JP6676462B2 - 堤防補強工法 - Google Patents
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Description
しかしながら、かかる工法は手間を要し工期が長引き、また、コンクリートブロックの張り付けに熟練した専門工を必要とする等の欠点があった。
上述したようなブロックマットを法面に敷設する際には、ブロックマットをクレーンでつり上げての作業となる。この場合、現場にクレーンを据えての作業となるが、現場の状況によってはクレーン作業が困難な場合もある。
これに対し、金属線等からなるかご型枠内にコンクリートを打設した、かごを用いた補強工法が採用されている(例えば特許文献2参照)。この工法によればクレーンを必要とせず、現場での組み立て、打設が可能となる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
網状部材からなる外枠を備えたかご型枠と、該かご型枠の一端側に延びるように予め一体化された補強用シートとを有するかご型枠複合体を用いた堤防補強工法であって、以下の工程:
(1)堤体法面の法尻部を掘削する、
(2)掘削された前記法尻部に、前記補強用シートの端部を該法尻部に合わせて、1つ目の前記かご型枠複合体を敷設する、
(3)1つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土、転圧する、
(4)前記堤体法面のうち前記盛土の上段部分を掘削する、
(5)前記盛土の法面を前記かご型枠で覆うように、2つ目の前記かご型枠複合体を敷設する、
(6)前記盛土の上面を覆うように、2つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを敷設する、
(7)2つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土する、
(8)前記堤体法面のうち2つ目の前記かご型枠複合体の上段部分を掘削する、
(9)(5)〜(8)を繰り返し、
(10)所定の高さまで前記かご型枠複合体を敷設した後、前記かご型枠内に中詰め材を充填する、
を有することを特徴とする堤防補強工法。
[2]
前記補強用シートの長さが、1m以上である、[1]に記載の堤防補強工法。
[3]
前記補強用シートが、織布、不織布、ジオグリッドおよび金網からなる群から選ばれる1つ、あるいは2つ以上を組み合わせたものである、[1]または[2]に記載の堤防補強工法。
[4]
前記工法が施される前記堤体法面が、堤内側である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の堤防補強工法。
[5]
前記外枠が、網状部材よりなるパネルを箱型に固定したものである、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の堤防補強工法。
[6]
前記網状部材が、鉄線、鉄筋から構成されたものである、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の堤防補強工法。
[7]
前記かご型枠において、前記外枠の中に合成繊維シートからなる袋体が取り付けされ一体化されている、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
[8]
前記中詰め材が、前記袋体内に充填されるコンクリートである、[7]に記載の堤防補強工法。
[9]
前記袋体が、コンクリートの注入口を有する、[7]または[8]に記載の堤防補強工法。
[10]
前記中詰め材が、砕石である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
図1は、本発明の堤防補強工法により形成された堤防保護工を模式的に示す断面図である。
本発明の堤防補強工法は、かご型枠を用いた堤防補強工法であって、かご型枠1一端側に延びるように補強用シート8が予め一体化されてかご型枠複合体9とされており、補強用シート8を堤体内に埋め込むことを特徴とする。
かご型枠を用いた堤防法面補強工事において、補強用シート8を堤体内に埋め込むことで、かごに作用する掃流力に、シートと堤体土質との摩擦力、シートの引張力を加味することができ、従来の法面保護工より掃流力に対する抵抗性を向上させるとともに、堤体盛土の補強もすることができる。
まず、本発明の工法において用いられるかご型枠複合体9について説明する。
図2は、本発明において用いられるかご型枠複合体9の一例を示す斜視図である。
かご型枠複合体9は、かご型枠1と、かご型枠1の一端側に延びるように、予め一体化された補強用シート8とを有する。かご型枠1は、網状部材よりなる外枠2に合成繊維シートにて作製した袋体3を取り付け一体化して成る。
補強用シート8は、織布、不織布、ジオグリッドおよび金網からなる群から1つ、あるいは2つ以上を組み合わせたものであることが好ましい。織布としては、合成繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のオレフィン系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリビニルアルコール繊維等の汎用繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド等の機能繊維、天然繊維、再生化学繊維等が挙げられ、これらを単独でも組み合わせて用いてもよい。また、タスラン加工糸やスパン加工糸を使用してもよい。シートは織布、編物を問わないが、伸びの少ない織布であることが好ましい。
