JPH08167675A - 半導体装置及びそれを用いた電子装置 - Google Patents

半導体装置及びそれを用いた電子装置

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JPH08167675A
JPH08167675A JP31020194A JP31020194A JPH08167675A JP H08167675 A JPH08167675 A JP H08167675A JP 31020194 A JP31020194 A JP 31020194A JP 31020194 A JP31020194 A JP 31020194A JP H08167675 A JPH08167675 A JP H08167675A
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semiconductor device
metal
carbon
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insulating member
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JP31020194A
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Yasutoshi Kurihara
保敏 栗原
Takashi Hosokawa
隆 細川
Mamoru Sawahata
守 沢畠
茂 ▲高▼橋
Shigeru Takahashi
Tadao Kushima
忠雄 九嶋
Hideo Shimizu
英雄 清水
Akira Tanaka
明 田中
Kazuji Yamada
一二 山田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】半導体基体を搭載する炭素を主体とする焼結体
基体に金属層を設けた部材であって、電気的に活性な領
域にあって導電機能,熱伝導路にあって熱中継もしくは
熱流拡大の機能、そして半導体基体もしくは絶縁部材と
の間の熱応力を緩和する機能を兼備する金属化炭素部材
と、マトリックス金属に無機質セラミックス粉末が分散
された部材であって、前記金属化炭素部材を前記絶縁部
材を介装してはんだ付け搭載し、電気的不活性領域かつ
熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡大の機能、そし
て前記絶縁部材との間の熱応力を緩和する機能を兼備す
る支持部材から構成される。 【効果】製造時あるいは運転時に生じる熱歪を低減し、
各部材の変形,変性、あるいは破壊の恐れがなく、熱放
散性や信頼性に優れた絶縁型の半導体装置を提供するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置及びこれを用
いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体素子基板を支持する部材は
非絶縁型半導体装置の一電極を兼ねる場合が多かった。
例えば、パワートランジスタチップを銅ベース上にPb
−Sn又はPb−Inソルダを介して一体化搭載したパ
ワートランジスタ装置では、銅ベースはトランジスタの
コレクタ電極と支持部材を兼ねる。このようなパワー半
導体装置では、数アンペア以上のコレクタ電流が流れる
が、この際、トランジスタチップはその内部で発熱す
る。この発熱に起因する特性の不安定性や寿命の劣化を
避けるため、銅ベースは熱放散のための部材を兼ねる。
また、高耐圧化され、大電流を流すことの可能なIGB
T(Insulated Gate Bipolar Transistor)チップを銅ベ
ースに直接はんだ付け搭載した場合は、熱放散中継部材
としての銅ベースの役割は一層重要となる。
【0003】また、半導体装置の全ての電極を金属支持
部材から電気的に絶縁し、半導体装置の回路適用上の自
由度を増すことのできる構造が出現している。このよう
な絶縁型半導体装置で、すべての電極は絶縁部材により
金属支持部材を含む全てのパッケージ部材から絶縁され
て外部へ引き出される。そのため、一対の主電極が回路
上の接地電位から浮いている使用例であっても、電極電
位とは無関係にパッケージを接地電位部に固定できるの
で、半導体装置の実装が容易になる。
【0004】一方、混成集積回路装置あるいは半導体モ
ジュール装置では、一般に半導体素子を含むあるまとま
った電気回路が組み込まれるため、その回路の少なくと
も一部とこれらの装置の支持部材あるいは放熱部材等の
金属部とを電気的に絶縁する必要がある。例えば(1)杉
浦康之ほか2名による“半導体・通信用DBC基板”:
電子材料(Vol.44,No.5),65〜69頁(19
89年)には、Siチップを熱膨張緩衝材としてのMo
を介して銅板に搭載したアッセンブリを、Moメタライ
ズ層を形成した後、Niめっきを施したアルミナ基板を
介して、銅支持部材と一体化したパワーモジュール装置
が示されている。熱伝導率の低いアルミナ基板を絶縁体
として用いた場合は、モジュール装置全体としての熱伝
達効率を高めるため、発熱の著しい半導体基板から絶縁
基板に至る熱流路に熱を拡散させて広げる機能を持つ銅
板のような高熱伝導性部材を配置する必要がある。この
アッセンブリにおける銅板の第一の目的は、このような
役割を担わせることである。第二に、銅板はモジュール
装置の主電流路の役割を持つ。しかし、銅板は熱膨張率
が大きいため半導体素子の搭載に当たってはMoやW等
の熱膨張緩和材を設けることが必要である。このような
モジュール装置もまた、絶縁型半導体装置である。ま
た、パワーモジュール装置における銅支持部材は、絶縁
基板から伝達された熱流を拡散させて広げる機能を持
つ。
【0005】絶縁型半導体装置でも、半導体素子を安全
かつ安定に動作させるためには、半導体装置の動作時に
発生する熱をパッケージの外へ効率良く放散させる必要
がある。この熱放散は通常、発熱源である半導体基体か
らこれと接着された各部材を通じて気中へ熱伝達させる
ことで達成される。絶縁型半導体装置では、この熱伝達
経路中に絶縁体及び絶縁体と半導体基体を接着する部分
等に用いられた接着材層を含む。
【0006】また、半導体装置を含む回路を扱う電力が
高くなるほど、あるいは要求される信頼性(経時的安定
性,耐湿性,耐熱性等)が高くなるほど、完全な絶縁性
が要求される。ここで言う耐熱性には、半導体装置の周
囲温度が外因により上昇した場合のほか、半導体装置の
扱う電力が大きく、半導体基体で発生する熱が大きくな
った場合の耐熱性も含む。
【0007】本発明に関連する半導体実装の技術分野に
おいて、(1)の他に次の従来技術が公知である。
(2)特開昭58−157144号公報には、半導体基体をグラ
ファイト基板上にはんだ付け搭載したパワー半導体素子
が開示されている。この装置において、グラファイト基
板は熱伝導路にあって電気的にも活性な領域に用いら
れ、半導体基体をはんだ付けするための金属化はAl,
Moから選択された金属のスパッタリングによりなされ
ている。グラファイト基板と半導体基体は熱膨張率が近
似しているため、これらのはんだ付け一体化部の耐熱疲
労性は向上したものとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】半導体装置における発
熱量が少なく、要求される信頼性がさほど高くない場合
には、装置を構成する部材としてどのような材料を用い
ても問題はない。しかし、発熱量が大きく高い信頼性が
要求される場合には、適用されるべき部材は選択されね
ばならない。
【0009】一般に、絶縁型半導体装置では先行技術例
(1)のように、Siチップを熱膨張緩衝材としてのM
o板を介して銅板に搭載したアッセンブリを、Moメタ
ライズ層を形成した後、Niめっきを施したアルミナ基
板を介して、ろう付けにより銅支持部材と一体化してい
る。ここで、熱伝導率が403W/m・Kと高く、抵抗
率が1.7×10-6Ω・cm と小さい銅板が用いられる理
由は、熱流を広げて放熱効果を高めるとともに主電流路
の役割を持たせるためである。また、銅板とSiチップ
の間にMo板を介装するのは、銅板の熱膨張率が16.
