JPH0742243B2 - 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオンアルデヒドの製造方法 - Google Patents

〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオンアルデヒドの製造方法

Info

Publication number
JPH0742243B2
JPH0742243B2 JP62169390A JP16939087A JPH0742243B2 JP H0742243 B2 JPH0742243 B2 JP H0742243B2 JP 62169390 A JP62169390 A JP 62169390A JP 16939087 A JP16939087 A JP 16939087A JP H0742243 B2 JPH0742243 B2 JP H0742243B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phenyl
ethylphenyl
ethylene
reaction
ethane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62169390A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6413048A (en
Inventor
五十雄 清水
英樹 野村
和道 内田
泰男 松村
裕 新井
Original Assignee
日本石油化学株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本石油化学株式会社 filed Critical 日本石油化学株式会社
Priority to JP62169390A priority Critical patent/JPH0742243B2/ja
Publication of JPS6413048A publication Critical patent/JPS6413048A/ja
Publication of JPH0742243B2 publication Critical patent/JPH0742243B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
を脱水素し、続いてヒドロフォルミル化することにより
[(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオンアル
デヒドを効率的、経済的、かつ高純度に製造する方法に
関するものである。更に詳しくは、1−フェニル−1−
エチルフェニル−エタンからの脱水素で生成する1−フ
ェニル−1−ビニルフェニル−エチレンと1−フェニル
−1−エチルフェニル−エチレンとの混合物を選択的に
ヒドロフォルミル化して、医薬品や農薬をはじめとする
合成化学分野で有用な中間体である[(1−フェニルエ
テニル)フェニル]プロピオンアルデヒドを製造する方
法に関するものである。
[従来技術とその問題点] 置換アリールプロピオン酸化合物にはそれ自体が有用な
医薬品が含まれており、従来からのその製造方法につい
て多くの方法が提案されている。なかでもα−(m−ベ
ンゾイルフェニル)プロピオン酸は、解熱、鎮痛、消炎
効果が優れており、ケトプロフェン(商品名)として有
用な物質な物質である。本発明の目的物である[(1−
フェニルエテニル)フェニル]プロピオンアルデヒドの
1つの位置異性体であるα−[m−(1−フェニルエテ
ニル)フェニル]プロピオンアルデヒドを酸化すること
によって容易に変換できる前記ケトプロフェンについて
は、従来から種々の製造法が提案されており、その代表
的なものとしては次のような方法がある。
(1)3−ベンゾイルプロピオフェノンをオルトギ酸メ
チルの存在下に、硝酸タリウムで反応させることによ
り、ケトプロフェンメチルエステルを得る。これを常法
により加水分解することによりケトプロフェンが得られ
る(英国特許2,019,393号公報)、および (2)3−アセチルベンゾフェノンとクロロホルムと
