JP2005170695A - フラーレン類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フラーレンC60、C70及び高次フラーレンの作り分けが可能なフラーレン類の製造方法を提供する。
【解決手段】 炭化水素原料と酸素含有ガスとを反応炉11に供給し、反応炉11内でこれらを不完全燃焼又は熱分解させることによってフラーレンC60、C70及び高次フラーレンを有するミックスフラーレンを製造する方法において、ミックスフラーレン中の(フラーレンC70)/(フラーレンC60)の比率を1以下とし、ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率を制御して、反応炉11から発生する高温ガスから連続的にミックスフラーレンを含む煤状物を回収する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反応炉内に供給される炭化水素原料を不完全燃焼させ、フラーレンC60、C70及び高次フラーレン(例えば、C76、C78、C82、C84、C86、C88等)を有するミックスフラーレンを製造するフラーレン類の製造方法に関する。
近年、特許文献1に示されるように、閉殻構造型のカーボンクラスターであるC60やC70と称されるフラーレンが新しい炭素材料として提案されている。これらの材料は、特殊な分子構造から特異な物性を示すことが期待されるので、ダイヤモンドコーティング、電池材料、塗料、断熱材、潤滑材、医薬品、化粧品等の分野への応用が期待されている。
これらフラーレン類の製造方法としては、例えば、特許文献2に示すように、炭素化合物を燃焼させてフラーレンを製造する方法が提案され、現在ではベンゼン等の芳香族炭化水素である炭化水素原料と酸素含有ガスを反応炉に導き、減圧下で不完全燃焼させてフラーレンを製造する方法が提案されている。
特許第2802324号公報 特表平6−507879号公報
しかしながら、上記した方法で製造されるフラーレン(ミックスフラーレン)は、C60、C70、及び高次フラーレン(例えば、C76、C78、C82、C84、C86、C88等)が混在した状態となっており、需要者の要求に応じた各種フラーレンの作り分けを行うことができない。このため、所定量の炭化水素原料と酸素含有ガスから製造されるフラーレンC60の製造比率を現状よりも高めることができない。従って、フラーレンC60の製造コストを現状よりも低減できず経済的でないという問題がある。
また、フラーレンC60以外の各種フラーレンが多量に製造されれば、これを保管しなければならず、保管場所を確保しなければならないという問題もある。なお、例え保管できたとしても、保管した各種フラーレンの需要がこの保管量を上回らなければ処分しなければならず、炭化水素原料と酸素含有ガスの原料が無駄になり、経済的でないという問題もある。
上記した問題は、フラーレンC60のみならず、フラーレンC70及び高次フラーレンについても同様である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、フラーレンC60、C70及び高次フラーレンの作り分けが可能なフラーレン類の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載のフラーレン類の製造方法は、炭化水素原料と酸素含有ガスとを反応炉に供給し、該反応炉内でこれらを不完全燃焼又は熱分解させることによってフラーレンC60、C70及び高次フラーレンを有するミックスフラーレンを製造する方法において、
前記ミックスフラーレン中の(フラーレンC70)/(フラーレンC60)の比率を1以下とし、前記ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率を制御して、前記反応炉から発生する高温ガスから連続的に前記ミックスフラーレンを含む煤状物を回収する。
請求項1記載のフラーレン類の製造方法において、炭化水素原料とは、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の炭素数6〜15の芳香族炭化水素をいい、特にガス化させたものをいう。