7×10-6/℃とSiチップのそれ(Si:3.5×1
-6/℃)と大幅に異なることに基づく。即ち、熱膨張
率の差を緩和し(Moの熱膨張率:5.3×10-6
℃)、Siチップを一体化しているろう材及びチップそ
のものの熱疲労破壊を防止するためである。
【0010】この場合、次のような問題点がある。その
第1は、Mo板と銅板との間の熱膨張率差が大きいこと
に起因する。このことにより、両者を一体化するための
ろう材として、一般にそれ自体剛性が高く、破壊強度が
高くそして熱疲労破壊しにくい材料、例えば、Ag−2
8wt%Cuろう(銀ろう)やAu−20wt%Snろ
うが用いられる。Mo板と銅板の一体化は、上記ろう材
を介装したMo板と銅板の積層体を、ろう材の融点以上
に加熱した後室温まで冷却することにより図られるが、
各部材はろう材の凝固点で互いに固定される。その後は
凝固したろう材により固定されたまま、各部材固有の熱
膨張率に従って収縮する。この際、上述の熱膨張率差に
よって各部材の収縮量が異なり、各部材の接着部に熱応
力ないし熱歪が残留し、一体化物は反りのような変形を
生じる。その後、一体化物は半導体装置を組み込むため
の熱処理過程や、半導体装置の稼働による熱的変化の過
程を経る。ここで生じる熱ストレスは、残留熱応力や熱
歪に重畳して印加されることになる。この結果、Mo板
と銅板の間のろう付け部は破壊を生じやすくなる。ま
た、半導体装置を組み込む過程で、一体化物のMo板側
には半導体基体、そして銅板側にはアルミナ板がそれぞ
れはんだ付けされる。しかし、一体化物の変形は、所望
の厚さのはんだ層を均一に形成することや、空洞のない
はんだ層を形成することに対し、不利益をもたらす。は
んだ層の厚さの不均一は熱疲労破壊寿命に、そしてはん
だ層の空洞は半導体装置の放熱性にそれぞれ悪影響を及
ぼす。特ら半導体基体は熱の発生及び熱的変化を発生す
る源であり、そして銅板は放熱路の主要部材であり、半
導体装置の安定動作のためには厚さの不均一性や空洞の
発生は避けなければならない。
【0011】問題点の第二は、銅板とアルミナ板(熱膨
張率:6.3×10-6/℃)の問の熱膨張率差が大きいこ
とに起因する。これらはPb−60wt%Snはんだ材
によりろう付けされ、ろう材の融点以上に加熱した後、
室温まで冷却する熱処理を受ける。したがってこの場合
も、各部材がろう材の凝固点で互いに固定され、その後
は固定されたまま各部材固有の熱膨張率に従って収縮
し、接着部に熱応力ないし熱歪が残留し、変形を生ず
る。一般に、パワー半導体基体はサイズが大きく、ま
た、パワーモジュール装置では複数の半導体基体や他の
素子も搭載されるので、絶縁基板の面積やろう付け面積
も大きくなる。このため、残留熱応力ないし歪が大き
く、各部材の変形も促進されやすい。特に、熱応力や歪
の残留はモジュール装置の稼働時の熱ストレスの重畳を
受けて一層大きな応力や歪を生ずる根源となり、はんだ
層の疲労破壊による熱流路の遮断と機械的に脆い性質を
持つ絶縁基板を破損させる原因になる。絶縁基板の破損
は、モジュール装置の正常な動作を阻害するだけでな
く、安全上の問題も生ずる。
【0012】問題点の第三は、銅板に電極部材をろう付
けする際に生ずる。例えばIGBTチップを搭載した半
導体装置では、ゲート及びエミッタ端子は銅板から電気
的に絶縁されていなければならない。この場合、端子金
属はアルミナ条片により絶縁され、その条片はPb−6
0wt%Snはんだ材によりろう付けされるのが一般的
である。アルミナ条片と銅板の熱膨張率差が大きく、問
題点の第一及び第二と同様の接着部における熱応力や歪
の残留,変形及び空隙を生ずる。この接着部には銅板を
中継して熱変化が与えられ、この際のストレスは残留熱
応力や歪に重畳して過大な応力や歪を生む。この結果、
アルミナ条片の破壊や端子の銅板からの剥離を生じ、半
導体装置の正常な電気的動作の妨げになる。また、接着
部の変形や空隙はチップから端子に至る確実なワイヤボ
ンディング配線の妨げになる。
【0013】問題点の第四は、Mo板を介装することに
より、半導体装置の積層構造が複雑化する点である。こ
のことは、部品点数及び組込工数の増大、即ち経済性の
面での不利益をもたらす。また、複雑な積層構造をとる
結果、放熱性の向上に対しても不利益をもたらす。
【0014】問題点の第五は、銅支持板とアルミナ板間
の熱膨張率が異なる点である。この場合も問題点の第二
と同様の理由により、はんだ層の破壊,熱流路の遮断,
絶縁板の破壊等に基づく信頼性低下を生ずる。具体的に
は、(1)アルミナ板と銅支持板の熱膨張率が互いに異
なるため、これらの一体化物には残留熱応力が発生する
ことである。モジュール装置に稼働時の熱ストレスが繰
返し与えられ、残留熱応力に重畳されると、はんだ層の
疲労破壊による熱流路の遮断と機械的に脆い性質を持つ
絶縁基板の破損を生ずる。このような破壊は、モジュー
ル装置の正常な動作を阻害するだけでなく、安全上の問
題も生ずる。(2)アルミナ板と銅支持板の熱膨張率が
互いに異なるため、これらの一体化物には反りを発生す
る。モジュール装置に反りを生ずると、これを冷却フィ
ンに取付ける際、モジュール装置から冷却フィンに至る
経路の放熱性が損なわれ、正常な電気的動作を困難にす
る。また、モジュール装置を冷却フィン上に強制的にね
じ締め搭載した場合には、新たな外力の印加により絶縁
基板の破損が助長される。
【0015】一方、先行技術例(2)に開示された半導
体装置は、Si基体がグラファイト基板上にはんだ付け
され、このグラファイト基板が電気的に活性な領域にあ
って導電機能,熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡
大の機能、そして半導体基体との間の熱応力を緩和する
機能を兼備している点で優れた装置と言える。グラファ
イト基板のはんだ付け面には、Al又はMoをスパッタ
リングにより形成した金属層が形成されている。
【0016】この技術における問題点の第一は、金属層
が10000Åと薄い点に起因する。グラファイトの抵
抗率は、Cuの如き金属に比べると約三桁高い。特に電
流容量の大きい半導体装置では、グラファイトの抵抗率
が電力損失を増大させる原因になる。したがって、グラ
ファイト基板が電気的に活性な領域にあって導電機能を
確実に持つためには、抵抗率の高い欠点を補完する必要
がある。しかし、極めて薄い金属層では、抵抗率の高い
グラファイト基板の欠点を補完できない。
【0017】問題点の第二は、金属層がスパッタリング
により形成されるため、強固な接着性を有する金属層を
形成できない点である。グラファイト素材の表面部に
は、一般に研削加工による破壊層が残留し、この部分の
機械的強度が低下している。スパッタリングの手法によ
れば、金属層は気相金属がグラファイト基板上に到達し
て付着することにより形成される。ここで指摘すべき重
要な点は、金属層が形成された後でもグラファイト素材
の表面部に破壊層がそのまま残留するため、熱的及び機
械的ストレスが与えられた場合、表面破壊層を起点とし
た破損によりろう付け一体化物の破壊を生じやすいこと
である。この欠点は、グラファイト基板が熱伝導路にあ
って熱中継もしくは熱流拡大の機能を果たす上で、ま
た、電気的に活性な領域にあって導電機能を確実に持つ
上で致命的な支障を及ぼす。
【0018】問題点の第三は、金属層として開示されて
いるAl又はMoは、一般的なろう材、例えば、Pb−
Sn系,Ag−Cu系,Au−Sn系等のろう材にぬれ
にくい点にある。この欠点は空隙の発生を促進させる原
因となり、グラファイト基板と同様に良好な熱伝導性を
維持すべきろう付け部は、この機能を果たすことができ
なくなる。
【0019】本発明の目的は、製造時あるいは運転時に
生ずる熱歪を軽減し、各部材の変形,変性、あるいは破
壊の恐れがなく信頼性の高い絶縁型の半導体装置を提供
することにある。
【0020】また、本発明の他の目的は、半導体装置を
用いた電子装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、
半導体基体を搭載する、炭素を主体とする焼結基体に金
属層を設けた部材であって、電気的に活性な領域にあっ
て導電機能,熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡大
の機能、そして半導体基体もしくは絶縁部材との間の熱
応力を緩和する機能を兼備する金属化炭素部材と、マト
リックス金属に無機質セラミックス粉末が分散された部
材であって、金属化炭素部材を上記絶縁部材を介装して
はんだ付け搭載し、電気的不活性領域かつ熱伝導路にあ
って熱中継もしくは熱流拡大の機能、そして絶縁部材と
の間の熱応力を緩和する機能を兼備した支持部材から構
成されることを特徴とする。
【0022】本発明の電子装置は、半導体基体を搭載す
る、炭素を主体とする焼結基体に金属層を設けた部材で
あって、電気的に活性な領域にあって導電機能,熱伝導
路にあって熱中継もしくは熱流拡大の機能、そして半導
体基体もしくは絶縁部材との間の熱応力を緩和する機能
