JPH06179728A - 紙表面塗工剤の製造方法及び該塗工剤を塗工した紙 - Google Patents

紙表面塗工剤の製造方法及び該塗工剤を塗工した紙

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JPH06179728A
JPH06179728A JP33200492A JP33200492A JPH06179728A JP H06179728 A JPH06179728 A JP H06179728A JP 33200492 A JP33200492 A JP 33200492A JP 33200492 A JP33200492 A JP 33200492A JP H06179728 A JPH06179728 A JP H06179728A
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meth
coating agent
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JP33200492A
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English (en)
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Mitsuhiro Maehama
充宏 前浜
Toshiki Oyanagi
俊樹 大柳
Kazushi Ishigaki
一志 石垣
Kenzo Kiyota
謙三 清田
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (メタ)アクリルアミド(a)99 〜1 モル%と
ビニル化合物及び/又はそれらの有機ないし無機酸の塩
類(b)1〜99モル%でラジカル重合することにより得られ
る重量平均分子量が1,000 〜100,000 の水溶性高分子体
(c) と、該水溶性高分子体(c) の1〜70重量%に対して
(メタ)アクリルアミド(d) の30〜99重量%を、pH7
以上の条件でラジカル重合を行うことを特徴とする紙表
面塗工剤の製造方法及びその紙表面塗工剤で処理した
紙。 【効果】 優れた表面強度向上効果を発現させることが
可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紙の表面強度改良剤及び
それを塗工した紙に関する。更に詳しくは、紙の表面強
度を向上する為に、特に(メタ)アクリルアミド系共重
合体の重合方法を改良することにより、従来では認めら
れない程の表面強度向上効果を発揮する紙表面塗工剤の
製造方法及びそれを塗工した紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から段ボール外装ライナーやその他
の板紙、あるいは上質紙、中質紙、塗工原紙、新聞用紙
等の表面物性、例えば表面摩耗性、毛羽立ち、滑性、光
沢、ベッセルピック、紙粉、印刷時のピッキング等を改
良するために種々の手段が施されている。例えば表面塗
工剤を用いてのキャレンダー塗工、サイズプレスによる
含浸、ゲートロール塗工、スプレーによる噴霧等が一般
に広く行われている。その際に処理される原紙の物性
は、パルプ配合、各抄紙機の特性、内添用薬品の種類や
添加量が異なるが故に多種多様である。更には塗工後に
要求される物性は、紙の使用目的、印刷方式や印刷スピ
ードの違い等から、これも多様である。即ち各抄紙機毎
に要求される物性及びその度合は様々違いがあるのが現
状であり、僅かに表面強度を改良すれば良いものから、
強力な被膜を形成させて表面強度を飛躍的に改良しなけ
ればならないものまで、その程度は千差万別である。そ
れ故、これらの処理によって使用される表面塗工剤の種
類は、非常に多品種となり、その使用方法は各社各様で
ある。ここでパルプ配合に例をとってみると、生育が早
い為に近年多く使用されているユーカリ属等のパルプを
配合した紙の場合には、パルプ中に含まれるベッセルが
紙表面から脱落することを防止する為の、いわゆるベッ
セルピック防止剤として表面塗工剤が用いられる。更に
は、近年において新聞用紙の印刷方式が凸版印刷からオ
フセット印刷に変更されたことにより、紙表面の繊維や
填料等のピッキングによるブランケット汚れが問題とな
っている。このトラブルを防止する為にも非常に少ない
塗工量であるが表面塗工剤が使用されている。この様な
状況下にあって、従来から用いられてきた表面塗工剤
は、(酸化)澱粉及びその変性物(以下澱粉系と称す
る)、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導
体やグアーガム等の天然品或いは半合成品、ポリビニル
アルコール及びその誘導体(以下PVA系と称する)、
ポリアクリルアミド及びその変性物(以下PAM系と称
する)があり、更に尿素樹脂、スチレン−マイレン酸共
重合物、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−マイレン酸共重
合物、ラテックス系、エマルジョン系等々、様々なもの
がある。また、実際に使用される場合は、これらの1種
又は2種以上の組合せで紙の表面を改質するのが一般的
である。上記に挙げた表面塗工剤の中で、現在製紙会社
で使用量が多く、一般的な表面強度改良剤を大別する
と、澱粉系、PVA系、PAM系となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年の環境保護運動の
高まりにより、製紙業界における原料調達の事情はかな
り厳しいものとなっており、かつて用いられていた優良
品種に代わり、植林後の伐期が短いためコスト的に比較
的優位なユーカリ属、アカシア類やサザンパインのよう
な外材の使用が増えている。しかもその産地は、アメリ
カ、オーストラリア、インドネシアのみならず、チリや
中国など様々な国に分散されつつある。これらの外材か
ら製造されるパルプは、産地や生育年数により含まれる
ベッセルや柔細胞の量や大きさが異なり、これらが多か
ったり、大きかったりする場合がある。さらにはこれら
のベッセルや柔細胞は、剛直であるが為に叩解等によっ