また、ミックスフラーレンとは、フラーレンC60、C70、及び高次フラーレンを有するものであり、例えば、1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解するものである。なお、ミックスフラーレンが溶解する有機溶媒としては、常温で液体であり、沸点が通常100〜300℃、好ましくは120〜250℃の有機溶媒である例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチシレン、1−メチルナフタレン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
そして、高次フラーレンとは、例えば、C76、C78、C82、C84、C86、C88等(分子量がC76以上のもの)をいう。
ここで、フラーレンの製造に燃焼法を使用し、且つミックスフラーレンを含有する煤状物(煤)を連続的に回収することによって、ミックスフラーレン中の(フラーレンC70)/(フラーレンC60)の比率を1以下にできる。
請求項2記載のフラーレン類の製造方法は、請求項1記載のフラーレン類の製造方法において、前記ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率は、前記炭化水素原料と前記酸素含有ガスとの当量比を変えて制御する。
請求項2記載のフラーレン類の製造方法において、炭化水素原料と酸素含有ガスとの当量比とは、反応炉内の炭化水素原料と酸素含有ガスとの混合比、即ち炭化水素原料と酸素含有ガス中の酸素とのモル比を用いて、下式で定義される。
(当量比)=(A1)/(A2)
ここで、A1は炭化水素原料と酸素との実際のモル比(炭化水素原料)/(酸素)を、A2は炭化水素原料と酸素との完全燃焼時(化学量論)のモル比(炭化水素原料)/(酸素)をそれぞれ示している。
請求項3記載のフラーレン類の製造方法は、請求項1記載のフラーレン類の製造方法において、前記ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率は、前記反応炉内の圧力を変えて制御する。
請求項4記載のフラーレン類の製造方法は、請求項1〜3記載のフラーレン類の製造方法において、回収した前記ミックスフラーレンを含む煤状物は、非酸化性雰囲気で保持されている。
請求項1〜4記載のフラーレン類の製造方法は、ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率を制御するので、フラーレンC60、C70及び高次フラーレンの作り分けがなされたミックスフラーレンを含む煤状物を、反応炉から発生する高温ガスから連続的に回収できる。これにより、例えば需要者の要求に応じて各種フラーレンの製造を効率的且つ経済的に行うことができる。
特に、請求項2記載のフラーレン類の製造方法は、フラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率の制御を、炭化水素原料と酸素含有ガスとの当量比を変えて制御するので、フラーレンの製造条件が変わり、各種フラーレンの製造が容易になる。
請求項3記載のフラーレン類の製造方法は、フラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率の制御を、反応炉内の圧力を変えて制御するので、フラーレンの製造条件が変わり、各種フラーレンの製造が容易に実施できる。
請求項4記載のフラーレン類の製造方法は、ミックスフラーレンを含む煤状物が非酸化性雰囲気で保持されているので、安定した品質の各種フラーレンを回収できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の一実施の形態に係るフラーレン類の製造方法を適用したフラーレンの製造設備10について、図3を参照しながら説明した後、フラーレン類の製造方法について説明する。
図3に示すように、フラーレンの製造設備10は、フラーレンの反応炉11と、反応炉11から排出された煤状物を含む排ガスを400〜600℃まで冷却する排ガス冷却手段の一例であるサイクロン型の円筒状容器12を有する。また、フラーレンの製造設備10は、円筒状容器12を通過したガスが流入してガス中から連続的にミックスフラーレン(以下、単にフラーレンともいう)を含有する煤状物を捕集するフラーレン回収装置13と、フラーレンを含有する煤状物が取り除かれフラーレン回収装置13から流出するガスを冷却するガス冷却器14と、ガス冷却器14によって降温されたガスを吸引する真空ポンプからなる減圧装置15とを有する。以下、これらについて詳細に説明する。