を兼備する金属化炭素部材と、マトリックス金属に無機
質セラミックス粉末が分散された部材であって、金属化
炭素部材を絶縁部材を介装してはんだ付け搭載し、電気
的不活性領域かつ熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流
拡大の機能、そして絶縁部材との間の熱応力を緩和する
機能を兼備した支持部材から構成される半導体装置が、
負荷に給電する電気回路に組み込まれたことを特徴とす
る。
【0023】
【作用】本発明の半導体装置における金属化炭素部材
は、炭素を主体とする焼結基体と金属層が活性金属又は
活性金属の炭化物を含む物質により接合されている。こ
の金属化炭素部材は、先行技術例(2)に開示されたグ
ラファイト基板の場合より、金属層を厚く形成できる第
一の特長がある。この点は、炭素焼結体の抵抗率がCu
のような金属に比べて高い欠点を補完し、電流容量の大
きい半導体装置の電力損失を低減させ、電気的に活性な
領域にあって導電機能を確実に果たすのに有効に作用す
る。また、大発明の金属化炭素部材では金属層に連なっ
て銅箔のような金属をろう付けすることも可能であり、
このような形態の炭素部材には更に優れた導電機能を付
与できる。
【0024】第一の特長に関連して、比較的厚く形成さ
れる熱伝導性のよい金属層や銅箔が、半導体基体から発
せられる熱を拡散させる作用を有するため、結果的に半
導体装置の放熱性を高めるのに寄与する。先行技術例
(2)におけるスパッタリングによる金属層には、この
ような作用,効果は得られない。
【0025】本発明の半導体装置における金属化炭素部
材では、活性金属又は活性金属の炭化物を含む金属層成
分が炭素焼結体の内部に向けて深く浸入する。この浸入
経路として炭素焼結体の粒界が選ばれる点が、第二の特
長として挙げられる。これにより、金属層が先行技術例
(2)の場合より強固に接着される。これは、金属層成
分が炭素焼結体の内部に選択的に深く浸入してアンカー
効果が生じ、焼結体の表面部に残留する破壊層の欠点が
補完されるためである。また、選択的な浸入により実質
的な接着面積が増えることも、強固に接着される他の要
因である。この利点は、炭素部材が熱伝導路にあって熱
中継もしくは熱流拡大の機能を果たす上で、また、電気
的に活性な領域にあって導電機能を確実に持つ上で、決
定的な効果をもたらす。
【0026】本発明の半導体装置における金属化炭素部
材では、金属層に優れたろう材ぬれ性が付与されている
ため、ろう付け部の空隙の発生が抑えられる。この点が
第三の特長であり、半導体装置が先行技術例(2)の場
合より良好な熱伝導性を持つ所以となる。
【0027】本発明の半導体装置では、半導体基体が金
属化炭素部材に直接ろう付けして搭載される。これは、
炭素焼結体が熱膨張率:4.3×10-6/℃ 、熱伝導
率:230W/m・Kそして電気抵抗率:約100×1
-6Ω・cmを有していて、導電機能,熱中継もしくは熱
流拡大の機能,熱応力緩和機能を兼備すべき部分に適用
できる点に基づく。また、金属化炭素部材は絶縁部材に
直接ろう付けして搭載される。これは、炭素焼結体の熱
膨張率が上記したように無機質セラミックス絶縁部材の
それ(AlN:4.3×10-6/℃,BeO:7.5×1
-6/℃,アルミナ:6.3×10-6/℃,BN:3.7
×10-6/℃)と近似しており、熱応力緩和機能を具備
している点に基づく。
【0028】一方、本発明の半導体装置では、半導体基
体,金属化炭素部材、そして絶縁部材が順次、積層され
た一体化物が、マトリックス金属に無機質セラミックス
粉末を分散した金属支持部材を直接ろう付けして搭載さ
れる。これは、金属支持部材の熱膨張率を調整すること
が可能で、無機質セラミックス絶縁部材のそれとの差を
7×10-6/℃以内に制御できると同時に、熱伝導率を
90W/m・K以上に調整することが可能で、熱中継も
しくは熱流拡大の機能と熱応力緩和機能を兼備すべき部
分に適用できる点に基づく。
【0029】これと先行技術例(1)の半導体装置を比
較すると、本発明の半導体装置は次のような特長を持
つ。
【0030】先行技術例(1)の場合は、Mo板と銅板
との複合一体化物に熱応力ないし歪の残留,変形を生
じ、この一体化物を組み込んだ半導体装置では、厚さ制
御や空隙のないはんだ層の形成が困難になるだけでな
く、Mo板と銅板の間の破壊を生じやすい。これに対
し、本発明の半導体装置では、複合一体化物の代替物と
して金属化炭素部材を用いる。この際、金属化炭素部材
には熱応力ないし歪の残留や変形を生じないため、金属
化炭素部材そのものの破壊を生じにくい。また、金属化
炭素部材の適用により積層構造を簡素化できるため、放
熱性や経済性の面で享受できる利点が多い。
【0031】本発明の半導体装置では、金属化炭素部材
に主絶縁用セラミックス基板や端子絶縁用アルミナ条片
と、直接、ろう付けされる。この場合、炭素焼結体とセ
ラミックス基板の熱膨張率が近接しているため、これら
の接着部には、熱応力ないし歪の残留や変形を生じな
い。この結果、セラミックス基板の破壊やろう層の熱疲
労を防止できるだけでなく、ろう層における空隙の発生
を抑えることが可能になる。
【0032】本発明の半導体装置では、無機質セラミッ
クス粉末が分散された金属支持部材上に、主絶縁用セラ
ミックス基板が直接ろう付けされる。この場合、金属支
持部材とセラミックス基板の熱膨張率が近接しているた
め、これらの接着部には、熱応力ないし歪の残留や変形
が生じない。この結果、セラミックス基板の破壊やろう
層の熱疲労を防止できるだけでなく、ろう層における空
隙の発生を抑えることが可能になる。
【0033】金属支持部材における無機質セラミックス
粉末は、熱伝導率が高く、熱膨張率が小さい点から選択
される。具体的には、SiC(熱膨張率:3.7×10
-6/℃,熱伝導率:270W/m・K),AlN(4.
3×10-6/℃,170W/m・K),BeO(7.5×
10-6/℃,260W/m・K),BN(3.7×10-6
/℃,57W/m・K)の群から選択された少なくとも
1種が好ましい材料として挙げられる。また、無機質セ
ラミックスは密度がSiC:3.2g/cm3,AlN:3.3
g/cm3,BeO:2.9g/cm3,BN:1.9g/cm3
と、金属に比べて小さい。これは、複合材である上記金
属支持部材の軽量化に寄与する。
【0034】一方、金属支持部材におけるマトリックス
金属は、熱伝導率が高い点から選択される。具体的に
は、Al(熱伝導率:240W/m・K),Cu(404
W/m・K)が最も好ましい材料として挙げられ、そし
て、Al,Cu,Ag(428W/m・K),Ni(9
4W/m・K)の群から選択された少なくとも1種を含
む金属も好ましい材料として挙げられる。以上の素材を
複合させた金属支持部材は、それぞれの素材の持つ欠点
を互いに補完しあう。例えば、本発明における金属支持
部材125は、図1に示す断面図のように、セラミック
ス粉末125Bをマトリックス金属125Aに分散され
た構成になっている。この場合、金属支持部材125の
物性値(熱膨張率及び熱伝導率)は、図2及び図3に示
すように、セラミックスとマトリックス金属の中間の値
を有している。例えば、これらの図を参照すると、Al
N粉末125BをCuマトリックス125Aに分散させ
た金属支持部材125の場合(AlNの分散比率:65
体積%)は、熱伝導率:200W/m・Kと、Cuの特
徴をあまり失うことなく熱膨張率:6.6×10-6/℃
と半導体基体や絶縁部材のそれに近似させることができ
る。また、金属支持部材125がSiC粉末125Bを
マトリックス金属としてのAl125Aに分散させた構
成の場合(SiCの分散比率:60体積%)は、その物
性値は熱膨張率:7.6×10-6/℃ ,熱伝導率:26
5W/m・Kと、熱伝導率の高いAlの性質を消失する
ことなく、熱膨張率を半導体基体や絶縁部材のそれに近
似させることができる。
【0035】また、本発明における金属支持部材125
は複合材でありながら、その物性に方向性を持たない。
これは、無機質セラミックス粉末125Bがマトリック
ス金属125A中に均一に分散されていることに基づ
く。
【0036】無機質セラミックス粉末125Bの粒径は
可及的に小さいことが望ましい。これは、粒径が小さい
ほどマトリックス金属中における分散が均一になされ、
金属支持部材125の物性値を制御しやすいためであ
る。しかし、過度に細かくなると2次凝集を生じて、分
散性を逆に害する。作業性との関連を考慮すると、最も
好ましい粒径は3〜300μmである。
【0037】複合材としての金属支持部材125を先行
技術例(1)における銅支持板の代替として適用した場
合は、次のような特長が得られる。
【0038】その第1は、金属支持板125の熱膨張率
が、絶縁部材(アルミナ,AlN,BeO,BN)のそ
れと近似するため、金属支持板125と絶縁部材の間の
はんだ層には、熱応力ないし熱歪は残留しない点であ
る。これにより、金属支持板125と絶縁部材間の一体
