JPH06153569A - Acサーボモータの電流制御方法 - Google Patents

Acサーボモータの電流制御方法

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JPH06153569A
JPH06153569A JP4317984A JP31798492A JPH06153569A JP H06153569 A JPH06153569 A JP H06153569A JP 4317984 A JP4317984 A JP 4317984A JP 31798492 A JP31798492 A JP 31798492A JP H06153569 A JPH06153569 A JP H06153569A
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修 吉田
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  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 d−q変換を利用し電圧指令が飽和したとき
位相のずれを防止したACサーボモータの電流制御方
法。 【構成】 d−q変換して(9)、界磁が作る磁束の方
向のd相電流Id が「0」になるように電流制御器5d
でd相指令電圧Vd を求める。また、該d軸とは直交す
るq相はトルク指令を指令値とし、算出されたq相電流
とで電流ループ処理を行い(5q)、q相電圧指令Vq
を求める。電圧指令Vd ,Vq の合成ベクトルがクラン
プ値を越えると、合成ベクトルの位相と同一で大きさが
クランプ値のベクトルに対応するd,q相の成分をそれ
ぞれの電圧指令とする。加速中は、q相の積分値のみ小
さく書き替える飽和処理を行う。減速中はd,q相共に
積分値を小さく書き替える飽和処理を行う。クランプ処
理をしても位相の急激な変化は生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械や産業機械等
の機械,装置やロボットの駆動源として使用されるAC
サーボモータの電流制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は従来から行われているACサーボ
モータの制御系のブロック線図である。位置指令からエ
ンコーダ等で検出される位置フィードバック値を減じて
位置偏差を求め、該位置偏差にポジションゲインを乗じ
て位置ループ制御(1)を行って速度指令を求め、この
速度指令から速度フィードバック値を減じて速度偏差を
求め、比例,積分制御等の速度ループ処理(2)を行い
トルク指令(電流指令)を求める。さらに、このトルク
指令から電流フィードバック値を減じて電流ループ処理
(3)を行い各相の電圧指令を求めてPWM制御等を行
いACサーボモータMを制御している。
【0003】上記制御系において、電流ループとして、
従来は3相電流(3相ACサーボモータの場合)を別々
に制御する方式が一般的である。図2は上記3相電流を
別々に制御する電流ループ処理の詳細図である。
【0004】速度ループ処理で求められたトルク指令
(電流指令)に、エンコーダ等で検出されたサーボモー
タのロータ位相θよりU,V,W相に対するそれぞれ2
π/3(電気角)ずれた正弦波を乗じて各相の電流指令
を求め、該電流指令から電流検出器で検出される各相の
実電流Iu ,Iv ,Iw を減じて電流偏差を求め、各相
電流制御器5u ,5v ,5w で比例積分(PI)制御等
を行って各相の指令電圧Eu ,Ev ,Ew を電力増幅器
6に出力する。電力増幅器6ではインバータ等でPWM
制御を行って各相の電流Iu ,Iv ,Iw をサーボモー
タMに流し駆動することになる。
【0005】上記3相電流を別々に制御する方式である
と、モータの回転速度が上昇すると電流指令の周波数も
上昇し電流位相が徐々に遅れてきて電流の無効成分が多
くなり、トルクを効率よく発生することができなくなる
という欠点がある。この欠点を改善する方法として、3
相電流をd−q変換してd相,q相の2相に変換した後
それぞれの相を制御する方法がある。このd−q変換を
利用する方法は、電流を直流として制御するので制御系
の位相遅れがなくトルク特性が、3相電流を別々に制御
する場合と比較して改善されることが知られている。d
−q変換においてはd軸は界磁の作る磁束の方向にとる
ことが一般的であり、図4に示すように、ロータの永久
磁石の磁束の向きにd軸をとり、該d軸に直交する向き
にq軸をとっている。
