JPH0615498B2 - α−(p−イソブチルフエニル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造方法 - Google Patents

α−(p−イソブチルフエニル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造方法

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JPH0615498B2
JPH0615498B2 JP59146595A JP14659584A JPH0615498B2 JP H0615498 B2 JPH0615498 B2 JP H0615498B2 JP 59146595 A JP59146595 A JP 59146595A JP 14659584 A JP14659584 A JP 14659584A JP H0615498 B2 JPH0615498 B2 JP H0615498B2
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、α−(p−イソブチルフェニル)プロピオン
酸またはそのアルキルエステルを経済的に高純度で製造
する新規な製造方法に関するものである。
α−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IP
A)は、英国特許第971700号、フランス特許第1549758
号、特公昭40-7178号および同40-7491号に記載されてい
るように、消炎、鎮痛および解熱作用を有する有用な医
薬品となるものである。
〔従来の技術および発明が解決しようとする問題点〕
IPAまたはそのアルキルエステル(IPE)は、従来
より極めて多くの化合物を出発物質として、種々の方法
により合成されている。
しかしながら、IPAまたはIPEを安価で経済的に、
かつ高純度に合成するためには、 (イ)単純な化合物を出発原料とすること、 (ロ)各工程における中間体も出来る限り単純で安定な
化合物が使える反応を利用すること、 (ハ)イソブチル基は異性化を起し易いので、各工程の
反応の際に、異性化などを起さない反応を利用するこ
と、および (ニ)高価な試薬を利用せず安価な試薬または触媒を利
用することなどが要求される。
しかるに、例えば、IPAまたはIPEの合成方法とし
て提案されている特開昭50-40541号、同51-10042号およ
び同52-65243号などでは、いずれも出発物質それ自体と
して、複雑で高価なものを利用しているか、またはグリ
ニャール試薬のような不安定で取扱いの困難な試薬を用
いているので、安価で経済的な方法とは言い難い。
さらに、フランス特許第1549758号、特公昭47-24550
号、特開昭49-95938号、特開昭52-57338号、特開昭52-9
7930号、特開昭52-131553号、特開昭53-7643号、特開昭
53-18535号および特開昭56-154428号に記載された方法
は、p−イソブチルアセトフェノンを出発物質とする方
法である。
しかし、p−イソブチルアセトフェノンは、後述の如く
安価な化合物とはいえない。これはイソブチルベンゼン
から合成するのが最も経済的であるが、イソブチルベン
ゼンからp−イソブチルアセトフェノンに変換すること
自体経済的観点からは好ましいことではない。すなわ
ち、p−イソブチルアセトフェノンへ変換するために
は、高価でかつ不安定な原料である塩化アセチルを使用
せざるを得ず、しかも反応触媒として水分に対して非常
に敏感な無水塩化アルミニウムを、少なくとも塩化アセ
チルと同じモル数、すなわち大量に使用しなくてはなら
ない。例えば、この変換反応が化学量論的に100%の
収率であったと考えても、p−イソブチルアセトフェノ
ンを1トン製造するためには、700kgという大量の無
水塩化アルミニウムを使用する必要がある。また反応終
了後には、無水塩化アルミニウムを失活した結果生ずる
水酸化アルミニウムが410kgおよび塩素イオン750
kgと、目的とするp−イソブチルベンゼンの製造量を大
巾に上回る1160kgもの廃棄物を無害な形にまで処理
する必要がある。従って出発物質としてのp−イソブチ
ルアセトフェノン自体が高価であることはいうまでもな
い。さらにp−イソブチルアセトフェノンからα−(p
−イソブチルフェニル)プロピオンアルデヒドへの変換
も、複雑な中間生成物を経由するなど、工業的観点から
は必ずしも経済的な方法とは言い難い。
〔問題点を解決するための手段〕
すなわち、本発明は、次の工程(I)、(II)および(II
I)からなることを特徴とするα−(p−イソブチルフェ
