JPH06140446A - 半導体装置及びそれを用いた電子装置 - Google Patents

半導体装置及びそれを用いた電子装置

Info

Publication number
JPH06140446A
JPH06140446A JP4194252A JP19425292A JPH06140446A JP H06140446 A JPH06140446 A JP H06140446A JP 4194252 A JP4194252 A JP 4194252A JP 19425292 A JP19425292 A JP 19425292A JP H06140446 A JPH06140446 A JP H06140446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor device
semiconductor
sintered body
copper
conductive member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4194252A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasutoshi Kurihara
保敏 栗原
Shigeru Takahashi
茂 高橋
Tsutomu Yao
勉 八尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP4194252A priority Critical patent/JPH06140446A/ja
Publication of JPH06140446A publication Critical patent/JPH06140446A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2224/00Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
    • H01L2224/01Means for bonding being attached to, or being formed on, the surface to be connected, e.g. chip-to-package, die-attach, "first-level" interconnects; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/42Wire connectors; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/47Structure, shape, material or disposition of the wire connectors after the connecting process
    • H01L2224/48Structure, shape, material or disposition of the wire connectors after the connecting process of an individual wire connector
    • H01L2224/4805Shape
    • H01L2224/4809Loop shape
    • H01L2224/48091Arched
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2224/00Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
    • H01L2224/73Means for bonding being of different types provided for in two or more of groups H01L2224/10, H01L2224/18, H01L2224/26, H01L2224/34, H01L2224/42, H01L2224/50, H01L2224/63, H01L2224/71
    • H01L2224/732Location after the connecting process
    • H01L2224/73251Location after the connecting process on different surfaces
    • H01L2224/73265Layer and wire connectors
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2924/00Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
    • H01L2924/10Details of semiconductor or other solid state devices to be connected
    • H01L2924/11Device type
    • H01L2924/13Discrete devices, e.g. 3 terminal devices
    • H01L2924/1304Transistor
    • H01L2924/1305Bipolar Junction Transistor [BJT]
    • H01L2924/13055Insulated gate bipolar transistor [IGBT]

Landscapes

  • Die Bonding (AREA)
  • Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱歪や破壊、変質がなく信頼性の高い半導体
装置及び信頼性や性能の優れた電子装置を提供するこ
と。 【構成】 半導体基体101、101’を直接搭載する
導電性部材10として、炭素を主体として、これに金属
と、セラミックスの少なくとも一方を含む複合炭素焼結
体100を用い、これにより、電気的に活性な領域にあ
って導電機能、熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡
大の機能、そして半導体基体もしくは絶縁部材との間の
熱応力を緩和する機能を兼備するようにしたもの。 【効果】 支持板温度40〜100℃の間欠通電サイク
ル30,000回に耐え得る長寿命を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性部材の表面に半
導体基体を搭載した半導体装置及びそれを用いた電子装
置に係り、特に、ある程度大きな電力を扱う半導体回路
に好適な半導体装置及びそれを用いた電子装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、非絶縁型半導体装置においては、
半導体素子基体を支持する部材が電極の一部を兼ねてい
る場合が多かった。例えば、 (1) 有野靖三ほか2名による“半導体アセンブリ用ソル
ダー”電子技術 Vol.23,No.7, 88〜98頁
(1981年) には、パワートランジスタチップを、Pb−Sn又はP
b−Inソルダーを介して銅ベース上に一体化搭載した
パワートランジスタ装置が示されている。この先行技術
例において、銅ベースはトランジスタのコレクタ電極を
兼ねた支持部材である。
【0003】ところで、このようなパワー半導体装置で
は、数アンペア以上のコレクタ電流が流れるが、この
際、トランジスタチップは、その内部でかなり発熱す
る。そこで、この発熱に起因する特性の不安定性や寿命
の劣化を避けるため、銅ベースが熱放散のための部材を
兼ねるようになっている。
【0004】次に、 (2) 笹田従道ほか1名による“電力用IGBT”東芝レ
ビュー Vol.43,No.4, 336〜338頁(19
88年) には、高耐圧化(1000V)され、50Aものコレクタ
電流を流すことが可能なIGBT(Insulated Gate Bipo
lar Transistor)チップが示されているが、このよう
に、更に大容量化されたIGBTチップを、上記(1) の
場合と同様に、銅ベースに直接はんだ付け搭載した場合
は、熱放散中継部材としての銅ベースの役割は一層重要
になる。
【0005】一方、半導体装置の全ての電極を金属支持
部材から電気的に絶縁し、もって半導体装置の回路適用
上の自由度を増すことのできる構造の装置も知られてお
り、例えば、 (3) 岩田伸一ほか3名による“大電力絶縁基板への窒化
アルミニウムの応用”第3回マイクロエレクトロニクス
シンポジウム論文集 15〜18頁(1989年) には、金属支持部材上に、厚付け銅めっき(100μm)
により導体領域が形成された窒化アルミニウム(AlN)
基板を設け、この基板に絶縁部材を介して600V,3
0Aクラスの高周波SITチップを搭載した絶縁型半導
体装置が示されている。
