JPH0615697A - 射出成形金型装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に精密仕上げせずに、カセット金型を装着
した境界面からの樹脂漏れを防止する。 【構成】 可動側のベースプレート１０に、一対のカセ
ット金型収納凹部１０ａが設けてある。カセット金型収
納凹の間に位置する仕切り部１０ｃの前面には、台形状
のゲートブロック１１が固着してある。各カセット金型
収納凹部１０ａには、カセット金型１２が挿入されてい
る。このカセット金型の前端部には、ベースプレートへ
の係止用のつば部１２ａを有し、このつば部の一側面
は、ゲートブロック１１の斜面と対接可能な斜面に形成
してある。ＰＬ面に形成されるランナーは、ゲートブロ
ック１１とカセット金型１２との前面で連結され、両者
の境界面上に跨がっている。型締めにより、可動側と同
様にゲートブロック４と斜面同士で対接する固定側のカ
セット金型の前面と、可動側のそれとを対接させて押圧
すると、上記した対接している境界の斜面同士が密着
し、境界面から樹脂漏れを生じない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、射出成形金型装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】１回の成形操作によって成形品を複数個
取りする射出成形用金型装置として、成形品の変化に応
じて異なるキャビティを構成するカセット金型を固定側
金型および可動側金型のどちらかに、または双方に挿脱
自在に装着した射出成形金型が広く用いられている。

【０００３】カセット金型を採用した射出成形金型の構
成の第一例として、ベース金型に対向する一対のカセッ
ト金型挿入穴を設け、これらの挿入穴の間に形成された
仕切り部の上面にゲートブロックを固着し、両カセット
金型挿入穴に、このゲートブロックとともに上面が、パ
ーティングライン（以下「ＰＬ」という。）面を構成す
るカセット金型を装着したものがある。ＰＬ面に形成さ
れたランナーは、ゲートブロックとカセット金型の境界
を通ってカセット金型のＰＬ面に形成されたキャビティ
に連結している。

【０００４】第２例として、ベース金型に対向する一対
のカセット金型挿入穴間に形成された仕切り部の両側に
カセット金型を対接させるように装着し、固定側金型と
可動側金型とのそれぞれの仕切り部と各カセット金型と
の境界部のＰＬ面に両者間に跨がる凹部を形成し、この
凹部にランナーの一部を構成する溝を備えたアタッチメ
ントを嵌着したものがある（特公平３−２２８１０）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記した第１例は、ラ
ンナーが仕切り部とカセット金型との接合境界面上を通
ることから、この境界面からの樹脂漏れを生じる原因に
なっている。この樹脂漏れを防止するために、この境界
面を完全密着するように精密仕上げをしなければなら
ず、金型のコスト高の原因になっている。また、境界面
を精密仕上げしたとしても、カセット金型の着脱、運
搬、保管等の取り扱い時に、特に境界面のランナーが通
るエッジ部に傷がつき易く、結局この傷に起因して接合
境界面から樹脂漏れを生じ、バリが発生したり、著しい
場合には漏れた樹脂の樹脂圧によって金型破壊を生じる
こともあるなどの問題があった。

【０００６】これに対し、第２例は、固定側金型と可動
側金型との境界部のＰＬ面に両者間に跨がるアタッチメ
ントを嵌着してあるので、樹脂漏れ防止には有効である
が、構造が複雑化し、カセット金型の着脱が面倒である
とともに金型のコスト高の原因となっている。

【０００７】そこで本発明の目的は、簡単な構成によっ
て、境界面からの樹脂漏れを生じなく、かつ着脱が容易
な射出成型金型装置を安価に提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の射出成形金型装置は、固定側金型と可動
側金型とによって構成され、これら両金型の少なくとも
一方を構成するベースプレートに設けてある複数のカセ
ット金型収納凹部にそれぞれカセット金型が装着される
射出成形金型装置において、各カセット金型収納凹部同
士の間に位置する仕切り部の前面には、台形状のゲート
ブロックが固着してあり、カセット金型は前端部にベー
スプレートへの係止用のつば部が形成してあり、このつ
ば部の一側面は、金型に装着した際にゲートブロックの
斜面と対接する斜面を有している。

