JPH06171917A - 含炭素組成物の製造方法 - Google Patents

含炭素組成物の製造方法

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JPH06171917A
JPH06171917A JP4331994A JP33199492A JPH06171917A JP H06171917 A JPH06171917 A JP H06171917A JP 4331994 A JP4331994 A JP 4331994A JP 33199492 A JP33199492 A JP 33199492A JP H06171917 A JPH06171917 A JP H06171917A
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carbon
furnace
decomposable
metal
compound
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JP4331994A
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Inventor
Sadaichi Kohara
定一 菰原
Hideaki Miyashita
英晃 宮下
Takeshi Yasutake
剛 安武
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水蒸気を含む熱ガス中に、分解性金属化
合物及び分解性炭素化合物を導入・分解して、金属酸化
物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質を製造する反
応炉に竪型炉を用いる。 【効果】 竪型炉を用いることにより連続適に長期
間、炉内の閉塞もなく安定した操業ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼結用セラミックス粉体
を製造するのに適した、金属酸化物と単体炭素が微細で
均一に混合された、含炭素組成物の製造方法に関する。
更に詳しく言えば、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒
化物、金属酸窒化物等の製造に適した、金属酸化物と単
体炭素とを含む含炭素組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結用セラミックスの原料として有用な
金属炭化物粉末の製造方法としては、従来、 金属酸化物の炭素による還元炭化 金属の直接炭化 分解性金属化合物と炭化水素との気相反応 等が知られている。
【0003】又、金属窒化物粉末の製造方法としては、 金属酸化物と炭素の混合物を含窒素化合物(例えば窒
素、アンモニア)雰囲気中で高温に加熱する方法 金属の直接窒化 分解性金属化合物とアンモニア等含窒素化合物との気
相反応 等が知られている。
【0004】更に、金属炭窒化物粉末の製造方法として
は、上述のの方法において、金属酸化物を金属炭化物
に転化させるには不十分であるが、金属窒化物に転化す
るには過剰な炭素量を用いて転化させる方法が知られて
いる。更に又、金属酸窒化物粉末の製造方法としては、 上述のの方法において、金属酸化物の全部を金属窒
化物に転化するには不充分な炭素量を用いて転化させる
方法が知られている。 このように金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金
属酸窒化物等のセラミックス粉末を製造する際に、金属
酸化物と炭素との混合物はこれらの製造原料として重要
である。
【0005】得られたセラミックス粉末は通常成形さ
れ、焼結体にされる。焼結体を製造する際にこれらのセ
ラミックス粉体の粒子が微細であり、かつ粒径分布がシ
ャープで高純度である程、焼結体の密度が高くなりやす
く(以下、この性質を易焼結性という)かつ焼結体強度
が高くなる。このような好ましいセラミックス粉末を製
造するためには、その原料である金属酸化物と炭素とが
可能な限り均一に、かつ微細に混合された組成物を作る
ことが求められる。
【0006】これを達成するための手段として、本発明
者らは特公平3−13164号公報で、分解性金属化合
物と分解性炭素化合物を水蒸気を含む熱ガス中に導入し
て、これらを分解し、気相中で目的の金属酸化物と炭素
の混合物を製造する装置を提案した。該装置によれば、
微細な金属酸化物と炭素が均一に混合された混合物を長
時間(10数時間)安定して得ることができ、該混合物
を用いることにより、微細、かつ粒径分布のシャープな
金属炭化物を製造できることを確認した。
【0007】しかしながら、さらに数10時間に及ぶ連
続運転を試みた結果、該装置では、運転時間の経過とと
もに炉圧が徐々に上昇していき、50時間を過ぎたあた
りから燃焼用空気及び冷却用空気の供給量を一定に維持
できなくなり、最終的にはスケールによる炉閉塞のため
に運転中止をよぎなくされるという新たな問題が明かと
なった。
【0008】本含炭素組成物製造装置は、該組成物中の
金属酸化物と単体炭素の割合等の物性の安定したものを
長時間安定して供給することを目的としており、燃焼用
空気及び冷却用空気の供給量を維持できなくなり、最終
的には運転中止をよぎなくされるという問題は、前述し