【0006】この半導体装置においては、全ての電極は
AlN基板により金属支持部材を含む全てのパッケージ
部材から絶縁されて外部へ引き出される。そのために、
一対の主電極が回路上の接地電位から浮いている使用例
であっても、電極電位とは無関係にパッケージを接地電
位部に固定できるので、半導体装置の実装が容易にな
る。
【0007】さらに、混成集積回路装置、或いは半導体
モジュール装置では、一般に半導体素子を含む、まとま
った電気回路が組み込まれるため、その回路の少なくと
も一部とこれらの装置の支持部材、或いは放熱部材等の
金属部とを電気的に絶縁する必要がある。そこで、例え
ば (4) 杉浦康之ほか1名による“窒化アルミニウム基板実
装応用製品”東芝レビュー Vol.44,No.8, 62
6〜629頁(1989年) には、両面に銅板が接合された窒化アルミニウム基板上
に、チップサイズ10〜20mm角のIGBTチップを
複数個搭載し、窒化アルミニウム基板を金属支持部材上
に搭載したパワーモジュール装置が示されている。
【0008】この銅板接合窒化アルミニウム基板は、半
導体素子又は電気回路を金属支持部材から電気的に絶縁
すると共に、半導体素子から冷却フィンなどに至る熱流
路を形成し、その放熱を助ける役割を担う。また、上記
基板は熱膨張率が小さく、半導体素子を特別な熱膨張緩
和材(例えば、MoやW板)を用いずに搭載できるた
め、この基板によれば、パワーモジュールの部品点数を
削減できる。
【0009】他方、上記パワーモジュール装置と同様の
機能を持つものとして、例えば、 (5) 杉浦康之ほか2名による“半導体・通信用DBC基
板”電子材料 Vol.44,No.5, 65〜69頁(19
89年) には、熱膨張緩衝材となるMo板を介して銅板に搭載し
たSiチップからなるアッセンブリを、Moメタライズ
層を形成した後Niめっきを施したアルミナ基板を介し
て、銅支持部材と一体化したパワーモジュール装置が示
されている。
【0010】このように、熱伝導性が窒化アルミニウム
より劣るアルミナ基板を絶縁体として用いた場合は、モ
ジュール装置全体としての熱伝達効率を補完するため、
発熱の著しい半導体基体から絶縁基板に至る熱流路に銅
板の如き高熱伝導性部材を熱拡散板として配置する必要
があり、従って、上記アッセンブリにおける銅板は、こ
のような役割を担っており、さらにモジュール装置の主
電流路を形成する役割を担っている。しかし、銅板は熱
膨張率が大きいため、半導体素子の搭載に当ってはMo
やW等の熱膨張緩和材を設けることが必要である。
【0011】ところで、これらのパワーモジュール装置
では、金属支持部材上に無機質の絶縁体を配置し、この
絶縁体上に所定の電気回路を組み立てることにより、上
述の絶縁を達成しており、従って、このようなモジュー
ル装置も、また、絶縁型半導体装置である。
【0012】このような絶縁型半導体装置においても、
半導体素子を安全かつ安定に動作させるためには、半導
体装置の動作時に発生する熱をパッケージの外へ効率良
く放散させる必要があるが、この熱放散は通常、発熱源
である半導体基体から、これに接着された各部材を通じ
て気中へ熱伝達させることで達成される。そして絶縁型
半導体装置では、この熱伝達経路中に絶縁体及び絶縁体
と半導体基体を接着する部分等に用いられた接着材層を
含むことになっている。
【0013】さらに、半導体装置を含む回路の扱う電力
が高くなるほど、或いは要求される信頼性(経時的安定
性、耐湿性、耐熱性等)が高くなるほど、完全な絶縁性
が要求される。上述の耐熱性には、半導体装置の周囲温
度が外因により上昇した場合のほか、半導体装置の扱う
電力が大きく、半導体基体で発生する熱が大きくなった
場合の耐熱性も含む。
【0014】ここで、本発明に関連する半導体素子の実
装技術分野においては、以下の従来技術が存在する。
【0015】(6) 特開昭52−135678号公報 これには、アルミナセラミックス容器に内装された抵抗
値1.1×10~ 3Ω・cmのパイロリティックグラファ
イトに半導体素子をろう付けし、アルミナ容器を銅放熱
体にろう付けした半導体装置が開示されている。
【0016】(7) 特公昭61−61681号公報 これには、チタン酸バリウム半導体をグラファイトシー
トを介して金属基板に圧接する正特性磁器半導体の製造
方法が示されている。
【0017】(8) 特開平2−94652号公報 これには、WやMoの薄板を窒化アルミニウム絶縁板を
介して黒鉛ヒートシンクへろう付けした半導体装置用基
板についての開示がある。
【0018】(9) 特開平2−98162号公報 これには、SiCを被覆したグラファイトに半導体素子
を搭載する半導体パッケージが開示されている。
【0019】(10) 特開昭58−157144号公報 これには、グラファイト基板に半導体素子を搭載したパ
ワー半導体素子が開示されている。
【0020】これら(6)〜(10)の各従来技術では、炭素
部材は半導体基体を直接又は間接に搭載するものである
が、しかし、電気的に活性な領域に用いられるものにつ
いては開示していない。また、(7)では、炭素部材が電
気的に活性な領域に用いられてはいるが、熱流を拡大し
て外部へ放散する機能を有していない。
【0021】さらに、 (11) 特開昭58−32423号 には、銅マトリックス中に炭素繊維を埋設した複合体を
介して、半導体チップを銅フィンにろう付けした半導体
装置が開示されている。しかし、この従来技術における
複合体は、銅の持つ利点を残しつつ物性を改善したもの
であるが、主体が金属銅であって、炭素の物性をより積
極的に活用したものではない。これに開示された複合体
又は同類の複合体は、後述する理由により、炭素焼結体
をマトリックスとする本発明とは関係がない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】非絶縁型半導体装置で
も、絶縁型半導体装置でも扱う電力が小さいなどの理由
により、内部での発熱が比較的小さく、かつ要求される
信頼性がさほど高くない場合には、接着材層、絶縁基板
としてどのようなものを用いても問題はない。しかし、
発熱が大きい場合や信頼性に対する要求が高い場合に
は、絶縁基板としてセラミックスのような無機質材料が
選択される。また、接着材層としても、例えばPb−S
n系はんだ材のような金属ろうが選択される。有機材料
は耐熱性や信頼性の点でこれらの材料より劣るからであ
る。
【0023】しかして、これらの場合、次のような解決
すべき問題点があった。一般に、非絶縁型半導体装置で
は半導体基体は金属支持板に直接ろうつ付け搭載され
る。この金属板としては、銅等の低抵抗(1.7×10~
6Ω・cm)、かつ高熱伝導率(403W/m・K)のもの
が選ばれる。ところが、この金属などの熱膨張率(16.
7×10~ 6/℃)は、半導体基体のそれ(Si:3.5×
10~ 6/℃)とは大幅に異なる。
【0024】また、絶縁型半導体装置では、半導体基体
は絶縁基板に直接ではなく、半導体基体と外部の電源と
を結ぶ導電路及び半導体基体からの熱を絶縁基板に効率
的に伝える熱伝導路としての金属板(熱拡散板)を介して
取付けられる。この金属板としても、一般に上述と同様
の理由から銅等が用いられる。この場合も、金属板と半
導体基体及び絶縁基板(アルミナ:6.3×10~ 6
℃,AlN:4.3×10~ 6/℃)との間の熱膨張率差
は極めて大きい。
【0025】この結果、この熱膨張率差により、非絶縁
型半導体装置の場合には半導体基体と金属支持板をろう
付けした時、そして絶縁型半導体装置の場合には半導体
基体や絶縁基板を金属板にろう付けした時に生じる。即
ち、この場合には、ろう材を介装した半導体基体と金属
支持板の積層体又はろう材を介装した絶縁基板、金属
板、半導体基体の積層体を、ろう材の融点以上に加熱し
た後室温まで冷却する過程により各部材の一体化が図ら
れるが、各部材はろう材の凝固点で互いに固定される。
その後は凝固したろう材により固定されたまま、各部材
固有の熱膨張率に従って収縮してゆく。
【0026】この際、上述の熱膨張率差によって各部材
の収縮量が異なり、各部材の接着部に熱応力及び熱歪が
残留してしまう。これらの応力や歪は、それらが或る程
度以下のときは、最も軟らかい部材であるろう材層で吸
収することができるが、吸収しきれない場合は接着部、
したがって接着された各部材が変形するに至る。このと
き、パワー半導体基体は一般にそのサイズが大きく、ま
た、パワーモジュール装置では一般に複数の半導体基体
や他の素子が搭載されるので、上述の絶縁基板の面積や
ろう付け面積も大きくなり、各部材の変形が起きやす
い。そして特に半導体基体の変形は、半導体装置の電気
的特性を損なうとともに、機械的に脆い性質を有する半
導体基体を破損させる虞れを生ずるほか、絶縁型半導体
装置にあっては、やはり機械的に脆い性質を有する絶縁
基板を破損させてしまう虞れを生じてしまう。これが第
1の問題点である。
