JPH0615281B2 - ホイールキヤツプ取付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は自動車の車輪のホイールキヤツプ取付装置に関
する。

［従来の技術］ 車輪のリムにかぶせるホイールキヤツプを、リム側に設
けた溝に、ホイールキヤツプ側に設けた、ばねで放射方
向に拡がる取付具をはめて取り付けることは公知であ
る。たとえばドイツ実用新案１９７５６１８号ではホイ
ールキヤツプにスチールの帯薄板で構成された保持ばね
を取り付けている。この保持ばねはホイールキヤツプの
背面に車体内部方向に突出して設けられ、その先端部は
上方に折り曲げられてそこに山形にふくらむ部分すなわ
ち湾曲部が作られ、この部分が車輪のリムの溝にはま
る。スチールの帯薄板の曲げられた部分の先の部分はホ
イールキヤツプ背面の外周縁まで延びる長い足を構成す
る。この長い足はキヤツプの後向きに曲げた外縁に接す
る。保持ばねの基部は放射方向中心に向かうタブを持
ち、このタブはキヤツプ背面に設けられたポケツトに放
射方向に差し込むことで取り付けられ、外方に抜くこと
により取りはずし可能である。この基部には、さらに放
射方向中心に向かう短い足が設けられ、その先端はキヤ
ツプ背面の近くまで延びる。

またドイツ特許公報第２６２２９０８号に示されるよう
な放射方向に加えられるばね力を持つワイヤリングから
なるホイールキヤツプの取付装置も公知である。

［発明が解決しようとする課題］ このようなスチール帯薄板は円周方向に一定の巾を広が
りを持たなければならないので、十分なばね定数を得る
ためには比較的材料的に高価になる。さらにこの保持ば
ねには、車体内部軸方向に大きな深さを持つリムに取り
付けるホイールキヤツプに用いることができないという
欠点がある。何故ならば、保持ばねの湾曲部がリムの溝
と接する位置は深く、キヤツプをこのような深いリムに
確実に保持するためには保持ばねの長さが大きくなり、
その結果、ばね力が小さくなってしまうからである。こ
のスチール帯薄板ばね要素の他の欠点は、スチール帯板
ばね要素を取り付けた後に、ばねの変位およびばねのか
たさを調節することができないことである。従って、種
々のばね定数が必要な時に、それに対応したばね定数を
持つ種々のスチール帯薄板を製造しなければならない。

また、ホイールキヤツプのリムへの確実な保持をどのよ
うな条件下でも保証するために、各部分の製造公差及び
異なる熱膨張率があることを考慮すると、ホイールキヤ
ツプ及びホイールリムに対し比較的大きい力を加えるば
ね力が必要であることがこの公知の構成の欠点となる。

ワイヤリングからなる取付装置の欠点は、その製造コス
トが比較的高いことである。その上、このようなワイヤ
リングはその機能を発揮するためには、放射方向に十分
大きな体積を持たなければならない。従って、このよう
なワイヤリングは、ホイールデイスクの構造的特徴、例
えばホイールデイスクを車体内部方向に深く押し込んで
取り付ける構造であるような場合、それに必要な体積が
自由にならないときは用いることができない。

本発明の目的は、車輪に対するホイールキヤツプの取り
付けが種々の形状のホイールデイスクに対しても行うこ
とができ、放射方向のばねの変位が大きくなくとも柔軟
なばね特性を持ち、場所をとらずに装備することがで
き、安価に簡単に製造でき、ホイールキヤツプの確実な
取り付けが保証される、全体としてリング状ばねを構成
する車輪へのホイールキヤツプ取付装置を得ることであ
る。

［課題を解決するための手段］ 本発明によれば、ホイールキヤツプ取付装置はワイヤを
全体としてＵ字形に形成した複数のワイヤブラケツトが
円周方向に間隔をおいて設けられ、これらのワイヤブラ
ケツトと、各ワイヤブラケツトからホイールキヤツプ外
周縁の背面に沿って円周方向に延びる連接片とによっ
て、全体として閉じたリング状ばねとして構成される取
付装置を得ることにより、前記の従来技術の欠点は克服
され、本発明の目的は達成された。

