JPH0742247B2 - 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオン酸および/またはそのエステルの製造方法 - Google Patents

〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオン酸および/またはそのエステルの製造方法

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JPH0742247B2
JPH0742247B2 JP62169391A JP16939187A JPH0742247B2 JP H0742247 B2 JPH0742247 B2 JP H0742247B2 JP 62169391 A JP62169391 A JP 62169391A JP 16939187 A JP16939187 A JP 16939187A JP H0742247 B2 JPH0742247 B2 JP H0742247B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
を脱水素し、続いてヒドロエステル化することにより
[(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオン酸を
高純度で、かつ効率的、経済的に製造する方法に関する
ものである。更に詳しくは、1−フェニル−1−エチル
フェニル−エタンからの脱水素で生成する1−フェニル
−1−ビニルフェニル−エチレンと1−フェニル−1−
エチルフェニル−エチレンとの混合物を選択的にヒドロ
エステル化して、医薬品、農薬をはじめとする合成化学
分野で有用な中間体である[(1−フェニルエテニル)
フェニル]プロピオン酸を製造する方法に関するもので
ある。
[従来技術とその問題点] 置換アリールプロピオン酸化合物にはそれ自体が有用な
医薬品があり、従来からのその製造方法について多くの
提案された方法がある。なかでもα−(m−ベンゾイル
フェニル)プロピオン酸は、解熱、鎮痛、消炎などの効
果が優れており、商品名:ケトプロフェンとして有用な
物質である。本発明の目的物である[(1−フェニルエ
テニル)フェニル]プロピオン酸および/またはそのア
ルキルエステルの位置異性体の1つであるα−[m−
(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオン酸およ
び/またはそのエステルは、それ自体を酸化して加水分
解するか、またはこれを加水分解した後に酸化すること
により、容易に商品名:ケトプロフェンに変換すること
ができる。ケトプロフェンについては従来から種々の製
造法が提案されており、代表的な方法としては次のよう
なものがある。
(1)3−ベンゾイルプロピオンフェノンをオルトギ酸
メチルの存在下に、硝酸タリウムで反応させることによ
り、ケトプロフェンメチルエステルを得る。これを常法
により加水分解することによりケトプロフェンを得る
(イギリス特許2,019,393号公報)。
(2)3−アセチルベンゾフェノンとクロロホルムと
を、塩基性条件下に、第四級アンモニウム塩の存在下に
反応させ、α−アリールプロペン酸を得た後、更にパラ
ジウム炭素を触媒として接触水素化還元し、ケトプロフ
ェンを得る(特開昭55−7225号公報)。
しかしながら、上記の方法はいずれも有毒なタリウムを
使用したり、原料自体の製造が容易でないこと、および
収率が低く効率的でないことなどの欠点があり、工業的
な製法としては十分とはいえない。
本発明の目的は、ケトプロフェンについての例示をはじ
めとして、実用面からも好ましい置換アリールプロピオ
ン酸類を安価に合成することを可能にする、有機合成工
業上有用な中間体を効率的に製造することにある。
[問題点を解決するための手段] すなわち本発明は、下記工程(I)および工程(II)か
らなることを特徴とする[(1−フェニルエテニル)フ
ェニル]プロピオン酸および/またはそのエステルの製
造方法を提供するものである。
工程(I): 一般式(A)で表わされる1−フェニル−1−エチルフ
ェニル−エタンを不活性気体の共存下に、温度400℃か
ら650℃において、酸化鉄系および/または酸化クロム
系脱水素触媒と接触させ、一般式(B)で表わされる1
−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンおよび一般
式(C)で表わされる1−フェニル−1−ビニルフェニ
