JPH0616918U - 防水用コンパウンド入り光ファイバケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 隣接するパイプ型光ファイバ心線間、隣接す
るパイプ型光ファイバ心線とフィラとの間から、それら
と中心テンションメンバとの間に防水用コンパウンドが
均一に入り、水走りを確実に防止でき、細径、軽量な防
水用コンパウンド入り光ファイバケーブルを提供するこ
とにある。 【構成】 パイプ型光ファイバ心線４、或はパイプ型光
ファイバ心線４とフィラ１０とを中心テンションメンバ
５の外周に複数本撚り合わせたケーブルコア６と、該ケ
ーブルコア６の外側に施した保護層７とを有し、前記パ
イプ１、フィラ１０の外周面に突条９をその長手方向に
連続的に或は間欠的に設け、同保護層７内に防水用コン
パウンド８を充填した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルは、公衆通信、データ通 信、ＬＡＮ、インテリジェントビル内通信などの通信分野において、そのネット ワークの構築に使用されるものである。

【０００２】

【従来の技術】

通信ネットワークの構築に利用される防水用コンパウンド入り光ファイバケー ブルには各種のものがあり、その一つとしてルーズパイプ型ケーブルと呼ばれる ものがある。これは図９に示す様にプラスチック製のパイプＡ内に、コーティン グされたファイバＢが１本或は複数本、遊嵌状態（ルーズな状態）で収納され、 同パイプＡ内に必要に応じて防水用コンパウンド（ジェリー）Ｃが充填されてな るパイプ型光ファイバ心線Ｄを複数本、ＦＲＰ線、鋼線等の中心テンションメン バＥの周囲に集合して撚り合わせてケーブルコアＦを作り、この外周に金属製又 はプラスチック製の保護層Ｇを設け、同保護層Ｇの内側及び中心テンションメン バＥとパイプ型光ファイバ心線Ｄとの間の隙間に水分の侵入（水走り）を防止す るための防水用コンパウンドＨを充填してなるものである。

【０００３】 また従来はルーズパイプ型ケーブルとして図１０に示すものもあった。これは パイプ型光ファイバ心線Ｄだけでなく、それとフィラ（線状、棒状等の介在物） Ｉとを中心テンションメンバＥの周囲に集合して撚り合わせてケーブルコアＦを 作り、その外側に保護層Ｇを設け、同保護層Ｇの内側及び中心テンションメンバ Ｅとパイプ型光ファイバ心線ＤとフィラＩとの間の隙間に水走りを防止するため の防水用コンパウンドＨを充填してなるものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記の防水用コンパウンドＨは水走りを確実に防止するため、ケーブルの長手 方向の空間全体に均一に充填されることが望ましい。しかし、従来は隣接するパ イプ型光ファイバ心線Ｄ同士の接触箇所、隣接するパイプ型光ファイバ心線Ｄと フィラＩとの接触箇所に隙間ができないため、防水用コンパウンドＨが入りにく くなり、仮に入ったとしても均一には入らず、水走り防止特性がケーブルの長手 方向で不均一になるという問題があった。

【０００５】 本考案の目的は、隣接するパイプ型光ファイバ心線間、隣接するパイプ型光フ ァイバ心線とフィラとの間から、それらと中心テンションメンバとの間に防水用 コンパウンドが均一に入り易く、格別外径が太くならず、水走りを確実に防止で きる防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本件考案者は本件考案の開発に当り、防水用コンパウンド入り光ファイバケー ブルについて鋭意研究を重ねた結果、次の様な知見を得た。 中心テンションメンバＥとパイプ型光ファイバ心線ＤとフィラＩとの間の隙間 に防水用コンパウンドＨが均一且つ確実に入るためには、隣接するパイプ型光フ ァイバ心線Ｄ間、パイプ型光ファイバ心線ＤとフィラＩ間に隙間を作る必要があ るが、従来はこの隙間がないため防水用コンパウンドが入りにくく、前述の問題 を起こしている。

【０００７】 前記の問題を解決するためには隙間を作らずに粘度の低い物質を入れることが 考えられるが、それでは水走りを確実に防止することはできない。本考案はこれ らの問題がない防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルを実現することにあ る。