ても充分にフィブリル化されない場合がある。即ち、抄
紙された場合に繊維間結合が充分になされなく、印刷時
等にピッキングされやすくなりトラブルにつながる。ま
た、省資源及びゴミ処理能力の限界から紙のリサイクル
運動が高まり、古紙の使用量を引き上げるよう製紙業界
に行政指導も行われている。結果としてパルプが何回も
繰り返し使用されることになり、パルプ繊維の損傷の度
合が高まっている。この為に、なかには微細に切断され
た状態となって、紙に抄き込まれる古紙パルプもある。
これらは繊維間結合が弱くなる為に紙粉として発生しや
すく、また印刷時に紙表面から取られ版面等を汚しやす
い。また、紙としては強度的に弱くなっているのが現状
である。即ち、以上のような状況であるが故に、抄紙系
及び紙中には繊維間結合が充分になされないベッセルや
柔細胞及び損傷を受けた微細繊維プラグメントのような
ものが、以前に比較して増加しており、印刷適性が低下
する傾向にある。これらがブランケットロールやガイド
ロールにパイリングされ、トラブルの原因となることを
防止する為に、従来からの表面強度改良剤を塗工してい
る。この様な表面強度改良剤として、例えば特公昭59
−41446号、特公昭59−41446号、特公昭5
7−2722号が知られているが、これら従来品ではこ
れらが紙表面からピッキングされるのを抑えるには不充
分である。また、それ故にピッキングを抑える目的で従
来からの表面強度改良剤の塗工量を増やすと、インキセ
ットの低下やブロッキング等の他のトラブルを併発させ
ることになり、好ましくない。更には澱粉系、PVA系
は、粉体を水に一度分散し、さらに加熱して溶解してか
ら使用しなくてはならない。この際の粉体の均一分散や
釜への投入時の飛散等の取扱いの面、省エネルギーや人
員確保という面で問題があり、さらには紙に加工する際
の発泡性、塗工時の粘性の問題等多々の問題があり、満
足できる表面塗工剤とは言い難い。また、特開昭57−
21599号、特開昭59−163498号、特開平3
−279491号等の提案があるが、これら公知のPA
M系の表面塗工剤は、作業性では上記の澱粉系、PVA
系よりも優れているが、今後さらに厳しくなるであろう
状況を充分に満足してはいないのが現状である。本発明
者らは、長年にわたって特にPAM系表面塗工剤を研究
し、その成果を商品化して高い市場評価を得てきた。さ
らには上記に述べたような問題点を解決すべく、この長
年にわたる研究蓄積の上にたって、更に高い機能性を付
与する表面塗工剤の検討を重ねた結果、(メタ)アクリ
ルアミドと下記一般式(1)で表されるビニル化合物及
び/又はそれらの有機ないし無機酸の塩類の特定割合で
ラジカル重合することにより得られる水溶性高分子体
に、更に特定量の(メタ)アクリルアミドまたは(メ
タ)アクリルアミド及びその他の共重合可能なモノマー
を、pH7以上の条件でラジカル重合を行うことによっ
て得られる共重合物を紙表面塗工剤として用いた場合
に、従来の澱粉系、PVA系、PAM系の表面塗工剤で
は認めることのできない程のはるかに優れた表面強度改
良効果を発揮することを見い出し、本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は(メタ)
アクリルアミド(a)99 〜1 モル%と下記一般式(1)で
表される (式中、R1 はH又はCH3 、R2 、R3 はH又は炭素
数1〜3の低級アルキル基、nは1〜4の整数、XはO
又はNHを表す。) ビニル化合物及び/又はそれらの有機ないし無機酸の塩
類(b)1〜99モル%でラジカル重合することにより得られ
る重量平均分子量が1,000 〜100,000 の水溶性高分子体
(c) と、該水溶性高分子体(c) の1〜70重量%に対して
(メタ)アクリルアミド(d) または(メタ)アクリルア
ミド(d) 及びその他の共重合可能なモノマー(e) の30〜
99重量%を、pH7以上の条件でラジカル重合を行うこ
とを特徴とする紙表面塗工剤の製造方法に関する。
【0005】本発明の方法につき、以下詳細に説明す
る。本発明の紙表面塗工剤の製造方法は、まず(メタ)
アクリルアミド(a) と前記一般式(1)で表されるビニ
ル化合物及び/又はそれらの有機ないし無機酸の塩類
(b) を、(a) : (b) = 1〜99 : 99 〜1 のモル比におい
てラジカル重合することにより、重量平均分子量が1,00
0 〜100,000 の水溶性高分子体(c) を予め合成する。次
に該水溶性高分子体(c) の1〜70重量%に対し、(メ
タ)アクリルアミド(d) または(メタ)アクリルアミド
(d) 及びその他共重合可能なモノマー(e)30 〜99重量%
を、pH7以上の条件でラジカル重合を行うことによっ
て、本発明の紙表面塗工剤が得られる。すなわち、該水
溶性高分子体(c) にシード重合におけるシードモノマー
のような働きをさせ、かつ重合pHを7以上のアルカリ
条件で行うことを特徴としている。この際、最初の重合
によって合成される水溶性高分子体(c) の重量平均分子
量は、1,000 〜100,000 が好ましい。重量平均分子量が
1,000 以下では重合反応が進みにくいばかりでなく、紙
力塗工剤として用いた場合の紙表面強度の増強効果も少
なくなり、好ましくない。また 100,000以上では重合反
応を制御することが困難となり、部分的にゲル化等が起
こってしまう欠点があり、好ましくない。水溶性高分子
体(c) の重量平均分子量は、後述する重合開始剤を、全
モノマー量に対して0.01〜1.0 重量%添加して反応させ
ることにより達成される。また、得られた水溶性高分子
体(c) の分子量は、GPC(ゲルパーミネーションクロ
マトグラフィー)を用いた分析によりその確認が可能で
ある。測定方法としては、昭和電工(株)製Shodex(R)
GPC sistem-11 に Shodex OHpak KB80M を接続し、移動
相としてホルムアミド−亜硝酸ナトリウム系を使用し示
差屈折率検出器により検出し、クロマトグラフデータ処
理システム Labchart180 を用いて解析することにより
重量平均分子量を測定することができる。
【0006】また、水溶性高分子体(c) と(メタ)アク
