JP2011072190A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流電源電圧の低下等により電動機への印加電圧(インバータの出力電圧)が飽和した場合にあっても、電流制御から電圧制御へ制御を滑らかに切り換えて十分なトルクを確保することができる、交流電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】本制御装置は、d,q軸電流検出値から電流振幅検出値を演算し、電流振幅指令値と該電流振幅検出値とに基づいてフィードバック制御後電流振幅指令値を演算し、位相指令値と該フィードバック制御後電流振幅指令値とに基づいてd,q軸電流指令値を演算しと、該交流電動機への印加電圧が飽和しているか否かを判定し、飽和していないときd,q軸積分項を演算する一方、飽和しているときd,q軸積分項を徐々に零に収束させる演算を行い、該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値と該d,q軸積分項とに基づいてd,q軸電圧指令値を決定する構成を具備する。
【選択図】図4

Description

本発明は、交流電動機の制御装置に関する。
交流電動機の制御方法として、インバータを使用し、電動機の磁極方向にとられるd軸とこれに直行するq軸とに流れる電流をそれぞれ独立に調整して、トルクを制御するベクトル制御が知られている。かかる電流の調整は、比例・積分(PI)動作によるフィードバック制御によって行われるのが主流である。
インバータに接続される直流電源電圧の低下時又は高速回転時にインバータの出力電圧すなわち電動機への印加電圧が飽和した場合には、電流制御を維持することができないために、電動機の出力トルクが限界に達してしまう。そこで、例えば、特開平9−28099号公報は、インバータの出力電圧が飽和した場合に、積分電流制御により作成される出力電圧指令値の更新を中止することにより、良好な電流制御を行う技術を開示している。しかし、この場合、出力トルクを安定させることはできるが、十分なトルクを得ることはできないという問題がある。
また、特開2000−224883号公報は、かかる状況にあっても最大限のトルクを得るために、PWM変調信号ではなく矩形波信号をインバータに与えて方形波電圧を出力させるとともに、負荷角の調整によりトルクを制御する技術を開示している。すなわち、電流制御(PWM変調制御)から電圧制御(矩形波制御)へと制御が切り換えられる。しかし、電流制御による電動機出力トルクと電圧制御による電動機出力トルクとに比較的大きな偏差があるために、滑らかな切り換え制御が行えないという問題がある。
特開平9−28099号公報 特開2000−224883号公報
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、直流電源電圧の低下等により電動機への印加電圧(インバータの出力電圧)が飽和した場合にあっても、電流制御から電圧制御へ制御を滑らかに切り換えて十分なトルクを確保することができる、交流電動機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、直流電源に接続されたインバータを使用して交流電動機をベクトル制御する、交流電動機の制御装置であって、該インバータから該交流電動機への固定座標系上のu,v,w相電流検出値を回転座標系上のd,q軸電流検出値に変換する固定/回転座標変換部と、該d,q軸電流検出値から電流振幅検出値を演算する振幅計算部と、電流振幅指令値と該電流振幅検出値とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたフィードバック制御後電流振幅指令値を演算する電流振幅制御部と、位相指令値と該フィードバック制御後電流振幅指令値とに基づいて、d,q軸電流指令値を演算する電流指令生成部と、該d,q軸電流指令値と、電機子抵抗と、角速度と、d軸電機子巻線鎖交磁束と、d,q軸インダクタンスとに基づいて、d,q軸フィードフォワード項を演算するフィードフォワード項演算部と、前回の処理により求められているd,q軸電圧指令値と、該直流電源の電圧と、に基づいて、該交流電動機への印加電圧が飽和しているか否かを判定する電圧飽和判定部と、該印加電圧が飽和していないとき、該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値とに基づいてd,q軸積分項を演算する一方、該印加電圧が飽和しているとき、該d,q軸積分項を徐々に零に収束させる演算を行い、次いで、求められている該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値と該d,q軸フィードフォワード項と該d,q軸積分項とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたd,q軸電圧指令値を決定する電流制御部と、該d,q軸電圧指令値を固定座標系上のu,v,w相電圧指令値に変換する回転/固定座標変換部と、固定座標系上の該u,v,w相電圧指令値を所定の搬送波と比較してu,v,w相スイッチング信号を作成することにより、該インバータをPWM制御するPWM制御部と、を具備する、交流電動機の制御装置が提供される。
