JP2001214283A - 表面処理亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

表面処理亜鉛系めっき鋼板

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JP2001214283A
JP2001214283A JP2000348627A JP2000348627A JP2001214283A JP 2001214283 A JP2001214283 A JP 2001214283A JP 2000348627 A JP2000348627 A JP 2000348627A JP 2000348627 A JP2000348627 A JP 2000348627A JP 2001214283 A JP2001214283 A JP 2001214283A
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galvanized steel
corrosion resistance
metal
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JP2000348627A
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Chiyoko Tada
千代子 多田
Shigeru Unno
茂 海野
Hiroyuki Ogata
浩行 尾形
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

Abstract

(57)【要約】 【課題】表面処理にクロムを使用することなく得られ
る、耐アルカリ性、平板部耐食性、塗装後耐食性、アル
カリ脱脂後耐食性、上塗り塗装密着性および耐指紋性に
特に優れる表面処理亜鉛系めっき鋼板の提供。 【解決手段】亜鉛系めっき鋼板の表面に、(a)Mg、
MnおよびAlの金属化合物であり、りん酸塩、炭酸
塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物およびフッ化物から選ば
れる少なくとも1種の金属化合物、(b)水溶性有機樹
脂および(c)酸を含有する水性組成物を塗布して形成
された皮膜層を有する表面処理亜鉛系めっき鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面処理亜鉛系めっ
き鋼板に関し、より詳しくは表面処理にクロムを使用す
ることなく得られる、耐アルカリ性、耐食性、塗装後耐
食性、アルカリ脱脂後耐食性、上塗り塗装密着性に特に
優れる表面処理亜鉛系めっき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミ
めっき鋼板などの亜鉛系めっき鋼板は家電、自動車、建
築等の分野で広く使用されている。これらの鋼板は、鋼
板の耐食性向上のために、めっきの上にクロメート被覆
処理を施して、もしくはクロメート被覆処理を施した上
にさらに有機皮膜を施して使用されている。有機皮膜を
施す場合、このクロメート皮膜は有機皮膜との密着性を
向上させるという役割も果たす。
【0003】しかし、クロメート皮膜は耐食性や塗装密
着性に優れているものの、6価クロムを含有するので、
クロメート被覆工程において水質汚染防止法に規定され
る特別な排水処理を行う必要があり、コストアップにな
る欠点を有していた。このため、鋼板、特に亜鉛系めっ
き鋼板の白錆の発生を防止するために、クロムを用いな
い表面処理技術が求められ、例えば、下記のように数多
くの提案がなされている。
【0004】(1)特開平5−195244号公報に
は、(a) 少なくとも4個のフッ素原子と、チタン、ジル
コニウムなどの少なくとも1個の元素とからなる陰イオ
ン成分(例えば、(TiF6 2-)で示されるフルオロチ
タン酸)、(b) コバルト、マグネシウムなどの陽イオン
成分、(c) PH調節のための遊離酸および(d) 有機樹脂
を含有するクロムフリー組成物からなる金属の表面処理
方法が提案されている。しかし、この方法で得られる表
面処理金属板は、その上層に慣用の下塗りおよび上塗り
保護用組成物を塗布した場合に耐食性を発揮することが
明示されているのみで、皮膜単体では耐食性は十分とは
言えない。
【0005】(2)特開平9−241856号公報に
は、(a) 水酸基含有共重合体、(b) りん酸、および(c)
銅、コバルトなどの金属を含むりん酸系化合物を含有す
るクロムフリー組成物からなる金属の表面処理方法が提
案されている。しかし、この方法で得られる表面処理金
属板は、優れた加工後の裸耐食性、塗装密着性を示すも
のの、残存した官能基やりん酸が存在することから、耐
アルカリ性およびアルカリ脱脂後の耐食性の確保が困難
である。
【0006】(3)特開平11−50010号公報に
は、(a) ポリヒドロキシエーテルセグメントと不飽和単
量体の共重合体セグメントを有する樹脂、(b) りん酸お
よび(c) カルシウム、コバルトなどの金属のりん酸塩を
含有するクロムフリー組成物からなる金属の表面処理剤
が提案されている。しかし、この表面処理剤を用いて得
られる表面処理金属板は、優れた裸耐食性を示すもの
の、表面処理剤の主成分である(a) 樹脂の主骨格がエポ
キシ系からなるために上塗り塗装密着性が不十分であっ
た。