【0006】図3はACサーボモータの従来の制御をd
−q変換して制御するときのブロック図である。d相の
電流指令を「0」とし、q相の電流指令を速度ループか
ら出力されるトルク指令とし、モータの各u,v,w相
の実電流(いずれか2つの相を検出すればよい)、及び
ロータ位置検出器で検出されたロータの位相から、3相
電流から2相電流へ変換する手段9でd相,q相の電流
Id ,Iq を求めて上記各相指令値から減じて、d相,
q相の電流偏差を求め、電流制御器5d,5qで従来と
同様に比例,積分制御してd相指令電圧,q相指令電圧
Vd ,Vq を求める。そして、この2相の指令電圧Vd
,Vq から、2相電圧から3相電圧に変換する手段8
で、U,V,W相の指令電圧Vu,Vv,Vwを求め、
電力増幅器6に出力してインバータ等でサーボモータの
各相に流す電流Iu,Iv,Iwを流してサーボモータ
を制御する構成となっている。
【0007】次にこのd−q変換を利用する電流制御方
法について解析する。交流電動機において3相交流で表
した回路方程式は次の1式で表される。
【0008】
【数1】 上記1式の左辺はモータのU,V,W相の電圧であり、
右辺第1項の左側の行列はインピーダンス行列であり、
Rは巻線抵抗、Lは巻線の自己インダクタンス、Mは相
互インダクタンスで、Pは微分演算子である。また、右
辺第1項右側のベクトルは各相電流Iu ,Iv ,Iw の
ベクトルであり、右辺第2項は各相の巻線が誘起する起
電力eu ,ev ,ew である。そこで、3相交流座標系
から2相交流座標系に変換する2式で示す変換行列C
1、及びこの2相交流座標系を回転座標系に変換する3
式で示す変換行列C2を用いて上記1式を変換して、い
わゆるd−q変換を行うと4式が得られる。
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】
【数4】 なお、上記3式においてθはロータの電気角(u相の巻
線を基準として時計回りにとった界磁の角度)であり、
4式におけるωはロータの角速度(電気角)、φは巻線
鎖交磁束数の最大値である。上記4式より、界磁の作る
磁束の方向のd相電流Id を「0」に制御し、q相電流
Iq のみ、その大きさを制御するようにすれば、DCサ
ーボモータと同じ制御ができることを意味する。
【0012】そして、上記変換行列C1,C2と3相の
電圧,電流の合計が「0」である関係、すなわち、Vu
+Vv +Vw =0、Iu +Iv +Iw =0の関係より、
3相電圧Vu ,Vv ,Vw と2相電圧Vd ,Vq 、及び
3相電流Iu ,Iv ,Iw と2相電流Id ,Iq の関係
は次の5式,6式が成立する。
【0013】
【数5】
【0014】
【数6】 そこで、図3における手段9で上記6式の演算を行い、
2相電流のId,Iq を求め、各相の電流フィードバック
とし、また、上記手段8では上記5式の演算を行って2
相電圧Vd ,Vq から3相電圧Vu ,Vv ,Vw 求める
ことによって、d−q変換を利用してサーボモータの電
流の制御する方法が得られる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】一方、電流制御におい
て、電力増幅器のインバータに印加される電圧(主電
圧)及び、PWM制御における3角波の振幅の大きさの
関係から、制御出力(電圧)をクランプする必要があ
る。また、制御出力をクランプすると当然制御偏差が増
大し、電流ループ内の積分器の値が増大し、応答性が悪
くなるという問題があり、積分器の書き替え、いわゆる
飽和処理を行う必要がある。上述したようなd−q変換
を利用した電流制御方法では、d相,q相の各電流ルー
プの出力であるd相電圧Vd とq相電圧Vq をクランプ
するときに、各指令電圧を別々にクランプすると、U,
V,W相の3相電圧に変換されたときの振幅と位相が一
定とならず希望どおりの電流をモータに流すことずでき
ない。
【0016】また、クランプが連続して生じるような場
合には、前述したように、飽和処理を行い電流ループ内
の積分器の値を小さく書き替える必要があるが、d相,
q相の各積分器を同じように書き替えるのでは、次回の
電圧指令の計算値の位相がずれていき、電圧の飽和が連
続すると希望通りの電流を流すことができないといった
問題が生じる。
【0017】そこで、本発明の目的は、d−q変換を利
用して電流を制御する方法において、指令電圧が飽和し
たとき位相のずれが生じないようにする電流制御方法を
提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、d−q変換を