また、本発明によれば、直流電源に接続されたインバータを使用して交流電動機をベクトル制御する、交流電動機の制御方法であって、該インバータから該交流電動機への固定座標系上のu,v,w相電流検出値を回転座標系上のd,q軸電流検出値に変換するステップと、該d,q軸電流検出値から電流振幅検出値を演算するステップと、電流振幅指令値と該電流振幅検出値とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたフィードバック制御後電流振幅指令値を演算するステップと、位相指令値と該フィードバック制御後電流振幅指令値とに基づいて、d,q軸電流指令値を演算するステップと、該d,q軸電流指令値と、電機子抵抗と、角速度と、d軸電機子巻線鎖交磁束と、d,q軸インダクタンスとに基づいて、d,q軸フィードフォワード項を演算するステップと、前回の処理により求められているd,q軸電圧指令値と、該直流電源の電圧と、に基づいて、該交流電動機への印加電圧が飽和しているか否かを判定するステップと、該印加電圧が飽和していないとき、該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値とに基づいてd,q軸積分項を演算する一方、該印加電圧が飽和しているとき、該d,q軸積分項を徐々に零に収束させる演算を行い、次いで、求められている該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値と該d,q軸フィードフォワード項と該d,q軸積分項とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたd,q軸電圧指令値を決定するステップと、該d,q軸電圧指令値を固定座標系上のu,v,w相電圧指令値に変換するステップと、固定座標系上の該u,v,w相電圧指令値を所定の搬送波と比較してu,v,w相スイッチング信号を作成することにより、該インバータをPWM制御するステップと、を具備する、交流電動機の制御方法が提供される。
本発明によれば、直流電源電圧の低下等により電動機への印加電圧が飽和した場合にあっても、電流制御から電圧制御へ制御が滑らかに切り換えられて十分なトルクが確保される。
本発明に係る交流電動機の制御装置が適用されるシステムの一例を示す図である。 永久磁石同期電動機に対する一般的なベクトル制御の全体構成を示すブロック図である。 電圧計算部における従来の制御内容を説明するためのブロック図である。 本発明の一実施形態に係る電圧計算部における制御内容を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による交流電動機制御の手順を示すフローチャート(1/3)である。 本発明の一実施形態による交流電動機制御の手順を示すフローチャート(2/3)である。 本発明の一実施形態による交流電動機制御の手順を示すフローチャート(3/3)である。 本発明の一実施形態による交流電動機制御を行う場合の電圧ベクトル図である。 本発明によるトルク特性上の効果を説明するための特性図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る交流電動機の制御装置が適用されるシステムの一例を示す図である。このシステムは、いわゆるハイブリッドカー用に構成されたものであり、この例における交流電動機140は、エンジン150や変速機160と組み合わされて使用される永久磁石同期電動機であり、交流発電機も兼ねている。
この交流電動機140の電機子には、インバータ120から三相の電圧が印加される。インバータ120は電圧形PWMインバータであり、インバータ120の直流電源としてバッテリ130が利用される。このようなシステムに適用される交流電動機では、バッテリ電圧の低下について考慮する必要がある。
制御装置100は、中央処理装置(CPU)102、メモリ104、入力部106、PWM出力部108等からなるハードウェア構成を有し、インバータ120から電動機140に供給される三相交流のうちのu相及びv相の電流Iu及びIv、並びに位置センサ142から出力される、交流電動機140の回転子(ロータ)すなわち磁極の角度位置θを入力して、それらに基づいて演算処理を行い、インバータ120に対してスイッチング信号Su、Sv及びSwを出力する。