【０００８】 本考案のうち請求項１の防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルは、図１ に示すように、パイプ１内に光ファイバ２が遊嵌状態に収納さ、同パイプ１内に 必要に応じて防水用コンパウンド３が充填されたパイプ型光ファイバ心線４を、 中心テンションメンバ５の外周に複数本撚り合わせたケーブルコア６と、該ケー ブルコア６の外側に施した保護層７とを有し、前記保護層７内に防水用コンパウ ンド８が充填されてなる防水型光ケーブルにおいて、前記パイプ１の外周面に図 ３に示す様に突条９がその長手方向に連続的に或は図６に示す様に間欠的に設け られてなるものである。

【０００９】 本考案のうち請求項２の防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルは、図２ （ａ）に示すようにパイプ１内に光ファイバ２が遊嵌状態に収納され、同パイプ １内に必要に応じて防水用コンパウンド３が充填されたパイプ型光ファイバ心線 ４とフィラ１０とを、中心テンションメンバ５の外周に複数本集合したケーブル コア６と、該ケーブルコア６の外方に施した保護層７とを有し、前記保護層７内 に防水用コンパウンド８が充填されてなる防水型光ケーブルにおいて、前記パイ プ１の外周面及びフィラ１０の外周面に図３に示す様に突条９がその長手方向に 連続的に或は図６に示す様に間欠的に設けられてなるものである。

【００１０】 前記のパイプ型光ファイバ心線４のパイプ１はプラスチック製である。このパ イプ１内に防水用コンパウンド３を入れると側圧による光ファイバ２への影響が ない。この防水用コンパウンド３は入れても入れなくともよい。

【００１１】 前記突条９はパイプ型光ファイバ心線４、フィラ１０を中心テンションメンバ ５の外周に複数本集合して撚り合わせたときに、隣接するパイプ型光ファイバ心 線４間、或は隣接するフィラ１０間、或は隣接するパイプ型光ファイバ心線４と フィラ１０間に、防水用コンパウンド８が入り込むための隙間を作るためのもの である。この突条９は図３に示すように直線状に連続的に形成されたり、図５に 示すように螺旋状に連続的に形成されたり、図６に示すように間欠的に形成され たりする。突条９を図６に示す様に間欠的に形成する場合は、突条９の長さ、欠 けてる部分１１の長さを適宜選定する。

【００１２】 突条９はパイプ１、フィラ１０の外周面に一本ではなく図４（ａ）（ｂ）に示 す様に二本以上設けてもよい。突条９の端面形状は半円形、方形など適宜形状に することができる。また、突条９は高さが高い方が集合時の隙間が大きくなり、 防水用コンパウンド８が入り易くなるが、あまり高くすると集合時にオーバレー ヤになるので、防水用コンパウンド８の粘度とか量などにより、必要以上に高く ならない程度に選定するのがよい。また、長手方向全長に均一な高さにするので はなく、長手方向に適宜長ごとに高さを変えるようにすれば、その低い箇所で隙 間が大きくなるので防水用コンパウンド８が一層入り易くなる。

【００１３】 パイプ１、フィラ１０に前記突条９を形成するには、パイプ１、フィラ１０を プラスチック製とし、そのパイプ１、フィラ１０を製造する押出成形用ダイの構 造を工夫して、パイプ１、フィラ１０のプラスチック成型時にそれらと一体に成 型されるようにすればよい。

【００１４】 中心テンションメンバ５の外周に集合して撚り合わせる複数本のパイプ型光フ ァイバ心線４は、突条９の形状、本数、色等を夫々のパイプ１或はフィラ１０毎 に異なるものにしてもよい。その様にすればパイプ型光ファイバ心線４の識別が 可能となり接続時に役立つ。

【００１５】 図１では全てのパイプ型光ファイバ心線４に、図２では全てのパイプ型光ファ イバ心線４と全てのフィラ１０とに突条９が形成されているが、突条９は必ずし も全てに形成する必要はなく、突条９のある光ファイバ心線３とフィラ１０、突 条９のない光ファイバ心線３とフィラ１０とを用意して、それらを例えば突条９ の有るものと無いものを一本おきに配置する等適宜の組合わせで集合して撚り合 わせてもよい。

