JPH06157152A - 繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法 - Google Patents

繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法

Info

Publication number
JPH06157152A
JPH06157152A JP4305464A JP30546492A JPH06157152A JP H06157152 A JPH06157152 A JP H06157152A JP 4305464 A JP4305464 A JP 4305464A JP 30546492 A JP30546492 A JP 30546492A JP H06157152 A JPH06157152 A JP H06157152A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
ceramic
slurry
gradient
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4305464A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Suyama
章子 須山
Masahiro Asayama
雅弘 浅山
Tsuneji Kameda
常治 亀田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP4305464A priority Critical patent/JPH06157152A/ja
Publication of JPH06157152A publication Critical patent/JPH06157152A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Producing Shaped Articles From Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】材料全体の強度を高く維持しながら、特に耐摩
耗性および高靭性を必要とする部位のみを重点的に繊維
強化した複合傾斜材料およびその簡易な製造方法を提供
する。 【構成】マトリックス3aを形成するセラミックス原料
粉末と、セラミックス繊維4aと、焼結助剤等の添加剤
とを分散媒に添加混合して粘度が常温で250cP以下の
組成が均一な泥漿を調製し、この泥漿を鋳込み成形法に
よって処理して所定形状の成形体を形成し、成形体中に
おけるセラミックス繊維4aの沈降作用によって、その
沈降方向にセラミックス繊維含有量が異なる傾斜組成成
形体を調製し、得られた傾斜組成成形体を脱脂焼結する
ことを特徴とする。また泥漿粘度を100〜400cP
に設定することにより、内部と外部とで繊維含有量が異
なる傾斜組成成形体とする。さらに粘度を100〜25
0cPに設定することにより、繊維の吸水面方向への配
向および重力沈降による配向が同時に得られ、さらに複
雑な傾斜組成が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維含有量が部位により
異なる繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法に係
り、特に自動車エンジン摺動部品などのように高靭性お
よび耐摩耗性を要求される構造部材として好適な繊維強
化複合傾斜材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マトリックスおよび繊維のように機能が
異なった材料間の組成を段階的または連続的に変化(傾
斜)させて複合化した繊維強化複合傾斜材料が広く注目
を集めている。この複合傾斜材料の実現により、単一の
材料では得られなかった複数の機能を有効に併せ持つこ
とが可能になった。
【0003】従来、セラミックス焼結体から成るマトリ
ックス中にセラミックス繊維を分散させた繊維強化複合
傾斜材料は、マトリックスとなるセラミックス原料粉末
とセラミックス繊維とを多段階の混合比で配合して組成
が異なる複数の原料混合体を調製し、この原料混合体を
何層も積み重ねた状態で脱脂焼成して製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
繊維強化複合傾斜材料では、製造方法が極めて複雑であ
る上に、原料混合体を積み重ねた部位において不連続な
組織が形成され易く、この部位から破壊が進行し易い欠
点があった。
【0005】またセラミックス繊維として比較的直径や
長さが大きい繊維まで使用されていたため、マトリック
ス中に繊維を均一に分散させることが困難であり、また
マトリックス中において繊維同士が凝集して欠陥を生じ
易い問題点があった。また繊維による耐摩耗性向上を図
るべく繊維の含有量を一定量以上に高めると焼結の進行
が不充分となり、複合材料全体としての強度が低下して