図2は、永久磁石同期電動機に対する一般的なベクトル制御の全体構成を示すブロック図である。このベクトル制御は、図1における制御装置100内のCPU102によって実行されるものであり、固定/回転座標変換部200、電圧計算部210、回転/固定座標変換部220及びPWM制御部230によって実現される。
固定/回転座標変換部200は、u相電流検出値Iu、v相電流検出値Iv及び回転子位置検出値θを入力し、それらに基づいてd−q軸回転座標系上のd軸電流検出値Id及びq軸電流検出値Iqを算出する。また、電圧計算部210は、電流振幅指令値Ictを受けてd軸電流指令値Idc及びq軸電流指令値Iqcを決定するとともに、電流指令値Idc及びIqcと電流検出値Id及びIqとに基づいてd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを算出する。
また、回転/固定座標変換部220は、d−q軸回転座標系上のd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを固定座標系上のu相電圧指令値Vu、v相電圧指令値Vv及びw相電圧指令値Vwに変換する。そして、PWM制御部230は、かかるu相電圧指令値Vu、v相電圧指令値Vv及びw相電圧指令値Vwを所定の搬送波(キャリヤ)と比較することにより、スイッチング信号Su、Sv及びSwを作成し、インバータ120へ出力する。
図3は、電圧計算部210における従来の制御内容を説明するためのブロック図である。電流振幅指令値Ictを受けて電流指令生成部300によって生成されたd、q軸電流指令値Idc、Iqcは、加算器310d、310qにおいて電流検出値Id、Iqと比較され、指令値と検出値との偏差が算出される。
それらの電流偏差は、それぞれd、q軸電流PI制御部320d、320qへ送られて、比例・積分動作による制御量が算出される。次いで、その制御量は、加算器330d、330qに入力され、後述するd、q軸非干渉電流制御のためのフィードフォワード(F/F)項演算部340からのF/F項と加算され、その加算結果がd、q軸電圧指令値Vd、Vqとして出力される。なお、このF/F項を省略して制御されることもある。
図3に示される従来の電圧計算部210に対し、本発明に係る電圧計算部210における制御内容が図4のブロック図に示される。図4の電圧計算部210は、図3のものと比較してわかるように、振幅計算部400、加算器410、電流振幅制御部420及び電圧飽和判定部460を新たな要素として備えるとともに、d、q軸電流制御部450d、450qにおいて新規な制御を行う。これらの本発明に係る新規な制御を含め、本実施形態における図2及び図4の制御の詳細な内容及び手順を以下に説明する。
図5、図6及び図7は、本発明の一実施形態による交流電動機制御の手順を示すフローチャートである。この制御は、図1における制御装置100内のCPU102によって実行される。まず、ステップ502では、u相電流検出値Iu及びv相電流検出値Ivを入力するとともに、Iu+Iv+Iw=0の関係があることから、Iw=−Iu−Ivなる演算により、w相電流検出値Iwを求める。
次いで、ステップ504では、位置センサ142から、回転子位置θを入力する。さらに、ステップ506では、図に示される三相/二相変換式に基づいて、u相、v相及びw相電流検出値Iu、Iv及びIwを、d軸及びq軸電流検出値Id及びIqに変換する。以上のステップ502、504及び506の処理は、図2の制御ブロック図における固定/回転座標変換部200に相当する。
次いで、ステップ508では、
I=(Id*Id+Iq*Iq)1/2
なる演算により、電流振幅検出値Iを求める。この処理は、図4の制御ブロック図における振幅計算部400に相当する。
次いで、ステップ510では、電流振幅指令値Ictと電流振幅検出値Iとに基づいて、
Ic=Kp2*(Ict−I)+Ki2*Σ(Ict−I)
なる演算を行うことにより、PI動作によるフィードバック制御処理をした電流振幅指令値Icを求める。なお、Kp2は比例項のゲイン、Ki2は積分項のゲインである。ステップ510の処理は、図4の制御ブロック図における加算器410及び電流振幅制御部420に相当する。
次いで、ステップ512では、位相指令値θcとフィードバック制御後の電流振幅指令値Icとに基づいて、
Idc=Ic*cos(θc)
Iqc=Ic*sin(θc)
なる演算を行うことにより、d軸電流指令値Idc及びq軸電流指令値Iqcを得る。ステップ512の処理は、図4の制御ブロック図における電流指令生成部430に相当する。