を、塩基性条件下に、第四級アンモニウム塩の存在下に
反応させ、α−アリールプロペン酸を得た後、更にパラ
ジウム炭素を触媒として接触水素化還元し、ケトプロフ
ェンを得る(特開昭55−7225号公報)。
しかしながら、上記の方法はいずれも有毒なタリウムを
使用したり、原料それ自体の製造が容易でないこと、収
率が低く効率的でないこと等の欠点があり、工業的な製
法としては十分とはいえない。
本発明の目的は、ケトプロフェンで例示される化合物を
はじめとして、実用面からも好ましい置換アリールプロ
ピオン酸類を安価に合成することを可能にする、有機合
成工業上有用な中間体を高純度で、経済的、効率的に製
造することにある。
[問題を解決するための手段] 即ち本発明は、下記工程(I)および工程(II)からな
ることを特徴とする[(1−フェニルエテニル)フェニ
ル]プロピオンアルデヒドの製造方法、 工程(I):一般式(A)で表わされる1−フェニル−
1−エチルフェニル−エタンを、不活性気体の共存下
に、温度400℃から650℃において、酸化鉄系および/ま
たは酸化クロム系脱水素触媒と接触させて、少なくとも
一般式(B)で表わされる1−フェニル−1−エチルフ
ェニル−エチレンおよび一般式(C)で表わされる−1
−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンを含む脱水
素反応物を得る工程、および 工程(II):工程(I)において得られた、少なくとも
一般式(B)で表わされる1−フェニル−1−エチルフ
ェニル−エチレンおよび一般式(C)で表わされる1−
フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンを含む脱水素
反応物を、反応温度:40〜200℃、反応圧力:5kg/cm2以上
の条件下で、遷移金属カルボニル化触媒の存在下で、一
酸化炭素および水素によりヒドロフォルミル化する工
程、 を提供して、医薬や農薬として、またはそれらを製造す
るための中間体を、効率的にかつ高純度で製造すること
を可能ならしめるものである。
本発明の方法の出発物質は、一般式(A)で表わされる
1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンである。1
−フェニル−1−エチルフェニル−エタンは、1,1−ジ
フェニルエタンの一方のフェニル基に1つのエチル基が
置換したものであり、エチル基の置換する位置は、オル
ト、メタ、パラの何れの位置の異性体でもよく、またこ
れらの混合物でも差し支えない。
1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンは従来公知
の方法で製造されたものであれば何れも好ましく使用で
きる。この1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
の製造方法についての具体例としては、 エチルベンゼンとスチレンとを活性白土、硫酸などの酸
触媒でアルキル化する方法、および エチルベンゼンを無水塩化アルミニウムなどのフリーデ
ル・クラフツ触媒によってα−メチルベンジルクロリド
と反応させる方法、 などがある。また、上記のように、その化合物自体を目
的として製造された1−フェニル−1−エチルフェニル
−エタンのほか、副生した1−フェニル−1−エチルフ
ェニル−エタンでもよい。この副生1−フェニル−1−
エチルフェニル−エタンの具体例としては、スチレンモ
ノマー製造プロセスの一環として実施されているベンゼ
ンのエチレンによるアルキル化工程で副生する重質留分
中の副生1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンが
ある。エチルベンゼンを回収した残油である重質副生留
分中の沸点260℃から330℃(常圧換算)の留分には、1
−フェニル−1−エチルフェニル−エタンが存在してお
り、この留分も本発明の好ましい出発物質となる。
本発明の工程(I)は、1−フェニル−1−エチルフェ