リルアミド(d) または(メタ)アクリルアミド(d) 及び
その他共重合可能なモノマー(e) に対し、ラジカル重合
における水溶性高分子体(c) の添加量は、紙表面塗工剤
の構成成分の 1〜70重量%、好ましくは 5〜60重量%が
適当である。この水溶性高分子体(c) が、70重量%以上
では重合反応が非常に速く、反応を制御することが甚だ
困難となって好ましくない。尚、その他共重合可能なモ
ノマー(e) としては前記一般式(1)で表される化合物
(b) も含まれる。また、水溶性高分子体(c) が1重量%
以下の場合、一般式(1) の化合物(b)をその他共重合可
能なモノマー成分として用いない場合は、重合反応が進
み難く、0.5 モル%以上用いる場合は、高分子量のポリ
マーは得られるが、本発明の水溶性高分子体(c) を1重
量%以上用いた場合に比べ、グラフト点から伸びる分子
の広がりを容易に制御することができ難く、本発明の様
な優れた表面塗工剤を製造することができない。また、
水溶性高分子体(c) の構成モノマーの(メタ)アクリル
アミド(a) は、モル比1〜99、好ましくは20〜90が適当
である。(メタ)アクリルアミド(a) がモル比1以下で
は、続くpH7以上での重合反応を制御することが甚だ
困難となり好ましくない。また、モル比99以上では続く
pH7以上での重合反応が進行しにくくなり、好ましく
ない。さらに、(メタ)アクリルアミド(d) とその他共
重合可能なモノマー(e) の割合は (d):(e)=100〜55 : 0
〜45が好ましく、特に好ましくは (e)のモル比40以下が
適当である。その他共重合可能なモノマー(d) が45モル
以上とした場合に得られる共重合体を紙の表面塗工剤と
して用いた場合、得られる表面強度改良効果がさほど優
れていなく好ましくない。
【0007】上記の水溶性高分子体(c) 及び本発明の紙
表面塗工剤を重合する方法としては水溶性ビニル化合物
の重合に用いられている従来公知の方法、例えば水溶液
重合、沈澱重合、乳化重合等を用いることができるが、
これらの重合方法に何ら制限されるものではない。しか
し、これらの中で重合方法として好ましい方法は、重合
熱の吸収に都合の良い水溶液重合である。本発明の紙表
面塗工剤の製造方法は、先ず(メタ)アクリルアミド
(a) と前記一般式(1)のビニル化合物及び/又はそれ
らの有機ないし無機酸の塩類(b) を前記の割合で加え、
例えば、水溶媒下10〜90℃に加温し、これに下記重合開
始剤を加え、0.5 〜5時間重合することにより予め水溶
性高分子体(c) を合成する。次にこの得られた水溶性高
分子体(c) に、(メタ)アクリルアミド(d) または(メ
タ)アクリルアミド(d) 及びその他重合可能なモノマー
(e) を前記の割合で加え、水溶媒下において、下記pH
調整剤を用いてpH7以上に調製した後、10〜90℃に加
温する。これに下記重合開始剤を加え、0.5 〜5時間重
合することにより達成される。重合開始温度は重合開始
剤の種類、量及び反応系のモノマー濃度によっても多少
異なるが、通常0〜100 ℃、好ましくは、10〜70℃程度
である。ビニル化合物の濃度は1〜40重量%が適当であ
り、好ましくは5〜25重量%である。また本発明の紙表
面塗工剤の製造方法における水溶性高分子体(c) と(メ
タ)アクリルアミド(d) または(メタ)アクリルアミド
(d) 及び その他共重合可能なモノマー(e) は、予め混
合した状態で共重合させてもよく、段階的にモノマーを
加えてブロック共重合させてもよく、またグラフトさせ
てもよい。
【0008】この様にして得られる紙表面塗工剤の重量
平均分子量は、前述したGPC法で測定した結果、800,
000 〜2,500,000 のものが好ましい。得られる水溶性高
分子体の重量平均分子量が 800,000以下の場合、紙に塗
工された際に発現する紙表面強度改良効果がさほど高く
なく、好ましくない。また、2,500,000 以上の場合は塗
工液粘度が高くなりすぎてハンドリングに支障をきた
し、好ましくない。本発明で用いられる(メタ)アクリ
ルアミド(a) 及び(d) は、粉体あるいは水溶液の状態で
市販され、工業的に通常使用されているものであれば、
何れも使用することができる。本発明に用いられる上記
一般式(1)で表される構造を有するビニル化合物及び
/又はそれらの有機ないし無機酸の塩類(b) とは、(メ
タ)アクリルアミドと共重合可能な塩基性ビニル系化合
物が適当である。この様な塩基性ビニル系化合物として
は、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミド、ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、
ジエチルアミノエチル(メタ)クリレート、ジメチルア
ミノプロピル(メタ)クリレート、ジエチルアミノプロ
ピル(メタ)クリレート等及びそれらの有機ないし無機
酸の塩類等から選ばれた1種または2種以上の化合物が
挙げられる。
【0009】また、本発明に用いられる (d)とその他共
重合可能なモノマー(e) としては、前記の一般式(1)
のビニル化合物又はそれらの有機ないし無機酸の塩類
(b) 、またはα,β−不飽和(モノ及び/又はジ)カル
ボン酸又はそれらの有機ないし無機塩類の群から選ばれ
た1種または2種以上の化合物が用いられる。即ち、そ
の他共重合可能なモノマー(e) として用いられる前記一
般式(1)のビニル化合物としては、上記水溶性高分子
体(c) に用いられると同じ化合物が使用できる。さらに
は、前記の一般式(1)のビニル化合物(b) と、メチル
クロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンもしく
はベンジルクロライド等の4級化剤との反応によって得
られる第4級化ビニル化合物アンモニウム塩の群から選
ばれた1種または2種以上の化合物をも使用することが
できる。さらには、その他共重合可能なモノマー(e) と
して用いられるα,β−不飽和(モノ及び/又はジ)カ
ルボン酸又はそれらの有機ないし無機塩類とは、例えば
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸もしくはシトラコン酸等の不飽和