た物性等に変動を引き起こすために絶対に防止しなけれ
ばならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特公平3−
13164号公報に記された如き含炭素組成物であっ
て、物性の安定した含炭素組成物を工業的に連続、かつ
長時間安定に製造する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この新た
な問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、炉内を閉塞
にいたらしめる塊状のスケ−ルは、必ず横型炉反応領域
の炉底部より成長していることに着目し、この様なスケ
−ルは、まず炉天井に付着したスケ−ルが落下、炉底部
に堆積し、これに噴霧原料中の粒子径の大きな液滴が未
反応の状態で落下衝突し、成長したものであり、全ての
原因は重力の影響にあると推察し本発明に至ったもので
ある。
【0011】即ち、水蒸気を含む熱ガス中に、分解性金
属化合物及び分解性炭素化合物を導入・分解して、金属
酸化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質を製造す
る反応炉において、該反応炉に竪型炉を用いることを特
徴とする含炭素組成物の製造方法を提供するものであ
る。
【0012】本発明を更に詳細に説明する。本発明の含
炭素組成物とは、水蒸気含有熱ガス中に、分解性金属化
合物及び分解性炭素化合物を導入・分解して、金属酸化
物及び単体炭素の各々のエ−ロゾルを含む混合エ−ロゾ
ル分散質を生成させて、この混合エ−ロゾル分散質を捕
集して得たことにより特徴づけられる。本発明で云う混
合エ−ロゾルとは、気体中に金属酸化物及び単体炭素が
微細な固形物の分散質として混在するものを意味する。
【0013】本発明では、まず単体炭素のエ−ロゾル
は、分解性炭素化合物を熱ガス中に導入・分解して容易
に得ることができる。他方、金属酸化物のエ−ロゾル
は、例えば四塩化珪素の如き化合物を水蒸気を含む熱ガ
ス中に導入すると、熱分解、酸化あるいは加水分解等を
伴う分解を起こし容易に得ることができる。
【0014】本発明で使用しうる分解性金属化合物は、
常温常圧ですでにまたは昇温により容易に気相もしくは
液相状態となるものが好適に使用される。具体的例を挙
げれば、C5 11Li、C5 5 Li、NaH、C5
5 Na、C6 5 2 Rb、C2 5 Cs、(C
2 5 2 Be、C2 5 MgC、Mg(OC
3 2 、(C5 5 2 Ca、Sc(CH3 3 、Y
(C5 5 3 、La(CH3 3 、TiC3 CH3
TiF4 、TiI4 、Ti(OC3 7 4 、Zr
4 、Zr(OC2 5 4 、HfC4 、HfC2 (C
5H5)2 、VF5 、V(C5 5 2 、NbF5 、N
bC5 、Nb(C3 5 )4、TaF5、TaBr4
TaH3 (C5 5 2 、CrC4 、Cr(C
3 4 、MoF 5 、MoC5 、MoC2 (C5 5
2 、WF6 、WC5 、W(CH3 6 、WC2 (C5
5 2 、Mn(C5 5 2 、ReH(C5 5 2
Ru(C55 2 、Co(Co)2 2 5 、Rh
(C5 5 )(C5 6 )、Ni(C 3 5 2 、Pb
(C3 5 2 、Zn(C2 5 2 、Cd(C
2 3 2 、Hg(CH3 2 、BC3 、B(OC
3 3 、B(OC2 5 3 、B2 6、AH3
(C2 5 3 A、A(OC2 5 3 、GaC3 、G
a(CH3 3 、(C2 5 2 GaOC2 5 、TF
3 、HSiC3 、SiH4 、Si2 6 、(CH3 4
Si、(CH3 2 SiC2 、CH3 SiC3 、SiF
4 、Si(OC2 5 4 、GeCI4 、Sn(C
3 )、PhF4 、PH3 、AsF 3 、AsCI3 、B
iH3 、BiCI3 、Th(O4 3 4 、U(OCH
3 5 、U(OC3 7 5 などであり、またこれらの
混合物であっても本発明には何等支障もなく使用可能で
ある。
【0015】本発明の実施に用いられる分解性炭素化合
物は、熱ガス中に導入された場合、容易に分解して単体
炭素(スス)を生成しうるようなもので、そのままで気
相もしくは液相状態か、昇温により容易に液相状態にな
るものが好適に使用可能である。例えば、LPG、ナフ
サ、ガソリン、燃料油、灯油、軽油、重油、潤滑油、流
動パラフィンなどの石油製品類;メタン、エタン、プロ
パン、ブタン、ペンタンなどの炭化水素;メタノ−ル、
エタノ−ル、プロパノ−ル、エチレン、アセチレン、n
−パラフィン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、
シクロヘキセン、ジクロロペンタジエン、エチルベンゼ
ン、スチレン、キュメン、ブソイドクメン、メシチレ
ン、アルキルベンゼン、α−メチルスチレン、ジシクロ
ドデカトリエン、ジイソブチレン、塩化ビニル、クロル
ベンゼン、C9溜分混合物、エチレンボトムなどの石油
化学製品類;タ−ル、ピッチ、クレオソ−ト油、ナフタ
リン、アントラセン、カルバゾ−ル、タ−ル酸、フェノ
−ル、クレゾ−ル、キシレゾ−ル、ピリジン、ピコリ
ン、キノリンなどのタ−ル製品類;大豆油、ヤシ油、ア
マニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、鯨油、
