構築することができる。
したがって、安全性を確保した環境下で仮設用透過型捕捉構造物および本設用透過型捕捉構造物からなる複合捕捉施設を段階的に構築できて、実現性の高い土砂災害の対策工を提供できる。
<3>支柱を途中から切断したり損傷させることなく、支柱をきれいに抜き取って回収することができる。
<4>抜き取って回収した支柱を転用して別途の仮設用透過型捕捉構造物を構築することができる。
<5>支柱を現場近くから調達し易くなるので、別途の仮設用透過型捕捉構造物の支柱を平地から現場へ搬入する場合と比べて、支柱の搬入に要する時間とコストを大幅に削減できるうえに、別途の仮設用透過型捕捉構造物を早期に構築することができる。
<6>一般に、山岳部の近隣エリアの複数個所に本設用透過型捕捉構造物を構築する場合には、仮設用透過型捕捉構造物と組み合わせて構築することで、複数の複合捕捉施設の施工効率を高めることができる。
<7>支柱の底部にキャップを装着して絶縁被膜を固定すると、支柱の取り扱い中にかぎらず、支柱の建て込み時に支柱の底部が孔壁等に当たっても絶縁被膜が損傷を受け難くなる。
<8>支柱の埋設部に沿ってエア抜き用のチューブを付設した場合は、杭孔内に固結材を充填する際に、杭孔内の空気をエア抜き用のパイプを通じて外部へ排気できるので、固結材を密実に形成できる。
<9>支柱の埋設部に沿って着脱可能な単数または複数の間詰材を設置すると、間詰材を撤去した跡が空洞になるため、支柱と固結材の付着面積が小さくなって、支柱が抜き取り易くなる。
仮設用透過型捕捉構造物と本設用透過型捕捉構造物を具備した複合捕捉施設のモデル図で、(A)は仮設用透過型捕捉構造物のモデル図、(B)は本設用透過型捕捉構造物のモデル図 仮設用透過型捕捉構造物の正面図 仮設用透過型捕捉構造物の水通し部ネットの説明図で、(A)は水通し部ネットの斜視図、(B)は支柱に設けた係留部の斜視図、(C)は支柱に設けた他の係留部の斜視図 間隙部ネットの取付け構造の説明図で、(A)は間隙部ネットと支柱の上取付部における部分斜視図、(B)は間隙部ネットと支柱の下取付部における部分斜視図 絶縁被膜を取り付けた支柱の斜視図 支柱の建て込み工程と抜き取り工程の説明図で、(A)は杭孔の削孔工程の説明図、(B)は杭孔に支柱を建て込む工程の説明図、(C)は杭孔内に固結材を充填する工程の説明図、(D)は支柱の抜き取り工程の説明図、 支柱の建て込み工程と抜き取り工程の説明図で、(A)は図6(A)のa-aの断面図、(B)は図6(B)のb-bの断面図、(C)は図6(C)のc-cの断面図、(D)は図6(D)のd-dの断面図 支柱の底部にキャップを装着した実施例2の説明図 支柱の埋設部にエア抜き用のチューブを配置した実施例3の説明図 支柱の埋設部に間詰材を配置した実施例4の説明図で、(A)は間詰材を配置した支柱の埋設部の部分水平断面図、(B)間詰材を撤去した支柱の埋設部の部分水平断面図
図1~7を参照して本発明について説明する。
[実施例1]
1.複合捕捉施設
図1を参照して説明すると、複合捕捉施設は斜面Gの上流位置に先行して構築した仮設用透過型捕捉構造物10(以下「仮設捕捉構造物10」という)と、仮設捕捉構造物10の下流側に構築した本設用透過型捕捉構造物60(以下「本設捕捉構造物60」という)とよりなりる。
2.仮設捕捉構造物
仮設捕捉構造物10は渓床G1に間隔を隔てて抜き取り可能に立設した複数の支柱20と、複数の支柱20の間に掛け渡した捕捉ネット30とを具備する。
図2~5に例示した仮設捕捉構造物10について説明する。
<1>支柱
支柱20は、捕捉ネット30を支持する高剛性の杭式柱状構造物であり、例えば鋼管、コンクリート充填鋼管、コンクリート柱等の高剛性の柱体である。
支柱20は渓床G1の杭孔50に建て込む埋設部と、地表に露出する地上部とを有する。
<1.1>支柱の埋設部
支柱20の埋設部は杭孔50内に建て込み、固結材51を介して立設する部位である。
支柱20の埋設部の全長は土質や支柱20の支持耐力等を考慮して適宜選択する。
各支柱20の埋設部は可撓性の絶縁被膜40で覆われていて、絶縁被膜40を介してモルタル等の固結材51を充填した杭孔50に建て込まれている。
支柱20の埋設部を可撓性の絶縁被膜40で被覆するのは、支柱20に必要な立設耐力を確保しつつ、使用目的終了後に支柱20の抜き取りを可能にするためである。
絶縁被膜40の詳細については後述する。
<1.2>支柱の地上部
支柱20の地上部には、捕捉ネット30を取り付けるための連結素子が設けてあり、これらの連結素子を介して複数の支柱20の地上部の間に捕捉ネット30が掛け渡してある。
本例では、支柱20の地上部の外周面に水通し部ネット30aを取り付けるための複数の係留部21と、間隙部ネット30bを取り付けるための連結部22を設けた形態について説明する。
<1.2.1>係留部
係留部21は、支柱20の前後の外周面に対をなして形成する。
図3に例示した係留部21は、支柱20の外周面に突設した上下一対のブラケット21a,21aと、一対のブラケット21a,21a間に縦向きに貫挿した係留ピン21bを具備する。
図3(B)では平板をコ字形に屈曲したブラケット21aを示しているが、同図(C)のように平板状のブラケット21aを使用してもよい。
これらの各係留部21を介して複数の支柱20間にループ状の水通し部ネット30aを巻き掛けて取り付ける。
<1.2.2>連結部
連結部21は、最外端の支柱(端末支柱)20の上下部に形成する。
図4に例示した連結部22について説明すると、連結部22は最外端の支柱(端末支柱)20の上下部に突設した一対のブラケット22a,22aと、一対のブラケット22a,22a間に縦向きに貫挿した止めピン22bとを具備する。
これらの各連結部22を介して最外端の支柱(端末支柱)20と渓岸G2に設けたアンカー52(図1参照)との間に間隙部ネット30bを取り付ける。
<2>絶縁被膜
図2,5を参照して説明する。
絶縁被膜40は支柱20の埋設部の全体を被覆できる被覆部材であり、可撓性を有する薄厚のシート状物で形成してある。
