JP3285640B2 - 含炭素組成物の製造方法 - Google Patents

含炭素組成物の製造方法

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JP3285640B2 JP03293593A JP3293593A JP3285640B2 JP 3285640 B2 JP3285640 B2 JP 3285640B2 JP 03293593 A JP03293593 A JP 03293593A JP 3293593 A JP3293593 A JP 3293593A JP 3285640 B2 JP3285640 B2 JP 3285640B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼結用セラミックス粉体
を製造するのに適した、金属酸化物と単体炭素が微細で
均一に混合された、含炭素組成物の製造方法に関する。
更に詳しく言えば、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒
化物、金属酸窒化物等の製造に適した、金属酸化物と単
体炭素とを含む含炭素組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結用セラミックスの原料として有用な
金属炭化物粉末の製造方法としては、従来、 金属酸化物の炭素による還元炭化 金属の直接炭化 分解性金属化合物と炭化水素との気相反応 等が知られている。又、金属窒化物粉末の製造方法とし
ては、 金属酸化物と炭素の混合物を含窒素化合物(例えば窒
素、アンモニア)雰囲気中で高温に加熱する方法 金属の直接窒化 分解性金属化合物とアンモニア等含窒素化合物との気
相反応 等が知られている。
【0003】更に、金属炭窒化物粉末の製造方法として
は、上述のの方法において、金属酸化物を金属炭化物
に転化させるには不十分であるが、金属窒化物に転化す
るには過剰な炭素量を用いて転化させる方法が知られて
いる。更に又、金属酸窒化物粉末の製造方法としては、 上述のの方法において、金属酸化物の全部を金属窒
化物に転化するには不充分な炭素量を用いて転化させる
方法が知られている。 このように金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金
属酸窒化物等のセラミックス粉末を製造する際に、金属
酸化物と炭素との混合物はこれらの製造原料として重要
である。
【0004】得られたセラミックス粉末は通常成形さ
れ、焼結体にされる。焼結体を製造する際にこれらのセ
ラミックス粉体の粒子が微細であり、かつ粒径分布がシ
ャープで高純度である程、焼結体の密度が高くなりやす
く(以下、この性質を易焼結性という)かつ焼結体強度
が高くなる。このような好ましいセラミックス粉末を製
造するためには、その原料である金属酸化物と炭素とが
可能な限り均一に、かつ微細に混合された組成物を作る
ことが求められる。
【0005】これを達成するための手段として、本発明
者らは特公平3−13164号公報で、分解性金属化合
物と分解性炭素化合物を水蒸気を含む熱ガス中に導入し
て、これらを分解し、気相中で目的の金属酸化物と炭素
の混合物を製造する装置を提案した。該装置によれば、
微細な金属酸化物と炭素が均一に混合された混合物を長
時間(拾数時間)安定して得ることができ、該混合物を
用いることにより、微細、かつ粒径分布のシャープな金
属炭化物を製造できることを確認した。
【0006】しかしながら、さらに数百時間にも及ぶ長
期連続運転を試みた結果、該装置では、運転時間の経過
とともに炉圧が徐々に上昇し、50時間を過ぎたあたり
から燃焼用空気及び冷却用空気の供給量を一定に維持で
きなくなり、それに伴い得られた含炭素組成物の比表面
積及び組成物中の金属酸化物と単体炭素の割合が変動す
るという新たな問題が明かとなった。
【0007】本発明の含炭素組成物製造装置は、該組成
物中の金属酸化物と単体炭素の割合等の物性の安定した
ものを長時間安定して供給することを目的としており、
また得られた含炭素組成物は、これを焼成してファイン
セラミックスとするべきものであるから、比表面積値等
の物性が変動することは、得られるセラミックスの特性
上特に致命的となりうるものであり、絶対に防止しなけ
ればならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特公
平3−13164号公報に記された如き含炭素組成物で
あって、比表面積値等物性の安定した含炭素組成物を工
業的に連続に、かつ長時間安定に製造する方法を提供す
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な新たな問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来
の方法では、連続運転停止後の原料噴霧ノズルに、必ず
噴霧パターンの一部に欠落が生じており、また、炉圧の
上昇は横型炉への塊状スケールの成長による閉塞のため
であり、この塊状スケールは、必ず横型炉反応域の炉底
部より成長していることに着目し、分解性金属化合物や
分解性炭素化合物の異常な熱分解や重合反応により生成
した固形物が、注入管先端に設置された噴霧ノズルへ付
着し、正常な噴霧(原料の微粒化)を阻害し、その結
果、原料の完全な熱分解反応が行われず、噴霧された原
料の一部が房状の含炭素組成物として炉壁に付着、この
うち炉天井部に付着したものが落下、炉底部に堆積し、
これに原料噴霧の中心部に存在する粒子径の大きな液滴
が未反応の状態で落下衝突し成長したものであり、根本
原因はノズルの温度上昇及び重力の影響にあると推察
し、反応炉を竪型炉(特願平4−331994)とし、
かつノズルに水冷ノズル(特願平4−193897)を
用いることによりこれらの問題を解決し、本発明に至っ
たものである。
【0010】即ち、本発明は水蒸気を含む熱ガス中に、
分解性金属化合物及び分解性炭素化合物を導入、分解し
て、金属酸化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質
を製造するにあたり、該熱ガス中への分解性金属化合物
及び分解性炭素化合物の導入に水冷ノズルを用い、反応
炉として竪型炉を用いることを特徴とする含炭素組成物
の製造方法を提供するものである。
【0011】本発明を更に詳細に説明する。本発明の含
炭素組成物とは、水蒸気含有熱ガス中に分解性金属化合
物及び分解性炭素化合物を導入し、分解して、金属酸化
物及び単体炭素の各々のエーロゾルを含む混合エーロゾ
ル分散質を生成させて、この混合エーロゾル分散質を捕
集して得たことにより特徴づけられる。
【0012】本発明で云う混合エーロゾルとは、気体中
に金属酸化物及び単体炭素が微細な固形物の分散質とし
て混在するものを意味する。本発明では、まず単体炭素
のエーロゾルは、分解性炭素化合物を熱ガス中に導入、
分解して容易に得ることができる。他方、金属酸化物の
エーロゾルは、例えば四塩化珪素の如き化合物を水蒸気
を含む熱ガス中に導入すると、熱分解、酸化あるいは加
水分解等を伴う分解を起こし容易に得ることができる。
本発明で使用しうる分解性金属化合物は、常温常圧です
でにまたは昇温により容易に気相もしくは液相状態とな
るものが好適に使用される。
【0013】具体的例を挙げれば、C5 11Li、C2
5 Li、NaH、C2 5 Na、C6 6 2 Rb、
2 5 Cs、(C2 5 2 Be、C2 5 MgC
l、Mg(OCH3 2 、(C2 5 2 Ca、Sc
(CH3 3 、Y(C6 5 3、La(CH3 3
TiCl3 CH3 、TiF4 、TiI4 、Ti(OC3
7 4 、ZrI4 、Zr(OC2 5 4 、HfCl
4 、HfCl2 (C6 52 、VF5 、V(C
2 5 2 、NbF5 、NbCl5 、Nb(C3 5
4、TaF5 、TaBr4 、TaH3 (C2 5 2
CrCl3 、Cr(CH33 、MoF5 、MoC
5 、MoCl2 (C2 5 2 、WF6 、WCl5
W(CH3 6 、WCl2 (C2 5 2 、Mn(C2
5 2 、ReH(C25 2 、Ru(C
2 5 2 、CoC1010、Rh(C2 5 )(C6
5 )、Ni(C3 5 2 、Pb(C3 5 2 、Zn
(C2 5 2 、Cd(C23 2 、Hg(CH3
2 、BCl3 、B(OCH3 3 、B(OC
2 5 3 、B2 6 、(C2 5 3 Al、Al(O
2 5 3 、GaCl3 、Ga(CH3 3 、(C2