反応炉11は、例えば、円筒形状の本体(円筒状部)16とその下部に連結され徐々に縮径する円錐台部17を有し、本体16の上部にバーナー18を有し、円錐台部17の下端が煤状物を含む排ガスの排出部19となっている。反応炉11の外側は、例えば、外側を水冷されたステンレス鋼等の耐熱鋼で構成されており、その内側の一部又は全部には、例えばアルミナ質の耐火煉瓦やアルミナ質の不定形耐火材等の耐火物がライニングされている。これによって、フラーレン生成部の温度を例えば、1500〜2100℃まで上げることができ、フラーレンの生成に好適となる。下部の円錐台部17の水平面に対する傾斜角度は50〜85度(より好ましくは70〜80度)となって、内部に溜まろうとする煤状物が円滑に下方に滑り落ちる角度となっている。なお、反応炉11の中間部には4つの点検用の覗き窓20が設けられているが、一つでもよいし省略することもできる。
また、反応炉11の上部に設けられているバーナー18は、多数のガスの噴出口を平面上に有する平面状バーナーからなっている。バーナー18の直径は反応炉11の内径の80〜95%程度となっている。この実施の形態においては、反応炉11の内径が約30cm、高さが2m程度のものを使用したが、本発明はこの寸法に限定されるものではなく、フラーレンの大量生産のため、より大径の反応炉を使用することも可能である。
反応炉11の上部には、原料である炭素含有燃料ガス(炭化水素原料の一例)を供給する供給配管21と、炭素含有燃料ガスの不完全燃焼又は熱分解(以下、単に燃焼という)に必要な酸素を供給する酸素含有ガスの供給配管22が設けられている。これらの供給配管21、22は、その途中に流量調整器23、24をそれぞれ有し、供給された炭素含有燃料ガス及び酸素含有ガスから混合ガスを作製する混合室25に連結されている。混合室25で得られた混合ガスは次の蓄圧室26に送られ、所定の圧力(例えば、50〜200トール、好ましくは、100〜150トール)で保持して、前述した噴出口が設けられた吐出部27から混合ガスを噴出している。なお、混合室25、蓄圧室26、及び吐出部27は、好ましくは、ステンレス鋼やその他の耐熱鋼で構成され、これらを備えてバーナー18が構成されている。
このバーナー18は、反応炉11の上部(頂部)に取り外し可能に設けられている蓋28の底部に設けられている。炭素含有燃料ガスの供給配管21及び酸素含有ガスの供給配管22は、この蓋28を貫通して配管されている。蓋28は、本体16の頂部に設けられているフランジ29に被さり、必要な場合、蓋28をバーナー18ごと取り外せる構造となっている。
バーナー18の吐出部を多孔質のセラミック(例えば、ジルコニア、コーディエライト、カーボン)の焼結体を用いて構成することも可能であり、多孔質のセラミック焼結体又は粉末金属の焼結体を用いることもできる。なお、吐出部に多孔質のセラミック焼結体又は粉末金属焼結体を用いると、吐出部からのガスの噴出速度が下がり、燃焼領域が吐出部近傍になり、結果として、反応炉の長さをより短く構成できる。
ここで、吐出部を金属又はセラミックスによって構成し、多数の噴出口を設けることも可能である。この場合は、噴出口(例えば、口径が0.1〜5mm、好ましくは0.2〜3mm)を鉛直方向下向きとし、各噴出口の間隔は小ピッチ(例えば0.2〜5cm)で、全部の噴出口から発生する火炎の断面積は、反応炉11の内部断面積の80〜95%程度とするのがよい。
なお、吐出部を多孔質部材によって構成する場合には、熱伝導の低い材料を使用することによって、蓄圧室への逆火を防止できる。
なお、この実施の形態においては、炭素含有燃料ガスと酸素含有ガスをプリミックスして反応炉11内で燃焼させているが、混合室25を設けず、炭素含有燃料ガスと酸素含有ガスをそれぞれ独立に蓄圧室に貯め、吐出部に別々に交互に設けられた炭素含有燃料ガスと酸素含有ガスの噴出口から噴出することもできる。このように、別々に炭素含有燃料ガスと酸素含有ガスを反応炉11内に供給することによって、これらのガスを独立に高い温度に予熱することができ、よりフラーレンの生成条件を高い状態にすることができる。
炭素含有燃料ガスの供給配管21と、酸素含有ガスの供給配管22にはそれぞれ熱交換器30、31が設けられて、加熱処理(予熱)された炭素含有燃料ガス、酸素含有ガスがバーナー18に供給されるようになっている。更に、熱交換器30よりも上流側の炭素含有燃料ガスの供給配管21には、炭素含有燃料をガス化させる気化装置32を設けるのがよい。
なお、熱交換器30、31は両方とも使用するのが好ましいが、場合によっては、熱交換器30、31のいずれか一方を省略し、炭素含有燃料ガス及び酸素含有ガスのいずれか一方のみを予熱するようにしてもよい。なお、混合室25及び蓄圧室26内のガスは炭素含有燃料ガスと酸素含有ガスとが混合しているので、これらの温度は、その発火点より十分低い温度となっている必要がある。
