JPH06146003A - 耐食性・塗装性に優れた表面処理金属材 - Google Patents

耐食性・塗装性に優れた表面処理金属材

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JPH06146003A
JPH06146003A JP32851792A JP32851792A JPH06146003A JP H06146003 A JPH06146003 A JP H06146003A JP 32851792 A JP32851792 A JP 32851792A JP 32851792 A JP32851792 A JP 32851792A JP H06146003 A JPH06146003 A JP H06146003A
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molybdenum
treatment
coating
corrosion resistance
film
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JP32851792A
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Yukihiro Yoshikawa
幸宏 吉川
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C22/00Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C22/05Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions
    • C23C22/06Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6
    • C23C22/40Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing molybdates, tungstates or vanadates

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐食性・塗装性に優れた無公害型の表面処理
金属材を提供する。 【構成】 表面にモリブデン酸系の処理皮膜を形成す
る。その処理皮膜の6価モリブデン/全モリブデン比を
0.2〜0.8とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電製品、建
材などに使用される耐食性・塗装性に優れた表面処理金
属材に関し、更に詳しくは、モリブデン酸系の処理皮膜
を有する無公害型・無害型の表面処理金属材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電製品、建材などの耐
食性改善を目的として亜鉛めっき鋼板が使用されてお
り、その亜鉛表面には、耐食性の更なる改善や塗装性お
よび接着性の向上を目的として、クロメート処理を施す
のが通例となっている。
【0003】このクロメート処理は、反応型クロメート
処理、電解型クロメート処理、塗布型クロメート処理に
大別される。いずれの処理も有害なクロム化合物を使用
し、特に反応型および電解型クロメート処理では、クロ
メート処理液との反応後に水洗を行うために、排水汚染
の問題がある。
【0004】これらに対し、塗布型のクロメート処理で
は、処理後に洗浄を必要としないため、排水汚染の問題
が少ない。また、処理皮膜に基材金属に達する傷がつい
ても、皮膜中に含まれる6価クロムの作用により、皮膜
が自己修復されて防食性を維持するという特色がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、塗布型
クロメート処理でも排水汚染の問題が全くないわけでは
ない。例えば、攪拌器やタンクなどの処理液調製装置、
ロールコーターなどの塗布装置の洗浄に大量の水が使用
され、その排水は高濃度のクロム化合物を含有するため
に処理されなければならない。
【0006】また、表面処理工程においては、処理液が
飛散したり処理液のミストが発生する可能性があるため
に、作業環境を汚染するという問題がある。更に、製品
においては、製品が6価クロムを含有するために、使用
環境によってはクロムの溶出を生じる危険性がある。
【0007】周知のように、6価クロムの毒性は極めて
