JP6676463B2 - 堤防補強工法 - Google Patents
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Description
しかしながら、かかる工法は手間を要し工期が長引き、また、コンクリートブロックの張り付けに熟練した専門工を必要とする等の欠点があった。
通常の法面保護工(ブロックマットや、護岸ブロック)は法面上に置かれた状況であり、必要に応じてアンカーピン(杭)などで固定される。法面に敷設されたブロックは、その重量や形状によって決まる抵抗力により水流の掃流力に抵抗する。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、従来のブロックマットより掃流力に対する抵抗性を向上させるとともに、堤体盛土の補強もすることができる、改良された堤防補強工法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
ブロックマット用シートに補強用ブロックが接着・固定された地盤補強用ブロックマットを用いた堤防補強工法であって、以下の工程:
(1)補強用シートが前記ブロックマットの一端側に延びるように、前記ブロックマット用シートと該補強用シートとを一体化する、
(2)堤体法面の法尻部を掘削する、
(3)掘削された前記法尻部に、前記補強用シートの端部を該法尻部に合わせて、1枚目の前記ブロックマットを敷設する。
(4)1枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土、転圧する、
(5)前記堤体法面のうち前記盛土の上段部分を掘削する、
(6)前記盛土の法面を前記補強用ブロック部分で覆うように、2枚目の前記ブロックマットを敷設する、
(7)前記盛土の上面を覆うように、2枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを敷設する、
(8)2枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土する、
(9)前記堤体法面のうち2枚目の前記ブロックマットの上段部分を掘削する、
(10)(6)〜(9)を繰り返す、
を有することを特徴とする、堤防補強工法。
[2]
前記補強用シートの長さが、1m以上である、[1]に記載の堤防補強工法。
[3]
前記補強用シートが、織布、不織布、ジオグリッドおよび金網からなる群から選ばれる1つ、あるいは2つ以上を組み合わせたものである、[1]または[2]に記載の堤防補強工法。
[4]
前記工程(1)において、前記ブロックマット用シートと前記補強用シートとを重ねて接合する、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の堤防補強工法。
[5]
前記工程(1)において、前記ブロックマット用シートの一端部に、前記補強用シートを接合する、[1]〜[3]3のいずれか一つに記載の堤防補強工法。
[6]
前記工法が施される前記堤体法面が、堤内側である、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の堤防補強工法。
図1は、本発明の堤防補強工法により形成された堤防保護工を模式的に示す断面図である。
本発明の堤防補強工法は、ブロックマット用シート2に補強用ブロック3が接着・固定された地盤補強用ブロックマット1を用いた堤防補強工法であって、ブロックマット用シート2の一端部に補強用シート4が予め一体化されており、補強用シート4を堤体内に埋め込むことを特徴とする。
ブロックマットを用いた堤防法面補強工事において、補強用シート4を堤体内に埋め込むことで、ブロックに作用する掃流力に、シートと堤体土質との摩擦力、シートの引張力を加味することができ、従来のブロックマットより掃流力に対する抵抗性を向上させるとともに、堤体盛土の補強もすることができる。
図2(a)は、本発明において用いられるブロックマット1の一例を示す平面図である。
この地盤補強用ブロックマット1は、透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の織物からなるブロックマット用シート2に複数の補強用ブロック3が接着・固定されてなる。補強用ブロック3は、ブロックマット用シート2に対して整列して配置され、接着体又は固定体により一体的に固定されている。
また、未硬化のコンクリートブロックにブロックマット用シート2を接触させた後、該コンクリートブロックを硬化させることで、該コンクリートブロックを該ブロックマット用シート2に接着してもよい。
図2(b)に示すように、補強用シート4は、ブロックマット用シート2の下側に重ね合わせ接合されていてもよいし、図2(c)に示すように、補強用シート4は、ブロックマット用シート2の一端側に接合されていてもよい。
