JPH06184360A - 1,2−ポリブタジエン組成物 - Google Patents

1,2−ポリブタジエン組成物

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JPH06184360A
JPH06184360A JP4355246A JP35524692A JPH06184360A JP H06184360 A JPH06184360 A JP H06184360A JP 4355246 A JP4355246 A JP 4355246A JP 35524692 A JP35524692 A JP 35524692A JP H06184360 A JPH06184360 A JP H06184360A
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洋 林
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丈夫 中村
Yoshihisa Fujinaga
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形加工性、可撓性、透明性、耐熱性および
成形外観に優れた軟質1,2−ポリブタジエン組成物を
提供する。 【構成】[I]1,2−ポリブタジエン40〜97重量
%と[II]スチレン含有量3〜50重量%のスチレン
−イソプレン系共重合体60〜3重量%との混合物から
なる1,2−ポリブタジエン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形加工性、可撓性、
透明性および成形外観に優れた軟質で、かつ耐熱性に優
れた1,2−ポリブタジエン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】軟質塩化ビニル樹脂は成形加工性、可撓
性に優れている。このため、フィルム、シート、チュー
ブあるいは各種成形品などの成形材料として使用され
る。しかし、最近は軟質塩化ビニル樹脂の可塑剤が食品
衛生上問題になり、医療用チューブにおいては、チュー
ブに薬液成分が吸着することで有効成分の減少による薬
液の性能低下が問題となっている。さらに、塩素による
環境汚染が問題となっている。
【0003】一方、上記の問題を有しない軟質塩化ビニ
ル樹脂の代替材料として、成形加工性、可撓性などの性
質が似た結晶性1,2−ポリブタジエンがある。しか
し、結晶性1,2−ポリブタジエンを軟質塩化ビニル樹
脂の代替材料として使用するためには軟質性が十分でな
く、軟質化が必要である。結晶性1,2−ポリブタジエ
ンの軟質化の方法としては、 (1)結晶性1,2−ポリブタジエンの重合工程で、結
晶化度、1,2−結合含有量および平均分子量などを下
げる方法。 (2)低結晶性の1,2−ポリブタジエンまたは各種の
液状のポリマーなどの添加。 などがある。
【0004】しかし、これらの方法で軟質化した結晶性
1,2−ポリブタジエンは、軟質化に伴ない耐熱性も低
下する欠点がある。最近はニーズの多様化が求められ、
それを達成するためには軟質化だけでは十分でなく、さ
らに耐熱性に優れていることが不可欠となってきた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、1,2−結合
含有量が70%以上、結晶化度が5〜50%である1,
2−ポリブタジエン40〜97重量%とスチレン含有量
3〜50重量%のスチレン−イソプレン系共重合体60
〜3重量%とからなることを特徴とする1,2−ポリブ
タジエン組成物を提供するものである。
【0006】本発明の1,2−ポリブタジエンは、1,
2−結合含有量が70%以上、好ましくは85%以上の
ものである。70%未満であるとゴム的性質が強まり、
その結果、成形加工性に劣る。結晶化度は5%以上、好
ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜40%の
ものがよい。結晶化度がこの範囲にあると引張強度、引
裂強度、成形熱安定性、可撓性などの物姓バランスに優
れる。極限粘度[η]は好ましくは0.5以上、さらに
好ましくは0.7〜3である。この範囲において可撓
性、成形加工性の物性バランスに優れる。
【0007】本発明のスチレン−イソプレン共重合体は
ランダム型およびブロック型であって、ブロック型共重
合体の構造としては、(A−B)−A、(A−B)
(A−B)−X型のものが好適に使用できる。[式中
のAはスチレンブロック、Bはイソプレンブロックまた
はイソプレンとスチレンとの共重合体ブロック、n≧