強く、処理法の様々な改善にもかかわらず、環境や人体
への悪影響を完全に払拭することはできていない。その
ため、6価クロムを用いない無公害型・無害型の表面処
理法がこの20年来求め続けられてきたが、未だクロメ
ート処理の性能に並ぶような処理法は見出されていな
い。
【0008】本発明の目的は、クロメート処理材に匹敵
する耐食性・装飾性を有する無公害型・無害型の表面処
理金属材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】クロメート処理は既に多
くの分野で使用されているが、その防食メカニズム、特
に、塗布型クロメート処理が高耐食性に寄与する理由
は、未だ詳細には解明されていない。また、処理皮膜の
化学構造についても確定した見解はなく、例えばクロメ
ート皮膜が3価クロムと6価クロムのオキシ、オキソ化
合物であるという説や、3価クロムのみが高分子化して
皮膜骨格を形成し、その骨格中に6価クロムが取り込ま
れているという説などがある。ただし、皮膜中の3価ク
ロムと6価クロムの皮膜特性に対する役割が異なるとい
う点は、共通の認識となっている。
【0010】即ち、3価クロムは皮膜のバリアー性や密
着性を担い、一方、6価クロムは塗装密着性は殆ど寄与
しないが、耐食性、特に傷部の耐食性向上には不可欠と
されているのである。
【0011】このような認識から、クロムと化学的な性
質が類似したクロム以外の遷移金属の酸素酸塩系処理
が、クロメート処理の代替となり得ると考えられてお
り、その考えの基で種々の研究がなされてきた。しか
し、未だ満足な成果は得られていない。
【0012】クロメート処理の代替については、本発明
者も研究を続けており、クロメート処理皮膜の構造およ
び物性の詳細な調査から、クロメート処理の代替となる
処理には、以下の2つの性質を持った化合物を用いるこ
とが必要であるとの事実が明らかになってきた。
【0013】第1は、クロム酸と同様に水溶液中におい
てイソポリイオンまたはヘテロポリイオンを生成する性
質を持つことである。
【0014】塗布型クロメート処理は、6価のクロム酸
の一部を還元して3価にした処理液を、基材上に塗布し
て乾燥させることによって皮膜を形成するものである。
本発明者はこの塗布型クロメート皮膜の形成機構を調査
した結果、処理液中で既にクロムイオンが高分子化して
存在しているという事実を得た。
【0015】即ち、塗布型クロメート処理では、塗布乾
燥の過程で始めてクロム化合物が高分子化して皮膜を形
成するのではなく、処理液中で既にある程度の重合度ま
で高分子化したクロム化合物が、塗布乾燥により更に高
分子化を進めて、皮膜を形成すると推定されるのであ
る。
【0016】そのために、クロメート処理の代替となる
処理でも、強固なバリアー性を有する皮膜を形成するた
めには、クロム酸と同様に水溶液中である程度を重合度
を有する化合物が必要となり、このために化合物イオン
そのものがポリイオン化する性質を有することが要求さ
れる。
【0017】第2に要求される性質は、処理液中で2つ
以上のイオン状態を持ち、且つ、それぞれの電気化学的
な安定性が相違することである。
【0018】クロメート処理液でのクロム酸は、3価ク
ロムと6価クロムの2つのイオン状態を持つ。この状態
は、処理皮膜が形成されてもほぼ維持される。そして、
皮膜中に3価クロムと6価クロムが共存することが、ク
ロメート皮膜の高耐食性の主因になっている。従って、
クロメート処理皮膜の代替となる処理皮膜においても、
2つ以上のイオン状態が必要であり、そのために処理化
合物は処理液中で2つのイオン状態を持つことが必要と
なる。しかし、このイオン状態については、単に2つ以
上のイオン状態が存在するというだけでは不充分であ
る。
【0019】なぜなら、クロメート皮膜の場合、腐食環
境下で皮膜が傷つくと、6価クロムが3価に還元される
ことにより、皮膜を修復するという自己修復作用があ
る。この作用は3価クロムが6価クロムより電気化学的
に安定であるということと関係している。従って、クロ
メート代替処理においても、安定な価数とそれよりやや
不安定な価数が共存していることが、皮膜の自己修復の
ために必要になるのである。
【0020】本発明者は以上の観点に立ってクロム酸の
代替となる化合物を検討した結果、モリブデン酸が最も
ふさわしいとの結論を得た。
【0021】即ち、本発明者が種々化合物の水溶液中で
のイオン状態の挙動、および生成皮膜中でのイオン状態
を詳細に検討した結果、モリブデン酸が上述のクロメー