補強用シート4は、織布、不織布、ジオグリッドおよび金網からなる群から1つ、あるいは2つ以上を組み合わせたものであることが好ましい。織布としては、上述したブロックマット用シート2と同様のものを用いることができる。
補強用シート4は、上述したブロックマット用シート2と同一であってもよい。すなわち、ブロックマット用シート2のうち、ブロック3が接着固定されない余白部分を長めにとっておき、この余白部分が補強用シート4を構成していても構わない。あるいは、図2(d)に示すように、ブロックマット用シート2として、補強用シート4を用いてもよい。
法面補強工事において堤体に埋め込まれる補強用シート4の長さは、1m以上とすることが好ましい。1m以上とすることにより、堤体内に埋め込まれたときに補強用シート4と堤体土質との摩擦力を十分に確保することができる。
ジオグリッドは格子状の高分子材料であり、補強土壁を構築する際に盛土に敷設される盛土補強用の面状補強材や層厚管理材に用いられるものであるが、本発明の目的を満たすために、強度、厚さ、高分子材料の太さ、縦横方向の間隔等を適宜調整したものを用いることが可能である。
ジオグリッドとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエステル、ポリアミド等の単独の高分子材料からなるもの、または、これらの高分子材料を被覆材とし、更に、アラミド繊維、高延伸ポリプロピレン繊維、高延伸ポリプロピレンテープ、高延伸ポリアセタール繊維等の高強度繊維またはテープ等を芯材として含むものを用いることもできる。
ホットメルト接着剤以外にも、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ−ト系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、セルロ−ス系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、フェノ−ル樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤等の溶剤型、エマルジョン型、無溶剤型等の接着剤を用いることもできる。
本発明の堤防補強工法は、上述したような、ブロックマット用シート2に補強用ブロック3が接着・固定された地盤補強用ブロックマット1を用いた堤防補強工法であって、以下の工程:
(1)補強用シートが前記ブロックマットの一端側に延びるように、前記ブロックマット用シートと該補強用シートとを一体化する、
(2)堤体法面の法尻部を掘削する、
(3)掘削された前記法尻部に、前記補強用シートの端部を該法尻部に合わせて、1枚目の前記ブロックマットを敷設する。
(4)1枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土、転圧する、
(5)前記堤体法面のうち前記盛土の上段部分を掘削する、
(6)前記盛土の法面を前記補強用ブロック部分で覆うように、2枚目の前記ブロックマットを敷設する、
(7)前記盛土の上面を覆うように、2枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを敷設する、
(8)2枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土する、
(9)前記堤体法面のうち2枚目の前記ブロックマットの上段部分を掘削する、
(10)(6)〜(9)を繰り返す、
を有することを特徴とする。
以下、各工程について詳しく説明する。
図2に示すように、ブロックマット用シートと補強用シートとを重ねて接合してもよいし(図2(b))、ブロックマット用シートの一端部に、補強用シートを接合してもよい(図2(c))。
ホットメルト等の溶着または接着によりブロックマット用シート2と補強用シート4とを連結する場合、その形状が異なることから、工事現場等でシート同士を連結する方法で高い連結強度を得るのは困難である。この工程は、予め工場等でブロックマット用シートと補強用シートとを一体化させておくことが好ましい。本発明では、ジオグリッドとブロックマット用シート2を予め連結した複合体を用いることにより、工事現場での最小限の手間により連結することができ、高い信頼性を確保することができる。
なお、ブロックマット用シート及び補強用シートとして同一のシートを用いる場合、この工程は省略することができる。
図3,図4に示すように、堤体法面10の法尻部11を掘削する。
図5に示すように、補強用シート4の端部を法尻部11に合わせて、ブロックマット1を敷設する。アンカーピンを打ち込むことなどにより、ブロック部分を固定してもよい。
図6に示すように、補強用シート4上に盛土12を施す。盛土12は、法面13と上面14とを有する略台形状に形成される。盛土12の法面13を規定する法面材を用いてもよい。
次いで、盛土12の上面14を転圧して平坦な転圧面を形成する。これにより補強用シート4を堤体中に強固に埋設することができる。