牛脂、スクワラン、オレイン酸、ステアリン酸などの油
脂類などが好ましいものとしてあげられるが、もちろん
これらに限られるものではない。
【0016】本発明の実施に使用する分解性炭素化合物
は、炭素の供給が目的であるから、この目的からは例え
ば上記の如く、広範囲に選択可能である。しかしなが
ら、取扱の簡便さ、炭素収率の面からトルエン、キシレ
ン、ベンゼン、灯油、軽油、重油、C9溜分混合物、エ
チレンボトムなどが好ましい。
【0017】本発明で使用可能な分解性金属化合物、分
解性炭素化合物は、普通はそのままで、または加熱によ
り容易に気相もしくは液相状態となし得るものであるの
で、特定不純物の排除を必要とする場合は、蒸留、吸
着、洗浄などの簡便な操作で高純度の各分解性化合物を
容易に得ることが出来る。
【0018】本発明の含炭素組成物を得るための具体的
な装置としては、竪型炉を用いる。この竪型炉には加熱
装置を設け、分解性金属化合物及び分解性炭素化合物の
混合物を導入するノズル、燃焼ガス導入ダクト、混合エ
ーロゾル排出ダクトが具備されている。加熱装置として
は燃焼バ−ナ−、通電発熱体などがあるが燃焼バ−ナ−
が簡便であり、また熱効率の面でも好ましい。
【0019】図1は本発明の竪型炉の一例を示すもので
あり、本発明の原料注入管3及び冷却用ガス送入管4と
燃焼室A、反応領域B及び粉溜室Cを具備した含炭素組
成物の製造装置の断面図を示す。図1において燃料は、
燃焼バ−ナ−2より供給されダクト1からの空気によっ
て燃焼し、水蒸気を含む熱ガス流を形成する。A領域は
燃焼室で燃焼が充分進行するのに必要な空間を有し、こ
れにより下流のB領域、即ち、反応領域においては燃焼
ガスは安定した熱ガス流を形成するのである。詳細は定
かにしえないが、原料は重量の作用する方向に噴霧する
ため、竪型炉を用いることにより燃焼ガス流と原料ガス
流とに作用する重力差の影響がなくなり、半径方向に均
一な混合ガスの流れが達成できる。即ち、従来のスケー
リングの問題解決に加えて反応生成物の物性のバラツキ
をも最小限に抑えることができるのである。なお、C領
域は粉溜室であり落下したスケ−ルを溜めて置く場所で
ある。
【0020】本発明では、炉内は少なくとも600℃以
上、好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃
以上の温度と空間領域がなければならない。この温度以
上であれば分解性炭素化合物からは単体炭素が、更に水
蒸気を含む雰囲気下で分解性金属化合物からは金属酸化
物が各々極めて微細な粒子として得られ、気体と固形物
との混合体である混合エ−ロゾル状態で発生する。
【0021】なお、2000℃以上の温度は通常熱ロス
を招くだけであるのでこのような高温は好ましくない。
また、金属酸化物に加えて、単体金属さらには金属ハロ
ゲン化物が挟在していても、本発明での最終目的である
炭化物焼結体を得るのに格別の妨げにはならない。
【0022】本発明の実施に用いられる分解性金属化合
物の熱分解及び加水分解反応、分解性炭素化合物の燃焼
及び熱分解の速度はきわめて大きい(0.01〜0.1
秒程度で実質的に反応は完結する)ので反応時間(反応
領域の滞留時間)としては1秒も取れば充分である。従
って反応領域Bの大きさとしては原料である金属酸化物
及び炭素化合物が1秒以上滞留する空間を確保すればよ
い。従来の炉では前述のごとく、重力の影響を受けるの
で炉内に原料流とガス流との濃度分布がつきやすい。こ
のため、反応完了のためには、理論時間よりも長い時間
を必要とする。これに対し、本発明のような竪型炉の構
造とすれば均一な流れが達成できるので反応時間として
は約1秒も取れば十分なのである。
【0023】また、落下スケ−ルを溜めておく粉溜室
は、単なる部屋でもかまわないが、ここに堆積したスケ
−ルを定期的に抜き出すことが可能な構造としておくと
長時間(数千時間にも及ぶ)運転のためにはより好まし
い。本発明で使用する水蒸気を含む熱ガスを得る方法と
しては、通電加熱方式、高周波加熱方式及び放電方式に
よって得た熱ガス中に水蒸気を注入することによって得
ることもできるが、水素、メタン、エタン、プロパンな
ど、あるいは原料とする炭化水素のように燃焼して水蒸
気を生成する可燃物を空気で燃焼させる方法が、一工程
で水蒸気を含む熱ガスを得ることができるので装置上簡
便であり、熱効率の面からも経済的である。
【0024】本発明では、分解性金属化合物と分解性炭
素化合物は予め混合され混合物(組成物)の状態で単一
のノズルより熱ガス中に導入されるのが好ましい。分解
性金属化合物と分解性炭素化合物を、各々別に設けられ
た別々のノズルより熱ガス中に導入したのでは、本発明
の目的を達成することはできない。これは、おそらく混
合物の状態で単一のノズルから導入する方が、微細な混
合状態を呈する含炭素組成物がより安定して得られ易い
ためであろう。また、ノズルを一本とした方が設備も簡
略で操作が容易でもあるという利点もある。
【0025】なお、分解性金属化合物と分解性炭素化合
物は相互に溶解して混合された後、相分離を起こさない
組合せとすることが好ましい。かかる観点からは例え
ば、SiCI4 、CH3 SiCI3 等の分解性金属化合
物はいずれもトルエン、キシレン、灯油、軽油、C9
分混合物等の炭素化合物のいずれにも可溶であるといっ
たように広範囲に選択可能である。
【0026】生成した金属酸化物と単体炭素を含む混合