次いで、ステップ514では、d、q軸非干渉電流制御を行う。すなわち、d軸電流指令値Idc、q軸電流指令値Iqc、電機子抵抗Ra、角速度ω(=dθ/dt)、永久磁石界磁によるd軸電機子巻線の鎖交磁束Φ、d軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqに基づいて、
Vdff=Ra*Idc−ω*Lq*Iqc
Vqff=Ra*Iqc+ω*(Ld*Idc+Φ)
なる演算を行うことにより、F/F項Vdff及びVqffを求める。このステップ514は、図4の制御ブロック図におけるF/F項演算部480に相当する。なお、このF/F項を省略して制御してもよい。
次いで、ステップ516では、前回の本ルーチンの走行により求められているd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqに基づいて、
Vffi=(Vd*Vd+Vq*Vq)1/2
なる演算を行い、電圧ベクトルの振幅Vffiを求める。
次いで、ステップ518及び520では、直流電源130の電圧Vbatに所定の制御判定係数KUを乗じて得た値KU*Vbatと、上記のVffiとを比較し、Vffi>KU*Vbatが成立するときには、電圧飽和判定フラグVsatflagをオンにする。
また、次のステップ522及び524では、直流電源130の電圧Vbatに所定の制御判定係数KLを乗じて得た値KL*Vbatと、上記のVffiとを比較し、Vffi<KL*Vbatが成立するときには、電圧飽和判定フラグVsatflagをオフにする。
上記の制御判定係数KU及びKLについては、KU>KLの関係に設定されているため、電圧飽和判定フラグVsatflagは、ヒステリシスを有してオン及びオフされることとなる。ステップ516〜524は、図4の制御ブロック図における電圧飽和判定部460に相当する。
次いで、ステップ526では、電圧飽和判定フラグVsatflagがオンかオフかを判定する。そのフラグがオフのとき、すなわち電動機印加電圧が飽和していないと判断されるときには、ステップ530に進み、d軸電流指令値Idc及びq軸電流指令値Iqc並びにd軸電流検出値Id及びq軸電流検出値Iqに基づいて、
Vdi=Vdi+Ki*(Idc−Id)
Vqi=Vqi+Ki*(Iqc−Iq)
なる演算を行うことにより、d軸及びq軸に関する積分項Vdi及びVqiを求める。なお、Kiは、積分項のゲインである。
一方、電圧飽和判定フラグVsatflagがオンのとき、すなわち電動機印加電圧が飽和していると判断されるときには、ステップ528に進み、
Vdi=Vdi*(1−T/τ)
Vqi=Vqi*(1−T/τ)
なる演算を行うことにより、積分項Vdi及びVqiを徐々に零に収束させる。なお、Tは本ルーチンによる制御周期であり、τは所定の時定数である。
次いで、ステップ532では、先に求めた電流指令値Idc及びIqc、電流検出値Id及びIq、F/F項Vdff及びVqff、並びに積分項Vdi及びVqiを用いて、
Vd=Kp*(Idc−Id)+Vdi+Vdff
Vq=Kp*(Iqc−Iq)+Vqi+Vqff
なる演算を行うことにより、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを決定する。なお、Kpは、比例項のゲインである。ステップ526〜532は、図4の制御ブロック図における加算器440d及び440q、電流制御部450d及び450q、並びに加算器470d及び470qに相当する。なお、前述のステップ516においては、F/F項と積分項とによる電圧ベクトルの振幅としてVffiを求めてもよい。
次いで、ステップ534では、図に示される計算式に従って、d−q軸回転座標系上のd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを固定座標系上のu相電圧指令値Vu、v相電圧指令値Vv及びw相電圧指令値Vwに変換する。このステップ534は、図2の制御ブロック図における回転/固定座標変換部220に相当する。
最後のステップ536では、三相電圧指令値Vu、Vv及びVwを所定の搬送波(キャリヤ)と比較することにより、スイッチング信号Su、Sv及びSwを作成し、インバータ120へ出力する。ステップ536は、図2の制御ブロック図におけるPWM制御部230に相当する。
以上に説明した実施形態の作用について説明する。図3に示される従来の電圧計算部の制御によれば、常に電流の積分制御が実行されるために、インバータの出力電圧が飽和した場合には、電流制御を維持することができなくなる。
一方、図4に示される本発明の制御によれば、出力電圧が飽和状態(すなわち、PWM変調度100%以上の状態)か非飽和状態かを判定する制御が備えられている。また、その電圧飽和・非飽和判定の際には、その判定のハンチングを防止するためにヒステリシスが設けられているため、トルクハンチングなどの問題が生ずることはない。