炭素含有燃料ガスの供給配管21及び酸素含有ガスの供給配管22の先部には、バーナー18に供給する炭素含有燃料ガス及び酸素含有ガスの流量を調整する流量調整器23、24がそれぞれ設けられている。
このような構成とすることにより、バーナー18に供給された炭素含有燃料ガスを酸素含有ガスの下で燃焼させてフラーレンを生成させることができる。そして、フラーレンの生成と共に、煤状物(副生成物)、一酸化炭素ガス、及び水蒸気等が発生し、生成したフラーレンは煤状物中に含有される。
このため、ミックスフラーレンを含有した煤状物を浮遊した状態で有する高温のガスが反応炉11から排出される。
反応炉11の下部の排出部19から屈曲管33を介して、前述した排ガス冷却手段を構成するサイクロンタイプの円筒状容器(即ち、旋回流型ガス冷却装置)12が接続されている。屈曲管33を通過する排ガスは高温であるので、屈曲管33には外側が水冷されたステンレス管(内部を耐火物等でコーティングしてもよい)が使用され、内部を通過するガスの流速(例えば、15〜200m/秒、より好ましくは35〜70m/秒)は高速とし、反応炉11内から落下した付着物が屈曲管33内に堆積しないようにしている。
円筒状容器12は、屈曲管33の下流側端部が筒状の上部周壁に接線方向に接続される円筒部34と、この円筒部34の下端に一体的に接続される円錐台部35とを有し、円錐台部35の下端には排出部36が設けられ、この排出部36には、図示しない開閉弁が設けられ、溜まった煤状物を外部に排出できるようになっている。円筒状容器12の全体は水冷ジャケット構造となって内部を水が通り、容器全体を冷却するようにしている。そして、円筒部34の上端には天井板37が設けられ、天井板37の中央には排出管38が設けられ、屈曲管33から円筒状容器12内に入った排気ガスが、例えば、400〜600℃の温度まで冷却されるようになっている。
円筒状容器12の排出管38に連結管39を介して連結されるフラーレン回収装置13は、反応炉11から発生する排気ガスからなる煤状物含有気流中の固形分と気体分を分離するためのもので、内部に高温耐熱フィルター40を備える。高温耐熱フィルター40は、煤状物含有気流中の炭素含有燃料ガス、及び生成した燃焼ガスを通過させてフラーレン及び煤状物を回収するので、ガスの温度に応じて400〜600℃の耐熱温度を有している。なお、このフラーレン回収装置13へのガスの温度は、高すぎると気化しているフラーレンを逃がし、低すぎると排気ガス中で凝縮した液分を捕捉して高温耐熱フィルター40内部の目詰まりを発生するので、十分な温度管理をするのが好ましい。
フラーレン回収装置13の構造は、通常の集塵機等に使用されるバッグフィルター構造となって、このバッグフィルターが前記した高温耐熱フィルター40によって構成されている。このような高温耐熱フィルター40としては、例えば、日本ポール社製焼結金属フィルターや富士フィルター社製焼結金属フィルター等が挙げられる。フィルター目開きの大きさは、フラーレンを生成させる燃焼条件や煤状物の性状によって適宜選択する。
フラーレン回収装置13には、その上部に定期的に付着した固化物(例えば、フラーレンを含む煤状物)を除去する逆洗浄機構41が設けられている。
この逆洗浄機構41は、高圧の不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン)等を貯留するタンク42と、電磁弁43とを有し、電磁弁43を定期的に短時間パルス的に開けることによって、高温耐熱フィルター40内に不活性ガスを入れ、周囲に付着した固化物を下方に落下させ、排出弁44を開けて外部に排出できるようになっている。このように、固化物は、非酸化性雰囲気で保持されている。そして、フラーレン回収装置13の上部には、高温耐熱フィルター40を通過したガスを外部に排出するガス排出配管45が設けられている。
フラーレン回収装置13のガス排出配管45には、ガス冷却器14が設けられている。このガス冷却器14は通常の熱交換器と同一又は近似した構造となっており、減圧装置15に流入するガスの温度を低下させて排ガスを減容すると共に、その温度を下げて減圧装置15の負荷を低減させるようになっている。また、気流内に含まれる炭素含有燃料ガス、燃焼ガス中の水分が液化し、下部のドレーンから排出されるようになっている。