エ−ロゾル分散質は、炉の外に誘導した後、含まれる固
形物をバグフィルタ−、サイクロン、電気集塵機等の公
知の捕集装置を使用する固−気分離操作により捕集する
が、捕集装置での熱負荷を軽減するためには予冷するこ
とが望ましい。予冷の方法としては、反応後の帯域を冷
却するとか、または水を注入する等の手段を採用でき
る。
【0027】以上の如くして捕集された本発明の含炭素
組成物は、高周波加熱炉、電気抵抗炉、直下式管状加熱
炉などを用い、好ましくはアルゴン、ヘリウム、窒素、
水素などの非酸化性ガス雰囲気下で、1000〜250
0℃好ましくは1200〜2000℃程度に強熱するこ
とによって、焼結体原料として好適な金属炭化物粉末と
することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。 実施例1 図1は、本発明の含炭素組成物の製造装置を断面図で示
したものである。Aは燃焼室、Bは反応領域、Cは粉溜
室であり、炉材に囲まれた空間はA−C方向に軸対称な
円筒状で、A部の内径は550mm、B部の内径は200
mm、C部の内径は300mmである。この装置を用いて、
ダクト1より空気100Nm3/hを連続的に送入し燃
焼バ−ナ−2より水素ガス12Nm3/hを供給燃焼さ
せ、冷却用ガス送入管4には室温の空気50Nm3/h
で送入した。原料として、分解性金属化合物はHSiC
3を、分解性炭素化合物はトルエンを用い、重量比
1:1の割合に混合したものを40kg/hの流量で注
入管3より炉内に注入した。得られた混合エロゾ−ルは
ダクト6より系外に導かれ、エロゾ−ル中の分散質をバ
グフィルタ−で捕集して含炭素組成物16.5kg/h
を得た。含炭素組成物中のケイ素質は二酸化珪素である
ことが化学分析により確認され、ESRスペクトル解析
の結果Siと結合形態にはSi−O結合のみが確認され
た。
【0029】表1に得られた含炭素組成物中の窒素吸着
比表面積及びケイ素に対する炭素の式量比C/Si(g
−アトムC/g−アトムSiという。以下同じ)の原料
注入開始より200時間までの経時変化を示した。この
間注入した全HSiCl3中のケイ素量に対する捕集し
た全含炭素組成物中のケイ素量の割合[以下、金属捕集
率と称す(捕集金属量/注入金属量)×100]は9
9.5%であった。かくの如くして製造装置の運転は2
00時間継続して行い、その後停止して注入管、噴霧ノ
ズル、製造装置内壁などを観察したが、さらに連続運転
を継続するに傷害となるような格別の問題点は全く観察
されず、さらに所望の長時間たとえば、500時間でも
1000時間でも安定運転可能なことが示唆された。
【0030】
【表1】
【0031】実施例2〜6 実施例1と同様な製造装置を使用し、燃料には水素の他
にメタン、プロパン、ブタンを用い、分解性金属化合
物、分解性炭素化合物には表2に示す各々の化合物を用
い、燃焼用空気量、冷却用空気量、原料注入量はそれぞ
れ表2に示した条件とし、それぞれ表2に示した捕集
量、金属捕集率で含炭素組成物を得た。得られた含炭素
組成物の金属に対する炭素の式量比C/Me(g−アト
ムC/g−アトムMetal)及び比表面積の、原料注
入開始より1、15、50、100、190時間後の値
は、各々表2に示す通りであった。これら含炭素組成物
の製造は、いずれも原料注入開始より200時間連続し
て行ったが、実施例1と同様いずれも、さらに連続運転
を継続するに障害となるような格別の問題は全く観察さ
れなかった。
【0032】
【表2】
【0033】比較例1 図2は、特開平3−13164号公報で開示の含炭素組
成物の製造装置を断面図で示したものである。Aは燃焼
室、Bは反応領域であり、炉材に囲まれた空間はA−B
方向に軸対称な円筒状で、A部の内径は550mm、B部
の内径は200mmである。この製造装置を用いて、実施
例1と同様にしてダクト1より空気100Nm3/hを
連続的に送入し、燃焼バ−ナ−2より水素ガス12Nm
3/hを供給燃焼させ、冷却用ガス送入管4には室温の
空気50Nm3/hで送入した。原料として、分解性金
属化合物はHSiCl3を、分解性炭素化合物はトルエ
ンを用い、重 量比1:1の割合に混合したものを40
kg/hの流量で注入管3より製造装置内に注入した。
得られた混合エロゾ−ルはダクト6より系外に導かれ、
エロゾ−ル中の分散質をバグフィルタ−で捕集して含炭
素組成物を15.5kg/hを得た。注入開始より20
時間までは上記の条件で何とか一定に保持できたが、そ
の後炉内圧の上昇にともない燃焼用空気及び冷却用空気
を一定値に保持することが徐々に困難になり、最終的に
は炉内への空気供給がほとんど不可能となり100時間
後に運転を中止せざるを得なくなった。停止後の炉体を
点検したところ、図3のように炉低部より塊状のスケ−
ルが成長しており、炉はほとんど閉塞しているのが確認
された。得られた含炭素組成物の金属に対する炭素の式
量比C/Me(g−アトムC/g−アトムMetal)
及び比表面積の、原料注入開始より1、15、50、1
00時間後の値は、表3に示す通りであった。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では達成され
なかった炉体の閉塞という問題を解消でき長時間の安定
運転が可能になった。その理由は定かでないが、竪型に
することで炉天井のスケ−ルが反応域炉低部に落下しな