ニル)プロピオン酸(IPA)またはそのアルキルエス
テル(IPE)の製造方法に関するものである。すなわ
ち、 (I)イソブチルベンゼン(IBB)とアセトアルデヒ
ドとを硫酸触媒の存在下に反応させ、1,1−ビス(p−
イソブチルフェニル)エタン(BBE)を製造する工
程、 (II)プロトン酸および/または固体酸触媒により、上で
得られたBBEを温度200〜650℃で接触分解する
ことにより、IBBとp−イソブチルスチレン(PB
S)を製造する工程、および (III)上で得られたPBSと一酸化炭素および水または
アルコールとを、カルボニル化錯体触媒の存在下に、4
0〜150℃で反応させることにより、IPAまたはそ
のアルキルエステルであるIPEを製造する工程からな
るものである。
本発明の方法を反応式で表わすと下記の通りである。
工程(I) 工程(II) すなわち、本発明によれば、IBB、アセトアルデヒ
ド、一酸化炭素および水またはアルコールの如く工業的
に安価に、かつ大量に入手し得る原料から、わずか3段
階でIPAまたはIPEが容易に得られる。
本発明の出発原料のIBBには、従来公知のいずれの方
法により製造されたものでも使用することができる。
以下に、各反応についてその実施方法を具体的に説明す
る。
本発明の方法における第一段の反応である工程(I)
は、IBBとアセトアルデヒドとを硫酸触媒の存在下に
反応させ、対称型のジアリールアルカンである1,1−ビ
ス(p−イソブチルフェニル)エタン(BBE)を得る
ことを目的としている。工程(I)では収率よく、しか
もIBB中のイソブチル基が異性化することなく、p−
位の選択性良くBBEを得られる方法を用いることが必
須条件である。
例えば、硫酸または硫酸と水銀とを触媒としてアセチレ
ンを用いる方法、ハロゲン化金属を触媒として1,1−ジ
クロルエタンや塩化ビニルを用いる方法、およびリン酸
またはリン酸とハロゲン化金属との錯体を触媒としてア
セトアルデヒドを用いる方法などでは、BBEの収率が
著しく低く実用的ではない。また、イソブチル基の異性
化および生成物であるジアリールエタンが目的であるB
BEの他、多量のm−位置換物を含んでいる等いずれも
好ましい方法ではない。
工程(I)において、反応中の硫酸濃度は75重量%以
上(硫酸と水との合計に対して)、好ましくは80〜9
5重量%に保持される。反応液中の硫酸濃度が95重量
%より高い場合には、重合物の生成が増加するのみなら
ず、IBBの芳香核がスルホン化されるなどの副反応が
起り、有効に目的が達成されない。また、反応液中の硫
酸濃度が75重量%よりも低い場合には、反応が有効に
達成されず、アルデヒドの液中濃度が高くなり、重合物
の生成または中間体である1−(p−イソブチルフェニ
ル)エタノールの生成が多くなり好ましくない。
この反応は脱水反応であるので、反応の経過と共に水が
生成し、反応液中の硫酸水の硫酸濃度は反応の経過と共
に低下し反応を阻害するので、反応液中の硫酸水の硫酸
濃度を所定のレベルに維持することが必要である。
この目的のためには、反応中に濃硫酸等を連続的に添加
することも好ましい方法である。硫酸濃度の維持のため
に添加するものとしては、濃硫酸の他、発煙硫酸、無水
硫酸などの硫酸濃度が90重量%を越えるものを添加す
ることが好ましい。また、添加する硫酸の濃度が90重
量%以下の場合には、使用する硫酸量が多くなるので経
済的ではない。
工程(I)において使用する硫酸の量は、通常使用する
アセトアルデヒドに対して1〜10倍モル、より好まし
くは2〜8倍モルである。硫酸の量がこの範囲より少な
過ぎると反応が有効に達成されず、かつ重合物の生成が
多くなり好ましくない。一方、硫酸の量がこの範囲より
多過ぎる場合は経済的でない。また、工程(I)で使用
する硫酸は、使用後に所定の濃度に調節して再度使用す
ることができる。
工程(I)において用いるアセトアルデヒドとしては、
パラアルデヒド、含水アセトアルデヒド等でもよい。
工程(I)においては、反応系におけるアセトアルデヒ
ドの濃度を1重量%以下に保持して実施すればより好ま
しい結果が得られる。アセトアルデヒドの濃度が1重量
%より大であれば、中間体である1−(p−イソブチル
フェニル)エタノールの生成量が増す。また、重合反応
等の副反応が増加するのみならず、使用した硫酸の純度
がより低下し、回収再使用が困難になり好ましくない。
工程(I)において用いるIBBは、純品は勿論、不活
性溶剤、例えば、ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化
水素により希釈されたものも使用できる。IBBは、通
常アセトアルデヒドに対して過剰になるように加えら
れ、添加量はアセトアルデヒドの2倍モル以上、より好