そして、電圧非飽和時には、通常の積分動作による電流制御(積分電流制御)が行われるが、一旦、電流指令値増加、回転数上昇、直流電源電圧低下等による電圧飽和状態と判定されると、積分項が速やかに零に収束せしめられた後、比例項とF/F項とによる電圧制御(比例電圧制御)に切り替わる。比例項とF/F項とによる電圧制御では、電流指令値の増加に伴い、PWM変調度100%以上の台形波変調が活用され、バッテリ電圧利用率(電動機印加電圧)が上げられる。電圧位相は、F/F項より決定される。そのときの電圧ベクトルについて図8を用いて説明する。
図8の例においては、逆突極性電動機を使用し、リラクタンストルクが最大限に利用され得るように、Id及びIqは、一定角度θにより、Id=−Ic*sinθ、Iq=Ic*cosθ(0<θ<90°)と分配し、また比較的高回転の領域では、電機子抵抗Raは無視することができるものと仮定している。
電流指令値Icを増加させていく場合、図8の例ではIc1未満では出力電圧非飽和で電流制御状態であるが、Ic=Ic1(電流指令ベクトル13)のとき電圧飽和に達して電圧ベクトルが11となる。さらに、電流指令値をIc2、Ic3(電流指令ベクトル23、33)と増加させると、比例項とF/F項とによる電圧制御状態に移行する。そして、それに対応する電圧指令ベクトル21、31に対し、出力可能電圧は、PWM変調度によって定まる制限25、35を受けるため、実電圧ベクトルは、22、32となる。
その結果、電流ベクトルは、各々、13、24、34となる。ここで、永久磁石同期電動機のトルクTは、
T=Φ*Iq+(Ld−Lq)*Id*Iq
によって算出されるため、電圧飽和状態においてもトルクを増加させることが可能となる。以上により、比較的簡単な制御式により連続的にトルク出力の範囲を広げることができる。
また、電流制御式のd、q各積分項については、本来、F/F項内の電動機パラメータが正確であれば、常に零になるはずである。しかしながら、実際にはかかるパラメータは誤差を伴うことが多く、零でない積分項が存在する場合がある。その場合には、電圧飽和時に、電圧の位相がずれて十分なトルクが出なかったり、電圧非飽和から飽和へと移行するときの、制御上の過渡的な変化速度(例えば、電流指令値の変化速度)によってもガードにかかる積分項が変化し、その都度、出力トルクが異なるなどの問題が生ずる。したがって、電圧非飽和から飽和へと移行したときには、一次遅れなどにより速やかに積分項を零に収束させることが好ましい。
また、図4に示される実施形態においては、Id及びIqにより電流振幅を計算し、電圧飽和時にも指令値どおりの電流を流すことができるように、Id及びIqを電流指令にフィードバック(帰還)させるループが組み込まれている。かかる電流振幅フィードバックループが存在しない場合、電圧飽和状態でPWM変調度が100%を超えると、電流を指令値どおりに流すことが次第にできなくなり、電流指令に比例したトルクが得られなくなる(トルクが飽和する)。これは、図8を使用して説明することができる。
電流指令ベクトル13:23:33=1:2:3に対し、実電流ベクトルは13:24:34であり、図からわかるように、電流指令ほどには実電流は増えておらず、出力トルクも飽和する。このときのトルクは、直流電源電圧や回転数の影響を大きく受け、特に、直流電源としてバッテリを用いた場合や、負荷のイナーシャが小さく回転数変化が早い場合には、正確にトルクを制御することは困難である。
それを解決するため、電流指令Ictに対して、実際の電流振幅をフィードバック制御(PI制御)することにより、電流を指令どおりに流すことができる。図9は、本発明によるトルク特性上の効果を説明するための特性図であるが、この図に示されるように、フィードバック(F/B)制御なしの場合に比較して、より広い範囲で、電流指令に比例したトルクを確保することができる。このとき、電流振幅は一定に制御されるのに対して、図8からもわかるように電流位相は多少ずれるが、トルクに与える影響は小さいと考えてよい。
以上、永久磁石同期電動機を対象とする実施形態について述べてきたが、本発明は、その他の同期電動機及び誘導電動機や、これら電動機に限らず、発電機に対しても、ベクトル制御を行うものであれば、適用することができる。
100 制御装置
102 中央処理装置(CPU)
104 メモリ
106 入力部
120 インバータ
130 バッテリ
140 交流電動機
142 位置センサ
150 エンジン
160 変速機
200 固定/回転座標変換部
210 電圧計算部
220 回転/固定座標変換部
230 PWM制御部
300 電流指令生成部
310d、310q 加算器
320d d軸電流PI制御部