前記構成において、ワイヤブラケツトおよび連接片は連
続する弾性のワイヤで形成され、ワイヤブラケツトは車
体内部方向に全体としてＵ字形を形成して突出し、その
内方端に放射方向に撓むクリツプが設けられ、このクリ
ツプの上面が車輪のリムの溝に押圧されてホイールキヤ
ツプが車輪に取り付けられる。

［実施例］ 本発明の実施例を図を用いて以下のとおり説明する。ホ
イールキヤツプ取付装置はワイヤを全体としてＵ字形に
形成した複数のワイヤブラケツト（５）と、それぞれの
ワイヤブラケツトからホイールキヤツプ外周縁の背面に
沿って円周方向に各ワイヤブラケツト間を延びる連接片
（１６）とを主要素とする。

前記ワイヤブラケツト（５）はホイールキヤツプ背面か
ら車体内部方向に延びる２つの脚（７）を持ち、この脚
は、内方端で曲げられ円周方向に延びる連結枝（８）に
移行し全体として連続するＵ字形を形成し、前記連結枝
（８）は放射方向外向きに湾曲する湾曲部（９）を持っ
ている。

ワイヤブラケツト（５）の脚（７）はホイールキヤツプ
側でホイールキヤツプ外周縁の背面に沿って曲げられ、
円周方向に隣接するワイヤブロツクまで延びる連接片
（１６）へ移行し、このようにして複数の連接片（１
６）と複数のワイヤブラケツト（５）とが全体として閉
じたリング状ばねを構成する。ホイールキヤツプ背面に
は、複数の板（３）が円周方向に間隔をおいて垂直に取
り付けられ、それぞれ車体内部に向かって延びる。

板（３）のホイールキヤツプ側外方隅は切り欠かれて止
め（１２）が設けられ、この切り欠かれた部分にワイヤ
ブラケツトの係止部（４）が係合する。また、脚（７）
の内方端の近くには車体内部および放射方向内方側の隅
に切り欠かれた部分である止め部材（１５）が設けら
れ、脚（７）の連結枝（８）への移行部分が係合する。
連結枝（８）は放射方向外方に向かって湾曲する湾曲部
（９）を形成する。湾曲部の外方にはさらに舌状のクリ
ツプ（２）が放射方向に撓み可能に取り付けられ、車体
内部に延びる。その上面は内方の先端付近で放射方向内
方に向かう斜面を持つ。クリツプ（２）の下面には円周
方向に延びる溝が設けられ、ワイヤブラケツトの連結枝
の湾曲部（９）と係合する。

クリツプはワイヤブラケツトの湾曲部（９）の放射方向
外向きの力を下から受け、リムの溝に確実にはめ込まれ
て、ホイールキヤツプは容易に、かつ確実にリムに取り
付けられる。

クリツプに作用する力はワイヤブラケツトの湾曲部
（９）に引き移されることによってばね作用が起こる。
各ワイヤブラケツト（５）はそれぞれ連接片（１６）で
リング状に接続され、全体がリング状ばねとして働き、
放射方向に拘束されているので、ばね要素の抗力は大き
くなる。ワイヤブラケツト（５）を構成する第１図に示
す５ａ、５ｂで示したこのようなばね要素は極めて簡単
に安価に製造することができ、クリツプはばね要素によ
って直接作用され、放射方向の内方への変形を受ける空
間は極めて小さくてすむ。

ワイヤブラケツト（５）の放射方向に外向きのばねの変
位は止め部材（１５）によって制限される。それによっ
てばねには応力が発生する。すなわち、ワイヤブラケツ
ト（５）の応力は止め部材（１５）で支えられているの
で、ワイヤブラケツトのホイールキヤツプへの取り付け
の時すでに起こっている。それでホイールキヤツプを車
輪に確実に取り付けるために必要なばね力の発生は、さ
らにほんの小さなばねの変位を行わせさえすればよい。
この構成によって柔らかいばね特性を持つ、すなわちワ
イヤの断面積の小さい、従って軽い、ばねを用いること
ができる。このようなばね特性によって、許容範囲製造
公差と熱膨張の影響とによる比較的大きなばねの変位が
あっても、ばね力の変化は比較的小さい。これによって
極めて一様なばね力が得られる。