【0027】問題点の第2は、上述の熱膨張率差によ
り、絶縁型半導体装置の場合、半導体基体や絶縁基板を
金属板にろう付けしたアッセンブリを金属支持部材にろ
う付けした時に生じる。一般には、金属支持部材から半
導体基体に至る一連の積層構成物は、一度のろう付け工
程だけで全体を一体化するのではない。また、絶縁型半
導体装置では複数個の素子が搭載されて所定の電気回路
機能を有するが、この回路が高機能化されたものである
ほど搭載素子も多く、ろう付け不良による歩留まり低下
の確率も高くなる。
【0028】したがって、これを避けるため、所定の性
能を維持している上述のアッセンブリを選択した後、金
属支持部材へのろう付け搭載がなされる。この際、アッ
センブリは、大容量かつ高機能で、サイズが大きいもの
ほど変形されている。そしてこのように変形の著しいア
ッセンブリを金属支持部材へのろう付けした場合は、接
着層、即ちろう層に空隙が発生し易く、この空隙が半導
体基体から外気に至る主要な放熱路に含まれている場合
は、放熱路の熱抵抗を著しく増大させることとなり、半
導体装置としての所定の性能と信頼性を確保するのに重
大な障害となってしまう。これが第2の問題点である。
【0029】問題点の第3は、非絶縁型及び絶縁型半導
体装置の使用時に生ずる。即ち、半導体装置の通電、休
止動作に伴って、上述のろう付け接着部には高温状態
(例えば、100〜150℃)と低温状態(周囲温度)が繰
返し与えられる。このようなヒートサイクル(高温−低
温の繰返し)毎に、各部材はそれらの固有の熱膨張率に
従って膨張、収縮を繰返す。各部材は互いに固定されて
いるから、各部材の熱膨張率の違いに基づく膨張、収縮
量の差は、最も軟らかい部材であるろう材層(接着層)に
加わり、熱歪となって現われる。そして、ヒートサイク
ル数が多くなると、ろう材層は引張り歪、圧縮歪の周期
的かつ度重なる印加により、次第に脆くなり、ついには
熱疲労現象により破損するに至る。例えば、ろう材層に
クラックが生じ、接着力の低下、電気及び熱伝導性の低
下を引き起こす。そして、このような現象は、ろう材層
の露出端面において顕著である。
【0030】さらにパワー半導体基体は、一般にそのサ
イズが大きいためろう付け面積も大きく、また、パワー
モジュール装置では、絶縁基板の面積やろう付け面積も
更に大きくなるため、上述の熱疲労現象が促進されやす
い。これが第3の問題点である。
【0031】問題点の第4は、大容量化かつ高機能化さ
れた半導体装置になるほど、非絶縁型半導体装置にあっ
ては金属支持部材上に設けられる絶縁端子部において生
じ、また、絶縁型半導体装置にあってはアッセンブリの
金属板上に設けられる絶縁端子部において生ずる。例え
ば、半導体基体がトランジスタやIGBTの場合はエミ
ッタ端子はコレクタ電極から絶縁されていなければなら
ず、この端子は非絶縁型半導体装置にあっては金属支持
部材上そして絶縁型半導体装置にあってはアッセンブリ
の金属板上に、絶縁部材としてのアルミナ条片板を介し
てろう付け搭載される。この条片板は電流容量確保の必
要性から、多数の金属ワイヤをボンディングできるスペ
ースを有していなければならず、条片板のサイズ、従っ
てろう付け面積も大きくなる。この場合もまた、第1の
問題点と同様の理由により、条片板の変形を生ずること
となり、機械的に脆い性質を有する条片板の破損とエミ
ッタ−コレクタ間の絶縁性の低下を招く。これが第4の
問題点である。
【0032】上述の第1の問題点、特に半導体基体に加
わる応力を緩和するために、半導体基体と導電、導熱の
ための金属板との間に、導電、導熱には若干劣るが、熱
膨張率が半導体基体のそれに近似した金属片、例えばモ
リブデン片(5.6×10~ 6Ω・cm,139W/m・
K,5.3×10~ 6/℃)を介装させることが知られて
いる。しかし、このような対策は、半導体基体の劣化防
止には役立つものの、その他の部材の変形防止には効果
がない。さらに第2〜4の問題の解決に対しては無力で
ある。
【0033】また、モリブデン片と銅部材との間の熱膨
張率差は、この部分の変形やろう付け層の熱疲労にとっ
て重要な問題点を含む。例えば、この間を融点が低く、
軟らかいPb−Sn系ろう材で接着した場合は、接着部
の変形は許容できる量であっても、第3の問題点で指摘
した場合と同様、モリブデン片−銅部材間の熱疲労破壊
を生じる。また、融点が高く、硬いAg−Cu系ろう材
で接着した場合は、接着部の熱疲労破壊防止には効果的
であるが、モリブデン片−銅部材間の変形は著しく、第
2及び4の問題点を新たに生じる。
【0034】特に、第2の問題を避けるためには、あら
かじめモリブデン片と銅部材をAg−Cu系ろう材で接
着した後、少なくとも絶縁基板と接着される面を平坦化
しておく必要を生じ、さらに部品点数の増加、ろう付け
部分の増加、工数の増加を招き、コスト、熱放散性の点
でも問題点を生む。
【0035】また、従来技術(4)に示されているよう
に、両面に銅板があらかじめ接合された窒化アルミニウ
ム基板(4.3×10~ 6/℃)上に半導体基体を搭載した
ものでは、半導体基体を搭載した直下の銅板が主導電路
としての役割と共に熱拡散板としての役割を担うことに
なる。しかし、一般的にこの銅板は100〜300μm
程度の厚さのものに限定される。この理由は、上述した
ように銅と窒化アルミニウムは熱膨張率が大幅に異な
り、銅板が厚くなると接合部の残留応力や変形が著しく
大きくなるからである。
【0036】しかして、熱拡散板としての銅板が上述の
程度の厚さに限られると、著しい発熱を伴う半導体基体
を搭載する場合には、その熱流路を銅板の主平面方向に
広げる、熱拡散板としての効果があまり得られない。他
方、この種の絶縁基板としては、両面に銅板があらかじ
め接合されたアルミナ基板(6.3×10~ 6/℃)も一般
的であるが、熱拡散板としての効果が薄れる点では窒化
アルミニウム基板の場合と同様である。
【0037】熱拡散板としての金属板の効果を積極的に
引き出すためには、その厚さを大きくする必要があり、
この点らすれば、従来技術(5)の手法におけるアルミナ
を窒化アルミニウム基板に置き換えることが考えられ
る。しかし、この場合でも、上述した第1〜4の問題点
はそのまま残るだけでなく、モリブデン片等の熱膨張緩
和材を用いることが必須となる。
【0038】さらに、上記従来技術(6)〜(10)に開示さ
れた炭素部材を適用した場合であっても、上述した第2
〜4の全ての問題点を解決することはできない。
【0039】本発明の目的は、上述の問題点を解決し、
製造時あるいは運転時に生ずる熱歪を軽減し、各部材の
変形、変性、或いは破壊の虞れがなく信頼性の高い非絶
縁型又は絶縁型の半導体装置を提供することにある。
【0040】また、本発明の他の目的は、運転時の性能
及び信頼性の高い、半導体装置が組み込まれた電子装置
を提供することにある。
【0041】
【課題を解決するための手段】上記目的は、複合炭素焼
体からなる導電性部材を用い、これに半導体基体を直接
搭載することによって、電気的に活性な領域における導
電材の役割と半導体基体の発する熱を中継したり熱流を
拡大したりする役割、そして、半導体基体又は無機質絶
縁部材との熱膨張率差を整合する役割の全ての役割を兼
備させることにより達成される。
【0042】本発明において言う導電性部材とは、炭素
と炭素以外の物質との複合炭素焼結体を母材とし、この
焼結体の少なくとも半導体素子基体を搭載する部分に金
属化が施されたものを言う。
【0043】ここで、まず、通常の炭素焼結体(本発明
における複合炭素焼結体ではない)について説明する
と、これは、例えば炭素粉末と有機バインダーからなる
組成物を成形した後、約400℃まで空気中で焼成して
有機バインダー成分を炭化又は飛散除去し、その後、窒
素中で約2000℃に加熱して得られる。そして、この
ようにして得られた純度99%、密度1.8g/cm3
炭素焼結体の典型例では、熱膨張率:4.3×10~ 6
℃,熱伝導率:230W/m・Kで、電気抵抗率:約1
00×10~ 6Ω・cmである。
【0044】一般に、このような炭素焼結体は、可及的
緻密で、熱伝導性や電気伝導性を阻害する物質を含まな
いことが望ましい。例えば、炭素焼結体の密度が密度
1.6g/cm3の場合と、同1.75g/cm3の場合を
比較すると、前者の熱伝導率は後者の0.7倍になり、
従って、密度は1.65g/cm3以上が望ましい。
【0045】また、炭素焼結体中に不純物として鉄が2
wt%含まれた場合は、それが1wt%の場合に比べ熱
伝導率は約0.7倍、そして電気抵抗率は1.3倍とな
る。炭素焼結体の熱伝導性や電気伝導性を阻害するよう
に作用する物質としては、上述の鉄のほか、アンチモ
ン、クロム、水銀、酸素、鉛、ビスマス、タンタル、白
金、マンガンが挙げられる。
【0046】逆に、熱伝導性や電気伝導性の観点で阻害
要因にならない物質としては、銅、銀、アルミニウム、
金、インジウム、カドミウム、タングステン、ニッケ
