JPH0573202U - 動弁用バルブリフタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組み立て易く、使用中におけるインナーシム
の回転、がた付きを確実に防止でき、尚かつ軽量化が図
れる動弁用バルブリフタを提供する。 【構成】 バルブリフタボディ６の冠面部６ａの裏面に
凹部９を形成し、この凹部９内に、吸排気弁のバルブス
テム２と接触する円板状のインナーシム７Ｂを嵌合させ
た動弁用バルブリフタにおいて、インナーシム７Ｂに、
凹部９の側壁部に弾発付勢する弾性を持った切片１２を
形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、例えば内燃機関のシリンダヘッドボア内に嵌合されて吸排気弁の バルブステムと当接しながらカムシャフトの回転にしたがってシリンダヘッドボ ア内を往復摺動する動弁用バルブリフタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の動弁用バルブリフタには例えば特開昭６３−１４７９０７号公 報に記載されたものがある。この動弁用バルブリフタでは、図４に示すように、 アルミニウム合金等軽金属材料からなるバルブリフタボディ２０の冠面部２０ａ の表面に凹部２１が形成され、この凹部２１内には、カム２２と接触する鉄系の 金属材料からなるアウターシム２３が装着されている。また、冠面部２０ａの裏 面には凹部２４が形成され、この凹部２４内には、吸排気弁のバルブステム２５ と接触する鉄系の金属材料からなるインナーシム２６が装着されている。更に具 体的には、インナーシム２６の側壁部には、両端部２７ａを有する切欠部２７が 形成され、その両端部２７ａは前記凹部２４の側壁部及びかしめ部３０に食い込 んだ状態となっている。このため、前記切欠部２７には凹部２４の側壁部及びか しめ部３０の一部が入り込んだ状態となっていて、従って、前記インナーシム２ ６はかしめ部３０によって突出部２９に対して強固に固定されるとともに、前記 切欠部２７に入り込んだかしめ部３０及び凹部２４の側壁部によって該インナー シム２６が前記凹部２４内で回転しないようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記従来の動弁用バルブリフタでは、シリンダヘッドの上方に 設けられた吸排気バルブ開閉用のカム２２の回転により、バルブリフタボデイ２ ０を回転させようとする力が加わるため、バルブステム２５の当たり部となるイ ンナーシム２６にも回転させようとする力が加わり、インナーシム２６の切欠部 ２７の両端部２７ａによって、凹部２４の側壁部の前記両端部２７ａと対向する 部分に応力が集中して、冠面部２０ａの強度低下を招く恐れがあった。このため 、強度をアップしようとするには、冠面部２０ａを厚くしなければならず、この 厚さの分、バルブリフタボデイ２０の重量が増加してしまう問題があった。

【０００４】 この考案は前記従来の課題を解決するためになしたもので、組み立て易く、使 用中におけるインナーシムの回転、がた付きを確実に防止でき、尚かつ軽量化が 図れる動弁用バルブリフタを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、この考案は、バルブリフタボディの冠面部の裏 面に凹部を形成し、この凹部内に、吸排気弁のバルブステムと接触する円板状の インナーシムを嵌合させた動弁用バルブリフタにおいて、前記インナーシムに、 前記凹部の側壁面に弾発付勢する弾性を持った切片を形成したものである。

【０００６】

【作用】

上記の構成により、切片を押さえてインナーシムを凹部内に嵌合させることで 組立てが完了する。

【０００７】 組立て完了後、切片は凹部の側壁面に弾発付勢されており、これによりインナ ーシムの側壁部が広い面積で凹部の側壁部と圧接して、両者間に大きな摩擦抵抗 が得られるから、インナーシムは凹部内に保持され、このため、冠面部の厚さを 増加させず軽量化ができると共に、内燃機関の運転中の振動等により凹部内でイ ンナーシムが回転したり、がた付いたりすることはない。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図１（１）、（２）により説明する。

【０００９】 図１（１）は動弁機構を示す断面図、同図（２）は（１）中のインナーシムの 装着状態を示す正面図である。

【００１０】 図中１はカム１ａが形成されたカムシャフト、２は吸排気弁のバルブステム、 ３はバルブスプリング、４はバルブスプリング３の上端部を抑えるリテーナ、５ はリテーナ４をバルブステム２の上端部に固定するコッタ、６はバルブリフタボ ディ、７Ａ、７Ｂは弁間隙を調整するためにカム１とバルブリフタボディ６との 間に装着されたシムである。