止め部材（１５）を設けることによって２つの脚（７）
は確実に案内され、さらに止め部材（１５）と板（３）
との間の脚（７）の円周方向の変位は制限される。ワイ
ヤブラケツトのばねの変位は、放射方向内向きに止め部
材によって制限される。

湾曲部（９）はクリツプ（２）に下から接触している。
クリツプ（２）にはリムの方に向いた端に取付用斜面が
ある。この斜面は、取り付けのとき発生する軸方向の力
が放射方向の力の成分に分解される限り、押し込みを容
易にする。これによって押し込み操作の間湾曲部に力が
及ぼされる。ホイールキヤツプの背後の深さｔによって
そのようなばね要素を持つホイールキヤツプは、ばねの
圧力の作用はクリツプ上面の頂点Ｐで起こり、そこでホ
イールキヤツプはリムと突き合わせになるので、種々の
深さのリムに確実に用いることができる。

本実施例において、ワイヤブラケツトの脚（７）はホイ
ールキヤツプ側で隣接する板（３）の止め（１２）に接
して円周方向に曲げられ、ホイールキヤツプ外周縁背面
に沿って円周方向に延び隣接するワイヤブラケツトの端
部と接続し、このようにして円周方向に形成される連接
片（１６）が固定部材を形成する。さらに各ワイヤブラ
ケツト間に同様の連接片が形成される結果、第２図に示
すように全体を１つのばねのリングにすることができ
る。一体の保持リングが形成され、円周方向に間隔をお
いて車体内部に向いて突出するワイヤブラケツトが適所
で溶接されたリング状のものが固定部材として構成され
る。このようなリング状の単一体ばねは突き合わせ位置
で溶接するとよい。またこのような結合はクリツプやス
リーブによっても行うことができる。この構成の利点
は、ばね要素は製作の時個々にはめ込む必要はなく、単
一体としてホイールキヤツプに取り付けることができる
ことである。連接片（１６）の放射方向の固定は板
（３）によって行われ、第１図に示す止め（１２）以外
にさらに板（３）上に連接片（１６）のばねの車軸方向
外方への変位を制限する別の止めを設けることが出来
る。

２つまたはそれ以上のワイヤブラケツトが単一のばねに
互いに結合されると、その円周方向に延びる直接直線は
ワイヤブラケツトの間にカルダン角をつくる。カルダン
角をいうのは、それぞれ２つの隣り合ったワイヤブラケ
ツトの係止部を通って延びる仮想直線Ｉ−Ｉと、別の２
つの隣り合ったワイヤブラケツトの係止部を通って延び
る仮想直線II−IIとが互いになす角（α）である。この
角はリムまたはキヤツプの直径に適合させることがで
き、連結枝の放射方向の内方に向く変形によって連接片
にも変形を引き起こす。それによって反作用力が発生す
る。この反作用力は、連結枝の変形が増大すると、放射
方向に外向きの連接片の運動と円周方向のワイヤブラケ
ツト（５）の拡大とを引き起こす。

その際、連接片の変形がホイールキヤツプの板にある止
めによって放射方向の内向きに制限される。連接片はワ
イヤブラケツトをホイールキヤツプに取り付ける時止め
に寄りかかるので、この制限はワイヤブラケツトのばね
特性に影響を与え、止めは支持体として働くのでばねに
予め応力が作用する状態が作り出される。

連接片の変形を放射方向に外向きに制限することによっ
てばね特性はさらに影響される。その結果、連接片のた
わみによって発生する、放射方向に外向きのばね力が、
ワイヤブラケツトの円周方向に延びる連結枝の湾曲部に
及ぶ。