ニル−エタンを脱水素触媒で脱水素し、主として1−フ
ェニル−1−エチルフェニル−エチレン、1−フェニル
−1−ビニルフェニル−エチレンに変換し、少なくとも
これらを含む脱水素反応物を得る工程である。
本発明の工程(I)の脱水素触媒は、酸化鉄系触媒、酸
化クロム系触媒またはこれら酸化物の混合触媒である。
この触媒は、酸化鉄、酸化クロムまたはその混合物を主
成分とし、モリブデン、バナジウム、マンガン、亜鉛、
銅等の酸化物を適宜助触媒としてもよい。また、脱水素
効率を改善するための目的で、アルカリ金属やアルカリ
土類金属であるナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム、バリウム等の酸化物を添加したものでも好
い。これらの触媒は、酸化鉄、酸化クロムそれ自体を主
成分とするもので構成されていてもよい。また、適宜の
担体、例えば、アルミナ、シリカアルミナ、シリカなど
に担持させた担持触媒でもよい。
本発明の工程(I)は、不活性気体の存在下で稀釈して
行う。この不活性気体は、脱水素反応を阻害せず、脱水
素触媒の触媒毒にならないものであれば適宜に選択でき
る。例えば、不活性気体としては、窒素、水素、ヘリウ
ム、アルゴン、水蒸気などの無機気体の他、メタンなど
の有機ガス物質である。これら不活性気体のうち、水蒸
気が取扱いを考慮したときに、実際面では好ましい稀釈
剤である。
不活性気体による稀釈は、原料である1−フェニル−1
−エチルフェニル−エタンに対する不活性気体のモル比
で10倍以上が好ましい。稀釈率が低過ぎる場合には、脱
水素効率が低くなり、効率的でなくなると共に、コーキ
ングによって触媒の寿命が短くなり好ましくない。稀釈
は不活性気体の使用比率が大きいほど効果的であるが、
実用的には1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
に対するモル比で500倍程度が上限である。
脱水素触媒に対して、1−フェニル−1−エチルフェニ
ル−エタンは、触媒単位重量に対して、時間当り0.1か
ら5重量倍供給することが好ましい。供給量がこの範囲
より少ないと、原料である1−フェニル−1−エチルフ
ェニル−エタンが分解したり、2つのフェニル基が置換
しているエチル基部分で脱メチル化が生じて好ましくな
い。また、供給量が5重量倍を越えると、脱水素効率が
低くなり過ぎて効率的でなくなる。
脱水素触媒との接触温度は400℃から650℃の範囲が好ま
しい。更に好ましくは500℃から600℃の範囲である。40
0℃未満では、脱水素効率が低く実用的ではなく、650℃
を越えるときは、1−フェニル−1−エチルフェニル−
エタン自体の接触分解や脱メチル化が著しくなり何れも
好ましくない。
脱水素の反応圧力は、脱水素反応の平衡からも減圧であ
る方が好ましいが、通常は減圧ないし5kg/cm2程度であ
る。
本発明の工程(I)は、上記条件下で1−フェニル−1
−エチルフェニル−エタンの脱水素を行ない、主として
1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンと1−フ
ェニル−1−ビニルフェニル−エチレンとに変換するも
のである。即ち、原料の1−フェニル−1−エチルフェ
ニル−エタンは、2つのフェニル基が置換したエタン部
分がエチレンに変換された式(B)で表わされる内部オ
レフィンである1−フェニル−1−エチルフェニル−エ
チレンと、1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
中の2つのエタン部分が共に脱水素を受けた式(C)で
表わされるジオレフィンである1−フェニル−1−ビニ
ルフェニル−エチレンとに主として脱水素され変換され
る。本発明で用いる脱水素触媒は、本発明の出発原料に
対する脱水素効率が良好であり、好ましい触媒である
が、上述のように、少なくとも式(B)と式(C)の2
種の不飽和炭化水素化合物の生成は避け得ない。
これらの不飽和炭化水素は、分子量、化学構造共に類似
しており、そのため沸点が近接しているので、通常の蒸
留では、経済的でかつ効率の良い分離は不可能である。