カルボン酸あるいはそれらのナトリウム塩もしくはカリ
ウム塩などのアルカリ金属塩または、アンモニウム塩等
の群から選ばれた1種または2種以上の化合物を例示す
ることができる。また、上記構成モノマーの他に共重合
可能な任意のモノマーを導入することも可能である。代
表例として(メタ)アクリロニトリル、メタクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリ
ル酸−β−ヒドロキシエチル等の水溶性モノマー、さら
にはスチレン又はその誘導体等の疎水性モノマー、ある
いはメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビ
ス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の架橋性モノマ
ー等が挙げられる。もちろん用いられる(メタ)アクリ
ルアミド(d) と共重合可能なモノマー成分(e) は、これ
ら例示した化合物に限定されるわけではない。
【0010】本発明に用いられる重合開始剤としては、
例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイルの如き過酸化
物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウムの如き過硫酸塩、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリ
ウムの如き臭素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カ
リウム、過ホウ酸アンモニウムの如き過ホウ酸塩、過炭
酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸アンモニウムの
如き過炭酸塩、過リン酸ナトリウム、過リン酸カリウ
ム、過リン酸アンモニウムの如き過リン酸塩等が挙げら
れる。更に、アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−
アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩等あるいは
レドックス系触媒等が使用できる。本発明に用いられる
ビニル化合物の重合開始剤としては、前記のように、酸
化剤の他に還元剤を共存させる重合方法、即ちレドック
ス重合をも使用できる。この系において2成分間の酸化
還元反応によってラジカルを容易に生成するので低温で
の重合が可能になるという利点がある。レドックス重合
に用いられる還元剤としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄
の如き鉄類、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、
メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、チオ
硫酸ナトリウム、チオ硫酸カチウム、亜硝酸ナトリウ
ム、亜硫酸ナトリウム等の水溶性無機還元剤が挙げられ
る。これら重合開始剤の添加量は、通常全ビニル化合物
に対して0.001 〜10重量%の範囲で使用される。
【0011】次に、本発明の重合時のpH調整に用いら
れるpH調整化剤としては、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ類、ある
いは硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸やギ酸、酢酸等の有機酸
が挙げられ、これらは重合開始時、重合途中、又は重合
終了時にpH管理用として用いることができる。以上の
ようにして得られる本発明の表面塗工剤が従来品に比べ
て優れた性能を示す理由は充分には解明されてはいない
が、以下のようなことが考えられる。本発明の方法を用
いて製造することにより、同一濃度で同一粘度にもかか
わらず、従来法で得られるポリマーに比較して分子量の
高いポリマーを得ることができる。すなわち、本発明の
手法で得られたポリマーは、公知の重合方法で得られた
ものよりも分子半径が大きいために、紙表面に塗工した
際に紙の内部へのポリマーの浸透が抑えられ、紙表面近
くへの定着量が増えると考えられる。このために従来の
表面塗工剤では充分に覆うことができないベッセルや柔
細胞、微細繊維フラグメントを被覆することが可能とな
るために優れた表面強度改良効果が発揮されると予想さ
れる。また、この高分子量のポリマーが得られる理由
は、pH7以上のアルカリ条件下で重合すると、通常起
こるビニル化合物の二重結合の開裂反応から引き起こさ
れるラジカル重合反応に加え、一般式(1)で示される
化合物、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート等のような塩基性ビニル化合物の末端に存在する
塩基性窒素原子と重合開始剤が相互作用することによ
り、この末端にラジカル重合成長反応が可能なラジカル
が発生し、その点からグラフト化が起こるものと推測さ
れる。またこの際に、上記の一般式(1)で表される化
合物で、予め合成された低分子量の水溶性高分子体に、
いわゆるシード重合におけるシードの役割をさせた場合
には、グラフト点から伸びる分子の広がりを容易に制御
することが可能となるために、より優れた表面塗工剤を
製造することができると本発明者らは考えている。ま
た、このようにして得られる紙表面塗工剤は、通常次の
ような方法で使用される。
【0012】本発明の紙の表面塗工剤を製紙会社で用い
る場合には、該共重合体を必要に応じて適宜水に希釈
し、使用する塗工機に対応する濃度及び目的とする塗工
量が得られるような塗工液濃度に調整して紙に加工され
る。塗工量は各社に於ける紙の要求物性の度合に応じて
まちまちであり、一概には判断できないが、概ね塗工液
固形分で0.1 〜8.0 %で用いられる。塗工方法としては
一般的に、サイズプレス、ゲートロールコーター、カレ
ンダー塗工、ブレードコーター、スプレー等で施すこと
が可能である。塗工後、速やかに乾燥工程に入るわけで