化物は反り等の変形を生じない。一体化物には残留応力
や熱歪がないため、半導体装置の稼働時の熱ストレスの
重畳を受けても、はんだ層の疲労破壊による熱流路の遮
断や絶縁部材の機械的破壊を生じにくい。このことは、
半導体装置の正常動作の維持と安全性の確保に寄与す
る。
【0039】その第二は、一体化物に反りを生じないた
め、モジュール装置から冷却フィンに至る経路の熱中継
が確実に行われる。また、モジュール装置を冷却フィン
上にねじ締め搭載することによる、絶縁部材の破壊も生
じない。このことも、半導体装置の正常動作と安全性の
維持に寄与する。
【0040】その第三は、金属支持板125は高い熱伝
導性が付与されているため、発熱の著しい半導体基体か
ら絶縁部材や支持板を経て冷却フィンに至る熱流路にあ
って、支持板125に熱流を拡散させて広げる役割を担
わせることが可能な点である。このことは、半導体装置
を用いた電子装置全体の放熱性を高めるのに寄与する。
【0041】更に上述した金属化炭素部材と金属支持板
125を適用した半導体装置は、従来の半導体装置に比
べ大幅に軽量化される。これは、金属化炭素部材の多く
が密度の低い炭素(1.8g/cm3)で構成されており、
金属支持部材125も密度の小さい無機質セラミックス
を含んでいることによる。
【0042】このように、本発明の半導体装置は、製造
時あるいは運転時に生ずる熱応力を軽減し、各部材の変
形,変性、あるいは破壊の恐れがなく信頼性の高いもの
となる。したがって、このような半導体装置を適用した
電子装置も信頼性の高いものとなる。
【0043】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明する。
【0044】〔実施例1〕本実施例では、一方の主面に
半導体基体を搭載し他方の主面を絶縁部材と一体化する
炭素を主体とする焼結体であって、電気的に活性な領域
にあって導電機能,熱伝導路にあって熱中継もしくは熱
流拡大の機能、そして半導体基体もしくは絶縁部材との
間の熱応力を緩和する機能を兼備する金属化炭素部材
と、マトリックス金属に無機質セラミックス粉末が分散
された部材であって、金属化炭素部材を絶縁部材を介装
してはんだ付け搭載し、電気的不活性領域かつ熱伝導路
にあって熱中継もしくは熱流拡大の機能、そして絶縁部
材との間の熱応力を緩和する機能を兼備した支持部材か
ら構成される半導体装置及びこれを電子装置に用いた例
について説明する。
【0045】金属化炭素部材10は25mm×25mm×2
mmの寸法を有しており、図4(a)と(b)に示す構成
からなる。100は炭素焼結体又は炭素中に炭素以外の
物質を分散した炭素焼結体であり、金属化炭素部材10
は、100の表面に活性金属又は活性金属の炭化物を含
む層111A,112Aを介して設けられた金属化層1
11,112、又は、金属層に連なって設けられた金属
板111B,112Bを含んでいる。
【0046】金属化炭素部材10は、図5(a)と(b)
のようにして得られる。炭素焼結体又は炭素中に炭素以
外の物質を分散した炭素焼結体100の主面に、活性金
属粉末とろう材粉末を含むペースト201を塗布し、乾
燥処理を施した後、真空中又は調整された気体雰囲気中
で熱処理して、活性金属又は活性金属の炭化物を含む層
111Aとこれに連なう金属化層111が形成される。
また、炭素焼結体100の主面に、活性金属の箔202と
ろう材の箔203を積層して、真空中又は調整された気
体雰囲気中で熱処理することによっても、活性金属又は
活性金属の炭化物を含む層111Aとこれに連なる金属
化層111が形成される。202と203は個別の箔であ
る必要はなく、活性金属とろう材とがあらかじめ合金化
された箔で代替されてもよい。図5では炭素焼結体10
0の片面に金属層を形成する場合の例を示しているが、
上述の手順を踏襲することにより反対の面にも金属層11
2が形成することが可能である。更に、金属層の表面に
金属板111Bを形成させる場合には、塗布されたペー
スト201又は積層された箔202と203の上に金属
板111Bを重ねてセットした後、同様の熱処理を施せ
ばよい。
【0047】炭素焼結体は、炭素粉末と有機バインダか
らなる組成物を成形した後、約400℃まで空気中焼成し
て有機バインダ成分を炭化又は飛散除去し、その後窒素
中で約2000℃に加熱して得られる。このようにして
得られた純度99%,密度1.8g/cm3の炭素焼結体の
典型例では、熱膨張率:4.3×10-6/℃ ,熱伝導
率:230W/m・Kそして電気抵抗率:約100×1
-6Ω・cmである。
【0048】炭素焼結体は可及的に緻密で、熱伝導性や
電気伝導性を阻害する物質を含まないことが望ましい。
例えば、炭素焼結体の密度が1.6g/cm3の場合と1.
75g/cm3の場合を比較すると、前者の熱伝導率は後
者の0.7倍になる。実用的な熱伝導率90W/m・K
以上を得るには密度1.65g/cm3以上であることが望
ましい。また、炭素焼結体中に不純物としてのFeが2
wt%含まれる場合は、それが1wt%の場合に比べ熱
伝導率:約0.7倍そして電気抵抗率:1.3倍となる。
即ち、緻密性や熱伝導性及び電気伝導性の阻害物質を含
まないことが望まれるのは、熱拡散板用導電部材として
有効にその役割を担わせるためである。熱伝導性や電気
伝導性を阻害するように作用する物質は、Feのほか、
Sb,Cr,Hg,Pb,Bi,Ta,Pt,Mnが挙
げられる。逆に、熱伝導性や電気伝導性の観点で阻害要
因にならない物質は、Cu,Ag,Al,Au,In,
Cd,W,Ni,Mo,Mg,Be,Ir,Pd,Rh
等が挙げられる。以上の観点から半導体装置に適用する
炭素焼結体は、密度1.65g/cm3以上、純度99%以
上であることが好ましい。
【0049】炭素焼結体に緻密性が要求される第二の理
由は、炭素それ自身は極めて吸着性の強い物質であるこ
とによる。焼結体に揮発性物質が吸着されると、金属化
の際の熱処理工程で吸着物質を放出し、金属化層の品質
を損なうばかりでなく、半導体装置を組み込むはんだ付
けの際にも、はんだ層のぬれ性を阻害したり、気泡を生
じたりするためである。
【0050】熱処理の調整された気体雰囲気とは、窒
素,水素,ヘリウム,アルゴン,ネオン,二酸化炭素,
一酸化炭素,メタン,エタン,プロパン,プタン,ヘキ
サンからなる少なくとも1種の気体からなる雰囲気であ
る。この際、熱処理はろう材の少なくとも融点以上に加
熱する必要がある。
【0051】また、本発明の炭素焼結体には、炭素に炭
素以外の物質を分散させた焼結体も含まれる。炭素粉末
と炭素以外の物質の粉末と有機バインダーからなる組成
物を、炭素焼結体の場合と同様に処理して得られる。こ
の一例である炭素−30wt%銅の複合焼結体の場合
は、熱膨張率:5.7×10-6/℃ ,熱伝導率:300
W/m・Kそして電気抵抗率:60×10-6Ω・cmであ
る。上述の物性値を有する複合炭素部材も、半導体基体
としてのSi、絶縁部材としてのAlN,アルミナ,B
eO,BNと熱膨張率が近似するだけでなく、優れた熱
伝導性と電気伝導性が付与されているため、絶縁型半導
体装置における半導体基体搭載用熱拡散板部材ないし導
電部材として好適である。
【0052】しかし、炭素焼結体又は炭素以外の物質を
分散した炭素焼結体は、それ単独では熱拡散板部材とし
て半導体装置に組み込むことは困難である。これに組み
込むためには、焼結体の被接着面に金属化処理を施され
なければならない。金属化は、(1)Ti,Zr,H
f,Cr等の活性金属を含有したろう材ペーストをスク
リーン印刷した後、真空中、不活性又は還元性雰囲気中
で熱処理すること、(2)(1)のろう材とともに厚さ
10〜300μmの銅等の金属板を積層し、真空中、不
活性又は還元性雰囲気中で熱処理すること、(3)活性
化金属のシートとろう材のシートを積層して、真空中、
不活性又は還元性雰囲気中で熱処理すること、(4)活
性化金属のシート,ろう材のシート及び銅等の金属板を
積層し、真空中、不活性又は還元性雰囲気中で熱処理す
ること、等により可能である。このような金属層は、半
導体基体や絶縁基板とのろう付けを可能にする目的で設
けられるものである。図6は炭素焼結体から金属層に至
る間の界面状態を説明する断面図である。炭素焼結体基
体100の内部に向けて、活性金属又は活性金属の炭化
物を含む界面層111A,112Aが侵入している。こ
の侵入は炭素焼結体の粒界を選択してなされる。X線回
折によると、金属化層111,112と炭素焼結体基体
100の間の界面領域には、表1に示す物質111A,
112Aが形成される。
【0053】
【表1】
【0054】一方、焼結体は半導体装置の主電流路とし
ての役割を兼ねるから、その電気抵抗率は可及的に小さ
いことが望ましい。炭素焼結体は、Cu(1.7×10
-6Ω・cm)やMo(5.6×10-6Ω・cm)、はんだ材
(Pb−5wt%Sn:20×10-6Ω・cm)等よりは
高抵抗で大電流を通電する場合には、発熱や電力損失の
問題を発生する。金属層や金属板は、電気的には炭素焼