ル−エチレンを得る工程、および 工程(II): 工程(I)で得られた少なくとも一般式(B)で表わさ
れる1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンおよ
び一般式(C)で表わされる1−フェニル−1−ビニル
フェニル−エチレンを含む脱水素反応物を、反応温度40
〜200℃および反応圧力5kg/cm2以上の条件で、パラジウ
ム系カルボニル化触媒の存在下で、一般化炭素および水
および/または炭素数1から4の低級アルコールにより
ヒドロエステル化し、選択的に一般式(C)で表される
1−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンをヒドロ
エステル化する工程。
本発明の方法によれば、医薬や農薬を、またはそれらを
製造するための中間体を、効率的に製造することが可能
である。
本発明の方法の出発物質は、一般式(A)で表わされる
1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンである。1
−フェニル−1−エチルフェニル−エタンは、1,1−ジ
フェニルエタンの一方のフェニル基に1つのエチル基が
置換したものであり、エチル基の置換する位置は、オル
ト、メタ、パラの何れの位置の異性体でもよく、またこ
れらの混合物でも差し支えない。1−フェニル−1−エ
チルフェニル−エタンは、従来公知の方法で製造された
ものであれば何れも好ましく使用できる。この1−フェ
ニル−1−エチルフェニル−エタンの製造方法について
の具体例としては、 エチルベンゼンとスチレンとを、活性白土、硫酸などの
酸触媒でアルキル化する方法、 および エチルベンゼンを無水塩化アルミニウムなどのフリーデ
ル・クラフツ触媒によってα−メチルベンジルクロリド
と反応させる方法、 などがある。
また、上記のようにそれ自体を目的として製造された1
−フェニル−1−エチルフェニル−エタンのほか、副生
した1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンでもよ
い。この副生1−フェニル−1−エチルフェニル−エタ
ンの具体例には、スチレンモノマー製造プロセスの一環
として実施されているベンゼンのエチレンによるアルキ
ル化工程で副生する重質留分中の副生1−フェニル−1
−エチルフェニル−エタンがある。このエチルベンゼン
を回収した残油である重質副生留分中の沸点260℃から3
30℃(常圧換算)の留分には1−フェニル−1−エチル
フェニル−エタンが存在しており、この留分も好ましい
出発物質となる。
本発明の工程(I)は、1−フェニル−1−エチルフェ
ニル−エタンを脱水素触媒で脱水素して、主として1−
フェニル−1−エチルフェニル−エチレンや1−フェニ
ル−1−ビニルフェニル−エチレンに変換する工程であ
る。
本発明の工程(I)の脱水素触媒は、酸化鉄系触媒、酸
化クロム系触媒、またはこれら酸化物の混合触媒であ
る。この触媒は、酸化鉄、酸化クロムまたはその混合物
を主成分とし、適宜にモリブデン、バナジウム、マンガ
ン、亜鉛、銅等の酸化物を助触媒としてもよい。また、
脱水素効率を改善するための目的で、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属であるナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、カルシウム、バリウム等の酸化物を添加したもの
でも好い。これらの触媒は、酸化鉄、酸化クロムそれ自
体を主成分とするもので構成されていてもよく、また適
宜の担体、例えば、アルミナ、シリカアルミナ、シリカ
などに担持させた担持触媒でも好い。
本発明の工程(I)は、不活性気体の存在下で稀釈して
行う。この不活性気体は、脱水素反応を阻害せず、脱水
素触媒の触媒毒にならないものであれば適宜選択でき
る。例えば、不活性気体としては、窒素、水素、ヘリウ
ム、アルゴン、水蒸気などの無機気体の外、メタンなど
の有機ガス物質である。これら不活性気体のうち、水蒸
気が取扱いを考慮したときに実際面では好ましい稀釈剤
である。
不活性気体による稀釈は1−フェニル−1−エチルフェ
ニル−エタンに対する不活性気体のモル比で10倍以上が
好ましい。稀釈率が低過ぎる場合には、脱水素効率が低
く効率的でなくなると共に、コーキングによって触媒の
寿命が短くなり好ましくない。稀釈は、不活性気体の使
用比率が大きいほど効果的であるが、実用的には1−フ