支柱20の埋設部を可撓性の絶縁被膜40で被覆するのは、支柱20と固結材51との間で荷重の伝達を可能にすることと、支柱20と固結材51との間の付着抵抗を小さくして、転用時に支柱20の抜き取りをし易くするためである。
<2.1>絶縁被膜の素材
絶縁被膜40は固結材51の透過を規制できる可撓性を有するシート状物であり、例えばポリエチレン等の樹脂製の袋体または樹脂製のテープ等を適用できる。
絶縁被膜40には1mm以下の、有底または無底構造の極薄ポリチューブが好適である。
本例では絶縁被膜40が袋体である場合について説明する。
絶縁被膜40は支柱20の埋設部を収容可能な深さを有し、袋体の開口部を紐や接着テープ等で閉じておく。
絶縁被膜40がテープの形態である場合は、支柱20の埋設部の外周面にテープを巻き付けて支柱20の埋設部の全域を被覆する。
テープの形態である場合、テープの両端部は支柱20に固定するが、支柱20の埋設部の外周面に巻き付けたテープの大半は非接着状態で巻き付けることが望ましい。
<2.2>絶縁被膜に可撓性を付与した理由
支柱20を固結材51から絶縁する目的だけであれば、支柱20の埋設部に金属、樹脂等の硬質素材の管体を外装すればよい。
被覆部材として硬質の管体を用いた場合、管体コストが高くつくだけでなく、製造公差により、支柱20と管体の間に隙間を生じ易く、支柱20の外周面に密着させて管体を外装することが難しい。
さらに、支柱20と固結材51の間に硬質の管体が介在すると、支柱20と固結材51間の付着力がほとんど期待できないので、支柱20の支持耐力が小さくなる等の問題が生じる。
本発明ではこれらの問題を解消するために、シート素材からなる絶縁被膜40を使用することとした。
シート状の絶縁被膜40を使用することで、絶縁皮膜のコストを大幅に低減できるだけでなく、支柱20の埋設部と固結材51間の密着性を高めて支柱20の埋設部と固結材51との間での荷重伝達性をよくして、支柱20に必要な立設耐力を確保するとともに、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱20を撤去することができる。
<3>捕捉ネット
捕捉ネット30は金属製、繊維製、又は樹脂製のシングルロープ、シングルチェーン、帯状鋼板の何れか一種、又はこれら複数種を組み合わせて、方形、円形、又は楕円形の網目に編成したネット状物である。
捕捉ネット30には公知の各種ネット状物が適用可能である。
図2に例示した捕捉ネット30について説明する。
この捕捉ネット30は、複数の支柱20の間に掛け渡した水通し部ネット30aと、各支柱20と渓岸G2との間に掛け渡した間隙部ネット30bとを具備する。
間隙部ネット30bは必須ではなく、省略する場合もある。
<3.1>水通し部ネット
水通し部ネット30aはそのネット本体の左右両辺が支柱20に固定してある。
図2,3に例示した水通し部ネット30aについて説明する。
水通し部ネット30aは、複数の縦索31と横索32を摺動不能に交差させて格子状に組み立てた帯状のネット本体33と、ネット本体33を複数の支柱20に跨って取り付ける背面ロープ34とを具備する。
ネット本体33は支柱20の渓谷山側に配設し、背面ロープ34は支柱20の渓谷谷側に配設し、これらのネット本体33と背面ロープ34が複数の支柱20の間に連続したループ状の形態で巻き掛けてある。
背面ロープ34はネット本体33の横索32を延長して形成してもよいし、横索32と別体のロープ材を連結して使用してもよい。
支柱20の渓谷谷側に位置する背面ロープ34は、その重合部を固定具等で摺動不能に固定する。
本例では水通し部ネット30aがループ構造を呈している場合について説明するが、水通し部ネット30aは非ループ構造(例えばシングルネット)でも適用可能である。
<3.2>間隙部ネット
間隙部ネット30bは水通し部ネット30aの目合い寸法以下の網目を有するネット状物である。
図2,4を参照して説明すると、間隙部ネット30bが略三角形、又は略台形に囲繞した枠ロープ36と、枠ロープ36内で複数のロープ材を縦横方向に交差させ、その交差部を固定して格子状に形成した内接ネット35とにより構成する。内接ネット35の周縁は枠ロープ36に一体に固定してある。
3.本設捕捉構造物
図1に示すように、本設捕捉構造物60は仮設捕捉構造物10を構築した後に、仮設捕捉構造物10の下流側に構築した捕捉構造物である。
本設捕捉構造物60は公知のコンクリート製堤体、または複数の鋼材を立体的に組み立てた鋼製の砂防ダムや砂防堰堤を含む。
[複合捕捉施設の施工方法]
本願発明では仮設捕捉構造物10を先行して施工し、その後に本設捕捉構造物60を施工するものである。以降に複合捕捉施設を段階的に構築する施工方法について説明する。
1.仮設捕捉構造物の先行施工
図6,7を参照して仮設捕捉構造物10の施工方法について説明する。
図6を参照して特に支柱20の立設方法を中心に説明する。
<1>杭孔の削孔(図6(A),図7(A))
仮設捕捉構造物10の構築予定の渓床G1に所定の間隔を隔て複数の杭孔50を削孔する。
杭孔50を削孔する際、必要に応じてケーシング53を使用して孔壁の崩落を防止する。
<2>支柱の準備(図5)
つぎに埋設部の周囲を絶縁被膜40で覆った支柱20を準備する。
<3>支柱の建て込み(図6(B),図7(B))
絶縁被膜40で覆った支柱20の埋設部を杭孔50に建て込む。
<4>固結材の充填(図6(C),図7(C))
最後に杭孔50と支柱20の間にモルタル等の固結材51を充填する。
削孔時に残置したケーシング53は、固結材51の充填時に撤去する。
なお、以上は支柱20の建て込み後に杭孔50内に固結材51を充填した形態について説明したが、固結材51を先行充填した杭孔50内に支柱20を建て込んでもよい。
<5>支柱の外周面と固結材の密着状態(図6(C),図7(C))
絶縁被膜40は可撓性を有するので、支柱20の埋設部の外周面の全面に密着して付着する。支柱20の埋設部の外周面に多少の凹凸があってもこれらの凹凸に追従して密着し、支柱20の埋設部と固結材51の間に隙間を生じない。