結体より低抵抗であり、電流路確保の点で炭素焼結体の
欠点を補うものとしても作用する。また、主電流路の低
抵抗化は、金属化層による以外に焼結体の厚さを増した
り、導電性の良い金属との複合体、例えば炭素−30w
t%銅の如き複合焼結体を用いることにより可能であ
る。ろう付け性能及び低抵抗化の観点で選択される金属
層は、Cu,Ni,Ag,Au,Pt,Pd,Sn,P
b,Sb,Al,Znを含む合金にTi,Zr,Hf等
の活性金属が添加されていることが望ましい。また、同
様の観点から選択される金属板は、Cu,Ni,Al,
Ag,Fe,Sb,Zn,真鍮,青銅,銅−ベリリウム
合金,42アロイ,Fe−Ni−Co合金等が望まし
い。
【0055】複合焼結体は、炭素焼結体の中に炭素以外
の物質が均一に分散されている状態が望ましい。この理
由は、複合焼結体の物性に異方性が生じないためであ
る。例えば、熱膨張率に異方性を有する複合材を絶縁型
半導体装置に適用した場合は、熱拡散板は特定の方向に
対しては半導体基体や絶縁基板と整合して膨張,収縮す
るので問題ないが、これ以外の方向に対しては整合性の
ない膨張,収縮をするので半導体装置の製造時及び使用
時に生ずる問題が多い。
【0056】炭素以外の分散物質は、炭素焼結体そのも
のの欠点を補う立場で選択されねばならない。例えば、
機械的強度、特に引張り応力に対する耐破壊強度が劣る
点,導電性が劣る点を改善するだけでなく、熱伝導性を
更に高めるのに寄与できるものである必要がある。この
観点から推奨される金属物質は、Cu,Ag,Al,A
u,In,Cd,W,Ni,Mo,Mg,Be,Ir,
Pd,Rh等が挙げられる。これらの金属物質は、重量
比で60wt%以下であることが望ましい。この理由
は、60wt%以上では複合焼結体の物性、特に熱膨張
率が大きくなり、炭素焼結体の好ましい点が消失するた
めである。これらの金属物質は、上述の観点で選択され
る限り、単一の種類に限定される必要はなく、複数の種
類にわたって添加されることが許される。また、添加金
属物質が複数の種類にわたる場合でも、60wt%より
少ない範囲ではそれぞれの金属物質の量を任意に調整し
て良い。
【0057】本実施例で、炭素以外の分散物質は金属に
限定されず、上述したように炭素焼結体の欠点を補う立
場で選択される限り、非金属物質であっても良い。例え
ば、SiC,BeO又はAl23を含有したSiC,A
lN,Y23又はCaOを含有したAlN,BN,Be
O,Si34等のセラミックスが挙げられる。これらの
物質は、複合焼結体の熱伝導率,熱膨張率を調整するの
に有効である。しかし、これらの物質は電気抵抗率が高
く、複合焼結体のそれも高めるように作用するから、添
加量は複合焼結体の電気伝導性を著しく損なわない量に
限る必要がある。例えば、Y23又はCaOを含有した
AlNを10wt%添加した複合焼結体では、これを添
加しない炭素焼結体に比べ、熱伝導率,熱膨張率,機械
的強度は不変であるが、電気抵抗率は1.2 倍になる。
他の非金属物質を添加した場合も、これと同様の傾向を
示す。
【0058】支持板125は、40mm×95mm×3mmの
寸法を有する、Niめっきした複合金属であり、熱膨張
率:6.5×10-6/℃ ,熱伝導率:260W/m・
K,電気抵抗率:4.5×10-4Ω・cm 、密度:3.1
g/cm3なる物性値を有している。これらの物性値は方
向性を持っていない。以上の性質を得るのに、支持板12
5は、Alマトリックス金属125AにSiC焼結体粉
末125Bが分散(65体積%)されている。SiC焼
結体粉末125Bは、BeOが1.5wt% 添加されて
おり、ホットプレス法で1700℃で焼結した後、粒径
70μm以下に粉砕されたものである。Al地金を真空
電気炉で700℃で溶解した後、SiC焼結体粉末12
5Bを溶融Alとともに撹拌し、ダイキャスト金型に鋳
込んで上記寸法に成形した。この成形体には、Crめっ
きに引き続いて、Niを厚さ約4μmに電解めっきし
た。ここで、粉末125BにBeOを添加したSiCを
用いているのは、このSiCに270W/m・Kと極め
て高い熱伝導率が付与され、支持部材125の高熱伝導
化に有効なためである。BeOの代替物としてはBNが
挙げられ、BeOを添加した場合と同様の高熱伝導化を
図り得る。
【0059】以上の手順を経て得られた支持部材125
には、−55〜150℃の温度サイクル試験が施され
た。この試験を1000回与えた後物性値を測定した
が、熱膨張率:6.3×10-6/℃,熱伝導率:265
W/m・K,電気抵抗率:4.5×10-4Ω・cm,密
度:3.1g/cm3と、初期値とほとんど同じであり、方
向性もないことが確認された。また、支持板125の寸
法変化や変形は全く観測されなかった。
【0060】以上に述べた金属化炭素部材10と支持板
125は、IGBT素子を搭載した2000V,75A
級の半導体装置900に適用された。図7は半導体装置
900の要部の斜視図である。図において、支持部材12
5上に31mm×60mm×0.63mmのAlN絶縁基板122
がPb−50wt%Snはんだ124(図示を省略、厚
さ200μm)により接着され、絶縁基板122上には
金属化炭素部材10が2個並んでPb−50wt%Sn
はんだ123(図示を省略、厚さ:200μm)により接
着され、金属化炭素部材10にはIGBT素子(13mm
×13mm×0.3mm)101がダイオード素子(10mm×1
0mm×0.3mm )101′とともにSn−5wt%Sb
−0.6wt%Ni−0.05wt%Pはんだ113(図
示を省略、厚さ:200μm)により接着されている。
各素子101,101′にはAl線(直径:550μ
m)117によるワイヤボンディングが施され、エミッ
タ電極13b,ゲート電極13cに接続されている。銅
条片からなるこれらの電極13b,13cは、3mm×2
3mm×2mmのアルミナ条片114にろう層(図示を省
略、Sn−5wt%Sb−0.6wt%Ni−0.05w
t%P,厚さ:200μm)13′により接着され、ア
ルミナ条片114は同じろう層(図示を省略)14′に
より金属化炭素部材10に接着されている。
【0061】上記構造体において、AlN絶縁基板12
2は焼結助材としてのY23を約5wt%添加したもの
であり、これにより焼結体の緻密化と高熱伝導化が図ら
れている。Y23以外にCaOを焼結助材として用いる
ことも可能である。絶縁基板122の両主面にはMo・
Mnメタライズ層が形成され、この層の表面にはNiめ
っき層が形成されている。
【0062】金属化炭素部材10は、コレクタ電極13
aを担う。コレクタ電極13a,エミッタ電極13b,
ゲート電極13cには、それぞれ外部端子116,11
6′や中継端子126が設けられ、更に各素子101,
101′,金属化炭素部材10等が外気から完全に遮断
されるように、エポキシ系樹脂製ケース(図示を省略)
を設けるとともに同ケース内にシリコーンゲルやエポキ
シ系樹脂を充填,硬化させて半導体装置900を得た。
この半導体装置900は、図8に示した回路を構成して
いる。なお、本実施例では比較用として、金属化炭素部
材10及び支持板125を銅板〔半導体基体搭載部に先
行技術例(1)と同様にMoを設けている〕に、そし
て、AlN絶縁基板122を同寸法のアルミナ絶縁基板
に置き換えた試料も作製した。半導体装置900は最終
的に、図9に示す電動機950の回転数制御用インバー
タ装置に組み込まれた。
【0063】半導体装置900の素子101−支持板1
25間の熱抵抗は、0.25℃/ Wと、比較試料の熱抵
抗0.42℃/W より低い値が得られた。低熱抵抗化が
図られたのは、熱流路を金属化炭素部材10,AlN絶
縁基板122,支持部材125を高熱伝導性部材で構成し
たこと、及び、熱膨張率緩和部材を除外して簡素な積層
構造をとり得たことが第一の要因である。また、絶縁基
板122から半導体基板101,101′に至る積層体
の変形を軽減でき、それ自体変形しにくい部材10及び
125を用いているため、〔支持板125〕−〔絶縁基
板122〕−〔金属化炭素部材10〕間のはんだ付け接
着部における気泡等の欠陥が低減されたことも第二の要
因として挙げられる。〔半導体基体101,101′〕
−〔金属化炭素部材10〕−〔絶縁基板122〕の積層
一体化物を形成した段階での反り量 (腹の高さ)は、
最大30μmであった。これは、比較試料の半導体基体
−銅板−絶縁部材の積層一体化物の300μmより大幅
に小さい値である。
【0064】本実施例において、半導体装置の熱抵抗は
比較試料と同等の0.42℃/W までは許される。この
熱抵抗を得るために必要な金属化炭素部材10及び支持
板125の熱伝導率は、90W/m・K以上である。こ
のような熱伝導率は、金属化炭素部材10の場合は、炭
素焼結体(純度:99%)の密度が1.65g/cm3以上
であるか、又は、炭素マトリックスにCu,Ag,A
l,Au,In,Cd,W,Ni,Mo,Mg,Be,
Ir,Pd,Rhの群から選択された少なくとも1種の
金属を分散した複合焼結体にすることにより得られる。