【００１６】

【作用】

本考案のうち請求項１の防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルでは、突 条９がパイプ型光ファイバ心線４のパイプ１の外周面に、その長手方向に連続的 或は間欠的に設けられているので、突条９が図３に示す様に直線状で連続的に係 止されている場合は、そのパイプ型光ファイバ心線４を中心テンションメンバ５ の外周に集合して撚り合わせると、突条９が長手方向にスパイラル状になり、隣 接するパイプ型光ファイバ心線４間、或はフィラ１０間、或はパイプ型光ファイ バ心線４とフィラ１０間に隙間（図示されていない）ができる。また、突条９が 螺旋状に設けられている場合はそのパイプ型光ファイバ心線４を中心テンション メンバ５の外周に複数本集合したときにその螺旋に沿って隙間１３（図７）がで きる。また、突条９が間欠的に設けられている場合はその欠けている部分１１（ 図８）に隙間１３ができる。従って、いずれの場合も、夫々の隙間１３から内部 に防水用コンパウンド８が入り込み、中心テンションメンバ５とパイプ型光ファ イバ心線４との間の空間１２（図１、図２）に防水用コンパウンド８が充填され る。

【００１７】 本考案のうち請求項２の防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルでは、突 条９がフィラ１０の外周面にも、その長手方向に連続的或は間欠的に設けられて いるので、同パイプ型光ファイバ心線４とフィラ１０を集合して中心テンション メンバ５の外周に撚り合わせたとき、実施例１の防水用コンパウンド入り光ファ イバケーブルの場合と同様に、連続する直線状の突条９により隙間（図示されて いない）が、螺旋状の突条９により隙間１３（図７）が、間欠的な突条９の欠け ている部分１１（図８）に隙間１３ができるので、夫々の隙間から内部に防水用 コンパウンド８が入り込み、中心テンションメンバ５とパイプ型光ファイバ心線 ４との間の空間１２（図１、図２）に防水用コンパウンド８が充填される。

【００１８】 しかし、図３に示すように突条９が直線状に連続的に形成されているパイプ型 光ファイバ心線４の場合は、それを複数本集合して中心テンションメンバ５の外 周に撚り合わせるとき、隣接するパイプ型光ファイバ心線４の突条９同士が接触 している（隙間がない）と、その接触したままの状態で何処までも長手方向に撚 り合わされて両突条９間に隙間ができず、防水用コンパウンド８がその内側に入 り込むことができなくなるので、集合したパイプ型光ファイバ心線４、或はパイ プ型光ファイバ心線４とフィラ１０を中心テンションメンバ５の外周に撚り返し 巻きするのがよい。撚り返し巻きすることにより接触している突条９が長手方向 に間尺的にはなれて両突条９間に隙間ができ、そこから防水用コンパウンド８が 入り込むことができるようになる。

【００１９】

【実施例１】 本考案の一実施例として、図１に示す様に中心テンションメンバ５の外周にパ イプ型光ファイバ心線４だけを集合して撚り合わせた防水用コンパウンド入り光 ファイバケーブルを製造した。これはパイプ１の外周面に一本の突条９をパイプ １と同一材料で長手方向に連続的に突設したパイプ型光ファイバ心線４を６本集 合し、それを１００％の撚り返しをかけながら中心テンションメンバ５の外周に 撚り合わせ、そのうえからテープを抑え巻きし、この上にプラスチックのシース を施した。コンパウンドは粘度を有する混和物を使用した。この場合の諸元は次 の通りである。

【００２０】 ．中心テンションメンバ 材質：ＦＲＰ 外径：２．６ｍｍ ．パイプ１ 材質：ＰＢＴ 外径：２．４ｍｍ 突条：一本、長手方向に連続、端面形状半円形 ．パイプ型光ファイバ心線 本数：６本 ．抑え巻きテープ 材質：ポリエチレンテープ 巻き方：横巻き ．シース 材質：黒色ポリエチレンジャケット ．得られる光ファイバケーブル 外径：約１２ｍｍ

【００２１】 実施例１では隣接するパイプ型光ファイバ心線４間に隙間ができ、そこから防 水用コンパウンドが均等に入り、水走り特性が向上した。しかも水走り特性は長 手方向にもばらつかず、繰り返し安定した結果が得られた。

【００２２】

【実施例２】 本考案の他の実施例として、図２に示す様に中心テンションメンバ５の外周に パイプ型光ファイバ心線４とフィラ１０とを集合して撚り合わせた。他の条件は 実施例１の場合と同じである。