あるが、この時の加熱キュア温度は、一般的には水の蒸
発する温度以上であれば良いが、マシンスピード等を勘
案すると、好ましくは100℃以上から紙に悪影響を及
ぼさない範囲の温度、即ち、180℃位迄が良い。更に
本発明の紙の表面塗工剤は、種々の薬品と組み合わせて
使用することができる。例えば、従来から用いられてき
た澱粉系、カルボキシメチルセルロ−ス系、PVA系、
PAM系等であり、これらの薬品の組み合わせて塗工す
ることによっても、更に機能的な表面強度改良剤として
優れた効果を発揮する。本発明の紙の表面塗工剤は、段
ボ−ル外装ライナ−やその他の板紙、或は、上、中質
紙、コ−ト原紙等の表面摩耗性、毛羽立、滑性、光沢、
ベッセルピツクその他の紙表面の改質に必要な物性を改
良する塗工剤であって、該共重合体を塗工することは有
効かつ極めて優れている。
【0013】
【実施例】以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。さら
に以下において、特記する以外は部、%は重量基準であ
り、モノマー類の比率はモル比率である。また得られた
重合体の分子量は前述したような条件でGPCを用いて
測定し、粘度は25℃におけるブルックフィールド粘度
である。また、各モノマー類は以下のような略語で標示
する場合がある。 アクリルアミド:AAM、 ジメチルアミノエチルメタクリレート:DM、 ジメチルアミノエチルアクリレート:DA、 メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジル アンモニウムクロライド:DMBq、 アクリロニトリル:AN、アクリル酸:AA
【0014】〔水溶性高分子体(c) の合成〕 合成例1 撹拌器、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた1リ
ットル容の4つ口セパラブルフラスコに、40%アクリ
ルアミド67.6部、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート60.0部、市水742.8部、重合開始時のpH
調整剤として95%硫酸を加えて混合し、加熱装置(ウ
ォーターバス)で30℃に加温した。これに重合開始剤
として10%過硫酸アンモニウム、10%亜硫酸ナトリ
ウムを加え、撹拌下において3時間重合することによ
り、AAM:DM=50:50の10%濃度の水溶性高分子
体(c)-1を得た。前記測定法より決定されたこのものの
重量平均分子量は 25,000 であった。
【0015】合成例2 合成例1と同様の装置を備えたセパラブルフラスコで、
40%アクリルアミド170.6部、ジメチルアミノエ
チルメタクリレート16.8部、市水662.6部を用
いた以外は合成例1と同様の操作を行い、AAM:DM
=90:10、重量平均分子量 1,500、10%濃度の水溶性
高分子体(c)-2を得た。 合成例3 合成例1と同様の装置を備えたセパラブルフラスコで、
40%アクリルアミド11.2部、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート81.2部、市水764.4部を用いた
以外は合成例1と同様の操作を行い、AAM:DA=1
0:90、重量平均分子量 95,000 、10%濃度の水溶性
高分子体(c)-3を得た。 合成例4 合成例1と同様の装置を備えたセパラブルフラスコで、
40%アクリルアミド54.2部、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート24.0部、70%メタクリロイルオ
キシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド6
1.7部、市水750.0部を用いた以外は合成例1と
同様の操作を行い、AAM:DM:DMBq=50:25:
25、重量平均分子量 5,000、10%濃度の水溶性高分子
体(c)-4を得た。
【0016】比較合成例1 合成例1と同様のモノマー組成で、重合開始剤としての
10%過硫酸アンモニウム、10%亜硫酸ナトリウムの
量を著しく増やした以外は合成例1と同様の操作を行
い、AAM:DM=50:50、重量平均分子量 500、10
%濃度の水溶性高分子体(c)-5を得た。 比較合成例2 合成例1と同様のモノマー組成で、重合開始剤としての
10%過硫酸アンモニウム、10%亜硫酸ナトリウムの
量を減らした以外は合成例1と同様の操作を行い、AA
M:DM=50:50、重量平均分子量110,000、10%濃
度の水溶性高分子体(c)-6を得た。 比較合成例3 合成例1と同様の装置を備えたセパラブルフラスコで、
40%アクリルアミド0.58部、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート99.8部、市水900部を用いた以
外は合成例1と同様の操作を行い、AAM:DM=0.
5:99.5、重量平均分子量20,000、10%濃度の水溶性
高分子体(c)-7を得た。 比較合成例4 合成例1と同様の装置を備えたセパラブルフラスコで、
40%アクリルアミド247.3部、ジメチルアミノエ
チルアクリレート1.1部、市水750部を用いた以外
は合成例1と同様の操作を行い、AAM:DM=99.5:
0.5 、重量平均分子量10,000、10%濃度の水溶性高分
子体(c)-8を得た。以上の合成例1〜4、比較合成例1
〜4で得られた水溶性高分子体(c)-1〜8の組成、物性
の一覧を下記の表−1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】実施例1 合成例1と同じセパラブルフラスコに、水溶性高分子体
(c)-1を100部、40%アクリルアミド250部、ジ
メチルアミノエチルメタクリレート11.6部、市水4
50部を加えて、加熱装置(ウォーターバス)を用いて
40℃に加温した。その後10%水酸化ナトリウム水溶
液を加えてpHを8.0とし、10%過硫酸アンモニウ
ムを加え撹拌下において90分間重合した。90分後に
95%硫酸を加えてpH調整した後、冷却し重合反応を
完了させた。その結果、粘度7000cps、pH4.