くなった。また、ノズルより噴霧された原料が流れ方向
に軸対称な噴霧となり未分解で炉壁に衝突することがな
くなったためと考えられる。以上の如く実施例、比較例
より本発明の竪型炉を使用した場合に限り、目的の特性
を有する含炭素組成物を長時間にわたって連続的に安定
して得られることが判明し、含炭素組成物を工業的に製
造するための方法として本発明がいかにすぐれているか
がわかる。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造装置の断面図
【図2】 従来の製造装置を示す断面図
【図3】 従来の製造装置の100時間運転後を示す断
面図
【符号の説明】
A 燃焼室 B 反応領域 C 粉溜室 1 ダクト 2 燃焼バーナー 3 原料注入管 4 冷却用ガス送入管 5 炉材 6 ダクト 7 塊状のスケール
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 含炭素組成物の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼結用セラミックス粉体
を製造するのに適した、金属酸化物と単体炭素が微細で
均一に混合された、含炭素組成物の製造方法に関する。
更に詳しく言えば、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒
化物、金属酸窒化物等の製造に適した、金属酸化物と単
体炭素とを含む含炭素組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結用セラミックスの原料として有用な
金属炭化物粉末の製造方法としては、従来、 金属酸化物の炭素による還元炭化 金属の直接炭化 分解性金属化合物と炭化水素との気相反応 等が知られている。
【0003】又、金属窒化物粉末の製造方法としては、 金属酸化物と炭素の混合物を含窒素化合物(例えば窒
素、アンモニア)雰囲気中で高温に加熱する方法 金属の直接窒化 分解性金属化合物とアンモニア等含窒素化合物との気
相反応 等が知られている。
【0004】更に、金属炭窒化物粉末の製造方法として
は、上述のの方法において、金属酸化物を金属炭化物
に転化させるには不十分であるが、金属窒化物に転化す
るには過剰な炭素量を用いて転化させる方法が知られて
いる。更に又、金属酸窒化物粉末の製造方法としては、 上述のの方法において、金属酸化物の全部を金属窒
化物に転化するには不充分な炭素量を用いて転化させる
方法が知られている。 このように金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金
属酸窒化物等のセラミックス粉末を製造する際に、金属
酸化物と炭素との混合物はこれらの製造原料として重要
である。
【0005】得られたセラミックス粉末は通常成形さ
れ、焼結体にされる。焼結体を製造する際にこれらのセ
ラミックス粉体の粒子が微細であり、かつ粒径分布がシ
ャープで高純度である程、焼結体の密度が高くなりやす
く(以下、この性質を易焼結性という)かつ焼結体強度
が高くなる。このような好ましいセラミックス粉末を製
造するためには、その原料である金属酸化物と炭素とが
可能な限り均一に、かつ微細に混合された組成物を作る
ことが求められる。
【0006】これを達成するための手段として、本発明
者らは特公平3−13164号公報で、分解性金属化合
物と分解性炭素化合物を水蒸気を含む熱ガス中に導入し
て、これらを分解し、気相中で目的の金属酸化物と炭素
の混合物を製造する装置を提案した。該装置によれば、
微細な金属酸化物と炭素が均一に混合された混合物を長
時間(10数時間)安定して得ることができ、該混合物
を用いることにより、微細、かつ粒径分布のシャープな
金属炭化物を製造できることを確認した。
【0007】しかしながら、さらに数10時間に及ぶ連
続運転を試みた結果、該装置では、運転時間の経過とと
もに炉圧が徐々に上昇していき、50時間を過ぎたあた
りから燃焼用空気及び冷却用空気の供給量を一定に維持
できなくなり、最終的にはスケールによる炉閉塞のため
に運転中止をよぎなくされるという新たな問題が明かと
なった。
【0008】本含炭素組成物製造装置は、該組成物中の
金属酸化物と単体炭素の割合等の物性の安定したものを
長時間安定して供給することを目的としており、燃焼用
空気及び冷却用空気の供給量を維持できなくなり、最終
的には運転中止をよぎなくされるという問題は、前述し
た物性等に変動を引き起こすために絶対に防止しなけれ
ばならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特公平3−
13164号公報に記された如き含炭素組成物であっ
て、物性の安定した含炭素組成物を工業的に連続、かつ
長時間安定に製造する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この新た
な問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、炉内を閉塞
にいたらしめる塊状のスケールは、必ず横型炉反応領域
の炉底部より成長していることに着目し、この様なスケ
ールは、まず炉天井に付着したスケールが落下、炉底部
に堆積し、これに噴霧原料中の粒子径の大きな液滴が未
反応の状態で落下衝突し、成長したものであり、全ての