ましくは2.2倍モル以上である。IBBがこの範囲より
少な過ぎると、反応が有効に達成されず重合物が生成す
る。IBBの使用量は多いほど好ましい結果となるが、
それだけ処理すべき量が増加するので、その上限使用量
は経済的観点から決定されるべきである。従って通常は
100倍モル、より好ましくは20倍モルの使用が実用
的である。
工程(I)においては、攪拌下に、反応温度を40℃以
下、好ましくは−20〜20℃に保持することが必要で
ある。40℃を越えると重合反応やIBBのスルホン化
反応などの副反応が急増するので好ましくない。このた
め反応器を外部または内部から冷却することが望まし
い。
工程(I)における好ましい反応形式は、反応器に一方
の反応物であるIBBおよび所定濃度の硫酸を仕込み、
所定量のアセトアルデヒドまたはそのIBB溶液を2時
間以上にわたって少量ずつ逐次添加反応させると同時
に、反応液中の硫酸水より高濃度の硫酸を反応液中に添
加して、反応系中の硫酸水の硫酸濃度を維持することで
ある。
アセトアルデヒドまたはそのIBB溶液の添加時間が2
時間より短いと、反応液中のアセトアルデヒドの濃度が
増大し、重合物の量が増加する。本発明の反応は、比較
的反応速度が大きいので長時間の反応は必ずしも必要で
はない。好ましくは3〜10時間である。
反応圧力については、特に制限はないが、好ましくは常
圧または密閉反応器の反応温度における自圧で実施す
る。
反応終了後、攪拌を停止し、反応混合物を反応器内で、
あるいは静置槽へ移行させて静置する。下層は副反応の
スルホン化反応で生成したIBB等のスルホン化物の大
部分を溶解する硫酸層であるが、これは回収し所定濃度
に調整して再使用することができる。上層の炭化水素層
にはBBE、未反応IBBおよび副生成物の炭化水素の
大部分が含有される。この上層を分離し、残存する硫酸
をNaOH,KOH,Ca(OH)2、Na2CO3などのアルカリまたはその
水溶液で中和し、水洗する。
この際、スルホン化物等によるエマルジョンの発生を防
ぐ目的で、エーテル、n−ヘキサン等の溶媒を添加する
こともできる。
中和後の炭化水素層を好ましくは減圧下で蒸留すること
によってIBBとBBEとが得られる。本発明の方法で
は、未反応物としてのIBBの異性化は全く生じないの
で、蒸留によって得られたIBBは特別の精製を行なう
ことなく循環させて再使用できる。また、得られたBB
Eは選択性の高いp−位置換体であって、対称型である
ため次の分解反応である工程(II)の原料として好ましい
ものである。
本発明の第2段目に工程(II)は、プロトン酸、固体酸、
またはプロトン酸担持固体酸触媒の存在下で工程(I)
により得られたBBEを接触分解し、p−イソブチルス
チレン(PBS)と、前記工程(I)の出発原料たるI
BBを製造する工程である。
接触分解温度は、触媒の種類、気相または液相などの反
応形式に応じて、200〜650℃の範囲内で選択する
ことができる。
接触分解の触媒は、リン酸、硫酸、塩酸、およびケイタ
ングステン酸などのヘテロポリ酸等の無機プロトン酸、
ならびにp−トルエンスルホン酸等の有機プロトン酸が
好ましい他、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、シ
リカ・マグネシア、合成ゼオライト等の合成シリカ・ア
ルミナ系触媒や、カオリン、アタパルジャイト、酸性白
土、フラー土等の天然白土鉱物から製造される白土系シ
リカ・アルミナ等の固体酸、あるいは前記のプロトン酸
をこれら固体酸に担持させた担持固体酸もまた好ましく
使用される。これに対して、フッ化珪素、塩化アルミニ
ウム、塩化鉄、臭化鉄、塩化亜鉛等のハロゲン化金属に
代表される非プロトン酸である所謂ルイス酸系触媒で
は、接触分解の際、イソブチル基がsec−ブチル基など
に異性化したり、また一旦生成したPBSの重合を促進
するので好ましくない。
反応相は液相または気相のいずれによっても接触分解す
ることができるが、好ましくは、プロトン酸触媒で液相
下で分解する方法、および固体酸または前記のプロトン
酸担持の固体酸触媒で気相で接触分解する方法を採用す
ることができる。特に装置の腐食、連続化などを考慮す
ると、固体酸触媒による気相接触分解が好ましい。
プロトン酸触媒で液相で接触分解するためには、反応温
度は200〜350℃が好ましく、250〜325℃が
特に好ましい。反応温度がこの範囲より高過ぎる場合に
は、副反応が多くなり、選択率が悪くなる。また、反応
温度がこの範囲より低過ぎる場合には、反応速度が小さ
くなり経済性が悪くなるので好ましくない。
工程(II)の液相分解において、使用するプロトン酸は、
BBEに対して0.001〜100倍モル、好ましくは0.