ル、モリブデン、マグネシウム、ベリリウム、イリジウ
ム、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。この場合で
も、これらの金属は酸化物の形で含まれることは避ける
ことが望ましい。
【0047】一般に、このような炭素焼結体に緻密性が
要求される第2の理由は、炭素それ自身だけでは極めて
吸着性の強い物質であることに由来する。焼結体に揮発
性物質が吸着されると、後述の金属化の際の熱処理段階
で吸着物質を放出し、金属化層の品質を損なうばかりで
なく、半導体装置を組み込む際のろう付け処理段階で
も、ろう層のぬれ性を阻害したり、気泡を生じたりする
要因になるからである。
【0048】一方、本発明における複合炭素焼結体は、
炭素粉末と、炭素以外の物質の粉末と、有機バインダー
からなる組成物を、炭素焼結体の場合と同様の手法によ
り処理して得られる。ただし、添加する金属の種類によ
り焼結温度は異なる。本発明の一実施例である炭素−3
0wt% 銅の複合焼結体の場合は、熱膨張率は5.7×
10~ 6/℃,熱伝導率は300W/m・K,そして電
気抵抗率は約60×10~ 6Ω・cmである。
【0049】上記の物性値を有する本発明における導電
性部材は、半導体基体としてのシリコン、絶縁部材とし
ての窒化アルミニウム、アルミナ、ベリリヤ、窒化硼素
と熱膨張率が近似するだけでなく、従来一般に多用され
熱伝導路に組み込まれてきた熱膨張緩衝部材(モリブデ
ン:139W/m・Kやタングステン:177W/m・
K)、及びPb−Sn系ろう材(Pb−5wt%Sn:4
0W/m・K)より大幅に高い熱伝導性を有している。こ
れらのことは、導電性部材が非絶縁型半導体装置にあっ
ては支持部材、絶縁型半導体装置にあっては熱拡散板部
材として好適なことを意味する。
【0050】しかし、複合炭素焼結体は、それ単独では
支持部材又は熱拡散板部材として半導体装置に組み込む
ことは困難であり、従って、上記したように、複合焼結
体の被接着面に金属化処理が施されなければならない。
この金属化は以下のようにして行なわれる。
【0051】(a) Ti,Zr,Hf等の活性金属を含有
したAg−Cu系ろうをスクリーン印刷した後、真空
中、不活性又は還元性雰囲気中で熱処理する。 (b) 上記(1)におけるのろう材と共に厚さ10〜300
μmの銅板を積層し、真空中、不活性雰囲気又は還元性
雰囲気中でろう付けする。 (c) 真空蒸着、スパッタリング等の手法で、例えばTi
−Pt−Au、Cr−Ni−Agの如き多層金属層を被
着形成する。 (d) Pdの如き金属により界面の活性化処理を施した
後、めっき法によりCu, Ni等の金属層を形成す
る。 (e) Mo−Mnの如き高融点金属を焼成した後Niめっ
きを施すこと。
【0052】ところで、本発明においては、このような
金属化層は、半導体基体や絶縁基板とのろう付け一体化
を可能にすることを目的として設けられるものである
が、本発明においては、上記複合炭素焼結体は、一方で
は半導体装置の主電流路としての役割を兼ねるから、そ
の電気抵抗率は可及的に小さいことが望ましい。しか
し、上記した複合炭素焼結体は、銅(1.7×10~ 6Ω
・cm)や、モリブデン(5.6×10~ 6Ω・cm)、は
んだ材(Pb−5wt%Sn:20×10~ 6Ω・cm)
等よりは高抵抗で、大電流を通電する場合には、発熱や
電力損失の問題が発生する。
【0053】しかしながら、上述した金属化層は、電気
的には複合炭素焼結体より低抵抗であり、電流路確保の
点で複合炭素焼結体の特性を補うものとしても作用す
る。従って、ろう付け性能及び低抵抗化の観点で選択さ
れる上記金属化層の材質としては、少なくとも表面が
銅、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、錫、鉛、ア
ンチモン、アルミニウム、亜鉛等の金属、又は、これら
の合金で構成されていることが望ましい。なお、この主
電流路の低抵抗化は、上述の金属化層による以外にも複
合炭素焼結体の厚さを増したり、導電性の良い金属との
複合体、例えば上述した炭素−30wt%銅の如き複合
焼結体を用いることにより可能である。
【0054】本発明における複合炭素焼結体は、炭素焼
結体の中に炭素以外の物質が可及的均一に分散されてい
る状態が最も望ましい。この理由は、複合炭素焼結体の
物性に異方性が生じないためである。例えば、熱膨張率
に異方性を有する複合材を絶縁型半導体装置に適用した
場合は、熱拡散板は特定の方向に対しては半導体基体や
絶縁基板と整合して膨張、収縮するので問題ないが、上
記特定の方向とは直角な方向に対しては整合性のない膨
張、収縮をするので半導体装置の製造時及び使用時に問
題が多く生じる。
【0055】本発明において、複合炭素焼結体に含まれ
る炭素以外の分散物質は、炭素焼結体そのものの特性を
補なう立場で選択される必要がある。例えば、機械的強
度、特に引張応力に対する耐破壊強度や、導電性を改善
するだけでなく、熱伝導性を更に高めるのに寄与するも
のである必要があり、この観点から推奨される金属物質
としては、銅、銀、アルミニウム、金、インジウム、カ
ドミウム、タングステン、ニッケル、モリブデン、マグ
ネシウム、ベリリウム、イリジウム、パラジウム、ロジ
ウム等が挙げられる。そして、これらの金属物質は、重
量比で60wt%以下であることが望ましい。この理由
は、60wt%を以上では複合炭素焼結体の物性、特に
熱膨張率が大きくなり、複合炭素焼結体の好ましい特性
が充分に得られないからである。
【0056】本発明におけるこれらの金属物質は、上述
の観点で選択される限り、単一の種類に限定される必要
はなく、複数の種類にわたって添加されることは許され
る。また、添加金属物質が複数の種類にわたる場合で
も、60wt%より少ない範囲では、それぞれの金属物
質の量を任意に調整して良い。
【0057】また、本発明において、複合炭素焼結体に
含ませる炭素以外の分散物質は金属に限られず、上述し
たように炭素焼結体の特性を補なう立場で選択される限
り、非金属物質であっても良い。例えば、炭化珪素、ベ
リリヤ又はアルミナを含有した炭化珪素、窒化アルミニ
ウム、イットリヤ又はカルシヤを含有した窒化アルミニ
ウム、窒化硼素、ベリリヤ、窒化珪素等のセラミックス
が挙げられる。これらの物質は、複合炭素焼結体の熱伝
導率、熱膨張率を調整するのに有効である。しかし、こ
れらの物質は電気抵抗率が高く、複合焼結体のそれをも
高める方向に作用するから、添加量は複合炭素焼結体の
電気伝導性を著しく損なわない分量に限る必要がある。
例えば、イットリヤ又はカルシヤを含有した窒化アルミ
ニウムを10wt%添加した複合焼結体では、これを添
加しない炭素焼結体に比べ、熱伝導率、熱膨張率、機械
的強度は不変であるが、電気抵抗率は1.2倍になる。
他の非金属物質を添加した場合も、これと同様の傾向を
示す。
【0058】さらに、本発明における炭素以外の分散物
質は繊維状のものであっても良い。例えば、直径15μ
m、長さ1.5mmのSiCや、同寸法のタングステン
繊維物質を分散させた場合は、3点曲げ強度は、分散さ
せない炭素焼結体に比べ1.8倍に向上する。しかし、
繊維状物質は、繊維の長さはその直径の100倍以内に
限られるのが望ましい。この理由は、繊維物質の分散と
方向が不均一になりやすいため、複合炭素焼結体の物
性、特に熱膨張率に方向性を生ずるからである。
【0059】
【作用】本発明における複合炭素焼結体からなる導電性
部材は、半導体基体を直接ろう付け搭載するための支持
部材となり、半導体基体の所定の電気領域又は半導体装
置の導電領域を形成し、そして、半導体基体の発する熱
を冷却手段へ伝達する熱伝導又は熱拡散部材として作用
する。
【0060】本発明における複合炭素焼結体からなる導
電性部材が好適な支持部材になり得るのは、半導体基体
及び無機質絶縁部材と熱膨張率が近似し、これに連なっ
て一体化される部材との間の熱応力及び熱歪が軽減され
ることに基づく。この結果、上述した第1の問題点、即
ち部材間の熱膨張率差により各部材の接着部に熱応力及
び熱歪が残留する問題が軽減され、そして、第2の問題
点、即ち一体化物の変形やろう層の空隙発生が避けられ
る。
【0061】また、第3の問題点である半導体基体又は
絶縁部材の接着部のろう層の熱疲労破壊が避けられ、そ
して、第4の問題点である絶縁部材条片板の変形や破壊
が避けられ、所定の電気特性及び熱的特性が維持され
る。ところで、本発明においては、複合炭素焼結体から
なる導電性部材の表面が金属化されているとを必須とす
るが、その理由はろう材に対するぬれ性を付与し、ろう
付けを可能ならしめるためである。
【0062】複合炭素焼結体が電気的に導体である点が
本発明の要点の第2であり、これにより同部材に半導体
装置の主電流路を担わせることが可能になる。そして、
このとき、金属化層は主電流路の電気伝導性を一層高め
るのにも寄与する。
【0063】複合炭素焼結体が優れた熱伝導性材である