【0007】(4)特開平11−106945号公報に
は、(a) マンガン、コバルトなどの多価金属イオン、
(b) フルオロ酸、りん酸などの酸、(c) シランカップリ
ング剤および (d)重合単位2〜50の水溶性重合体を水
性媒体に溶解した水溶性表面処理剤が提案されている。
しかし、この表面処理剤を用いて得られる表面処理金属
材料は、耐食性を保つために、処理液中の酸成分による
金属表面のエッチング作用を利用して難溶性の樹脂皮膜
を形成させ、メッキ面との密着性を向上させるためにシ
ランカップリング剤を用いているが、この方法では界面
の密着性が不十分なために、上塗り塗装後の耐食性の確
保が困難である。
【0008】(5)特開平11−29724号公報に
は、(a) チオカルボニル基含有化合物、(b) りん酸イオ
ンおよび(c) 水分散性シリカを含有する水性防錆コーテ
ィング剤を亜鉛被覆鋼にコーティングする方法が提案さ
れている。しかし、特開平11−29724号公報記載
の方法におけるチオカルボニル基含有化合物のような硫
化物は、そもそも亜鉛などの金属表面に吸着しやすく、
さらに、りん酸イオンと共存すると、チオカルボニル基
含有化合物のチオール基イオンが、コーティング時に活
性な亜鉛表面のサイトに吸着されて防錆効果を発揮す
る。この表面処理方法で得られた亜鉛被覆鋼または無被
覆鋼は、表面を=N−C(=S)−基や−O−C(=
S)−基を有する層により被覆されると高耐食性を有す
るが、上塗り塗装密着性が不十分である。
【0009】(6)特開平9−316655号公報に
は、(a) 水酸基およびカルボキシル基含有共重合体、
(b) りん酸、(c) Mn、Mg、Al、Ba、Ca、Sr
等の化合物の1種あるいは2種以上および (d)Si
2 、ZrO2 、SnO2 、Al2 3 、Sb2 5
コロイドの1種あるいは2種以上を含有するクロムフリ
ー組成物を用いた電磁鋼板の表面処理方法が提案されて
いる。しかし、この方法で得られる電磁鋼板は、優れた
耐食性を示すものの、残存する官能基、酸成分の影響に
より、耐アルカリ性、アルカリ脱脂後耐食性の確保が困
難である。
【0010】また、前記(1)〜(4)の方法におい
て、金属板に十分な付着量の表面処理剤(被覆剤、コー
ティング剤)を被覆した場合、すなわち、十分な膜厚の
皮膜を施した場合には、まずまずの耐食性が得られる
が、例えば、金属板の凸部などの一部が露出するような
皮膜が施されていたり、膜厚が薄過ぎる場合には、耐食
性が極めて不十分であった。つまり、金属板に対する表
面処理剤の被覆率が100%の場合にのみ、耐食性があ
るが、被覆率が100%未満の場合には耐食性が不十分
であった。また、これら表面処理のうち、特に(2)、
(6)は金属塩と樹脂との架橋による緻密な樹脂皮膜の
形状で耐食性を確保しているが、樹脂官能基量に比べ架
橋剤である金属の絶対量が不足しているために多量の官
能基が未架橋のまま皮膜中に残存し、耐アルカリ性およ
びアルカリ脱脂後の耐食性を劣化させるという問題があ
った。
【0011】さらに、前記(1)〜(6)の従来技術
は、いずれも金属表面と表面処理剤が形成する皮膜とを
界面で強固に付着させる発想に基づく技術である。微視
的に捕らえれば、金属表面と表面処理剤とは完全には密
着し得ないので、密着性向上には限界があった。したが
って、端面が露出する腐食環境では、金属表面と表面処
理皮膜との界面で腐食が進行しやすいという問題点があ
った。
【0012】特に最近、パソコン、複写機などの事務
機、エアコンなどの家電製品においては、リサイクルの
観点から、クロムを含有せず、耐食性を有し、さらにア
ルカリ脱脂後や上塗り塗装後の擦り傷等を受けた後も、
なお高耐食性を有する表面処理鋼板が求められている。
しかし、従来のクロムを用いない技術の数多くの提案の
中で、かかる耐食性(平板部)、耐アルカリ性、アルカ
リ脱脂後耐食性、塗装後耐食性および上塗り塗装密着性
が満足できる表面処理亜鉛系めっき鋼板を開示するもの
はない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたもので、表面処理剤の被覆工程および得
られた表面処理金属材料の使用に際して、特別な排水処
理が不要で、かつ優れた平板部耐食性、耐アルカリ性、
アルカリ脱脂後耐食性、塗装後耐食性、上塗り塗装密着
性を兼備した表面処理亜鉛系めっき鋼板を提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため、鋭意検討した結果、亜鉛系めっき鋼板の
表面に、クロメート被覆することなく、有機樹脂、金属
化合物および酸を含有する水性組成物を塗布することに
より、特に耐食性、耐アルカリ性、および上塗り塗装密
着性に優れた皮膜層を形成できることを見出し、本発明
を完成するに至った(以下、耐食性は平板部耐食性と塗
装後耐食性の両方を意味し、耐アルカリ性は耐アルカリ
性とアルカリ脱脂後耐食性の両方を意味する)。
【0015】すなわち、本発明は、亜鉛系めっき鋼板の
表面に、下記(a)、(b)および(c)を含有する水
性組成物を塗布して形成された皮膜層を有する表面処理
亜鉛系めっき鋼板を提供するものである。 (a)Mg、MnおよびAlの金属化合物であり、りん
酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物およびフッ化