005〜10倍モルが適当である。
プロトン酸の使用量がこの範囲より少ない場合にはBB
Eの転化率が低くなり過ぎる。
また、プロトン酸の使用量がこの範囲より多い場合に
は、反応上特に不都合はないが、経済性が悪くなるので
好ましくない。
この際に使用する酸は、リン酸、硫酸、ヘテロポリ酸等
の無機酸、またはp−トルエンスルホン酸などの有機ス
ルホン酸等のプロトン酸が用いられるが、この中では特
にリン酸が好ましい。リン酸としては、オルトリン酸、
ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などの態様がある
が、いかなるものでも使用可能である。
本発明において使用する酸は、市販品をそのまま用いて
もよく、また水溶液の状態で使用することもできる。
反応圧力は、反応条件下で生成したPBSおよびIBB
が気化し得る範囲であれば特に制限はないが、通常常圧
ないし減圧下が好ましい。
本発明における原料のBBEと触媒との接触時間は適宜
選択できるが0.001〜1000hr.g.cat/gが好ましく、特に
0.01〜100hr.g.cat/gが好ましい。
一方、固体酸および担持固体酸を用い気相接触分解をす
る工程における反応圧力は、反応ガスがその温度条件下
で気相を保つ範囲でされあれば、常圧、高圧、減圧のい
ずれであってもよい。更に反応相は固定床、移動床、流
動床のいずれを用いても本発明の目的を達成することが
できる。更に本発明に適用される固体酸について述べる
と、ある程度の表面積を有するものであれば更によく、
例えば、表面積が250m2/g以上、好ましくは350〜
1000m2/gであればよい。表面積の小さいものは大き
いものに比べて転化率が幾分低下することもある。
反応ガスの固体酸との接触時間は、通常0.05〜5秒が
適当であるが、反応ガス組成、固体酸の種類、反応温
度、あるいは反応ガスの予熱温度などの種々の組合せの
相違によって、更に任意に変化せしめることができる。
分解反応温度は300℃〜650℃が好ましく、350
℃〜500℃が特に好ましい。反応温度がこの範囲より
高過ぎる場合は副反応が多くなり選択性が悪くなる。ま
た、反応温度がこの範囲より低過ぎる場合には分解速度
が小さくなり経済性が悪くなるので好ましくない。
また、液相分解、気相分解のいずれの分解においても、
生成したPBSを速やかに留出させる目的や、触媒の劣
化を防止する目的のために、不活性ガスで稀釈すること
ができる。これらの不活性ガスとしては、水素、窒素、
ヘリウム、メタンおよびこれらの混合ガスの他、水蒸気
が挙げられる。
特に気相分解の場合、副生物であるp−イソブチルエチ
ルベンゼン(PBE)の生成を抑制し、またPBSの収
率を向上させるためには、水蒸気の存在下で行なうこと
が好ましい。水蒸気はBBEに対して、2重量倍以上、
好ましくは4重量倍以上である。共存させる水蒸気量の
上限は特に限定されないが、経済的観点から通常はBB
Eに対して、100重量倍を越えないことが好ましい。
接触分解反応である工程(II)に使用するBBEは対称型
のジアリールアルカンである。このため工程(II)により
生成するものは、主として工程(I)の出発原料、すな
わち本発明の出発原料であるIBBと、次の工程(III)
の出発原料となるPBSおよび、触媒の種類にもよる
が、少量の副反応生成物としてp−イソブチルエチルベ
ンゼンのようなPBSのビニル基が飽和された炭化水素
がある。従って、生成したIBBは勿論、安定なPBS
も単蒸留などの簡単な精製のみで充分に純度の高いもの
が回収できる。それ故回収したIBBは前記工程(I)
に戻して再度出発原料として使用する。またPBSは、
次のカルボニル化の工程[工程(III)]の原料として供
することができる。このことは経済的観点、すなわち本
発明の方法を安価に、かつ経済的なものとするために重
要なことである。
本発明の第三段目の反応である工程(III)は、前記工程
(II)で得られたPBSをカルボニル化して、IPAまた
はそのエステルであるIPEを製造するものである。
この方法は、オレフィン性不飽和化合物をカルボニル化
錯体触媒の存在下にアルコールあるいは水と、一酸化炭
素とを反応させる公知のカルボニル化方法に準じて行な
うことができる。
水を用いたときは、IPAが、またアルコールを用いた
ときは、IPAの対応するエステルが得られる。
使用されるカルボニル化錯体触媒としては、Pd、Rh、Ir、P
t、Ru等の貴金属およびNi、Co、Fe等のカルボニル化合物の
錯体である。貴金属の酸価数は0から最高酸価数までの
いずれのものも使用でき、ハロゲン族原子、3価のリン
化合物、π−アルリ基、アミン、ニトリル、オキシム、
オレフィンあるいは一酸化炭素等を配位子として含有し
ているものが有効である。
具体例としては、ビストリフェニルホスフィンジクロロ
錯体、ビストリブチルホスフィンジクロロ錯体、ビスト
リシクロヘキシルホスフィンジクロロ錯体、π−アリル
トリフェニルホスフィンクロロ錯体、トリフェニルホス
フィンピペリジンジクロロ錯体、ビスベンゾニトリルジ
クロロ錯体、ビスシクロヘキシルオキシムジクロロ錯
体、1,5,9−シクロドデカトリエン−ジクロロ錯体、ビ
ストリフェニルホスフィンジカルボニル錯体、ビストリ
フェニルホスフィンアセテート錯体、ビストリフェニル
ホスフィンジナイトレート錯体、ビストリフェニルホス
フィンスルファート錯体、テトラキストリフェニルホス
フィン錯体および一酸化炭素を配位子の一部に持つ、ク
ロロカルボニルビストリフェニルホスフィン錯体、ヒド
リドカルボニルトリストリフェニルホスフィン錯体、ビ
スクロロテトラカルボニル錯体、ジカルボニルアセチル
アセトナート錯体等を挙げることができる。
また、反応系において上記の錯体を形成し得る化合物も
用いることができる。すなわち、上記貴金属の酸化物、
硫酸塩、塩化物などに対して配位子となり得る化合物、
すなわちホスフィン、ニトリル、アリル化合物、アミ
ン、オキシム、オレフィン、あるいは一酸化炭素等を同
時に反応系に存在させる方法である。
ホスフィンとしては、例えばトリフェニルホスフィン、
トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシ
クロヘキシルホスフィン、トリエチルホスフィン等、ニ
トリルとしては、例えばベンゾニトリル、アクリロニト
リル、プロピオニトリル、ベンジルニトリル等、アリル
化合物としては、例えば、アリルクロライド、アリルア
ルコール等、アミンとしては、例えばベンジルアミン、
ピリジン、ピペラジン、トリ−n−ブチルアミン等、オ
キシムとしては、シクロヘキシルオキシム、アセトオキ
シム、ベンズアルドオキシム等、オレフィンとしては、
1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリ
エン等が挙げられる。
使用されるアルコールは、炭素数1〜4の低級脂肪族ア
ルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等が好ましい。これ以上のアル
コールを用いた場合、生成したIPEの沸点が高くなり
過ぎ、IPEの精製が困難となる。
錯体触媒または錯体を作り得る化合物の使用量は、PB
S1モルに対して0.0001〜0.5モル、好ましくは0.