ことが本発明の要点の第3で、放熱性の良い半導体装置
を具現するのに寄与する。
【0064】したがって、この複合炭素焼結体を半導体
装置に適用することにより、その製造時や運転時に生ず
る熱歪を軽減し、各部材の変形、変性、あるいは破壊の
虞れがなく、熱放散性に優れ、接着部の信頼性が高く、
そして半導体装置の大容量化を可能にする。また、この
半導体装置は、それを組み込んだ電子装置の性能及び信
頼性の向上に寄与する。
【0065】
【実施例】以下、本発明による半導体装置及びそれを用
いた電子装置について、図示の実施例により詳細に説明
する。図1は、何れも本発明の実施例で、図1の(a)は
非絶縁型半導体装置による本発明の実施例で、同(b)は
絶縁型半導体装置による実施例で、これらの図におい
て、10は導電性部材で、複合炭素焼結体100を母材
とし、その両主面11、12に金属化層111、121
があらかじめ形成されている。
【0066】まず、図1の(a)非絶縁型半導体装置の場
合は、金属化層111上にろう層113を介して半導体
基体101が搭載されている。また、金属化層111の
半導体基体101の周辺にはろう層113Aを介して絶
縁部材片114が設けられ、これにより電極115と端
子116が、導電性部材10から電気的に絶縁された状
態で、ろう層113B及び115Aにより取付けられて
いる。
【0067】端子115は、半導体基体101の所定の
電気的領域から導かれた金属細線117により結線さ
れ、半導体装置の電極の一部、例えば半導体基体101
がIGBT素子の場合はゲートとエミッタを構成してい
る。この場合、導電性部材10は半導体基体101のコ
レクタ電極、基体101を搭載する支持部材、そして金
属化層121を経て外部へ放出される熱の伝導路の役割
を兼ねている。
【0068】次に、図1の(b)の絶縁型半導体装置にお
いては、複合炭素焼結体100を母材とした導電性部材
10は、主絶縁基板122により接地電位から絶縁さ
れ、電気的活性領域を担うようになっている。なお、こ
の絶縁型半導体装置の場合は、金属化層121は装置の
機能や信頼性を確保するのに必須なものではなく、必要
に応じて省略できる。
【0069】この図1(b)の絶縁型半導体装置において
は、導電性部材10は、主絶縁基板122を介して支持
部材125上にろう層123、124により一体化され
ており、この導電性部材10上には端子116’が、ろ
う層113Aにより取付けられる。従って、この実施例
では、半導体基体101の全ての電気領域は支持部材1
25から絶縁され、そして、端子116’は、半導体基
体101がIGBT素子の場合は、コレクタ電極に接続
されることになる。
【0070】これらの実施例においては、電極115と
端子116は、半導体装置における電気的活性領域、例
えばダイオードにあってはアノード電極又はカソード電
極、トランジスタにあってはエミッタ又はベース電極、
IGBTにあってはエミッタ又はゲート電極、そしてサ
イリスタにあってはカソード又はゲート電極に接続され
る。従って、これらの実施例では、これらの電気領域は
コレクタやアノード電極を含めて、本発明にいう電気的
活性領域に含まれる。
【0071】ところで、これらの実施例において、導電
性部材10に搭載される半導体基体101は単一である
必要はなく、複数個搭載されてもよい。この場合、複数
の半導体基体101の電気領域は、必要に応じて互いに
並列もしくは直列に結線されて良い。さらに、導電性部
材10には、半導体基体101と共に受動素子が搭載さ
れても良い。
【0072】図2は、本発明による半導体装置が適用と
する電気回路の幾つかの例を示したもので、同図(a)は
唯1個の半導体素子(IGBT)101Aが半導体基体1
01に搭載された例、同図(b)は機能が同じ複数個の半
導体素子101A、101A’を半導体基体101に搭
載した例、同図(c)は機能の異なる2種類の半導体素子
(IGBTとダイオード)101A、101Bを半導体基
体101に搭載した例、同図(d)は機能の異なる2種類
の半導体素子がそれぞれ複数個(101A’、101
A”、101B、101B’)、半導体基体101に搭
載された例、そして同図(e)は機能の異なる2種類の半
導体基体101、101’が導電性部材10に搭載さ
れ、直列に結線された絶縁型半導体装置の例である。な
お、これらの例において、○印は端子もしくは電極を表
す。また、同図(e)の場合、一対の半導体基体101、
101’が並列接続された回路(破線内)は、ともに支持
部材125からは絶縁されているものである。
【0073】ところで、本発明による半導体装置は、回
転装置の速度を制御する電気回路に組み込まれるか、も
しくは、それ自体が移動する装置に回転装置と共に組み
込まれて、その移動速度を制御する電子装置として好適
であり、従って、以下、この電子装置の実施例について
説明する。
【0074】図3は回転装置の一例である電動機の回転
速度を制御する電気回路で、IGBTとダイオードが組
み込まれた電子装置の例を示す。この回路において、本
発明による半導体装置は、例えば図2(e)に示した回路
を有する絶縁型半導体装置900(破線)として組み込ま
れ、全体として回転速度制御用インバータ回路(主回路)
を構成し、電動機(三相交流電動機)950に可変周波数
で可変電圧の制御された交流電流を供給し、その回転速
度を制御する機能を有するものである。そして、この実
施例における回転装置としては、上述の電動機以外に、
物体を加工する装置、例えば旋盤を働かせる電動機も含
まれる。
【0075】また、本発明による電子装置は、流体を撹
拌又は流動させる装置に組込まれ、その撹拌又は流動速
度を制御する場合にも適用可能であり、従って、本発明
による電子装置は、このような流体を撹拌又は流動させ
る装置、例えば洗濯機、冷暖房機送風機、流体循環装置
などに使用されるものも含まれる。さらに、本発明によ
る電子装置は、移動する装置又はシステムに組み込ま
れ、同移動装置の移動速度を制御するのにも適用でき、
従って、本発明による電子装置には、このような移動装
置又はシステム、例えば自動車、電車、エレベータ、エ
スカレータ、ベルトコンベア等も含まれる。
【0076】同様に、本発明による半導体装置は、回転
装置や移動装置の速度制御に組み込まれることのみに限
定されない。例えば、発光体に給電する電気回路に組み
込まれ、その光量を制御する半導体装置や、これにより
得られる照明装置も本発明による電子装置の範囲に含ま
れる。
【0077】以下、本発明の実施例について、さらに具
体的に説明する。 実施例 1 この実施例では、半導体基体としてIGBT素子を搭載
した絶縁型半導体装置とそれを用いた電子装置について
説明する。半導体装置を得るに先立ち、図4に示す断面
構造を有する導電性部材10を作製した。
【0078】本実施例の導電性部材10は、炭素粉末に
30wt%の銅粉末を添加した混合粉末を出発材料と
し、この圧粉成形体を焼結して得た複合炭素焼結体10
0を母材にしている。この複合炭素焼結体100は、熱
膨張率:5.7×10~ 6/℃、熱伝導率:約300W/
m・K、抵抗率:約60×10~ 6Ω・cm、そして相
対密度:90%で、物性値に異方性のないものである。
図8に複合炭素焼結体100の断面構造模式図を示す。
炭素の焼結体粒子100Aのマトリックスの中に、銅焼
結体粒子100Bが埋め込まれている。埋め込まれた銅
粒子100Bは焼結体100のいずれの部分にもほぼ均
等に分散されていて、方向性は見られない。上述した物
性が異方性を示さないのは、この点に基づく。
【0079】次に、この複合焼結体100の両主面1
1,12に、Tiを2wt%添加したAg−28wt%
Cuろう材111’,121’により、厚さ300μm
の無酸素銅板111,121をろう付けし、25mm×
25mm×1mmの導電性部材10を得た。
【0080】図9は一例としての炭素−銅複合焼結体の
物性を示すグラフである。複合炭素焼結体では、銅粉末
の添加量を増すにつれ、熱膨張率や熱伝導率を増し、抵
抗率を減ずる。これらの物性値は、非絶縁型半導体装置
の支持部材又は絶縁型半導体装置の導電性部材として許
される範囲内では、いかなる値でも選択され得る。しか
し、大容量電力を取り扱う半導体装置においては、特に
導電性部材10が接着される相手の部材より熱膨張率が
大きくなることは、信頼性の点で好ましくない。この理
由は、熱膨張率が相手部材より過度に大きいと、ろう付
けされた一体化物が室温に戻る際に、炭素部材10に引
張り応力が作用し、この結果、複合焼結体100は引張
り応力に対する耐破壊強度は金属ほどには大きくないた
め、破損を生じやすいからである。
【0081】半導体基体になり得る材料の熱膨張率はシ
リコン:4.2×10~ 6/℃、ゲルマニウム:5.8×
10~ 6/℃、砒化ガリウム:6.5×10~ 6/℃、燐
化ガリウム:5.3×10~ 6/℃であり、他方、絶縁部
材になり得る材料の熱膨張率は窒化アルミニウム:4.