ジオグリッドは格子状の高分子材料であり、補強土壁を構築する際に盛土に敷設される盛土補強用の面状補強材や層厚管理材に用いられるものであるが、本発明の目的を満たすために、強度、厚さ、高分子材料の太さ、縦横方向の間隔等を適宜調整したものを用いることが可能である。
法面補強工事において堤体に埋め込まれる補強用シート8の長さは、1m以上とすることが好ましい。1m以上とすることにより、シートと堤体土質との摩擦力を十分に確保することができる。
網状部材を組み立てて外枠とした後に補強用シート8を取り付けてもよいし、網状部材の1つに補強用シート8を取り付けた後に、組み立てて外枠2としてもよい。
本実施形態の堤防補強工法は、網状部材からなる外枠の中に合成繊維シートからなる袋体を取り付け一体化させたかご型枠と、該かご型枠の一端側に延びるように予め一体化された補強用シートとを有するかご型枠複合体を用いた堤防補強工法であって、以下の工程:
(1)堤体法面の法尻部を掘削する、
(2)掘削された前記法尻部に、前記補強用シートの端部を該法尻部に合わせて、1つ目の前記かご型枠複合体を敷設する、
(3)前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土、転圧する、
(4)前記堤体法面のうち前記盛土の上段部分を掘削する、
(5)前記盛土の法面を前記かご型枠で覆うように、2つ目の前記かご型枠複合体を敷設する、
(6)前記盛土の上面を覆うように、2つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを敷設する、
(7)2つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土する、
(8)前記堤体法面のうち2つ目の前記かご型枠複合体の上段部分を掘削する、
(9)(5)〜(8)を繰り返し、
(10)所定の高さまで前記かご型枠複合体を敷設した後、前記袋体内にコンクリートを打設する、
を有する。
以下、各工程について詳しく説明する。
図5、図6に示すように、堤体法面10の法尻部11を掘削する。
図7に示すように、補強用シート8の端部を法尻部11に合わせて、かご型枠複合体9を敷設する。アンカーピンを打ち込むことなどにより、かご型枠複合体9を固定してもよい。
図8に示すように、補強用シート8上に盛土12を施す。盛土12は、法面13と上面14とを有する略台形状に形成される。盛土12の法面13を規定する法面材を用いてもよい。
次いで、盛土12の上面14を転圧して平坦な転圧面を形成する。これにより補強用シート8を堤体中に強固に埋設することができる。
続く(5)の工程で、盛土12の法面13にかご型枠複合体9のかご型枠1を敷設する際に、かご型枠1が余ったり不足したりすることがないように、盛土12の法面13の長さは、かご型枠1の長さとほぼ同じとすることが好ましい。
また、続く(6)の工程で、盛土12の上面14にかご型枠複合体9の補強用シート8を敷設する際に、補強用シート8が余ることがないように、盛土12の上面14の長さは、補強用シート8の長さよりも長くすることが好ましい。
図9に示すように、堤体法面10のうち盛土12の上段部分を掘削する。
図10に示すように、2つ目のかご型枠複合体9のかご型枠1を盛土12の法面13に敷設する。このとき、かご型枠複合体9の補強用シート8の部分は、折り曲げて、かご型枠複合体9側に重ねておく。
アンカーピンを打ち込むことなどにより、かご型枠1を法面に固定してもよい。これによりかご型枠1を強固に敷設することができる。
図11に示すように、かご型枠1と補強用シート8との境を支点として補強用シート8を回動させることにより、盛土12の上面14を覆うように補強用シート8を敷設する。
図12に示すように、2つ目の補強用シート8上に盛土12を施し、盛土12の上面14を転圧して平坦な転圧面を形成する。
これにより、法面の法尻部11の補強(1つ目)と、1段目のかご型枠複合体9(2つ目)の法面への敷設が完了する。
(9)(5)〜(8)を、所定の高さとなるまで繰り返す。
3つ目以降(2段目以降)のかご型枠複合体9も、(5)〜(8)で説明した、2つ目(1段目)のかご型枠複合体9の敷設と同じように、かご型枠複合体9の敷設、補強用シート8の敷設、盛土および転圧、法面の掘削、からなる一連の工程を進行させ、所望の高さになるまで繰り返す(図13)。
具体的には、所定の高さまでかご型枠複合体9を敷設した後、袋体3内にコンクリートを打設する。
袋体3へのコンクリート注入の方法は、袋体3の注入口4に、コンクリート注入ホースを指し込み、注入口4と注入ホースを接続し、その後袋体内にコンクリートを注入し、袋体内に所定のコンクリートが充填されたら、注入口4からコンクリート注入ホースを抜き取り、注入口4を閉鎖する。注入口4と注入ホースとの取付け、及び注入口4の閉鎖には、注入口4に取り付けたロープを用いるのが好ましい。順次、連続してかご型枠複合体9の袋体内にコンクリートの注入を行う。
かご型枠1の袋体3へのコンクリートの注入は、一段ずつ行ってもよいし、複数段すべてのかご型枠複合体9を敷設した後に、一度にまとめて行ってもよい。
なお、最上部には、管理用道路等アスファルト、コンクリート舗装がなされたり、他の構造物を構築するために、盛土以外の材料が積上げられる場合がある。