絶縁被膜40は支柱20埋設部と固結材51との間に介在して両部材の間の絶縁している。
<6>捕捉ネットの取り付け(図2)
複数の支柱20の間に捕捉ネット30を取り付けて仮設捕捉構造物10の施工を完了する。
本例では、複数の支柱20の間に水通し部ネット30aを掛け渡すと共に、各支柱20と渓岸G2との間に間隙部ネット30bを掛け渡す。
<7>支柱の支持耐力
支柱20の埋設部は極薄の絶縁被膜40を介して固結材51と全面的に密着しているため、支柱20に作用する曲げ力等の外力は絶縁被膜40を通じて固結材51へ伝えられ、最終的に杭孔50で支持される。
したがって、支柱20と固結材51の一部の接触部に荷重が集中することを回避できて、支柱20として必要とされる十分な支持耐力を確保できる。
2.本設捕捉構造物の施工(図1(B))
<1>本設捕捉構造物
仮設捕捉構造物10の施工を完了したら、仮設捕捉構造物10の下流側に公知の各種本設捕捉構造物60を構築する。
<2>本設捕捉構造物の施工環境
仮設捕捉構造物10は、本設捕捉構造物60を防護する目的で、本設捕捉構造物60の上流側に先行して構築するものである。
したがって、本設捕捉構造物60の施工中に集中豪雨災害があっても、仮設捕捉構造物10が補足機能を発揮して崩落土砂や流木等の流下物を捕捉することができる。
一般に本設捕捉構造物60の施工には長期間を要するため、工事が夏場にかかっても、安全な環境下で本設捕捉構造物60を構築することができる。
3.仮設捕捉構造物の支柱の移設
本設捕捉構造物60の施工を完了したら、以下の要領で仮設捕捉構造物10を構成する支柱20を抜き取り、別途の仮設捕捉構造物10の構築に転用する。
<1>支柱を抜き取り(図6(D),図7(D))
使用目的を終えた仮設捕捉構造物10の構成材を解体する。
最後に残った支柱30に抜取力を加えて、支柱30を抜き取る。
支柱本体は固結材51との間に絶縁被膜40が介在して絶縁構造となっていて、その間の摩擦抵抗が小さくなっているので、支柱20を途中から切断せずに抜き取って回収できる。
そのため、支柱20と固結材51間の付着力を越える抜取力を支柱20に加えることで、支柱20を簡単に抜き取ることができる。
支柱20に抜取力を加える手段としては、例えば支柱20の裾部と突起物と地表の間に介挿した単数または複数のジャッキを利用して支柱20を持ち上げて抜き取ることができる。
現場にクレーンやバックホー等の建設機械の導入が可能な場合は、これらの建設機械を使用して支柱20を抜き取ってもよい。
支柱20と固結材51間は絶縁被膜40で絶縁されているので、その付着力は小さい。
そのため、比較的に小さな力で支柱20を抜き取ることが可能である。
必要に応じて、支柱20に回転力や衝撃力を与える場合もある。
<2>支柱の転用が必要な理由
土砂の崩落が予想される沢に対して間隔を隔てて複数個所に本設捕捉構造物60を構築する場合が多い。さらに、複数の沢が合流している現場では、合流前の分岐した複数の沢に対して本設捕捉構造物60を構築する場合がある。
このような現場において、各本設捕捉構造物60の上流側に防護用の仮設捉構造物10を先行して構築する。
仮設捉構造物10を構築するためには、現地へ資材を搬入する必要がある。
仮設捉構造物10の資材のなかで最も重量が重たい資材は支柱20である。
新規に製作した支柱20を平地から山間部の現場まで搬送して仮設捉構造物10を構築するには、多大の時間と搬入コストを要する。
本発明は仮設捉構造物10の資材のなかで最も重たい支柱20に着目し、支柱20を転用可能にするために、支柱20を抜き取り可能に立設し、使用目的を終えた仮設捉構造物10の近くに、別途の仮設捉構造物10の施工現場があれば、抜き取って回収した支柱20を、別途の仮設捕捉構造物10の構築に転用して再利用することとした。
前述したように、使用目的を終えた近隣の仮設捕捉構造物10から調達した支柱20を再使用して別途の仮設捕捉構造物10を構築できれば、支柱20の搬入に要する費用と時間を大幅に削減できる。
したがって、別途の仮設捕捉構造物10を早期に構築できるだけでなく、別途の仮設捕捉構造物10の下流側に別途の本設捕捉構造物60を安全な環境下で早期に構築することができる。
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
<1>支柱の底部にキャップを付設した形態(図8)
キャップ23を使用して袋状を呈する絶縁被膜40の底部を位置決めするようにしてもよい。
キャップ23は絶縁被膜40の上から被せて、絶縁被膜40の底部の位置ずれを阻止する。
キャップ23は支柱20の底部に内挿する形態でもよいし、支柱20の底部に外装するの何れでもよい。
<2>本例の効果
絶縁被膜40はその口部を固定するだけでなく、キャップ23を取り付けて絶縁被膜40の底部も支柱20の底部に位置決めできるので、支柱20の取り扱い中にかぎらず、支柱20の建て込み時に支柱20の底部が孔壁等に当たっても絶縁被膜40が損傷を受け難くなる。
[実施例3]
<1>支柱にエア抜き用のパイプを付設した形態(図9)
支柱20の建て込み前に、支柱20の埋設部の全長に亘る長さを有する単数または複数のエア抜き用のパイプ54を支柱20の外周面に付設してもよい。
絶縁被膜40は支柱20と共にエア抜き用のパイプ54を被覆する。
<2>本例の効果
杭孔50内に固結材を充填する際、杭孔50の底部近くに空気溜まりを形成し易い。
支柱20の埋設部にエア抜き用のパイプ54を付設することで、杭孔50内に固結材50を充填する際に、杭孔50の底部内の空気をエア抜き用のパイプ54を通じて排気できるので、固結材50を密実に形成することができる。
[実施例4]
<1>支柱の外周面に間詰材を配置した形態(図10)
支柱20の建て込み前に、支柱20の埋設部の全長に亘る長さを有する単数または複数の間詰材55を支柱20の外周面に着脱可能に取り付けてもよい。
間詰材55は軟質材または硬質材の何れでもよい。
