JPS6231696Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、２輪車用デイスクブレーキ、特に
フローテイングタイプのデイスクブレーキにおけ
るパツドアセンブリの押えばねに関するものであ
る。

上記タイプのデイスクブレーキにおいて、パツ
ドアセンブリの裏金上端に突出部を設け、キヤリ
パブリツジ部に挿通したパツドピンを上記突出部
に挿入することによつて、パツドアセンブリを支
持する構造のデイスクブレーキがある。すなわ
ち、この種のデイスクブレーキは、第１図及び第
２図に示すように、キヤリパ１のデイスク溝２の
一部に凹所３を設け、各パツドアセンブリ４の裏
金５の上端に設けた突出部６を上記凹所３に挿入
し、キヤリパブリツジ部７を貫通する１本のパツ
ドピン８を上記突出部６に挿通することによつて
各パツドアセンブリ４を支持している。各パツド
アセンブリ４の両肩部９は上記凹所３の両側にお
いてデイスク溝２に当接している。

ところで、上記構造のデイスクブレーキにおい
ては、パツドアセンブリ４を単にパツドピン８に
よつて吊下げて支持するものであるから、各部の
寸法にばらつきがあると、デイスク溝２とパツド
アセンブリの両肩部９の間に間隙が生じる。その
ために、走行中にパツドアセンブリ４ががたつ
き、異音（ラトル音、クロンク音）を発生すると
原因となる。

特に、デイスク溝２の面は、鋳物黒皮のため寸
法精度が悪いため、上記の間隙が生じやすい。

また、デイスク溝２とパツドアセンブリ４の両
肩部９は、上記のように、直接接触しており、パ
ツドアセンブリ４にかかるトルクをその接触部分
で受けるために、摩滅し易い欠点もある。

このような問題を解消するために、第３図に示
す如き押えばね１０を使用することは一つの有効
な手段である。

第３図に示す押えばね１０は、一枚のばね性あ
る金属板を屈曲して、コ字状部１１とその両端に
平板部１２を形成したものである。上記の平板部
１２は、先端方向に至るに従い下降する緩やかな
傾斜を有する。また、この平板部１２は、コ字状
部１１よりも広く形成されている。

第４図及び第５図は、上記の押えばね１０を取
付けた状態を示している。すなわち、コ字状部１
１は、パツドアセンブリ４の突出部６とキヤリパ
ブリツジ部の凹所３間に挿入され、平板部１２
は、パツドアセンブリ４の両肩部９とデイスク溝
２との間に挿入されている。コ字状部１１は、突
出部６と凹所３の内壁間で充分余裕をもつて挿入
され、平板部１２は両肩部９によつて、第５図鎖
線位置から実線位置に押し上げられた状態で、両
肩部９とデイスク溝２との間に密にはめられてい
る。また、平板部１２は、第４図に示すように、
対向する一対のパツドアセンブリ４間にわたり、
それぞれの肩部９に載つている。

前述のように、平板部１２は緩やかな傾斜をも
つているため、上記のように、両肩部９とデイス
ク溝２との間でその傾斜が喪失する方向に押圧さ
れることによつて、パツドアセンブリ４に弾力を
及ぼす。

したがつて、パツドアセンブリ４は安定よく支
持され、走行中にがたつくことがないので異音の
発生が防止され、またパツドアセンブリ４とキヤ
リパ１の接触部分における摩滅も防止することが
できる。

しかし、上記の押えばね１０は、それ自身の弾
力によつてキヤリパ１に支持されることはないの
で、パツドアセンブリ４を外すと、この押えばね
１０も自然に外れる欠点がある。そこで、第６図
において鎖線で示すように、コ字状部１１を外側
へ拡げた状態に形成しておくことにより、コ字状
部１１に弾性を付与させることが考えられるが、
弾力だけで押付けるものであるから、パツドアセ
ンブリ４を外す際にその一部に触れるなどして振
動が加わると容易に外れる心配がある。

そこで、この考案はこのような押えばねにおい
て、パツドアセンブリ４を外した場合に、容易に
外れることがなく、それでいて容易に装着できる
押えばねを提供することを目的とするものであ
る。

上記の目的を達成するために、この考案の押え
ばね２０は（第７図参照）、コ字状部１１の頂部
１１ｂ両側辺に爪２１を形成し、その爪２１に自
由状態において先端方向に至るに従い下降する傾
向の傾斜を付与した構成にしたものである。平板
部１２は前述のものと同様に脚部１１ａに連続し
て屈曲形成される。

上記の両側の爪２１の先端間の距離は、自由状
態において凹所３の幅より若干小さく形成されて
おり、凹所３の挿入した際、爪２１の先端は上記
傾向の傾斜を維持して凹所３の内壁に突き当てる
ことにより係合される。また、平板部１２は、前
述の場合と同様に肩部９とデイスク溝２との間で
傾斜を喪失する方向に押圧され、両肩部９に弾力
を及ぼす。

爪２１は上記のように形成されるものであるか
ら、凹所３に挿入する場合は、ほとんど抵抗なく
挿入されるが、逆にこれを引出す際は、その先端
が内壁に突き当てられているために反対方向に屈
曲変形する必要がある。

以上のように、この考案の押えばねは、パツド
アセンブリの両肩部を押圧することによつて、パ
ツドアセンブリを安定よく支持するので、走行中
のがたつきがなく、したがつて異音の発生を防止
する効果があるとともに、パツドアセンブリとキ
ヤリパとが直接接触することが無くなるので、接
触面における摩滅を防止する効果もある。

更に、爪の作用により、パツドアセンブリを外
してもこの押えばねは容易に外れることがなく、
一定位置に確実に保持され、しかも装着は容易で
ある等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来のデイスクブレーキの
断面図、第３図は従来例の押えばねを示す斜視
図、第４図及び第５図は、上記の押えばねを取付
けたデイスクブレーキの断面図、第６図は他の例
の押えばねを取付けたデイスクブレーキの断面
図、第７図はこの考案の実施例の押えばねを示す
斜視図、第８図はその押えばねを取付けたデイス
クブレーキの断面図である。 １……キヤリパ、２……デイスク溝、３……凹
所、４……パツドアセンブリ、５……裏金、６…
…突出部、７……キヤリパブリツジ部、８……パ
ツドピン、９……肩部、１０，２０……押えば
ね、１１……コ字状部、１１ａ……脚部、１１ｂ
……頂部、１２……平板部、２１……爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 対向一対のパツドアセンブリ４の裏金５上端に
   設けた突出部６に、キヤリパブリツジ部７を貫通
   するパツドピン８を挿通し、上記突出部６両側の
   肩部９をデイスク溝２に当接する形式の２輪車用
   デイスクブレーキに装着される押えばねであつ
   て、上記突出部６を挿入するキヤリパブリツジ部
   ７の凹所３と突出部６との間に挿入されるコ字状
   部１１と、そのコ字状部１１の脚部１１ａに連続
   して上記両肩部９とデイスク溝２との間に介在さ
   れる平板部１２を設けた金属板製押えばねにおい
   て、上記コ字状部１１の頂部１１ｂ両側辺に凹所
   ３内壁に係合する爪２１を形成し、上記爪２１お
   よび平板部１２に自由状態においてそれぞれの先
   端方向に至るに従い下降する傾向の傾斜を付与
   し、装着状態において各爪２１は上記傾向の傾斜
   を維持するとともに、その先端を凹所３の両内側
   壁面に突き当てることにより係合され、各平板部
   １２はその傾斜を喪失する方向に押圧されること
   を特徴とする押えばね。