物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物 (b)水溶性有機樹脂 (c)酸
【0016】また、本発明において、前記水溶性有機樹
脂が、カルボキシル基含有単量体の重合体の少なくとも
1種および/またはカルボキシル基含有単量体とその他
の重合性単量体との共重合体の少なくとも1種である
と、好ましい。
【0017】さらに、前記酸が、りん酸、酢酸、硝酸お
よびフッ酸から選ばれる少なくとも1種であると、好ま
しい。
【0018】また、前記(a)金属化合物の他に、さら
に、Zn、Co、Ti、Sn、Ni、Fe、Zr、S
r、Y、Cu、Ca、VおよびBaから選ばれる少なく
とも1種の金属を含有する金属化合物を含むと、好まし
い。
【0019】また、前記水性組成物が、酸として、さら
に、2価以上の金属に配位可能な有機酸を含むと、好ま
しい。
【0020】さらにまた、前記水性組成物が、さらに多
価フェノールカルボン酸を含むと、好ましい。
【0021】また、前記水性組成物が、さらに水分散性
樹脂を含むと、好ましい。前記水性組成物が、さらにカ
ップリング剤を含むと、好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の表面処理亜鉛系め
っき鋼板(以下、「本発明の鋼板」という)について、
詳細に説明する。本発明の鋼板は、亜鉛系めっき鋼板の
表面に、(a)金属化合物、(b)水溶性有機樹脂およ
び(c)酸を含む水性組成物を塗布して形成された皮膜
層を有するものである。
【0023】本願で言う「亜鉛系めっき」とは、亜鉛を
含むめっきを総じて称し、純亜鉛めっきはもとより、亜
鉛を含む合金めっき、亜鉛を含む複合分散めっきのいず
れも含む。このような亜鉛系めっきをさらに具体的に例
示すれば、純Znめっき、Zn−Ni合金めっき、Zn
−Fe合金めっき、Zn−Cr合金めっき、Zn−Co
合金めっき、Zn−Al合金めっきなどの二元系Zn合
金めっき、Zn−Ni−Cr合金めっき、Zn- Co-
Cr合金めっきなどの三元系Zn合金めっき、またZn
−SiO2 めっき、Zn−Co−Cr−Al2 3 めっ
きなどの亜鉛系複合分散めっきを挙げることができる。
これらの亜鉛系めっきには、電気めっき法や、溶融めっ
き法などを適宜用いることにより得られる。
【0024】皮膜層を形成する水性組成物の(a)成分
である金属化合物は、Mg、MnおよびAlの金属化合
物であり、りん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、水酸化
物およびフッ化物から選ばれる少なくとも1種である。
すなわち、Mg、MnおよびAlを必須成分として含有
する下記の(a−1)、(a−2)および(a−3)の
金属化合物(a−i)を、それぞれ1種または2種以上
含むものである。 (a−1)Mgのりん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、
水酸化物およびフッ化物から選ばれる少なくとも1種の
Mg化合物(以下、「Mg塩」という) (a−2)Mnのりん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、
水酸化物およびフッ化物から選ばれる少なくとも1種の
Mn化合物(以下、「Mn塩」という) (a−3)Alのりん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、
水酸化物およびフッ化物から選ばれる少なくとも1種の
Al化合物(以下、「Al塩」という)
【0025】また、水性組成物は、(a)金属化合物と
して、金属化合物(a−i)以外に、さらに、Zn、C
o、Ti、Sn、Ni、Fe、Zr、Sr、Y、Cu、
Ca、VおよびBaのりん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硝酸
塩、水酸化物およびフッ化物から選ばれる少なくとも1
種の金属化合物(a−ii)を含むと、さらに高い耐食
性、耐アルカリ性を得ることができるため、好ましい。
これらの金属化合物(a−ii)は1種単独または2種
以上の組み合わせが水性組成物中に含まれていてもよ
い。これらの金属化合物(a−ii)の中でも、Znの
炭酸塩、酢酸塩および水酸化物を併用すると、後述する
安定なZn系腐食生成物の形成に有効であるため、好ま
しい。
【0026】水性組成物中の(a)金属化合物の(a−
i)および(a−ii)の金属化合物を含めた合計の含
有量は、水性組成物中の固形分の5〜60重量%が好ま
しく、特に5〜50重量%の範囲が好ましい。また、
(a)金属化合物として複数の金属化合物を使用する場
合、各金属化合物は、1〜50重量%の割合で水性組成
物中に含有させるのが好ましい。合計の含有量が5重量
%未満では耐食性が劣り、60重量%を超えると溶接性
が劣る傾向がある。さらに、(a)金属化合物として、
金属化合物(a−i)と(a−ii)を併用する場合、
(a−i)/(a−ii)の含有割合は、水性組成物中
での安定性の点で、0.5〜5の範囲が好ましく、特に
0.5〜4の範囲が好ましい。
【0027】本発明において、これらの(a)金属化合
物の耐食性に及ぼす効果は明らかでないが、以下のよう
に推定される。すなわち、皮膜層下の亜鉛系めっきにお
いて、塩水噴霧環境下で特に皮膜層の傷部では、下記式
(1) および(2) の反応によって亜鉛が溶出し、式(3)お