1、m≧2、Xは官能基を有するカップリング剤の残
基。]好ましくは、スチレン−イソプレンブロック共重
合体である。
【0008】本発明のスチレン−イソプレン系共重合体
のスチレン含有量は3〜50重量%、好ましくは5〜4
0重量%、さらに好ましくは8〜35重量%である。ス
チレン含有量がこの範囲にあると成形加工性、軟質化効
果どのバランスに優れる。該共重合体のガラス転移温度
(以下Tgと略)は、好ましくは−15℃以下、さらに
好ましくは−20℃以下、特に好ましくは−25℃以下
がよい。−15℃を超えると樹脂的性質が強まり、その
結果、軟質効果が劣るので好ましくない。上記1,2−
ポリブタジエンとスチレン−イソプレン系共重合体との
ブレンド物の成形においては、両者の軟化温度が近いも
の同志を配合することが好ましい。
【0009】本発明は、特定のスチレン−イソプレン系
共重合体を用いることで耐熱性と透明性を高水準に維持
し、軟質化を可能としたものである。スチレン−イソプ
レン系共重合体にかえて、一般に知られているスチレン
−ブタジエン系共重合体では透明性の低下が大きく、本
発明の目的を達成することができない。
【0010】本発明の1,2−ポリブタジエンとスチレ
ン−イソプレン系共重合体の組成割合は、1,2−ビニ
ル結合含量が70%以上、結晶化度5〜50%である
1,2−ポリブタジエン40〜97重量%、好ましくは
50〜95重量%とスチレン含有量5〜40重量%のス
チレン−イソプレン系重合体60〜3重量%、好ましく
は50〜5重量%のものである。
【0011】1,2−ポリブタジエンが40重量%未満
であると、1,2−ポリブタジエンの特性が損なわれ、
成形加工性および成形外観が劣る。1,2−ポリブタジ
エンとスチレン−イソプレン系重合体の混合方法として
は特に制限はなく、通常、樹脂に添加剤を混入するとき
に用いられるロール、ニーダー、バンバリーミキサー、
スクリュー押出機などのほか、タンブラー、ヘンシェル
ミキサーなどによる混合方法が利用できる。両成分はペ
レット状、クラム状また粉状であるのが好ましい。この
形状の両成分を用いると混合性に優れ、その結果、生産
性に優れ、品質の優れたものが得られる。
【0012】本発明において、1,2−ポリブタジエン
およびスチレン−イソプレン−スチレン系共重合体は各
々2種以上使用することができる。また、添加剤を配合
することができる。
【0013】各種の特性改質材として用いることができ
る添加剤としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭
酸カルシウム、種々の表面処理炭酸カルシウムのほか、
タルク、シリカ、水酸化マグネシウム、金属酸化物、金
属塩、金属粉末、金属繊維、マイカー、クレー、硫酸バ
リウム、天然ケイ酸、合成ケイ酸、酸化チタン、ガラス
繊維、カーボン繊維、コットンフロックフェライトおよ
び種々のカーボンブラック、瀝漬物などの無機充填剤、
さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃
剤、滑剤、発泡剤、安定剤、着色剤、顔料、核剤、架橋
剤、架橋助剤、石油系軟化剤、粘着付与剤などが挙げら
れる。
【0014】このようにして得られる本発明の組成物
は、加工性がよく、透明性に優れ、非架橋の状態で適度
な硬度をもち、耐熱温度を維持向上する性質を有する
1,2−ポリブタジエン組成物である。
【0015】本発明の組成物を材料とする成形品は、射
出成形、押出成形、プレス成形などにより成形でき、各
種成形品、シートフィルムなどにすることができる。ま
た、本発明組成物を所定の箇所に置き、加熱して溶融固
着することもでき、また金型により成形品を成形するこ
とができる。
【0016】本発明の組成物は、工業用品、電気・電子
部品、日用品、運動用品、玩具、医療用チューブ・軟質
カテーテル・シートなどの医療用品、食品用チューブ、
フィルム、食品包装材などに用いられ、これら用途にお
いて耐熱温度を維持して、かつ軟質である成形品、成形
材料として広く使用される。
【0017】(作 用)以上のように本発明によれば、
成形加工性、透明性に優れ、1,2−ポリブタジエンの
軟質化を図り、かつ耐熱温度を維持向上する1,2−ポ
リブタジエン組成物が得られる。
【0018】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、部および%は特に断わら
ない限り重量基準である。また、実施例中の各種評価は
次のように測定した値である。なお、ポリブタジエンの
1,2−結合含量は赤外吸収スペクトル法(モレロ法)
によって求める。