ト代替条件をことごとく満足するのである。
【0022】例えば、モリブデン酸は水溶液中でイソポ
リイオンまたはヘテロポリイオンを形成し、且つ、比較
的安定でその安定性が異なる2つの価数を持つ。即ち、
4価と6価であり、4価のモリブデンが3価のクロムに
対応し、6価のモリブデンが6価クロムに対応するので
ある。
【0023】本発明は上述の知見に基づきなされたもの
で、表面にモリブデン酸系の処理皮膜を有し、且つ、そ
の処理皮膜の6価モリブデン/全モリブデン比が0.2〜
0.8であることを特徴とする耐食性・塗装性に優れた表
面処理金属材を要旨とする。
【0024】本発明の表面処理金属材の製造は、還元剤
を用いて6価のモリブデン酸化合物を部分還元して6価
モリブデン/全モリブデン比を0.2〜0.8とした処理液
を金属基材表面に塗布し乾燥させる塗布型処理によるの
が望ましい。
【0025】なお、モリブデン酸を用いた処理自体は、
例えば特公昭51−2419号公報により公知である。
ここに開示された処理は、クロメート処理よりも更に優
れた耐白錆性を得るためにモリブデン酸を用いたもので
あり、その処理皮膜は4価モリブデンと6価モリブデン
が共存したものであるとしている。
【0026】しかし、この処理は、単に6価のモリブデ
ン酸化合物を金属基材と反応させることにより皮膜を形
成するもので、部分還元による処理液中および皮膜中の
イオン状態の制御を行っていない。そのために、皮膜中
の6価モリブデン量は全モリブデン量の0.9以上の重量
比と推定される。これでは皮膜が緻密にならず主に塗装
性が悪化する。従って、この処理はクロメート処理の代
替にはなり得ない。
【0027】
【作用】以下に本発明の表面処理金属材を、金属基材、
モリブデン酸処理、処理皮膜の順に詳述して、その作用
を更に明らかにする。
【0028】金属基材 モリブデン酸処理の基材となる金属は、特に限定される
ものではないが、自動車、家電製品、建材などに用いら
れる場合を考えると、めっき鋼材、特に亜鉛系めっき鋼
材が主体となる。この亜鉛系めっきは、電気めっきと溶
融めっきの両方を含み、それぞれが合金亜鉛めっきであ
ってもよい。基材形態は板材を主体とするが、線材や管
材等であってもよい。
【0029】モリブデン酸処理 モリブデン酸処理の方法は、特に限定されるものでな
く、クロメート処理と同様に反応型、塗布型、電解型等
を適用できる。ただし、本発明では皮膜中のモリブデン
のイオン状態を特定範囲に限定するので、塗布型の処理
方法が最も好ましい。その理由は次のとおりである。
【0030】反応型処理では、基本的には6価のモリブ
デン酸の水溶液に金属基材を浸漬して、処理液と金属と
の反応を起こさせ、続く水洗工程により未反応の処理液
を除去した後に乾燥を行うことになる。基材金属の種類
にもよるが、一般的には4価主体のモリブデン酸系皮膜
が形成され、6価のモリブデンは水洗により殆ど除去さ
れてしまう。従って、皮膜中のモリブデンのイオン状態
の制御が難しい。
【0031】電解型処理では、通常、陰極電解により皮
膜を形成し、電解条件により3価、4価、5価のモリブ
デンを主体とする皮膜を形成できることが知られている
が、その電解条件により皮膜中のモリブデンのイオン状
態を定量的に制御することは非常に難しい。
【0032】これらに対し、塗布型処理は、クロメート
処理の場合と同じくイオン状態の制御を比較的容易に行
えるので、本発明を達成する方法としては最もふさわし
い。即ち、塗布型処理は水洗工程を含まず、水溶性の6
価モリブデンを皮膜中に温存できるのである。
【0033】塗布型のモリブデン酸処理を行う場合、そ
の処理液としては、モリブデン酸ナトリウムやモリブデ
ン酸アンモニウムなどの6価のモリブデン酸塩を主成分
とした水溶液を用いる。このような処理液を金属基材と
接触させると、6価のモリブデンが還元されて、4価の
モリブデンを主体とした皮膜が形成される。しかし、処
理液濃度、pH、処理温度、処理時間などの処理条件を
制御することにより、適量の6価モリブデンを皮膜中に
残すことができる。
【0034】皮膜中のモリブデンのイオン状態を最も簡
単に制御する方法は、処理液中の6価モリブデンの一部
を還元して、処理液中のモリブデンを6価のモリブデン
とそれ以下の価数、即ち5価、4価、3価のモリブデン
の混合物にしておき、その処理液を塗布し乾燥させて、
処理液に近い組成の皮膜を形成するという方法である。
【0035】6価のモリブデン酸塩の水溶液に還元剤を
添加したときの水溶液のイオン状態は複雑であり、現在
