JPH0618160U - 自動車のカウルトップカバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】カウルトップカバー本体の成形時におけるヒケ
等の発生を極力少なくし得ると共に、同カウルトップカ
バー本体に対するエンドラバーの取付けを容易にし、且
つフロントガラス面に対するエンドラバーの密着性を確
保できるカウルトップカバーを提供する。 【構成】エンジンルームの上方を被うボンネットとフロ
ントガラス(2) との間の車体パネル(3) の車体幅方向に
わたって配設されるカウルトップカバー本体(10)のエン
ドラバー取付部(11)を同本体(10)からフロントガラス側
の端縁方向に向けて厚さを漸増させ、少なくともその裏
面を傾斜面(11c) とすると共に、同カウルトップカバー
本体(10)の前記端縁とフロントガラス(2) の下端部表面
との間の隙間を閉塞するエンドラバー(15)の接着縁を前
記エンドラバー取付部(11)の下端先端部を接着剤を介し
て嵌込み固着させる嵌込溝状として形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車体のボンネットとフロントガラスとの間の車体パネルに取り付けら れ、同車体パネルの外気導入口へのエンジンルームからの臭気や、或いはフロン トガラスに沿って落ちる雨滴、塵芥等の侵入を防止するためのカウルトップカバ ーに関する。

【０００２】

【従来の技術】

カウルトップカバー本体のフロントガラスに対向する端縁には、車体の幅方向 にわたって長尺で且つ可撓性の大きなエンドラバーが接着固定される。そして、 この従来のカウルトップカバー本体とエンドラバーとの取付けは、例えば実開平 ３−８３１８２号公報に開示されているように、エンドラバーの取付部端縁に沿 って形成された鋭角状断面を有する嵌合溝部に、カウルトップカバー本体の裏面 側に突出する単なる矩形状断面を有する取付部端縁を嵌め込み、接着剤を介して 接着固定するものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従って、カウルトップカバー本体の取付部端縁にエンドラバーを取り付ける際 は、内面に予め接着剤が塗布されたエンドラバーの嵌合溝部を押し拡げながら、 カウルトップカバー本体の取付部端縁を同溝部に嵌め込み接着固定することにな る。この場合、エンドラバーの嵌合溝部は、ゴム弾性のため開口部が狭くなって おり、そのため前記嵌込作業に手間がかかり、作業効率が低下するばかりでなく 、接着不良を発生しやすい。

【０００４】 また、カウルトップカバー本体はその構造上、極めて成形誤差やヒケが生じや すく、特にエンドラバーを取り付ける部分である上記取付部は長さ方向に波打ち 状になりやすいため出来るかぎり厚手に成形することが要求されるが、上述のよ うに同取付部を裏面側に突出させて厚手とする単なる矩形断面状に成形するとき は、カウルトップカバー本体の取付部の突出部裏面に長さ方向にわたって中央部 分が断面弧状に凹んだヒケを発生する。かかるヒケのためエンドラバーとの間に 接着不良が生じるばかりでなく、図７に示すように前記突出部裏面の本体側の端 部がフロントガラス２に先当たりしてエンドラバー１５′の先端がガラス面から 浮き上がり、シール機能が発揮されないという不具合が発生する。

【０００５】 このようにシール機能が不充分である場合には、フロントガラスとエンドラバ ーとの隙間から雨水や塵芥等がガラス面を伝わってエアーボックス内に侵入し、 空調装置を破損させ、或いはエアーボックス内に溜まった塵芥が腐食して悪臭を 発し、その悪臭が車室内に進入して車室内の居住性を悪くする。

【０００６】 そして、上記エンドラバーのガラス面に対する浮き上がりを防ぎシール性を確 保しようとして、エンドラバーのシール部分の長さを予め長く設定すると、エン ドラバーが柔軟で可撓性が極めて大きい上にそのシール部分が極く薄手であるこ とから、カウルトップカバー本体に取り付けたときにエンドラバーのシール部分 がカウルトップカバー本体から垂れ下がるようになる。この状態でカウルトップ カバーを車体パネルに取り付けようとすると、図８に示すようにエンドラバー１ ５′のシール部分１５′ｃがカウルトップカバー本体１０′の取付部１１′とガ ラス面との間に巻き込まれた状態で取り付けられやすく、これを伸ばしながらの 取付作業には無駄な労力がかかるばかりでなく手間もかかり、生産性の面からも 実用化が困難とされている。