しまう欠点があった。
【0006】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、材料全体の強度を高く維持しなが
ら、特に耐摩耗性および高靭性を必要とする部位のみを
重点的に繊維強化した複合傾斜材料およびその簡易な製
造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため、セラミックス繊維の形状が分散性に及ぼ
す影響を実験により確認する一方、セラミックス繊維の
含有量を場所により変化させる成形法を種々検討した。
【0008】その結果、マトリックスを構成するセラミ
ックス原料粉末と、焼結助剤等の添加剤と、所定寸法範
囲のセラミックス短繊維とを分散媒中に添加して泥漿
(スラリー、スリップ)を調製し、さらに泥漿の粘度を
所定値以下に調整した上で鋳込み成形したときに、泥漿
中のセラミックス短繊維が配向しながら成形乾燥される
間に、セラミックス短繊維自身の自重によって沈降し、
沈降する上下方向において、セラミックス短繊維の含有
量が異なる、いわゆる傾斜組成を有する成形体が得られ
た。また鋳込み成形型に上記低粘度の泥漿を鋳込むこと
により、泥漿中のセラミックス短繊維が鋳型の吸水面に
対して配向する性質を利用して、上記範囲のスラリー粘
度に調整することによって、吸水面付近により多くのセ
ラミックス短繊維が集合して、外部と内部とにおいてセ
ラミックス短繊維含有量が異なる傾斜組成を有する成形
体を容易に形成することができた。
【0009】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係る繊維強化複合傾斜材料
は、セラミックス焼結体から成るマトリックス中に、直
径が0.1μm以上50μm以下で長さが20μm以上
20mm以下のセラミックス繊維を分散し、マトリックス
中におけるセラミックス繊維の含有量が位置により異な
ることを特徴とする。
【0010】また本発明の繊維強化複合傾斜材料の製造
方法は、マトリックスを形成するセラミックス原料粉末
と、セラミックス繊維と、焼結助剤等の添加剤とを分散
媒に添加混合して粘度が常温で250cP以下の組成が
均一な泥漿を調製し、この泥漿を鋳込み成形法によって
処理して所定形状の成形体を形成し、成形体中における
セラミックス繊維の沈降作用によって、その沈降方向に
セラミックス繊維含有量が異なる傾斜組成成形体を調製
し、得られた傾斜組成成形体を脱脂焼結することを特徴
とする。
【0011】さらに、鋳込み成形型内に粘度が100〜
400cPの範囲の泥漿を鋳込むことにより、鋳込み成
形型の分散媒吸収面近傍にセラミックス繊維を配向せし
め、内部と外部とでセラミックス繊維含有量が異なる傾
斜組成成形体を調製し、得られた傾斜組成成形体を脱脂
焼結してもよい。
【0012】ここで上記セラミックス成形体およびセラ
ミックス焼結体のマトリックスを構成するセラミックス
原料粉末としては、炭化けい素(SiC)、窒化アルミ
ニウム(AlN)、窒化けい素(Si3 4 )、窒化ほ
う素(BN)等の非酸化物系の汎用セラミックス原料や
アルミナ、ジルコニア、チタニア、ムライト、ベリリ
ア、コージェライト、ジルコン、サイアロン、フェライ
トなどの酸化物系の汎用セラミックス原料が1種または
2種以上混合して使用される。さらに上記セラミックス
原料粉末には、イットリア、酸化セリウム、炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウムもしくは珪酸等の公知慣用の焼
結助剤やLi2 O,BaO,Ta2 3 、Ptもしくは
Pdなどの電気的性質を変化させるような各種の添加剤
が添加される。
【0013】またセラミックス焼結体から成るマトリッ
クス中に分散させるセラミックス繊維はマトリックス基
地の耐摩耗性および靭性強度を高めるために、セラミッ
クス原料粉末に対して最大値で40重量%以下の割合で
含有される。含有量が40重量%を超える過量となる
と、各繊維周囲に均一にマトリックス基地を配置するこ
とが困難になり、複合傾斜材料の強度特性が急激に低下
してしまう。好ましい含有量は5〜30重量%の範囲で
ある。セラミックス繊維の具体例としては、炭素繊維、
Al2 3 系繊維、SiC系繊維、Si3 4 系繊維、
BN系繊維、SiCウィスカー、Si3 4 ウィスカー、
Al2 3 ウィスカーなどがあり、このうちの1種また
は2種以上が混合して使用される。
【0014】セラミックス繊維の直径および長さはマト
リックス中の分散性や複合材料の強度特性に大きく影響
を及ぼすものであり、本発明では直径が0.1〜50μ
m、長さが20μm〜20mmの範囲のものを使用する。
直径が0.1μm未満の場合にはマトリックス基地の補
強効果が少なく、また直径が50μmを超える太い繊維
では、繊維とマトリックス基地との境界界面の整合性が
悪く、割れ等が発生し易くなるため好ましくない。
【0015】また繊維の長さが20μm未満の場合に
は、クラック進行の抑制効果が少なく靭性の改善効果も