320q q軸電流PI制御部
330d、330q 加算器
340 フィードフォワード(F/F)項演算部
400 振幅計算部
410 加算器
420 電流振幅制御部
430 電流指令生成部
440d、440q 加算器
450d d軸電流制御部
450q q軸電流制御部
460 電圧飽和判定部
470d、470q 加算器
480 F/F項演算部

Claims (2)

  1. 直流電源に接続されたインバータを使用して交流電動機をベクトル制御する、交流電動機の制御装置であって、
    該インバータから該交流電動機への固定座標系上のu,v,w相電流検出値を回転座標系上のd,q軸電流検出値に変換する固定/回転座標変換部と、
    該d,q軸電流検出値から電流振幅検出値を演算する振幅計算部と、
    電流振幅指令値と該電流振幅検出値とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたフィードバック制御後電流振幅指令値を演算する電流振幅制御部と、
    位相指令値と該フィードバック制御後電流振幅指令値とに基づいて、d,q軸電流指令値を演算する電流指令生成部と、
    該d,q軸電流指令値と、電機子抵抗と、角速度と、d軸電機子巻線鎖交磁束と、d,q軸インダクタンスとに基づいて、d,q軸フィードフォワード項を演算するフィードフォワード項演算部と、
    前回の処理により求められているd,q軸電圧指令値と、該直流電源の電圧と、に基づいて、該交流電動機への印加電圧が飽和しているか否かを判定する電圧飽和判定部と、
    該印加電圧が飽和していないとき、該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値とに基づいてd,q軸積分項を演算する一方、該印加電圧が飽和しているとき、該d,q軸積分項を徐々に零に収束させる演算を行い、次いで、求められている該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値と該d,q軸フィードフォワード項と該d,q軸積分項とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたd,q軸電圧指令値を決定する電流制御部と、
    該d,q軸電圧指令値を固定座標系上のu,v,w相電圧指令値に変換する回転/固定座標変換部と、
    固定座標系上の該u,v,w相電圧指令値を所定の搬送波と比較してu,v,w相スイッチング信号を作成することにより、該インバータをPWM制御するPWM制御部と、
    を具備する、交流電動機の制御装置。
  2. 直流電源に接続されたインバータを使用して交流電動機をベクトル制御する、交流電動機の制御方法であって、
    該インバータから該交流電動機への固定座標系上のu,v,w相電流検出値を回転座標系上のd,q軸電流検出値に変換するステップと、
    該d,q軸電流検出値から電流振幅検出値を演算するステップと、
    電流振幅指令値と該電流振幅検出値とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたフィードバック制御後電流振幅指令値を演算するステップと、
    位相指令値と該フィードバック制御後電流振幅指令値とに基づいて、d,q軸電流指令値を演算するステップと、
    該d,q軸電流指令値と、電機子抵抗と、角速度と、d軸電機子巻線鎖交磁束と、d,q軸インダクタンスとに基づいて、d,q軸フィードフォワード項を演算するステップと、
    前回の処理により求められているd,q軸電圧指令値と、該直流電源の電圧と、に基づいて、該交流電動機への印加電圧が飽和しているか否かを判定するステップと、
    該印加電圧が飽和していないとき、該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値とに基づいてd,q軸積分項を演算する一方、該印加電圧が飽和しているとき、該d,q軸積分項を徐々に零に収束させる演算を行い、次いで、求められている該d,q軸電流指令値と該d,q軸電流検出値と該d,q軸フィードフォワード項と該d,q軸積分項とに基づいて、PI動作によるフィードバック制御処理をしたd,q軸電圧指令値を決定するステップと、
    該d,q軸電圧指令値を固定座標系上のu,v,w相電圧指令値に変換するステップと、
    固定座標系上の該u,v,w相電圧指令値を所定の搬送波と比較してu,v,w相スイッチング信号を作成することにより、該インバータをPWM制御するステップと、
    を具備する、交流電動機の制御方法。
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