【０００７】 本考案は、上述の不具合に鑑み開発されたものであり、その目的とするところ はカウルトップカバー本体の成形時におけるヒケ等の発生を極力少なくし得ると 共に、同カウルトップカバー本体に対するエンドラバーの取付けを容易にし、且 つフロントガラス面に対するエンドラバーの密着性を確保できるカウルトップカ バーを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成すべく、本考案はエンジンルームの上方を被うボンネットとフ ロントガラスとの間の車体パネルの車体幅方向にわたって配設され、フロントガ ラス側の端縁にエンドラバー取付部を有するカウルトップカバー本体と、前記エ ンドラバー取付部に接着剤を介して固設される接着縁及びフロントガラスに密着 するシール縁を有し、カウルトップカバー本体の前記端縁とフロントガラスの下 端部表面との間の隙間を閉塞するエンドラバーとを備えてなり、カウルトップカ バー本体の前記エンドラバー取付部が、前記本体から端縁方向に向けて厚さを漸 増させ、少なくともその裏面を傾斜面としてなることを特徴とする自動車のカウ ルトップカバーを、その主要な構成としている。

【０００９】 更に、本考案の好適な実施例によれば、上記カウルトップカバー本体のエンド ラバー取付部形状を端縁に向けて厚みを漸増させると共に、上記エンドラバーの 接着縁の断面形状を前記カウルトップカバー本体の下端縁における断面角度より 僅かに大きな断面角度を有する嵌込溝状に形成する。

【００１０】

【作用】

エンドラバー取付部の断面形状を上述のように設定すると、カウルトップカバ ー本体の成形時においてヒケの位置がその端縁側に移行し、前後において厚さを 同じに設定した従来のエンドラバー取付部のように、その突出部裏面の長さ方向 に沿って中央部分が断面弧状となるようなヒケを発生させることがなくなり、エ ンドラバー取付部の取付面をエンドラバーの接着面全面に強固に密着させること を可能にする。

【００１１】 即ち、カウルトップカバー本体のエンドラバー取付部の裏面はフロントガラス 側の端縁に向けて下傾斜面として形成され、その先端部の前面と前記下傾斜面と のなす角度を鋭角として設定し、一方のエンドラバーの接着縁におけるエンドラ バー取付部の嵌込溝の断面形状を略Ｖ字状となし、その先端角を前記エンドラバ ー取付部の先端角度より小さい鋭角として設定する。

【００１２】 このようなカウルトップカバー本体のエンドラバー取付部とエンドラバーの接 着縁との取付構造とすることにより、カウルトップカバー本体の先端鋭角部分を 容易にエンドラバーの嵌込溝に嵌め込めるようになり、嵌込作業の効率化が図れ るばかりでなく、エンドラバー取付部の先端部によりエンドラバーの前記嵌込溝 が押し拡げられ、前記下傾斜面及びその先端部前面に前記エンドラバーの接着縁 の全面が強固に接着固定される。そして、このときカウルトップカバー本体に取 付けられたエンドラバーは、その先端のシール部分が前記下傾斜面の延長線より 下方に湾曲した状態となる。

【００１３】 この状態にあるシール部分をフロントガラスの前面に沿わせながら、カウルト ップカバー本体のパネル取付部を車体パネルに取り付けると、エンドラバーのシ ール部分は従来のようにカウルトップカバー本体とフロントガラスとの間に捲き 込まれることなく、同エンドラバー取付部の下傾斜面がガラス面に平行となるよ うように弾性的に変形し、エンドラバーの本体裏面を確実にフロントガラス表面 に密着すると共に、前記シール部分を全長にわたって均一にフロントガラスに密 着させ、充分なシール機能を発揮させる。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案を図示実施例により具体的に説明する。図１は本考案の特徴部を なすカウルトップカバー本体のエンドラバー取付部の代表的な断面形状を示し、 図２は同断面形状を有するカウルトップカバー本体に対するエンドラバーの取付 状況を説明する工程説明図、図３は本考案のカウルトップカバーの全体構成を示 す斜視図、図４は図３のＡ部拡大図である。