このガス冷却器14に後続する減圧装置15は通常の真空ポンプからなっている。なお、フラーレンの昇華温度は真空度によっても変化するので、供給する炭素含有燃料ガス、酸素含有ガス、不活性ガスの量から、最も効率的にフラーレンを回収できる圧力になるように減圧装置15を選定する。
従って、このフラーレンの製造設備10においては、各流量調整器23、24を用いて炭素含有燃料ガスと酸素含有ガスの供給量を制御して混合室25内に導入する。そして作製した混合ガスを蓄圧室26内で保持して、吐出部27から吐出させることで、混合ガスの吐出速度を、例えば、75cm/秒を超え1000cm/秒以下、好ましくは200cm/秒以上かつ600cm/秒以下で反応炉11内に安定的に供給することができる。
反応炉11内で生じる排気ガスは、円筒状容器12、フラーレン回収装置13、及びガス冷却器14を介して、減圧装置15で反応炉11内から排気することができ、減圧装置15を調整して反応炉11内を、例えば、20トール以上且つ200トール以下、好ましくは30トール以上且つ150トール以下の減圧状態に保持することができる。
このため、吐出部27から反応炉11内に吐出された混合ガスを、この減圧状態下で燃焼させながら、生成した燃焼ガスを反応炉11内から円筒状容器12を介して外部に排出することができる。
続いて、本発明の一実施の形態に係るフラーレン類の製造方法について説明する。
炭素含有燃料ガスとしてトルエンガス、酸素含有ガスとして濃度99%以上の酸素ガス(以下、純酸素ガスともいう)を用いる。トルエンガスが燃焼する際のトルエン中の炭素と酸素含有ガス中の酸素との当量比を、例えば、2.50以上且つ3.50以下、好ましくは2.80以上且つ3.10以下になるように、各流量調整器23、24でトルエンガス量及び純酸素ガス量をそれぞれ調整して混合室25内に導入して混合ガスを作製する。
次いで、円筒状容器12を介して減圧装置15を作動させ、反応炉11内を排気しながら、吐出部27から混合ガスを、吐出部27からの平均吐出速度が、例えば、200〜600cm/秒になるように反応炉11内に吐出し燃焼させる。
このとき、反応炉11内が、例えば、20トール以上且つ150トール以下、好ましくは30トール以上且つ100トール以下の減圧状態に維持されるように、減圧装置15の排気量を調節する。
トルエンガスと酸素ガスの混合ガスは、前記した減圧状態下において燃焼するため、トルエンの燃焼が均一に進行して、反応炉11内の温度を均一かつ高温(例えば、1600〜2100℃、好ましくは1700〜1900℃)にすることができる。
また、当量比を所定の範囲に制御しているため、未燃焼のトルエンが加熱されて分解する際に、煤状物の生成が抑制されて、フラーレン(ミックスフラーレン:MF)やその前駆体物質が多量に生成する。なお、煤状物中には、例えば、10〜30質量%(この実施の形態では20質量%程度)のミックスフラーレンが含まれている。このミックスフラーレン中の(フラーレンC70)/(フラーレンC60)の比率(質量比)は1以下である。
ここで、当量比を増加させることで、ミックスフラーレン中のフラーレンC60(C60)の割合を徐々に減少させることができ、ミックスフラーレン中の高次フラーレン(HF)の割合を徐々に増加させることができる。なお、ミックスフラーレン中のフラーレンC70(C70)は、当量比の増加に伴って減少した後、増加する。
このように、当量比を変えることで、フラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率を制御することができる。
また、反応炉11内の圧力を真空側に近づけることで、ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70の割合を徐々に増加させることができ、ミックスフラーレン中の高次フラーレンの割合を徐々に減少させることができる。
このように、反応炉11内の圧力を変えることで、フラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率を制御することができる。
ここで、ミックスフラーレンとは、例えば、1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解するものであり、高次フラーレンとは、例えば、C76、C78、C82、C84、C86、C88等をいう。