0の安定な水溶性の重合体A1が得られた。この重合体
A1の重量平均分子量は 1,500,000であった。この重合
体A1中における(c) の (d+e)に対する重量比率は47
%、(d) :(e) =AAM:DM =95:5 である。次に、得ら
れた重合体A1を水で希釈し、固形分4%の希釈液を調
製し、塗工液A1とした。この塗工液を用いて、マング
ルを使用して縦40cm、横30cmに裁断した上質系コー
ト原紙(坪量80g/m2 、NBKP:LBKP=80:
20)に塗工した。塗工方法は、4%の塗工液A1の中に
紙料を1秒間浸漬した後に2本のロールで搾り、樹脂付
着量を秤量した。秤量後、直ちに110℃に設定したド
ラムドライヤーで50秒間乾燥して、紙サンプルを得
た。このときの塗工量は2.0g/m2 であった。これ
を紙- A1- bした。また、塗工液A1の濃度を2%に
希釈した以外は上記と同様の操作で、1.0g/m2
塗工量の紙サンプルを得た。これを紙- A1- aとし
た。この様にして得た紙サンプルを恒温恒温室(温度2
0℃、湿度65%)に1昼夜シーズニング後、同室にて
以下の物性評価を行った。 ・ワックスピック:JIS−P−8129 評価結果は、ワックスNO.の大きいものが表面強度が
強いことを示す。 ・RIピック:RI−3型 明製作所(株)社製10点
法の相対評価であり、高得点のものが表面強度が強いこ
とを示す。 ・Z軸強度:インターナルボンドテスター 熊谷理機工
業(株)社製
【0019】実施例2 水溶性高分子体(c)-1を180部、40%アクリルアミ
ド250部、80%アクリル酸7.92部、アクリロニ
トリル14.0部、市水470部を用いた以外は実施例
1と同様の操作を行って重合し、粘度5000cps、
pH4.4の安定な水溶性の重合体A2が得られた。こ
の重合体A2の重量平均分子量は 1,200,000であった。
またこの重合体A2中における(c) の(d+e1+e2) に対す
る重量比率は60%、d:e1:e2 =AAM:AA:AN =80:5 :15
である。この重合体A2を用いて、実施例1と同様の操
作を行って、塗工液A2を紙表面に1.0及び2.0g
/m2 塗工したサンプル紙- A2- a及び紙- A2- b
を得た。これらのサンプルについて、実施例1と同様に
紙物性評価を行った。 実施例3 水溶性高分子体(c)-1を180部、40%アクリルアミ
ド250部、ジメチルアミノエチルメタクリレート9.
83部、70%メタクリロイルオキシエチルジメチルベ
ンジルアンモニウムクロライド25.3部、80%アク
リル酸2.82部、市水500部を用いた以外は実施例
1と同様の操作を行って重合し、粘度8200cps、
pH4.4の安定な水溶性の重合体A3が得られた。こ
の重合体A3の重量平均分子量は 1,800,000であった。
また、この重合体A3中における (c)の(d+e1+e2+e3)に
対する重量比率は60%、d:e1:e2:e3=AAM:DM:DMBQ:AA=
90:4:4 :2 である。この重合体A3を用いて、実施
例1と同様の操作を行って、塗工液A3を紙表面に1.
0及び2.0g/m2 塗工したサンプル紙- A3- a及
び紙- A3- bを得た。これらのサンプルについて、実
施例1と同様に紙物性評価を行った。
【0020】実施例4 水溶性高分子体(c)-1を1.5部、40%アクリルアミ
ド370部、市水625部を用いた以外は実施例1と同
様の操作を行って重合し、粘度7100cps、pH
4.2の安定な水溶性の重合体A4が得られた。この重
合体A4の重量平均分子量は 900,000であった。この重
合体A4中における(c) の(d+e) に対する重量比率は1
%、(d) :(e) =100 :0 である。この重合体A4を用
いて、実施例1と同様の操作を行って、塗工液A4を紙
表面に1.0及び2.0g/m2 塗工したサンプル紙-
A4- a及び紙- A4- bを得た。これらのサンプルに
ついて、実施例1と同様に紙物性評価を行った。 実施例5 水溶性高分子体(c)-1を280部、40%アクリルアミ
ド300部、市水400部を用いた以外は実施例1と同
様の操作を行って重合し、粘度6900cps、pH
4.1の安定な水溶性の重合体A5が得られた。この重
合体A5の重量平均分子量は 840,000であった。この重
合体A5中における(c) の(d+e) に対する重量比率は70
%、(d) :(e) =100 :0 である。この重合体A5を用
いて、実施例1と同様の操作を行って、塗工液A5を紙
表面に1.0及び2.0g/m2 塗工したサンプル紙-
A5- a及び紙- A5- bを得た。これらのサンプルに
ついて、実施例1と同様に紙物性評価を行った。
【0021】実施例6 水溶性高分子体(c)-2を80部、40%アクリルアミド
240部、ジメチルアミノエチルメタクリレート23.
6部、市水500部を用いた以外は実施例1と同様の操
作を行って重合し、粘度6600cps、pH4.3の
安定な水溶性の重合体A6が得られた。この重合体A6
の重量平均分子量は 1,400,000であった。また、この重
合体A6中における(c) の(d+e) に対する重量比率は40
%、(d) :(e) =AAM:DM=90:10である。この重合体A
6を用いて、実施例1と同様の操作を行って、塗工液A
6を紙表面に1.0及び2.0g/m2 塗工したサンプ
ル紙- A6- a及び紙- A6- bを得た。これらのサン
プルについて、実施例1と同様に紙物性評価を行った。 実施例7 水溶性高分子体(c)-3を100部、40%アクリルアミ
ド300部、ジメチルアミノエチルメタクリレート1
5.0部、市水550部を用いた以外は実施例1と同様
の操作を行って重合し、粘度7600cps、pH4.
