JPH061706U - 動弁用バルブリフタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バルブリフタボディの冠面部の強度の低下を
招くような小突起の削取り加工を省略できる動弁用バル
ブリフタを提供する。 【構成】 バルブリフタボディ６の冠面部６ａの表面と
裏面に凹部９、１０をそれぞれ形成し、凹部９内にシム
７を、凹部１０内にシム８をそれぞれ嵌合させる一方、
凹部９、１０のうちで該凹部の形成時に底面に小突起が
形成された凹部内に挿入されるシム７、８の少なくとも
裏面７ａ、８ａに、小突起を挿入して逃げる凹み１２、
１３を形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、内燃機関において、吸排気弁のバルブステムと接触しながらカム シャフトの回転に従ってシリンダヘッドボア内を往復摺動する動弁用バルブリフ タに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、動弁用バルブリフタには、特開昭６３−１４７９０７号公報に記載され たものがある。このバルブリフタでは、図４に示すように、バルブリフタボディ ２０の冠面部２０ａの表面に凹部２１が、裏面に凹部２２がそれぞれ形成され、 凹部２１内には、カムシャフト２３のカム２３ａと接触するアウターシム２４が 、凹部２２内には、吸排気弁２５のバルブステム２５ａと接触するインナーシム ２６がそれぞれ嵌合されている。

【０００３】 バルブリフタボディ２０はアルミニウム合金等軽金属材料で形成され、アウタ ーシム２４とインナーシム２６は鉄系の金属材料で表裏面が平面である板状体に 形成されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の動弁用バルブリフタでは、座ぐり加工により冠面部 ２０ａの凹部２１、２２を形成しており、該凹部２１、２２の底面中央部に削り 残しの図示しない小突起が形成されたままにしておくと、凹部２１、２２内にシ ム２４、２６を嵌合させる際、凹部２１、２２の底面とシム２４、２６の裏面と を当接させることができないことから、小突起の削取り加工を更に行う必要があ る。このため、加工工数が増加して製作コストが上昇するばかりでなく、小突起 の削取り加工で冠面部２０ａの中央部の板厚が薄くなって、冠面部２０ａの強度 が低下する。

【０００５】 この考案は上記課題を解決するためになしたもので、バルブリフタボディの冠 面部の強度の低下を招くような小突起の削取り加工を省略できる動弁用バルブリ フタを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案の動弁用バルブリフタは、バルブリフタ ボディの冠面部の表面と裏面に凹部をそれぞれ形成し、各凹部内にシムを嵌合さ せる一方、前記シムのうち、前記凹部のうちで該凹部の形成時に底面に小突起が 形成された凹部内に挿入されるシムの少なくとも裏面に、前記小突起を挿入して 逃げる凹みを形成したものである。

【０００７】

【作用】

上記構成により、シムの嵌合時、凹部の底面に形成された小突起の削取り加工 を要することなく凹部の底面にシムの裏面が当接する。このため、シムの組込み は、まず、凹部内にシムを嵌合させた後、加締め等することで済む。

【０００８】 シムの強度は、シムの裏面に凹みが形成されても低下しない。また、凹部の底 面に形成された小突起を削り取らないことで、冠面部の強度は低下しない。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面により説明する。

【００１０】 図１は動弁機構を示す縦断面図、図２（１）は図１の動弁用バルブリフタにお けるアウターシムを示す平面図、（２）は（１）のＡ−Ａ線に沿う断面図である 。図３（１）は図１の動弁用バルブリフタにおけるインナーシムを示す平面図、 （２）は（１）のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。

【００１１】 図１において、１はカム１ａが形成されたカムシャフト、２は吸排気弁のバル ブステム、３はバルブスプリング、４はバルブスプリング３の上端部を抑えるリ テーナ、５はリテーナ４をバルブステム２の上端部に固定するコッタ、６はアル ミニウム合金等の軽金属材料よりなるバルブリフタボディ、７、８は弁間隙を調 整するためにカム１ａとバルブリフタボディ６との間に装着された表面硬度の高 い鉄系の金属材料よりなる円形のシムである。

【００１２】 バルブリフタボディ６の冠面部６ａの表面には円形の凹部９が、裏面には円形 の凹部１０がそれぞれ形成され、凹部９内にはアウターシム７が、凹部１０内に はインナーシム８がそれぞれ嵌合され、加締め等されている。

【００１３】 そして、バルブリフタボディ６が内燃機関のシリンダヘッドボア１１内に嵌合 されると共に、バルブスプリング３による付勢でインナーシム８の表面にバルブ ステム２が接触させられ、またアウターシム７の表面にカム１ａが接触させられ て、動弁機構が構成されている。

