JPH0616067A - 作業車の旋回操作構造 - Google Patents

作業車の旋回操作構造

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JPH0616067A
JPH0616067A JP17251492A JP17251492A JPH0616067A JP H0616067 A JPH0616067 A JP H0616067A JP 17251492 A JP17251492 A JP 17251492A JP 17251492 A JP17251492 A JP 17251492A JP H0616067 A JPH0616067 A JP H0616067A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 旋回時に、左右一対の後輪用のサイドブレー
キのうちの旋回中心側を制動側に自動操作する操作手段
と、操作手段の作動を許す作動状態と作動を停止させる
停止状態とに切換操作自在な牽制手段とを備えた作業車
の旋回操作構造において、高速側への変速操作に伴って
牽制手段が停止状態側に操作されるように構成する場
合、その操作がコジレ現象なく軽く行えるように構成す
る。 【構成】 走行用の第1及び第2変速装置の変速操作に
伴って揺動操作される第1及び第2操作部材26,32
を備え、第1操作部材26の揺動端にレリーズワイヤ3
3のインナー33aを、第2操作部材32の揺動端にア
ウター33bを接続する。そして、第1及び第2変速装
置のうちの少なくとも一方が低速側に操作されている
と、インナー33aが牽制手段の作動状態側に押し引き
操作されるように、第1及び第2変速装置の両方が高速
側に操作されていると、インナー33aが牽制手段の停
止状態側に押し引き操作されるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農用トラクタや乗用型
田植機等のような四輪型式の作業車における旋回操作構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】四輪型式の作業車の一例である農用トラ
クタにおいては、左右の後輪の各々を独立に制動操作可
能な左右一対のサイドブレーキを備えているものがあ
り、操縦部に備えられた左右一対のサイドブレーキペダ
ルの一方を踏み操作することにより、一方のサイドブレ
ーキを制動側に操作する。これによって、旋回時に旋回
中心側の後輪に制動を掛けることにより、制動側の後輪
を中心とした小回り旋回が可能になる。近年においては
前輪の操向操作とサイドブレーキとを連係させることに
より、操縦ハンドルの操作で前輪を直進位置から設定角
度以上に操向操作すると、これに連動してサイドブレー
キペダルを踏み操作しなくても、自動的に旋回中心側の
サイドブレーキが制動側に操作されるように構成してい
るものがあり、小回り旋回時の操作性を向上させている
ものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】旋回時において、旋回
中心側の後輪に制動を掛けると小回り旋回が可能になる
が旋回半径がかなり小さくなるので、高速で走行してい
る状態での旋回時に旋回中心側の後輪に制動が掛かる
と、急激に小回り旋回するような状態となる。従って、
高速での走行時には、旋回時に旋回中心側のサイドブレ
ーキが制動側に操作されない状態に事前に切換操作して
おく必要がある。
【0004】しかしながら、高速走行時に作業者が前述
の切換操作を忘れてそのままの状態で旋回してしまう
と、急激に小回り旋回するような状態となってしまうの
で、例えば図10に示すような構成が提案されている。
この構造では走行用として第1変速装置と第2変速装置
の2組の変速装置を装備しており、横軸芯P4,P5周
りに揺動自在に支持された第1及び第2操作部材41,
42が、第1及び第2変速装置用の変速レバー(図示せ
ず)と連係ロッド43,44より連動連結されている。
そして、第2操作部材42にト字状の長孔42aが開孔
されており、第1操作部材41に連結される連係ロッド
43の先端43aが第2操作部材42の長孔42aに挿
入されている。そして、横軸芯P6周りに第3操作部材
45が揺動自在に支持されており、サイドブレーキを自
動操作する操作手段と第3操作部材45とがワイヤ46
を介して連係され、第3操作部材45のピン45aが第
1操作部材41の長孔41aに挿入されている。
【0005】図10に示す状態は変速レバーにより第1
及び第2変速装置を中立位置に操作している状態であ
り、第3操作部材45がサイドブレーキ用の操作手段の
作動側に位置している状態である。この状態から第1変
速装置を高速側に操作すると、図10に示す状態から連
係ロッド43が紙面上下方向に移動して、その先端43
aが位置C3又はC2に達する。このようにして、連係
ロッド43により第1操作部材41が揺動操作される
と、第3操作部材45のピン45aが第1操作部材41
の長孔41a内を移動して、長孔41a内の位置E3又
はE2に達する。これにより、第3操作部材45が紙面
時計方向に揺動操作されて、ワイヤ46によりサイドブ
レーキ用の操作手段が停止側に操作される。従って、旋
回時に前述のような自動的なサイドブレーキの制動側へ
の操作は行われない。
【0006】次に図10に示す状態から第1変速装置を
低速側に操作すると(第2変速装置は中立位置)、図1
0に示す状態から連係ロッド43が下方に大きく移動し
て、その先端43aが位置C1に達する。このようにし
て、連係ロッド43により第1操作部材41が大きく揺
動操作されると、第3操作部材45のピン45aが第1
操作部材41の長孔41a内を移動して、長孔41a内
の位置E1に達する。これにより、第3操作部材45が
図10に示す位置に戻し操作されて、ワイヤ46により
サイドブレーキ用の操作手段が作動側に操作される。従
って、旋回時に前述のような自動的なサイドブレーキの
制動側への操作が行われる。
【0007】次に、図10に示す状態から第2変速装置
を低速側(第1変速装置は中立位置)に操作すると、連
係ロッド43の先端43aがそのまま残されて、連係ロ
ッド44により第2操作部材42が紙面反時計方向に揺
動操作されて、連係ロッド43の先端43aが位置Dに
達する。これにより、第3操作部材45を操作手段の作
動側に残した状態で、第2変速装置を低速側に操作して
動力伝達を行うのであり、この状態から第2変速装置を
図10に示す中立位置に戻し操作すると、動力伝達が行
われないのである。以上のように図10に示す構成で
は、走行用として第1変速装置と第2変速装置の2組の
変速装置を装備している場合において、一方が低速側に
操作されるとサイドブレーキ用の操作手段が作動側に操
作されるように構成しており、第1及び第2変速装置の
変速操作とサイドブレーキ用の操作手段を機械的に連係
させている。
【0008】この構成においては、低速走行時にのみサ
イドブレーキ用の操作手段が作動側に操作されるので安
全性の面では有効な構成であるが、図10に示すように
変速操作に伴って第3操作部材45のピン45aが第1
操作部材41の長孔41a内を摺動していく構成となっ
ている。この場合、ピン45aと長孔41aとの接触部
分は長孔41aの両内面の2箇所のみなので、ピン45
aが長孔41a内で傾き易くコジレ現象が発生し易い。
このようにピン45aと長孔41aとの間にコジレ現象
が生じると、ピン45aが長孔41a内を円滑に移動す
ることができなくなるので、この移動時に生じる抵抗に
より変速操作が重くなってしまう場合がある。又、前述
の長孔41aの内面は大きく開放されているので、この
長孔41aの内面にゴミ等が付着し易い。従って、長孔
41aの内面にゴミ等が付着すると、ピン45aが長孔
41a内を移動する際に、ピン45aと長孔41aの内
面との間にゴミ等が噛み込まれ易く、この噛み込みによ
る抵抗により変速操作が重くなってしまう場合がある。
本発明は、旋回時に旋回中心側のサイドブレーキが自動
的に制動側に操作されるように構成した作業車において
操作性及び安全性を向上させると同時に、2組の変速装
置を装備した場合、前述のように変速操作が重くならな
いように構成することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のよ
うな作業車の旋回操作構造において、次のように構成す
ることにある。つまり、左右一対の後輪のうちの選択さ
れた一方を制動可能な左右一対のサイドブレーキと、直
進位置からの前輪の左右の操向角度を検出する操向角度
検出手段と、前輪が直進位置から左右一方に設定角度以