よび(4) の反応によって電導性のあるZnOが生成し、
さらに腐食が進行する。ここで、金属イオンMが腐食部
に存在すると下記の式(5) の反応によってMとZnから
なる安定な腐食生成物が形成されることで耐食性が発揮
される、と考えられる。 アノード反応) Zn → Zn2+ + 2e - (1) カソード反応) H2O + 1/2O2 + 2e- →2OH - (2) 腐食生成物の形成)Zn2+ + 2OH- → Zn(OH)2 (3) Zn(OH)2 → ZnO + H2 O (4) M n+ + Zn 2+ + xOH -→ (M,Zn)(OH) x (5) (M; Mg, Mn, AlあるいはさらにZn, Co, Ti, Sn, Ni, F
e, Zr, Sr, Y,Cu, Ca, V, Ba)
【0028】水性組成物の(b)成分である水溶性有機
樹脂は、カルボキシル基含有単量体の重合体(b−1)
の少なくとも1 種、および/またはカルボキシル基含有
単量体とその他の重合性単量体との共重合体(b−2)
の少なくとも1種であることが好ましい。カルボキシル
基含有単量体とその他の重合性単量体との共重合体(b
−2)としては、水酸基含有単量体とカルボキシル基含
有単量体との共重合体(b−2−1)が例示される。
【0029】カルボキシル基含有単量体としては、例え
ば、エチレン性不飽和カルボン酸およびその誘導体を挙
げることができる。エチレン性不飽和カルボン酸の具体
例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等
のエチレン性不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸、
それらの誘導体として、カルボン酸のアルカリ金属塩、
アンモニウム塩、有機アミン塩を挙げることができる。
これらの中でも、好ましくは、アクリル酸、メタクリル
酸を使用することができる。
【0030】水酸基含有単量体としては、例えば、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキ
シブチル、アクリル酸2,2−ビス(ヒドロキシメチ
ル)エチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシ
プロピル、(メタ)アクリル酸3−クロル−2−ヒドロ
キシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステ
ル類、アリルアルコール類およびN−メチロールアクリ
ルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルア
ミド等のアルコールアミド類の還元性水酸基を含有する
単量体等を挙げることができ、これらは1種単独または
2種以上の組み合わせで用いられる。これらの中でも、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルが好ましい。
【0031】水溶性有機樹脂(b)の組成は、特に限定
されないが、共重合体(b−2)の場合には、カルボキ
シル基含有単量体が0.5重量%以上、好ましくは40
〜95.5重量%含まれているものが好ましい。カルボ
キシル基含有単量体が40重量%以上であると、得られ
る皮膜層の緻密性が増大するため、耐食性が向上する。
一方、カルボキシル基含有単量体が95.5重量%以下
であると、カルボキシル基同士の会合が特に起こらず有
効に作用する官能基の量が維持されるので好ましい。
【0032】また、共重合体(b−2)の場合に、その
他の重合性単量体が0.5〜60重量%であり、カルボ
キシル基含有単量体が40〜95.5重量%であるのが
好ましい。その他の重合性単量体が0.5重量%未満で
あると、有機樹脂層と下地層との密着に寄与する官能基
が不足し、耐食性が劣化する虞がある。一方、その他の
重合性単量体が60重量%を超えると、表面処理剤とし
ての安定性が損なわれる傾向があるので好ましくない。
また、水溶性有機樹脂を構成する(共)重合体の重量平
均分子量は特に限定されないが、1万〜数十万程度であ
る。
【0033】水性組成物の(c)成分である酸は、りん
酸、酢酸、硝酸、フッ酸、さらに、オキサル酢酸、トリ
カルバリル酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、リ
ンゴ酸、グルタル酸などの2価以上の金属イオンに配位
可能な有機酸が挙げられる。これらの中でも、りん酸、
酢酸、硝酸およびフッ酸からなる群から選ばれる少なく
とも1種が好ましい。また、前記の2価以上の金属イオ
ンに配位可能な有機酸を併用すると、めっき面のエッチ
ングを促進させ、金属化合物と配位子より緻密な皮膜層
を形成することができるため、有効である。
【0034】本発明において、(c)酸は、亜鉛系めっ
き鋼板の表面をエッチングし、皮膜の亜鉛系めっき鋼板
との密着性をさらに向上させ、皮膜剥離を防止し、耐食
性、耐アルカリ性を向上させる作用がある。水性組成物
の全固形分に占める酸の含有量は特に限定されないが、
好ましくは1 〜20重量%、特に好ましくは5〜15重
量%である。1重量%未満であると亜鉛めっきのエッチ
ングが不充分になり、耐食性が低下する。逆に20重量
%を越えると、亜鉛めっきの溶解が早過ぎ、めっき面に
外観ムラが生じる。また、酸として前記の2価以上の金