更に、少量の脱水素生成物としてフェニル基に置換して
いるエチル基がビニル基に変換された外部オレフィンで
あるα−メチルベンジルフェニルエチレンも副生し、こ
れも同様に、通常の蒸留操作では脱水素生成物から分離
し難いが、本発明の方法にはなんら支障ない。即ち、本
発明においては、これらを特に分離することなく、次の
工程(II)に送ることができる。
脱水素効率にもよるが、原料の1−フェニル−1−エチ
ルフェニル−エタンも一部未反応のままで留出してこ
る。これもまた、そのまま特に分離することなく、次の
工程(II)に何等支障なく用いることができる。
従って、上記工程(I)からの脱水素生成物は、通常の
工業的分離方法、例えば、蒸留により分離し、少なくと
も1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンと1−
フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンとを含む留分
として回収し、次の工程に送られる。ここで、本工程
(I)得でられる1−フェニル−1−エチルフェニル−
エチレンと1−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレ
ンとは、互いに、また原料たる1−フェニル−1−エチ
ルフェニル−エタンとも、その沸点が近接しているため
に、工業的な分離方法、例えば通常の蒸留方法などでは
分離し難い。それ故、次の工程に送られる留分には、工
業的な分離操作による限りは、少なくとも1−フェニル
−1−エチルフェニル−エチレンと1−フェニル−1−
ビニルフェニル−エチレンとが共に含まれざるを得な
い。
言い替えると、本発明の工程(I)から工程(II)に移
行する際に、工程(I)で得られた個々の生成物をそれ
ぞれ分離する必要はなく、また式(B)で表される内部
オレフィン、式(C)で表されるジオレフィン、式
(A)で表される原料の1−フェニル−1−エチルフェ
ニル−エタンを個々の成分に分離することは実際上不可
能である。反応物は特に精製する必要はないが、必要に
応じて、工程(I)で副生する軽質の分解生成物や重質
の重合物などは分離することができる。それ故、単なる
工業的な分離操作、例えば蒸留操作によるのみで、その
まま工程(I)から反応生成物を回収して次の工程(I
I)に送ることができる。工程(II)のための原料とし
ては、2〜3mmHgの減圧度で80〜170℃、好ましくは90〜
160℃の範囲の沸点範囲にある留分である。
本発明の工程(II)は、工程(I)で製造された少なく
とも1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンと1
−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンとを含む上
記脱水素反応物をヒドロフォルミル化する工程である。
本発明の工程(II)のヒドロフォルミル化では、工程
(I)で製造された、少なくとも1−フェニル−1−エ
チルフェニル−エチレンと1−フェニル−1−ビニルフ
ェニル−エチレンとを含む反応物であって、これに含ま
れる化合物の内、置換基を有するフェニル基が1つ置換
したエチレン部分のみが選択的にヒドロフォルミル化を
受けることが本発明者らによりはじめて見出された。即
ち、式(B)で表わされる1−フェニル−1−エチルフ
ェニル−エチレンは、このヒドロフォルミル化を実質的
に受けない。また、実質的に本発明のヒドロフォルミル
化反応を阻害することも無い。また、式(C)で表わさ
れる1−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンは、
外部のエチレン部分のみがヒドロフォルミル化を受け、
フェニル基が2つ置換している内部オレフィンは全くヒ
ドロフォルミル化を受けない。従って、工程(I)で得
られた混合物中の原料である、式(A)の1−フェニル
−1−エチルフェニル−エタンおよび式(B)の1−フ
ェニル−1−エチルフェニル−エチレンは、このヒドロ
フォルミル化では変化しない。これに対して、式(C)