絶縁被膜40は支柱20と共に間詰材55を被覆する。
支柱20の外周面に間詰材55を配置したまま、固結材51を充填する。
支柱20を抜き取る際には、支柱20の外周面に配置した間詰材55を撤去する。
間詰材55の撤去方法としては、間詰材55の抜き取りだけでなく、薬液等を使って間詰材55を溶解したり、燃焼により消失させたりしてもよい。
<2>本例の効果
本例にあっては、間詰材55を撤去した跡が空洞になるため、支柱20と固結材51との付着面積が小さくなって、支柱20が抜き取り易くなる。
G・・・・・・斜面
G1・・・・・渓床
G2・・・・・渓岸
10・・・・・仮設用透過型捕捉構造物(本設捕捉構造物)
20・・・・・支柱
21・・・・・係留部
22・・・・・連結部
23・・・・・キャップ
30・・・・・捕捉ネット
30a・・・・水通し部ネット
31・・・・・縦索
32・・・・・横索
33・・・・・ネット本体
34・・・・・背面ロープ
30b・・・・間隙部ネット
35・・・・・内接ネット
36・・・・・枠ロープ
40・・・・・絶縁被膜
50・・・・・杭孔
51・・・・・固結材
52・・・・・アンカー
53・・・・・ケーシング
60・・・・・本設用透過型捕捉構造物(本設捕捉構造物)
本発明は土石流、流木等の土砂捕捉工、河川における流木の捕捉工、斜面落石防止工、雪崩防止工、崩落土砂防止工等に利用可能な透過型捕捉技術に関し、特に抜き取り可能な仮設用の支柱の立設構造に関する。
透過型捕捉構造物としては、複数の支柱と、支柱の間に張り巡らせた高強度のワイヤロープを格子状に形成した捕捉ネットとを具備し、捕捉ネットに作用する衝撃荷重を高剛性の支柱が負担する構造になっている(特許文献1,2)。
従来の透過型捕捉構造物は本設構造物(恒久構造物)として使用することから、資材の搬入から完成までに半年以上の施工期間を要していて、その工事も大型の建設機械を導入した大規模工事となる。
これまでは土砂災害の発生直後に応急対策工を講じる必要性が低かったが、近時のゲリラ豪雨や線状降雨帯による集中豪雨災害に伴う甚大な被害を縮小すべく、応急対策工が重要視されている。
応急対策工の実施にあたっては、短期間のうちに山間部の現場に搬入できる資材や施工機械に制約があるため、これまでにない発想が求められる。
特開2002-339338号公報(図1) 特許第6579553号公報(図1) 特開2006-225879号公報(図1)
従来の土砂災害の対策技術にはつぎのような問題点がある。
<1>本設用透過型捕捉構造物は施工に長期間を要するため、工事が夏場にかかると集中豪雨災害に巻き込まれるおそれがあり、危険性の高い環境下での施工となる。
<2>仮設用透過型捕捉構造物を構成する支柱を回収して、別途の透過型捕捉構造物の支柱として再利用することが考えられる。
支柱が杭式の場合は、杭孔内に建て込んだ支柱と孔壁との間にモルタル等の固結材を充填して一体化した構造であるため、支柱の抜き取りが不能に近い。
仮に杭式の支柱を根元位置から切断すると、支柱の撤去は可能であるが、切り取って短くなった支柱は再利用することができない。
<3>特許文献3には、コンクリート基礎に予め鞘管を設置し、この鞘管内に建て込んだ支柱が受撃によって損傷したときに、支柱を抜き取って交換することが開示されている。
この支柱の抜き取り可能な立設技術は、コンクリート基礎を前提とするため、固結材を介して地中深く支柱を建て込む杭式の支柱に適用することが難しい。
<4>このようなことから、従来は既設の杭式支柱を抜き取り、抜き取った支柱を別途の透過型捕捉構造物に再利用するといった発想はなかった。
<5>従来は土砂災害の対策工を段階的に行うという発想はあるものの、これを実現できる具体的な技術が未だ提案されておらず、実現可能な技術の提案が望まれている。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところはつぎの支柱の立設構造を提供することにある。
<1>支柱に必要な十分な立設耐力を確保できるように、支柱の埋設部と固結材間での荷重伝達性がよく、かつ、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱を撤去できる支柱の立設構造を提供すること。
<2>支柱の現地調達をし易くして、安全な環境下で土砂災害の対策工を段階的に行える支柱の立設構造及び複合捕捉施設の構築方法を提供すること。
<3>複数の透過型捕捉構造物の施工効率を高める支柱の立設構造及び複合捕捉施設の構築方法を提供すること。
本発明は、捕捉ネットを掛け渡す地上部と地中に建て込む埋設部を有する杭式の支柱を杭孔に建て込み、支柱の埋設部と支柱の間に充填した固結材で以て支柱を支持するようにした支柱の立設構造であって、前記支柱の埋設部の周囲を可撓性を有するシート状の絶縁被で被覆し、前記支柱の外周面と杭孔内に充填した固結材の間を前記絶縁被で絶縁し、使用目的を完了した支柱の埋設部を、絶縁被を境にして固結材から抜き取り可能に立設した。
さらに本発明の他の形態において、前記絶縁被膜が支柱の埋設部を被覆可能な袋体、または支柱の埋設部に巻き付けて被覆可能なテープの何れか一種である。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の底部にキャップを装着して絶縁被膜を固定してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の埋設部に沿ってエア抜き用のチューブを付設してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱の埋設部に沿って着脱可能な単数または複数の間詰材を設置してもよい。
さらに本発明の他の形態において、前記支柱が仮設用透過型捕捉構造物の支柱である。
前記した捕捉ネットは、複数の支柱の間に掛け渡した水通し部ネットと、最外端の支柱と渓岸との間に掛け渡した間隙部ネットとを具備する。