続く(6)の工程で、盛土12の法面13にブロックマット1の補強用ブロック3の部分を敷設する際に、ブロック部分が余ったり不足したりすることがないように、盛土12の法面13の長さは、ブロックマット1のブロック部分の長さとほぼ同じとすることが好ましい。
また、続く(7)の工程で、盛土12の上面14に補強用シート4を敷設する際に、ブロックマット1の補強用シート4を敷設する際に、補強用シート4が余ることがないように、盛土12の上面14の長さは、補強用シート4の長さよりも長くすることが好ましい。
図7に示すように、堤体法面10のうち盛土12の上段部分を掘削する。
図8に示すように、2枚目のブロックマット1の補強用ブロック3の部分を盛土12の法面13に敷設する。このとき、ブロックマット1の補強用シート4は、折り曲げて、補強用ブロック3側に重ねておく。
アンカーピンを打ち込むことなどにより、補強用ブロック3の部分を法面13に固定してもよい。これにより補強用ブロック3を強固に敷設することができる。
図9に示すように、補強用ブロック3の部分と補強用シート4との接合部分を支点として補強用シート4を回動させることにより、盛土12の上面14を覆うように補強用シート4を敷設する。
図10に示すように、2枚目の補強用シート4上に盛土12を施し、盛土12の上面14を転圧して平坦な転圧面を形成する。
これにより、法面10の法尻部11の補強(1枚目)と、1段目のブロックマット1(2枚目)の法面13への敷設が完了する。
(10)(6)〜(9)を、所定の高さとなるまで繰り返す。
3枚目以降(2段目以降)のブロックマット1も、(6)〜(9)で説明した、2枚目(1段目)のブロックマット1の敷設と同じように、ブロックマット1の敷設、補強用シート4の敷設(図12)、盛土および転圧(図13)、法面の掘削、からなる一連の工程を進行させ、所望の高さになるまで繰り返す(図14)。
なお、最上部には、管理用道路等アスファルト、コンクリート舗装がなされたり、他の構造物を構築するために、盛土以外の材料が積上げられる場合がある。
とくに、本発明の目的が、海岸や河川堤防において津波や河川水流が堤防を越えて越流する際の、法面保護工の破壊、流失を防ぐことであることから、本発明の堤防補強工法が施される堤体法面は、堤内側であることが好ましい。もちろん、堤外側法面の補強工事や、堤防以外の法面補強工事にも本発明の工法を適用することができる。
2 :ブロックマット用シート
3 :補強用ブロック
4 :補強用シート
10 :法面
11 :法尻部
12 :盛土
13 :法面
14 :上面
Claims (6)
- ブロックマット用シートに補強用ブロックが接着・固定された地盤補強用ブロックマットを用いた堤防補強工法であって、以下の工程:
(1)補強用シートが前記ブロックマットの一端側に延びるように、前記ブロックマット用シートと該補強用シートとを一体化する、
(2)堤体法面の法尻部を掘削する、
(3)掘削された前記法尻部に、前記補強用シートの端部を該法尻部に合わせて、1枚目の前記ブロックマットを敷設する。
(4)1枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土、転圧する、
(5)前記堤体法面のうち前記盛土の上段部分を掘削する、
(6)前記盛土の法面を前記補強用ブロック部分で覆うように、2枚目の前記ブロックマットを敷設する、
(7)前記盛土の上面を覆うように、2枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを敷設する、
(8)2枚目の前記ブロックマットの前記補強用シートを埋めるように所定高さまで盛土する、
(9)前記堤体法面のうち2枚目の前記ブロックマットの上段部分を掘削する、
(10)(6)〜(9)を繰り返す、
を有することを特徴とする、堤防補強工法。 - 前記補強用シートの長さが、1m以上である、請求項1に記載の堤防補強工法。
- 前記補強用シートが、織布、不織布、ジオグリッドおよび金網からなる群から選ばれる1つ、あるいは2つ以上を組み合わせたものである、請求項1または2に記載の堤防補強工法。
- 前記工程(1)において、前記ブロックマット用シートと前記補強用シートとを重ねて接合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
- 前記工程(1)において、前記ブロックマット用シートの一端部に、前記補強用シートを接合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
- 前記工法が施される前記堤体法面が、堤内側である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の堤防補強工法。
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