001〜0.1モルである。また、錯体を作り得る化合物
を使用する場合の配位子となり得る化合物の添加量は、
錯体を作り得る化合物1モルに対して0.8〜10モル、
好ましくは1〜4モルである。
アルコールおよび水は反応原料と共に溶媒としての働き
もなし、その使用量は、PBS1部に対し重量で0.5〜
50部、好ましくは1〜20部である。
更に反応速度を向上させる目的で、塩化水素、三弗化ホ
ウ素等の無機ハロゲン化物や沃化メチル等の有機沃化物
を添加することができる。
これらハロゲン化物を添加する場合は、錯体触媒または
錯体を作り得る化合物1モルに対し、ハロゲン原子とし
て0.1〜30倍モル、好ましくは1〜15倍モルを使用
する。添加量が0.1モル未満の場合には、触媒の種類に
よっても異なるが、添加の効果を見られないことがあ
る。また30倍モルを越える時は、触媒活性が却って低
下すると共に、PBSの二重結合にハロゲンが付加する
等目的の反応が抑制される。
一酸化炭素量はPBSに対して過剰量であれば良く、反
応器の大きさおよびその形態によっても異なるものであ
るが、通常は反応器内に加圧された状態で存在する一酸
化炭素の吸収が停止し、反応器内の圧力減少がなくなっ
たことで反応の終了を確認することができる。
カルボニル化反応は、反応温度40〜150℃、好まし
くは60〜110℃、一酸化炭素圧30〜400kg/cm2
の圧力で行なう。反応は一酸化炭素の吸収による圧力の
減少がみられなくなるまで行なえば充分である。水を溶
媒としてカルボニル化を行なうことによりIPAが、ま
たアルコールを溶媒とすることにより、そのアルコール
がアルコール部分を構成するIPAのアルキルエステ
ル、すなわちIPEが容易に得られる。またアルコール
溶媒存在下で得られるIPEは、安定な物質であるので
単蒸留等で容易に精製することができ、通常のエステル
の加水分解法により容易に最終目的物のα−(p−イソ
ブチルフェニル)プロピオン酸とすることができる。す
なわち、例えば水酸化ナトリウム水溶液と還流させ、酸
性化して折出した酸を分離し、n−ヘキサン、石油エー
テル等で再結晶する。得られるα−(p−イソブチルフ
ェニル)プロピオン酸は極めて高純度のものとなる。
〔本発明の効果〕
本発明の工程(I)においては、IBBを硫酸触媒によ
りアセトアルデヒドと反応させるため、イソブチル基の
異性化などは生じない。また、p−位の選択率良く新規
化合物であるBBEが得られる。従って、工程(I)の
結果、未反応のIBBも有効に回収でき、またBBEも
好収率で製造できる。
また工程(II)では、対称型のジアリールアルカンである
工程(I)のBBEを接触分解する。対称型のジアリー
ルアルカンを分解するので、主な分解生成物はPBSと
IBBである。IBBは前記工程(I)の出発原料とし
て再使用することができるので、本発明の方法を経済的
に価値あるものにしている。
接触分解の触媒は、プロトン酸や固体酸などを使用して
いるので、イソブチル基の異性化や、PBSの重合など
が生じることがない。それ故IBBやPBSが好収率で
得られる。また、分解副生物も容易に分離でき、PBS
も安定であるので、精製も容易にPBSおよびIBBが
高純度で得られる。工程(II)からの高純度のPBSは、
工程(III)によりカルボニル化されて、IPAまたはI
PEが得られる。PBSのカルボニル化においては、不
純物も少なく、高純度のものが得られる。アルコールを
溶媒として得られるIPEは容易に加水分解されIPA
が得られるが、水を溶媒とした場合にはIPAが直接に
製造される。この点で、PBSをオキソ反応により、一
度プロピオンアルデヒドとしてから酸化し、IPAとす
る方法よりも有利である。
以上に説明したように、本発明は、工業的に容易に入手
でき、しかも取扱い上特殊な処置を施す必要のない安全
で安定な、しかも安価な原料であるイソブチルベンゼン
(IBB)、アセトアルデヒド、硫酸、一酸化炭素およ
びメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール
等のアルコールから、わずか3段階の工程を経るだけ
で、根本的原料であるIBBから最終目的物であるα−
(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IPA)ま
たはそのエステルであるα−(p−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸エステル(IPE)を、簡単な操作
で、しかも工業的に容易に精製し得る安定な中間体を経
ることによって製造することができ、工業規模で実施す
る場合、容易で経済的な方法を完成したものと言える。