5 2 GaOC2 5 、TlF3 、HSiCl3 、S
iH4 、Si2 6 、(CH3 4 Si、(CH3 2
SiCl2 、CH3 SiCl3 、SiF4 、Si(OC
2 5 4 、GeCl4 、Sn(CH3 )、PH3、A
sF3 、AsCl3 、BiH3 、BiCl3 、Th(O
4 3 4 、U(OCH3 5 、U(OC3 7 5
どであり、またこれらの混合物であっても本発明には何
等の支障もなく使用可能である。
【0014】本発明の実施に用いられる分解性炭素化合
物は熱ガス中に導入された場合、容易に分解して単体炭
素(スス)を生成しうるようなもので、そのままで気相
もしくは液相状態か、昇温により容易に液相状態になる
ものが好適に使用可能である。
【0015】例えば、LPG、ナフサ、ガソリン、燃料
油、灯油、軽油、重油、潤滑油、流動パラフィンなどの
石油製品類;メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペン
タンなどの炭化水素;メタノール、エタノール、プロパ
ノール、エチレン、アセチレン、nーパラフィン、ブタ
ジエン、イソプレン、イソブチレン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジク
ロロペンタジエン、エチルベンゼン、スチレン、キュメ
ン、ブソイドクメン、メシチレン、アルキルベンゼン、
αーメチルスチレン、ジシクロドデカトリエン、ジイソ
ブチレン、塩化ビニル、クロルベンゼン、C9溜分混合
物、エチレンボトムなどの石油化学製品類;タール、ピ
ッチ、クレオソート油、ナフタリン、アントラセン、カ
ルバゾール、タール酸、フェノール、クレゾール、キシ
レゾール、ピリジン、ピコリン、キノリンなどのタール
製品類;大豆油、ヤシ油、アマニ油、綿実油、ナタネ
油、キリ油、ヒマシ油、鯨油、牛脂、スクワラン、オレ
イン酸、ステアリン酸などの油脂類などが好ましいもの
としてあげられるが、もちろんこれらに限られるもので
はない。
【0016】本発明の実施に使用する分解性炭素化合物
は、炭素の供給が目的であるから、この目的からは例え
ば上記の如く、広範囲に選択可能である。しかしなが
ら、取扱の簡便さ、炭素収率の面からトルエン、キシレ
ン、ベンゼン、灯油、軽油、重油、C9 溜分混合物、エ
チレンボトムなどが好ましい。本発明で使用可能なこれ
らの分解性金属化合物及び分解性炭素化合物は、通常は
そのままで、または加熱により容易に気相もしくは液相
状態となし得るものであるので、特定不純物の排除を必
要とする場合は、蒸留、吸着、洗浄などの簡便な操作で
高純度の分解性化合物を容易に得ることが出来る。
【0017】本発明の含炭素組成物を得るための具体的
な装置としては、竪型炉を用いる。この炉には加熱装置
及び分解性金属化合物と分解性炭素化合物の混合物を導
入するノズルと、熱ガス導入ダクト、混合エーロゾル排
出ダクトとが具備されている。また、加熱装置としては
燃焼バーナー、通電発熱体などがあるが燃焼バーナーが
簡便であり、また熱効率の面でも好ましい。
【0018】図1は、本発明の水冷ノズルを有する竪型
炉の一例を示すものであり、水冷ノズル3、燃焼室A、
反応領域B及び粉溜室Cを具備した含炭素組成物の製造
装置の断面図を示す。図1において燃料は、燃焼バーナ
ー2より供給されダクト1からの空気によって燃焼し、
水蒸気を含む熱ガス流を形成する。A領域は燃焼室Aで
燃焼が充分進行するのに必要な空間を有し、これにより
下流のB領域、即ち、反応領域Bにおいては燃焼ガスは
安定した熱ガス流を形成するのである。また、C域は粉
溜室Cであり落下したスケールを溜めておく場所であ
る。
【0019】本発明の実施に用いられる分解性金属化合
物の熱分解及び加水分解反応、分解性炭素化合物の燃焼
熱分解の速度はきわめて大きい(0.01〜0.1秒程
度で実質的に反応は完結する)ので反応時間(反応域の
滞留時間)としては1秒も取れば充分である。従って反
応領域Bの大きさとしては原料である分解性金属化合物
及び分解性炭素化合物が1秒以上滞留する空間を確保す
ればよい。また、落下スケールを溜めておく粉溜室C
は、単なる部屋でもかまわないが、ここに堆積したスケ
ールを定期的に抜き出すことが可能な構造としておくと
長時間(数千時間にも及ぶ)運転のためにはより好まし
い。