利用して電流を制御するACサーボモータの電流制御方
法において、電流ループ処理で算出される各電圧指令の
合成ベクトルがクランプ値を越えると、上記合成ベクト
ルと同一位相で大きさがクランプ値のベクトルのd相,
q相成分をd相,q相の電圧指令とする。さらに、上記
合成ベクトルがクランプ値を越えるたとき実行される飽
和処理として、上記q相の電圧指令とq相電流の符号が
同一の場合には、q相の電流ループの積分値のみを小さ
く書き替える飽和処理を行い、上記q相の電圧指令とq
相電流の符号が異なる場合には、q相,d相の電流ルー
プの積分値を小さく書き替える。
【0019】積分値の書き替えは、電流ループ処理で算
出されるd相,q相の電圧指令からクランプされたd
相,q相の電圧指令をそれぞれ減じた値をVd over,V
q over、電流ループの積分ゲインをK1、比例ゲインを
K2とすると、d相,q相の積分値からそれぞれVd ov
er×K1/(K1+K2)、Vq over×K1/(K1+
K2)を減じた値に書き替える。
【0020】
【作用】電圧指令が飽和したとき、電流ループで計算さ
れたd,q相の電圧指令の合成ベクトルの位相を変え
ず、大きさだけクランプ電圧である直流リンク電圧の値
にしたベクトルのd相,q相成分をd相,q相の電圧指
令とすることから、電圧指令がクランプされても位相の
変化は生じない。また、電流ループの積分値を小さくす
る飽和処理においても、電圧指令をクランプすることに
よって、d相電流Id が流れ、該電流Id が流れるれば
流れるほどd相電圧指令は減少し、q相電圧指令は増加
する加速中においては、q相の積分値のみ小さな値に書
き替え、d相の積分値の書き替えは行わないようにし
て、飽和処理による位相の変化を防止する。
【0021】また、電圧指令をクランプすることによっ
て、d相電流Id が流れ、該電流Id が流れるれば流れ
るほどd相,q相ともにその電圧指令が減少する減速中
においては、d,q相の積分値を小さくし飽和処理を行
うことによってd相,q相の電圧指令の大きさをバラン
スよくさせ、電圧ベクトルの急激な変化を防止する。
【0022】また、積分値を小さくする処理において、
クランプ値よりオーバーした電圧指令の積分器による部
分の比率をK1/(K1+K2)とみなし、オーバーし
た値Vd over,Vq overにK1/(K1+K2)を乗じ
た分を積分器から減じて積分値を小さくするようにす
る。
【0023】
【実施例】まず、飽和が生じたときの電流制御につい
て、加速時と減速時に分けて説明する。 (A)加速時(速度は正方向) (1)指令電圧のクランプ処理 d−q変換を利用する電流制御においては、磁束の向き
と同じ向きのd相電流Id を「0」にしてこのd相と直
交する向きのq相電流Iq をトルク指令に追従させるも
のであるから、Id =0,Iq >0であり、また、正方
向に回転中でかつ加速時であるから、ロータの角速度ω
は正である。よって上記4式より、 Vd =−ωL・Iq <0 …(7) Vq =ωφ+(R+PL)・Iq =ωφ+Z・Iq >0 …(8) ただし、Z=R+PLである。 となる。このd相,q相電圧Vd ,Vq をベクトル図で
表すと、図5に示す状態となる。そして、本発明では、
このd相,q相電圧Vd ,Vq の合成ベクトルVcがク
ランプ電圧であるインバータの直流リンク電圧VDCを越
えると、この合成ベクトルVcの位相を変えずに、大き
さを直流電圧VDCにかえた電圧Vc´とする。すなわ
ち、合成ベクトルが飽和すると、合成ベクトルVcの位
相θより(tanθ=Vd /Vq )、d相電圧Vd 及び
q相電圧Vq を次のようにする。
【0024】 Vd =VDC・sinθ …(9) Vq =VDC・cosθ …(10) 以上のように、d相,q相電圧Vd ,Vq の合成ベクト
ル電圧Vcが直流リンク電圧VDCを越える場合には、上
記9式,10式の演算を行って位相θに変化がないよう
にd相,q相電圧Vd ,Vq を調整してクランプする。
【0025】(2)飽和処理 しかし、上記9式,10式の処理で各電圧をクランプし
たとしても、位相のずれが生じる。そのため、積分器に
対して飽和処理を行う必要がある。上記合成電圧Vcが
直流リンク電圧VDCを越えていない場合には、上記7
式,8式より、各相の電圧Vd ,Vq と電流(ただしi
d=0)の関係は図6に示す状態となる。しかし、この
d,q相の電圧Vd ,Vq が上昇し、d相,q相電圧V
d ,Vq の合成ベクトル電圧Vcが直流リンク電圧VDC
を越え、クランプされると、q相電流Iq で(−ωL・