少なくなる。一方長さが20mmを超えるような長大な繊
維を使用した場合には繊維がマトリックス基地中に均一
に分散しにくく、破壊の起点となる繊維の凝集が形成さ
れ易いため、強度的に好ましくない。
【0016】上記のようなセラミックス繊維を位置によ
り含有量が異なるようにマトリックス基地中に分散した
繊維強化複合傾斜材料は、例えば下記の工程によって製
造される。すなわちセラミックス原料粉末に所定量のセ
ラミックス繊維と焼結助剤、有機バインダとを添加して
混合して原料混合体を調製し、さらに原料混合体を溶媒
中に分散せしめてスラリーを調整する。
【0017】鋳込み成形時に使用する上記スラリーの粘
度は、含有するセラミックス繊維の沈降性および配向性
に大きく影響することが本発明者らによって確認されて
おり、本発明では常温で250cP(センチポイズ)以
下に、または100〜400cP範囲内に調整される。
従来法のようにスラリーの粘度が250cPを超える粘
度で使用される場合には、成形操作時におけるスラリー
中のセラミックス繊維の沈降性が悪く、セラミックス繊
維の含有量が部位によって異なるような傾斜組成が得に
くい。また400cPを超えると成形型の吸収面に対す
るセラミックス繊維の配向も円滑に進行しない。
【0018】一方、極めて濃度が小さく粘度が低いスラ
リーを使用する場合には成形効率が急激に低下してしま
うため、スラリーの粘度は20cP以上に調整すること
が望ましい。
【0019】こうして低粘度に調整されたスラリー(泥
漿)は鋳込み成形法(常圧および加圧成形法を含む。)
を使用して成形型内に鋳込まれ、所定形状を有する成形
体とされる。この成形時にスラリー中のセラミックス繊
維の一部は重力によって沈降し、沈降方向(上下方向)
において含有量が連続的に変化する傾斜組成を形成す
る。また分散媒のみを吸収する成形型内に上記スラリー
を鋳込んだ場合には、吸水面近傍にセラミックス繊維が
集中して配向し、繊維含有量が異なる傾斜組成が容易に
形成される。さらに上記鋳込み成形法を使用することに
より、最終製品形状に近い、いわゆるニアネットシェイ
プの成形体が得られる。次に得られた傾斜組成成形体を
乾燥脱脂後、非酸化物系セラミックスの場合にはN2
スやArガス等の不活性ガス雰囲気内において、また酸
化物系セラミックスの場合には大気中において常圧焼結
法または雰囲気加圧焼結法により温度1300〜200
0℃の範囲で1〜10時間程度焼結して繊維強化複合傾
斜材料が形成される。
【0020】
【作用】上記構成に係る繊維強化複合傾斜材料およびそ
の製造方法によれば、従来の繊維と比較して直径および
長さが小さいセラミックス短繊維を使用しているため、
マトリックス中における繊維の分散性が良好であり、繊
維同士の凝集が少なく、強度が高い複合傾斜材料が得ら
れる。
【0021】また製造方法において、セラミックス繊維
を分散させた泥漿の粘度を常温で250cP以下に調整
したり、また100〜400cPの範囲に調整して鋳込
み成形することにより、セラミックス繊維の重力による
沈降や成形型の吸水面方向への配向が起こり易くなり、
位置によりセラミックス繊維含有量が異なる傾斜組成を
有する成形体を容易に形成することができ、この成形体
を焼成して複合傾斜材料が製造される。特に泥漿粘度を
100〜250cPに設定することにより、ひとつの成
形体において、セラミックス繊維の吸水面方向への配向
と重力沈降による下方面への配向が同時に得られ、繊維
濃度が複雑に傾斜した複合材料が得られる。
【0022】すなわち鋳込み成形時に成形体の吸水面付
近または下方付近の繊維濃度を大きくできるため、材料
全体のうち、特に衝撃が作用する部位および摺動部位に
ついてセラミックス繊維含有量を相対的に高め、局部的
に高靭性化および耐摩耗化を図ることが容易であり、セ
ラミックス繊維の少量添加により、材料特性を向上させ
ることができる。すなわち強化材としてのセラミックス
繊維の添加量が少ないため、繊維の分散性も良く、凝集
による欠陥発生も少なくなり、さらに焼結性も向上する
ため、緻密な複合傾斜材料を容易に製造できる。
【0023】
【実施例】次に本発明の一実施例について添付図面を参
照して説明する。
【0024】実施例1〜5 平均粒径0.7μmのα−Si3 4 粉末に対して、焼
結助剤として平均粒径1.2μmのY2 3 を5重量
(wt)%と、平均粒径1.0μmのMgAl2 4
4wt%とを添加して原料粉末を調製した。一方セラミ
ックス短繊維として、表1に示すSiCウィスカー(製
品名:トーカウィスカー)を用意した。上記原料粉末に
分散剤および有機バインダを5wt%添加混合した原料
混合体を分散媒としての水中に分散せしめ、水系スラリ
ーを調製した。
【0025】次にα−Si3 4 粉末に対するSiCウ
ィスカーの添加量を表1に示す範囲で変え、さらに分散
媒としての水の配合量を変えることにより、繊維添加量
および粘度がそれぞれ異なった実施例1〜5用のSiC
ウィスカー含有泥漿(スラリー、スリップ)を調製し
た。