【0020】本発明では、炉内は少なくとも600℃以
上、好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃
以上の温度と空間領域がなければならない。600℃以
上の温度であれば分解性炭素化合物からは単体炭素が、
更に水蒸気を含む雰囲気下で分解性金属化合物からは金
属酸化物が各々極めて微細な粒子として得られ、気体と
固形物との混合体である混合エーロゾル状態で発生す
る。なお、2000℃以上の温度は通常熱ロスを招くだ
けであるのでこのような高温は好ましくない。また、金
属酸化物に加えて、単体金属さらには金属ハロゲン化物
が挟在していても、本発明での最終目的である炭化物、
窒化物及び酸窒化物の焼結体を得るのに格別の妨げには
ならない。
【0021】本発明で使用する水蒸気を含む熱ガスを得
る方法としては、通電加熱方式、高周波加熱方式及び放
電方式によって得た熱ガス中に水蒸気を導入することに
よって得ることもできるが、水素、メタン、エタン、プ
ロパンなど、あるいは原料とする炭化水素のように燃焼
して水蒸気を生成する可燃物を空気で燃焼させる方法
が、一工程で水蒸気を含む熱ガスを得ることができるの
で装置上簡便であり、熱効率の面からも経済的である。
【0022】本発明では、分解性金属化合物と分解性炭
素化合物は、予め混合された混合物(組成物)の状態で
単一のノズルより熱ガス中に導入されるのが好ましい。
分解性金属化合物と分解性炭素化合物を、各々別に設け
られた別々のノズルより熱ガス中に導入するのは好まし
くない。これは、おそらく混合物の状態で単一のノズル
から導入する方が、微細な混合状態を呈する含炭素組成
物がより安定して得られ易いためであろう。また、ノズ
ルを一本とした方が設備も簡略で操作が容易でもあると
いう利点もあるからである。
【0023】なお、分解性金属化合物と分解性炭素化合
物は相互に溶解して混合された後、相分離を起こさない
組合せとすることが好ましい。かかる観点からは例え
ば、SiCl4 、CH3 SiCl3 等の分解性金属化合
物はいずれもトルエン、キシレン、灯油、軽油、C9
分混合物等の分解性炭素化合物のいずれにも可溶性であ
り広範囲に選択可能である。本発明の実施に用いられる
分解性金属化合物及び分解性炭素化合物の混合物は、ノ
ズルを用いて熱ガス中に導入される。原料注入管及びそ
の先端部に設置されたノズルは水で冷却された水冷ノズ
ルを用いる。
【0024】図2は本発明に用いられる水冷ノズルの一
例である。原料注入管9及びその先端部に設置されたノ
ズル10は水冷ジャケット13によって水で冷却されて
いる。冷却はジャケット方式の他に注入管及びノズルの
周囲に通水パイプをコイル状に巻き付ける方式の他に、
原料注入管9及びその先端部に設置されたノズル10が
水によって冷却可能であれば何れの方式でもかまわな
い。
【0025】本発明では、ノズルとして水で冷却された
水冷ノズルを、また反応炉として竪型炉を用いるが、得
られる含炭素組成物の比表面積等物性の安定との因果関
係を明確にはしえないが、おそらく、以下の効果による
ものと推察される。
【0026】まず原料注入管9及びその先端部に設置さ
れたノズル10を水冷することにより、反応領域Bから
の輻射及び水蒸気を含む熱ガスからの伝導伝熱による原
料注入管9及びノズル10での原料の加熱が防止でき、
長期連続運転を行っても運転中に分解性金属化合物及び
分解性炭素化合物の異常な熱分解や重合反応による固形
物の生成及びその固形物のノズル10への付着が防止さ
れ、原料の安定した供給及び正常な噴霧(微粒化)が維
持され、炉壁への房状含炭素組成物の付着が抑えられ
る。
【0027】さらに前述した竪型炉を使用とすることで
噴霧が軸対称となり、噴霧の偏りによる反応域炉壁への
スケール発生、反応域底部への房状含炭素組成物の堆積
及びこれへの原料液滴の衝突が防止され、塊状スケール
の成長による反応域の閉塞から起こる炉圧の上昇がなく
なり、燃焼用空気、冷却用空気の供給量を一定に維持す
ることが可能となる。
【0028】その結果、得られる含炭素組成物の比表面
積等物性が時間と共に変動するという現象が発生せず、
長期間安定した物性の含炭素組成物を得ることができる
のであろう。生成した金属酸化物と単体炭素を含む混合