前記した水通し部ネットが複数の縦索と横索を交差させて格子状に組み立てた帯状のネット本体と、ネット本体を複数の支柱に跨って取り付ける背面ロープとを具備したループ構造体であり、ネット本体状を支柱の渓谷山側に配設し、背面ロープを支柱の渓谷谷側に配設して複数の支柱間に巻き掛けてある。
前記した間隙部ネットは枠ロープと、該枠ロープに固定して設けられた内接ネットとにより構成されている。
さらに本発明は、斜面の上流位置に位置する抜き取り可能な支柱を具備した仮設用透過型捕捉構造物と、斜面の外流位置に位置する本設用透過型捕捉構造物とよりなる複合捕捉施設の構築方法であって、前記仮設用透過型捕捉構造物を先行して構築し、前記仮設用透過型捕捉構造物で防護した環境下で本設用透過型捕捉構造物を構築する。
さらに本発明の他の形態において、仮設用透過型捕捉構造物の支柱は既述した何れか一つの支柱の立設構造である。
さらに本発明の他の形態において、抜き取った支柱を別途の仮設用透過型捕捉構造物の支柱として再使用する。
本発明はつぎの何れかひとつの効果が得られる。
<1>杭式支柱の埋設部の周囲を可撓性を有するシート状の絶縁被で被覆して、支柱の外周面と杭孔内に充填した固結材の間を隙間なく密着させて立設した。
そのため、絶縁皮膜のコストを大幅に低減できるだけでなく、支柱の埋設部と固結材間での荷重伝達性をよくして、支柱に必要な十分な立設耐力を確保できるとともに、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱を撤去することができる。
<2>本設用透過型捕捉構造物の上流側に仮設用透過型捕捉構造物を先行して構築する。
本設用透過型捕捉構造物の施工中に集中豪雨災害があっても、仮設用透過型捕捉構造物が流下物を捕捉して防護機能を発揮するので、本設用透過型捕捉構造物を安全な環境下で早期に構築することができる。
したがって、安全性を確保した環境下で仮設用透過型捕捉構造物および本設用透過型捕捉構造物からなる複合捕捉施設を段階的に構築できて、実現性の高い土砂災害の対策工を提供できる。
<3>支柱を途中から切断したり損傷させることなく、支柱をきれいに抜き取って回収することができる。
<4>抜き取って回収した支柱を転用して別途の仮設用透過型捕捉構造物を構築することができる。
<5>支柱を現場近くから調達し易くなるので、別途の仮設用透過型捕捉構造物の支柱を平地から現場へ搬入する場合と比べて、支柱の搬入に要する時間とコストを大幅に削減できるうえに、別途の仮設用透過型捕捉構造物を早期に構築することができる。
<6>一般に、山岳部の近隣エリアの複数個所に本設用透過型捕捉構造物を構築する場合には、仮設用透過型捕捉構造物と組み合わせて構築することで、複数の複合捕捉施設の施工効率を高めることができる。
<7>支柱の底部にキャップを装着して絶縁被膜を固定すると、支柱の取り扱い中にかぎらず、支柱の建て込み時に支柱の底部が孔壁等に当たっても絶縁被膜が損傷を受け難くなる。
<8>支柱の埋設部に沿ってエア抜き用のチューブを付設した場合は、杭孔内に固結材を充填する際に、杭孔内の空気をエア抜き用のパイプを通じて外部へ排気できるので、固結材を密実に形成できる。
<9>支柱の埋設部に沿って着脱可能な単数または複数の間詰材を設置すると、間詰材を撤去した跡が空洞になるため、支柱と固結材の付着面積が小さくなって、支柱が抜き取り易くなる。
仮設用透過型捕捉構造物と本設用透過型捕捉構造物を具備した複合捕捉施設のモデル図で、(A)は仮設用透過型捕捉構造物のモデル図、(B)は本設用透過型捕捉構造物のモデル図 仮設用透過型捕捉構造物の正面図 仮設用透過型捕捉構造物の水通し部ネットの説明図で、(A)は水通し部ネットの斜視図、(B)は支柱に設けた係留部の斜視図、(C)は支柱に設けた他の係留部の斜視図 間隙部ネットの取付け構造の説明図で、(A)は間隙部ネットと支柱の上取付部における部分斜視図、(B)は間隙部ネットと支柱の下取付部における部分斜視図 絶縁被膜を取り付けた支柱の斜視図 支柱の建て込み工程と抜き取り工程の説明図で、(A)は杭孔の削孔工程の説明図、(B)は杭孔に支柱を建て込む工程の説明図、(C)は杭孔内に固結材を充填する工程の説明図、(D)は支柱の抜き取り工程の説明図、 支柱の建て込み工程と抜き取り工程の説明図で、(A)は図6(A)のa-aの断面図、(B)は図6(B)のb-bの断面図、(C)は図6(C)のc-cの断面図、(D)は図6(D)のd-dの断面図 支柱の底部にキャップを装着した実施例2の説明図 支柱の埋設部にエア抜き用のチューブを配置した実施例3の説明図 支柱の埋設部に間詰材を配置した実施例4の説明図で、(A)は間詰材を配置した支柱の埋設部の部分水平断面図、(B)間詰材を撤去した支柱の埋設部の部分水平断面図
図1~7を参照して本発明について説明する。
[実施例1]
1.複合捕捉施設
図1を参照して説明すると、複合捕捉施設は斜面Gの上流位置に先行して構築した仮設用透過型捕捉構造物10(以下「仮設捕捉構造物10」という)と、仮設捕捉構造物10の下流側に構築した本設用透過型捕捉構造物60(以下「本設捕捉構造物60」という)とよりなりる。
2.仮設捕捉構造物
仮設捕捉構造物10は渓床G1に間隔を隔てて抜き取り可能に立設した複数の支柱20と、複数の支柱20の間に掛け渡した捕捉ネット30とを具備する。
図2~5に例示した仮設捕捉構造物10について説明する。
<1>支柱
支柱20は、捕捉ネット30を支持する高剛性の杭式柱状構造物であり、例えば鋼管、コンクリート充填鋼管、コンクリート柱等の高剛性の柱体である。
支柱20は渓床G1の杭孔50に建て込む埋設部と、地表に露出する地上部とを有する。
<1.1>支柱の埋設部
支柱20の埋設部は杭孔50内に建て込み、固結材51を介して立設する部位である。
支柱20の埋設部の全長は土質や支柱20の支持耐力等を考慮して適宜選択する。
各支柱20の埋設部は可撓性の絶縁被膜40で覆われていて、絶縁被膜40を介してモルタル等の固結材51を充填した杭孔50に建て込まれている。
支柱20の埋設部を可撓性の絶縁被膜40で被覆するのは、支柱20に必要な立設耐力を確保しつつ、使用目的終了後に支柱20の抜き取りを可能にするためである。