5×10~ 6/℃、ベリリヤ:7.6×10~ 6/℃、ア
ルミナ:7.0×10~ 6/℃、窒化硼素:3.7×10~
6/℃であるから、これらの中で最も熱膨張率の大きい
ベリリヤのそれを越えないようにするためには、複合炭
素部材100中での銅の量は60wt%を越えないよう
にする必要がある。
【0082】表1は熱膨張率が7.6×10~ 6/℃を越
えない金属添加物の添加量範囲を示す。この表から、銅
以外の金属添加物の場合は、最大60wt%未満までの
添加が許されることが判る。
【0083】
【表1】
【0084】次に、この導電性部材10を用い、IGB
T素子を搭載した1200V,75A級の半導体装置9
00を作製した。図5は半導体装置900の要部俯瞰図
である。この図5において、銅支持板(Niめっき:3
μm,40mm×95mm×3mm)125上に、31
mm×60mm×0.63mmの窒化アルミニウム絶縁
基板122が、Pb−50wt%Snはんだ124(図
示を省略、厚さ:200μm)により接着されている。
そして、この絶縁基板122上には導電性部材10が2
個並んで、Pb−50wt%Snはんだ123(図示を
省略、厚さ:200μm)により接着され、その上には
IGBT素子が形成された13mm×13mm×0.3
mmの大きさの半導体基体101と、ダイオード素子が
形成された10mm×10mm×0.3mmの大きさの
半導体基体101’とが、共にSn−5wt%Sb−
0.6wt%Ni−0.05wt%Pはんだ113(図示
を省略、厚さ:200μm)により接着されている。
【0085】各半導体基体101,101’にはAl線
(直径:500μm)117によるワイヤボンディングが
施され、エミッタ電極13b、ゲート電極13cに接続
されている。これらの電極13b,13cは銅条片から
なり、3mm×23mm×2mmのアルミナ条片114
にろう層(図示を省略、Sn−5wt%Sb−0.6wt
%Ni−0.05wt%P、厚さ:200μm)13’に
より接着され、アルミナ条片114は同じろう材(図示
を省略)14’により導電性部材10に接着されてい
る。そして、導電性部材10は、コレクタ電極13aを
担う、つまり形成している。
【0086】これらコレクタ電極13a、エミッタ電極
13b、ゲート電極13cには、それぞれ外部端子11
6,116’や中継端子126が設けられ、更に各半導
体基体101,101’及び導電性部材10等が外気か
ら完全に遮断されるように、エポキシ系樹脂製ケース
(図示を省略)を設けると共に、このケース内にシリコー
ンゲルやエポキシ樹脂を充填、硬化させて、製品として
通用する半導体装置900を得た。この半導体装置90
0は図2(e)に示した回路を構成している。
【0087】一方、これと並行して、比較用として、導
電性部材10を同寸法の銅板に置き換えた試料も作製し
てある。そして、この実施例による半導体装置900
は、最終的に電動機の回転数制御用インバータ装置に搭
載され、所定の条件のもとで動作させながら、IGBT
素子101と銅支持板125間の熱抵抗を測定してみる
と、0.30W/℃という値が得られ、比較用の試料で
の測定値0.42W/℃より低い値が得られた。
【0088】この実施例による半導体装置900で低熱
抵抗化が得られたのは、熱流路を複合炭素焼結体や窒化
アルミニウム等の高熱伝導性部材で構成したこと、及
び、熱膨張率差緩衝部材が省略でき、簡素な積層構造を
とり得たことが第1の理由であるが、絶縁部材122か
ら半導体基体101,101’に至る積層体の変形を低
減できたため、銅支持板125−絶縁基板122−導電
性部材10間の接着部における気泡等の欠陥が低減され
たことも第2の理由として挙げられる。
【0089】次に、この半導体装置900における半導
体基体101,101’−導電性部材10−絶縁部材1
22の積層一体化物を形成した段階での反り量(腹の高
さ)の測定結果は、最大50μmであった。これは、比
較試料での測定値300μmより大幅に小さい値で、接
着部欠陥の低減に多大の寄与をしていることが示唆され
ている。
【0090】このような反りは、銅支持板の窒化アルミ
ニウム基板が接着された部分の外周部にエポキシ樹脂製
等の枠あるいは蓋を設置するときに、枠あるいは蓋と銅
支持板との間にすきまを生ずるので密封性、従って耐水
性の点で好ましくない。更に、銅支持板を外部放熱フィ
ン等に取付けるとき、支持板に反りがあるとすきまを生
じ、放熱性が低下するので好ましくないが、上記したよ
うに、この実施例によれば、これらの欠点は生じない。
【0091】次に、半導体装置900に間欠通電し、支
持板125の温度を40〜100℃間で繰返し変化させ
る試験を施してみた。そして、この試験を30000回
施した後の熱抵抗は0.36W/℃と若干増加したが、
比較試料の同試験3000回における熱抵抗0.54W
/℃より格段に安定しており、従って、この実施例によ
れば、優れた放熱性が維持されていることが判る。な
お、このように、本実施例半導体装置900が優れた信
頼性を示した最大の理由は、導電性部材10と半導体基
体101,101’間の熱膨張率差がほとんどないた
め、はんだ113に過大な熱応力や熱歪が作用せず、同
はんだの熱疲労破壊が避けられたためである。
【0092】この実施例における導電性部材10の熱膨
張率が絶縁部材122と近似しているため、はんだ12
3に作用する熱応力や熱歪が軽減されたこと、そして、
上述の積層一体化物の反り量が少ないため、絶縁部材1
22−支持板125間のはんだ層124に極端に薄い部
分を有していないことも、信頼性の向上に寄与してい
る。
【0093】このように本実施例によれば、比較試料に
比べて、放熱性を実質上犠牲にせずに信頼性を向上させ
得た。そして、この効果は、窒化アルミニウム基板の面
積、従って複合炭素焼結体の面積(比較試料における銅
板の面積)が大きくなるほど顕著であった。その一例を
図6により説明する。この図6は、窒化アルミニウム基
板−導電性部材間の接着面積、及び窒化アルミニウム基
板−銅板間の接着面積と温度サイクル印加後の故障発生
率の関係を示すグラフで、(A)はこの実施例による半導
体装置の特性で、(B)は上記した比較試料の特性であ
り、温度サイクルは−55℃〜+150℃とし、回数は
150回である。
【0094】この図6によれば、接着面積が約500m
2までは、(A),(B)ともに故障発生率は0%である
が、約500mm2を越えると(B)では加速度的に故障
発生率が増加するのに対し、(A)では依然として0%で
あることが判る。なお、ここで言う故障とは、主として
はんだ層124に生じたクラック、あるいは部分的剥離
のことである。
【0095】また、上述の間欠通電試験では、導電性部
材10−支持板125間の電気絶縁性、そして、導電性
部材10−エミッタ電極13b、ゲート電極13c間の
電気絶縁性も追跡してみた。この結果、30000回の
試験後における絶縁耐圧(周波数:60Hz)は5kV以
上と、初期値と同等の値が維持され、絶縁物の破壊によ
る耐圧劣化は観測されなかった。この効果も、上述と同
様に、導電性部材10が絶縁部材122や条片114と
近似した熱膨張率を有しているため、これらの部材に過
大な熱応力や熱歪が作用しないためであると考えられ
る。
【0096】一方、この本発明の実施例による半導体装
置900では、密度が比較的小さい炭素(1.8g/cm
3)を主体にした導電性部材10を用いているため、半導
体装置900の重量が低減されている。
【0097】次に、この実施例による半導体装置900
を組み込んだインバータ装置を用いて、電動機の回転数
制御を行なう電子装置について説明する。図7は、この
電子装置におけるインバータ装置のスイッチング周波数
とIGBT素子101の発熱温度の関係を示したもの
で、スイッチング損失は周波数の上昇につれて増加す
が、商用電源での周波数50Hzから30kHzまでの
間では半導体基体101が安定して動作するのに必要な
上限温度である125℃を越えることはなかった。この
間、電動機は何らの異常を伴わずに作動したのは勿論の
ことである。
【0098】次に、上記本発明の実施例による電子装置
はインバータ装置として、それにより制御される電動機
と共に自動車の動力源として組み込まれ、電気自動車と
して実施される。この電気自動車の実施例によれば、ギ
ヤーの噛み込み比率の違いにより変速していた従来の自
動車に比べ、動力源から車輪に至る駆動機構が簡素化で
き、しかも変速時のショックを軽減することができる。
さらに、この実施例による電気自動車は、0〜250k
m/hの範囲でスムーズな走行が可能であったほか、動
力源を発生源とする振動や騒音の面でも従来の内燃機関
を搭載した自動車の約1/2に軽減することができた。
【0099】実施例 2 この実施例でも、前記実施例1と同じく、複合炭素焼結
体を用いた半導体装置及び電子装置について説明する。
まず、実施例1と同様にして複合炭素焼結体100を
得、これに、同じく実施例1と同様にして銅板111,
121をろう付けし、47mm×76mm×3mmの導
電性部材10を得る。
【0100】次に、導電性部材10は、組成が炭素−3
0wt%銅の複合炭素焼結体からなる支持板(95mm
×110mm×5mm)125に、Pb−60wt%S
nはんだ(厚さ:200μm)124により接着されたア
ルミナ絶縁基板(68mm×86mm×0.63mm)1
22の上に、Sn−5wt%Sb−0.6wt%Ni−
0.05wt%Pはんだ(厚さ:200μm)123によ
り搭載される。
【0101】ついで、この導電性部材10には、Sn−
5wt%Sb−0.6wt%Ni−0.05wt%Pはん
だ(厚さ:200μm)113により、6個のIGBT素
子が形成されている13mm×13mm×0.3mmの
大きさの半導体基体101と、2このダイオード素子が
形成された13mm×13mm×0.3mmの大きさの
半導体基体101’が接着され、以下、実施例1と同様
にして部材搭載、配線、パッケージングを施し、半導体
装置900を得る。なお、こうして得た本発明の実施例
による半導体装置900は、搭載された全ての素子が並
列に接続され等価的に図2(c)に示す回路を構成するよ
うに作られている。
【0102】本実施例における支持板125から半導体
基体101,101’に至る部材構成では、半導体基体
(4.2×10~ 6/℃)−金属化炭素部材(5.7×10~
6/℃)−絶縁部材(7.0×10~ 6/℃)−支持板(5.7
×10~ 6/℃)と、熱膨張率が近似されている。このた
め、接着面積が3572mm2と大きいにもかかわら
ず、一体化物の反り量は45μmに過ぎず、各接着部に
残留する熱応力も少ないことが裏付けられている。
【0103】以上により得られた半導体装置900に
は、−55℃〜+150℃の温度サイクルが3000回
印加されたが、これによる半導体基体101,101’
−支持板125間熱抵抗(初期値:0.38℃/W)の変化