また、支持板125の場合は、図2を参照すると、マト
リックス金属がCu及びAlでありそして無機質セラミ
ックス粉末がSiC,BeO,AlN,BNである任意
の組み合わせ及び組成範囲で90W/m・K以上を得る
ことが可能である。
【0065】また、半導体装置900に間欠通電し、支
持板125の温度を30〜100℃間で繰返し変化させ
る試験を施した。図10は間欠通電試験による熱抵抗の
推移を示す。本実施例半導体装置の熱抵抗Aは三万五千
回まではほとんど変動を示さず、四万回に至って0.2
8W/℃ とわずかに上昇している。しかし、この程度
の熱抵抗上昇は、半導体装置900の機能に支障を及ぼ
すものではない。これに対し、比較試料の熱抵抗Bは試
験回数が増えるにつれ顕著な上昇を示し、一千回では初
期値の2倍以上に達している。このように、本実施例半
導体装置900は、比較試料より格段に安定して優れた
放熱性が維持されている。比較試料が早期に放熱性の低
下を生じた主な原因は、半導体基体−Mo板間のはんだ
層ではなく、銅板(半導体基体搭載部にMoを設けてい
る)とアルミナ絶縁基板の間におけるはんだ層の熱疲労
破壊であった。これは、銅板とアルミナ絶縁基板の熱膨
張率が大幅に異なること、及び、Moを搭載した銅板の
変形が著しいことによる。本実施例半導体装置900が
優れた信頼性を示した最大の理由は、金属化炭素部材1
0と半導体基体101,101′間の熱膨張率差がほと
んどないため、はんだ113に過大な熱応力や熱歪が作
用せず、同はんだの熱疲労破壊が避けられたためであ
る。金属化炭素部材10の熱膨張率が絶縁部材122と
近似したため、はんだ123に作用する熱応力や熱歪が
軽減されたこと、そして、上述の積層一体化物の反り量
が少ないため、絶縁部材122−支持板125間のはん
だ層124に極端に薄い部分を有していないことも、熱
抵抗の変動が少なく、信頼性の向上が図られた理由であ
る。更に、支持板125の熱膨張率が絶縁部材122と
近似したため、支持板125に作用する熱応力や熱歪が
軽減されたことも、信頼性の向上が実現された理由であ
る。
【0066】図11は金属化炭素部材と絶縁部材の間の
熱膨張率差と熱抵抗変化率の関係を示す。ここで得たデ
ータは、試料に上述と同様の間欠通電試験を三万回施
し、試験の前後における熱抵抗変化を示している。ま
た、絶縁部材122と支持板125間の熱膨張率差は、2
×10-6/℃と小さくなるように調整されている。熱抵
抗の変化は、用いた絶縁部材の種類や金属化炭素部材の
構成には関係なく、熱膨張率差が7×10-6/℃を越え
た場合に顕著に生じている。この際の熱抵抗上昇の主因
は、はんだ層123の熱疲労破壊によるものである。こ
のことは、はんだ層123の高信頼化のためには、熱膨
張率差を7×10-6/℃以下に調整する必要があること
を示唆している。
【0067】上述の間欠通電試験では、金属化炭素部材
10−支持板125間の電気絶縁性、そして、金属化炭
素部材10−エミッタ電極13b,ゲート電極13c間
の電気絶縁性を追跡した。この結果、四万回の試験後に
おける絶縁耐圧(周波数:60Hz)は7kV以上と、
初期値と同等の値が維持され、絶縁基板122の破壊に
よる耐圧劣化は観測されなかった。この効果も上述と同
様に、金属化炭素部材10が絶縁基板122や条片11
4と近似した熱膨張率を有しているため、これらの部材
に過大な熱応力や熱歪が作用しないためである。
【0068】本実施例によれば、比較試料に比べて、放
熱性を実質上犠牲にせずに信頼性を向上させることがで
きた。この効果は、絶縁基板122の面積、したがって
金属化炭素部材10の面積(比較試料における銅板の面
積)が大きくなるほど顕著であった。その一例を図12
により説明する。この図は本実施例構造Aの半導体装置
の金属化炭素部材10−絶縁基板122間接着面積〔比
較試料構造Bにあっては、銅板−アルミナ絶縁基板間接
着面積〕と温度サイクル印加後の故障発生率の関係を示
すグラフである。温度サイクルは−55〜150℃のも
とで500回与えた。図によれば、接着面積が約500
mm2 までは、A,Bともに故障発生率は0%である。5
00mm2 を越えると、Bでは加速的に故障発生率が増加
するのに対し、Aでは8000mm2 までは0%が維持さ
れている。なお、ここで言う故障とは、主としてはんだ
層123に生じたクラック、あるいは部分的剥離のこと
である。
【0069】図13は支持板と絶縁部材の間の熱膨張率
差と熱抵抗変化率の関係を示す。ここで得たデータは、
試料に上述と同様の間欠通電試験を三万回施し、試験の
前後における熱抵抗変化を示している。また、金属化炭
素部材10と絶縁部材122の間の熱膨張率差は、2×
10-6/℃と小さくなるように調整されている。熱抵抗
の変化は、用いた絶縁部材の種類や支持板の構成には関
係なく、熱膨張率差が7×10-6/℃を越えた場合に顕
著に生じている。この際の熱抵抗上昇の主因は、はんだ
層124の熱疲労破壊によるものである。このことは、
はんだ層124の高信頼化のためには、上記熱膨張率差
を7×10-6/℃以下に調整する必要があることを示唆
している。
【0070】放熱性を損なわずに信頼性を向上させるた
めの本発明の効果は、絶縁基板122の面積、したがって
支持板125の面積(比較試料における銅支持板の面
積)が大きくなるほど顕著である。その一例を図14に
より説明する。この図は本実施例の構造Aの半導体装置
の〔絶縁基板122〕−〔支持板125〕間接着面積
〔比較試料構造Bにあっては、アルミナ絶縁基板−銅支
持板間接着面積〕と温度サイクル印加後の故障発生率の
関係を示すグラフである。温度サイクルは−55〜15
0℃のもとで一千回与えた。図によれば、接着面積が約
300mm2 までは、A,Bともに故障発生率は0%であ
る。300mm2 を越えると、Bでは加速的に故障発生率
が増加するのに対し、Aでは50000mm2 までは0%
が維持されている。なお、ここで言う故障とは、主とし
て支持板125に生じたクラック、あるいは部分的剥離
のことである。このように、温度サイクル数が一千回と
多いにもかかわらず、本実施例構造の試料では大面積の
領域まで故障を生じていない。これは、金属化炭素部材
10から支持板125に至る積層構造体の熱膨張率が整
合していることによる。
【0071】本実施例の半導体装置900には、密度が
1.8g/cm3(金属化炭素部材10)及び3.1g/cm
3(支持板125)と小さい部材が適用されているた
め、装置900の重量が低減されている。この点は、半
導体装置900を電子装置用として実装する際の作業を
容易にさせるだけでなく、電子装置の小型,軽量化に寄
与する所が大きい。
【0072】本実施例の半導体装置900を組み込んだ
図9のインバータ装置を用いて、電動機950の回転数
制御を試みた。図15はスイッチング周波数とIGBT
素子101の発熱温度の関係を示す。スイッチング損失
は周波数を増すにつれて増えるが、商用電源の50Hz
から30kHzまでの間では、素子101が安定して動
作する温度の125℃を越えることはなかった。この
間、電動機950は特別な異常を伴わずに作動した。
【0073】また、インバータ装置及び電動機は、電気
自動車にその動力源として組み込まれた。この自動車で
は、動力源から車輪に至る駆動機構を簡素化できたため
ギヤの噛み込み比率の違いにより変速していた従来の自
動車に比べ、変速時のショックが軽減された。更に、こ
の自動車は、0〜250km/hの範囲でスムーズな走
行が可能であったほか、動力源を源とする振動や騒音の
面でも従来の気筒型エンジンを搭載した自動車の約1/
2に軽減することができた。
【0074】更に、本実施例の半導体装置900を組み
込んだインバータ装置、ブラシレス直流電動機とともに
冷暖房機(冷房時の消費電力:5kW,暖房時の消費電
力:3kW,電源電圧200V)に組み込まれた。図1
6はこの際の電動機の効率Aを示すグラフである。従来
の交流電動機を用いた場合Bと比較して示す。本実施例
の場合は、比較した全回転数範囲で、従来の場合より1
0%以上高い効率を示している。この点は、冷暖房機使
用時の電力消費を低減するのに役立つ。また、室内の温
度が運転開始から設定温度に到達するまでの時間は、本
実施例の場合は従来の交流電動機を用いた場合より約1
/2に短縮された。
【0075】本実施例と同様の効果は、半導体装置90
0が他の流体を撹拌又は流動させる装置、例えば洗濯
機,流体循環装置等に組み込まれた場合でも享受でき
る。
【0076】〔実施例2〕本実施例では、金属化炭素部
材上に多数個の半導体装置基体が密集して搭載され、こ
れらがマトリックス金属に無機質セラミックス粉末を分
散した支持板上に搭載された半導体装置と、これを用い
た電子装置について説明する。
【0077】本実施例の金属化炭素部材10は、炭素粉
末に30wt%の銅粉末を添加した混合粉末を出発材料
とし、この圧粉成形体を焼結して得た複合体100を母
材にしている。この複合炭素焼結体100は、熱膨張
率:5.7×10-6/℃ 、熱伝導率:約300W/m・