また、本発明は新規化合物のBBEに着目することによ
り、従来法に比較して安価な原料を使用して、簡単な操
作し易い中間体を経ることにより、効率良くIPAまた
はそのエステルであるIPEを製造する方法を完成した
ものであり、画期的な発明と言うことができる。
以下実施例により本発明を詳述する。
実施例 工程(I) 実験NO.1 IBB402g(3モル)と95重量%濃度の硫酸60
0g(5.8モル)を攪拌機付き2丸底フラスコに供給
し、外部を氷冷して10℃以下に保持した。攪拌下にア
セトアルデヒド44g(1モル)とIBB67g(0.5
モル)の混合液を4時間かけて徐々に滴加した。反応温
度は10℃以下に保持した。滴加終了後さらに2時間攪
拌した。反応終了後この反応液を分液ロートに移し静置
した。下層の硫酸を除去した後、振盪しながら約2%Na
OH水溶液を中性になるまで加えた。下の水層を抜きと
り、油層を蒸留釜に入れ生成物を減圧蒸留で精製し、後
記の物性を示すBBE260gを得た。BBEの収率は
アセトアルデヒドの基準で88モル%であった。
なお、アセトアルデヒド溶液添加中の、反応液中のアセ
トアルデヒド濃度は0.5重量%以下であり、反応終了時
の反応液中の硫酸濃度は93重量%であった。
また、圧力3mmHgで留出温度範囲60〜80℃の留分に
ついて、GLC、NMRにより分析したところ、原料と
して用いたIBBと全く同一の物質であることが確かめ
られた。
BBEの物性 沸点 180〜183℃/3mmHg(無色液体) 赤外吸収スペクトル(液膜法) 2960cm-1、1540cm-1、1480cm-1 1390cm-1、1370cm-1、1210cm-1 850cm-1、800cm-1 核磁気共鳴スペクトル(CCl4溶媒、δppm) 6.95 (8H 1重線) 3.7〜4.2 (1H 4重線) 2.39 (4H 2重線) 1.58 (3H 2重線) 0.87 (12H 2重線) 1.6〜2.2 (2H 多重線) 元素分析 理論値 C:89.80 H:10.20 分析値 C:89.83 H:10.06 実験NO.2〜4 IBBとアセトアルデヒドのモル比を変化させた他は、
実験NO.1と同様にして反応させ、BBEを製造した。
結果は表1に示す。
実験NO.5〜8 硫酸濃度を変化させた他は、実験NO.1と同様に反応さ
せ、BBEを製造した。その結果を表2に示す。
実験NO.9 IBB402g(3モル)と95重量%濃度の硫酸60
0g(5.8モル)を、攪拌機付き2丸底フラスコに供
給し、外部を氷冷して10℃以下に保持した。攪拌下に
アセトアルデヒド44g(1モル)とIBB67g(0.
5モル)の混合液を4時間かけて徐々に滴加した。また
同時に98重量%濃度の硫酸100g(1モル)を4時
間かけて徐々に滴加した。反応温度は10℃以下に保持
した。それぞれの滴加終了後、さらに2時間攪拌した。
反応終了後、この反応液を分液ロートに移し静置した。
下層の硫酸を除去した後、振盪しながら約2%NaOH水溶
液を中性になるまで加えた。下層の水層を抜取り、油層
を減圧蒸留して精製したところBBEの収率はアセトア
ルデヒド基準で89%であった。なお、アセトアルデヒ
ド溶液添加中の反応液中のアセトアルデヒド濃度は0.5
重量%以下であり、また反応終了後の硫酸濃度は95重
量%であった。
実験NO.10 IBB402g(3モル)と85重量%濃度の硫酸40
0g(3.8モル)とを、攪拌機付き2丸底フラスコに
供給し、外部を氷冷して10℃以下に保持した。攪拌下
にアセトアルデヒド44g(1モル)とIBB67g
(0.5モル)との混合液を4時間かけて徐々に滴加し
た。また、同時に30%発煙硫酸150gを4時間かけ
て徐々に滴加した。反応温度は10℃以下に保持した。
滴加終了後、さらに2時間攪拌した。
反応終了後、実験NO.1と同様にしてBBEを得た。B
BEの収率は、アセトアルデヒド基準で87%であっ
た。また、反応終了後の硫酸濃度は88重量%であっ
た。
比較実験NO.1〜6 IBBとアセトアルデヒドとから硫酸を使用してBBE
を製造する代りに、触媒としての硫酸およびIBBに対
するアルキル化剤を次表の如く変え、他は実験NO.1と
同様にして実施した。
IBBに対するアルキル化剤はいずれも0.2モル使用し
た。
次の表3に示す結果から解るように、BBEを収率よ
く、しかもP−位の選択性よく製造することができず、
IBBを用いるときは、アセトアルデヒドを硫酸の存在
下に反応させることが最も経済的であることが解る。
工程(II) 1,1−ビス(p−イソブチルフェニル)エタン(BB
E)の分解による p−イソブチルスチレン(PBS)およびイソブチルベ
ンゼン(IBB)の製造 実験NO.11 蒸留冷却装置、攪拌装置およびガス導入装置を取付けた