ェニル−1−エチルフェニル−テタンに対するモル比で
500倍程度が上限である。
脱水素触媒に対して、1−フェニル−1−エチルフェニ
ル−エタンは、触媒単位重量に対して時間当り0.1から
5重量倍を供給することが好ましい。供給量がこの値未
満であるときには、原料である1−フェニル−1−エチ
ルフェニル−エタンが分解したり、2つのフェニル基が
置換しているエチル基部分で脱メチル化が生じて好まし
くない。また、供給量が5重量倍を越えると、脱水素効
率が低くなり過ぎて効率的でなくなる。
脱水素触媒との接触は温度400℃から650℃の範囲が好ま
しく、更に好ましくは、500℃から600℃の範囲である。
400℃未満では、脱水素効率が低く実用的ではない。一
方、650℃を越えるときには、1−フェニル−1−エチ
ルフェニル−エタン自体の接触分解や脱メチル化が著し
くなり好ましくない。
脱水素圧力は、脱水素反応の平衡から、減圧であるほど
好ましいが、通常は減圧から10kg/cm2程度の圧力であ
る。
本発明の工程(I)は、上記条件で1−フェニル−1−
エチルフェニル−エタンの脱水素を行い、主として1−
フェニル−1−エチルフェニル−エチレンおよび1−フ
ェニル−1−ビニルフェニル−エチレンに脱水素し変換
するものである。即ち、原料1−フェニル−1−エチル
フェニル−エタンは、2つのフェニル基の置換したエチ
ル部分がエチレンに変換された式(B)で表わされる内
部オレフィンである1−フェニル−1−エチルフェニル
−エチレンと、1−フェニル−1−エチルフェニル−エ
タン中の2つのエチル部分が共に脱水素を受けた式
(C)で表わされるジオレフィンである1−フェニル−
1−ビニルフェニル−エチレンとに主として変換され
る。また、少量の脱水素物として、フェニル基に置換し
ているエチル基がビニル基に変換された外部オレフィン
である1−ビニルフェニル−1−フェニルエタンも副生
し、これも通常の蒸留操作では脱水素生成物から分離し
難いが、本発明の方法では何ら支障はない。即ち、これ
を特に分離することなく次の工程(II)に送ることが出
来る。
脱水素効率にもよるが、原料1−フェニル−1−エチル
フェニル−エタンも一部未反応のままで留出してくる
が、これもそのままで次の工程(II)には何ら支障はな
い。
上記工程(I)からの脱水素生成物は、通常の工業的分
離方法、例えば工業的な蒸留により分離し、1−フェニ
ル−1−エチルフェニル−エチレンと1−フェニル−1
−ビニルフェニル−エチレンとを含む留分として回収
し、次の工程に送られる。ここで、本工程(I)で得ら
れる1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンと1
−フェニル−1−ビニルフェニル−1−エチレンとは互
いに、また原料たる1−フェニル−1−エチルフェニル
−エタンとも、その沸点が近接しているために、工業的
な分離方法、例えば通常の蒸留方法等では分離し難い。
それ故、次の工程に送られる留分には、工業的な分離操
作による限りは、少なくとも1−フェニル−1−エチル
フェニル−エチレンと1−フェニル−1−ビニルフェニ
ル−エチレンとが共に含まれざるを得ない。更に、本発
明の脱水素触媒は、本発明の出発原料に対して極めて脱
水素効率が高く、好ましい触媒ではあるが、上述のよう
に分子量、化学構造的にも類似の少なくとも2種の不飽
和炭化水素の生成が避けられないという欠点がある。
しかしながら、本発明の工程(I)から工程(II)に移
行する際に、工程(I)で得られた個々の生成物をそれ
ぞれ分離する必要はなく、また式(B)で表される内部
オレフィン、式(C)で表されるジオレフィン、式
(A)で表される原料の1−フェニル−1−エチルフェ
ニル−エタンを個々の成分に分離することは、上述のよ
うに、実際上不可能である。このように反応物は特に精
製する必要はないが、必要に応じて工程(I)で副生す
る軽質の分解生成物や重質の重合物などを適宜に分離す
ることができる。それ故、本発明においては、単なる工
業的な蒸留操作によるのみで、そのまま工程(I)から
の反応生成物を回収し、次の工程(II)に送ることがで
きるという特徴を有する。工程(II)のための原料とし
ては、2〜3mmHgの減圧度で80〜170℃、好ましくは90〜
160℃の沸点範囲にある留分である。
本発明の工程(II)は、工程(I)で製造された、少な
くとも1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンと
1−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンとを含む
反応物を一酸化炭素および水またはアルコールでヒドロ
エステル化する工程である。原料における置換基の位置
はヒドロエステル化の生成物でもそのまま保持される。
アルコールは、炭素数1〜4の低級アルコールであり、
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール、ブタノールなどが例示される。炭素数が
5を越えるアルコールは、ヒドロエステル化の反応速度
が低下するので好ましくない。
本発明の工程(II)のヒドロエステル化では、工程
(I)で製造された主として1−フェニル−1−エチル
フェニル−エチレンと1−フェニル−1−ビニルフェニ
ル−エチレンとを含む反応物で置換基を有するフェニル
基が1つ置換したエチレン部分のみが選択的にヒドロエ
ステル化を受ける。即ち、式(B)で表される1−フェ
ニル−1−エチルフェニル−エチレンは、このヒドロエ
ステル化を受けない。また、式(C)で表される1−フ
ェニル−1−ビニルフェニル−エチレンは、外部のエチ
レン部分のみヒドロエステル化を受け、フェニル基が2
つ置換している内部オレフィンは全くヒドロエステル化
を受けない。従って、工程(I)で得られた混合物中の
原料である式(A)の1−フェニル−1−エチルフェニ
ル−エタンおよび式(B)の1−フェニル−1−エチル
フェニル−エチレンは、このヒドロエステル化では変化
しない。これに対して、式(C)の1−フェニル−1−
ビニルフェニル−エチレンは、ヒドロエステル化によっ
て目的物である[(1−フェニルエテニル)フェニル]
プロピオン酸および/またはそのエステルに変換され
る。
本発明のヒドロエステル化触媒は、パラジウムを活性金
属とするパラジウム系カルボニル化触媒である。パラジ
ウムは、酸化数は0から最高位酸価数まで使用でき、ハ
ロゲン族原子、3価のリン化合物、π−アリル基、アミ
ン、ニトリル、オキシム、オレフィン、水素あるいは一
酸化炭素を配位子として含有する錯体なども用いること
ができる。
具体例としては、ビストリフェニルホスフィンジクロロ
錯体、ビストリブチルホスフィンジクロロ錯体、ビスト
リシクロヘキシルホスフィンジクロロ錯体、π−アリル
トリフェニルホスフィンジクロロ錯体、トリフェニルホ
スフィンピペリジンジクロロ錯体、ビスベンゾニトリル
ジクロロ錯体、ビスシクロヘキシルオキシジクロロ錯
体、1,5,9−シクロドデカトリエンジクロロ錯体、ビス
トリフェニルホスフィンジカルボニル錯体、ビストリフ
ェニルホスフィンアセテート錯体、ビストリフェニルホ
スフィンジナイトレート錯体、ビストリフェニルホスフ
ィンスルファート錯体、テトラキストリフェニルホスフ
ィン錯体、および一酸化炭素を配位子の一部に持つ、ク
ロロカルボニルビストリフェニルホスフィン錯体、ヒド
リドカルボニルトリストリフェニルホスフィン錯体、ビ
スクロロテトラカルボニル錯体、ジカルボニルアセチル
アセトナート錯体等を挙げることができる。
また、パラジウムは、反応系において上記の錯体を形成
し得る化合物としても用いることができる。即ち、パラ
ジウムの酸化物、硫酸塩、塩化物、酢酸塩等に対して配
位子となり得る化合物、すなわち、ホスフィン、ニトリ
ル、アリル化合物、アミン、オキシム、オレフィン、あ
るいは一酸化炭素を同時に反応系に存在させる方法でも
よい。
ホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィ
ン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、ト
リシクロヘキシルホスフィン、トリエチルホスフィン
等、ニトリルとしては、例えばベンゾニトリル、アクリ
ロニトリル、プロピオニトリル、ベンジルニトリル等、
アリル化合物としては、例えば、アクルクロライド、ア
リルアルコール等、アミンとしては、例えば、ベンジル
アミン、ピリジン、ピペラジン、トリ−n−ブチルアミ
ン等、オキシムとしては、シクロヘキシルオキシム、ア
セトオキシム、ベンズアルドオキシム等、オレフィンと
しては、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロデカ
トリエン等が挙げられる。
更に、反応速度を向上させる目的で、塩化水素や三弗化
ホウ素などの無機ハロゲン化物や、ヨウ化メチルなどの
有機ヨウ化物を添加することができる。
これらハロゲン化物を添加する場合は、パラジウム化合