は観測されなかった。
【0104】なお、この実施例でも、実施例1と同様、
支持板125として熱膨張率がアルミナ板122と近似
された他の複合材料、例えば銅−インバール−銅のよう
なクラッド材、銅−炭素繊維複合材、銅−ダイヤモンド
繊維複合材、炭素−炭素繊維複合材等を用いることは好
ましいことである。
【0105】次いで、この実施例による半導体装置90
0が24個、図3と同様のインバータ回路に組み込まれ
た。ここでは、1相分として8個の半導体装置900が
割り当てられている。こうして得られたインバータ装置
(電源電圧:1500V,ピーク出力電流:650A,
平均周波数:2kHz)は、電車用の主電動機(190k
W)の速度制御に使用され、その結果、走行開始(加速)
時に電動機が発する騒音は、平均周波数1.5kHzの
場合より1/3低く、そして、短い駅間距離(1.2k
m)を想定した走行試験でも表定速度40km/hと優
れた運行性能が得られた。これは、高周波化されて発熱
の著しい半導体基体101を効率的に冷却できるため、
同基体が安定的に動作するためである。
【0106】以上に説明したように、この実施例2の半
導体装置900は、電動機の回転速度や移動装置の走行
速度を制御するのに有用であるが、この実施例と同様の
半導体装置がエレベータ、エスカレータ、ベルトコンベ
ヤー等の物体を運搬する装置やその装置に組み込まれた
場合でも、電車に組み込まれた場合と同様の効果が得ら
れる。
【0107】実施例 3 この実施例3では、1個の基体の中にIGBT素子を6
素子、ダイオード素子を6素子内蔵した半導体基体10
1を用い、これを搭載した絶縁型半導体装置、及びそれ
を用いた電子装置について説明する。半導体装置を得る
に用いた導電性部材10は、35mm×35mm×1m
mの寸法を有する実施例1と同質の複合炭素焼結体10
0に、厚さ200μmの無酸素銅板111,121を、
Tiを2wt%添加したAg−28wt%Cuろう材1
11’,121’によりろう付けしたものである。
【0108】銅支持板(Niめっき:3μm,50mm
×60mm×3mm)125上に、40mm×40mm
×0.63mmの窒化アルミニウム絶縁基板122が接
着され、絶縁基板122上には導電性部材10が1個接
着され、導電性部材10には上記半導体基体(15mm
×15mm×0.3mm)101が接着されている。半導
体基体101にはAl線(直径:300μm)117によ
るワイヤボンディングが施され、電極13b,13cに
接続されている。
【0109】銅条片からなるこれらの電極13b,13
cはアルミナ条片114にろう付けされ、アルミナ条片
114は導電性部材10にろう付けされている。そし
て、以上の積層体を、実施例1と同様に樹脂封止して半
導体装置900を得た。なお、この半導体装置900
は、これのみで図3と同様のインバータ回路を構成し、
本発明による電子装置の一実施例を構成している。
【0110】この実施例3のよる半導体装置900から
なるインバータ装置は、ブラシレス直流電動機と共に家
庭用冷暖房機(暖房時の消費電力:150〜1860
W、冷房時の消費電力:200〜1375W、電源電
圧:100V)に組み込まれた。図10は、この実施例
によるインバータ装置を用いた電動機の効率を示すグラ
フで、(A)は本発明の実施例の特性を表わし、(B)は従
来の交流電動機を用いた場合の特性を表わしており、こ
れから明らかなように、本発明の実施例の場合は比較し
た全回転数範囲で、従来の場合より10%以上高い効率
を示していることが判る。
【0111】従って、本発明の実施例によれば、冷暖房
機使用時の電力消費を低減するのに役立つ。また、室内
の温度が運転開始から設定温度に到達するまでの時間
も、本発明の実施例の場合は、従来の交流電動機を用い
た場合より約1/2に短縮されており、高性能が得られ
ている。この実施例の場合と同様の効果は、半導体装置
900が他の流体を撹拌又は流動させる装置、例えば洗
濯機、流体循環装置等に組み込まれた場合でも享受でき
る。
【0112】実施例 4 この実施例4では、導電性部材10を適用した非絶縁型
半導体装置とそれを用いた電子装置について説明する。
ここで用いた導電性部材10は、20mm×35mm×
1mmの寸法を有するもので、炭素焼結体マトリックス
の中にイットリヤを5wt%添加した窒化アルミニウム
粒子を5wt%分散して得た複合炭素焼結体100に、
厚さ200μmの無酸素銅板111を、実施例1と同様
にして設けたものである。
【0113】図11は複合炭素焼結体100の断面構造
模式図である。窒化アルミニウム粒子100Bは、炭素
焼結体粒子100A間の境界に介在し、複合炭素焼結体
100のいずれの部分にもほぼ均一に分布している。こ
の複合炭素焼結体の物性は、熱膨張率:4.4×10~ 6
/℃、熱伝導率:約250W/m・K、抵抗率:約30
0×10~ 6Ω・cm、そして相対密度:90%で、物
性値に異方性のないものである。
【0114】他方、この実施例4では、変形例として、
窒化アルミニウム粒子の代わりに、アルミナ、ベリリ
ヤ、窒化硼素、ベリリヤ添加炭化珪素、カルシヤ添加窒
化アルミニウム粒子を添加した複合炭素焼結体100を
も作製しており、図12は、この変形例におけるセラミ
ックス粒子を添加した場合の添加量と、複合炭素焼結体
の抵抗率の関係を示すグラフである。この図12のグラ
フから明らかなように、個々の添加物の種類によって若
干の相違はあるが、抵抗率は添加量を増すにつれてほぼ
同様の傾向で増加していることが判る。これは、分散材
そのものの抵抗率が高いことに基づく。
【0115】しかして、このように複合炭素焼結体の抵
抗率が高いことは、これが組み込まれた半導体装置の電
力損失を増すことを意味し、また、ある一定の電気伝導
性を確保するには複合炭素焼結体のサイズを大きくする
必要を意味するので好ましくない。従って、実用的には
103×~ 6Ω・cm以下が望ましい。この観点で図12
を参照すると、セラミックス粒子の添加量は10wt%
以下であるのが好ましい実施例となる。
【0116】図13は、本発明をパワートランジスタ装
置用に適用した場合の一実施例による導電性部材10の
要部俯瞰図で、上述した複合炭素焼結体100上に、金
属化層111が形成されている。この金属化層111に
は、トランジスタ素子が形成された15mm×15mm
×0.3mmの大きさの半導体基体101(図5)が接着
され、金属化層111から延長された領域111Aには
銅−ベリリウム合金からなるコレクタ端子116’(図
5)がろう付けされる。
【0117】金属化層111に、厚さ50μmのPb−
5wt%Sn−1.5wt%Agはんだ113により固
着された半導体基体101は、Al線(直径:300μ
m)117(図5)のワイヤボンディングにより銅−ベリ
リウム合金からなるリードフレームと電気的に接続さ
れ、最後にエポキシ樹脂によるモールドを経てトランジ
スタ装置900が完成される。ここで、ワイヤボンディ
ングにより接続されたリードフレームはトランジスタの
エミッタ端子及びベース端子を構成する。このようにし
て得たトランジスタ装置900は、電源の整流装置及び
屋外の照明設備の光量を制御するインバータ装置に組み
込まれて、屋外に設置された。
【0118】ところで、本発明では、複合焼結炭素部材
100上に設けられる金属化層111は、この部材10
0の主面11の全面に設けられることを必須とするもの
ではない。電気伝導性や熱伝導性に関して支障がない限
り、その上に搭載する素子や部材がろう付けされる領域
にのみに選択的に設けられて良く、そして、選択的に設
けられる金属化層111は複数であっても良い。
【0119】また、本発明においては、ろう材113,
123,124等は実施例に開示した材料のみには限定
されず、半導体装置が製作されるプロセス、半導体装置
に要求される特性、特に耐熱疲労信頼性に応じて、種々
の成分及び組成のものを選択しうる。例えば、Pb−5
wt%Sb,Pb−52wt%Sn−8wt%Bi,A
u−12wt%Ge,Au−6wt%Si,Au−20
wt%Si,Al−11.7wt%Si,Ag−4.5w
t%Si等を適用できる。
【0120】さらに、本発明においては、金属化層11
1,121は互いに対向する面に分離されて形成される
必要はなく、例えば複合焼結炭素部材100の側面に延
長して設けられも本発明の効果は変わらない。
【0121】また、本発明においては、半導体基体10
1,101’はシリコンであることに限定されない。例
えば、ゲルマニウム、砒化ガリウム、燐化ガリウム、砒
化ガリウムアルミニウム等であっても良い。また、導電
性部材10に搭載される素子は半導体基体に限定され
ず、例えばコンデンサ、抵抗体、コイル等が搭載されて
も良い。
【0122】
【発明の効果】本発明によれば、製造時又は運転時に生
ずる熱歪を低減し、各部材の変形、変性、或いは破壊の
虞れがなく、熱放散性や信頼性に優れた非絶縁型又は絶
縁型半導体装置を提供することができる。また、運転時
の性能や信頼性が優れ、消費電力の少ない電子装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体装置の一実施例を示す説明
図である。
【図2】本発明による半導体装置に内蔵される電気回路
の幾つかの例を示す回路図である。
【図3】本発明による半導体装置が組み込まれた電子装
置の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例における導電性部材の断面図
である。
【図5】本発明による半導体装置の一実施例を示す要部
俯瞰図である。
【図6】半導体装置における接着面積と温度サイクル印
加後の故障発生率の関係を示すグラフである。
【図7】半導体装置のスイッチング周波数と半導体素子
の発熱温度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施例における銅を添加した複合炭
素焼結体の断面構造を示す模式図である。
【図9】炭素−銅系複合焼結体の物性を示すグラフであ
る。
【図10】本発明による電子装置における電動機の効率
と従来の電動機の効率とを示すグラフである。
【図11】本発明の一実施例におけるセラミックスを添
加した複合炭素焼結体の断面構造を示す模式図である。
【図12】複合炭素焼結体のセラミックス粒子の添加量
と抵抗率の関係を示すグラフである。
【図13】本発明による半導体装置をパワートランジス
タ装置に適用した場合の一実施例における導電性部材の
要部俯瞰図である。
【符号の説明】
10 導電性部材 100 複合炭素焼結体 101、101’ 半導体基体 111、121 金属化層 113、123、124 ろう材 114、122 絶縁部材 115 電極材 116、116’ 端子 125 支持板 126 中継端子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅、銀、アルミニウム、金、インジウ
