JPH0618022Y2 - 内燃エンジンのカムシヤフトの端部の潤滑構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は内燃エンジンのカムシャフトの端部の潤滑構造
に関する。

（従来の技術） ＦＦ車等に搭載されるエンジンにおいては、動弁装置の
部品の１つを構成するカムシャフトの一端に、ディスト
リビュータ等の回転軸を連結して当該ディストリビュー
タを回転駆動するようにしているものがある。

この種のカムシャフトを第４図及び第５図に基づいて説
明すると、カムシャフト１の一端近傍位置に形成された
ジャーナル２はシリンダヘッド３とカムキャップ４とに
より形成される軸受け５によって軸支されている。そし
て、カムシャフト１の端面に形成されたスリット６に、
前記ディストリビュータのシャフト７の先端にピン８を
介して固定された係合ピン９を係合させ、カムシャフト
１の回転により係合ピン９を介してディストリビュータ
のシャフト７を回転させて前記ディストリビュータを駆
動させるようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上述のような内燃エンジンのカムシャフトの
端部の潤滑に際しては、カムシャフト１のジャーナル２
はカムキャップ４に形成されたオイル給油孔１０から軸
受け面に供給されるオイルによって潤滑されるが、ジャ
ーナル２の先端に形成されたスリット６には供給され
ず、当該スリット６にはオイルミストとなって僅かに飛
散してくる程度である。このため、スリット６と係合ピ
ン９との係合部に十分にオイルが供給されず、当該スリ
ット６と係合ピン９との金属同士の摩擦により係合部の
摩耗の進行が早まるという問題点があった。

本考案は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、カ
ムシャフトの一端と、当該カムシャフトにより回転駆動
される被駆動装置の回転軸とを係合する係合部の潤滑を
十分に行い得る内燃エンジンのカムシャフトの端部の潤
滑構造を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案によれば、カムシャフ
トの一端に被駆動装置の回転軸を連結し、カムシャフト
の回転を回転軸に伝えて被駆動装置を駆動させる内燃エ
ンジンのカムシャフトにおいて、カムシャフトの一端に
設けられたジャーナルと、エンジン本体側に設けられ、
ジャーナルを回転自在に支持し、軸受け孔を有する軸受
けと、軸受けに設けられ、軸受け孔に通じるオイル供給
通路と、ジャーナルの端面に設けられて軸受け孔内に配
置され、当該ジャーナルを径方向に貫いて軸受け孔に供
給されたオイルを導くことができるスリットと、回転軸
の先端部に設けられ、スリット内に配置されて当該スリ
ットと係合する係合部材とを備えることを特徴とする内
燃エンジンのカムシャフトの端部の潤滑構造が提供され
る。

（作用） カムシャフトのジャーナルを軸支する軸受けの軸受け孔
に供給されたオイルの一部はジャーナルのスリットに流
れ込んで当該スリットと係合部材との間に供給され、こ
れによりスリットと係合部材との係合部の潤滑が行われ
る。また、前記軸受け孔に供給されたオイルの大部分
は、軸受けの軸受け面とジャーナルの外周面との間隙を
流れてこれら両者間の潤滑を行う。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。尚、第４図及び第５図に示す従来例と同一要素につ
いては同一符号を附して説明する。

第１図及び第２図において、カムシャフト１１の一端に
ジャーナル１２が形成され、当該ジャーナル１２の外端
面にはその軸心に穴１３が穿設され、さらに直径上の位
置にスリット１４が形成されている。このジャーナル１
２の幅は後述する軸受け１７の幅よりも僅かに狭く設定
されており、従って、スリット１４は、軸受け１７の軸
受け孔内に配置されている。

一方、ディストリビュータ（図示せず）のシャフト７
の、ジャーナル１２の端面と対向する端面の軸心には円
柱状の突起７ａが突設され、この突起７ａは穴１３内に
遊嵌可能とされている。突起７ａに設けられた孔７ｂに
は係合ピン９が当該突起７ａの径方向に嵌装され、ピン
８により固定されている。係合ピン９はカムシャフト１
１のジャーナル１２の前記スリット１４内に僅かなギャ
ップで嵌合されて嵌合可能とされる。

また、軸受け１７はシリンダヘッド１５とカムキャップ
１６とにより形成されており、カムキャップ１６内には
オイル給油孔１８が穿設され、その一端は軸受け面にジ
ャーナル１２のスリット１４の両端と対向可能に開口さ
れている。