の1−フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンは、ヒ
ドロフォルミル化によって目的物である[(1−フェニ
ルエテニル)フェニル]プロピオンアルデヒドに変換さ
れる。
出発原料の化合物における置換基などの位置関係は、工
程(I)および工程(II)においても実施的に保持され
る。
本発明の遷移金属カルボニル化触媒としては、Pt、Rh、
Ir、Ru、Co、Ni等を活性金属とする遷移金属カルボニル
化触媒である。活性金属は、酸価数は0から最高位酸価
数まで使用でき、ハロゲン族原子、3価のリン化合物、
π−アリル基、アミン、ニトリル、オキシム、オレフィ
ン、水素あるいは一酸化炭素を配位子として含有する錯
体も用いることができる。
具体例としては、ビストリフェニルホスフィンジクロロ
錯体、ビストリブチルホスフィンジクロロ錯体、ビスト
リシクロヘキシルホスフィンジクロロ錯体、π−アリル
トリフェニルホスフィンジクロロ錯体、トリフェニルホ
スフィンピペリジンジクロロ錯体、ビスベンゾニトリル
ジクロロ錯体、ビスシクロヘキシルオキシムジクロロ錯
体、1,5,9−シクロドデカトリエン−ジクロロ錯体、ビ
ストリフェニルホスフィンジカルボニル錯体、ビストリ
フェニルホスフィンアセテート錯体、ビストリフェニル
ホスフィンジナイトレート錯体、ビストリフェニルホス
フィンスルファート錯体、テトラキストリフェニルホス
フィン錯体、および一酸化炭素を配位子の一部を持つ、
クロロカルボニルビストリフェニルホスフィン錯体、ヒ
ドリドカルボニルトリストリフェニルホスフィン錯体、
ビスクロロテトラカルボニル錯体、およびジカルボニル
アセチルアセトナート錯体等を挙げることができる。
また、反応系において上記の錯体を形成し得る化合物も
用いることができる。すなわち、上記活性金属の酸化
物、硫酸塩、塩化物、酢酸塩等に対して配位子となり得
る化合物、すなわち、ホスフィン、ニトリル、アリル化
合物、アミン、オキシム、オレフィンあるいは、一酸化
炭素を同時に反応系に存在させる方法でもよい。。
ホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィ
ン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、ト
リシクロヘキシルホスフィン、トリエチルホスフィン
等、ニトリルとしては、例えばベンゾニトリル、アクリ
ロニトリル、プロピオニトリル、ベンジルニトリル等、
アクリル化合物としては、例えば、アクリルクロライ
ド、アリルアルコール等、アミンとしては、例えば、ベ
ンジルアミン、ピリジン、ピペラジン、トリ−n−ブチ
ルアミン等、オキシムとしては、シクロヘキシルオキシ
ム、アセトオキシム、ベンズアルドオキシム等、オレフ
ィンとしては1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロ
デカトリエン等が挙げられる。
更に、反応速度を向上させる目的で、塩化水素や三弗化
ホウ素などの無機ハロゲン化物や、ヨウ化メチルなどの
有機ヨウ化物を添加することができる。
これらのハロゲン化物を添加する場合は、遷移金属カル
ボニル化触媒または、活性金属化合物1モルに対して、
ハロゲン原子として、0.1〜30倍モル、好ましくは1〜1
5倍モル使用する。添加量が0.1モリ未満の場合、触媒の
種類によっても異なるが、添加の効果が見られないこと
もある。また、30倍モルを越えるときは、触媒活性が却
って低下すると共に、出発物質である1−フェニル−1
−ビニルフェニル−エチレンの二重結合にハロゲンが付
加する等の目的反応以外の副反応が顕著になり好ましく
ない。
遷移金属カルボニル化触媒、または遷移金属カルボニル
化触媒を作り得る活性金属化合物の使用量は、一般式
(C)で表される1−フェニル−1−ビニルフェニル−
エチレン1モルに対して、0.0001〜0.5モル、好ましく
は0.001〜0.1モルである。また、活性金属化合物を使用
する場合、配位子となり得る化合物の添加量は、活性金