エーロゾル分散質は、炉の外に誘導した後、含まれる固
形物をバグフィルター、サイクロン、電気集塵機等の公
知の捕集装置を使用する固−気分離操作により捕集する
が、捕集装置での熱負荷を軽減するためには予冷するこ
とが望ましい。予冷の方法としては、反応後の帯域を冷
却するとか、または水を注入する等の手段を採用でき
る。
【0029】以上の如くして捕集された本発明の含炭素
組成物は、高周波加熱炉、電気抵抗炉、直下式管状加熱
炉などを用い、好ましくはアルゴン、ヘリウム、窒素、
水素などの非酸化性ガス雰囲気下で、1000〜250
0℃好ましくは1200〜2000℃程度に強熱するこ
とによって、焼結体原料として好適な金属炭化物粉末と
することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。 実施例1 図1は、本発明の含炭素組成物の製造装置を断面図で示
したものである。該製造装置は燃焼室A、反応領域B及
び粉溜室Cからなり、炉材5に囲まれたこれらの空間は
A−B方向に軸対称な円筒状で、A部の内径は550m
m、B部の内径は300mmである。この装置を用い
て、ダクト1より空気を150Nm3 /h連続的に送入
し、燃焼バーナー2より水素を12Nm3 /h供給燃焼
させた。原料として、分解性金属化合物はHSiCl3
を、分解性炭素化合物はトルエンを用い、この両者を重
量比で1:1の割合に混合したものを40kg/hの流
量で水冷ノズル3より製造装置内に注入した。
【0031】得られた混合エーロゾルはダクト6より系
外に導かれ、混合エーロゾル中の分散質をバッグフィル
ターで捕集して含炭素組成物を20.2kg/hの生成
量で得た。含炭素組成物中のケイ素質は二酸化珪素であ
ることが化学分析により確認され、ESRスペクトル解
析の結果Siと他元素との結合形態にはSi−O結合の
みが観察された。
【0032】表1に得られた含炭素組成物のケイ素に対
する炭素の式量比C/Si(g−アトムC/g−アトム
Siという。以下同じ)、窒素吸着比表面積(m2
g)及び炉内圧の原料注入開始より500時間までの経
時変化を示した。この間注入した全HSiCl3 中のケ
イ素量に対する捕集した全含炭素組成物中のケイ素量の
割合〔以下、金属捕集率と称す(捕集金属量/注入金属
量)×100〕は99.3%であった。
【0033】かくの如くして製造装置の運転は500時
間継続して行い、その後停止してノズル噴霧状態、注入
管、噴霧ノズル及び製造装置内壁等を観察したが、さら
なる連続運転の継続に障害となるような格別の問題点は
全く観察されず、さらに所望の長時間たとえば1000
時間でも2000時間でも、安定したケイ素に対する炭
素の式量比、比表面積の含炭素組成物の製造が可能であ
ることが示唆された。
【0034】
【表1】
【0035】実施例2〜6 実施例1と同様に図1に示す製造装置を使用し、燃料に
は水素の他にメタン、プロパン、ブタンも用い、分解性
金属化合物、分解性炭素化合物には表2に示す化合物を
用い燃焼用空気量、原料注入量はそれぞれ表2に示した
条件とし、それぞれ表2に示した捕集量、金属捕集率で
含炭素組成物を得た。
【0036】得られた含炭素組成物の原料注入開始より
20、200、490時間後の比表面積及び金属に対す
る炭素の式量比C/Me(g−アトムC/g−アトムM
etal)の値は、各々表2に示した通りであった。こ
れら含炭素組成物の製造は、いずれも原料注入開始より
500時間連続して行ったが、実施例1と同様いずれも
さらに連続運転を継続するに障害となるような格別の問
題は全く観察されなかった。
【0037】
【表2】
【0038】比較例1 図3に示す製造装置(燃焼室内径550mm、反応ゾー
ン内径300mm)を用いてダクト1より空気を150
Nm3 /h連続的に送入し、燃焼バーナー2より水素を
12Nm3 /h供給燃焼させ、冷却用空気送入管14か
ら室温の空気を50Nm3 /h送入した。原料として、
分解性金属化合物はHSiCl3 を、分解性炭素化合物
はトルエンを用い、この両者を重量比で1:1の割合に
混合したものを40kg/hの流量で空冷ノズル4より
製造装置内に注入した。得られた混合エーロゾルはダク
ト6より系外に導かれ、混合エーロゾル中の分散質をバ
ッグフィルターで捕集して含炭素組成物を16.8kg