【００１５】 本考案におけるカウルトップカバー１は合成樹脂成形製品からなり、図３に示 すようにエンドラバー１５をフロントガラス２の下端部前面に沿わせて密着させ るためのエンドラバー取付部１１及び前記エンドラバー取付部１１とは反対側の 端部にカウルトップカバー１を車体パネル３に固設するためのパネル取付部１２ を有する全体が略矩形状をなすカウルトップカバー本体１０と、前記エンドラバ ー取付端縁１１に沿って接着剤を介して接着固定される細長いエンドラバー１５ とからなる。そして、前記カウルトップカバー本体１０の中央部には車体パネル ３に形成されている図示せぬ外気導入口に外気を導くためのルーバー部１３を有 している。

【００１６】 本考案において、最も特徴とする部分はカウルトップカバー本体１０のフロン トガラス側の端縁に形成される上記エンドラバー取付部１１の構造にある。図１ はその代表的な例を示しており、同図において明らかなように本考案のエンドラ バー取付部１１の表面はカウルトップカバー本体１０の表面と面一に形成されて いるが、同エンドラバー取付部１１の裏面はその端縁に向けて厚さを漸増させた 傾斜面としている。

【００１７】 エンドラバー取付部１１の断面形状を上述のように設定すると、カウルトップ カバー本体１０の成形時においてヒケの位置がその端縁側に移行し、前後におい て厚さを同じに設定した従来のエンドラバー取付部のように、その突出部裏面の 長さ方向に沿って中央部分が断面弧状となるようなヒケを発生させることがなく なり、エンドラバー取付部１１の取付面をエンドラバー１５の接着面全面に強固 に密着させることができるようになる。

【００１８】 これをカウルトップカバー本体１０に対するエンドラバー１５の取付工程を示 す図２により説明すると、同図（ａ）においてカウルトップカバー本体１０のエ ンドラバー取付部１１の裏面形状は段部１１ａを介して下端縁１１ｂに向かう下 傾斜面１１ｃとして形成されていると共に、その先端部前面１１ｄと前記下傾斜 面１１ｃとのなす角度θを９０°より僅かに小さな鋭角として設定してあり、一 方のエンドラバー１５の接着縁１５ａにおける嵌込溝１５ｂの断面形状は略Ｖ字 状をなし、その先端角αを前記エンドラバー取付部１１の先端角度θより小さい 鋭角として設定している。

【００１９】 こうしたカウルトップカバー本体１０のエンドラバー取付部１１とエンドラバ ー１５の接着縁１５ａとの取付構造により、カウルトップカバー本体１０の先端 鋭角部分はエンドラバー１５の嵌込溝１５ｂに容易に嵌め込まれるようになり、 嵌込作業の効率化が図れるばかりでなく、エンドラバー取付部１１の下傾斜面１ １ｃと先端部前面１１ｄにより前記嵌込溝１５ｂが押し拡げられ、同下傾斜面１ １ｃと先端部前面１１ｄに前記エンドラバー１５の接着縁１５ａが全面で強固に 接着固定されるようになる。そして、このときカウルトップカバー本体１０に取 付けられたエンドラバー１５は、図２（ｂ）に破線で示すようにその先端シール 部分１５ｃが前記下傾斜面１１ｃの延長線より下方に湾曲した状態となる。

【００２０】 この状態にあるシール部分１５ｃをフロントガラス２の前面に沿わせながら、 カウルトップカバー本体１０のパネル取付部１２を車体パネル３に取り付けよう とすると、エンドラバー１５のシール部分１５ｃは従来のようにカウルトップカ バー本体１０とフロントガラス２の間に捲き込まれるようなことがなくなり、同 エンドラバー取付部１１の下傾斜面１１ｃによってエンドラバー１５の本体裏面 が確実にフロントガラス２の表面に密着されると共に、そのシール部分１５ｃに は図２（ｂ）に実線で示すようにカウルトップカバー本体１０のエンドラバー取 付部１１の先端を支点として同図の反時計方向に回動する力が加わり、両者１０ ，１５の強固な接着を助長すると同時に前記シール部分１５ｃをフロントガラス ２に密着させ、充分なシール機能を発揮させる。