つぎに、本発明の工法において用いられるかご型枠複合体9の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明では上述した第1実施形態と異なる部分について主に説明し、同様の部分についてはその説明を省略する。
図14は、かご型枠複合体9の他の一例(第2実施形態)を示す斜視図である。
かご型枠複合体9は、かご型枠1と、かご型枠1の一端側に延びるように、予め一体化された補強用シート8とを有する。かご型枠1は、網状部材よりなる外枠2からなる。かご型枠1内には、中詰め材として砕石20等が充填されている。
(1)堤体法面の法尻部を掘削する、
(2)掘削された前記法尻部に、補強用シートの端部を法尻部に合わせて、1つ目の前記かご型枠複合体を敷設する、
(3)1つ目のかご型枠複合体の前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土、転圧する、
(4)堤体法面のうち前記盛土の上段部分を掘削する、
(5)盛土の法面を前記かご型枠で覆うように、2つ目のかご型枠複合体を敷設する、
(6)盛土の上面を覆うように、2つ目の前記かご型枠複合体の補強用シートを敷設する、
(7)2つ目のかご型枠複合体の補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土する、
(8)堤体法面のうち2つ目のかご型枠複合体の上段部分を掘削する、
(9)(5)〜(8)を繰り返し、
(10)所定の高さまで前記かご型枠複合体を敷設した後、かご型枠内に中詰め材を充填する。
(10)において、所定の高さまでかご型枠複合体9を敷設した後、かご型枠1内に砕石20等の中詰め材を充填する。かご型枠1への砕石20の充填は、一段ずつ行ってもよいし、複数段すべてのかご型枠複合体9を敷設した後に、一度にまとめて行ってもよい。
このようにして形成される堤防保護工は、補強用シートが堤体内に埋め込まれていることで、かご型枠に作用する掃流力に、シートと堤体土質との摩擦力、シートの引張力を加味することができ、従来のブロックマットおよび蛇篭より掃流力に対する抵抗性が向上するとともに、堤体盛土も補強されたものとなる。
とくに、本発明の目的が、海岸や河川堤防において津波や河川水流が堤防を越えて越流する際の、法面保護工の破壊、流失を防ぐことであることから、本発明の堤防補強工法が施される堤体法面は、堤内側であることが好ましい。もちろん、堤外側法面の補強工事や、堤防以外の法面補強工事にも本発明の工法を適用することができる。
2 :外枠
3 :袋体
4 :注入口
5 :排出口
6 :コの字パネル
7 :平パネル
8 :補強用シート
9 :かご型枠複合体
10 :堤体法面
11 :法尻部
12 :盛土
13 :法面
14 :上面
20 :砕石
Claims (10)
- 網状部材からなる外枠を備えたかご型枠と、該かご型枠の一端側に延びるように予め一体化された補強用シートとを有するかご型枠複合体を用いた堤防補強工法であって、以下の工程:
(1)堤体法面の法尻部を掘削する、
(2)掘削された前記法尻部に、前記補強用シートの端部を該法尻部に合わせて、1つ目の前記かご型枠複合体を敷設する、
(3)1つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土、転圧する、
(4)前記堤体法面のうち前記盛土の上段部分を掘削する、
(5)前記盛土の法面を前記かご型枠で覆うように、2つ目の前記かご型枠複合体を敷設する、
(6)前記盛土の上面を覆うように、2つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを敷設する、
(7)2つ目の前記かご型枠複合体の前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土する、
(8)前記堤体法面のうち2つ目の前記かご型枠複合体の上段部分を掘削する、
(9)(5)〜(8)を繰り返し、
(10)所定の高さまで前記かご型枠複合体を敷設した後、前記かご型枠内に中詰め材を充填する、
を有することを特徴とする堤防補強工法。 - 前記補強用シートの長さが、1m以上である、請求項1に記載の堤防補強工法。
- 前記補強用シートが、織布、不織布、ジオグリッドおよび金網からなる群から選ばれる1つ、あるいは2つ以上を組み合わせたものである、請求項1または2に記載の堤防補強工法。
- 前記工法が施される前記堤体法面が、堤内側である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
- 前記外枠が、網状部材よりなるパネルを箱型に固定したものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
- 前記網状部材が、鉄線、鉄筋から構成されたものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
- 前記かご型枠において、前記外枠の中に合成繊維シートからなる袋体が取り付けされ一体化されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
- 前記中詰め材が、前記袋体内に充填されるコンクリートである、請求項7に記載の堤防補強工法。
- 前記袋体が、コンクリートの注入口を有する、請求項7または8に記載の堤防補強工法。
- 前記中詰め材が、砕石である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
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