【００１４】 上記動弁用バルブリフタにおいて、座ぐり加工により、図２に示すように、ア ウターシム７の裏面７ａの中央部に、凹部９の形成時に底面９ａの中央部に形成 された図示しない小突起を挿入して逃げる凹み１２が形成され、表面７ｂの中央 部にも同じ大きさの凹み１２が形成される一方、図３に示すように、インナーシ ム８の裏面８ａの中央部には、凹部１０の形成時に底面１０ａの中央部に形成さ れた図示しない小突起を挿入して逃げる凹み１３が形成され、表面８ｂの中央部 にも同じ大きさの凹み１３が形成されている。

【００１５】 以上の構成において、アウターシム７の嵌合時、凹部９の底面９ａにおける加 工残りの小突起を挿入して逃げる凹み１２がアウターシム７の裏面７ａに形成さ れているから、該凹部９の底面９ａとアウターシム７の裏面７ａとは当接する。 このため、アウターシム７の組込みは、小突起の削取り加工を要することなく凹 部９内にアウターシム７を嵌合させ、しかる後、直ちに加締め等することで行う 。同様に、インナーシム８の嵌合時、凹部１０の底面１０ａにおける加工残りの 小突起を挿入して逃げる凹み１３がインナーシム８の裏面８ａに形成されている から、該凹部１０の底面１０ａとインナーシム８の裏面８ａとは当接する。この ため、インナーシム８の組込みは、小突起の削取り加工を要することなく凹部１ ０内にインナーシム８を嵌合させ、しかる後、直ちに加締め等することで行う。

【００１６】 このようなシム組込み作業時、アウターシム７の両面７ａ、７ｂにそれぞれ同 じ大きさの凹み１２が形成され、またインナーシム８の両面８ａ、８ｂにそれぞ れ同じ大きさの凹み１３が形成されているから、アウターシム７とインナーシム ８をその表裏に関係なく使用できる。

【００１７】 また、アウターシム７の組込み後、アウターシム７の両面７ａ、７ｂに、小突 起を挿入して逃げる程度の凹み１２が形成されているに過ぎないから、アウター シム７の強度は材質面から確保されており、しかも表面７ｂの凹み１２はカム１ ａが接触する際の支障とならない。同様に、インナーシム８の組込み後、インナ ーシム８の両面８ａ、８ｂに、小突起を挿入して逃げる程度の凹み１３が形成さ れているに過ぎないから、インナーシム８の強度は材質面から確保されており、 しかも表面８ｂの凹み１３はバルブステム２が接触する際の支障とならない。

【００１８】 尚、この実施例では、アウターシム７の表裏両面に凹み１２を、インナーシム ８の表裏両面に凹み１３を形成したが、少なくともアウターシム７の裏面に凹み １２を、インナーシム８の裏面に凹み１３を形成してあれば良い。

【００１９】

【考案の効果】

以上の通りこの考案は、バルブリフタボディの冠面部の表面と裏面に凹部をそ れぞれ形成し、各凹部内にシムを嵌合させる一方、前記シムのうち、前記凹部の うちで該凹部の形成時に底面に小突起が形成された凹部内に挿入されるシムの少 なくとも裏面に、前記小突起を挿入して逃げる凹みを形成したため、シムの嵌合 時、小突起の削取り加工を要することなく凹部の底面にシムの裏面を当接させる ことができ、工数の低減によってシム組込み作業の能率の向上と製作コストの低 減が図れると共に、小突起の削取り加工による冠面部の強度の低下を回避でき、 品質の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の動弁機構を示す縦断面図
である。

【図２】（１） 図１の動弁用バルブリフタにおけるア
ウターシムを示す平面図である。 （２） （１）のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図３】（１） 図１の動弁用バルブリフタにおけるイ
ンナーシムを示す平面図である。 （２） （１）のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。

【図４】従来例の動弁用バルブリフタにおけるアウター
シム及びインナーシムを示す縦断面図である。

【符号の説明】

６ バルブリフタボディ ６ａ 冠面部 ７、８ シム ７ａ、８ａ 裏面 ９、１０ 凹部 ９ａ、１０ａ 底面 １２、１３ 凹み

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バルブリフタボディの冠面部の表面と裏
   面に凹部をそれぞれ形成し、各凹部内にシムを嵌合させ
   る一方、前記シムのうち、前記凹部のうちで該凹部の形
   成時に底面に小突起が形成された凹部内に挿入されるシ
   ムの少なくとも裏面に、前記小突起を挿入して逃げる凹
   みを形成したことを特徴とする動弁用バルブリフタ。