JPH0615728Y2 - キャップレス筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、キャップを使用することなく、ペン体を軸筒
内に没入させてインキの蒸発を防止するようにしたキャ
ップレス筆記具に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

水性インキのように蒸発しやすいインキを使用する筆記
具では、非使用時にペン体が大気にふれた状態で放置し
ておくとインキがドライアップして筆記不能になるの
で、通常はキャップにてペン体を密閉するが、軸筒内の
レフィールを前後動させ、キャップを使用することな
く、ペン体を軸筒内に没入させてインキの蒸発を防止す
るようにしたキャップレス筆記具も実用化されている。
かかるキャップレス筆記具において、ペン体を単に軸筒
内に没入させただけでは、ペン体が通過する軸筒の前端
開口を介して大気に連通しているので、インキの蒸発防
止効果は十分ではない。このため、ペン体が軸筒内に没
入すると軸筒の前端開口を栓で閉塞する必要があるが、
このためには、栓の開閉とレフィールの前後動とを連動
させる必要があり、構造が複雑で部品点数が多くなる不
具合があった。そして、栓の密封効果や開閉に対する信
頼性も必ずしも十分ではなかった。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、構造が簡単で部品点数が少なく、軸筒
の前端開口を栓によって確実に開閉できて密閉効果の大
きいキャップレス筆記具を提供することを目的とするも
のである。

〔考案の構成とその作用〕

本考案の構成は、ノックバネで後方に弾発された状態で
軸筒内に収容されたレフィールを前後動させてペン体を
軸筒の前端開口から出没させるキャップレス筆記具であ
って、表面が球面の栓部、ペン体通過部および第１カム
部を有し、軸筒の前端内部に回転自由に配置された回転
栓体と、この回転栓体の第１カム部と衝合して回転力を
付与する第２カム部を有し、ストッパースプリングで前
方に弾発されて該回転栓体をその栓体が軸筒の前端開口
を閉塞する方向に回転駆動させるストッパーとを備え、
ペン体が没入した時に栓部が軸筒の前端開口を閉塞し、
レフィールが前進してペン体通過部を通過する時にペン
体がストッパーの回転駆動力に抗して回転栓体を回転さ
せてペン体通過部が軸筒の前端開口と重なり、ペン体が
軸筒の前端開口から突出することを特徴とする。

すなわち、ペン体が没入した時に、ストッパーの回転弾
発力によって回転栓体が回転して回転栓体に設けられた
ペン体通過部が軸筒の前端開口から変位し、栓部が軸筒
の前端開口を閉塞するが、回転栓体がストッパースプリ
ングで前方に弾発されたストッパーで押圧されて栓部が
前端開口に密着するので、閉塞効果は十分であり、水性
インキの蒸発を完全に防止することができる。そして、
レフィールが前進する時に、ペン体がストッパーの回転
駆動力に抗して回転栓体を回転させ、ペン体通過部が軸
筒の前端開口と重なるので、ペン体がこのペン体通過部
を通過し、軸筒の前端開口から突出して筆記可能になる
が、軸筒の前端開口を閉塞するために増加する部品は、
回転栓体とストッパーのみであり、構造が簡単で部品点
数を少なくすることができる。

〔実施例〕

以下に図面に示す実施例に基いて本考案を具体的に説明
する。

第１図は、キャップレスの水性ボールペンを示すが、軸
筒１は、後軸１１と前軸１２および先口１３が接合され
てなり、先口１３には前端開口１４が穿設されている。
そして、ボールペンレフィール２の後端部が、ノックバ
ネ１６で後方に弾発された収容管１５に嵌着されて軸筒
１内に前後動可能に収容されている。ボールペンレフィ
ール２を前後動させる出没機構は、周知のノック回転式
である。つまり、ノック棒１８をノックして前進させる
と、回転子１９が軸筒１の縦突条１７で形成される縦溝
に沿って前進して収容管１５を前進させる。そして、回
転子１９が縦溝を抜け出ると少し回転して縦突条１７の
先端縁17aに係合し、ボールペンレフィール２のペン体
２０が前端開口１４から突出して筆記可能になる。ま
た、この状態からノック棒１８をノックして少し前進さ
せると、回転子１９が回転して縦突条１７の先端縁17a
との係合が解除され、第１図に示す状態に復元する。

次に、軸筒１の前端内部、つまり先口１３の前端内部に
は、軟質合成樹脂製の回転栓体３が回転可能に配置され
ている。第２図は、第１図と位相が９０°異なる断面図
を示すが、この回転栓体３は、一対の円形壁３２の一端
に、表面が球面をした栓部３１が一体に取り付けられて
略コ字形をしており、栓部３１の反対側に回転補助棒３
３が取り付けられている。そして、一対の円形壁３２と
栓部３１および回転補助棒３３で囲まれる部分がペン体
通過部３４である。また、第３図に示すように、円形壁
３２の外面に円弧状のカム面３６および平面部３７を有
する第１カム部３５が形成されている。