絶縁被膜40の詳細については後述する。
<1.2>支柱の地上部
支柱20の地上部には、捕捉ネット30を取り付けるための連結素子が設けてあり、これらの連結素子を介して複数の支柱20の地上部の間に捕捉ネット30が掛け渡してある。
本例では、支柱20の地上部の外周面に水通し部ネット30aを取り付けるための複数の係留部21と、間隙部ネット30bを取り付けるための連結部22を設けた形態について説明する。
<1.2.1>係留部
係留部21は、支柱20の前後の外周面に対をなして形成する。
図3に例示した係留部21は、支柱20の外周面に突設した上下一対のブラケット21a,21aと、一対のブラケット21a,21a間に縦向きに貫挿した係留ピン21bを具備する。
図3(B)では平板をコ字形に屈曲したブラケット21aを示しているが、同図(C)のように平板状のブラケット21aを使用してもよい。
これらの各係留部21を介して複数の支柱20間にループ状の水通し部ネット30aを巻き掛けて取り付ける。
<1.2.2>連結部
連結部21は、最外端の支柱(端末支柱)20の上下部に形成する。
図4に例示した連結部22について説明すると、連結部22は最外端の支柱(端末支柱)20の上下部に突設した一対のブラケット22a,22aと、一対のブラケット22a,22a間に縦向きに貫挿した止めピン22bとを具備する。
これらの各連結部22を介して最外端の支柱(端末支柱)20と渓岸G2に設けたアンカー52(図1参照)との間に間隙部ネット30bを取り付ける。
<2>絶縁被膜
図2,5を参照して説明する。
絶縁被膜40は支柱20の埋設部の全体を被覆できる被覆部材であり、可撓性を有する薄厚のシート状物で形成してある。
支柱20の埋設部を可撓性の絶縁被膜40で被覆するのは、支柱20と固結材51との間で荷重の伝達を可能にすることと、支柱20と固結材51との間の付着抵抗を小さくして、転用時に支柱20の抜き取りをし易くするためである。
<2.1>絶縁被膜の素材
絶縁被膜40は固結材51の透過を規制できる可撓性を有するシート状物であり、例えばポリエチレン等の樹脂製の袋体または樹脂製のテープ等を適用できる。
絶縁被膜40には1mm以下の、有底または無底構造の極薄ポリチューブが好適である。
本例では絶縁被膜40が袋体である場合について説明する。
絶縁被膜40は支柱20の埋設部を収容可能な深さを有し、袋体の開口部を紐や接着テープ等で閉じておく。
絶縁被膜40がテープの形態である場合は、支柱20の埋設部の外周面にテープを巻き付けて支柱20の埋設部の全域を被覆する。
テープの形態である場合、テープの両端部は支柱20に固定するが、支柱20の埋設部の外周面に巻き付けたテープの大半は非接着状態で巻き付けることが望ましい。
<2.2>絶縁被膜に可撓性を付与した理由
支柱20を固結材51から絶縁する目的だけであれば、支柱20の埋設部に金属、樹脂等の硬質素材の管体を外装すればよい。
被覆部材として硬質の管体を用いた場合、管体コストが高くつくだけでなく、製造公差により、支柱20と管体の間に隙間を生じ易く、支柱20の外周面に密着させて管体を外装することが難しい。
さらに、支柱20と固結材51の間に硬質の管体が介在すると、支柱20と固結材51間の付着力がほとんど期待できないので、支柱20の支持耐力が小さくなる等の問題が生じる。
本発明ではこれらの問題を解消するために、シート素材からなる絶縁被膜40を使用することとした。
シート状の絶縁被膜40を使用することで、絶縁皮膜のコストを大幅に低減できるだけでなく、支柱20の埋設部と固結材51間の密着性を高めて支柱20の埋設部と固結材51との間での荷重伝達性をよくして、支柱20に必要な立設耐力を確保するとともに、使用目的の終了後に小さな抜取力で支柱20を撤去することができる。
<3>捕捉ネット
捕捉ネット30は金属製、繊維製、又は樹脂製のシングルロープ、シングルチェーン、帯状鋼板の何れか一種、又はこれら複数種を組み合わせて、方形、円形、又は楕円形の網目に編成したネット状物である。
捕捉ネット30には公知の各種ネット状物が適用可能である。
図2に例示した捕捉ネット30について説明する。
この捕捉ネット30は、複数の支柱20の間に掛け渡した水通し部ネット30aと、各支柱20と渓岸G2との間に掛け渡した間隙部ネット30bとを具備する。
間隙部ネット30bは必須ではなく、省略する場合もある。
<3.1>水通し部ネット
水通し部ネット30aはそのネット本体の左右両辺が支柱20に固定してある。
図2,3に例示した水通し部ネット30aについて説明する。
水通し部ネット30aは、複数の縦索31と横索32を摺動不能に交差させて格子状に組み立てた帯状のネット本体33と、ネット本体33を複数の支柱20に跨って取り付ける背面ロープ34とを具備する。
ネット本体33は支柱20の渓谷山側に配設し、背面ロープ34は支柱20の渓谷谷側に配設し、これらのネット本体33と背面ロープ34が複数の支柱20の間に連続したループ状の形態で巻き掛けてある。
背面ロープ34はネット本体33の横索32を延長して形成してもよいし、横索32と別体のロープ材を連結して使用してもよい。
支柱20の渓谷谷側に位置する背面ロープ34は、その重合部を固定具等で摺動不能に固定する。
本例では水通し部ネット30aがループ構造を呈している場合について説明するが、水通し部ネット30aは非ループ構造(例えばシングルネット)でも適用可能である。
<3.2>間隙部ネット
間隙部ネット30bは水通し部ネット30aの目合い寸法以下の網目を有するネット状物である。
図2,4を参照して説明すると、間隙部ネット30bが略三角形、又は略台形に囲繞した枠ロープ36と、枠ロープ36内で複数のロープ材を縦横方向に交差させ、その交差部を固定して格子状に形成した内接ネット35とにより構成する。内接ネット35の周縁は枠ロープ36に一体に固定してある。
3.本設捕捉構造物
図1に示すように、本設捕捉構造物60は仮設捕捉構造物10を構築した後に、仮設捕捉構造物10の下流側に構築した捕捉構造物である。