属化合物1モルに対して0.8〜10モル、好ましくは1〜
4モルである。
ヒドロフォルミル化反応は、反応温度は40〜200℃、好
ましくは50〜180℃で行う。反応温度40℃未満では、反
応速度が著しく遅くなり、実用上実施することができな
い。また、200℃を越える温度では、重合等の副反応や
遷移金属カルボニル化触媒の分解が生じ好ましくない。
反応圧力は5kg/cm2以上であれば、適宜選択できる。5kg
/cm2未満では、実用上ヒドロフォルミル化することがで
きない程反応が遅くなる。高い圧力程反応が速やかに進
行し好ましいが、高過ぎる圧力は反応器の耐圧性を非常
に高くする必要が出て来るなど、製造装置の点から自ず
と限界がある。従って、実用上は500kg/cm2以下の圧力
で充分である。
ヒドロフォルミル化反応は、一酸化炭素および水素の混
合ガスの吸収による圧力減少が認められなくなるまで行
なえばよく、通常は4〜20時間の反応時間で充分であ
る。
一酸化炭素と水素とを使用するヒドロフォルミル化反応
では、反応に必要な一酸化炭素と水素とは、あらかじめ
混合された混合ガスの状態でも、各別に反応器に供給し
てもよい。反応系に供給する場合の一酸化炭素と水素の
モル比は、適宜選択できる。すなわちヒドロフォルミル
化反応では、一酸化炭素と水素とは1:1のモル比で吸収
消費されて行く。従って、過剰に供給された成分が反応
せずに残留するため、圧力減少が認められなくなって時
点で他方の成分を供給すれば、再び反応が進行する。従
って、反応器の大きさや反応形式にもよいが、一酸化炭
素対水素のモル比は1:1で供給すれば最も効率的であ
る。
しかし上記供給方法に限らず、ヒドロフォルミル化反応
に不活性な気体が共存してもよい。
本発明のヒドロフォルミル化において、ヒドロフォルミ
ル化に不活性な溶媒を反応熱除去等の目的で用いること
もできる。ヒドロフォルミル化に不活性な溶媒として
は、エーテル、ケトン、アルコール等の極性溶媒や、パ
ラフィン、シクロパラフィン、芳香族炭化水素のような
無極性溶媒が挙げられる。しかし、一般には反応条件下
で反応原料が液相である限りは、無溶媒の状態で充分好
ましい結果が得られる。
工程(II)のヒドロフォルミル化によって、工程(I)
で得られた混合物中の原料である式(A)の1−フェニ
ル−1−エチルフェニル−エタンおよび式(B)の1−
フェニル−1−エチルフェニル−エチレンは、このヒド
ロフォルミル化では実質的に変化せず、式(C)の1−
フェニル−1−ビニルフェニル−エチレンは、ヒドロフ
ォルミル化によって目的物である[(1−フェニルエテ
ニル)フェニル]プロピオンアルデヒドに変換される。
また、この工程(II)による未反応物である式(A)の
1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン、式(B)
の1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレンと目的
物の[(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオン
アルヒドとは、通常の分離方法、例えば、蒸留操作で容
易に分離することができる。従って、目的物を純度良く
製造することが可能となる。また、工程(II)で得られ
た混合物から分離された式(A)の1−フェニル−1−
エチルフェニル−エタンと式(B)の1−フェニル−1
−エチルフェニル−エチレンとは、再び工程(I)の原
料として再使用することが好ましい。
本発明の方法で得られる[(1−フェニルエテニル)フ
ェニル]プロピオンアルデヒドのメタ位置異性体である
α−[m−(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピ
オンアルデヒドは、従来公知の酸化剤による酸化、例え
ば、過マンガム酸酸化、次亜塩素酸酸化または金属酸化
触媒の存在下に分子状酸素と接触させて行なう酸化方法
などにより酸化することにより、医薬品であるケトプロ
フェンに容易に変換することができる。
[発明の効果] 本発明においては、脱水素工程である工程(I)からの