【００２３】 フィラ１０はパイプ１に比べて固いため、それをパイプ型光ファイバ心線４と 集合して撚り合わせた場合の同パイプ型光ファイバ心線４への影響を考えたが、 固さの影響は特になく実施例１の場合と同様の特性改善が得られた。この場合、 パイプ１内の光ファイバの心数、パイプ１の外径、その本数に拘らず、従来設計 のものであれば突条９を突設することにより大幅に水走り特性が改善され、広く 普及している防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルの仕様を満足すること ができた。

【００２４】

【考案の効果】

本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケーブルは次の様な効果がある。 ．突条９を設けたことにより、隣接するパイプ型光ファイバ心線４間、或は パイプ型光ファイバ心線４とフィラ１０間に必ず隙間ができ、そこから防水用コ ンパウンド８が入り込むので、水走りを確実に防止できる。 ．防水用コンパウンド８がパイプ型光ファイバ心線４間、或はパイプ型光フ ァイバ心線４とフィラ１０の長手方向に均一に入るので、光ファイバケーブルの 長手方向への水走り特性が安定する。 ．突条９の色、形状、本数等を各パイプ毎に異なるものにすることにより、 パイプ型光ファイバ心線４、フィラ１０の識別も可能となり、接続時に便利であ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケ
ーブルのうち、パイプ型光ファイバ心線のみを集合した
場合の実施例を示す端面図。

【図２】本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケ
ーブルのうち、パイプ型光ファイバ心線とフィラとを用
いた場合の実施例を示す端面図。

【図３】（ａ）は本考案の防水用コンパウンド入り光フ
ァイバケーブルに使用されるパイプ型光ファイバ心線の
パイプの一例を示す斜視図、（ｂ）は同光ファイバケー
ブルに使用されるフィラの一例を示す斜視図。

【図４】（ａ）は本考案の防水用コンパウンド入り光フ
ァイバケーブルに使用されるパイプ型光ファイバ心線の
パイプの他例を示す斜視図、（ｂ）は同光ファイバケー
ブルに使用されるフィラの他例を示す斜視図。

【図５】本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケ
ーブルにおける螺旋状の突条の説明図。

【図６】本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケ
ーブルにおける間欠的突条の説明図。

【図７】本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケ
ーブルに使用されるパイプ型光ファイバ心線の集合状態
の平面説明図。

【図８】本考案の防水用コンパウンド入り光ファイバケ
ーブルに使用されるパイプ型光ファイバ心線の集合状態
の平面説明図。

【図９】従来の防水用コンパウンド入り光ファイバケー
ブルのパイプ型光ファイバ心線のみを用いた場合の端面
図。

【図１０】従来の防水用コンパウンド入り光ファイバケ
ーブルのパイプ型光ファイバ心線とフィラとを用いた場
合の端面図。

【符号の説明】

１ パイプ ２ 光ファイバ ３ 防水用コンパウンド ４ パイプ型光ファイバ心線 ５ 中心テンションメンバ ６ ケーブルコア ７ 保護層 ８ 防水用コンパウンド ９ 突条 １０ フィラ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小野 秀樹 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内 (72)考案者 黒沢 征佳 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプ１内に光ファイバ２が遊嵌状態に
   収納され、同パイプ１内に必要に応じて防水用コンパウ
   ンド３が充填されたパイプ型光ファイバ心線４を、中心
   テンションメンバ５の外周に複数本撚り合わせたケーブ
   ルコア６と、該ケーブルコア６の外側に施した保護層７
   とを有し、前記保護層７内に防水用コンパウンド８が充
   填されてなる防水用コンパウンド入り光ファイバケーブ
   ルにおいて、前記パイプ１の外周面に突条９が、その長
   手方向に連続的に或は間欠的に設けられてなることを特
   徴とする防水用コンパウンド入り光ファイバケーブル。
2. 【請求項２】 パイプ１内に光ファイバ２が遊嵌状態に
   収納され、同パイプ１内に必要に応じて防水用コンパウ
   ンド３が充填されたパイプ型光ファイバ心線４とフィラ
   １０とを、中心テンションメンバ５の外周に複数本撚り
   合わせたケーブルコア６と、該ケーブルコア６の外側に
   施した保護層７とを有し、前記保護層７内に防水用コン
   パウンド８が充填されてなる防水用コンパウンド入り光
   ファイバケーブルにおいて、前記パイプ１の外周面及び
   フィラ１０の外周面に突条９が、その長手方向に連続的
   に或は間欠的に設けられてなることを特徴とする防水用
   コンパウンド入り光ファイバケーブル。