3の安定な水溶性の重合体A7が得られた。この重合体
A7の重量平均分子量は 1,300,000であった。また、こ
の重合体A7中における(c) の(d+e) に対する重量比率
は43%(d) :(e) =AAM :DM=95:5 である。この重合
体A7を用いて、実施例1と同様の操作を行って、塗工
液A7を紙表面に1.0及び2.0g/m2 塗工したサ
ンプル紙- A7- a及び紙- A7- bを得た。これらの
サンプルについて、実施例1と同様に紙物性評価を行っ
た。
【0022】比較例1 合成例1と同じセパラブルフラスコに40%アクリルア
ミド300部、ジメチルアミノエチルメタクリレート1
1.8部、70%メタクリロイルオキシエチルジメチル
ベンジルアンモニウムクロライド30.4部、80%ア
クリル酸3.40部、市水690部を加え、硫酸または
水酸化ナトリウム水溶液でpH4.5に調整した。この
溶液を加熱装置(ウォーターバス)を用いて40℃に加
温し、10%過硫酸アンモニウムを加えて撹拌下におい
て90分間重合した。さらに、95%硫酸を加えて冷却
し、重合反応を完了させたところ、粘度6200cp
s、pH4.5の安定な水溶性の重合体B1が得られ
た。この重合体B1の重量平均分子量は 400,000であっ
た。また、この重合体B1中における (c)の(d+e1+e2+e
3)に対する重量比率は0%、d:e1:e2:e3=AAM:DM:DMBQ:
AA =90:4 :4 :2 である。この重合体B1を用い
て、実施例1と同様の操作を行って、塗工液B1を紙表
面に1.0及び2.0g/m2 塗工したサンプル紙- B
1- a及び紙- B1- bを得た。これらのサンプルにつ
いて、実施例1と同様に紙物性評価を行った。 比較例2 pH調整剤として10%水酸化ナトリウム溶液を用い
て、重合初期pH8.0に調整した後に比較例1と同様
の操作を行って重合を行い、粘度7300cps、pH
4.2の安定な水溶性の重合体B2が得られた。この重
合体B2の重量平均分子量は 950,000であった。また、
この重合体B2中における (c)の(d+e1+e2+e3)に対する
重量比率は0%、d:e1:e2:e3=AAM:DM:DMBQ:AA=90:4
:4 :2 である。この重合体B2を用いて、実施例1
と同様の操作を行って、塗工液B2を紙表面に1.0及
び2.0g/m2 塗工したサンプル紙- B2- a及び紙
- B2- bを得た。これらのサンプルについて、実施例
1と同様に紙物性評価を行った。
【0023】比較例3 合成例1で得られた水溶性高分子体(c)-1を0.6部、
40%アクリルアミド300部、市水500部を用いた
以外は実施例1と同様の操作を行って重合を開始した
が、反応が進まなく、目的とする重合体が得られなかっ
た。ここで、この反応における (c)の(d+e) に対する重
量比率は 0.5%、(d) :(e) =100 :0 である。 比較例4 水溶性高分子(c)-1を300部、40%アクリルアミド
250部、市水310部を用いた以外は実施例1と同様
の操作を行って重合して、粘度5700cps、pH
4.1の安定な水溶性の重合体B4が得られた。この重
合体B4の重量平均分子量は 200,000であった。また、
この重合体B4中における(c) の(d+e) に対する重量比
率は75%、(d) :(e) =100 :0 である。ただし、この
時の重合反応は反応温度の上昇が速く重合の制御が非常
に難い。また、GPCによる分子量分布をみたところ、
低分子量領域のものが多い。この重合体B4を用いて、
実施例1と同様の操作を行って、塗工液B4を紙表面に
1.0及び2.0g/m2 塗工したサンプル紙- B4-
a及び紙- B4- bを得た。これらのサンプルについ
て、実施例1と同様に紙物性評価を行った。
【0024】比較例5 水溶性高分子体(c)-1の代わりに、比較合成例1の操作
で得られた水溶性高分子体(c)-5を用いた以外は実施例
1と同様の操作を行って、粘度7000cps、pH
4.0の安定な水溶性の重合体B5が得られた。この重
合体B5の重量平均分子量は 390,000であった。この重
合体B5中における(c) の(d+e) に対する重量比率は47
%、(d) :(e) =AAM:DM=95:5 である。この重合体B
5を用いて、実施例1と同様の操作を行って、塗工液B
5を紙表面に1.0及び2.0g/m2 塗工したサンプ
ル紙- B5- a及び紙- B5- bを得た。これらのサン
プルについて、実施例1と同様に紙物性評価を行った。 比較例6 水溶性高分子体(c)-1の代わりに、比較合成例2の操作
で得られた水溶性高分子体(c)-6を用いた以外は実施例
1と同様の操作を行ったが、反応途中で制御不能となり
ゲル化してしまい、目的とする重合体は得られなかっ
た。
【0025】比較例7 水溶性高分子体(c)-1の代わりに、比較合成例3の操作
で得られた水溶性高分子体(c)-7を用いた以外は実施例
1と同様の操作を行ったが、反応途中で制御不能となり
ゲル化してしまい、目的とする重合体は得られなかっ
た。 比較例8 水溶性高分子体(c)-1の代わりに、比較合成例4の操作
で得られた水溶性高分子体(c)-8を用いた以外は実施例
1と同様の操作を行って重合を行い、粘度6600cp
s、pH4.2の安定な水溶性の重合体B8が得られ
た。この重合体B8の重量平均分子量は 1,100,000であ
った。また、この重合体B8中における(c)-8の(d+e)
に対する重量比率は47%、(d):(e) =AAM:DM=95:5 で
ある。この重合体B8を用いて、実施例1と同様の操作
を行って、塗工液B8を紙表面に1.0及び2.0g/
2 塗工したサンプル紙- B8- a及び紙- B8- bを
得た。これらのサンプルについて、実施例1と同様に紙