【0019】硬 度 JIS K−6301に定められる加硫ゴムの物理試験
法のかたさ試験法に準拠して、試験片サイズ150mm
×25mm×6mmを用いて硬度を求めた。
【0020】融点およびガラス転移温度 JIS K−7121に定められるプラスチックの転移
温度測定法に準拠して、溶解ピーク温度を求め融点とし
た。また、ガラス転移温度を求めた。
【0021】ビカット軟化温度 JIS K−7206に定められる熱可塑性プラスチッ
クのビカット軟化温度試験法に準拠して、ビカット軟化
温度を求めた。
【0022】HAZE(曇価) JIS K−7105に定められるプラスチックの光学
的特性試験方法のHAZE(曇価)試験法に準拠して求
めた。試験片は、射出成形機にてシリンダー温度130
℃、金型温度15℃で成形した厚さ2mmのシートを用
いた。
【0023】耐熱性 以下の基準で評価した。 (判定) ○;もとの1,2−ポリブタジエンの融点およびビカッ
ト軟化温度を維持または上回る。 △;もとの1,2−ポリブタジエンの融点およびビカッ
ト軟化温度より3℃以上6℃未満低下。 ×;もとの1,2−ポリブタジエンの融点およびビカッ
ト軟化温度より6℃以上低下。
【0024】成形加工性 射出成形、押出成形、熱プレス成形を行ない、以下の基
準で評価した。 (判定) ○;何れの加工機でも容易に加工できる。 △;3種類のうち、2種類の加工機で加工できる。 ×;3種類のうち、1種類の加工方法しかない。
【0025】総 合 (判定) ○;耐熱温度を低下させず軟質が図れる。 ×;軟質化を図れるが、耐熱温度も低下する。
【0026】実施例1 1,2−ポリブタジエンとして、RB810[日本合成
ゴム(株)製、JSRRB]90部とスチレン−イソプ
レン系共重合体[日本合成ゴム(株)製、JSR SI
S]10部をタンブラーで混合し、押出機を用いてシリ
ンダー温度150℃でペレットを得た。こののペレット
を用いて射出成形機にてテストピースを成形し、評価を
行なった。評価結果を表1、表2に示す。
【0027】実施例2〜6、比較例1〜15 表1、表2の成分を用いて、実施例1と同様の方法で行
なった。評価結果を表1、表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1から明らかなように、本発明の1,2
−ポリブタジエン組成物[実施例1〜6]は何れも成形
加工性、可撓性、透明性に優れ、軟質化を図り、かつ耐
熱温度を維持向上している。これに対して、比較例3〜
10は液状ポリマー、または可塑剤を用いて軟質化を図
ったが、融点、ビカット軟化温度が低下し、耐熱性が劣
る。比較例11〜12は組成割合が本発明の範囲外の例
であり、成形加工性が劣る。比較例13は本発明の範囲
外のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体
と1,2−ポリブタジエンの組合せ例であり、不透明と
なり透明性が劣る。また、比較例14〜15はスチレン
含有量が本発明の範囲外の例であり、軟質化が図れず、
硬度が劣る。
【0031】
【発明の効果】本発明の1,2−ポリブタジエン組成物
は、1,2−ポリブタジエンの特徴を失わず、軟質化を
図るとともに、かつ耐熱温度を維持向上し、成形加工
性、透明性に優れた特性を有し、工業用品、電気・電子
部品、日用品、運動用品、玩具、医療用チューブ・軟質
カテーテル・シートなどの医療用品、食品用チューブ、
フィルム、食品包装材など幅広い用途に渡って有用であ
り、産業上の利用価値は極めて大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2−結合含有量が70%以上、結晶
    化度が5〜50%である1,2−ポリブタジエン40〜
    97重量%とスチレン含有量3〜50重量%のスチレン
    −イソプレン系共重合体60〜3重量%とからなること
    を特徴とする1,2−ポリブタジエン組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005253721A (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Kawasumi Lab Inc 医療用チューブ
JP2007023062A (ja) * 2005-07-12 2007-02-01 Jsr Corp 熱可塑性エラストマー組成物、その成形品の接着方法、その成形品を含む複合成形品及びその複合成形品を備える医療用輸液セット

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