物1モルに対して、ハロゲン原子として0.1〜30倍モ
ル、好ましくは1〜15倍モル使用する。添加量が0.1モ
ル未満の場合、触媒の種類によっても異なるが、添加の
効果が見られないこともある。また、30倍モルを越える
ときは、触媒活性が却って低下すると共に、出発物質で
ある1−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンの二
重結合にハロゲンが付加する等の目的反応以外の副反応
が顕著になり好ましくない。
パラジウム錯体化合物またはパラジウム化合物の使用量
は、一般式(C)で表される1−フェニル−1−ビニル
フェニル−エチレン1モルに対して0.0001〜0.5モル、
好ましくは0.001〜0.1モルである。また、パラジウム化
合物を使用する場合、配位子となり得る化合物の添加量
は、パラジウム化合物1モルに対して0.8〜10モルであ
り、好ましくは1〜4モルである。
ヒドロエステル化反応は、水および/または炭素数1か
ら4の低級アルコールの共存下で、一酸化炭素の吸収に
よる圧力減少が認められなくなるまで行えばよく、通常
は4〜20時間の反応時間で充分である。また、一酸化炭
素は純粋な一酸化炭素を供給すれば充分であるが、ヒド
ロエステル化反応に不活性な気体が共存してもよい。
ヒドロエステル化において、水の共存下では目的物の
[(1−フェニルエステル)フェニル]プロピオン酸が
直接製造される。この場合には反応溶剤として、例え
ば、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの
ような、水溶性でヒドロエクセル化を抑制しない溶剤を
用いると好ましいこともある。
また、ヒドロエステル化において炭素数1から4の低級
アルコールの共存下では、[(1−フェニルエテニル)
フェニル]プロピオン酸のアルキエステルが製造され、
このエステルは、通常の加水分解によって、容易に
[(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオン酸へ
変換できる。具体的には、苛性ソーダ水溶液と共に加熱
し、その後塩酸、硫酸などで酸性にし、遊離したカルボ
ン酸を有機溶媒で抽出すれば良い。
ヒドロエステル化反応は、反応温度は40〜200℃、好ま
しくは50〜180℃で行う。反応温度が40℃未満では反応
速度が著しく遅くなり、実用上実施することができな
い。また、200℃を越える温度では、重合等の副反応や
遷移金属ヒドロエステル化触媒の分解が生じ好ましくな
い。
反応圧力は5kg/cm2以上であれば適宜に選択できる。5kg
/cm2未満では、実用上実施することができない程反応が
遅くなる。また、圧力は高い程反応が速やかに進行し好
ましいが、圧力が高過ぎると、反応器の耐圧を非常に高
くする必要があるなど、製造装置の点から自ずと限界が
ある。従って、実用上は500kg/cm2以下の圧力で充分で
ある。
本発明のヒドロエステル化において、ヒドロエステル化
に不活性な溶媒を反応熱除去などの目的で用いることも
できる。ヒドロエステル化に不活性な溶媒としては、エ
ーテル、ケトンなどの極性溶媒や、パラフィン、シクロ
パラフィン、芳香族炭化水素のような無極性溶媒が挙げ
られる。しかし、一般には反応条件下で、反応原液が液
相である限りは、無溶媒の状態で充分好ましい結果が得
られる。
工程(II)のヒドロエステル化によって、工程(I)で
得られた混合物中のヒドロエステル化の原料である式
(A)の1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンお
よび式(B)の1−フェニル−1−エチルフェニル−エ
チレンはこのヒドロエステル化では実質的に変化せず、
一方、式(C)の1−フェニル−1−ビニルフェニル−
エチレンは、ヒドロエステル化によって、目的物である
[(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオン酸お
よび/またはそのエステルに変換される。また、この工
程(II)で水とのヒドロエステル化反応による反応物中
の式(A)の1−フェニル−1−エチルフェニル−エタ
ン、式(B)の1−フェニル−1−エチルフェニル−エ
チレンと目的物たる[(1−フェニルエテニル)フェニ
ル]プロピオン酸とは、例えばアルカリ水溶液による抽
出で容易に分離され、またアルコールとの反応物である
[(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオン酸ア