反応生成物を、単なる工業的な蒸留操作により回収する
のみで、そのまま工程(I)から回収し、特に特殊な精
製操作をすることなく、次の工程(II)のヒドロフォル
ミル化に送るものである。かかる操作をしても、極めて
高純度な目的物を得ることができる。
通常、類似化合物が生じる副反応を伴うような反応を利
用することは考えられないが、本発明においては、上述
の理由によりこれが可能である。
従って、本発明の方法は、脱水素触媒の高い触媒効率を
十分に発揮させることが可能であり、経済的で、工業上
極めて価値のある方法である。
[実施例] 以下に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例1 工程(I)1−フェニル−1−エチルフェニル−エタン
の脱水素 酸化鉄系脱水素触媒として、日産ガードラー社製G−64
C(商品名)を15から25メッシュに粒度を揃えたものを
使用した。常圧換算で沸点285℃から290℃の留分である
1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンを10ml/h
r、水100ml/hrで、560℃の反応管に連続的に供給し、反
応管出口を冷却し、分離静置後の油層についてガスクロ
マトグラムで分析した。反応開始後4時間から76時間目
までの油層の分析結果を以下に示す。
実施例2 酸化クロム/酸化鉄系脱水素触媒である日産ガードラー
社製G−64A(商品名)を用いた他は実施例1と同様に
して1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンの脱水
素を行った。
反応開始後4時間から12時間の間に回収した油層につい
てのガスクロマトグラム分析結果を以下に示す。
実施例3 1−フェニル−1−エチルフェニル−エタンの脱水素に
ついて以下の第3表に示す条件で行なった他は、実施例
1と同様にして脱水素を行った。
その結果を同じく第3表に示す。
実施例4 工程(II)ヒドロフォルミル化 実施例1で得られた反応物を、通常の蒸留装置により2m
mHgから3mmHgの減圧度で蒸留して脱水素反応物としての
留出温度100℃から150℃の留分(回収率94%)について
ヒドロフォルミル化を行った。
100gの上記留分、100mgのロジウムヒドリドカルボニル
トリストリフェニルホスフィン、および60mgのトリフェ
ニルホスフィンを、内容積500mlの撹拌機付耐圧反応器
に仕込み、一酸化炭素と水素との1:1モル混合ガスで圧
力90kg/cm2に保ち、温度110℃で12時間反応させた。反
応終了後冷却し、未反応ガスを放出した後、減圧蒸留に
より、0.5mmHgから1mmHgの減圧度における留出温度105
℃から120℃の留分(イ)51.5g、および留出温度120℃
から130℃の留分(ロ)38.3gを得た。
留分(イ)の組成は1−(m−エチルフェニル)−1−
フェニルエタン35.9%、1−(m−エチルフェニル)−
1−フェニルエチレン63.6%であり、工程(I)の脱水
素生成物の1つである1−フェニル−1−(m−エチル
フェニル)−エチレンは、工程(II)のヒドロフォルミ
ル化では反応しないことが確認できた。
留分(ロ)の組成は[m−(1−フェニルエチニル)フ
ェニル]プロビオンアルデヒド純度94.4%、α−アリー
ル体/β−アリール体の比が8.9であった。また、該
[m−(1−フェニルエテニル)フェニル]プロピオン
アルデヒドは2つのフェニル基が置換したエチレン部分
の二重結合は保持されており、1つのフェニル基が置換
したエチレン部分のみヒドロフォルミル化されていた。
実施例5 ヒドロフォルミル化触媒として85mgのイリジウムヒドリ
ドカルボニルトリストリフェニルホスフィンおよび60mg
のトリフェニルホスフィンを用いた他は実施例4と同様
にして工程(I)の反応物をヒドロフォルミル化した。
減圧蒸留で得られた留分(イ)の組成および回収率は、
実施例4と同様であった。また、留分(ロ)は[(1−
フェニルエテニル)フェニル]プロピオンアルデヒドの
純度93.7%、α−アリール体/β−アリール体の比が6.