属イオンに配位可能な有機酸を併用する場合は、全固形
分重量に対して1〜10重量%含有せしめることが好ま
しい。含有量が1 重量%未満だとその効果が充分でなく
未架橋点を増大させかえって皮膜の緻密性を妨げる虞が
ある。また、10重量%を超えると水性組成物としての
安定性が保てないためである。
【0035】さらに、本発明において、水性組成物に
(d)多価フェノールカルボン酸を配合すると、耐食
性、耐アルカリ性をさらに改善できるため、好ましい。
多価フェノールカルボン酸としては、タンニン酸、没食
子酸などが好適であり、水性組成物の固形分の0.1〜
20重量%の割合で配合するのがよい。
【0036】ここで、本発明において、(a)金属化合
物、(b)水溶性有機樹脂および(c)酸、ならびに好
ましくは(d)多価フェノールカルボン酸を含む水性組
成物によって、耐食性及び耐アルカリ性に優れた皮膜層
を形成することができる理由について、充分明確ではな
いが次のように考えられる。一般に、カルボキシル基含
有樹脂、多価金属塩および酸を共存させた水溶液を塗
布、乾燥して造膜する際には、イオン化した金属が樹脂
分子間で擬似架橋をすることが知られている。その擬似
架橋により親水性の高いカルボキシル基含有有機樹脂に
よる被膜が耐水性を発現する。本発明では、その擬似架
橋を従来技術のごとく単に樹脂間で利用するだけでな
く、充分な酸成分の存在下でめっき面を強くエッチング
し、めっき界面近傍にフリーな金属イオンを生成するこ
とによって、めっき面と有機樹脂とを擬似架橋させ、皮
膜とめっき層とを密着させる。これと皮膜自体の緻密性
の向上により高耐食性化、高耐アルカリ性化を図ったも
のである。このとき、多価フェノールカルボン酸はめっ
き面に優先的に配向し樹脂層とめっき層の密着性をより
強固なものにする働きがある。また、Mg、Mnおよび
Alの全てが必須である理由は、カルボキシル基への配
位定数の異なる、この3種のイオンを共存させること
で、広いpH領域での擬似架橋反応を可能とし、より効率
的に、より緻密な被膜を形成し、耐アルカリ性を向上さ
せることができるからである。また、Mg、Mn、およ
びAlのイオンを共存させることに加え、さらにカルボ
キシル基含有量と金属イオンとの比を調整することによ
り、擬似架橋による架橋率を調整することが出来る。未
反応官能基は親水性をもつためアルカリ脱脂の際、皮膜
を溶解させ、アルカリ脱脂後の耐食性を低下させる。本
発明では、十分な量、種類の金属イオンを添加する、好
ましくは全金属イオン/カルボキシル基のモル比を0.
5〜2、さらに好ましくは1.0〜2とすることによ
り、従来技術では皮膜中に残存していた未反応官能基量
を著しく減少させることが可能となり、アルカリ脱脂後
の耐食性が向上すると考えられる。
【0037】本発明において、水性組成物に、前記の
(b)水溶性有機樹脂以外に、(e)水分散性樹脂を含
有させることが可能である。水分散性樹脂は、酸性水溶
液中で安定に均一分散させることができるものであれば
特に限定されない。水分散性樹脂としては、アクリル−
スチレン系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系
の従来の金属材料の表面処理に使用されているものが挙
げられる。これらは2種以上併用することもできる。こ
れらの水分散性樹脂を添加することによって、特にアル
カリ環境下での皮膜層の安定性が上昇し、耐食性、耐ア
ルカリ性、塗装密着性が改善される。含有量は特に制限
されないが、好適な範囲としては、全固形分重量に対し
て1〜10重量%含有せしめることが好ましい。含有量
が1重量%未満だとその効果が充分でなく、アルカリ環
境下で塗膜に欠陥部が生じる。また、10重量%を超え
ると塗料組成物としての安定性が保てないためである。
【0038】本発明において、水性組成物は、(a)金
属化合物、(b)水溶性有機樹脂および(c)酸、なら
びに好ましくは(d)多価フェノールカルボン酸、
(e)水分散性樹脂以外に、カップリング剤を配合する
と、未反応官能基と反応することで皮膜の耐水性、耐食
性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる
点で、好ましい。カップリング剤は、活性水素含有アミ
ノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタ
アクリロキシ基から選ばれた少なくとも1種の反応性官
能基を有するカップリング剤が好ましい。特に好ましい
のは、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、
ジルコニウムカップリング剤である。カップリング剤の
配合量は、従来の金属材料を表面処理する際に、表面処
理剤(組成物)、塗料等に配合される量と同程度であれ
ば、十分である。
【0039】シランカップリング剤としては、例えばγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエ
チル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、β−3,4−エポ
キシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルト
リアセトキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミ
ノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランな
どをあげることができる。
【0040】チタンカップリング剤としては、例えば、
ジ−イソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタ
ン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ジイソプロ
ポキシ−ビス−(2,4−ペンタジオネート)チタニウ
ム、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタ
ネートなどをあげることができる。
【0041】ジルコニウムカップリング剤としては、例
えば、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ジル
コニウムラクテート、ジルコニウムアセテートなどをあ
げることができる。
【0042】本発明の鋼板に需要家で施される上塗り塗
装との密着性を上げ、さらには本皮膜の緻密性を上げる
ために、水性組成物に金属酸化物を配合することが好ま
しい。金属酸化物は、シリカ(SiO2 )、MgO、Z
rO2 、Al2 3 、SnO 2 ,Sb2 3 ,Fe2
3 およびFe3 4 からなる群より選ばれる少なくとも
1種である。これらの中でも、安定な腐食生成物をつく
り、耐食性の向上に有効である点で、シリカが特に好ま
しい。シリカとしては、コロイダルシリカ、気相シリカ
などが好適である。シリカの粒径は特に制限されない
が、微粒子であるほど、表面処理剤成分との混合が緻密
になるので、好ましい。また、シリカは、シランカップ
リング剤と併用すると分散液としての安定性が向上する
相乗効果が得られるため、有効である。金属酸化物の配
合量は、従来公知の亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤や塗
料に添加されている量と同程度使用すれば十分な効果を
発揮することができる。
【0043】また、本発明において、その他の性能、例
えば、摺動性、耐傷付き性等の性能を付与するため、表
面処理剤である水性組成物にワックスその他の表面処理
剤に通常使用される各種添加剤を配合してもよい。
【0044】本発明の鋼板において、皮膜層の厚さは
0.1〜5μmであるのが好ましく、さらに0.3〜
2.0μmであるのが好ましい。特に耐アルカリ性を考
慮すると1.0〜2.0μmであるのが好ましい。厚さ
が5μmを超えると、耐食性、耐アルカリ性の向上効果
はあるものの、コストアップとなる。一方、厚さが0.
1μm未満であると、耐食性、耐アルカリ性の向上効果
が小さくなる傾向がある。また、本発明の鋼板におい
て、その他の性能を付与するために、皮膜層の上層にさ
らに別の皮膜を積層させてもよい。
【0045】本発明の鋼板を製造する方法としては、亜
鉛系めっき鋼板の表面に、前記した水性組成物を水性媒
体に溶解または分散させて調製された表面処理剤を塗布
し(接触させ)、リンガーロールで押圧し、乾燥して、
皮膜層を形成・硬化させる方法が一般的である。表面処
理剤を鋼板に塗布するには、ロールコート、スプレー塗
装、刷毛塗り、浸漬塗装、カーテンフローなどの方法を
用いる。また、塗布量・付着量は前記した膜厚の範囲内
となるように調整される。
【0046】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳しく説明
する。 (発明例1〜21、比較例1〜4)下記金属板A〜F
に、下記の各種有機樹脂A〜Iまたは各種添加剤、金属
化合物(Al,Mg,Mn,Co,Zn,・・・のりん
酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、フッ化物な
ど)、その他の成分を第1表に記載した割合で含有し、
水を溶媒とする水性組成物をロールコート塗装した。そ
の後、20秒で鋼板温度が150℃となるように加熱し
て、厚さが0.05〜6μmの皮膜層を形成して、試験
片を作製した。
【0047】亜鉛系めっき鋼板A〜F: 板A:電気亜鉛めっき鋼板(板厚:1.0mm、Zn:
20g/m2 ) 板B:電気亜鉛−ニッケルめっき鋼板(板厚:1.0m
m、Zn−Ni:20g/m2 、Ni:12重量%) 板C:溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:1.0mm、Zn:
60g/m2 ) 板D:合金化溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:1.0mm、
Zn:60g/m2 、Fe:10重量%) 板E:亜鉛5%アルミニウム鋼板(“ガルファン”、板
厚:1.0mm、60g/m2 、Al:5重量%) 板F:亜鉛55%アルミニウム鋼板(“ガルバリウ
ム”、板厚:1.0mm、60g/m2 、Al:55重
量%)
【0048】有機樹脂A〜I: 樹脂A:アクリル酸/マレイン酸=90/10(重量
比) 樹脂B:アクリル酸/イタコン酸=70/30(重量
比) 樹脂C:メタクリル酸/イタコン酸=60/40(重量
比) 樹脂D:ブチルメタクリレート/アクリル酸/アクリル
酸2−ヒドロキシブチル=20/40/40(重量比) 樹脂E:アクリル酸1−ヒドロキシブチル/MMA/B
A/スチレン/アクリル酸メチル/有機りんモノマー=