【0026】次に鋳込み成形法(スリップキャスティン
グ法)に基づき、各泥漿を図1に示すように、石膏製鋳
型1の鋳込み口から注入し、縦横寸法がそれぞれ100
mm、30mm、高さが100mmの平板状のSi3 4 成形
体を調製した。
【0027】次に各Si3 4 成形体を自然乾燥後、N
2 ガス雰囲気中で温度600℃で2時間脱脂した後に、
1気圧のアルゴンガス雰囲気中で温度1700℃で6時
間常圧焼結し、それぞれ実施例1〜5に係るSiC繊維
強化複合傾斜材料を製造した。
【0028】比較例1〜3 表1に示すようにα−Si3 4 セラミックス粉末に対
するSiCウィスカーの添加量をそれぞれ5,10,1
5wt%に設定し、かつ鋳込み成形時における泥漿の粘
度を常温(25℃)において400cPに調整した以外
は実施例1と同一条件で鋳込み成形、脱脂焼結して実施
例1と同一寸法を有する比較例1〜3に係るSiC繊維
強化複合傾斜材料を製造した。
【0029】こうして製造した実施例1〜5に係るSi
C繊維強化複合傾斜材料2は、図1に示すようにSi3
4 焼結体から成るマトリックス基地3中にSiCウィ
スカー4が分散した構造を有している。さらにマトリッ
クス基地3の上部(P1 位置)から下部(P5 位置)に
かけてSiCウィスカーの含有量が連続的に増加する傾
斜組成を有している。
【0030】そして実施例1〜5および比較例1〜3に
係る複合傾斜材料の厚さ方向の各位置P1 〜P5 におい
てそれぞれ試験片を切り出し、それぞれ3点曲げ強度、
破壊靭性値KICおよび比摩耗量をそれぞれ測定して表1
右欄に示す結果を得た。
【0031】表1に示す結果から明らかなように、低粘
度の泥漿を用い鋳込み成形して形成した実施例1〜5に
係る複合傾斜材料は下部(P5 位置)においてSiCウ
ィスカーが密に存在するため、強度および靭性が高く、
優れた耐摩耗性を示すことが判明した。
【0032】一方、従来法とほぼ同様の300cPの粘
度を有する泥漿を鋳込み成形法によって調製した比較例
1〜3の複合材料においては、成形時においてSiCウ
ィスカーの沈降が少なく傾斜組成が得られず、材料の上
部(P1 位置)および下部(P5 位置)において、ほぼ
同等の特性値しか得られなかった。
【0033】実施例6〜10 実施例1〜5において調製した5種類のSiCウィスカ
ー含有泥漿を、それぞれ図2に示す鋳込み成形用石膏型
1a,1bのキャビティ内に注入して縦横寸法が50m
m、高さが30mmの直方体状のSi3 4 成形体をそれ
ぞれ調製した。さらに各Si3 4 成形体をそれぞれ実
施例1〜5と同一条件で乾燥、脱脂、焼結して実施例6
〜10に係るSiC繊維強化複合傾斜材料を製造した。
【0034】得られた複合傾斜材料2aは、図2に示す
通り、Si3 4 成形体から成るマトリックス基地3a
中にSiCウィスカー4aが分散した構造を有してい
た。さらにマトリックス基地3aの中心(内部)位置P
1 から外側位置P5 にかけてSiCウィスカー4aの含
有量が連続的に増加する傾斜組成を有していた。すなわ
ち泥漿中の分散媒(水)5が矢印で示すように成形型1
a,1bに吸収されると同時に、成形型1a,1bの吸
水面(外側)にSiCウィスカー4aが集中的に配向し
た結果、内部と外部とにおいて、SiCウィスカー4a
の含有量が異なった複合傾斜材料が得られた。
【0035】比較例4〜6 表1に示すようにα−Si3 4 セラミックス粉末に対
するSiCウィスカーの添加量をそれぞれ5,10,1
5wt%に設定し、かつ鋳込み成形時における泥漿の粘
度を常温(25℃)において500cPに調整した以外
は実施例6と同一条件で鋳込み成形、脱脂焼結して実施
例6と同一寸法を有する比較例4〜6に係るSiC繊維
強化複合傾斜材料を製造した。
【0036】そして上記実施例6〜10および比較例4
〜6に係る複合傾斜材料の内部中心位置P1 から外部方
向に向って最外部P5 までの各位置P1 〜P5 におい
て、それぞれ試験片を切り出し、それぞれ3点曲げ強
度、破壊靭性値KICおよび比摩耗量をそれぞれ測定して
表1右欄に示す結果を得た。
【0037】
【表1】
【0038】表1に示す結果から明らかなように、10
0〜400cP範囲内の比較的低粘度の泥漿を用い鋳込
み成形して形成した実施例6〜10に係る複合傾斜材料
2aは、内部位置P1 に比較して外部位置P5 において
SiCウィスカー4aの含有量が大きくなるため、高靭
性でかつ優れた耐摩耗性を発揮することが確認できた。
これは成形時に泥漿中の分散媒(水)5が矢印で示すよ
うに石膏製成形型1a,1b内に吸収される一方、その
分散媒5の流れに追従してSiCウィスカー4aが成形
型1a,1bの吸水面方向に密に配向するために吸水面
付近すなわち成形体の外表面部にSiCウィスカー含有
量が高い部位が形成されるからである。
【0039】一方従来法とほぼ同様の500cPの粘度
を有する泥漿を使用した比較例4〜6の複合材料におい
ては、成形時内部におけるSiCウィスカーの沈降や配
向が起こらないため、傾斜組成が形成されず、材料の内