3であり、1つのフェニル基が置換したエチレン部分の
みヒドロフォミル化されていた。
参考実験例 アルデヒドの酸化によるケトプロフェンの製造 実施例4で得られた留分(ロ)を精密蒸留し、0.5mmHg
から1mmHgの減圧度での留出温度123℃から128℃の留分
であるα−[(1−フェニルエテニル(フェニル]プロ
ピオンアルデヒドを得た(純度98.5%、α−アリール体
/β−アリール体比51.5)。
得られたプロピオンアルデヒド15g、ナフテン酸コバル
ト0.03gおよび溶剤としてのデカン100mlを撹拌機付きの
300ml耐圧反応器に入れ、温度70℃で純酸素により圧力1
0kg/cm2に保ち、16時間反応させた。
反応終了後、溶媒を減圧除去して得られた固体を500ml
の水で5回水洗し、エーテル500mlに溶解して更に3回
水洗した後エーテルを減圧で除いた。得られた固体をベ
ンゼン/石油エーテルから再結晶して、α−(m−ベン
ゾイルフェニル)−プロピオン酸(商品名:ケトプロフ
ェン)を10g得た。融点およびスペクトルなどは標品と
同一であった。
実施例5のプロピオンアルデヒドについても同様にして
酸化することによりケトプロフェンが得られることを確
認した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記工程(I)および工程(II)からなる
    ことを特徴とする[(1−フェニルエテニル)フェニ
    ル]プロピオンアルデヒドの製造方法。 工程(I): 一般式(A)で表わされる1−フェニル−1−エチルフ
    ェニル−エタンを、不活性気体の共存下に、温度400℃
    から650℃において、酸化鉄系および/または酸化クロ
    ム系脱水素触媒と接触させて、少なくとも一般式(B)
    で表わされる1−フェニル−1−エチルフェニル−エチ
    レンおよび一般式(C)で表わされる−1−フェニル−
    1−ビニルフェニル−エチレンを含む脱水素反応物を得
    る工程、および 工程(II): 前記工程(I)で得られた、少なくとも一般式(B)で
    表わされる1−フェニル−1−エチルフェニル−エチレ
    ンおよび一般式(C)で表わされる1−フェニル−1−
    ビニルフェニル−エチレンを含む脱水素反応物を、反応
    温度:40〜200℃、反応圧力:5kg/cm2以上の条件下で、遷
    移金属カルボニル化触媒の存在下に、一酸化炭素および
    水素によりヒドロフォルミル化する工程。
JP62169390A 1987-07-06 1987-07-06 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオンアルデヒドの製造方法 Expired - Lifetime JPH0742243B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62169390A JPH0742243B2 (ja) 1987-07-06 1987-07-06 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオンアルデヒドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62169390A JPH0742243B2 (ja) 1987-07-06 1987-07-06 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオンアルデヒドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6413048A JPS6413048A (en) 1989-01-17
JPH0742243B2 true JPH0742243B2 (ja) 1995-05-10

Family

ID=15885710

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62169390A Expired - Lifetime JPH0742243B2 (ja) 1987-07-06 1987-07-06 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオンアルデヒドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0742243B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2782080B2 (ja) * 1989-03-06 1998-07-30 日本石油化学株式会社 α―(3―ベンゾイルフェニル)プロピオン酸誘導体の製造方法
JP2000016952A (ja) 1998-07-01 2000-01-18 Nippon Petrochem Co Ltd 炭化水素の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6413048A (en) 1989-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4982007A (en) Process for selectively hydroformulating diolefin
JPH0742243B2 (ja) 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオンアルデヒドの製造方法
JP2782363B2 (ja) α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそのエステルの製造方法
JPH0742247B2 (ja) 〔(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロピオン酸および/またはそのエステルの製造方法
CA1299189C (en) (phenylethenyl)phenylpropionic acid and its ester, and method for producing (benzoylphenyl)propionic acid or its ester
JP2782080B2 (ja) α―(3―ベンゾイルフェニル)プロピオン酸誘導体の製造方法
CA1265158A (en) Method for preparing 3-ethylbenzophenone
EP0470651B1 (en) 1,2-Di(4-isobutylphenyl) ethane and its preparation and use as intermediate
JP2733851B2 (ja) アルケニルベンゾフェノンの製造方法
JPH026424A (ja) α−(4−イソブチルフェニル)プロピオンアルデヒドの製造方法
KR960009677B1 (ko) 4-이소부틸스티렌의 제조방법
EP0306538B1 (en) Process for preparing alpha-(3-benzylphenyl)propionic acid derivative
JP2604588B2 (ja) α−(3−ベンゾイルフエニル)プロピオン酸の製造法
JPH0466217B2 (ja)
JPH082833B2 (ja) α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸誘導体の製造方法
JPH0813761B2 (ja) P−イソブチルスチレンの製造方法
JPH0749382B2 (ja) オレフイン混合物の選択的ヒドロフオルミル化方法
JPS63290844A (ja) m−ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルの製造方法
JPH026431A (ja) α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造方法