35/20/30/40/5/1(重量比) 樹脂F:ビスフェノールA型エポキシ樹脂と不飽和単量
体混合物(スチレン/2HEA/メタクリル酸/アクリ
ルアミドメチルプロパンスルホン酸/フマル酸ジブチル
/アゾビスイソブチロニトリル/α−メチルスチレンダ
イマー=10/6/8/2/4/2/2(重量比))を
重合させた樹脂(ポリスチレン換算平均分子量:100
00、ヒドロキシル基:0.20当量/100g、カル
ボキシル基:0.34当量/100g、スルホン酸基:
0.03当量/100g) 樹脂G:ジメチルアミノメチル−ヒドロキシスチレンの
重合体 樹脂H:ポリエチレン樹脂/チオ尿素=100/5(重
量比) 樹脂I:2HBA/MMA/BA/スチレン/メタクリ
ル酸/AA=40/15/40/40/40/10(重
量比) なお、前記有機樹脂において、AAはアクリル酸、BM
Aはメタクリル酸ブチル、2HEAはアクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、BAはアクリル酸ブチル、2HBAは
アクリル酸2−ヒドロキシブチル、MMAはメタクリル
酸メチル、である。
【0049】金属化合物全体の合計添加量:表に記入 金属化合物の金属分としての添加重量比A〜K: パターンA:Mg/Mn/Al=1/1/1 パターンB:Mg/Mn/Al/Me=1/1/1/1 パターンC:Mg/Mn/Al/Me=2/1/1/1 パターンD:Mg/Mn/Al/Me(I)/Me(I
I)=1/1/1/1/1 パターンE:Mg/Mn/Al/Me(I)/Me(I
I)=2/1/1/1/1 パターンF:Mn/Me(I)/Me(II)=1/1
/1 パターンG:Co/Zr=4/1 パターンH:Cu=1 パターンI:Mn=1 パターンJ:Zn/Zr=1/10 パターンK:Mn/Mg=5/1
【0050】多価フェノールカルボン酸 A:タンニン酸 B:没食子酸
【0051】金属化合物の種類: P:りん酸塩 C:炭酸塩 N:硝酸塩 A:酢酸塩 H:水酸化物 F:フッ化物
【0052】酸の種類 A:りん酸 B:酢酸 C:フッ酸 D:硝酸
【0053】有機酸の種類 A:トリカルバリル酸 B:クエン酸 C:コハク酸
【0054】水分散性樹脂 A:スチレン−ブチルメタクリレート共重合体 B:スチレン−アクリル酸ブチル共重合体 C:スチレン−アクリル酸共重合体 D:スチレン−メタクリル酸メチル共重合体
【0055】金属酸化物 シリカA:コロイダルシリカ(スノーテックスO、日産
化学(株)製) シリカB:コロイダルシリカ(スノーテックスUL、日
産化学(株)製) シリカC:気相シリカ(Aerosil 130、日本
エアロジル(株)製)
【0056】カップリング剤 A:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(K
BM403 、信越化学工業(株) 製)) B:γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
(KBM402 、信越化学工業(株) 製)) C:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン(KBM603 、信越化学工業(株)製)
【0057】各試験片について、下記の特性(耐アルカ
リ性、平板部耐食性、塗装後耐食性、アルカリ脱脂後耐
食性、上塗り塗装密着性、耐指紋性)を下記の試験方法
に従って評価した。結果を表1に示す。 <耐アルカリ性>48mmΦの円板状に打ち抜いた試験
片をアルカリ脱脂液(日本パーカライジング製CL-N364
S)に60℃で2分間浸漬し、浸漬前後のC強度を蛍光
X線分析にて測定した。固定率を次式により算出して、
下記の評価基準に従って評価した。 固定率%={(浸漬前のC強度−浸漬後のC強度)/浸
漬前のC強度}×100 ○:固定率80%以上 △:80%未満、50%以上 ×:50%未満
【0058】<平板部耐食性>試験片を70mm×15
0mmの大きさに剪断し、端面部をシールした後、塩水
噴霧試験(JIS Z 2371)に供した。各試験片
の表面の面積の5%に白錆が発生するまでに要する時間
を測定し、下記の評価基準に従って評価した。 ◎:120時間以上 ○:96時間以上、120時間未満 △:72時間以上、96時間未満 ×:72時間未満
【0059】<塗装後耐食性>試験片を70mm×15
0mmの大きさに剪断後、メラミン−アルキッド系樹脂
(“オルガセレクト120ホワイト”:日本ペイント
(株)製)を膜厚20μmとなるように塗装し、135
℃で15分間焼付け(硬化)後、端面部をシールした。
次に、各試験片上の皮膜を貫通して素地鋼に達する切り
傷をカッターナイフでクロスカット状に入れ、塩水噴霧
試験(JIS Z 2371)を行った。1週間後、ク
ロスカット傷からの塗膜の膨れ幅を測定し、下記の評価
基準に従って評価した。 ◎:片側膨れ幅1mm未満 ○:片側膨れ幅1mm以上、5mm未満 △:片側膨れ幅5mm以上、10mm未満 ×:片側膨れ幅10mm以上
【0060】<アルカリ脱脂後耐食性>試験片を70m
m×150mmの大きさに剪断後、アルカリ脱脂液(日
本パーカライジング製CL-N364S)に60℃で2分間浸漬
した後、端面部をシールし、塩水噴霧試験(JIS Z
−2371)に供した。各試験片表面の面積の5%に白
錆が発生するまでに要する時間を測定し、下記の評価基
