JP2541086B2 - 超吸水性繊維を用いる固体の仮埋設・引抜き工法 - Google Patents

超吸水性繊維を用いる固体の仮埋設・引抜き工法

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JP2541086B2
JP2541086B2 JP4311817A JP31181792A JP2541086B2 JP 2541086 B2 JP2541086 B2 JP 2541086B2 JP 4311817 A JP4311817 A JP 4311817A JP 31181792 A JP31181792 A JP 31181792A JP 2541086 B2 JP2541086 B2 JP 2541086B2
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道夫 土弘
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超吸水性繊維を用い
る鋼材等の固体の仮埋設・引抜き工法に関する。
【0002】
【従来の技術】土木、建築の分野では、モルタル、コン
クリート等のセメント系材料から構造物を建造する際
に、鋼材等からなる所定形状の固体を仮埋設しておき、
モルタル、コンクリート等の硬化後、前記固体を引抜い
て回収する工程が採用される場合がある。
【0003】このような場合、従来、固体の引抜きを容
易にするため、固体表面がセメント系硬化物と直接接触
することがないよう、予め、該固体表面にカバーを貼付
したり、グリース等を塗布したりして、固体を仮埋設す
る工法が採用されている。これらのカバーやグリース等
は、固体表面とセメント系硬化物との付着力が低い性
質、あるいは高濃度の凝結遅延剤を含みセメント系硬化
物の固体側表面をルーズにする性質を有するものであ
る。
【0004】しかしながら、従来の仮埋設工法では、固
体表面とセメント系硬化物との付着力にばらつきがあっ
たり、長深度の場合やセメント硬化物の強度が大きい場
合、その僅かな付着力でも、かなりの引抜き荷重を生じ
たりすることがあり、そのため、必ずしも固体の引抜き
が確実且つ容易に行えるとは言えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、この発明
は、長深度あるいはセメント系硬化物の強度が大きい場
合でも、固体を確実且つ容易に引抜くことができる固体
の仮埋設・引抜き工法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、仮埋設され
る鋼材等の固体の表面に超吸水性繊維からなるシート状
物を貼設し、該シート状物が膨潤した状態で前記固体を
モルタル、コンクリート等の硬化性材料中に仮埋設して
該硬化性材料を硬化させ、次いで前記シート状物に塩水
あるいはアルカリ水溶液を注水して該シート状物を収縮
させたのち、前記固体を引抜くことを特徴とする固体の
仮埋設・引抜き工法、を要旨とする。
【0007】以下、図面を参照して、この発明を具体的
に説明する。
【0008】この発明で使用される超吸水性繊維は、例
えばアクリロニトリル系重合体をアルカリ金属水酸化物
水溶液と反応させて得られるアクリル酸塩単位とアクリ
ルアミド単位とを有する繊維、ポリ酢酸ビニルとアクリ
ル酸エステルとの共重合体を加水分解して得られるビニ
ルアルコールとアクリル酸塩との共重合体繊維、セルロ
ース繊維にアクリル酸をグラフト重合した繊維等の、清
水を吸収して、例えば数十倍〜数千倍に膨潤する性質を
有する繊維である。これらの超吸水性繊維は、例えばエ
チレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、N,N’−メチレンビスアク
リルアミド、ジビニルエーテル等の架橋性単量体を共重
合することにより、あるいは繊維を適当な架橋剤、放射
線等により架橋することにより、架橋構造が導入された
ものであってもよい。また超吸水性繊維は、繊維全体が
超吸水性を有する単層繊維でも、繊維の外層のみが超吸
水性を有する複層繊維でもよい。超吸水性繊維の市販品
には、例えばランシール−F(登録商標)がある。
【0009】これらの超吸水性繊維は、そのイオン構造
に起因して、清水を吸収して高度に膨潤するが、塩水や
アルカリ水溶液により収縮する性質を有するものであ
り、この発明は、このような超吸水性繊維の膨潤・収縮
特性を活用するものである。
【0010】超吸水性繊維は、織布、不織布、編物等の
シート状物として、埋設される固体の表面に貼設され
る。
【0011】シート状物は、超吸水性繊維のみから作製
することができるが、他の繊維(例えば各種植物繊維、
合成繊維等)と混紡して作製することもでき、また、超
吸水性繊維からなるシート状物と他の繊維からなるシー
ト状物やその他の透水性材料とを積層して作製すること