【０００９】

【作用】ゲートブロックの斜面とカセット金型のつば部
の斜面との位置を合わせ、カセット金型をカセット金型
収納凹部に挿入するだけで、カセット金型とゲートブロ
ックとの境界面が傾斜しているので、型締めしたときに
前方からの押圧力によって密着状態となり、特に両者の
境界面を精密仕上げしなくても境界面からの樹脂漏れが
生じない。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照して説明する。図１に示すように、本発明の射出成形
金型は大きく分けて固定側金型Ｐと可動側金型Ｑとによ
って構成される。

【００１１】まず、固定側金型Ｐについて説明する。図
１に示すように、固定側取り付け板１の前面（図右側）
には、固定側ベースプレート２が設けてある。固定側ベ
ースプレート２は、固定側取り付け板１に固着したガイ
ド軸３に沿って移動可能である。

【００１２】固定側ベースプレート２には、所定間隔を
おいて２個のカセット金型収納凹部２ａが設けてある。
固定側ベースプレート２の裏面側かつ、各カセット金型
収納凹部２ａの後端部の外周部のうち、一方の対向辺に
は、段差が形成してあり、その段差によって形成された
空間を該ベースプレートの裏面側に沿って一側面まで延
長してなるキー溝２ｂ…が形成してある。

【００１３】固定側ベースプレート２の各カセット金型
収納凹部２ａ，２ａの中間の位置は、ベースプレートの
前面と同一平面の仕切り部２ｃを形成しており、その中
心部にはスプルー穴２ｄが設けてある。このスプルー穴
２ｄの前端部に、射出成形機のノズルが押圧接続される
ノズル受け２ｅが設けてある。

【００１４】仕切り部２ｃの前面には、台形状のゲート
ブロック４が固着してある。ゲートブロック４の中心部
には、仕切り部２ｃの中心部に設けてあるスプルー穴２
ｄと連通するスプルー穴４ａが設けてある。

【００１５】固定側ベースプレート２の各カセット金型
収納凹部２ａ，２ａには、それぞれ固定側カセット金型
５，５が装着してある。固定側カセット金型５は、前端
部に固定側ベースプレート２へ係止用のつば部５ａを有
しており、このつば部５ａを固定側ベースプレート２の
前面に係止することによって、固定側カセット金型５は
固定側ベースプレート２に対し後退不能になる。カセッ
ト金型５の後端部には、後つば部５ｂが形成してあり、
この後つば部を介して固定キー６によってカセット金型
５が固定側金型Ｐに脱落不能に固定されている。固定キ
ー６は、図２に示すように、３本のキーが上端部で連結
されて一体となったくし歯状をしている。

【００１６】固定側カセット金型５の前面には、キャビ
ティ部５ｃが形成してあり、後述の可動側カセット金型
のキャビティ部１２ｃと合体し、成形品の形状と同一の
キャビティを形成可能である。

【００１７】一対の各カセット金型のつば部５ａは四角
形をしており、そのうちの台形状のゲートブロック４と
対向する一側面は、ゲートブロック４の斜面と対接可能
な斜面に形成してある。これによりカセット金型５をベ
ースプレート２の前方からカセット金型収納凹部２ａ内
に挿入した時に斜面同士が容易に対接可能であるととも
に、前方から押圧力によって斜面同士が密着可能であ
る。

【００１８】次に可動側金型Ｑについて説明する。図１
に示すように、可動側金型Ｑは、可動側取り付け板７の
前面（図面左側）にスペーサブロック８が、その前面に
受け板９が、さらにその前面に可動側ベースプレート１
０が順次固定してある。後端部の可動側取り付け板７
は、図示しない射出成形機の可動部材（図示略）に取り
付けてあり、可動側金型Ｑは、ガイド軸３に沿って固定
側金型Ｐに対して進退可能である。

【００１９】可動側ベースプレート１０には、固定側ベ
ースプレート２のカセット金型収納凹２ａ，２ａと対向
する位置に、可動側のカセット金型収納凹部１０ａ，１
０ａが設けてある。固定側金型Ｐと同様に、各カセット
金型収納凹部１０ａの後端部にキー溝１０ｂ…が形成し
てある。同様にして、固定側の仕切り部２ｃに対向する
位置には、可動側ベースプレート１０と一体かつその前
面と同一平面に固定側の仕切り部１０ｃが形成してあ
る。