容量500mlの反応器に、実験NO.1で得たBBE14
8g(0.5モル)および触媒として珪タングステン酸5
0g(0.02モル)を仕込み、280℃まで加熱して分
解させた。温度が200℃を越えた時点で、ガス導入装
置から水素を1/分の速度で流し、分解生成物と共に
蒸留冷却装置に導き、冷却し分解生成物を捕集した。分
解生成物の留出が認められなくなるまで分解操作を行な
った。
留出物をGLC分析した結果、PBSの二重結合が水素
化された形のp−イソブチルエチルベンゼン(PBE)
7%、IBB47%、PBS39%および原料のBBE
6%であった。
各成分を分離し、MASS、IR、NMRで確認したと
ころ、IBBおよびBBEは共に原料に用いたものと全
く同一であり、イソブチル基の異性化等副反応は生じて
いないことを確認できた。
また、PBE、PBSについても、ブチル基はイソブチ
ル基であり、その置換位置はp−位であった。
実験NO.12〜14および比較実験NO.7 実験NO.11に準じて、触媒を変えて接触分解反応を実
施した。その結果を表4に示す。
実験NO.15 合成シリカ・アルミナ系のFCC-HA触媒(触媒化成工業
(株)製)を粒径0.5mm〜1mmに調整し、内径10mm、
長さ60cmのステンレス管に5ml充填した。実験NO.1
で得たBBEを5ml/hr、水素200ml/minおよび水3
0ml/hrを、予熱管を経て温度450℃で触媒層に通し
分解させた。分解物は氷冷し、気液を分離した後、有機
層についてGLC分析により分解率および選択率を確認
した。
分解物の組成はIBB30wt%、PBE6wt%、PBS
26wt%、BBE37wt%で、不明分1wt%と高い選択
性で分解されていることが確認できた。また各成分につ
いて構造分析を実験NO.11の場合と同様に行い、イソ
ブチル基が異性化されていないこと、および分解生成物
のp−位選択性が高いことを確認した。
実験NO.16〜25 FCC-HA触媒の代りに、各種の固体酸について、実験NO.
15と同様に、実験NO.1で得たBBEを接触分解し
た。その結果を表5に示す。
[非対称ジアリールアルカンの合成と分解] 参考実験NO.1 非対称ジアリールアルカンの合成 IBB670g(5モル)と95%硫酸100gとを3
の攪拌機付きフラスコに入れ、氷冷し温度10℃まで
冷却した。温度10℃に保持してIBB135g(1モ
ル)とスチレン104g(1モル)の混合物を4時間で
滴加した。滴加終了後、さらに1時間攪拌して反応を終
了した。硫酸層を分離除去した後、中和水洗し、3mmHg
の減圧で蒸留し、留出温度145〜160℃の留分であ
る1−(p−イソブチルフェニル)−1−フェニルエタ
ン(PBPE)120gを得た。
参考実験NO.2 参考実験NO.1と同様にして、スチレンの代りにp−メ
チルスチレン118g(1モル)を用いて、留出温度1
50〜165℃の留分である1−(p−イソブチルフェ
ニル)−1−(p−トリル)エタン(PBTE)80g
を得た。
比較実験NO.8 参考実験NO.1および2で合成したPBPEとPBTE
とを実験NO.15と同様にして接触分解させた。いずれ
の場合も重量分解率は55〜60%であった。
しかし、下の化学式で示すように、Aにおける分解とB
における分解との比がA/B=9〜8であり、目的物の
PBSよりも、Aにおける分解、すなわち原料であるス
チレンまたはp−メチルスチレンにもどる方向で圧倒的
に分解した。
また、分解生成物の組成はPBPEの場合は以下の通り
であった。
wt% ベンゼン 2 エチルベンゼン 2 スチレン 17 IBB 20 PBB 1 PBS 2 PBPE 55 以上の結果から、PBSへの分解効率が悪いと共に、原
料であるIBBを再使用するためには、複雑な精製工程
を経る必要があることが解る。
工程III PBSのカルボニル化によるIPAまたはIPEの製造 実験NO.26 実験NO.15で得たPBS30g、エチルアルコール2
00ml、ビストリフェニルホスフィンジクロロパラジウ
ム1gおよび30%の三フッ化ホウ素エチルエーテル溶
液0.2gを内容積500mlの攪拌機付のオートクレーブ
に入れ、一酸化炭素で80kg/cm2に加圧し、70℃で反
応させ一酸化炭素の吸収が見られなくなるまで反応させ
た。
反応終了後、オートクレーブを冷却し、未反応ガスを除
去し、内容物に炭酸カリウム粉末1gを加えた後、減圧
単蒸留により、90〜115℃/1mmHgの留分を回収
し、触媒と分離した。この留分はガスクロマトグラフィ
ーによる分析の結果、PBE0.9wt%、PBS0.4wt
%、IPE(エチルエステル)93.7wt%、β−(p−
イソブチルフェニル)プロピオン酸のエチルエステル5.