上記した炭素含有燃料ガスとしては、トルエンのほかに、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の炭素数6〜15の芳香族炭化水素、クレオソート油、カルボン酸油などの石炭系炭化水素、アセチレン系不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素、ペンタンやヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素等が使用でき、これらを単独又は任意の割合で混合して使用することもできる。特に芳香族系炭化水素が好ましく、中でも精製した芳香族系炭化水素を用いることが好ましい。
炭素含有燃料ガスの純度は高い方が好ましいが、燃焼温度や炭素含有燃料ガスの燃焼反応中での濃度を制御するためにアルゴンガス等の不活性ガスで炭素含有燃料ガスを希釈してもよい。
酸素含有ガスとしては、濃度99%以上の酸素ガス、濃度99%以上の酸素ガスを窒素やアルゴンガス等の不活性ガスで希釈したもの、空気等が用いられる。
反応炉11内の圧力が前述した減圧状態に保持されている下での燃焼であることから、トルエンの均一燃焼が促進されて、燃焼ガスの温度は反応炉11の軸方向に垂直な方向(面)では実質的に一様になっていると考えられる。
その結果、燃焼ガス流内では自己循環流が発生し難くなる。従って、反応炉11内で上流側から下流側に向けて流出する一様な流れの安定化が図られる。
ここで、反応炉11内でバーナー18を重力方向において上方側に設けることにより、燃焼ガスは重力に従って下方に流下することになり、安定化は確実となる。発生するフラーレンを含む煤状物は、下方に移動し、排出部19から屈曲管33を介して円筒状容器12内に入る。煤状物の一部は反応炉11内の内壁に付着して堆積し、一定の量以上堆積すると重力によって落下するが、この場合であっても、煤状物によってバーナー18の噴出口が閉塞することはない。落下した煤状物は排出部19から屈曲管33を介して円筒状容器12内に落下し、下部の排出部36から排出される。
次に、本発明の作用効果を確認するため、前記したフラーレンの製造設備10を使用し、ミックスフラーレン中の各種フラーレン、即ちフラーレンC60、フラーレンC70、及び高次フラーレンの各製造比率、C60/MF、C70/MF、及びHF/MFを調査した実施例について説明する。ここで、図1は本発明の第1の実施例に係るフラーレン類の製造方法を使用し、トルエンガスが燃焼する際のトルエン中の炭素と酸素含有ガス中の酸素との当量比を変えた場合の各種フラーレンの製造比率を示したグラフである。また、図2は本発明の第2の実施例に係るフラーレン類の製造方法を使用し、反応炉11の炉内圧力を変えた場合の各種フラーレンの製造比率を示したグラフである。
まず、前記した実施の形態のフラーレンの製造条件を適用したフラーレンの製造設備10を使用し、トルエンガスが燃焼する際のトルエン中の炭素と酸素含有ガス中の酸素との当量比を2.6〜3.3の範囲で変化させて煤状物を製造した。ここで、図1に示すように、この煤状物中のミックスフラーレンの質量と、これに含まれるフラーレンC60(■)、C70(◆)及び高次フラーレン(○)の質量比を縦軸に、当量比の変化を横軸にとった。
図1に示すように、ミックスフラーレン中のフラーレンC60の量はフラーレンC70よりも多く、(フラーレンC70)/(フラーレンC60)の比率(質量比)が1以下となっている。
この場合、フラーレンC60の製造比率は、当量比の増加に伴って減少し、当量比が2.75以上(好ましくは3以上)となることで、フラーレンC60の割合がミックスフラーレンの50質量%(0.5)以下となる傾向が得られた。また、高次フラーレンの製造比率は、当量比の増加に伴って徐々に増加し、当量比が2.6以上となることで、高次フラーレンの割合がミックスフラーレンの20質量%(0.2)以上となる傾向が得られた。なお、フラーレンC70の製造比率は、当量比3まで徐々に減少し、当量比3を超えると徐々に増加する傾向が得られた。
また、前記した実施の形態のフラーレンの製造条件を適用したフラーレンの製造設備10を使用し、反応炉11内の圧力を5〜20kPa(37.5〜150トール)の範囲で変化させて煤状物を製造した。ここで、図2に示すように、この煤状物中のミックスフラーレンの質量と、これに含まれるフラーレンC60(■)、C70(◆)及び高次フラーレン(○)の質量比を縦軸に、反応炉11の炉内圧力の変化を横軸にとった。
図2に示すように、ミックスフラーレン中のフラーレンC60の量はフラーレンC70よりも多く、(フラーレンC70)/(フラーレンC60)の比率が1以下となっている。