上に操向操作されるとこの操向操作に連動して、サイド
ブレーキのうちの旋回中心側を制動側に操作する操作手
段と、操作手段の作動を許す作動状態と作動を停止させ
る停止状態とに切換操作自在な牽制手段とを備えると共
に、走行用の第1変速装置の変速操作に伴って揺動操作
される第1操作部材と、走行用の第2変速装置の変速操
作に伴って揺動操作される第2操作部材とを備え、第1
及び第2操作部材のうちの一方の揺動端にレリーズワイ
ヤのインナーを接続して、このインナーの他端を牽制手
段に接続し、第1及び第2操作部材のうちの他方の揺動
端にレリーズワイヤのアウターを接続して、第1及び第
2変速装置のうちの少なくとも一方が低速側に操作され
ていると、レリーズワイヤのインナーが牽制手段の作動
状態側に押し引き操作され、第1及び第2変速装置の両
方が高速側に操作されていると、レリーズワイヤのイン
ナーが牽制手段の停止状態側に押し引き操作されるよう
に、第1及び第2操作部材、レリーズワイヤを配置して
いる。
【0010】
【作用】前述の構成を、例えば図3〜6に示すように具
体的に構成したとする。この場合、図3に示すように第
2操作部材32(第2変速装置側)を高速側に操作して
いる状態において、第1操作部材26(第1変速装置
側)を低速側(F1の位置)に操作していると、レリー
ズワイヤ33のインナー33aは、第1及び第2操作部
材26,32側には引き操作されていない。逆に、図6
に示すように、第1操作部材26を高速側(Nの位置)
に操作している状態において、第2操作部材32を低速
側(Cの位置)に操作していると、レリーズワイヤ33
のインナー33aは、アウター33bの戻し作用により
前述と同様に、第1及び第2操作部材26,32側には
引き操作されていない。この場合、牽制手段が停止状態
側に操作されるので、図3及び図6に示す状態において
前輪を設定角度以上に操向操作すると、操作手段により
旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作さ
れる。
【0011】そして、図4及び図5に示すように第2操
作部材32を高速側に操作している状態において、第1
操作部材26を高速側(F2,F3の位置)に操作して
いると、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第1
及び第2操作部材26,32側に引き操作される。この
場合、牽制手段が作動状態側に操作されるので、前述の
状態において前輪を設定角度以上に操向操作しても、旋
回中心側のサイドブレーキは制動側に操作されない。
【0012】以上のように、低速での走行状態から第1
及び第2変速装置の一方を高速側に操作して高速走行に
移行したとする。このようにすると、この高速側への操
作に連動し自動的に牽制手段が作動して、前述の操作手
段の作動が停止する。走行用の変速装置の高速側への操
作は、低速走行状態から高速走行状態に移行する場合に
必ず行われるので、高速走行時において旋回中心側のサ
イドブレーキが制動側に操作されない状態に切換操作す
ることが忘れられることはない。そして、従来の構造で
は高速側への操作及び前述の切換操作の両操作を別々に
行っていたが、本発明ではこの両操作が一つの操作で行
えることになる。
【0013】そして、第1及び第2変速装置の変速操作
に伴って牽制手段の切換操作を行う場合、本発明では第
1及び第2操作部材の揺動、レリーズワイヤのインナー
の押し引き操作で行っており、図10に示す構成のよう
にピン45aが長孔41a内を移動して第3操作部材4
5を揺動させるような構成は採用していない。このよう
な揺動構造(ピン及びボスによるピン支持構造)の場
合、ボスの内面の略全周に亘ってピンが接触し支持され
ているので、長孔内をピンが摺動する構造よりもピンが
ボス内で傾くようなことは少なく、これに伴うコジレ現
象の発生も少ない。又、レリーズワイヤにおいても同様
にコジレ現象の発生は少ない。従って、本発明の構造の
方が変速操作に伴う牽制手段の切換操作が、コジレ現象
少なく円滑に行われる。又、本発明の揺動構造のボスの
内面は特に外方に開放されていないので、ボスの内面に
ゴミ等が入り込むようなことは少ない。そして、レリー
ズワイヤにおいても同様に、アウター内にゴミ等が入り
込むようなことは少ない。従って、従来の構造よりも本
発明の方がゴミ等の噛み込みは少なく、この噛み込みに
よる抵抗の発生も少ない。
【0014】
【発明の効果】以上のように高速側への変速操作に連動
して、旋回中心側の後輪のサイドブレーキが制動側に操
作されない状態に同時に切換操作(牽制手段の切換操
作)されるように構成することができて、高速側に移行
する際の必要操作を少なくし操作性を向上させることが
できた。そして、牽制手段の切換操作もコジレ現象及び
ゴミ等の噛み込み現象なく軽く行えるので、高速側への
変速操作が重くなることはない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラ
クタの概略を示しており、前輪1及び後輪2で支持され
た機体の前部にエンジン(図示せず)、後部にミッショ
ンケース4を備えて農用トラクタが構成されている。エ
ンジンの動力は、ミッションケース4内の主変速装置
(多段のギヤ変速型式)(図示せず)から、第1副変速
装置(高中低3段のギヤ変速型式)(第1変速装置に相
当)(図示せず)、又は第2副変速装置(中立及び超低
速の2段のギヤ変速型式)(第2変速装置に相当)(図
示せず)を介して、後輪デフ機構5から左右の後輪2に
伝達される。そして、後輪デフ機構5の直前から分岐し
た動力が前輪変速装置6、前輪出力軸7及び前輪デフ機
構8を介して左右の前輪1に伝達される。
【0016】図1に示す前輪変速装置6は、前輪1が後
輪2と略同じ速度で駆動される状態で伝動する標準状態
と、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される状態で伝動
する増速状態の2状態に切換操作可能である。図1に示
すように、2状態切換操作用のシフト部材9がバネ10
によって標準ギヤ20との咬合側に付勢されており、通
常はシフト部材9が標準ギヤ20に咬合して標準状態と
なっている。そして、シフト部材9と標準ギヤ20との
間に形成されている油室(図示せず)内に作動油を供給
すると、シフト部材9が紙面左方にスライドし摩擦クラ
ッチ21を押圧入り操作して増速状態が得られる。
【0017】図1に示すように左右の後輪2に対して、
各後輪2を各々独立に制動可能なサイドブレーキ11
R,11Lが設けられている。図1及び図9に示すよう
に、操縦部の床面の右側にサイドブレーキペダル12
R,12Lが左右一対配置されており、この左右のサイ
ドブレーキペダル12R,12Lとサイドブレーキ11
R,11Lとが、シリンダ13R,13L及び連係ロッ
ド14を介して連動連結されている。
【0018】以上の構造により、左右のサイドブレーキ
ペダル12R,12Lを踏み操作することによって、左
右のサイドブレーキ11R,11Lを各々独立に制動側
に操作することができる。そして、図9に示すようにシ
リンダ13R,13Lはバネ13aで伸長側に付勢され
ており、作動油を供給してシリンダ13R,13Lを収
縮操作することにより、左右のサイドブレーキ11R,
11Lを制動側に操作することができる。
【0019】次に、前輪1の操向操作と左右のサイドブ
レーキ11R,11L及び前輪変速装置6との連係につ
いて説明する。図1及び図2に示すように、ポンプ15
からの作動油が切換弁24(牽制手段に相当)、油路2
8及び制御弁16(操作手段に相当)を介して、左右の
サイドブレーキ11R,11L及び前輪変速装置6に供
給されている。制御弁16は、前輪変速装置6における
シフト部材9と標準ギヤ20との間の油室、及び左右の
サイドブレーキペダル12R,12Lのシリンダ13
R,13Lを排油状態とする直進位置16N、ポンプ1
5からの作動油を前輪変速装置6の油室及び右側のシリ
ンダ13Rに供給し、左側のシリンダ13Lを排油状態
とする右旋回位置16R、並びに、作動油を前輪変速装
置6の油室及び左側のシリンダ13Lに供給し、右側の
シリンダ13Rを排油状態とする左旋回位置16Lの3
位置切換式である。
【0020】図1に示すように前輪1の操向操作用のピ
ットマンアーム17に、扇型のカム板18(操向角度検
出手段に相当)が固定されており、制御弁16のスプー
ル16aがカム板18に接当し、スプール16aを接当
側に付勢するバネ16bが備えられている。図1に示す
状態は前輪1を直進位置に操作している状態であり、制
御弁16が直進位置16Nに操作されている状態であ