本設捕捉構造物60は公知のコンクリート製堤体、または複数の鋼材を立体的に組み立てた鋼製の砂防ダムや砂防堰堤を含む。
[複合捕捉施設の施工方法]
本願発明では仮設捕捉構造物10を先行して施工し、その後に本設捕捉構造物60を施工するものである。以降に複合捕捉施設を段階的に構築する施工方法について説明する。
1.仮設捕捉構造物の先行施工
図6,7を参照して仮設捕捉構造物10の施工方法について説明する。
図6を参照して特に支柱20の立設方法を中心に説明する。
<1>杭孔の削孔(図6(A),図7(A))
仮設捕捉構造物10の構築予定の渓床G1に所定の間隔を隔て複数の杭孔50を削孔する。
杭孔50を削孔する際、必要に応じてケーシング53を使用して孔壁の崩落を防止する。
<2>支柱の準備(図5)
つぎに埋設部の周囲を絶縁被膜40で覆った支柱20を準備する。
<3>支柱の建て込み(図6(B),図7(B))
絶縁被膜40で覆った支柱20の埋設部を杭孔50に建て込む。
<4>固結材の充填(図6(C),図7(C))
最後に杭孔50と支柱20の間にモルタル等の固結材51を充填する。
削孔時に残置したケーシング53は、固結材51の充填時に撤去する。
なお、以上は支柱20の建て込み後に杭孔50内に固結材51を充填した形態について説明したが、固結材51を先行充填した杭孔50内に支柱20を建て込んでもよい。
<5>支柱の外周面と固結材の密着状態(図6(C),図7(C))
絶縁被膜40は可撓性を有するので、支柱20の埋設部の外周面の全面に密着して付着する。支柱20の埋設部の外周面に多少の凹凸があってもこれらの凹凸に追従して密着し、支柱20の埋設部と固結材51の間に隙間を生じない。
絶縁被膜40は支柱20埋設部と固結材51との間に介在して両部材の間の絶縁している。
<6>捕捉ネットの取り付け(図2)
複数の支柱20の間に捕捉ネット30を取り付けて仮設捕捉構造物10の施工を完了する。
本例では、複数の支柱20の間に水通し部ネット30aを掛け渡すと共に、各支柱20と渓岸G2との間に間隙部ネット30bを掛け渡す。
<7>支柱の支持耐力
支柱20の埋設部は極薄の絶縁被膜40を介して固結材51と全面的に密着しているため、支柱20に作用する曲げ力等の外力は絶縁被膜40を通じて固結材51へ伝えられ、最終的に杭孔50で支持される。
したがって、支柱20と固結材51の一部の接触部に荷重が集中することを回避できて、支柱20として必要とされる十分な支持耐力を確保できる。
2.本設捕捉構造物の施工(図1(B))
<1>本設捕捉構造物
仮設捕捉構造物10の施工を完了したら、仮設捕捉構造物10の下流側に公知の各種本設捕捉構造物60を構築する。
<2>本設捕捉構造物の施工環境
仮設捕捉構造物10は、本設捕捉構造物60を防護する目的で、本設捕捉構造物60の上流側に先行して構築するものである。
したがって、本設捕捉構造物60の施工中に集中豪雨災害があっても、仮設捕捉構造物10が補足機能を発揮して崩落土砂や流木等の流下物を捕捉することができる。
一般に本設捕捉構造物60の施工には長期間を要するため、工事が夏場にかかっても、安全な環境下で本設捕捉構造物60を構築することができる。
3.仮設捕捉構造物の支柱の移設
本設捕捉構造物60の施工を完了したら、以下の要領で仮設捕捉構造物10を構成する支柱20を抜き取り、別途の仮設捕捉構造物10の構築に転用する。
<1>支柱を抜き取り(図6(D),図7(D))
使用目的を終えた仮設捕捉構造物10の構成材を解体する。
最後に残った支柱30に抜取力を加えて、支柱30を抜き取る。
支柱本体は固結材51との間に絶縁被膜40が介在して絶縁構造となっていて、その間の摩擦抵抗が小さくなっているので、支柱20を途中から切断せずに抜き取って回収できる。
そのため、支柱20と固結材51間の付着力を越える抜取力を支柱20に加えることで、支柱20を簡単に抜き取ることができる。
支柱20に抜取力を加える手段としては、例えば支柱20の裾部と突起物と地表の間に介挿した単数または複数のジャッキを利用して支柱20を持ち上げて抜き取ることができる。
現場にクレーンやバックホー等の建設機械の導入が可能な場合は、これらの建設機械を使用して支柱20を抜き取ってもよい。
支柱20と固結材51間は絶縁被膜40で絶縁されているので、その付着力は小さい。
そのため、比較的に小さな力で支柱20を抜き取ることが可能である。
必要に応じて、支柱20に回転力や衝撃力を与える場合もある。
<2>支柱の転用が必要な理由
土砂の崩落が予想される沢に対して間隔を隔てて複数個所に本設捕捉構造物60を構築する場合が多い。さらに、複数の沢が合流している現場では、合流前の分岐した複数の沢に対して本設捕捉構造物60を構築する場合がある。
このような現場において、各本設捕捉構造物60の上流側に防護用の仮設捉構造物10を先行して構築する。
仮設捉構造物10を構築するためには、現地へ資材を搬入する必要がある。
仮設捉構造物10の資材のなかで最も重量が重たい資材は支柱20である。
新規に製作した支柱20を平地から山間部の現場まで搬送して仮設捉構造物10を構築するには、多大の時間と搬入コストを要する。
本発明は仮設捉構造物10の資材のなかで最も重たい支柱20に着目し、支柱20を転用可能にするために、支柱20を抜き取り可能に立設し、使用目的を終えた仮設捉構造物10の近くに、別途の仮設捉構造物10の施工現場があれば、抜き取って回収した支柱20を、別途の仮設捕捉構造物10の構築に転用して再利用することとした。
前述したように、使用目的を終えた近隣の仮設捕捉構造物10から調達した支柱20を再使用して別途の仮設捕捉構造物10を構築できれば、支柱20の搬入に要する費用と時間を大幅に削減できる。
したがって、別途の仮設捕捉構造物10を早期に構築できるだけでなく、別途の仮設捕捉構造物10の下流側に別途の本設捕捉構造物60を安全な環境下で早期に構築することができる。
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