【００２０】仕切り部１０ｃの前面には、台形状のゲー
トブロック１１が固着してある。ゲートブロック１１の
中心部には、型締めしたときに、固定側のゲートブロッ
ク４のスプルー穴４ａと連結する穴１１ａが設けてあ
る。穴１１ａの左右には、これと連結するランナー溝１
１ｂ，１１ｂが設けてある。

【００２１】可動側ベースプレート１０の各カセット金
型収納凹部１０ａには、可動側カセット金型１２が装着
してある。カセット金型１２の前端部には、つば部１２
ａが形成してあり、このつば部１２ａによって当該カセ
ット金型を可動側ベースプレート１０の前面に後退可能
に係止している。つば部１２ａのうち、ゲートブロック
１１と対向する１側面は、ゲートブロック１１の斜面と
対応する斜面に形成してあり、当該カセット金型１２を
カセット金型収納凹部１０ａ内に挿入すると、両者の斜
面同士が対接可能になる。

【００２２】カセット金型１２の後端部には、後つば部
１２ｂが形成してある。カセット金型収納凹部１０ａに
挿入された各カセット金型１２，１２は、キー溝１０ｂ
に差し込まれた固定キー１３によって前方へ脱落不能
に、可動側ベースプレート１０に装着されている。カセ
ット金型１２の前面には、キャビティ部１２ｃおよびラ
ンナー溝１２ｄが設けてあり、ゲートブロック１１の斜
面とカセット金型１２のつば部１２ａの斜面とが対接し
た状態で、このランナー溝１２ｄは、ゲートブロックの
ランナー溝１１ｂと連結可能である。

【００２３】可動側カセット金型１２の後方には、成形
品の突き出し機構１４が設けてある。突き出し機構１４
は、スペーサブロック８の中央部に設けられた貫通穴８
ａ内に２枚の突き出し板１４ａ，１４ｂが進退自在に設
けてあり、この突き出し板に固着された複数の突き出し
ピン１４ｃ…は、受け板９およびカセット金型１２に設
けてあるピン挿通穴に挿入通し、その先端部は、キャビ
ティ部１２ｃの底面に一致し、あるいは穴１１ａの底部
に位置している。各突き出しピン１４ｃには、突き出し
板１４ａ，１４ｂを後方に付勢する戻しばね（図示略）
が挿着してある。突き出し機構１４は、可動側取り付け
板７の中心部に設けてある透孔７ａから、突き出しロッ
ド（図示略）が突き出されることによって前進し、突き
出しロッドが後退すると、戻しばねによって後退可能で
ある。

【００２４】次に、動作について説明する。まず、図２
を用いて可動側カセット金型１２のベース金型への装着
要領について説明する。図示のように、取り付け板７，
スペーサブロック８，受け板９，ベースプレート１０の
順に重ね、スペーサブロック８の空間内に、突き出し機
構１４を収納し、突き出しピン１４ｃを立ち上げた状態
にする。次に、仕切り部１０ｃの上面に、ゲートブロッ
ク１１を固定する。ベースプレート１０のＰＬ面側から
カセット金型１２をそれぞれのカセット金型収納凹部１
０ａ内に挿入して、図２に示すように、背後に位置する
キー溝（図示略）の入り口から固定キー１３を差し込ん
で、後つば部１２ｂが固定キー１３を介して可動側ベー
スプレート１０に係止することにより可動側カセット金
型１２の可動側金型Ｑへの装着を終了する。カセット金
型の装着に際しては、斜面に形成してある一側面がゲー
トブロック１１の斜面と対接するように位置決めして挿
入すると、図３に示すように、可動側ベースプレート１
０の中央部に固定されたゲートブロック１１を挟むよう
にして一対のカセット金型１２，１２が装着され、しか
もカセット金型のランナー溝とゲートブロック１１のラ
ンナー溝とが連結された状態になる。カセット金型を前
方から押圧すれば、ゲートブロックの斜面とカセット金
型の一側面の斜面とは対接しかつ密着可能である。固定
側金型Ｐへのカセット金型５の装着も、可動側金型に準
じて行う。