る。この状態で左右のサイドブレーキ11R,11Lが
非制動状態となり、前輪変速装置6のシフト部材9が標
準ギヤ20に咬合して、前輪1が後輪2と略同じ速度で
駆動される標準状態となっている。
【0021】図1に示す状態から前輪1を右側に設定角
度以上に操向操作すると、カム板18により制御弁16
のスプール16aが紙面右方に押し操作されて、右旋回
位置16Rとなり、作動油が右のシリンダ13R及び前
輪変速装置6に供給される。従って、前輪変速装置6の
摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が後輪2よ
りも高速で駆動される増速状態になると共に、右のシリ
ンダ13Rが収縮して右のサイドブレーキ11Rが制動
側に操作される。
【0022】逆に、図1に示す状態から前輪1を左側に
設定角度以上に操向操作すると、制御弁16のスプール
16aが紙面左方に移動し左旋回位置16Lとなり、作
動油が左のシリンダ13L及び前輪変速装置6に供給さ
れる。従って、前輪変速装置6の摩擦クラッチ21が入
り操作されて、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される
増速状態になると共に、左のシリンダ13Lが収縮して
左のサイドブレーキ11Lが制動側に操作される。
【0023】この農用トラクタにおいては切換レバー3
によって、前述のような自動的なサイドブレーキ11
R,11Lの制動側への操作及び、前輪変速装置6の増
速状態側への操作が行われる状態と、行われない状態に
切換操作するように構成しており、次にこの切換構造に
ついて説明する。図2及び図1に示すように、油路28
に調圧弁19(牽制手段に相当)が接続されており、こ
の調圧弁19は弁体19a、この弁体19aを閉側に付
勢するバネ19b及びバネ19bの後端を支持する支持
部材19cとで構成されている。これにより、油路28
内の圧力がバネ19bにより設定される圧力を越える
と、弁体19aが紙面右方に開いて作動油がドレン油路
38を介して排出されるのであり、制御弁16に供給さ
れる作動油圧が調圧弁19のバネ19bの付勢力、つま
り、バネ19bの支持部材19cの位置により決定され
る。
【0024】図2に示すように、切換弁24のスプール
29は、一対の切欠き部29a,29b及びドレン孔2
9c備えた第1ランド部29A、並びに、第1円弧面2
9dと第2円弧面29eとを備えた第2ランド部29B
を備えて構成されており、調圧弁19の支持部材19c
の後端が第1円弧面29dに当て付けられて、支持部材
19cの位置が決められている。切換弁24のスプール
29の先端に操作板30が固定されており、切換レバー
3と操作板30とが連係ロッド22により連動連結され
ている。
【0025】図1に示す状態は、切換レバー3を第1位
置B1に操作している状態である。この状態においてポ
ンプ15からの作動油は切換弁24のスプール29にお
ける第1切欠き部29a、及び油路28を介して制御弁
16に供給されている。そして、調圧弁19の支持部材
19cがスプール29の第1円弧面29dにより紙面左
方に押された状態となっており、調圧弁19のバネ19
bが圧縮されて調圧弁19の作用により、制御弁16に
供給される作動油圧が後述する第2設定圧P2に維持さ
れている。
【0026】図7に示すように、前輪変速装置6は比較
的低い第1設定圧P1で標準状態から増速状態に切換操
作されるが、この第1設定圧P1ではサイドブレーキ1
1R,11Lは制動側に操作されない。そして、第1設
定圧P1より高い第2設定圧P2において、サイドブレ
ーキ11R,11Lが弱制動状態となり、前輪変速装置
6も標準状態から増速状態に切換操作される。このサイ
ドブレーキ11R,11Lの弱制動状態とは、制動側の
後輪2が機体の進行に伴って引きずられるような状態と
なった場合、この引きずり作用がサイドブレーキ11
R,11Lに打ち勝って制動側の後輪2が回転させられ
るような状態である。
【0027】図2及び図1に示すように切換レバー3を
第1位置B1に操作している状態において、前述のよう
に前輪1を右又は左側に設定角度以上に操向操作する
と、カム板18により制御弁16のスプール16aがス
ライド操作されて、作動油が右又は左のシリンダ13
R,13Lに供給されると共に、前輪変速装置6に供給
される。
【0028】この場合、前述のように供給される作動油
圧が調圧弁19の作用により第2設定圧P2に維持され
ている。従って、図7の実線A2に示すように前輪変速
装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が
後輪2よりも高速で駆動される増速状態になると共に、
右又は左のシリンダ13R,13Lが収縮して右又は左
のサイドブレーキ11R,11Lが弱制動状態に操作さ
れる。これにより、増速された前輪1による旋回方向へ
の引っ張り作用、及び、旋回中心側の後輪2に対する制
動作用により、非常に小さな小回り旋回が行える。この
場合、機体の旋回に伴って制動側の後輪2が引きずられ
るような状態となると、この制動側の後輪2が回転させ
られるので、制動側の後輪2により地面が荒らされるこ
とが少ない。
【0029】次に、切換レバー3を第2位置B2に操作
すると、切換弁24のスプール29が、図2に示す状態
から紙面時計方向に所定角度だけ回動操作される。この
場合スプール29の第1円弧面29dにおいて、調圧弁
19の支持部材19cに接触する部分が紙面右方に少し
後退する。そして、これに伴い支持部材19cも紙面右
方にスライドしてバネ19bの付勢力が少し弱められ、
制御弁16に供給される作動油圧が第2設定圧P2より
も低い第1設定圧P1に維持される。
【0030】従って、この状態において、前輪1を右又
は左側に設定角度以上に操向操作して、作動油が右又は
左のシリンダ13R,13L及び前輪変速装置6に供給
された場合、図7の一点鎖線A1に示すように、前輪変
速装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1
が後輪2よりも高速で駆動される増速状態が現出され
る。これに対し、右又は左のシリンダ13R,13Lは
収縮せず、右又は左のサイドブレーキ11R,11Lは
制動側に操作されない。これによって、増速された前輪
1による旋回方向への引っ張り作用のみにより、円滑な
小回り旋回が行える。この場合、左右の後輪2も駆動さ
れているので旋回中心側の後輪2が引きずられるような
ことがなく、旋回中心側の後輪2で地面を荒らしてしま
うようなことがない。
【0031】次に図2に示すように、切換レバー3を第
3位置B3に操作すると、切換弁24のスプール29
が、図2に示す状態から紙面時計方向にさらに所定角度
だけ回動操作される。この場合、スプール29における
第1ランド部29Aのドレン孔29cが、ドレン油路3
9に連通する。これによって、ポンプ15からの作動油
が第1ランド部29Aのドレン孔29c、及びドレン油
路39を介して排出される。
【0032】従って、この状態において前輪1を右又は
左側に設定角度以上に操向操作しても、図7の二点鎖線
A4に示すように、右又は左のシリンダ13R,13L
及び前輪変速装置6には作動油は供給されない。これに
より、旋回時に前輪変速装置6は標準状態を維持し、右
又は左のサイドブレーキ11R,11Lも制動側に操作
されることはなく、前輪1及び後輪2の四輪が略同じ速
度で駆動された状態で旋回が行われる。
【0033】この農用トラクタにおいては、高速走行で
の旋回時には前述のような自動的なサイドブレーキ11
R,11Lの制動側への操作、及び、前輪変速装置6の
増速状態側への操作が行われないように構成しており、
次にこの構造について説明する。図3に示すように、ミ
ッションケース4の横側面に第1副変速装置用の操作軸
23、及び第2副変速装置用の操作軸25が突出してお
り、この操作軸23,25に、逆L字状の第1操作部材
26及び操作板27が固定されている。そして、第1及
び第2副変速装置用の副変速レバー(図示せず)と第1
操作部材26及び操作板27とが、連係ロッド28,3
1より連動連結されている。操作板27にト字状の長孔
27aが開孔されており、第1操作部材26に連結され
る連係ロッド28の先端28aが操作板27の長孔27
aに挿入されている。
【0034】ミッションケース4の横軸芯P1周りに、
へ字状の第2操作部材32が揺動自在に支持されてお
り、第2操作部材32の下端が操作板27にピン連結さ
れている。第1操作部材23の上端にブラケット34が
横軸芯P2周りに自由揺動自在に支持されており、レリ
ーズワイヤ33におけるインナー33aがこのブラケッ