この場合、フラーレンC60、C70の製造比率は、反応炉11の炉内圧力の上昇に伴って徐々に減少する傾向が得られた。また、高次フラーレンの製造比率は、反応炉11の炉内圧力の上昇に伴って徐々に増加する傾向が得られた。
以上のことから、ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率は、炭化水素原料と酸素含有ガスとの当量比を変えることで、また反応炉内の圧力を変えることで、それぞれ制御できることを確認できた。
これにより、フラーレンC60、C70及び高次フラーレンを作り分けすることが可能となる。なお、製造されたフラーレンC60は、ダイヤモンドコーティング、電池材料、塗料、断熱材、潤滑材、医薬品、化粧品などの分野への応用が期待される。フラーレンC70も同様の分野への応用が期待されるが、フラーレンC60より更に高い電子受容性を持っているため、この分野への応用も期待されている。また、高次フラーレンは、フラーレンC60に期待される応用分野のみならず、その多様な構造及び電子状態から、例えば、吸蔵材、硬化材、半導体、超電導材などの分野への応用が期待されている。
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明のフラーレン類の製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、上部にバーナーを、下部にフラーレンを含む排ガスの排出部をそれぞれ設けた反応炉を使用して、フラーレン類の製造を行った場合について説明したが、上部に排出部を、下部にバーナーをそれぞれ設けた反応炉を使用して、フラーレン類の製造を行うことも可能である。
本発明の第1の実施例に係るフラーレン類の製造方法で製造されたミックスフラーレン中のフラーレンC60、フラーレンC70、及び高次フラーレンの製造比率と、当量比との関係を示したグラフである。 本発明の第2の実施例に係るフラーレン類の製造方法で製造されたミックスフラーレン中のフラーレンC60、フラーレンC70、及び高次フラーレンの製造比率と、反応炉の炉内圧力との関係を示したグラフである。 本発明の一実施の形態に係るフラーレン類の製造方法を適用するフラーレンの製造設備の説明図である。
符号の説明
10:フラーレンの製造設備、11:反応炉、12:円筒状容器、13:フラーレン回収装置、14:ガス冷却器、15:減圧装置、16:本体、17:円錐台部、18:バーナー、19:排出部、20:覗き窓、21、22:供給配管、23、24:流量調整器、25:混合室、26:蓄圧室、27:吐出部、28:蓋、29:フランジ、30、31:熱交換器、32:気化装置、33:屈曲管、34:円筒部、35:円錐台部、36:排出部、37:天井板、38:排出管、39:連結管、40:高温耐熱フィルター、41:逆洗浄機構、42:タンク、43:電磁弁、44:排出弁、45:ガス排出配管

Claims (4)

  1. 炭化水素原料と酸素含有ガスとを反応炉に供給し、該反応炉内でこれらを不完全燃焼又は熱分解させることによってフラーレンC60、C70及び高次フラーレンを有するミックスフラーレンを製造する方法において、
    前記ミックスフラーレン中の(フラーレンC70)/(フラーレンC60)の比率を1以下とし、前記ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率を制御して、前記反応炉から発生する高温ガスから連続的に前記ミックスフラーレンを含む煤状物を回収することを特徴とするフラーレン類の製造方法。
  2. 請求項1記載のフラーレン類の製造方法において、前記ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率は、前記炭化水素原料と前記酸素含有ガスとの当量比を変えて制御することを特徴とするフラーレン類の製造方法。
  3. 請求項1記載のフラーレン類の製造方法において、前記ミックスフラーレン中のフラーレンC60、C70及び高次フラーレンの製造比率は、前記反応炉内の圧力を変えて制御することを特徴とするフラーレン類の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラーレン類の製造方法において、回収した前記ミックスフラーレンを含む煤状物は、非酸化性雰囲気で保持されていることを特徴とするフラーレン類の製造方法。
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