0wt5の組成であった。
上記留分を再度減圧蒸留にかけ留出温度118〜121
℃/1mmHgのIPE(エチルエステル)を39g得た。
ガスクロマトグラフによる分析の結果、その純度は99.
6%であった。またIR分析などにより標品と比較し、
その構造を確認した。
実験NO.27 実験NO.15で得たPBS30g、5%塩化水素メチル
アルコール溶液150ml、ビスジクロロトリフェニルホ
スフィンパラジウム1gを内容積500mlのオートクレ
ーブに入れ、室温で一酸化炭素により300kg/cm2まで
加圧し、加熱して90℃に達した後一酸化炭素で更に7
00kg/cm2になるまで加圧し、一酸化炭素の吸収が見ら
れなくなるまで反応させた。
反応終了後の処理を実験NO.26に準じて行ない、沸点
118〜121℃/1mmHgのIPE(エチルエステル)
23gを得た。
実験NO.28 実験NO.15で得たPBS30g、10%塩酸水溶液7
5g、ビスジクロロトリフェニルホスフィンパラジウム
0.8g、反応溶媒としてベンゼン80mlおよびアセトフ
ェノン1gを内容積500mlのオートクレーブに入れ、
常温で一酸化炭素により100kg/cm2まで加圧した。加
熱して温度100℃に達した後、更に一酸化炭素で30
0kg/cm2まで加圧し、反応による一酸化炭素の吸収がな
くなるまで反応させた。
反応終了後、冷却してベンゼン層を分離し、5%苛性ソ
ーダ水溶液50mlで3回抽出した。苛性ソーダ水溶液層
がpH2になるまで塩酸を加え、クロロホルムで抽出し
た。クロロホルムを減圧で除き、淡黄色の粗結晶37g
を得た。この粗結晶をn−ヘプタンで再結晶し、融点7
6〜77℃の白色結晶であるIPAを得た。再結晶によ
る回収率は78%であった。白色結晶のエタノール溶液
の紫外線吸収は220mμに最大吸収があり、その他2
57mμ、263mμ、272mμ、に微小吸収が認め
られた。また、IR分析の結果標品と同一であることが
確認された。
実験NO.29 ビスフェニルホスフィンジクロロパラジウムの代りに、
塩化パラジウム0.37gとトリフェニルホスフィン0.6
3gを用いて実験NO.26と同様にして実施し、実験NO.
26と同様の結果を得た。
実験NO.30 ビスフェニルホスフィンジクロロパラジウムの代りに、
パラジウムジベンジリデンアセトン0.7gとジフェニル
ネオペンチルホスフィン1.2gを用い、三フッ化ホウ素
エチルエーテル溶液の代りにトリフルオロ酢酸2mlを用
い、実験NO.26と同様にして実施した結果、純度99.
3%のIPE(エチルエステル)29gを得た。
参考実験 エステルの加水分解 実験NO.26で得られたIPE(エチルエステル)10
gと15%苛性ソーダ水溶液150mlとを混合し、還流
温度で3時間加水分解を行なった。
冷却後、エチルエーテルで油分を抽出洗浄し、水層にpH
2になるまで塩酸を加えた。四塩化炭素で抽出し、減圧
で四塩化炭素を除去し、淡黄色の粗結晶8.2gを得た。
粗結晶をn−ヘプタンで再結晶し、融点75〜76℃の
白色結晶6.9gを得た。
この結晶は標品と比較した結果、実験NO.28と同一物
質でIPAであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 2/86 9280−4H 4/18 9280−4H 15/16 9280−4H 15/46 9280−4H 51/14 9356−4H 67/38 8018−4H 69/612 8018−4H // C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程(I)、(II)および(III)からな
    ることを特徴とするα−(p−イソブチルフェニル)プ
    ロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造方法、 (I)イソブチルベンゼンとアセトアルデヒドとを硫酸
    触媒の存在下に反応させ、1,1−ビス(p−イソブチル
    フェニル)エタンを製造する工程、 (II)プロトン酸および/または固体酸触媒により、上記
    1,1−ビス(p−イソブチルフェニル)エタンを温度2
    00〜650℃で接触分解することにより、イソブチル
    ベンゼンとp−イソブチルスチレンを製造する工程、お
    よび (III)上記p−イソブチルスチレンと一酸化炭素および
    水またはアルコールとを、カルボニル化錯体触媒の存在
    下に、40〜150℃で反応させることにより、α−
    (p−イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそのア
    ルキルエステルを製造する工程。
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