［発明の効果］ 本発明のワイヤブラケツトと連接片との構成および止
め、止め部材との結合はワイヤブラケツトに放射方向、
車体内部方向、および円周方向に事前の応力を与える。
このため、わずかなばねの変位でホイールキヤツプの車
輪への確実な取り付けができる。細いワイヤで構成でき
るので安価であり、場所をとらない。ワイヤブラケツト
の脚の長さに関係なく連結枝は十分な応力を持つので、
深いリムを持つホイールに対して使用することができ
る。

単一のリング状ばねの放射方向の変形の制限はワイヤブ
ラケツトの連結枝の湾曲部にばね力を及ぼし、湾曲部の
わずかな変位でホイールキヤツプの車輪への確実な取り
付けをもたらす。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のワイヤブラケツトと連接片とを持つホ
イールキヤツプの一部の斜視図である。 第２図はワイヤブラケツトを連接片で連結した全体のリ
ング状ばね構成を示す。 １……ホイールキヤツプ ２……クリツプ ３……板 ５……ワイヤブラケツト ５ａ，５ｂ……ばね要素 ７……足 ８……連結枝 ９……湾曲部 １２……止め １５……止め部材 １６……連接片

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】弾性のワイヤでＵ字形に形成され、ホイー
   ルキヤツプ背面に円周方向に間隔をおいて設けられた複
   数のワイヤブラケツト（５）と、ホイールキヤツプ背面
   に円周方向に間隔をおいて設けられた複数の板（３）
   と、ホイールキヤツプ外縁の背面に車体内部方向に延び
   て設けられ放射方向に撓む車体内部方向の内方端を持つ
   クリツプ（２）とを備え、前記ワイヤブラケツト（５）
   はホイールキヤツプ背面から車体内部方向に延びる２つ
   の脚（７）を持ち、この脚は内方端で曲げられ円周方向
   に延びる連結枝（８）に移行し、全体として連続するＵ
   字形を形成し、前記連結枝（８）は放射方向外向きに湾
   曲する湾曲部（９）を持ち、前記板（３）はホイールキ
   ヤツプ背面にホイールキヤツプに垂直に取り付けられ、
   車体内部方向に延びており、前記板のホイールキヤツプ
   側にはワイヤブラケツトの車体内部方向への動きを制限
   する止め（１２）が設けられ、ワイヤブラケツト（５）
   の脚（７）と連結枝（８）の間にワイヤブラケツトの放
   射方向外方へ動きを制限する止め部材（１５）が設けら
   れ、前記クリツプ（２）の下面は前記連結枝の湾曲部
   （９）と係合していて、ホイールキヤツプを車輪のリム
   に取り付けた時、前記連結枝の湾曲部のばね力を受け、
   クリツプ上面がリムの溝に押圧される自動車のホイール
   キヤツプ取付装置において、 ワイヤブラケツト（５）の脚（７）はホイールキヤツプ
   側で隣接する板（３）の止め（１２）に接して曲げられ
   た係止部（４）を経てホイールキヤツプ背面に沿って円
   周方向に隣接するワイヤブロックまで延びる連接片（１
   ６）へ移行し、複数の連接片（１６）と複数のワイヤブ
   ラケツト（５）とが全体として閉じたリング状ばねとし
   て構成されることを特徴とする自動車のホイールキヤツ
   プ取付装置。
2. 【請求項２】前記止め（１２）は板（３）のホイールキ
   ヤツプ側外方隅を切り欠いて設けられ、ワイヤブラケツ
   トの係止部（４）は前記切り欠いた部分に接して曲げら
   れている、特許請求の範囲第１項記載のホイールキヤツ
   プ取付装置。
3. 【請求項３】前記止め部材（１５）は、車体内部及び放
   射方向内方側の隅に切り欠いた部分を持ち、ワイヤブラ
   ケツトの脚（７）の連結枝（８）への移行部分は前記切
   り欠いた部分に接して曲げられている、特許請求の範囲
   第１項記載のホイールキヤツプ取付装置。