のところ確定した組成は報告されていない。例えば、6
価のモリブデンを塩化すずなどで還元すると4価のモリ
ブデンが生成するが、これは直ちに5価と3価に分かれ
る。また、金属亜鉛などで還元を行うと、所謂モリブデ
ンブルーが生成し、このイオン状態は5価と6価の混合
物ではないかと推定されている。しかし、本発明者の調
査によると、このような方法で部分還元を行った処理液
を用いても、形成された皮膜は6価と4価のモリブデン
が主体となる。
【0036】そして、6価モリブデン乃至は6価のモリ
ブデン酸化合物を部分還元して6価モリブデン/全モリ
ブデン比を0.2〜0.8とした処理液を用いることによ
り、本発明の表面処理金属材が製造される。処理液中の
部分還元率は酸化還元滴定法等により確認できる。
【0037】ここで使用される還元剤は、特に限定され
るものではない。無機系のものとしては、塩化スズ、硫
化水素、金属亜鉛、過酸化水素など、有機物としては、
アルコール類、カルボン酸類、糖類などを使用できる。
【0038】モリブデン酸処理液には、塗装密着性・耐
食性・耐指紋性などの向上も目的として、第3成分が添
加されても良い。この添加物としては、コロイド状物
質、高分子化合物、フッ素化合物、金属イオン、酸類な
どを用いることができる。
【0039】コロイド状物質としては、水性のシリカゾ
ル、気相シリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどが
挙げられる。高分子化合物としては、ポリアクリル酸等
の水溶性高分子や、ポリエチレン、アルリル系樹脂など
のエマルジョン樹脂がある。フッ素系化合物としては、
ケイフッ化ナトリウムが代表的なものである。金属イオ
ンとしてはコバルトイオン、ニッケルイオン、亜鉛イオ
ンなどがある。
【0040】このような塗布型モリブデン酸処理液は塗
布・乾燥によって皮膜を形成する。処理液の塗布方法と
しては、板状の基材に対してはロールコートが最も適し
ている。そのほかの方法として、浸漬法、バーコート、
刷毛塗りなどの任意のものを用いることがてきる。乾燥
はオーブン、ドライヤーなどで行われることが多く、温
度は通常80℃から200℃の間で行われる。乾燥時間
は温度にもよるが、通常、数十秒から数分の間である。
【0041】処理皮膜 本発明の表面処理金属材における表面処理皮膜(モリブ
デン酸皮膜)の6価モリブデン/全モリブデン比は0.2
以上0.8以下であることが必要である。この比が0.2よ
り小さいと、モリブデン酸皮膜の自己修復に必要な6価
モリブデン量が不足し、この比が0.8よりも大きいと、
形成されるモリブデン皮膜が緻密なものにならず、凝集
強度が不足するために塗布密着性が低下する。
【0042】モリブデン酸処理皮膜の付着量は、モリブ
デン付着量で20〜500mg/m2 が望ましい。付着
量が20mg/m2 に満たないと、耐食性が不十分とな
り、500mg/m2 を超えると、皮膜の凝集強度が低
下するために塗装密着性が低下するのみならず、経済的
でない。
【0043】
【実施例】次に本発明の実施例および比較例を説明す
る。
【0044】電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量20m
g/m2 、厚み0.8mm)を金属基材とし、その金属基
材に前処理として弱アルカリ性の脱脂液により脱脂を行
った後、種々のモリブデン酸処理液により表面処理を行
った。処理方法は塗布型処理を主体とし、一部反応型処
理を用いた。塗布型処理における処理液の塗布はバーコ
ーターを用い、塗布後、電気オーブンにて130℃×2
分間の乾燥を行った。
【0045】処理液の組成および形成された皮膜の付着
量およびモリブデン組成を表1に示す。皮膜付着量およ
びモリブデン組成は下記の方法により調査した。
【0046】皮膜付着量 蛍光X線法によりモリブデン付着量として測定した。
【0047】モリブデン組成 X線光電子分光測定装置としてVG Scientific 社のESCA
LAB MK2を用いて、皮膜中のモリブデンの化学状態の調
査を行った。X線源はAl kα、フィラメントの電圧は1
0kV、電流は34mAである。測定条件は、真空度5×1
-9Torr以上、光電子の放出角度45°、分光器のパス
エネルギーは20eVとした。帯電補正にはCls のメイン
ピークを用いた。得られたMo3d3/2 ピークとMo3d5/2
ークをコンピュータを用いたフィッティングにより分離
し、面積計算を行って6価モリブデンと4価モリブデン