円柱状をしたストッパー４は、第４図に示すように、そ
の前端縁から一対の第２カム部４１が突設されており、
第２カム部４１の前端面が円弧状のカム面４２と平面部
４３である。そして、第５図に示すように、この第２カ
ム部４１が回転栓体３の第１カム部３５に衝合してお
り、かつ回転栓体６がストッパースプリング５にて前方
に弾発されている。つまり、ストッパー４が回転栓体３
に回転力を付与している。そして、ペン体２０が軸筒１
内に没入しているときには、第１カム部３５の平面部３
７は第２カム部４１の平面部４３が衝合した安定状態に
あり、栓部３１が前端開口１４に押し付けられて確実に
閉塞している。このとき、第１図に示すように、栓部３
１の裏面はペン体２０に対して直角であるが、回転補助
棒３３の位置はボールペンレフィール２の軸線から少し
変位している。

しかして、ノック棒１８をノックしてボールペンレフィ
ール２が前進すると、ペン体２０が先ず回転補助棒３３
の側壁に当り、回転栓体３を少し回転させる。従って、
ペン体２０に対して直角であった栓部３１の裏面がペン
体２０に対して斜めになる。そして、ペン体２０が斜め
になった栓部３１の裏面に当り、回転栓体３を回転させ
るので、ペン体通過部３４が前端開口１４に重なり、第
６図に示すように、ペン体２０が前端開口１４から突出
し、筆記可能になる。このとき、回転栓体３の回転につ
れて、第１カム部３５のカム面３６と第２カム部４１の
カム面４２が衝合し、その衝合部が順次移動するので、
ストッパースプリング５の弾発力に抗してストッパー４
が後退する。

次に、筆記が終了してノック棒１８を少しノックする
と、回転子１９と縦突条１７の先端縁17aとの係合が解
除され、ノックバネ１６の弾発力によってペン体２０が
ペン体通過部３４から抜けて軸筒１内に没入するが、こ
のとき、第２カム部４１のカム面４２が第１カム部３５
のカム面３６に衝合して回転力を付与しているので、回
転栓体３が逆方向に回転し、第５図に示す状態に戻って
栓部３１が前端開口１４に密着して閉塞する。

このように、軸筒１の前端開口１４を閉塞するために増
加する部品は、回転栓体３とストッパー４のみであり、
構造が簡単で部品点数が少ない利点があるが、更には回
転栓体３がストッパー４で弾発されているので軸筒１の
前端開口１４を確実に閉塞することができ、信頼性が向
上する。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案のキャップレス筆記具は、
レフィールが前進してペン体通過部を通過する時にペン
体が回転栓体を回転させてペン体通過部が軸筒の前端開
口と重なってペン体が軸筒の前端開口から突出し、レフ
ィールが後退するとストッパーと回転栓体のカム機構で
回転栓体が逆回転し、回転栓体の栓部が軸筒の前端開口
を閉塞するようにしたので、部品点数が少なくて簡単な
構造でレフィールの前後動に連動して軸筒の前端開口を
確実に閉塞できる。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本考案実施例の断面図、第３図は回転
栓体の斜視図、第４図はストッパーの斜視図、第５図と
第６図はカム機構の説明図である。 １……軸筒、１４……前端開口 ２……レフィール、２０……ペン体 ３……回転栓体、３１……栓部 ３４……ペン体通過部、３５……第１カム部 ４……ストッパー、４１……第２カム部 ５……ストッパースプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ノックバネで後方に弾発された状態で軸筒
   内に収容されたレフィールを前後動させてペン体を軸筒
   の前端開口から出没させるキャップレス筆記具であっ
   て、 表面が球面の栓部、ペン体通過部および第１カム部を有
   し、軸筒の前端内部に回転自由に配置された回転栓体
   と、この回転栓体の第１カム部と衝合して回転力を付与
   する第２カム部を有し、ストッパースプリングで前方に
   弾発されて該回転栓体をその栓体が軸筒の前端開口を閉
   塞する方向に回転駆動させるストッパーとを備え、ペン
   体が没入した時に栓部が軸筒の前端開口を閉塞し、レフ
   ィールが前進してペン体通過部を通過する時にペン体が
   ストッパーの回転駆動力に抗して回転栓体を回転させて
   ペン体通過部が軸筒の前端開口と重なり、ペン体が軸筒
   の前端開口から突出することを特徴とするキャップレス
   筆記具。