K,抵抗率:約60×10-6Ω・cm、そして相対密度:
90%)で、物性値に異方性のないものである。図17
は複合炭素焼結体100の断面図を示す。炭素の焼結体
粒子100Aのマトリックスの中に、銅焼結体粒子10
0Bが埋め込まれている。埋め込まれた銅粒子100B
は焼結体100のいずれの部分にもほぼ均等に分散され
ていて、方向性は見られない。上述した物性に異方性が
見られないのは、この点に基づく。複合焼結体100に
実施例1と同様に銅板111B,112Bをろう付けし
て部材(62mm×80mm×2mm)10を得た。図18は一
例としての炭素−銅複合焼結体の物性を示すグラフであ
る。複合焼結体では、銅粉末の添加量を増すにつれ、熱
膨張率(A)や熱伝導率(B)を増し、抵抗率(C)を減
じる。これらの物性値は、絶縁型半導体装置の導電性部
材として許される範囲内では、いかなる値でも選択され
得る。
【0078】しかし、電力用半導体装置の信頼性に重き
を置く場合には、炭素部材10は接着される相手部材よ
り熱膨張率の小さい方が好ましい。熱膨張率が相手部材
より過度に大きいと、ろう付けされた一体化物が室温に
戻る際に炭素部材10に引張り応力が作用する。複合焼
結体100は引張り応力に対する破壊耐量は金属ほどに
は大きくなく破損を生じやすいからである。半導体基体
になり得る材料の熱膨張率はSi:4.2×10-6
℃,Ge:5.8×10-6/℃,GaAs:6.5×10
-6/℃,GaP:5.3×10-6/℃ 、そして、絶縁部
材になり得る材料の熱膨張率はAlN:4.3×10-6
/℃,BeO:7.5×10-6/℃,アルミナ:6.3×
10-6/℃,BN:3.7×10-6/℃である。これら
の中で最も熱膨張率の大きいベリリヤのそれを越えない
ようにするためには、複合炭素部材100中の銅は60
wt%を越えないようにする必要がある。
【0079】表2は熱膨張率が7.6×10-6/℃ を越
えない金属添加物の添加量範囲を示す。この表から、銅
以外の金属添加物の場合は、最大60wt%未満までの
添加が許される。
【0080】
【表2】
【0081】金属化炭素部材10は、支持板(95mm×
110mm×5mm)125にPb−60wt%Snはんだ
(厚さ:200μm)124により接着されたアルミナ
絶縁基板(68mm×86mm×0.63mm)122上に、S
n−5wt%Sb−0.6wt%Ni−0.05wt%P
はんだ(厚さ:200μm)123により搭載された。
この部材10には、Sn−5wt%Sb−0.6wt%
Ni−0.05wt%Pはんだ(厚さ:200μm)1
13により、IGBT素子(13mm×13mm×0.3m
m,6個)101と、ダイオード素子(13mm×13mm
×0.3mm,2個)101′が接着された。
【0082】支持板125はCuマトリックス金属12
5AにSiC焼結体粉末125Bを分散した複合金属か
ら構成されており、熱膨張率:6.5×10-6/℃ 、熱
伝導率:215W/m・K,密度:5.5g/cm3なる物
性値(AlN粉末の分散量:60体積%)を有してい
る。これらの物性値は方向性を持っていない。SiC焼
結体粉末125BはY23が焼結助材及び高熱伝導化の
ために5wt%添加されており、常圧焼結法で1700
℃で焼結した後、粒径50μm以下に粉砕されたもので
ある。粒径30μm,純度99.99% のCu粉末とS
iC焼結体粉末125Bをバインダとともに混合した後
成形し、この成形体を真空中で1000℃,100MPaのも
とで加圧熱処理し、上記寸法の支持板を得た。この支持
板には、Niを厚さ約4μmに電解めっきした。ここ
で、SiC焼結体粉末125BにY23を添加したAl
Nを用いるのは、この粉末に190W/m・Kと高い熱
伝導率を付与し、支持板125の高熱伝導化を図るため
である。このような高熱伝導化や低熱膨張化を図る目的
のもとでは、SiC焼結体粉末125BとしてCaOを助
材にして焼結したAlNを用いることが許される。
【0083】以上の手順を経て得られた支持板125に
は、55〜150℃の温度サイクル試験が施された。こ
の試験を一千回与えた後物性を測定したが、熱膨張率:
6.4×10-6/℃、熱伝導率:210W/m・K,密
度:5.5g/cm3と、初期値とほとんど同じであり、方
向性もないことが確認された。また、支持板125の寸
法変化や変形は全く観測されなかった。
【0084】以下、実施例1と同様の部材搭載,配線,
パッケージングを施し、半導体装置900を得た。この
装置900は、搭載された全ての素子が並列に接続さ
れ、等価的に図19に示す回路を構成している。また、
比較用として、金属化炭素部材10と支持板125を同
寸法の銅板に置き換えた試料も製作した。半導体装置9
00は最終的に、図9に示した電動機950の回転数制
御用インバータ装置に組み込まれた。
【0085】本実施例における支持板125から半導体
基体101,101′に至る部材構成では、半導体基体
(3.5×10-6/℃)−金属化炭素部材(5.7×10
-6/℃)−絶縁部材(6.3×10-6/℃)−支持板
(6.5×10-6/℃)と、熱膨張率が近似されてい
る。このため、接着面積が4960mm2 と大きいにもか
かわらず、一体化物の反り量は15μmに過ぎず、各接
着部に残留する熱応力も少ないことを裏付けている。こ
れは、半導体装置900を冷却フィンに取り付ける際に
熱伝導路が遮断されるのを防止するのに役立つととも
に、取り付けの際のねじ締めによる装置900の構成部
品の破損防止に寄与する。
【0086】以上により得られた半導体装置900の半
導体基体101−支持板125間の熱抵抗は、0.03
9℃/W と極めて小さい値であった。このように低い
値が得られたのは、前記実施例1の場合と同様の理由の
他に、多数の発熱素子101,101′が有効な熱伝導
路内に搭載されているため、実施例1の場合より実効的
な放熱性が向上していることによる。即ち、発熱素子1
01,101′が金属化炭素部材10の面積に占める割
合は27.3% に及んでいる。このように、本実施例の
放熱機能は、特に発熱素子の占有面積が大きくなる場合
に有効に発揮される。図20は金属化炭素部材の面積に
対する半導体基体の占有面積と熱抵抗の関係を示す。占
有面積が50%になるまでの範囲では、金属化炭素部材
の熱流拡大の機能が有効に作用するため、熱抵抗は、逐
次、減少する。しかし、50%を越えると熱流拡大の機
能が反映されなくなるため、熱抵抗は上昇に転ずる。し
たがって、本実施例構成の半導体装置は、占有面積50
%までは放熱機能を向上させることが可能である。
【0087】半導体装置900には、−55℃〜+15
0℃の温度サイクルが三千回印加された。これによる半
導体基体101−支持板125間熱抵抗は0.043℃
/Wとわずかに変化したものの、この変化量は装置90
0の使用上は全く問題ない範囲である。熱抵抗変化を生
じなかった理由は、〔半導体基体101,101′〕−
〔金属化炭素部材10〕−〔絶縁基板122〕−〔支持
板125〕積層構造全体の熱膨張率が整合されているた
め、はんだ層113,123,124の熱疲労破壊が抑
制されたことによる。
【0088】また、半導体装置900に間欠通電試験を
施し、支持板125の温度を30〜100℃の間で繰返
し変化させた。図21は間欠通電試験による熱抵抗の推
移を示す。熱抵抗は五万回まではほとんど変化を示さ
ず、六万回に至ってわずかに上昇し始めているのみであ
る。このように安定した放熱性が維持されたのは、上記
した温度サイクル試験の場合と同様の理由に基づく。
【0089】次いで、24個の本実施例半導体装置90
0が、図9と同様のインバータ回路に組み込まれた。こ
こでは、1相分として8個の半導体装置900が割り当
てられている。これにより得られたインバータ装置(電
源電圧:2000V,ピーク出力電流:650A,平均
周波数:2kHz)は、電車用の主電動機(190k
W)の速度制御に供された。この結果、走行開始(加
速)時に電動機が発する騒音は平均周波数1.5kHz
の場合より1/3低く、そして、短い駅間距離(1.2k
m)を想定した走行試験でも表定速度40km/hと優
れた運行性能が得られた。これは、高周波化された発熱
の著しい半導体基体101を効率的に冷却できるため、
同基体が安定的に動作するためである。
【0090】本実施例の半導体装置900は、電動機の
回転速度や移動装置の走行速度を制御するのに有用であ
る。本実施例と同様の半導体装置がエレベータ,エスカ
レータ,ベルトコンベヤ等の物体を運搬する装置やその
装置に組み込まれた場合でも、電車に組み込まれた場合
と同様の効果が得られる。
【0091】なお、本実施例において、支持板125に
は複数の種類の無機質セラミックス粉末が添加されてい
ても、その効果は変わらない。例えば、SiC粉末とと
もに第二のセラミックス粉末AlN,BeO,BN
(3.7×10-6/℃ ,90W/m・K)のいずれかが
添加されていてもよい。また、マトリックス金属がCu
の場合でも、これにSiC,AlN,BeO,BNの群