ト34に接続されている。このレリーズワイヤ33にお
けるアウター33bの端部が、第2操作部材32の上端
の横軸芯P3周りに自由揺動自在に支持されている。そ
して、図3及び図2に示すように、レリーズワイヤ33
におけるインナー33aの他端が、切換弁24用の操作
板30に接続されている。
【0035】副変速レバーにより変速操作される第1及
び第2副変速装置は伝動系に対して並列関係で配置され
ており、一方がある変速位置に操作されていると他方は
中立位置にある。図3に示す状態は、副変速レバーを低
速位置(第1副変速装置が低速位置で第2副変速装置が
中立位置)に操作している状態であり、第1操作部材2
6が低速位置F1に位置している。この状態において、
レリーズワイヤ33のインナー33aは、第1及び第2
操作部材26,32側には引き操作されていない。
【0036】これにより、図2に示すように切換レバー
3を第1位置B1に操作可能となって、旋回時に前述の
ような自動的なサイドブレーキ11R,11Lの制動側
への操作、及び、前輪変速装置6の増速状態側への操作
が行われる。そして、切換レバー3を第2及び第3位置
B2,B3に操作することも可能であり、旋回時に前輪
変速装置6の増速状態側への操作のみが行われる状態、
旋回時に自動的なサイドブレーキ11R,11Lの制動
側への操作、及び前輪変速装置6の増速状態側への操作
の両方が行われない状態を選択できる。以上のように、
副変速レバーを低速位置に操作している状態において
は、切換レバー3を第1,2,3位置B1,B2,B3
に操作して3状態を選択できるのである(図8参照)。
【0037】次に図4に示すように、副変速レバーを中
速位置(第1副変速装置が中速位置で第2副変速装置が
中立位置)に操作すると、第1操作部材26が紙面時計
方向に揺動操作されて中速位置F2に達する。この状態
において、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第
1及び第2操作部材26,32側に少し引き操作され
る。これにより、切換弁24の操作板30が図2に示す
状態から紙面時計方向に所定角度だけ回動操作される。
【0038】この状態において、切換レバー3を図2に
ような第1位置B1に操作することは不可能になり、切
換レバー3を第2及び第3位置B2,B3に操作するこ
とは可能になる。そして、切換レバー3を第1位置B1
に操作している状態で、副変速レバーを低速位置から中
速位置に操作すると、インナー33aの引き作用により
切換レバー3が第1位置B1から第2位置B2に切換操
作される。以上のように、副変速レバーを中速位置に操
作している状態においては、切換レバー3を第2,3位
置B2,B3に操作して2状態を選択できるのである
(図8参照)。
【0039】次に図5に示すように、副変速レバーを高
速位置(第1副変速装置が高速位置で第2副変速装置が
中立位置)に操作すると、第1操作部材26が紙面時計
方向に揺動操作されて高速位置F3に達する。この状態
において、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第
1及び第2操作部材26,32側に大きく引き操作され
る。これにより、図2の切換弁24の操作板30が紙面
時計方向に大きく回動操作される。
【0040】この状態において、切換レバー3を第1及
び第2位置B1,B2に操作することは不可能となり、
切換レバー3を第3位置B3にしか操作できない。そし
て、切換レバー3を第1及び第2位置B1,B2に操作
している状態で、副変速レバーを低速及び中速位置から
高速位置に操作すると、インナー33aの引き作用によ
り切換レバー3が第1及び第2位置B1,B2から第3
位置B3に切換操作される。以上のように、副変速レバ
ーを高速位置に操作している状態においては、切換レバ
ー3を第3位置B3にしか操作できない(図8参照)。
【0041】次に、副変速レバーを超低速位置に操作す
れば、図6に示すように第1操作部材26が中立位置N
に操作され、操作板27により第2操作部材32が図3
に示す状態から図6の超低速位置Cに操作される。この
場合、第1操作部材26の動作によりレリーズワイヤ3
3のインナー33aが第1操作部材26側に引き操作さ
れるが、これに伴って、アウター33b側の第2操作部
材32も同方向に揺動操作されるので、実際にはインナ
ー33aが第1操作部材26側に引き操作された状態と
はならない。これによって、副変速レバーを低速位置に
操作した場合と同様に、切換レバー3を第1,2,3位
置B1,B2,B3に操作して3状態を選択できるので
ある(図8参照)。
【0042】図2に示す切換弁24のスプール29を引
き抜いて180度回転させ再び挿入すると、スプール2
9の第2ランド部29Bの第2円弧面29eが、調圧弁
19の支持部材19cに接当し、ポンプ15からの作動
油が第1ランド部29Aの切欠き部29bを介して制御
弁16に供給される。この場合、調圧弁19の支持部材
19cは、切換レバー3を第1位置B1に操作している
状態において、第2ランド部29Bの第1円弧面29d
に接当している状態よりも、紙面左方に押された状態と
なる。
【0043】これにより、調圧弁19の作用によって制
御弁16に供給される作動油圧が、第2設定圧P2より
も高い第3設定圧P3に維持される。図7の実線A3に
示すように第3設定圧P3において、サイドブレーキ1
1R,11Lが強制動状態となり、前輪変速装置6も標
準状態から増速状態に切換操作される。このサイドブレ
ーキ11R,11Lの強制動状態とは、制動側の後輪2
が機体の進行に関係なく略停止するような状態である。
【0044】従って、この状態において前輪1を設定角
度以上に操向操作すれば、増速された前輪1による旋回
方向への引っ張り作用、及び、旋回中心側の後輪2に対
する強い制動作用により、非常に小さな小回り旋回が行
える。そして、この状態から切換レバー3を第2及び第
3位置B2,B3に操作すれば、前述と同様に図7の一
点鎖線A1及び二点鎖線A4の状態が得られる。
【0045】〔別実施例〕図3に示す実施例ではレリー
ズワイヤ33のインナー33aを第1操作部材26に接
続し、アウター33bを第2操作部材32に接続した
が、この関係を逆にしてインナー33aを第2操作部材
32に接続し、アウター33bを第1操作部材26に接
続してもよい。又、前述の実施例では第1及び第2副変
速装置が伝動系に並列に配置されているが、この第1及
び第2副変速装置を伝動系に直列に配置してもよい。図
1の前輪変速装置6を装備せずに、サイドブレーキ11
R,11Lのみを装備した型式の作業車に本発明を適用
してもよい。
【0046】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】左右のサイドブレーキ、前輪変速装置、制御弁
及び切換弁の連係状態及び油圧回路を示す回路図
【図2】切換弁、制御弁及び調圧弁の油圧回路、並び
に、切換弁と切換レバー及びレリーズワイヤとの連係状
態を示す図
【図3】副変速レバーを低速位置に操作している状態で
の第1及び第2操作部材付近の側面図
【図4】副変速レバーを中速位置に操作している状態で
の第1及び第2操作部材付近の側面図
【図5】副変速レバーを高速位置に操作している状態で
の第1及び第2操作部材付近の側面図
【図6】副変速レバーを超低速位置に操作している状態
での第1及び第2操作部材付近の側面図
【図7】サイドブレーキ及び前輪変速装置の作動圧と前
輪の操向角度の関係を示す図
【図8】副変速レバー(第1及び第2副変速装置)とサ
イドブレーキ及び前輪変速装置の作動状態との関係を示
す図
【図9】サイドブレーキペダルとサイドブレーキとの連
結状態及び連結用のシリンダを示す図
【図10】本発明と比較する為に提示した比較例におい
て、第1及び第2変速装置用の第1及び第2操作部材と
操作手段との連係状態を示す側面図
【符号の説明】
1 前輪 2 後輪 11R,11L サイドブレーキ 16 操作手段 18 操向角度検出手段 19,24 牽制手段 26 第1操作部材 32 第2操作部材 33 レリーズワイヤ 33a レリーズワイヤのインナー 33b レリーズワイヤのアウター
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 作業車の旋回操作構造
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農用トラクタや乗用型
田植機等のような四輪型式の作業車における旋回操作構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】四輪型式の作業車の一例である農用トラ