以下に作用を説明する。

カムキャップ１６のオイル給油孔１８から軸受け１７の
軸受け面に供給されたオイルの一部はスリット１４に直
接流れ込み、当該スリット１４と係合ピン９との係合部
に油膜を形成してこれらの金属同士の直接接触を防止
し、潤滑が行われる。この係合部を潤滑したオイルの一
部はスリット１４の軸方向の開口端からディストリビュ
ータのシャフト７の端面方向に向かって飛散し、残部は
軸受け面に流れて軸受け１７とジャーナル１２との間に
供給される。

また、オイル給油孔１８から供給されたオイルの大部分
は、カムキャップ１６とカムシャフト１１のジャーナル
１２との間隙を軸方向に流れつつ、ジャーナル１２の回
転に伴いカムキャップ１６とジャーナル１２との間隙を
流れて軸受け１７とジャーナル１２との間に油膜を形成
し、これら両者間の潤滑を行う。また、第１図からも明
らかなように、ジャーナル１２はカムシャフト１１の一
端に形成されており、スリット１４及び係合ピン９は、
軸受け１７の軸受け孔内に配置されている。つまり、本
実施例の潤滑構造においては、カムシャフト１１とシャ
フト７との連結部分が軸受け１７の軸受け孔内に配置さ
れ、第４図に示す従来の潤滑構造に比べてカムシャフト
１１の長さが短縮される。

第３図には他の実施例が示されており、シリンダヘッド
１５と共に軸受け２１を形成するカムキャップ２２のオ
イル給油孔２３を、カムシャフト１１のジャーナル１２
のスリット１４よりもずれた位置に開口させたものであ
る。この場合、オイル給油孔２３から供給されたオイル
はジャーナル１２の周面１２ａを軸方向に流れてスリッ
ト１４の開口端から当該スリット１４内に流れ込み、前
述と同様に当該スリット１４と係合ピン９との係合部を
潤滑する。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、カムシャフトの一
端に設けられたジャーナルと、エンジン本体側に設けら
れ、ジャーナルを回転自在に支持し、軸受け孔を有する
軸受けと、軸受けに設けられ、軸受け孔に通じるオイル
供給通路と、ジャーナルの端面に設けられて軸受け孔内
に配置され、当該ジャーナルを径方向に貫いて軸受け孔
に供給されたオイルを導くことができるスリットと、回
転軸の先端部に設けられ、スリット内に配置されて当該
スリットと係合する係合部材とを備える構成としたの
で、カムシャフトの潤滑を行うと共に、当該カムシャフ
トのスリットと被駆動装置の係合部材との潤滑を十分に
行うことができ、スリットと係合部材との係合部の摩耗
を防止することができるという効果が得られる。

また、カムシャフトの長さを短縮することができ、内燃
エンジンの小型化を図ることができるという効果も得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る内燃エンジンのカムシャフトの端
部の潤滑構造の一実施例を示す縦断面図、第２図は第１
図の矢線II-II断面図、第３図は本考案の他の実施例を
示す要部縦断面図、第４図は従来の内燃エンジンのカム
シャフトの端部の潤滑構造を示す縦断面図、第５図は第
４図の矢線Ｖ−Ｖ断面図である。 ７…シャフト、７ａ…突起、９…係合ピン、１１…カム
シャフト、１２…ジャーナル、１４…スリット、１７，
２１…軸受け、１８，２３…オイル給油孔。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 三林 大介 京都府京都市右京区太秦巽町１番地 三菱 自動車工業株式会社京都製作所内 (72)考案者 堂ケ原 隆 京都府京都市右京区太秦巽町１番地 三菱 自動車工業株式会社京都製作所内 (72)考案者 松田 雅彦 京都府京都市右京区太秦巽町１番地 三菱 自動車工業株式会社京都製作所内 (56)参考文献 実開 昭60−73813（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カムシャフトの一端に被駆動装置の回転軸
   を連結し、カムシャフトの回転を回転軸に伝えて被駆動
   装置を駆動させる内燃エンジンのカムシャフトにおい
   て、 カムシャフトの一端に設けられたジャーナルと、エンジ
   ン本体側に設けられ、ジャーナルを回転自在に支持し、
   軸受け孔を有する軸受けと、軸受けに設けられ、軸受け
   孔に通じるオイル供給通路と、ジャーナルの端面に設け
   られて軸受け孔内に配置され、当該ジャーナルを径方向
   に貫いて軸受け孔に供給されたオイルを導くことができ
   るスリットと、回転軸の先端部に設けられ、スリット内
   に配置されて当該スリットと係合する係合部材とを備え
   ることを特徴とする内燃エンジンのカムシャフトの端部
   の潤滑構造。