Iq )の負の電圧がd相電圧Vd として生じるにもかか
わらず、d相電圧はクランプ電圧VDC・sinθにクラ
ンプされることから、この電圧=(−ωL・Iq )に達
しない。このことは4式より、d相電流Id が「0」で
はなく、流れることを示している。
【0026】すなわち、図7に示すように正のd相電流
Id が流れることを意味する。d相電流Id が流れる結
果、4式からわかるように、q相電圧Vq には、(ωL
・Id )が付加されて、 Vq =ωφ+Z・Iq +ωL・Id …(11) となり、q相電圧Vq は増加することになる。
【0027】このことは、電圧が飽和しクランプされた
後に、d相電流Id が流れれば流れる程、d相電圧Vd
は減少しq相電圧Vq は増加することになり、図5にV
c”と示すように、d相,q相のクランプされた電圧の
合成ベクトル電圧Vc´はq軸方向に回転し、位相θは
小さくなることを意味する。位相θが小さくなれば、d
相の電圧Vd のクランプ値VDC・sinθは段々小さく
なり、図7で示されるように、d相電流Id がますます
流れることとなり、位相θはますます小さくなる。この
悪循環が続くことになり、d相電流Id が極端に増加し
電流の位相がロータの位相から遅れ、トルクを発生しな
くなる。そこで、本発明は、この悪循環をなくすため
に、本発明では、d相の電流ループの積分器の値の書き
替えだけの飽和処理を行うようにする。
【0028】図3の電流制御器5d,5qをPI制御で
構成したの電流制御ループのブロック線図を書くと図1
0のようになる。図10において、K1,K2は電流ル
ープの積分ゲイン,比例ゲインである。電流制御機の出
力である電圧指令Vd ,Vqがクランプされると、モー
タの駆動電流が減少し電流偏差が増大する。その結果電
流制御器内の積分器の値も増大し、応答性が悪くなる。
そのため、従来は、この積分器の値を小さく書き替える
飽和処理を行うが、本発明では上述したように、d相電
流を増加することを防止するために、q相の積分器の値
のみを書き替え、d相の積分器の値を書き替えないよう
にする。そして、積分器の書き替えは、本実施例におい
ては、次のようにする。
【0029】電流制御器5d 5q で計算された電圧指令
Vd ,Vq の合成ベクトル電圧がクランプ値(直流リン
ク電圧)を越えたとき、クランプ値を越えた領域に対す
る積分器の値は次の値と考えることができる。
【0030】 d相オーバ分Vd over=Vd −VDC・sinθ …(12) q相オーバ分Vd over=Vq −VDC・cosθ …(13) そして、このオーバ分の内、積分器の積分値による分
は、本実施例においては、(オーバ分)×K1/(K1
+K2)とし、このオーバ分を積分器の積分値から減じ
る飽和処理を行う。しかし、本発明では、前述した理由
により、加速時においては、q相のみの積分器に対して
のみ飽和処理を行い次の14式に示すように飽和された
積分値を求めこの値に積分器を書き替える。
【0031】 飽和処理によるq相積分値=PI制御により計算された積分値 −(Vq −VDC・cosθ)・K1/(K1+K2)…(14) (B)減速時(速度は正方向) (1) 電圧指令のクランプ処理 上述した加速時と同一方法で行う。
【0032】(2)飽和処理 減速時において、指令電圧が飽和していない状態では、
d相電流Id =0、q相電流Iq <0、ロータ角速度ω
>0であるから、4式より、 Vd =−ωL・Iq >0 …(15) Vq =ωφ+Z・Iq …(16) となり、d相電圧Vd は図8(ロ)に示される状態とな
る。また、q相電圧Vqは、次に示す条件によって図8
(イ),(ハ)に示す状態となる。
【0033】|Z・Iq |>|ωΦ|ならば、Vq <0
(図8(イ)参照) |Z・Iq |<|ωΦ|ならば、Vq >0(図8(ハ)
参照) そして、上記通常のPI制御の電流ループ処理で得られ
る電圧指令の合成電圧Vcが直流リンク電圧VDCを越
え、指令電圧が飽和する場合は、高速回転時であること
から、|Z・Iq |<|ωΦ|となり、図8(ハ)の状
態である。この状態で、d相電圧Vd がランプされるこ
とによって、図9(イ)に示すように、d相電流Id が
流れることになる(4式が成立するためにはd相電流が
流れることを意味する)。d相電流Id が流れること伴
って、q相電圧Vq は上記4式より、図9(ロ)に示す
ように、小さくなる。すなわち、d相電流が流れれば流
れる程、d相,q相電圧Vd ,Vq は小さくなることを
示している。このことは、指令電圧のベクトルの位相は
変化しないことを意味する。 また、前述したように、