の比を計算した。なお、6価のMo3d5/2 は結合エネルギ
ーで233eV付近、Mo3d3/2 は236eV付近に観察さ
れ、4価のMo3d5/2 は230eV付近、Mo3d3/2 は233
eV付近に観察される。
【0048】また、得られた各種表面処理鋼板の耐食
性、塗布後耐食性、塗装密着性を下記の試験により評価
した。
【0049】耐食性試験 試験片は平板で端面をシールした。JIS Z 2371に準拠し
て塩水噴霧試験を行い、白錆の発生が面積率にして5%
に達するのに要する時間を調査した。48時間以上を合
格レベルとした。
【0050】塗装後耐食性試験 塗装試験片にカッターで金属素地に達するクロスカット
を入れ、端面をシールして、塩水噴霧試験に供した。塩
水噴霧試験後240時間後のクロスカット部のふくれ幅
で評価した。評価符号は以下の通りである。 ◎ 最大ふくれ幅2.0mm以下 ○ 2.1〜3.0mm(合格レベル) △ 3.1〜5.0mm × 5.1mm以上
【0051】塗装密着性試験 試験片の片面のモリブデン酸皮膜上にアクリル系樹脂塗
料(神東塗料製、スーパーグリミン#1000)をバー
コートにより25から30μmの厚さに塗装した後、1
50℃で焼き付けして得た塗膜の一次密着性および二次
密着性を調査した。
【0052】一次密着性は、碁盤目試験機を用いて、塗
装した試験片に1mm角の升目を金属素地に達するまで
100個けがき、それをエリクセン試験機で7mm張り
出し、その後、セロハンテープの密着と剥離を行い、残
存升目の数を数えて評価した。評価符号の意味は以下の
通りである。 ◎ 剥離無し(全て残存) ○ ほとんど剥離しない(残存升目90〜99、合格レ
ベル) △ 一部剥離する(残存升目51〜89) × 大部分剥離する(残存升目50以下)
【0053】二次密着性は、上述のようにアクリル系樹
脂塗料を塗装した試験片を沸騰水中に2時間浸漬した
後、碁盤目試験機を用いて、2mm角の升目を25個け
がき、その後は一次密着性と同様の方法で評価した。評
価は一次密着と同様の符号により評価した。 ◎ 剥離無し(全て残存) ○ ほとんど剥離しない(残存升目22〜24、合格レ
ベル) △ 一部剥離する(残存升目13〜21) × 大部分剥離する(残存升目12以下)
【0054】耐食性、塗装後耐食性、塗装密着性の調査
結果を表2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】本発明の表面処理鋼板(No. 1〜14)で
は、処理液を部分還元して皮膜中の6価モリブデン分率
を0.2〜0.8に制御しているので、耐食性、塗装後耐食
性、塗装密着性のいずれもクロメート処理鋼板に匹敵す
る高い評価を得ている。
【0058】一方、モリブデン酸処理液を塗布しても、
処理液の部分還元を行わない場合(No. 15)は、6価
モリブデンの分率が0.9となり、主に塗装後耐食性およ
び塗装密着性が劣る。逆に過度の還元を行った場合(N
o. 16,17)は、皮膜中に6価モリブデンが保持さ
れず、主に耐食性が低い。反応型処理の場合(No. 1
8)も水洗により6価モリブデンが溶出し、皮膜中に充
分な量の6価モリブデンが温存されないので主に耐食性
が劣る。
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の表面処理金属材は、無害のモリブデン酸を用いて、ク
ロメート処理処理金属材に匹敵する優れた耐食性・塗装
性を発揮させるものであり、無公害型・無害型の高性能
表面処理金属材としてその工業的価値は甚だ大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にモリブデン酸系の処理皮膜を有
    し、且つ、その処理皮膜の6価モリブデン/全モリブデ
    ン比が0.2〜0.8であることを特徴とする耐食性・塗装
    性に優れた表面処理金属材。
  2. 【請求項2】 還元剤を用いて6価のモリブデン酸化合
    物を部分還元して6価モリブデン/全モリブデン比を0.
    2〜0.8とした処理液を金属基材表面に塗布し乾燥させ
    ることを特徴とする請求項1に記載の表面処理金属材の
    製造方法。
JP32851792A 1992-11-12 1992-11-12 耐食性・塗装性に優れた表面処理金属材 Pending JPH06146003A (ja)

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