準に従って評価した。 ○:72時間以上 △:48時間以上、72時間未満 ×:48時間未満
【0061】<上塗り塗装密着性>JIS K 540
0に準拠して、試験片に、メラミン−アルキッド系樹脂
(“オルガセレクト120ホワイト”:日本ペイント
(株)製)を膜厚20μmとなるように塗装し、135
℃で15分間焼付け(硬化)た。次に、各試験片上の皮
膜を貫通して素地鋼に達する切り傷をカッターナイフで
1mm間隔で碁盤目状に付けた。この碁盤目の上に粘着
テープを貼り付けた後、引き剥がし、剥がした後の塗装
皮膜の付着状態を目視により観察し、以下の評価基準に
従って評価した。 ◎:塗装皮膜剥離なし ○:塗装皮膜剥離面積が0%超 5%以下 △:塗装皮膜剥離面積が5%超 15%以下 ×:皮膜剥離面積が15%超 35%以下 ××:塗装皮膜剥離面積が35%超
【0062】<耐指紋性>各試験片上の白色ワセリン塗
布前後の色調(L値、a値、b値)の変化を分光式色差
計(“SQ2000”:日本電色(株)製)を用いて測
定し、次式(1)で示す△Eで評価した。 △E=(ΔL2 +Δa2 +Δb2 1/2 (1) ◎:△E 1以下 ○:△E 1超 2以下 △:△E 2超 3以下 ×:△E 3超
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】(発明例22〜43,比較例5〜7)発明
例1〜21および比較例1〜4で用いた亜鉛系めっき鋼
板A〜F、有機樹脂A〜Iまたは各種添加剤、金属化合
物(Al,Mg,Mn,Co,Zn,・・・のりん酸
塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩など)、その他の成分を表
2に記載した割合で含有し、水を溶媒とする水性組成物
を用いて、発明例1と同様にして、試験片を作製し、耐
アルカリ性、平板部耐食性、塗装後耐食性、アルカリ脱
脂後耐食性、上塗り塗装密着性および耐指紋性を評価し
た。結果を表2に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
【発明の効果】本発明の表面処理亜鉛系めっき鋼板は、
クロムを含有しない、いわゆるノンクロメート処理鋼板
であり、耐アルカリ性、平板部耐食性、塗装後耐食性、
アルカリ脱脂後耐食性、上塗り塗装密着性および耐指紋
性が優れている。そのため、従来の自動車、家電、建材
分野で使用されているクロメート処理鋼板に代替し得る
ものである。さらに、クロムを含有しないため、容器関
連、食器関連、屋内用建材に至るまでの広い用途に使用
可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 157/10 C09D 157/10 (72)発明者 尾形 浩行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛系めっき鋼板の表面に、下記(a)、
    (b)および(c)を含有する水性組成物を塗布して形
    成された皮膜層を有する表面処理亜鉛系めっき鋼板。 (a)Mg、MnおよびAlの金属化合物であり、りん
    酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物およびフッ化
    物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物 (b)水溶性有機樹脂 (c)酸
  2. 【請求項2】前記水溶性有機樹脂がカルボキシル基含有
    単量体の重合体の少なくとも1種および/またはカルボ
    キシル基含有単量体とその他の重合性単量体との共重合
    体の少なくとも1種である請求項1に記載の表面処理亜
    鉛系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】前記酸が、りん酸、酢酸、硝酸およびフッ
    酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2
    に記載の表面処理亜鉛系めっき鋼板。
  4. 【請求項4】前記(a)金属化合物の他に、さらに、Z
    n、Co、Ti、Sn、Ni、Fe、Zr、Sr、Y、
    Cu、Ca、VおよびBaから選ばれる少なくとも1種
    の金属を含有する金属化合物を含む請求項1〜3のいず
    れかに記載の表面処理亜鉛系めっき鋼板。
  5. 【請求項5】前記水性組成物が、酸として、さらに、2
    価以上の金属に配位可能な有機酸を含む請求項3または
    4に記載の表面処理亜鉛系めっき鋼板。
  6. 【請求項6】前記水性組成物が、さらに多価フェノール
    カルボン酸を含む請求項1〜5のいずれかに記載の表面
    処理亜鉛系めっき鋼板。
  7. 【請求項7】前記水性組成物が、さらに水分散性樹脂を
    含む請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理亜鉛系め
    っき鋼板。
  8. 【請求項8】前記水性組成物が、さらにカップリング剤
    を含む請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理亜鉛系
    めっき鋼板。
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