クタにおいては、左右の後輪の各々を独立に制動操作可
能な左右一対のサイドブレーキを備えているものがあ
り、操縦部に備えられた左右一対のサイドブレーキペダ
ルの一方を踏み操作することにより、一方のサイドブレ
ーキを制動側に操作する。これによって、旋回時に旋回
中心側の後輪に制動を掛けることにより、制動側の後輪
を中心とした小回り旋回が可能になる。近年においては
前輪の操向操作とサイドブレーキとを連係させることに
より、操縦ハンドルの操作で前輪を直進位置から設定角
度以上に操向操作すると、これに連動してサイドブレー
キペダルを踏み操作しなくても、自動的に旋回中心側の
サイドブレーキが制動側に操作されるように構成してい
るものがあり、小回り旋回時の操作性を向上させている
ものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】旋回時において、旋回
中心側の後輪に制動を掛けると小回り旋回が可能になる
が旋回半径がかなり小さくなるので、高速で走行してい
る状態での旋回時に旋回中心側の後輪に制動が掛かる
と、急激に小回り旋回するような状態となる。従って、
高速での走行時には、旋回時に旋回中心側のサイドブレ
ーキが制動側に操作されない状態に事前に切換操作して
おく必要がある。
【0004】しかしながら、高速走行時に作業者が前述
の切換操作を忘れてそのままの状態で旋回してしまう
と、急激に小回り旋回するような状態となってしまうの
で、例えば図10に示すような構成が提案されている。
この構造では走行用として第1変速装置と第2変速装置
の2組の変速装置を装備しており、横軸芯P4,P5周
りに揺動自在に支持された第1及び第2操作部材41,
42が、第1及び第2変速装置用の変速レバー(図示せ
ず)と連係ロッド43,44より連動連結されている。
そして、第2操作部材42にト字状の長孔42aが開孔
されており、第1操作部材41に連結される連係ロッド
43の先端43aが第2操作部材42の長孔42aに挿
入されている。そして、横軸芯P6周りに第3操作部材
45が揺動自在に支持されており、サイドブレーキを自
動操作する操作手段と第3操作部材45とがワイヤ46
を介して連係され、第3操作部材45のピン45aが第
1操作部材41の長孔41aに挿入されている。
【0005】図10に示す状態は変速レバーにより第1
及び第2変速装置を中立位置に操作している状態であ
り、第3操作部材45がサイドブレーキ用の操作手段の
作動側に位置している状態である。この状態から第1変
速装置を高速側に操作すると、図10に示す状態から連
係ロッド43が紙面上下方向に移動して、その先端43
aが位置C3又はC2に達する。このようにして、連係
ロッド43により第1操作部材41が揺動操作される
と、第3操作部材45のピン45aが第1操作部材41
の長孔41a内を移動して、長孔41a内の位置E3又
はE2に達する。これにより、第3操作部材45が紙面
時計方向に揺動操作されて、ワイヤ46によりサイドブ
レーキ用の操作手段が停止側に操作される。従って、旋
回時に前述のような自動的なサイドブレーキの制動側へ
の操作は行われない。
【0006】次に図10に示す状態から第1変速装置を
低速側に操作すると(第2変速装置は中立位置)、図1
0に示す状態から連係ロッド43が下方に大きく移動し
て、その先端43aが位置C1に達する。このようにし
て、連係ロッド43により第1操作部材41が大きく揺
動操作されると、第3操作部材45のピン45aが第1
操作部材41の長孔41a内を移動して、長孔41a内
の位置E1に達する。これにより、第3操作部材45が
図10に示す位置に戻し操作されて、ワイヤ46により
サイドブレーキ用の操作手段が作動側に操作される。従
って、旋回時に前述のような自動的なサイドブレーキの
制動側への操作が行われる。
【0007】次に、図10に示す状態から第2変速装置
を低速側(第1変速装置は中立位置)に操作すると、連
係ロッド43の先端43aがそのまま残されて、連係ロ
ッド44により第2操作部材42が紙面反時計方向に揺
動操作されて、連係ロッド43の先端43aが位置Dに
達する。これにより、第3操作部材45を操作手段の作
動側に残した状態で、第2変速装置を低速側に操作して
動力伝達を行うのであり、この状態から第2変速装置を
図10に示す中立位置に戻し操作すると、動力伝達が行
われないのである。以上のように図10に示す構成で
は、走行用として第1変速装置と第2変速装置の2組の
変速装置を装備している場合において、一方が低速側に
操作されるとサイドブレーキ用の操作手段が作動側に操
作されるように構成しており、第1及び第2変速装置の
変速操作とサイドブレーキ用の操作手段を機械的に連係
させている。
【0008】この構成においては、走行用の第1変速装
置を高速側に操作すると、旋回時にサイドブレーキ用の
操作手段が作動しない状態に自動的に切換操作されるの
で、操作忘れ(高速での走行時には、旋回中心側のサイ
ドブレーキが制動側に操作されない状態に事前に切り換
えておく操作を忘れること)が無い点で有効な構成であ
るが、図10に示すように変速操作に伴って第3操作部
材45のピン45aが第1操作部材41の長孔41a内
を摺動していく構成となっている。この場合、ピン45
aと長孔41aとの接触部分は長孔41aの両内面の2
箇所のみなので、ピン45aが長孔41a内で傾き易く
コジレ現象が発生し易い。このようにピン45aと長孔
41aとの間にコジレ現象が生じると、ピン45aが長
孔41a内を円滑に移動することができなくなるので、
この移動時に生じる抵抗により変速操作が重くなってし
まう場合がある。又、前述の長孔41aの内面は大きく
開放されているので、この長孔41aの内面にゴミ等が
付着し易い。従って、長孔41aの内面にゴミ等が付着
すると、ピン45aが長孔41a内を移動する際に、ピ
ン45aと長孔41aの内面との間にゴミ等が噛み込ま
れ易く、この噛み込みによる抵抗により変速操作が重く
なってしまう場合がある。本発明は、旋回時に旋回中心
側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されるよう
に構成した作業車において操作性を向上させると同時
に、2組の変速装置を装備した場合、前述のように変速
操作が重くならないように構成することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のよ
うな作業車の旋回操作構造において、次のように構成す
ることにある。つまり、左右一対の後輪のうちの選択さ
れた一方を制動可能な左右一対のサイドブレーキと、直
進位置からの前輪の左右の操向角度を検出する操向角度
検出手段と、前輪が直進位置から左右一方に設定角度以
上に操向操作されるとこの操向操作に連動して、サイド
ブレーキのうちの旋回中心側を制動側に操作する操作手
段と、操作手段の作動を許す作動状態と作動を停止させ
る停止状態とに切換操作自在な牽制手段とを備えると共
に、走行用の第1変速装置の変速操作に伴って揺動操作
される第1操作部材と、走行用の第2変速装置の変速操
作に伴って揺動操作される第2操作部材とを備え、第1
及び第2操作部材のうちの一方の揺動端にレリーズワイ
ヤのインナーを接続して、このインナーの他端を牽制手
段に接続し、第1及び第2操作部材のうちの他方の揺動
端にレリーズワイヤのアウターを接続して、第1及び第
2変速装置のうちの少なくとも一方が低速側に操作され
ていると、レリーズワイヤのインナーが牽制手段の作動
状態側に押し引き操作され、第1及び第2変速装置の両
方が高速側に操作されていると、レリーズワイヤのイン
ナーが牽制手段の停止状態側に押し引き操作されるよう
に、第1及び第2操作部材、レリーズワイヤを配置して
いる。
【0010】
【作用】前述の構成を、例えば図3〜6に示すように具
体的に構成したとする。この場合、図3に示すように第
2操作部材32(第2変速装置側)を高速側に操作して
いる状態において、第1操作部材26(第1変速装置
側)を低速側(F1の位置)に操作していると、レリー
ズワイヤ33のインナー33aは、第1及び第2操作部
材26,32側には引き操作されていない。逆に、図6
に示すように、第1操作部材26を高速側(Nの位置)
に操作している状態において、第2操作部材32を低速
側(Cの位置)に操作していると、レリーズワイヤ33
のインナー33aは、アウター33bの戻し作用により
前述と同様に、第1及び第2操作部材26,32側には
引き操作されていない。この場合、牽制手段が停止状態
側に操作されるので、図3及び図6に示す状態において
前輪を設定角度以上に操向操作すると、操作手段により
旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作さ
れる。
【0011】そして、図4及び図5に示すように第2操
作部材32を高速側に操作している状態において、第1
操作部材26を高速側(F2,F3の位置)に操作して
いると、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第1
及び第2操作部材26,32側に引き操作される。この
場合、牽制手段が作動状態側に操作されるので、前述の
状態において前輪を設定角度以上に操向操作しても、旋
回中心側のサイドブレーキは制動側に操作されない。
【0012】以上のように、低速での走行状態から第1
及び第2変速装置の一方を高速側に操作して高速走行に
移行したとする。このようにすると、この高速側への操
作に連動し自動的に牽制手段が作動して、前述の操作手
段の作動が停止する。走行用の変速装置の高速側への操
作は、低速走行状態から高速走行状態に移行する場合に
必ず行われるので、高速走行時において旋回中心側のサ
イドブレーキが制動側に操作されない状態に切換操作す
ることが忘れられることはない。そして、従来の構造で
は高速側への操作及び前述の切換操作の両操作を別々に
行っていたが、本発明ではこの両操作が一つの操作で行
えることになる。
【0013】そして、第1及び第2変速装置の変速操作
に伴って牽制手段の切換操作を行う場合、本発明では第
1及び第2操作部材の揺動、レリーズワイヤのインナー
の押し引き操作で行っており、図10に示す構成のよう
にピン45aが長孔41a内を移動して第3操作部材4
5を揺動させるような構成は採用していない。このよう
な揺動構造(ピン及びボスによるピン支持構造)の場
合、ボスの内面の略全周に亘ってピンが接触し支持され
ているので、長孔内をピンが摺動する構造よりもピンが
ボス内で傾くようなことは少なく、これに伴うコジレ現
象の発生も少ない。又、レリーズワイヤにおいても同様
にコジレ現象の発生は少ない。従って、本発明の構造の
方が変速操作に伴う牽制手段の切換操作が、コジレ現象
少なく円滑に行われる。又、本発明の揺動構造のボスの
内面は特に外方に開放されていないので、ボスの内面に
ゴミ等が入り込むようなことは少ない。そして、レリー
ズワイヤにおいても同様に、アウター内にゴミ等が入り
込むようなことは少ない。従って、従来の構造よりも本
発明の方がゴミ等の噛み込みは少なく、この噛み込みに
よる抵抗の発生も少ない。
【0014】
【発明の効果】以上のように高速側への変速操作に連動
して、旋回中心側の後輪のサイドブレーキが制動側に操
作されない状態に同時に切換操作(牽制手段の切換操
作)されるように構成することができて、高速側に移行
する際の必要操作を少なくし操作性を向上させることが
できた。そして、牽制手段の切換操作もコジレ現象及び
ゴミ等の噛み込み現象なく軽く行えるので、高速側への
変速操作が重くなることはない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラ
クタの概略を示しており、前輪1及び後輪2で支持され
た機体の前部にエンジン(図示せず)、後部にミッショ
ンケース4を備えて農用トラクタが構成されている。エ
ンジンの動力は、ミッションケース4内の主変速装置
(多段のギヤ変速型式)(図示せず)から、第1副変速
装置(高中低3段のギヤ変速型式)(第1変速装置に相
当)(図示せず)、又は第2副変速装置(中立及び超低
速の2段のギヤ変速型式)(第2変速装置に相当)(図
示せず)を介して、後輪デフ機構5から左右の後輪2に
伝達される。そして、後輪デフ機構5の直前から分岐し
た動力が前輪変速装置6、前輪出力軸7及び前輪デフ機
構8を介して左右の前輪1に伝達される。
【0016】図1に示す前輪変速装置6は、前輪1が後
輪2と略同じ速度で駆動される状態で伝動する標準状態
と、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される状態で伝動
する増速状態の2状態に切換操作可能である。図1に示
すように、2状態切換操作用のシフト部材9がバネ10
によって標準ギヤ20との咬合側に付勢されており、通
常はシフト部材9が標準ギヤ20に咬合して標準状態と
なっている。そして、シフト部材9と標準ギヤ20との
間に形成されている油室(図示せず)内に作動油を供給
すると、シフト部材9が紙面左方にスライドし摩擦クラ
ッチ21を押圧入り操作して増速状態が得られる。
【0017】図1に示すように左右の後輪2に対して、
各後輪2を各々独立に制動可能なサイドブレーキ11
R,11Lが設けられている。図1及び図9に示すよう
に、操縦部の床面の右側にサイドブレーキペダル12
R,12Lが左右一対配置されており、この左右のサイ
ドブレーキペダル12R,12Lとサイドブレーキ11
R,11Lとが、シリンダ13R,13L及び連係ロッ
ド14を介して連動連結されている。
【0018】以上の構造により、左右のサイドブレーキ
ペダル12R,12Lを踏み操作することによって、左
右のサイドブレーキ11R,11Lを各々独立に制動側
に操作することができる。そして、図9に示すようにシ
リンダ13R,13Lはバネ13aで伸長側に付勢され
ており、作動油を供給してシリンダ13R,13Lを収
縮操作することにより、左右のサイドブレーキ11R,
11Lを制動側に操作することができる。
【0019】次に、前輪1の操向操作と左右のサイドブ
レーキ11R,11L及び前輪変速装置6との連係につ
いて説明する。図1及び図2に示すように、ポンプ15
からの作動油が切換弁24(牽制手段に相当)、油路2
8及び制御弁16(操作手段に相当)を介して、左右の
サイドブレーキ11R,11L及び前輪変速装置6に供
給されている。制御弁16は、前輪変速装置6における
シフト部材9と標準ギヤ20との間の油室、及び左右の
サイドブレーキペダル12R,12Lのシリンダ13
R,13Lを排油状態とする直進位置16N、ポンプ1
5からの作動油を前輪変速装置6の油室及び右側のシリ
ンダ13Rに供給し、左側のシリンダ13Lを排油状態
とする右旋回位置16R、並びに、作動油を前輪変速装
置6の油室及び左側のシリンダ13Lに供給し、右側の
シリンダ13Rを排油状態とする左旋回位置16Lの3
位置切換式である。
【0020】図1に示すように前輪1の操向操作用のピ
ットマンアーム17に、扇型のカム板18(操向角度検
出手段に相当)が固定されており、制御弁16のスプー
ル16aがカム板18に接当し、スプール16aを接当
側に付勢するバネ16bが備えられている。図1に示す
状態は前輪1を直進位置に操作している状態であり、制
御弁16が直進位置16Nに操作されている状態であ
る。この状態で左右のサイドブレーキ11R,11Lが
非制動状態となり、前輪変速装置6のシフト部材9が標
準ギヤ20に咬合して、前輪1が後輪2と略同じ速度で
駆動される標準状態となっている。
【0021】図1に示す状態から前輪1を右側に設定角
度以上に操向操作すると、カム板18により制御弁16
のスプール16aが紙面右方に押し操作されて、右旋回
位置16Rとなり、作動油が右のシリンダ13R及び前
輪変速装置6に供給される。従って、前輪変速装置6の
摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が後輪2よ
りも高速で駆動される増速状態になると共に、右のシリ
ンダ13Rが収縮して右のサイドブレーキ11Rが制動
側に操作される。
【0022】逆に、図1に示す状態から前輪1を左側に
設定角度以上に操向操作すると、制御弁16のスプール
16aが紙面左方に移動し左旋回位置16Lとなり、作
動油が左のシリンダ13L及び前輪変速装置6に供給さ
れる。従って、前輪変速装置6の摩擦クラッチ21が入
り操作されて、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される
増速状態になると共に、左のシリンダ13Lが収縮して
左のサイドブレーキ11Lが制動側に操作される。
【0023】この農用トラクタにおいては切換レバー3
によって、前述のような自動的なサイドブレーキ11
R,11Lの制動側への操作及び、前輪変速装置6の増
速状態側への操作が行われる状態と、行われない状態に
切換操作するように構成しており、次にこの切換構造に
ついて説明する。図2及び図1に示すように、油路28
に調圧弁19(牽制手段に相当)が接続されており、こ
の調圧弁19は弁体19a、この弁体19aを閉側に付
勢するバネ19b及びバネ19bの後端を支持する支持