次の飽和処理を行い、各積分器の値を書き替えること
は、次回の電圧指令の電圧指令を小さくすることを意味
し、d相電流を小さくする作用をなす。
【0034】 飽和処理によるd相積分値=PI制御により計算されたd相積分値 −(Vd −VDC・sinθ)・K1/(K1+K2)…(17) 飽和処理によるq相積分値=PI制御により計算されたq相積分値 −(Vq −VDC・cosθ)・K1/(K1+K2)…(18) 以上のように、電流制御器による計算によりd相,q相
電圧Vd ,Vq の合成ベクトル電圧Vcが直流リンク電
圧VDCを越える場合には、上記9式,10式の演算を行
って位相θに変化がないようにd相,q相電圧Vd ,V
q をクランプして出力するとともに、q相電圧Vq と電
流Iq の符号が同一のとき、すなわち、加速時において
指令電圧が飽和したときには、q相の積分器の積分値の
みを小さい値に書き替え、d相の積分器の書き替えは行
わないようにする。
【0035】しかし、q相電圧Vq と電流Iq の符号が
異なる。すなわち、減速時において、指令電圧が飽和し
たときには、d相及びq相の積分器の積分値を小さな値
に書き替える飽和処理を実行するようにすれば、指令電
圧が飽和したときでも、電圧指令の位相を一定に保持す
ることになり、モータ電流の位相が遅れることを防止す
ることができる。
【0036】図11は、本発明を適用したサーボモータ
制御系のブロック図であり、構成は従来のデジタルサー
ボ制御を行う装置と同一構成であるので、概略的に示し
ている。図11において、20はコンピュータを内蔵し
た数値制御装置(CNC)、21は共有RAM、22は
プロセッサ(CPU),ROM,RAM等を有するディ
ジタルサーボ回路、23はトランジスタインバータ等の
電力増幅器、MはACサーボモータ、24はACサーボ
モータMの回転と共にパルスを発生するエンコーダ、2
5はロータ位相を検出するためのロータ位置検出器であ
る。
【0037】図12は、上記ディジタルサーボ回路22
のプロセッサが所定周期毎実施する電流ループ制御処理
のフローチャートである。上記ディジタルサーボ回路2
2のプロセッサは、数値制御装置(CNC)20から指
令された位置指令(若しくは速度指令)を共有RAM2
1を介して読取り、位置ループ処理,速度ループ処理を
行う。そして、図12に示す電流ループ制御処理を行
う。まず、速度ループ処理によって出力されたトルク指
令を読むと共に(ステップS1)、ロータ位置よりロー
タ位相を検出する検出器25よりロータ位相θを取り込
む(ステップS2)。次に、電流検出器で検出されるU
相,V相の実電流Iu ,Iv を取り込み(ステップS
3)、取り込んだU相,V相の実電流Iu ,Iv とロー
タ位相θより上記6式の演算を行ってd相、q相の電流
Id 、Iq を算出し(ステップS4)、該d相電流Id
をフィードバック電流とし、d相電流指令を「0」とし
て、通常の電流ループ処理(比例積分制御)を行いd相
指令電圧Vd を求める。また、ステップS1で読み取っ
たトルク指令をq相の電流指令とし、ステップS4で算
出されたq相の電流値Iq をフイードバック電流として
電流ループ処理を行ってq相の電圧指令Vq を求める
(ステップS5)。
【0038】次に、ステップS5で求められたd相,q
相指令電圧Vd ,Vq の合成ベクトルVcがクランプ電
圧である直流リンク電圧VDCを越えているか否かの判断
を行う。すなわち(Vd 2 +Vq 2 )の値が直流リンク
電圧VDCの2乗より大きいか否か判断する(ステップS
6)。直流リンク電圧VDCの2乗の方が大きく、合成ベ
クトルVcがクランプ電圧である直流リンク電圧VDC
越えていない場合には、ステップS12に進み、ステッ
プS5で算出されたd,q相の電圧を指令電圧として出
力する。また、合成ベクトルVcが直流リンク電圧VDC
を越えている場合には、ステップS5で求めたd,q相
の電圧Vd ,Vq より電圧指令の位相θを求める。すな
わち、θ=tan-1(Vd /Vq )の演算を行い位相θ
を求める(ステップS7)。次に、9式,10式の演算
を行ってクランプされたd相,q相の電圧指令Vd ,V
q を求める(ステップS8)。
【0039】そして、上記14式(18式)の演算を行
ってq相の積分値の値の書き替えを行う。すなわち、ト
ルク指令と電流フィードバック値としてステップS4で
算出されたq相電流値Iq の差である電流偏差を各周期
毎加算して積分値を記憶するアキュムレータの値からを
上記13式で算出された値に{K1/(K1+K2)}
を乗じた値を減じて、q相の積分値の書き替え処理を行