部と外部とにおいて強度特性値および耐摩耗性の有意差
は確認できなかった。しかし焼結体としての密度は繊維
含有量が増加するに従って低下し、複合材料全体として
の強度は相対的に低下してしまうことが確認された。
【0040】以上の実施例においては、マトリックスを
形成するセラミックス原料としてα−Si3 4 粉末を
使用し、セラミックス繊維としてSiCウィスカーを使
用した例で示しているが、本発明は上記原料に限定され
ない。すなわち、セラミックス原料としてAl2 3
SiC等を使用し、またセラミックス繊維としてカーボ
ン繊維、SiC系繊維、Al2 3 系繊維等を使用した
場合においても、表1に示す結果と同様な傾斜組成を有
する複合材料が効率的に製造できることが実験により確
認された。
【0041】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る繊維強化複
合傾斜材料およびその製造方法によれば、従来の繊維と
比較して直径および長さが小さいセラミックス短繊維を
使用しているため、マトリックス中における繊維の分散
性が良好であり、繊維同士の凝集が少なく、強度が高い
複合傾斜材料が得られる。
【0042】また製造方法において、セラミックス繊維
を分散させた泥漿の粘度を250cP以下に調整して鋳込
み成形することにより、セラミックス繊維の重力による
沈降や成形型の吸水面方向への配向が起こり易くなり、
位置によりセラミックス繊維含有量が異なる傾斜組成を
有する成形体を容易に形成することができ、この成形体
を焼成して複合傾斜材料が製造される。
【0043】さらに材料全体のうち、特に衝撃が作用す
る部位および摺動部位についてセラミックス繊維含有量
を相対的に高め、局部的に高靭性化および耐摩耗化を図
ることが容易であり、セラミックス繊維の少量添加によ
り、材料特性を向上させることができる。すなわち強化
材としてのセラミックス繊維の添加量が少ないため、繊
維の分散性も良く、凝集による欠陥発生も少なくなり、
さらに焼結性も向上するため、緻密な複合傾斜材料を容
易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る繊維強化複合傾斜材料の一実施例
を示す断面図。
【図2】本発明の他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a,1b 石膏製鋳型 2,2a SiC繊維強化複合傾斜材料 3,3a マトリックス基地 4,4a SiCウィスカー(セラミックス繊維) 5 分散媒(水)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス焼結体から成るマトリック
    ス中に、直径が0.1μm以上50μm以下で長さが2
    0μm以上20mm以下のセラミックス繊維を分散し、マ
    トリックス中におけるセラミックス繊維の含有量が位置
    により異なることを特徴とする繊維強化複合傾斜材料。
  2. 【請求項2】 マトリックスを形成するセラミックス原
    料粉末と、セラミックス繊維と、焼結助剤等の添加剤と
    を分散媒に添加混合して粘度が常温で250cP以下の
    組成が均一な泥漿を調製し、この泥漿を鋳込み成形法に
    よって処理して所定形状の成形体を形成し、成形体中に
    おけるセラミックス繊維の沈降作用によって、その沈降
    方向にセラミックス繊維含有量が異なる傾斜組成成形体
    を調製し、得られた傾斜組成成形体を脱脂焼結すること
    を特徴とする繊維強化複合傾斜材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 マトリックスを形成するセラミックス原
    料粉末と、セラミックス繊維と、焼結助剤等の添加剤と
    を分散媒に添加混合して粘度が常温で100〜400c
    Pの組成が均一な泥漿を調製し、鋳込み成形型内に上記
    泥漿を鋳込むことにより、鋳込み成形型の分散媒吸収面
    近傍にセラミックス繊維を配向せしめ、内部と外部とで
    セラミックス繊維含有量が異なる傾斜組成成形体を調製
    し、得られた傾斜組成成形体を脱脂焼結することを特徴
    とする繊維強化複合傾斜材料の製造方法。
JP4305464A 1992-11-16 1992-11-16 繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法 Pending JPH06157152A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4305464A JPH06157152A (ja) 1992-11-16 1992-11-16 繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4305464A JPH06157152A (ja) 1992-11-16 1992-11-16 繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06157152A true JPH06157152A (ja) 1994-06-03