部材19cとで構成されている。これにより、油路28
内の圧力がバネ19bにより設定される圧力を越える
と、弁体19aが紙面右方に開いて作動油がドレン油路
38を介して排出されるのであり、制御弁16に供給さ
れる作動油圧が調圧弁19のバネ19bの付勢力、つま
り、バネ19bの支持部材19cの位置により決定され
る。
【0024】図2に示すように、切換弁24のスプール
29は、一対の切欠き部29a,29b及びドレン孔2
9c備えた第1ランド部29A、並びに、第1円弧面2
9dと第2円弧面29eとを備えた第2ランド部29B
を備えて構成されており、調圧弁19の支持部材19c
の後端が第1円弧面29dに当て付けられて、支持部材
19cの位置が決められている。切換弁24のスプール
29の先端に操作板30が固定されており、切換レバー
3と操作板30とが連係ロッド22により連動連結され
ている。
【0025】図1に示す状態は、切換レバー3を第1位
置B1に操作している状態である。この状態においてポ
ンプ15からの作動油は切換弁24のスプール29にお
ける第1切欠き部29a、及び油路28を介して制御弁
16に供給されている。そして、調圧弁19の支持部材
19cがスプール29の第1円弧面29dにより紙面左
方に押された状態となっており、調圧弁19のバネ19
bが圧縮されて調圧弁19の作用により、制御弁16に
供給される作動油圧が後述する第2設定圧P2に維持さ
れている。
【0026】図7に示すように、前輪変速装置6は比較
的低い第1設定圧P1で標準状態から増速状態に切換操
され、この第1設定圧P1においてサイドブレーキ1
1R,11Lは非常に制動力の低い微制動状態に操作さ
れる。そして、第1設定圧P1より高い第2設定圧P2
において、サイドブレーキ11R,11Lが前述の微制
動状態よりも高い制動力の弱制動状態に操作され、前輪
変速装置6も標準状態から増速状態に切換操作される。
このサイドブレーキ11R,11Lの弱制動状態とは、
制動側の後輪2が機体の進行に伴って引きずられるよう
な状態となった場合、この引きずり作用がサイドブレー
キ11R,11Lに打ち勝って制動側の後輪2が回転さ
せられるような状態である。
【0027】図2及び図1に示すように切換レバー3を
第1位置B1に操作している状態において、前述のよう
に前輪1を右又は左側に設定角度以上に操向操作する
と、カム板18により制御弁16のスプール16aがス
ライド操作されて、作動油が右又は左のシリンダ13
R,13Lに供給されると共に、前輪変速装置6に供給
される。
【0028】この場合、前述のように供給される作動油
圧が調圧弁19の作用により第2設定圧P2に維持され
ている。従って、図7の実線A2に示すように前輪変速
装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が
後輪2よりも高速で駆動される増速状態になると共に、
右又は左のシリンダ13R,13Lが収縮して右又は左
のサイドブレーキ11R,11Lが弱制動状態に操作さ
れる。これにより、増速された前輪1による旋回方向へ
の引っ張り作用、及び、旋回中心側の後輪2に対する
制動作用により非常に小さな小回り旋回が行える。この
場合、機体の旋回に伴って制動側の後輪2が引きずられ
るような状態となると、この制動側の後輪2が回転させ
られるので、制動側の後輪2により地面が荒らされるこ
とが少ない。
【0029】次に、切換レバー3を第2位置B2に操作
すると、切換弁24のスプール29が、図2に示す状態
から紙面時計方向に所定角度だけ回動操作される。この
場合スプール29の第1円弧面29dにおいて、調圧弁
19の支持部材19cに接触する部分が紙面右方に少し
後退する。そして、これに伴い支持部材19cも紙面右
方にスライドしてバネ19bの付勢力が少し弱められ、
制御弁16に供給される作動油圧が第2設定圧P2より
も低い第1設定圧P1に維持される。
【0030】従って、この状態において、前輪1を右又
は左側に設定角度以上に操向操作して、作動油が右又は
左のシリンダ13R,13L及び前輪変速装置6に供給
された場合、図7の一点鎖線A1に示すように、前輪変
速装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1
が後輪2よりも高速で駆動される増速状態が現出され
る。これに対し、右又は左のサイドブレーキ11R,1
1Lは微制動状態に操作される。これによって、増速さ
れた前輪1による旋回方向への引っ張り作用、及び旋回
中心側の後輪2に対する微制動作用により、円滑な小回
り旋回が行える。この場合、旋回中心側の後輪2が微制
動操作されているが、左右の後輪2が充分に駆動されて
いるので旋回中心側の後輪2が引きずられるようなこと
がなく、旋回中心側の後輪2で地面を荒らしてしまうよ
うなことがない。
【0031】次に図2に示すように、切換レバー3を第
3位置B3に操作すると、切換弁24のスプール29
が、図2に示す状態から紙面時計方向にさらに所定角度
だけ回動操作される。この場合、スプール29における
第1ランド部29Aのドレン孔29cが、ドレン油路3
9に連通する。これによって、ポンプ15からの作動油
が第1ランド部29Aのドレン孔29c、及びドレン油
路39を介して排出される。
【0032】従って、この状態において前輪1を右又は
左側に設定角度以上に操向操作しても、図7の二点鎖線
A4に示すように、右又は左のシリンダ13R,13L
及び前輪変速装置6には作動油は供給されない。これに
より、旋回時に前輪変速装置6は標準状態を維持し、右
又は左のサイドブレーキ11R,11Lも制動側に操作
されることはなく、前輪1及び後輪2の四輪が略同じ速
度で駆動された状態で旋回が行われる。
【0033】この農用トラクタにおいては、高速走行で
の旋回時には前述のような自動的なサイドブレーキ11
R,11Lの制動側への操作、及び、前輪変速装置6の
増速状態側への操作が行われないように構成しており、
次にこの構造について説明する。図3に示すように、ミ
ッションケース4の横側面に第1副変速装置用の操作軸
23、及び第2副変速装置用の操作軸25が突出してお
り、この操作軸23,25に、逆L字状の第1操作部材
26及び操作板27が固定されている。そして、第1及
び第2副変速装置用の副変速レバー(図示せず)と第1
操作部材26及び操作板27とが、連係ロッド28,3
1より連動連結されている。操作板27にト字状の長孔
27aが開孔されており、第1操作部材26に連結され
る連係ロッド28の先端28aが操作板27の長孔27
aに挿入されている。
【0034】ミッションケース4の横軸芯P1周りに、
へ字状の第2操作部材32が揺動自在に支持されてお
り、第2操作部材32の下端が操作板27にピン連結さ
れている。第1操作部材23の上端にブラケット34が
横軸芯P2周りに自由揺動自在に支持されており、レリ
ーズワイヤ33におけるインナー33aがこのブラケッ
ト34に接続されている。このレリーズワイヤ33にお
けるアウター33bの端部が、第2操作部材32の上端
の横軸芯P3周りに自由揺動自在に支持されている。そ
して、図3及び図2に示すように、レリーズワイヤ33
におけるインナー33aの他端が、切換弁24用の操作
板30に接続されている。
【0035】副変速レバーにより変速操作される第1及
び第2副変速装置は伝動系に対して並列関係で配置され
ており、一方がある変速位置に操作されていると他方は
中立位置にある。図3に示す状態は、副変速レバーを低
速位置(第1副変速装置が低速位置で第2副変速装置が
中立位置)に操作している状態であり、第1操作部材2
6が低速位置F1に位置している。この状態において、
レリーズワイヤ33のインナー33aは、第1及び第2
操作部材26,32側には引き操作されていない。
【0036】これにより、図2に示すように切換レバー
3を第1位置B1に操作可能となって、旋回時に前述の
ような自動的なサイドブレーキ11R,11Lの弱制動
状態への操作、及び、前輪変速装置6の増速状態側への
操作が行われる。そして、切換レバー3を第2及び第3
位置B2,B3に操作することも可能であり、旋回時に
前輪変速装置6の増速状態側への操作及びサイドブレー
キ11R,11Lの微制動状態への操作が行われる状
態、旋回時に自動的なサイドブレーキ11R,11Lの
制動側への操作、及び前輪変速装置6の増速状態側への
操作の両方が行われない状態を選択できる。以上のよう
に、副変速レバーを低速位置に操作している状態におい
ては、切換レバー3を第1,2,3位置B1,B2,B
3に操作して3状態を選択できるのである(図8参
照)。
【0037】次に図4に示すように、副変速レバーを中