う。
【0040】次に、ステップS5で求めたq相電圧Vq
とステップS4で求めたq相電流Iq を乗じた値が負か
否か判断し、減速中か否かを判断する。Vq ×Iq の値
が負で、減速中の場合には、d相の積分値の書き替えを
q相と同様に行った後(ステップS11)、ステップS
12に進む。(Vq ×Iq )の値が負ではなく減速中で
ない場合はd相の積分値の書き替えを行うことなくステ
ップS12に進みステップS8で求めたd,q相の指令
令電圧Vd ,Vq より、5式の演算を行って,U,V,
W相の3相の電圧指令Vu ,Vv ,Vw を出力し当該周
期の電流ループ処理を終了する。
【0041】
【発明の効果】本発明は、3相のACサーボモータの制
御をd−q変換して、界磁が作る磁束の方向と同一方向
のd軸と該d軸と直交するq軸の2相に変換し、d相電
流指令を「0」、q相電流指令を速度ループ処理で得ら
れたトルク指令として電流ループ制御を行い、この電流
ループ制御により、電圧指令が飽和すると、d,q相の
電圧指令をその位相を変えることなくクランプし、か
つ、電流ループ処理における積分値も位相がずれないよ
うに積分値の書き替え処理を行うようにしたから、電圧
指令が飽和した場合にも、位相が不安定になることはな
く、安定した制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のACサーボモータの制御系のブロック図
である。
【図2】ACサーボモータの3相電流をそれぞれ個別に
制御する従来の電流制御部のブロック図である。
【図3】電流制御をd−q変換して行う電流制御部のブ
ロック図である。
【図4】本発明の実施例におけるd−q変換の座標系の
説明図である。
【図5】本発明の実施例におけるd相,q相指令電圧の
クランプ方法を説明する説明図である。
【図6】加速時におけるd相,q相電圧の説明図であ
る。
【図7】加速時において電圧指令が飽和したときのd
相,q相電圧の説明図である。
【図8】減速時におけるd相,q相電圧の説明図であ
る。
【図9】減速時において電圧指令が飽和したときのd
相,q相電圧の説明図である。
【図10】電流ループのブロック図である。
【図11】本発明の一実施例のデジタルサーボ系のブロ
ック図である。
【図12】同実施例におけるディジタルサーボ回路のプ
ロセッサが実施する電流ループ処理のフローチャートで
ある。
【符号の説明】
8 2相電圧から3相電圧に変換する手段 9 3相電流から2相電流へ変換する手段 VDC 直流リンク電圧 Vd d相電圧指令 Vq q相電圧指令 Id d相電流指令 Iq q相電流指令

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータ駆動電流とロータ位相より、界磁
    の作る磁束の方向のd軸の相と該d軸に直交するq軸の
    相の2つの直交する相の電流を求め、d相の電流指令を
    0とし、q相の電流指令をトルク指令として、電流ルー
    プ処理を行ってモータの電流を制御する、d−q変換を
    利用して電流を制御するACサーボモータの電流制御方
    法において、電流ループ処理で算出される各電圧指令の
    合成ベクトルがクランプ値を越えると、上記合成ベクト
    ルと同一位相で大きさがクランプ値のベクトルのd相,
    q相成分をd相,q相のそれぞれの電圧指令とすること
    を特徴とするACサーボモータの電流制御方法。
  2. 【請求項2】 上記合成ベクトルがクランプ値を越える
    と、上記q相の電圧指令とq相電流の符号が同一の場合
    には、q相の電流ループの積分値のみを小さく書き替え
    る飽和処理を行い、上記q相の電圧指令とq相電流の符
    号が異なる場合には、q相,d相の電流ループの積分値
    を小さく書き替える飽和処理を行う請求項1記載のAC
    サーボモータの電流制御方法。
  3. 【請求項3】 電流ループ処理で算出されるd相,q相
    の電圧指令からクランプされたd相,q相の電圧指令を
    それぞれ減じた値をVd over,Vq over、電流ループの
    積分ゲインをK1、比例ゲインをK2とすると、積分値
    の書き替えは、d相,q相の積分値からそれぞれVd ov
    er×K1/(K1+K2)、Vq over×K1/(K1+
    K2)を減じた値に書き替える請求項2記載のACサー
    ボモータの電流制御方法。
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