もできる。
【0012】シート状物の固体表面における貼設範囲
は、通常、固体下端から打設されるセメント系材料の上
端を超える範囲である。また、該シート状物のセメント
系材料と接触する側の表面には、セメント系材料の硬化
により両者が強固に固着することがないように、予め、
ビニールシート、防水紙等の不透水性シートを接着一体
化しておく。
【0013】次に、この発明における固体の仮埋設工程
を説明すると、仮埋設される鋼材等の固体の表面に貼設
された超吸水性繊維からなるシート状物に清水を散水し
て高度に膨潤させておく。この膨潤の程度は、後工程に
おける塩水等の注水により該シート状物が十分収縮し
て、セメント系硬化物から脱離できる程度とされ、具体
的条件は、個々の超吸水性繊維の膨潤・収縮特性に応じ
て調節される。清水の散水は、予め地上でおこなうこと
が望ましいが、場合により、固体を仮埋設される所定箇
所に設置したのち散水することもできる。次いで、図1
に示すように、膨潤したシート状物2が貼設された固体
1をトレンチ内等の所定箇所に配置し、固体1の周囲に
モルタル、コンクリート等のセメント系材料4を打設す
るか、あるいは膨潤したシート状物2が貼設された固体
1を、打設直後のセメント系材料4内に打込んで、仮埋
設したのち、セメント系材料4を硬化させる。なお図1
で、3は不透水性シートである。
【0014】次に、この発明における固体の引抜き工程
を説明すると、セメント系材料4が硬化したのち、図1
に示すように、固体1周囲のシート状物2の上面から塩
水あるいはアルカリ水溶液を、矢印Aのように十分注水
する。これにより、図2に示すように、シート状物2は
その径方向に収縮し、その外側表面がセメント系硬化物
から離脱するに到る。次いで、固体1をジャッキ、クレ
ーン等により、矢印B方向に引抜く。この場合、引抜き
用の金具を予め固体上面に付設しておくこともできる。
【0015】この発明の固体仮埋設・引抜き工法による
と、シート状物とセメント系硬化物との離脱が確実で、
両者間には実質的に付着力が残存せず、セメント系硬化
物の表面状態および内部構造を何ら損なうことなく、仮
埋設された固体を確実且つ容易に引抜くことができる。
【0016】この発明の固体仮埋設・引抜き工法は、前
記セメント系材料のみならず、しっくい、せっこう、土
質材料等の他の硬化性建築材料への固体の仮埋設・引抜
きにも適用することができる。
【0017】このようにして引抜かれた固体は、貼設さ
れたシート状物に再び清水を散水して、塩水、アルカリ
水溶液を置換することにより、再膨潤させることができ
るので、繰返し使用することが可能である。
【0018】
【発明の効果】この発明によると、下記の効果が奏され
る。
【0019】(1)超吸水性繊維からなるシート状物へ
の清水等の散水および塩水等の注水という簡便な操作
で、固体をセメント系硬化物から確実に離脱させること
ができるので、長深度あるいはセメント系硬化物の強度
が大きい場合でも、固体を確実且つ容易に引抜くことが
できる。
【0020】(2)固体とセメント系硬化物との離脱が
確実で、固体の引抜きに際してセメント硬化物の表面状
態および内部構造を何ら損なうことがないので、固体引
抜き後のセメント系硬化物の品質が高い。
【0021】(3)超吸水性繊維は軽量で柔軟性があ
り、またシート状物の加工、固体表面への貼設等も容易
であって、固体の仮埋設・引抜き全工程が簡便である。
【0022】(4)固体に貼設された超吸水性繊維から
なるシート状物は、該固体に貼設したまま繰返し使用す
ることができるので、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による固体の仮埋設状態および該固体
の引抜き工程の一部を示す図である。
【図2】この発明による固体の引抜き時の状態を示す図
である。
【符号の説明】
1 固体 2 シート状物 3 不透水性シート 4 セメント系材料 A 塩水等の注水方向 B 固体の引抜き方向

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮埋設される鋼材等の固体の表面に超吸
    水性繊維からなるシート状物を貼設し、該シート状物が
    膨潤した状態で前記固体をモルタル、コンクリート等の
    硬化性材料中に仮埋設して該硬化性材料を硬化させ、次
    いで前記シート状物に塩水あるいはアルカリ水溶液を注
    水して該シート状物を収縮させたのち、前記固体を引抜
    くことを特徴とする固体の仮埋設・引抜き工法。
JP4311817A 1992-11-20 1992-11-20 超吸水性繊維を用いる固体の仮埋設・引抜き工法 Expired - Lifetime JP2541086B2 (ja)

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