【００２５】射出成形の工程は、各金型に固定側カセッ
ト金型５と可動側カセット金型１０の一対のカセット金
型をそれぞれ装着した状態の下で、まず、図示しない射
出成形機のシリンダロッドによって、可動側金型Ｑを前
進させ、カセット金型５，１２の前面を対接させて型締
めする。型締めにより各カセット金型５，１２の前面が
それぞれ後方へ押圧されるので、ゲートブロックとカセ
ット金型との境界部同士が密着した状態になる。固定側
のカセット金型５と可動側のカセット金型１２の各前面
が対接することにより、一対のカセット金型のＰＬ面に
所定の形状のキャビティおよび境界面上を通るランナー
が形成される。次に、図示しないノズルからスプルー２
ｄ，４ａおよびこれらのランナーを経由して、キャビテ
ィ内に溶融樹脂を射出充填する。このとき、ランナーを
通過する溶融樹脂はゲートブロックとカセット金型との
境界面が互いに密着しているので、樹脂漏れを起さずに
ランナーを通過する。所定のキュアリングタイムをとっ
た後、シリンダロッドを後退させて型開きすると、ＰＬ
面で固化した樹脂材は、ゲート（図示略）の部分で切断
され、可動側カセット金型１２のキャビティ内に残され
る。

【００２６】型開きの途中で、突き出しロッドを可動側
取り付け板の透孔７ａから前進させると、突き出し機構
１４がスペーサブロック８内で前進し、突き出しピン１
４ｃの先端が、成形品を押圧して、キャビティからこれ
を突き落とす。突き出しロッドが後退すると、突き出し
機構１４は、戻しばねによって元の位置に復帰して１回
目の成形工程が終了し、続いてこれらの工程を繰り返
す。

【００２７】本実施例では、一対のカセット金型を装着
した金型装置として説明してあるが、これと直角方向に
さらに一対のカセット金型を装着したものにすることも
可能である。また、本実施例では、説明の都合により金
型の構造を簡単な構成にしてあるが、これに限定される
趣旨ではなく、設計上任意の構成にすることを妨げな
い。さらにまた、突き出し機構は、シリンダロッドで突
き出し板を直接押圧する構成にしてあるが、これも突き
出しロッドによって進退する第２の突き出し機構を設
け、成形品を突き落とす第１の突き出し機構を突き出す
ようにした２段式の突き出し機構を採用して、突き出し
ピンの設定位置や突き出しストロークに自由度をもたせ
るようにしてもよい。

【００２８】なお、台形状ゲートフロックの形状につい
て、図４に示すように、直方体に面取りを施したような
形状でもかまわない。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、仕切り
部の前面に台形状のゲートブロックを設け、このゲート
ブロックの側面と対接するカセット金型の前つば部の一
辺を斜面に形成し、この斜面とゲートブロックの斜面と
によって、型締めの際に境界面が密着可能となるため、
ランナーから境界面への樹脂漏れが生じないので、金型
の不整合や破損がなくなり金型の耐久性が向上する。ま
た、本発明は構成が簡単にしてあるので、着脱が容易で
あり、成形コストの引き下げに寄与するとともに、ゲー
トブロックとカセット金型との境界面を高精度に仕上げ
加工する必要がなくなるので、金型の製造コストを引き
下げることができるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例についての要部を示すもの
で、型開きした状態を示す断面図である。

【図２】可動側金型にカセット金型を装着する要領を示
す斜視図である。

【図３】可動側金型にカセット金型を装着した状態を示
す正面図である。

【図４】ゲートブロック部の他の実施例を示す拡大断面
図である。

【符号の説明】

Ｐ 固定側金型 Ｑ 可動側金型 ２，１０ ベースプレート ２ａ，１０ａ カセット金型収納凹部 ４，１１ ゲートブロック ５，１２ カセット金型 ５ａ，１２ａ つば部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定側金型と可動側金型とによって構成
   され、上記両金型の少なくとも一方を構成するベースプ
   レートに設けてある複数のカセット金型収納凹部にそれ
   ぞれカセット金型が装着される射出成形金型装置におい
   て、 上記各カセット金型収納凹部同士の間に位置する仕切り
   部の前面には、台形状のゲートブロックが固着してあ
   り、 上記カセット金型の前端部には上記ベースプレートへの
   係止用のつば部が形成してあり、上記つば部の一側面
   は、上記金型に装着した際に上記ゲートブロックの斜面
   と対接する斜面を有していることを特徴とする射出成形
   金型装置。