物性評価を行った。 比較例9 可変モーター付き撹拌棒と冷却管と温度計を備えた1リ
ットル容4つ口セパラブルフラスコと、加熱装置(ウォ
ーターバス)を準備し、該セパラブルフラスコに水83
0gを仕込み、これに市販の酸化澱粉(エースA:王子
コーンスターチ社製)を170gを加え、充分に撹拌混
合した。さらに撹拌を続けながら、加熱装置(ウォータ
ーバス)で、室温から90℃まで加温し、90℃に達し
たら、この状態で30分間保持した。30分後に冷却を
開始し、室温まで冷却した。この澱粉溶液の濃度は15
%であり、これを4%まで水で希釈した溶液を塗工液B
9とした。この塗工液B9を用いて、実施例1と同様の
方法で塗工し、塗工量1.0及び2.0g/m2 のサン
プル紙- B9- a及び紙- B9- bを得た。これらの紙
サンプルについて、実施例1と同様の紙物性評価を行っ
た。
【0026】比較例10 比較例9の酸化澱粉の代わりに、変性PVA(ゴーセナ
ールT−330H:日本合成化学工業(株)製)を用い
た以外は、比較例9と同様の操作を行って、この変性P
VAをクッキングし、さらに4%に希釈して、塗工液B
10を得た。この塗工液B10を用いて、実施例1と同様の
方法で紙に塗工し、塗工量1.0及び2.0g/m2
サンプル紙- B10- a及び紙- B10- bを得た。これら
の紙サンプルについて、実施例1と同様の紙物性評価を
行った。 比較例11 4%樹脂液の代わりに水のみを塗工した以外は、実施例
1で行った方法に従ってサンプル紙ー B-11 を得た。こ
のものをブランクと称し、実施例1と同様の紙物性評価
を行った。以上のように実施例1〜7及び比較例1〜11
で得られた重合体の物性値を表−2、これらを塗工した
紙サンプルの紙物性試験結果を表−3に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】比較例3及び6〜7に示すように、重合
pHがアルカリ領域においては、本発明の水溶性高分子
体(c) を1〜70重量%の範囲で用いない場合、紙表面塗
工剤として利用できる(メタ)アクリルアミドの重合体
が得られない。即ち、本発明は従来にない新規な(メ
タ)アクリルアミドの重合方法と言える。また、本発明
の表面塗工剤(実施例)は、従来の薬品類(比較例)に
比べて表面強度改良効果が極めて優れていることは表−
3から明白である。表−3において、比較例1〜8のP
AM類、比較例9の酸化澱粉及び比較例10の変性PVA
は、比較例11のブランクに比べてワックスピック、RI
ピック及びZ軸強度が高く、表面強度改良剤として優れ
た結果を示している。その中で、本発明の範囲外で共重
合させた比較例の中で比較例2、8のPAMは実施例で
得られるPAMと同様に分子量が高くなっており、比較
例1、4、5のPAM及び比較例10の変性PVAより若
干優れた特性を示す。また、比較例1、4、5で得られ
るPAMと比較例10の変性PVAとの比較では、若干変
性PVAが優れている結果を得た。これに対して、本発
明の実施例1〜7は、一般に用いられる酸化澱粉や比較
例に示されるPAMよりも優れた性能を発揮する。更に
は、一般的に表面強度改良効果の優れているとされてい
る変性PVAよりも、かなり優れた効果を発揮している
比較例2、8よりもさらに優れた結果となった。かかる
ことから、本発明の紙の表面塗工剤は、全く新規な重合
方法を用いて得られた(メタ)アクリルアミド重合体で
あり、従来から用いられてきた他のPAM系、PVA系
等の優れた薬品を更に改良した位置付にあり、紙の表面
強度改良剤として優れていることが明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清田 謙三 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリルアミド(a) 99〜1 モル
    %と、下記一般式(1)で表される (式中、R1 はH又はCH3 、R2 、R3 はH又は炭素
    数1〜3の低級アルキル基、nは1〜4の整数、XはO
    又はNHを表す。) ビニル化合物及び/又はそれらの有機ないし無機酸の塩
    類(b)1〜99モル%でラジカル重合することにより得られ
    る重量平均分子量が1,000 〜100,000 の水溶性高分子体
    (c) と、該水溶性高分子体(c) の1〜70重量%に対して
    (メタ)アクリルアミド(d) の30〜99重量%を、pH7
    以上の条件でラジカル重合を行うことを特徴とする紙表
    面塗工剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 (メタ)アクリルアミド(d) が、(メ
    タ)アクリルアミド及び該(メタ)アクリルアミドと共
    重合可能なその他モノマー(e) の一種以上の混合物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の紙表面塗工剤の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の紙表面塗工剤で処
    理した紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009108466A (ja) * 2007-10-12 2009-05-21 Kao Corp 紙の表面処理剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009108466A (ja) * 2007-10-12 2009-05-21 Kao Corp 紙の表面処理剤

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