ルキルエステルとは、通常の分離方法である、例えば、
蒸留操作で容易に分離することができる。従って、本発
明によれば目的物を純度良く製造することが可能とな
る。また工程(II)で得られた混合物から分離された式
(A)の1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
と、式(B)の1−フェニル−1−エチルフェニル−エ
チレンとは、再び(I)の原料として再使用することが
好ましい。
本発明の方法により得られる[(1−フェニルエテニ
ル)フェニル]プロピオン酸および/またはそのエステ
ルの位置異性体の一つであるα[m−(1−フェニルエ
テニル)フェニル]プロピオン酸および/またはそのア
ルキルエステルは、それ自体を酸化するか、あるいはこ
れを加水分解して酸化する、もしくは酸化した後に加水
分解することにより、容易に商品名:ケトプロフェンが
得られる。
[発明の効果] 本発明においては、分解工程である工程(I)からの反
応生成物を、単なる工業的な蒸留操作によるのみで、そ
のまま工程(I)から回収し、特に特殊な精製操作をす
ることなく次の工程(II)に送ることができるものであ
る。かかる操作を行っても、本発明においては高純度な
目的物が得られる。
異性体オレフィンなどが副生するような反応を利用する
ことなどは通常考えられないことのである。しかしなが
ら、本発明においては上述の理由によりこれが可能であ
る。
従って、本発明は、脱水素触媒の高い触媒効率を最大限
に発揮でき、経済的であり、工業的に極めて価値のある
方法である。
[実施例] 以下実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例1 工程(I)1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
の脱水素 酸化鉄系脱水素触媒として日産ガードラー社製G−64C
(商品名)を15から25メッシュに粒度を揃えたものを使
用した。常圧換算の沸点285℃から290℃の留分である1
−フェニル−1−エチルフェニル−エタンを10ml/hr、
水100ml/hrで、連続的に560℃の反応管に供給し、反応
管出口を冷却し、分離静置後の油層についてガスクロマ
トグラムで分析した。反応開始後4時間から76時間目ま
での油層の分析結果を以下に示す。
実施例2 酸化クロム/酸化鉄系脱水素触媒としての日産ガードラ
ー社製G−64A(商品名)を用いた他は、実施例1と同
様にして1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンの
脱水素を行った。
反応開始後4時間から12時間分の油層についてのガスク
ロマトグラム分析結果を以下に示す。
実施例3 1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンの脱水素に
ついて、以下の第3表に示す条件で行なった他は、実施
例1と同様にして脱水素の実験を行った。
その結果を同じく第3表に示す。
実施例4 工程(II)ヒドロエステル化 実施例1で得られた反応物を、2mmHgか3mmHgの減圧度で
蒸留して留出温度100℃から150℃の留分(回収率94%)
についてヒドロエステル化を行った。
100gの上記留分、メチルアルコール20g、塩化パラジウ
ム170mgおよびトリフェニルホスフィン0.5gを内容積500
mlの撹拌機付耐圧反応器に仕込み、一酸化炭素で圧力90
kg/cm2に保ち、温度120℃で12時間反応させた。反応終
了後冷却し、未反応ガスを放出した後、減圧蒸留で2mmH
gから3mmHgの留出温度120℃から138℃の留分(イ)54.2
gおよび留出温度142℃から148℃の留分(ロ)52.3gを得
た。
留分(イ)の組成は1−m−エチルフェニル−1−フェ
ニルエタン37.8%、1−m−エチルフェニル−1−フェ
ニルエチレン59.2%であり、工程(I)における脱水素
生成物の1つである1−フェニル−1−(m−エチルフ
ェニル)−エチレンは工程(II)のヒドロエステル化で
は反応しないことが確認できた。
留分(ロ)の組成は[m−(1−フェニルエテニル)フ
ェニル]プロピオン酸メチルエステルは純度96.8%であ
り、α−アリール体/β−アリール体の比は15.7であっ
た。また、該[m−(1−フェニルエテニル)フェニ
ル]プロピオン酸メチルエステルの2つのフェニル基が
置換したビニリデン部分の二重結合は保持されており、
1つのフェニル基が置換したエチレン部分のみがヒドロ