原因は重力の影響にあると推察し本発明に至ったもので
ある。
【0011】即ち、水蒸気を含む熱ガス中に、分解性金
属化合物及び分解性炭素化合物を導入・分解して、金属
酸化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質を製造す
る反応炉において、該反応炉に竪型炉を用いることを特
徴とする含炭素組成物の製造方法を提供するものであ
る。
【0012】本発明を更に詳細に説明する。本発明の含
炭素組成物とは、水蒸気含有熱ガス中に、分解性金属化
合物及び分解性炭素化合物を導入・分解して、金属酸化
物及び単体炭素の各々のエーロゾルを含む混合エーロゾ
ル分散質を生成させて、この混合エーロゾル分散質を捕
集して得たことにより特徴づけられる。本発明で云う混
合エーロゾルとは、気体中に金属酸化物及び単体炭素が
微細な固形物の分散質として混在するものを意味する。
【0013】本発明では、まず単体炭素のエーロゾル
は、分解性炭素化合物を熱ガス中に導入・分解して容易
に得ることができる。他方、金属酸化物のエーロゾル
は、例えば四塩化珪素の如き化合物を水蒸気を含む熱ガ
ス中に導入すると、熱分解、酸化あるいは加水分解等を
伴う分解を起こし容易に得ることができる。
【0014】本発明で使用しうる分解性金属化合物は、
常温常圧ですでにまたは昇温により容易に気相もしくは
液相状態となるものが好適に使用される。具体的例を挙
げれば、C11Li、CLi、NaH、C
Na、CRb、CCs、(C
Be、CMgCl、Mg(OCH
(CCa、Sc(CH、Y(C
、La(CH、TiClCH、T
iF、TiI、Ti(OC、ZrI
Zr(OC、HfCl、HfCl(C
、VF、V(C、NbF、Nb
Cl、Nb(C 、TaF、TaBr
TaH(C、CrCl、Cr(C
、MoF、MoCl、MoCl(C
、WF、WCl、W(CH、WCl
(C、Mn(C、ReH(C
、Ru(C、CoC1010、Rh
(C)(C)、Ni(C、Pb
(C、Zn(C、Cd(C
、Hg(CH、BCl、B(OCH
、B(OC、B、(C
Al、Al(OC、GaC
、Ga(CH、(CGaOC
、TlF、HSiCl、SiH、Si
(CHSi、(CHSiCl、CH
iCl、SiF、Si(OC、GeCl
、Sn(CH)、PH、AsF、AsCl
BiH、BiCl、Th(O、U(OC
、U(OCなどであり、またこれら
の混合物であっても本発明には何等の支障もなく使用可
能である。
【0015】本発明の実施に用いられる分解性炭素化合
物は、熱ガス中に導入された場合、容易に分解して単体
炭素(スス)を生成しうるようなもので、そのままで気
相もしくは液相状態か、昇温により容易に液相状態にな
るものが好適に使用可能である。例えば、LPG、ナフ
サ、ガソリン、燃料油、灯油、軽油、重油、潤滑油、流
動パラフィンなどの石油製品類;メタン、エタン、プロ
パン、ブタン、ペンタンなどの炭化水素;メタノール、
エタノール、プロパノール、エチレン、アセチレン、n
−パラフィン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、
シクロヘキセン、ジクロロペンタジエン、エチルベンゼ
ン、スチレン、キュメン、ブソイドクメン、メシチレ
ン、アルキルベンゼン、α−メチルスチレン、ジシクロ
ドデカトリエン、ジイソブチレン、塩化ビニル、クロル
ベンゼン、C溜分混合物、エチレンボトムなどの石油
化学製品類;タール、ピッチ、クレオソート油、ナフタ
リン、アントラセン、カルバゾール、タール酸、フェノ
ール、クレゾール、キシレゾール、ピリジン、ピコリ
ン、キノリンなどのタール製品類;大豆油、ヤシ油、ア
マニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、鯨油、
牛脂、スクワラン、オレイン酸、ステアリン酸などの油
脂類などが好ましいものとしてあげられるが、もちろん
これらに限られるものではない。
【0016】本発明の実施に使用する分解性炭素化合物
は、炭素の供給が目的であるから、この目的からは例え
ば上記の如く、広範囲に選択可能である。しかしなが
ら、取扱の簡便さ、炭素収率の面からトルエン、キシレ
ン、ベンゼン、灯油、軽油、重油、C溜分混合物、エ
チレンボトムなどが好ましい。
【0017】本発明で使用可能な分解性金属化合物、分
解性炭素化合物は、普通はそのままで、または加熱によ
り容易に気相もしくは液相状態となし得るものであるの
で、特定不純物の排除を必要とする場合は、蒸留、吸
着、洗浄などの簡便な操作で高純度の各分解性化合物を
容易に得ることが出来る。
【0018】本発明の含炭素組成物を得るための具体的
な装置としては、竪型炉を用いる。この竪型炉には加熱
装置を設け、分解性金属化合物及び分解性炭素化合物の
混合物を導入するノズル、燃焼ガス導入ダクト、混合エ
ーロゾル排出ダクトが具備されている。加熱装置として
は燃焼バーナー、通電発熱体などがあるが燃焼バーナー
が簡便であり、また熱効率の面でも好ましい。
【0019】図1は本発明の竪型炉の一例を示すもので
あり、原料注入管3及び冷却用ガス送入管4と燃焼室
A、反応領域B及び粉溜室Cを具備した含炭素組成物の
製造装置の断面図を示す。図1において燃料は、燃焼バ
ーナー2より供給されダクト1からの空気によって燃焼
し、水蒸気を含む熱ガス流を形成する。A領域は燃焼室
で燃焼が充分進行するのに必要な空間を有し、これによ