【００２１】 特に、カウルトップカバー本体１０のパネル取付部１２が車体パネル３に取り 付けられる場合、一般に図５に破線で示すようにカウルトップカバー本体１０の エンドラバー取付部１１とエンドラバー１５のシール部分１５ｃとがフロントガ ラス２の表面より内側に入り込むようにして取り付けられる。従って、実際の取 付けに当たっては前記エンドラバー取付部１１とシール部分１５ｃとは図５に実 線で示すようにＡ点を中心としてフロントガラス表面まで弾性的に持ち上げられ 、エンドラバー取付部１１の下傾斜面１１ｃがガラス表面と略平行となるように 変形し、シール部分１５ｃの全面をガラス面に均等に圧着させるようになり、更 にシール機能を増加させる。

【００２２】 なお、上記実施例は本考案の代表的な例を示すに過ぎず、従って本考案は図示 例に限定されるものではなく様々な変形が可能であり、例えば図６に示すように カウルトップカバー本体１０のエンドラバー取付部１１の下傾斜面１１ｃと先端 部前面１１ｄとのなす角度θをより鋭くした嘴状断面に形成してもよい。この場 合にはカウルトップカバー本体１０に対するエンドラバー１５の取付作業が更に 容易となり、しかも下傾斜面１１ｃは上述のごとくヒケのない均一な平坦面に成 形されるためエンドラバー１５の接着面との接着が強固になされる。その結果、 下傾斜面１１ｃの後部がフロントガラス面から浮き上がり、その先端でエンドラ バー１５のシール部分１５ｃをフロントガラス面に強力に押し付けるようにして も、エンドラバー１５がカウルトップカバー本体１０から剥離せず、シール機能 を失することなく耐久性が確保される。

【００２３】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなごとく、本考案によればカウルトップカバー本体のエ ンドラバー取付部の裏面を、その端縁にむけて厚さを漸増させると共に、少なく ともその裏面を前記端縁に向けて下傾斜面とすることにより、カウルトップカバ ー本体の成形にあたっても前記取付部表面に大きなヒケが発生せず、エンドラバ ーの接着縁との間に全面が均一な強固な接着が可能となり、しかもカウルトップ カバー本体に対するエンドラバーの取付けが容易となる。また、本考案によれば エンドラバーのシール部分の突出長さは通常の寸法で充分であるため、カウルト ップカバーを車体パネルに取り付けるときも前記シール部分がカウルトップカバ ー本体とフロントガラス面との間に捲き込まれることがなく、より作業性の向上 を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の典型的なカウルトップカバー本体のエ
ンドラバー取付部形状を示す同取付部の断面図である。

【図２】本考案のカウルトップカバーの組立工程の具体
例を示す断面図である。

【図３】本考案のカウルトップカバーの全体構成を示す
斜視図である。

【図４】図３のＡ部拡大図である。

【図５】カウルトップカバーのフロントガラス面に対す
る実際の取付状況を示す断面図である。

【図６】同カウルトップカバーの変形例を示す要部断面
図である。

【図７】従来の車体パネルに対するカウルトップカバー
の取付状況を示す断面図である。

【図８】同変形例によるカウルトップカバーの取付状況
を示す断面図である。

【符号の説明】

１ カウルトップカバー ２ フロントガラス ３ 車体パネル １０ カウルトップカバー本体 １１ エンドラバー取付部 １１ａ 段部 １１ｂ 下端縁 １１ｃ 下傾斜面 １１ｄ 先端部前面 １２ パネル取付部 １３ ルーバー部 １５ エンドラバー １５ａ 接着縁 １５ｂ 嵌込溝 １５ｃ シール部分

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンルームの上方を被うボンネット
   とフロントガラス(2)との間の車体パネル(3) の車体幅
   方向にわたって配設され、フロントガラス側の端縁にエ
   ンドラバー取付部(11)を有するカウルトップカバー本体
   (10)と、前記エンドラバー取付部(11)に接着剤を介して
   固設される接着縁とフロントガラス(2)に密着するシー
   ル縁とを有し、カウルトップカバー本体(10)の前記端縁
   とフロントガラス(2) の下端部表面との間の隙間を閉塞
   するエンドラバー(15)とを備えてなり、カウルトップカ
   バー本体(10)の前記エンドラバー取付部(11)が、前記本
   体(10)から端縁方向に向けて厚さを漸増させ、少なくと
   もその裏面を傾斜面(11c)としてなることを特徴とする
   自動車のカウルトップカバー。