<1>支柱の底部にキャップを付設した形態(図8)
キャップ23を使用して袋状を呈する絶縁被膜40の底部を位置決めするようにしてもよい。
キャップ23は絶縁被膜40の上から被せて、絶縁被膜40の底部の位置ずれを阻止する。
キャップ23は支柱20の底部に内挿する形態でもよいし、支柱20の底部に外装するの何れでもよい。
<2>本例の効果
絶縁被膜40はその口部を固定するだけでなく、キャップ23を取り付けて絶縁被膜40の底部も支柱20の底部に位置決めできるので、支柱20の取り扱い中にかぎらず、支柱20の建て込み時に支柱20の底部が孔壁等に当たっても絶縁被膜40が損傷を受け難くなる。
[実施例3]
<1>支柱にエア抜き用のパイプを付設した形態(図9)
支柱20の建て込み前に、支柱20の埋設部の全長に亘る長さを有する単数または複数のエア抜き用のパイプ54を支柱20の外周面に付設してもよい。
絶縁被膜40は支柱20と共にエア抜き用のパイプ54を被覆する。
<2>本例の効果
杭孔50内に固結材を充填する際、杭孔50の底部近くに空気溜まりを形成し易い。
支柱20の埋設部にエア抜き用のパイプ54を付設することで、杭孔50内に固結材50を充填する際に、杭孔50の底部内の空気をエア抜き用のパイプ54を通じて排気できるので、固結材50を密実に形成することができる。
[実施例4]
<1>支柱の外周面に間詰材を配置した形態(図10)
支柱20の建て込み前に、支柱20の埋設部の全長に亘る長さを有する単数または複数の間詰材55を支柱20の外周面に着脱可能に取り付けてもよい。
間詰材55は軟質材または硬質材の何れでもよい。
絶縁被膜40は支柱20と共に間詰材55を被覆する。
支柱20の外周面に間詰材55を配置したまま、固結材51を充填する。
支柱20を抜き取る際には、支柱20の外周面に配置した間詰材55を撤去する。
間詰材55の撤去方法としては、間詰材55の抜き取りだけでなく、薬液等を使って間詰材55を溶解したり、燃焼により消失させたりしてもよい。
<2>本例の効果
本例にあっては、間詰材55を撤去した跡が空洞になるため、支柱20と固結材51との付着面積が小さくなって、支柱20が抜き取り易くなる。
G・・・・・・斜面
G1・・・・・渓床
G2・・・・・渓岸
10・・・・・仮設用透過型捕捉構造物(本設捕捉構造物)
20・・・・・支柱
21・・・・・係留部
22・・・・・連結部
23・・・・・キャップ
30・・・・・捕捉ネット
30a・・・・水通し部ネット
31・・・・・縦索
32・・・・・横索
33・・・・・ネット本体
34・・・・・背面ロープ
30b・・・・間隙部ネット
35・・・・・内接ネット
36・・・・・枠ロープ
40・・・・・絶縁被膜
50・・・・・杭孔
51・・・・・固結材
52・・・・・アンカー
53・・・・・ケーシング
60・・・・・本設用透過型捕捉構造物(本設捕捉構造物)

Claims (12)

  1. 捕捉ネットを掛け渡す地上部と地中に建て込む埋設部を有する杭式の支柱を杭孔に建て込み、支柱の埋設部と支柱の間に充填した固結材で以て支柱を支持するようにした支柱の立設構造であって、
    前記支柱の埋設部の周囲を可撓性を有するシート状の絶縁被覆で被覆し、
    前記支柱の外周面と杭孔内に充填した固結材の間を前記絶縁被覆で絶縁し、
    使用目的を完了した支柱の埋設部を、絶縁被覆を境にして固結材から抜き取り可能に立設したことを特徴とする、
    支柱の立設構造。
  2. 前記絶縁被膜が支柱の埋設部を被覆可能な袋体、または支柱の埋設部に巻き付けて被覆可能なテープの何れか一種であることを特徴とする、請求項1に記載の支柱の立設構造。
  3. 前記支柱の底部にキャップを装着して絶縁被膜を固定したことを特徴とする、請求項1に記載の支柱の立設構造。
  4. 前記支柱の埋設部に沿ってエア抜き用のチューブを付設したことを特徴とする、請求項1に記載の支柱の立設構造。
  5. 前記支柱の埋設部に沿って着脱可能な単数または複数の間詰材を設置したことを特徴とする、請求項1に記載の支柱の立設構造。
  6. 前記支柱が仮設用透過型捕捉構造物の支柱であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の支柱の立設構造。
  7. 前記捕捉ネットが複数の支柱の間に掛け渡した水通し部ネットと、最外端の支柱と渓岸との間に掛け渡した間隙部ネットとを具備することを特徴とする、請求項6に記載の支柱の立設構造。
  8. 前記水通し部ネットが複数の縦索と横索を交差させて格子状に組み立てた帯状のネット本体と、ネット本体を複数の支柱に跨って取り付ける背面ロープとを具備したループ構造体であり、ネット本体状を支柱の渓谷山側に配設し、背面ロープを支柱の渓谷谷側に配設して複数の支柱間に巻き掛けてあることを特徴とする、請求項7に記載の支柱の立設構造。
  9. 前記間隙部ネットが枠ロープと、該枠ロープに固定して設けられた内接ネットとにより構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の支柱の立設構造。
  10. 斜面の上流位置に位置する抜き取り可能な支柱を具備した仮設用透過型捕捉構造物と、斜面の外流位置に位置する本設用透過型捕捉構造物とよりなる複合捕捉施設の構築方法であって、
    前記仮設用透過型捕捉構造物を先行して構築し、
    前記仮設用透過型捕捉構造物で防護した環境下で本設用透過型捕捉構造物を構築することを特徴とする、
    複合捕捉施設の構築方法。
  11. 仮設用透過型捕捉構造物の支柱が前記請求項1乃至9に記載した支柱の立設構造であることを特徴とする、請求項10に記載の複合捕捉施設の構築方法。
  12. 抜き取った支柱を別途の仮設用透過型捕捉構造物の支柱として再使用することを特徴とする、請求項10または11に記載の複合捕捉施設の構築方法。
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