エステル化されていた。
実施例5 ヒドロエステル化触媒として0.68gのジクロロパラジウ
ムビストリフェニルホスフィンおよび0.3gのトリフェニ
ルホスフィンを用いた他は、実施例4と同様にして、工
程(I)の反応物をヒドロエステル化した。
減圧蒸留で得られた留分(イ)の組成および回収率は実
施例4と同様であった。分析結果によると、留分(ロ)
は[m−(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオ
ン酸メチルエステルの純度は94.7%で、α−アリール体
/β−アリール体の比は18.9であり、1つのフェニル基
が置換したエチレン部分のみがヒドロエステル化されて
いた。
実施例6 ヒドロエステル化において、メチルアルコールの代りに
sec−ブチルアルコール40gを用いた他は実施例4と同様
にしてヒドロエステル化を実施した。
0.5mmHgから1mmHgの減圧度における減圧蒸留によって得
られた留出温度138から148℃の留分は、[m−(1−フ
ェニルエテニル)フェニル]プロピオン酸sec−ブチル
エステルであり、実施例4および5で得られた留分
(ロ)と同様に、2つのフェニル基が置換したエチレン
部分はヒドロエステル化されず、二重結合がそのまま保
持されていた。
参考実験例 メチルエステルの酸化、加水分解によるケトプロフェン
の製造 実施例4で得られた留分(ロ)を精密蒸留し、0.5mmHg
から1mmHgの減圧度における留出温度125℃から130℃の
留分であるα−[m−(1−フェニルエテニル)フェニ
ル]プロピオン酸メチルエステルを得た(純度:98.3
%、α−アリール体/β−アリール体比:72)。
上記留分36gをベンゼン250mlに溶解し、水250mlを加え
て激しく撹拌して懸濁させた。懸濁状態を保ちながら、
2%過マンガン酸カリウム水溶液2を徐々に2時間で
滴下し、滴下終了後も撹拌を継続し、室温で18時間反応
させた。
反応終了後、濃硫酸を加えて酸性として、亜硫酸ナトリ
ウムを35g加えた後、更に水500mlを加えエーテル150ml
で3回抽出した。エーテル溶液を水で洗浄した後、エー
テルを留去し、残留油分に5%苛性ソーダ水溶液を加え
て、還流温度に5時間保った。
冷却後、塩酸を加えて酸性にし、エーテルで抽出した。
エーテルを蒸発除去し、得られた固形物をベンゼン石油
エーテルを用いて再結晶し、23gのα−(m−ベンゾイ
ルフェニル)プロピオン酸(商品名:ケトプロフェン)
を得た。融点、スペクトルなどは標品と同一であった。
実施例5および6のアルキルエステルについても同様に
酸化および加水分解することにより、ケトプロフェンが
得られることを確認した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 31/24 C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記工程(I)および工程(II)からなる
    ことを特徴とする[(1−フェニルエテニル)フェニ
    ル]プロピオン酸および/またはそのエステルの製造方
    法、 工程(I): 一般式(A)で表わされる1−フェニル−1−エチルフ
    ェニル−エタンを、不活性気体の共存下に、温度400℃
    から650℃において、酸化鉄系および/または酸化クロ
    ム系脱水素触媒と接触させて、少なくとも一般式(B)
    で表わされる1−フェニル−1−エチルフェニル−エチ
    レンおよび一般式(C)で表わされる1−フェニル−1
    −ビニルフェニル−エチレンとを含む脱水素反応物を得
    る工程、および 工程(II): 工程(I)で得られた少なくとも一般式(B)で表わさ
    れる1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンおよ
    び一般式(C)で表わされる1−フェニル−1−ビニル
    フェニル−エチレンを含む脱水素反応物を、温度40〜20
    0℃、反応圧力5kg/cm2以上の条件で、パラジウム系カル
    ボニル化触媒の存在下で、一酸化炭素と水および/また
    は炭素数1から4の低級アルコールによりヒドロエステ
    ル化し、選択的に一般式(C)で表される1−フェニル
    −1−ビニルフェニル−エチレンをヒドロエステル化す
    る工程。
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