り下流のB領域、即ち、反応領域においては燃焼ガスは
安定した熱ガス流を形成するのである。詳細は定かにし
えないが、竪型炉を用いた場合、原料は重力の作用する
方向に噴霧されるため、燃焼ガス流と原料流とに作用す
る重力の影響の差がなくなり、半径方向に均一な混合ガ
スの流れが達成できる。即ち、従来のスケーリングの問
題解決に加えて反応生成物の物性のバラツキをも最小限
に抑えることができるのである。なお、C領域は粉溜室
であり落下したスケールを溜めて置く場所である。
【0020】本発明では、炉内は少なくとも600℃以
上、好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃
以上の温度と空間領域がなければならない。この温度以
上であれば分解性炭素化合物からは単体炭素が、更に水
蒸気を含む雰囲気下で分解性金属化合物からは金属酸化
物が各々極めて微細な粒子として得られ、気体と固形物
との混合体である混合エーロゾル状態で発生する。
【0021】なお、2000℃以上の温度は通常熱ロス
を招くだけであるのでこのような高温は好ましくない。
また、金属酸化物に加えて、単体金属さらには金属ハロ
ゲン化物が挟在していても、本発明での最終目的である
炭化物焼結体を得るのに格別の妨げにはならない。
【0022】本発明の実施に用いられる分解性金属化合
物の熱分解及び加水分解反応、分解性炭素化合物の燃焼
及び熱分解の速度はきわめて大きい(0.01〜0.1
秒程度で実質的に反応は完結する)ので反応時間(反応
領域の滞留時間)としては1秒も取れば充分である。従
って反応領域Bの大きさとしては原料である分解性金属
化合物及び分解性炭素化合物が1秒以上滞留する空間を
確保すればよい。従来の炉では前述のごとく、重力の影
響の差により炉内に原料流とガス流との濃度分布がつき
やすい。このため、反応完了のためには、理論時間より
も長い時間を必要とする。これに対し、本発明のような
竪型炉の構造とすれば均一な流れが達成できるので反応
時間としては約1秒も取れば十分なのである。
【0023】また、落下スケールを溜めておく粉溜室
は、単なる部屋でもかまわないが、ここに堆積したスケ
ールを定期的に抜き出すことが可能な構造としておくと
長時間(数千時間にも及ぶ)運転のためにはより好まし
い。本発明で使用する水蒸気を含む熱ガスを得る方法と
しては、通電加熱方式、高周波加熱方式及び放電方式に
よって得た熱ガス中に水蒸気を注入することによって得
ることもできるが、水素、メタン、エタン、プロパンな
ど、あるいは原料とする炭化水素のように燃焼して水蒸
気を生成する可燃物を空気で燃焼させる方法が、一工程
で水蒸気を含む熱ガスを得ることができるので装置上簡
便であり、熱効率の面からも経済的である。
【0024】本発明では、分解性金属化合物と分解性炭
素化合物は予め混合され混合物(組成物)の状態で単一
のノズルより熱ガス中に導入されるのが好ましい。分解
性金属化合物と分解性炭素化合物を、各々別に設けられ
た別々のノズルより熱ガス中に導入したのでは、本発明
の目的を達成することはできない。これは、おそらく混
合物の状態で単一のノズルから導入する方が、微細な混
合状態を呈する含炭素組成物がより安定して得られ易い
ためであろう。また、ノズルを一本とした方が設備も簡
略で操作が容易でもあるという利点もある。
【0025】なお、分解性金属化合物と分解性炭素化合
物は相互に溶解して混合された後、相分離を起こさない
組合せとすることが好ましい。かかる観点からは例え
ば、SiCl、CHSiCl等の分解性金属化合
物はいずれもトルエン、キシレン、灯油、軽油、C
分混合物等の炭素化合物のいずれにも可溶であるといっ
たように広範囲に選択可能である。
【0026】生成した金属酸化物と単体炭素を含む混合
エーロゾル分散質は、炉の外に誘導した後、含まれる固
形物をバグフィルター、サイクロン、電気集塵機等の公
知の捕集装置を使用する固−気分離操作により捕集する
が、捕集装置での熱負荷を軽減するためには予冷するこ
とが望ましい。予冷の方法としては、反応後の帯域を冷
却するとか、または水を注入する等の手段を採用でき
る。
【0027】以上の如くして捕集された本発明の含炭素
組成物は、高周波加熱炉、電気抵抗炉、直下式管状加熱
炉などを用い、好ましくはアルゴン、ヘリウム、窒素、
水素などの非酸化性ガス雰囲気下で、1000〜250
0℃好ましくは1200〜2000℃程度に強熱するこ
とによって、焼結体原料として好適な金属炭化物粉末と
することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。 実施例1 図1は、本発明の含炭素組成物の製造装置を断面図で示
したものである。Aは燃焼室、Bは反応領域、Cは粉溜
室であり、炉材に囲まれた空間はA−C方向に軸対称な
円筒状で、A部の内径は550mm、B部の内径は20
0mm、C部の内径は300mmである。この装置を用
いて、ダクト1より空気100Nm/hを連続的に送
入し燃焼バーナー2より水素ガス12Nm/hを供給
燃焼させ、冷却用ガス送入管4には室温の空気50Nm
/hで送入した。原料として、分解性金属化合物はH
SiClを、分解性炭素化合物はトルエンを用い、重
量比1:1の割合に混合したものを40kg/hの流量
で注入管3より炉内に注入した。得られた混合エロゾー
ルはダクト6より系外に導かれ、エロゾール中の分散質