    ム、カドミウム、タングステン、ニッケル、モリブデ
    ン、マグネシウム、ベリリウム、イリジウム、パラジウ
    ム、ロジウムの群から選択された少なくとも1種の金属
    を炭素中に分散した複合炭素焼結体からなる導電性部材
    上に金属化層を形成し、この金属化層を介して半導体基
    体が搭載されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 炭化珪素、ベリリヤ、窒化アルミニウ
    ム、窒化硼素、窒化珪素、アルミナ、ベリリヤ又はアル
    ミナを含有した炭化珪素、イットリヤ又はカルシヤを含
    有した窒化アルミニウムの群から選択された少なくとも
    1種のセラミックスを炭素中に分散した複合炭素焼結体
    からなる導電性部材上に金属化層を形成し、この金属化
    層を介して半導体基体が搭載されていることを特徴とす
    る半導体装置。
  3. 【請求項3】 銅、銀、アルミニウム、金、インジウ
    ム、カドミウム、タングステン、ニッケル、モリブデ
    ン、マグネシウム、ベリリウム、イリジウム、パラジウ
    ム、ロジウムの群から選択された少なくとも1種の金属
    と、炭化珪素、ベリリヤ、窒化アルミニウム、窒化硼
    素、窒化珪素、アルミナ、ベリリヤ又はアルミナを含有
    した炭化珪素、イットリヤ又はカルシヤを含有した窒化
    アルミニウムの群から選択された少なくとも1種のセラ
    ミックスとを炭素中に分散した複合炭素焼結体からなる
    導電性部材上に金属化層を形成し、この金属化層を介し
    て半導体基体が搭載されていることを特徴とする半導体
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は3の発明において、上記金
    属が粒子状をなし、その添加量が60wt%未満である
    ことを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3の発明において、上記セ
    ラミックスが粒子状をなし、その添加量が10wt%未
    満であることを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】 請求項1、2及び3の何れかの発明にお
    いて、上記金属化層の表面が銅、ニッケル、銀、金、白
    金、パラジウム、錫、鉛、アンチモン、アルミニウム、
    亜鉛、若しくはこれらの合金で構成されていることを特
    徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】 請求項1、2及び3の何れかの発明にお
    いて、上記導電性部材が無機質絶縁部材を介して支持部
    材にろう付け搭載されていることを特徴とする半導体装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項7において、上記無機質絶縁部材
    が、窒化アルミニウム、アルミナ、ベリリヤ、窒化硼素
    の群から選択された少なくとも1種からなるセラミック
    スで構成されていることを特徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項1、2及び3の何れかの発明にお
    いて、上記導電性部材上に、この導電性部材から絶縁さ
    れた電気的活性領域が形成されたことを特徴とする半導
    体装置。
  10. 【請求項10】 回転装置に給電する電気回路として請
    求項1〜9の何れかの半導体装置を用い、上記回転装置
    の回転速度を制御するように構成したことを特徴とする
    電子装置。
  11. 【請求項11】 回転装置に給電する電気回路として請
    求項1〜9の何れかの半導体装置を用い、移動装置に上
    記回転装置と共に組み込まれて該移動装置の移動速度を
    制御するように構成したことを特徴とする電子装置。
  12. 【請求項12】 請求項10又は11の発明において、
    上記電気回路がインバータ回路であることを特徴とする
    電子装置。
  13. 【請求項13】 請求項10の発明において、上記回転
    装置が流体を撹拌又は流動させる装置に組み込まれ、撹
    拌速度及び流動速度の少なくとも一方を制御するように
    構成されていることを特徴とする電子装置。
  14. 【請求項14】 請求項10の発明において、上記回転
    装置が、物体を加工する装置に組み込まれ、加工速度を
    制御するように構成されていることを特徴とする電子装
    置。
  15. 【請求項15】 発光体に給電する電気回路として請求
    項1〜9の何れかの半導体装置を用い、上記発光体の放
    出光量を制御するように構成されていることを特徴とす
    る電子装置。
JP4194252A 1992-07-21 1992-07-21 半導体装置及びそれを用いた電子装置 Pending JPH06140446A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4194252A JPH06140446A (ja) 1992-07-21 1992-07-21 半導体装置及びそれを用いた電子装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4194252A JPH06140446A (ja) 1992-07-21 1992-07-21 半導体装置及びそれを用いた電子装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06140446A true JPH06140446A (ja) 1994-05-20

Family

ID=16321527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4194252A Pending JPH06140446A (ja) 1992-07-21 1992-07-21 半導体装置及びそれを用いた電子装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06140446A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002324875A (ja) * 2001-04-26 2002-11-08 Fuji Photo Film Co Ltd 半導体パッケージ基台および半導体パッケージ
US8754462B2 (en) 2012-03-09 2014-06-17 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor device
US10216637B2 (en) 2004-05-03 2019-02-26 Microsoft Technology Licensing, Llc Non-volatile memory cache performance improvement
KR20230000986A (ko) * 2021-06-25 2023-01-03 주식회사 아모센스 파워모듈
KR20230000984A (ko) * 2021-06-25 2023-01-03 주식회사 아모센스 파워모듈

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002324875A (ja) * 2001-04-26 2002-11-08 Fuji Photo Film Co Ltd 半導体パッケージ基台および半導体パッケージ
US10216637B2 (en) 2004-05-03 2019-02-26 Microsoft Technology Licensing, Llc Non-volatile memory cache performance improvement
US8754462B2 (en) 2012-03-09 2014-06-17 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor device
KR20230000986A (ko) * 2021-06-25 2023-01-03 주식회사 아모센스 파워모듈
KR20230000984A (ko) * 2021-06-25 2023-01-03 주식회사 아모센스 파워모듈

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002368168A (ja) 半導体装置用複合部材、それを用いた絶縁型半導体装置、又は非絶縁型半導体装置
KR101017333B1 (ko) 전력 반도체 모듈
US20050258550A1 (en) Circuit board and semiconductor device using the same
JP2013048294A (ja) 電子部品モジュール
JPH04162756A (ja) 半導体モジュール
JP2006100640A (ja) セラミックス回路基板及びこれを用いたパワー半導体モジュール
KR20150099754A (ko) 파워 모듈
KR102588854B1 (ko) 파워모듈 및 그 제조방법
JPH06140446A (ja) 半導体装置及びそれを用いた電子装置
JPH06321649A (ja) 金属化炭素部材及びその製造方法ならびに金属化炭素部材を用いた半導体装置
JP2009158715A (ja) 放熱装置及びパワーモジュール
JP2001110959A (ja) 半導体装置及びそれを用いた電子装置
JP3033378B2 (ja) 半導体装置及び半導体装置の製造方法
JP3794454B2 (ja) 窒化物セラミックス基板
JP2003092383A (ja) パワー半導体装置およびそのヒートシンク
WO2016147252A1 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP3306613B2 (ja) 半導体装置およびそれを用いた電子装置
JP2001237252A (ja) 半導体装置とそれを用いた電子装置
JP3583019B2 (ja) 放熱配線基板の接合構造
JP3588315B2 (ja) 半導体素子モジュール
JPH08330465A (ja) 半導体装置およびそれを用いた電子装置
JPH0917908A (ja) 半導体装置及びそれを用いた電子装置
JP2000183234A (ja) 半導体装置及びこれに用いられる複合金属材料
JPH08167675A (ja) 半導体装置及びそれを用いた電子装置
JPH08213539A (ja) 半導体装置及びそれを用いた電子装置