/hの生成量で得た。原料注入量は注入開始より15時
間までは上記の値で何とか一定に保持できたが、その後
注入量を一定値に保持することが困難になり、さらに2
0時間を経過した頃より炉圧が上昇を始め、燃焼用空気
及び冷却用空気を一定に保持することが困難になり、3
2時間後に運転を停止せざるを得なくなった。
【0039】停止後の空冷ノズル4の噴霧状態を観察し
たところ原料は吐出されるもののほとんど噴霧されてい
なかった。また、注入管等を観察した結果、空冷ノズル
4の原料注入管の内側及び噴霧ノズルの内側には、原料
混合物が熱分解して生じたと思われるタール状の付着物
がみられ、また製造装置の内側には図3に示したように
炉底部より塊状スケール7が成長しているのが確認され
た。
【0040】表3に原料注入開始より30時間までの含
炭素組成物の式量比(C/Si)、比表面積及び炉内圧
の経時変化を示したが、両者とも時間の経過と共に大き
く変動していることがわかる。即ち、本発明では実施例
1の如く500時間連続運転を行っても式量比は6.4
〜6.6であり、また比表面積は43.4〜44.2m
2 /gで非常に安定した運転状態であった。しかし図3
で示す装置を使用して連続製造を行った結果、式量比
(C/Si)は5.5〜8.2、比表面積は34.6〜
51.2m2 /gとバラツキが大きく長時間運転に耐え
ることができなかった。なお、金属捕集率は81.7%
と大幅に低かった。
【0041】
【表3】
【0042】比較例2 図4に示す製造装置(燃焼室内径550mm、反応ゾー
ン内径300mm)を用いて実施例1と同様にしてダク
ト1より空気を150Nm3 /h連続的に送入し、燃焼
バーナー2より水素を12Nm3 /h供給燃焼させた。
原料として、分解性金属化合物はHSiCl3 を、分解
性炭素化合物はトルエンを用い、この両者を重量比で
1:1の割合に混合したものを40kg/hの流量で水
冷ノズル3より製造装置内に注入した。得られた混合エ
ーロゾルはダクト6より系外に導かれ、エーロゾル中の
分散質をバッグフィルターで捕集して含炭素組成物を1
9.8kg/hの生成量で得た。運転開始後200時間
までは何の変化もなかったが、その後燃焼用空気量は一
定に保持できたものの炉圧が徐々に上昇を始めた。
【0043】かくの如くして製造装置の運転は300時
間継続して行い、その後停止して、ノズル噴霧状態を観
察したが、噴霧に何等異常はなかった。しかしながら、
製造装置内壁を観察したところ、図4のように反応域炉
底部に炉天井より落下したと思われる房状含炭素組成物
8が炉空間断面のほぼ半分を占める量堆積していた。ま
た、この堆積物の水冷ノズル3に面した表面は硬くなっ
ており、今後この部分が塊状スケール7に成長するもの
と推察された。
【0044】表4に得られた含炭素組成物の式量比(C
/Si)及び比表面積の原料送入開始より300時間ま
での経時変化を示した。含炭素組成物の式量比(C/S
i)は安定していたが、比表面積は200時間までは安
定していたものの、その後、運転時間の経過と共に変動
しており、これを焼成してファインセラミックスとした
場合に安定した特性を得ることは不可能である。なお、
金属捕集率は97.7%であった。
【0045】
【表4】
【0046】比較例3 図5に示す製造装置(燃焼室内径550mm、反応ゾー
ン内径300mm)より水素を12Nm3 /h供給燃焼
させ、空冷ノズル4には室温の空気を50Nm 3 /hで
送入した。原料として、分解性金属化合物はHSiCl
3 を、分解性炭素化合物はトルエンを用い、重量比1:
1の割合に混合したものを40kg/hの流量で空冷ノ
ズル4より製造装置内に注入した。得られた混合エロゾ
ールはダクト6より系外に導かれ、混合エロゾール中の
分散質をバグフィルターで捕集して含炭素組成物を1
8.5kg/hの生産量で得た。
【0047】比較例1と同様、注入開始より15時間ま
では原料注入量を上記の値で何とか一定に保持できた
が、その後注入量を一定値に保持することが困難にな
り、80時間後に運転を停止せざるおえなくなった。炉
圧もやはり40時間過ぎた頃より上昇を始めたが、ある
程度上昇すると急激に降下するという動きを運転を停止
するまで繰り返した。
【0048】停止後のノズルの噴霧状態を観察したとこ
ろ原料は吐出されるもののほとんど噴霧されていなかっ