【００１１】 バルブリフタボディ６はアルミニウム合金等軽金属材料で作られ、その冠面部 ６ａの表面には凹部８、裏面には凹部９がそれぞれ形成されている。

【００１２】 アウターシム７Ａとインナーシム７Ｂは滲炭処理した炭素鋼等鉄系の金属材料 で円板状につくられ、それぞれ冠面部６ａの凹部８と凹部９に嵌合されている。

【００１３】 そして、バルブリフタボディ６が内燃機関のシリンダヘッドボア１０内に嵌合 されると共に、バルブスプリング３による付勢でインナーシム７Ｂにバルブステ ム２が当接させられ、かつアウターシム７Ａにカム１ａが当接させられて、動弁 機構が構成されている。

【００１４】 インナーシム７Ｂには、直径方向の一端に開口して他端側に延在する一本の切 欠部１１を介して、前記凹部９の側壁部に弾発付勢する弾性を持った２つの切片 １２が形成されている。尚、切片１２は、上記のものに限定されず、例えば図２ に示すように２本の切欠部１１をほぼ平行に配置して２本設け、或いは図３に示 すように直径方向の両端側にそれぞれ２本の切欠部１１をハの字状に配置して計 ４本設けても良い。

【００１５】 以上の構成において、インナーシム７Ｂを凹部９内に嵌合させて組み立てるが 、その際、切片１２を押さえることで半径方向に小さくできるから、組立ては容 易に行える。

【００１６】 また、組立て完了後、切片１２は凹部９の側壁面に弾発付勢されており、これ によりインナーシム７Ｂの側壁部が広い面積で凹部９の側壁部と圧接して、両者 間に大きな摩擦抵抗が得られる。このため、インナーシム７Ｂは凹部９内に保持 されると共に、内燃機関の運転中の振動等により凹部９内で回転したり、がた付 いたりすることはない。

【００１７】

【考案の効果】

以上の通りこの考案は、バルブリフタボディの冠面部の裏面に凹部を形成し、 この凹部内に、吸排気弁のバルブステムと接触する円板状のインナーシムを嵌合 させ、このインナーシムに、前記凹部の側壁部に弾発付勢する弾性を持った切片 を形成して広い面積で圧接させるようにしたから、インナーシムの側壁部と凹部 の側壁部との間に大きな摩擦抵抗を得て、インナーシムを凹部内に強固に保持す ることができる。このため、内燃機関の運転中の振動等により凹部内でインナー シムが回転したり、がた付くこともないから、凹部の側壁部への応力集中を防止 することができると共に、凹部の側壁部が摩耗することを防止できる。従って、 冠面部の強度を十分に確保しながらバルブリフタの軽量化が図れると共に、弁間 隙の調整機能を損なうことなくバルブリフタの耐摩耗性の向上が図れる。

【００１８】 また、組立て時、切片を押さえてインナーシムを凹部内に嵌合させるだけで良 いから、バルブリフタを容易に組み立てることができ、従って作業能率の向上が 図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（１） この考案の一実施例の動弁機構を示す
断面図である。 （２） （１）におけるインナーシムの装着状態を示す
正面図である。

【図２】この考案の他の実施例の動弁機構におけるイン
ナーシムの装着状態を示す正面図である。

【図３】この考案の更に他の実施例の動弁機構における
インナーシムの装着状態を示す正面図である。

【図４】（１） 従来例の動弁機構を示す断面図であ
る。 （２） （１）におけるインナーシムの装着状態を示す
正面図である。

【符号の説明】

１ カム ２ バルブ ６ バルブリフタボディ ６ａ 冠面部 ７Ｂ インナーシム ９ 凹部 １１ 切欠部 １２ 切片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バルブリフタボディの冠面部の裏面に凹
   部を形成し、この凹部内に、吸排気弁のバルブステムと
   接触する円板状のインナーシムを嵌合させた動弁用バル
   ブリフタにおいて、前記インナーシムに、前記凹部の側
   壁面に弾発付勢する弾性を持った切片を形成したことを
   特徴とする動弁用バルブリフタ。