をバグフィルターで捕集して含炭素組成物16.5kg
/hを得た。含炭素組成物中のケイ素質は二酸化珪素で
あることが化学分析により確認され、ESRスペクトル
解析の結果Siと結合形態にはSi−O結合のみが確認
された。
【0029】表1に得られた含炭素組成物中の窒素吸着
比表面積及びケイ素に対する炭素の式量比C/Si(g
−アトムC/g−アトムSiという。以下同じ)の原料
注入開始より200時間までの経時変化を示した。この
間注入した全HSiCl中のケイ素量に対する捕集し
た全含炭素組成物中のケイ素量の割合[以下、金属捕集
率と称す(捕集金属量/注入金属量)×100]は9
9.5%であった。かくの如くして製造装置の運転は2
00時間継続して行い、その後停止して注入管、噴霧ノ
ズル、製造装置内壁などを観察したが、さらに連続運転
を継続するに傷害となるような格別の問題点は全く観察
されず、さらに所望の長時間たとえば、500時間でも
1000時間でも安定運転可能なことが示唆された。
【0030】
【表1】
【0031】実施例2〜6 実施例1と同様な製造装置を使用し、燃料には水素の他
にメタン、プロパン、ブタンを用い、分解性金属化合
物、分解性炭素化合物には表2に示す各々の化合物を用
い、燃焼用空気量、冷却用空気量、原料注入量はそれぞ
れ表2に示した条件とし、それぞれ表2に示した捕集
量、金属捕集率で含炭素組成物を得た。得られた含炭素
組成物の金属に対する炭素の式量比C/Me(g−アト
ムC/g−アトムMetal)及び比表面積の、原料注
入開始より1、15、50、100、190時間後の値
は、各々表2に示す通りであった。これら含炭素組成物
の製造は、いずれも原料注入開始より200時間連続し
て行ったが、実施例1と同様いずれも、さらに連続運転
を継続するに障害となるような格別の問題は全く観察さ
れなかった。
【0032】
【表2】
【0033】比較例1 図2は、特開平3−13164号公報で開示の含炭素組
成物の製造装置を断面図で示したものである。Aは燃焼
室、Bは反応領域であり、炉材に囲まれた空間はA−B
方向に軸対称な円筒状で、A部の内径は550mm、B
部の内径は200mmである。この製造装置を用いて、
実施例1と同様にしてダクト1より空気100Nm
hを連続的に送入し、燃焼バーナー2より水素ガス12
Nm/hを供給燃焼させ、冷却用ガス送入管4には室
温の空気50Nm/hで送入した。原料として、分解
性金属化合物はHSiClを、分解性炭素化合物はト
ルエンを用い、重 量比1:1の割合に混合したものを
40kg/hの流量で注入管3より製造装置内に注入し
た。得られた混合エロゾールはダクト6より系外に導か
れ、エロゾール中の分散質をバグフィルターで捕集して
含炭素組成物を15.5kg/hを得た。注入開始より
20時間までは上記の条件で何とか一定に保持できた
が、その後炉内圧の上昇にともない燃焼用空気及び冷却
用空気を一定値に保持することが徐々に困難になり、最
終的には炉内への空気供給がほとんど不可能となり10
0時間後に運転を中止せざるを得なくなった。停止後の
炉体を点検したところ、図3のように炉低部より塊状の
スケールが成長しており、炉はほとんど閉塞しているの
が確認された。得られた含炭素組成物の金属に対する炭
素の式量比C/Me(g−アトムC/g−アトムMet
al)及び比表面積の、原料注入開始より1、15、5
0、100時間後の値は、表3に示す通りであった。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では達成され
なかった炉体の閉塞という問題を解消でき長時間の安定
運転が可能になった。その理由は定かでないが、竪型に
することで炉天井のスケールが反応域炉低部に落下しな
くなった。また、ノズルより噴霧された原料が流れ方向
に軸対称な噴霧となり未分解で炉壁に衝突することがな
くなったためと考えられる。以上の如く実施例、比較例
より本発明の竪型炉を使用した場合に限り、目的の特性
を有する含炭素組成物を長時間にわたって連続的に安定
して得られることが判明し、含炭素組成物を工業的に製
造するための方法として本発明がいかにすぐれているか
がわかる。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造装置の断面図
【図2】 従来の製造装置を示す断面図
【図3】 従来の製造装置の100時間運転後を示す断
面図
【符号の説明】 A 燃焼室 B 反応領域 C 粉溜室 1 ダクト 2 燃焼バーナー 3 原料注入管 4 冷却用ガス送入管 5 炉材 6 ダクト 7 塊状のスケール

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水蒸気を含む熱ガス中に、分解性金
    属化合物及び分解性炭素化合物を導入・分解して、金属
    酸化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質を製造す
    る反応炉において、該反応炉に竪型炉を用いることを特
    徴とする含炭素組成物の製造方法。
JP4331994A 1992-12-11 1992-12-11 含炭素組成物の製造方法 Pending JPH06171917A (ja)

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