速位置(第1副変速装置が中速位置で第2副変速装置が
中立位置)に操作すると、第1操作部材26が紙面時計
方向に揺動操作されて中速位置F2に達する。この状態
において、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第
1及び第2操作部材26,32側に少し引き操作され
る。これにより、切換弁24の操作板30が図2に示す
状態から紙面時計方向に所定角度だけ回動操作される。
【0038】この状態において、切換レバー3を図2に
ような第1位置B1に操作することは不可能になり、切
換レバー3を第2及び第3位置B2,B3に操作するこ
とは可能になる。そして、切換レバー3を第1位置B1
に操作している状態で、副変速レバーを低速位置から中
速位置に操作すると、インナー33aの引き作用により
切換レバー3が第1位置B1から第2位置B2に切換操
作される。以上のように、副変速レバーを中速位置に操
作している状態においては、切換レバー3を第2,3位
置B2,B3に操作して2状態を選択できるのである
(図8参照)。
【0039】次に図5に示すように、副変速レバーを高
速位置(第1副変速装置が高速位置で第2副変速装置が
中立位置)に操作すると、第1操作部材26が紙面時計
方向に揺動操作されて高速位置F3に達する。この状態
において、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第
1及び第2操作部材26,32側に大きく引き操作され
る。これにより、図2の切換弁24の操作板30が紙面
時計方向に大きく回動操作される。
【0040】この状態において、切換レバー3を第1及
び第2位置B1,B2に操作することは不可能となり、
切換レバー3を第3位置B3にしか操作できない。そし
て、切換レバー3を第1及び第2位置B1,B2に操作
している状態で、副変速レバーを低速及び中速位置から
高速位置に操作すると、インナー33aの引き作用によ
り切換レバー3が第1及び第2位置B1,B2から第3
位置B3に切換操作される。以上のように、副変速レバ
ーを高速位置に操作している状態においては、切換レバ
ー3を第3位置B3にしか操作できない(図8参照)。
【0041】次に、副変速レバーを超低速位置に操作す
れば、図6に示すように第1操作部材26が中立位置N
に操作され、操作板27により第2操作部材32が図3
に示す状態から図6の超低速位置Cに操作される。この
場合、第1操作部材26の動作によりレリーズワイヤ3
3のインナー33aが第1操作部材26側に引き操作さ
れるが、これに伴って、アウター33b側の第2操作部
材32も同方向に揺動操作されるので、実際にはインナ
ー33aが第1操作部材26側に引き操作された状態と
はならない。これによって、副変速レバーを低速位置に
操作した場合と同様に、切換レバー3を第1,2,3位
置B1,B2,B3に操作して3状態を選択できるので
ある(図8参照)。
【0042】図2に示す切換弁24のスプール29を引
き抜いて180度回転させ再び挿入すると、スプール2
9の第2ランド部29Bの第2円弧面29eが、調圧弁
19の支持部材19cに接当し、ポンプ15からの作動
油が第1ランド部29Aの切欠き部29bを介して制御
弁16に供給される。この場合、調圧弁19の支持部材
19cは、切換レバー3を第1位置B1に操作している
状態において、第2ランド部29Bの第1円弧面29d
に接当している状態よりも、紙面左方に押された状態と
なる。
【0043】これにより、調圧弁19の作用によって制
御弁16に供給される作動油圧が、第2設定圧P2より
も高い第3設定圧P3に維持される。図7の実線A3に
示すように第3設定圧P3において、サイドブレーキ1
1R,11Lが強制動状態となり、前輪変速装置6も標
準状態から増速状態に切換操作される。このサイドブレ
ーキ11R,11Lの強制動状態とは、制動側の後輪2
が機体の進行に関係なく略停止するような状態である。
【0044】従って、この状態において前輪1を設定角
度以上に操向操作すれば、増速された前輪1による旋回
方向への引っ張り作用、及び、旋回中心側の後輪2に対
する強い制動作用により、非常に小さな小回り旋回が行
える。そして、この状態から切換レバー3を第2及び第
3位置B2,B3に操作すれば、前述と同様に図7の一
点鎖線A1及び二点鎖線A4の状態が得られる。
【0045】〔別実施例〕図3に示す実施例ではレリー
ズワイヤ33のインナー33aを第1操作部材26に接
続し、アウター33bを第2操作部材32に接続した
が、この関係を逆にしてインナー33aを第2操作部材
32に接続し、アウター33bを第1操作部材26に接
続してもよい。又、前述の実施例では第1及び第2副変
速装置が伝動系に並列に配置されているが、この第1及
び第2副変速装置を伝動系に直列に配置してもよい。図
1の前輪変速装置6を装備せずに、サイドブレーキ11
R,11Lのみを装備した型式の作業車に本発明を適用
してもよい。
【0046】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】左右のサイドブレーキ、前輪変速装置、制御弁
及び切換弁の連係状態及び油圧回路を示す回路図
【図2】切換弁、制御弁及び調圧弁の油圧回路、並び
に、切換弁と切換レバー及びレリーズワイヤとの連係状
態を示す図
【図3】副変速レバーを低速位置に操作している状態で
の第1及び第2操作部材付近の側面図
【図4】副変速レバーを中速位置に操作している状態で
の第1及び第2操作部材付近の側面図
【図5】副変速レバーを高速位置に操作している状態で
の第1及び第2操作部材付近の側面図
【図6】副変速レバーを超低速位置に操作している状態
での第1及び第2操作部材付近の側面図
【図7】サイドブレーキ及び前輪変速装置の作動圧と前
輪の操向角度の関係を示す図
【図8】副変速レバー(第1及び第2副変速装置)とサ
イドブレーキ及び前輪変速装置の作動状態との関係を示
す図
【図9】サイドブレーキペダルとサイドブレーキとの連
結状態及び連結用のシリンダを示す図
【図10】本発明と比較する為に提示した比較例におい
て、第1及び第2変速装置用の第1及び第2操作部材と
操作手段との連係状態を示す側面図
【符号の説明】 1 前輪 2 後輪 11R,11L サイドブレーキ 16 操作手段 18 操向角度検出手段 19,24 牽制手段 26 第1操作部材 32 第2操作部材 33 レリーズワイヤ 33a レリーズワイヤのインナー 33b レリーズワイヤのアウター
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対の後輪(2)のうちの選択され
    た一方を制動可能な左右一対のサイドブレーキ(11
    R),(11L)と、直進位置からの前輪(1)の左右
    の操向角度を検出する操向角度検出手段(18)と、前
    輪(1)が直進位置から左右一方に設定角度以上に操向
    操作されるとこの操向操作に連動して、前記サイドブレ
    ーキ(11R),(11L)のうちの旋回中心側を制動
    側に操作する操作手段(16)と、前記操作手段(1
    6)の作動を許す作動状態と作動を停止させる停止状態
    とに切換操作自在な牽制手段(19),(24)とを備
    えると共に、走行用の第1変速装置の変速操作に伴って
    揺動操作される第1操作部材(26)と、走行用の第2
    変速装置の変速操作に伴って揺動操作される第2操作部
    材(32)とを備え、前記第1及び第2操作部材(2
    6),(32)のうちの一方の揺動端にレリーズワイヤ
    (33)のインナー(33a)を接続して、このインナ
    ー(33a)の他端を前記牽制手段(19),(24)
    に接続し、前記第1及び第2操作部材(26),(3
    2)のうちの他方の揺動端に前記レリーズワイヤ(3
    3)のアウター(33b)を接続して、前記第1及び第
    2変速装置のうちの少なくとも一方が低速側に操作され
    ていると、前記レリーズワイヤ(33)のインナー(3
    3a)が前記牽制手段(19),(24)の作動状態側
    に押し引き操作され、前記第1及び第2変速装置の両方
    が高速側に操作されていると、前記レリーズワイヤ(3
    3)のインナー(33a)が前記牽制手段(19),
    (24)の停止状態側に押し引き操作されるように、前
    記第1及び第2操作部材(26),(32)、レリーズ
    ワイヤ(33)を配置している作業車の旋回操作構造。
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