た。また、注入管等を観察した結果、空冷ノズル4の原
料注入管の内側及び噴霧ノズルの内側には、原料混合物
が熱分解して生じたと思われるタール状の付着物がみら
れ、また製造装置の内側には図5に示したように反応領
域B周辺の炉壁より塊状スケール7が成長しているのが
確認された。また粉溜室Cには房状含炭素組成物8の他
に炉壁より落下したと考えられる塊状スケール7が確認
された。このことより、運転中の炉圧の上昇と降下の繰
り返しは、炉壁への塊状スケール7の成長及びそれの粉
溜室Cへの落下によるものと推察された。
【0049】表5に原料注入開始より80時間までの含
炭素組成物の式量比(C/Si)、比表面積及び炉内圧
の変化を示した。含炭素組成物の式量比(C/Si)及
び比表面積は炉圧の変化と共に変動しており、比較例2
同様これを焼成してファインセラミックスとした場合に
安定した特性を得ることは不可能である。なお金属補収
率は94.8%であった。
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では達成され
なかった原料注入管及びその先端部に設置されたノズル
を水冷し、竪型の反応炉を用いることにより、分解性金
属化合物や分解性炭素化合物の加熱による分解が防止さ
れ、かつノズルが高温に曝されないので分解物のノズル
への付着防止となり、その結果、噴霧の乱れがなくな
り、含炭素組成物の比表面積が時間と共に上昇すること
なく、長時間極めて安定したものが得られるという品質
の安定が達成され、炉体の閉塞という問題が解消でき長
時間の安定運転が可能になった。
【0052】本発明の含炭素組成物は、上記の如く極め
て均一かつ微細な混合エ−ロゾル分散質からなるもので
あり、しかも本発明のように噴霧ノズルを水で冷却し、
竪型の反応炉を用いることにより、長時間にわたって比
表面積の安定した含炭素組成物を得ることができる。従
って、この含炭素組成物を加熱焼成して得られる炭化物
は比表面積が極めて広く、かつその値が安定しており、
しかも粒子が極めて微細な粉末となる。以上の如く実施
例、比較例より本発明の水冷ノズルと竪型炉を併用して
使用すれば、目的の特性を有する含炭素組成物を長時間
にわたって連続的に安定して得られることが判明し、含
炭素組成物を工業的に製造するための方法として本発明
がいかに優れているかが判る。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】 水冷ノズルを具備した竪型炉の断面図
【図2】 水冷ノズルの一例を示す断面図
【図3】 比較例1で用いた炉の断面図
【図4】 比較例2で用いた炉の断面図
【図5】 比較例3で用いた炉の断面図
【符号の説明】
A 燃焼室 B 反応領域 C 粉溜室 1 ダクト 2 燃焼バーナー 3 水冷ノズルを用いた原料注入管 4 空冷ノズルを用いた原料注入管 5 炉材 6 ダクト 7 塊状のスケール 8 房状含炭素組成物 9 原料注入管 10 ノズル 11 冷却水入口 12 冷却水出口 13 水冷ジャケット 14 冷却用空気送入管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−40711(JP,A) 特開 平6−171917(JP,A) 特公 平3−13164(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 31/00 - 31/36 C04B 35/626 B01J 19/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水蒸気を含む熱ガス中に、分解性金属
    化合物及び分解性炭素化合物を導入、分解して、金属酸
    化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質を製造する
    にあたり、該熱ガス中への分解性金属化合物及び分解性
    炭素化合物の導入に水冷ノズルを用い、反応炉として竪
    型炉を用いることを特徴とする含炭素組成物の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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