Family

ID=17945466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4305464A Pending JPH06157152A (ja) 1992-11-16 1992-11-16 繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06157152A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005132651A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックス焼結体、切削インサート、および切削工具
WO2014060374A1 (de) * 2012-10-16 2014-04-24 Ceramtec Gmbh Keramik und verfahren zur herstellung
CN114351134A (zh) * 2021-11-23 2022-04-15 兆山科技(北京)有限公司 一种抗裂纹耐高温腐蚀的梯度陶瓷涂层及制备方法
CN117467168A (zh) * 2023-10-31 2024-01-30 肥城三合工程材料有限公司 一种吸音复合材料的制备工艺

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005132651A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックス焼結体、切削インサート、および切削工具
WO2014060374A1 (de) * 2012-10-16 2014-04-24 Ceramtec Gmbh Keramik und verfahren zur herstellung
CN114351134A (zh) * 2021-11-23 2022-04-15 兆山科技(北京)有限公司 一种抗裂纹耐高温腐蚀的梯度陶瓷涂层及制备方法
CN114351134B (zh) * 2021-11-23 2023-10-31 兆山科技(北京)有限公司 一种抗裂纹耐高温腐蚀的梯度陶瓷涂层及制备方法
CN117467168A (zh) * 2023-10-31 2024-01-30 肥城三合工程材料有限公司 一种吸音复合材料的制备工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3100871B2 (ja) 窒化アルミニウム焼結体
JPH08510201A (ja) 自己補強焼結窒化ケイ素
US4855259A (en) Process of making ceramic moldings containing cordierite
JPH06157152A (ja) 繊維強化複合傾斜材料およびその製造方法
JPH06340475A (ja) 繊維強化セラミックス複合材料およびその製造方法
US4970036A (en) Process for producing green compacts by molding sinterable ceramic mixtures based on silicon nitride
JP2000128646A (ja) 多孔質SiC焼結体
JPH06321620A (ja) 高靱性セラミック材料
JP4217278B2 (ja) 金属−セラミックス複合材料の製造方法
CN112778006B (zh) 一种轻质莫来石匣钵及其制备方法和应用
JPH10140263A (ja) 金属−セラミックス複合材料の製造方法
JP3932349B2 (ja) 非酸化物系窒化ホウ素複合材料の反応合成
JPH0753256A (ja) アルミナ質複合焼結体及びその製造方法
JPH06287061A (ja) SiC基複合セラミックスおよびその製造方法
JPH10279360A (ja) 窒化珪素質構造部品およびその製造方法
JP4702978B2 (ja) 窒化アルミニウム焼結体
JP2508511B2 (ja) アルミナ複合体
JP3828622B2 (ja) 金属−セラミックス複合材料の製造方法
JPH1180860A (ja) 金属−セラミックス複合材料の製造方法
JP2000191376A (ja) 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法
JP2672229B2 (ja) 非酸化物セラミックスの成形方法
JPH05339061A (ja) 窒化珪素質焼結体及びその製造方法
JP2003081682A (ja) シリコン含浸炭化ケイ素セラミックスの製造方法
JPH07172925A (ja) 窒化珪素質焼結体及びその製造方法
JPH07309665A (ja) 異粒子添加による高破壊靱性を持った窒化珪素焼結体とその製造方法