から選択された複数種類の無機質セラミックス粉末が添
加されていること、格別の支障は伴わない。更に、マト
リックス金属に複数の種類の金属が用いられることに、
何らの支障も生じない。その例を次に説明する。
【0092】
【表3】
【0093】表3は支持板125の仕様とその物性値を
示す。ここで、マトリックス金属125AにはCu,A
l,Ag,Niの群から選択された金属が用いられ、Si
C焼結体粉末125BにはSiC,AlN,BeO,B
Nの群から選択された複数種類の粉末が用いられ、粉末
125Bはマトリックス金属125A中に50体積%添
加されている。ここに示すいずれの支持板125も、絶
縁部材122とはんだ付けされ、電気的不活性領域かつ
熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡大の機能と、絶
縁部材との間の熱応力ないし熱歪を緩和する機能を兼備
するに十分な性能を有している。
【0094】本発明において、焼結炭素部材100上に
設けられる金属層111Bは、部材100の主面の全面
に設けられることを必須とするものではない。電気伝導
性や熱伝導性に関して支障がない限り、その上に搭載す
る素子や部材がろう付けされる領域にのみに選択的に設
けられて良く、そして、選択的に設けられる金属層11
1Bは複数であっても良い。また、はんだ材やろう材に
対するぬれ性を向上させるために、金属化層111,1
12,金属板111B,112Bの表面にCu,Ni,
Ag,Au,Pt,Pd,Sn,Sb,Al,Zn、も
しくは、これらの合金を被覆することは好ましいことで
ある。
【0095】本発明において、ろう材113,123,
124等は実施例に開示した材料のみには限定されな
い。半導体装置が製作されるプロセス、半導体装置に要
求される特性、特に、耐熱疲労信頼性に応じて、種々の
成分及び組成のものを選択しうる。例えば、Pb−5w
t%Sb,Pb−52wt%Sb−8wt%Bi,Au
−12wt%Ge,Au−6wt%Si,Au−20w
t%Si,Al−11.7wt%Si,Ag−4.5wt%S
i,Au−85wt%Pb,Au−26wt%Sb,C
u−69.3wt%Mg,Cu−35wt%Mn,Cu−
36wt%Pb,Cu−76.5wt%Sb,Cu−1
6.5wt%Si,Cu−28wt%Ti,Cu−10
wt%Zr、又は、これらを任意に組合わせたろう材を
適用できる。
【0096】本発明において、半導体装置は負荷に給電
する電気回路に組み込まれて仕様される。この際、
(1)半導体装置が、回転装置に給電する電気回路に組
み込まれて回転装置の回転速度を制御するか、もしく
は、それ自体が移動する装置に回転装置とともに組み込
まれて移動装置の移動速度を制御する場合、(2)回転
装置に給電する電気回路がインバータ回路である場合、
(3)半導体装置が流体を撹拌又は流動させる装置に組
み込まれて、被撹拌物又は被流動物の移動速度を制御す
る場合、(4)半導体装置が物体を加工する装置に組み
込まれて、被加工物の研削速度を制御する場合、(5)
半導体装置が発光体に組み込まれて、発光体の放出光量
を制御する場合、そして、(6)半導体装置が50Hzな
いし30kHzの周波数のもとで作動する場合にも実施
例の場合と同様の効果,利点を享受できる。
【0097】本実施例で、金属化炭素部材10に搭載さ
れる素材は半導体基体に限定されず、例えばコンデン
サ,抵抗体,コイル等が搭載されても良い。
【0098】本実施例において、半導体装置の電気回路
は、図8及び図19に示したものに限定されない。例え
ば、図22に示すように、半導体装置の内部で種々の電
気回路が設けられていることは、これを電子装置に用い
る上で支障になるものではない。また、半導体基体10
1又は101′がサイリスタやトランジスタであった
り、1個の半導体基体101又は101′の中に図9に
示したインバータ回路又はインバータ回路とともにこれ
を制御する回路が形成されていてもよい。この際、半導
体装置の内部の電気回路に受動素子が組み込まれている
ことも、好ましいことである。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、製造時あるいは運転時
に生じる熱歪を低減し、各部材の変形,変性、あるいは
破壊の恐れがなく、熱放散性や信頼性に優れた絶縁型の
半導体装置を提供することができる。また、運転時の性
能や信頼性が優れ、消費電力の少ない電子装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属支持部材の断面図。
【図2】金属支持部材の熱膨張率を示す特性図。
【図3】金属支持部材の熱伝導率を示す特性図。
【図4】金属化炭素部材の断面図。
【図5】金属化炭素部材の製作手順の説明図。
【図6】炭素焼結体から金属層に至る間の界面状態の説
明図。
【図7】一実施例の半導体装置の要部の斜視図。
【図8】半導体装置の回路図。
【図9】半導体装置が組み込まれたインバータ装置の回
路図。
【図10】間欠通電試験による熱抵抗の推移を示す特性
図。
【図11】金属化炭素部材と絶縁部材の間の熱膨張率差
と熱抵抗変化率の関係を示す特性図。
【図12】金属化炭素部材−絶縁基板間の接着面積と温
度サイクル印加後の故障発生率の関係を示す特性図。
【図13】支持板と絶縁基板間の熱膨張率差と熱抵抗変
化率の関係を示す特性図。
【図14】絶縁基板−支持板間の接着面積と温度サイク
ル印加後の故障発生率の関係を示す特性図。
【図15】スイッチング周波数と半導体素子の発熱温度
との関係を示す特性図。
【図16】電動機の効率を示す特性図。
【図17】金属を添加した複合炭素焼結体の断面図。
【図18】炭素−銅系複合焼結体の物性を示す特性図。
【図19】半導体装置の回路図。
【図20】金属化炭素部材の面積に対する半導体基体の
占有面積と熱抵抗の関係を示す特性図。
【図21】間欠通電試験による熱抵抗の推移を示す特性
図。
【図22】半導体装置に内蔵された他の電気回路図。
【符号の説明】
10…金属化炭素部材、100…炭素焼結体、101,
101′…半導体基体、111,112…金属化層、1
11A,112A…界面層、113,123,124…
ろう材、114,122…絶縁部材、115…電極材、
116,116′…端子、125…支持板、125A…
Alマトリックス金属、125B…SiC焼結体粉末、
126…中継端子。
フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼橋 茂 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 九嶋 忠雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 清水 英雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 田中 明 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 山田 一二 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基体を搭載する炭素を主体とする焼
    結体基体に金属層を設けた部材であって、電気的に活性
    な領域にあって導電機能,熱伝導路にあって熱中継もし
    くは熱流拡大の機能、そして半導体基体もしくは絶縁部
    材との間の熱応力を緩和する機能を兼備する金属化炭素
    部材と、マトリックス金属に無機質セラミックス粉末が
    分散された部材であって、前記金属化炭素部材を前記絶
    縁部材を介装してはんだ付け搭載し、電気的不活性領域
    かつ熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡大の機能、
    そして前記絶縁部材との間の熱応力を緩和する機能を兼
    備する支持部材から構成されることを特徴とする半導体
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記支持部材がAl,
    Cu,Ag,Niの群から選択された少なくとも1種の
    金属からなる前記マトリックス金属と、SiC,Al
    N,BeO,BNの群から選択された少なくとも1種の
    セラミックスからなる前記無機質セラミックス粉末で構
    成される半導体装置。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記SiCがBeO,
    BNの群から選択された少なくとも1種、又は、前記A
    lNがY23,CaOの群から選択された少なくとも1
    種を含有した前記無機質セラミックス粉末である半導体
    装置。
  4. 【請求項4】請求項1または2において、前記支持部材
    の熱伝導率が90W/m・K以上に調整されている半導
    体装置。
  5. 【請求項5】請求項1または2において、前記絶縁部材
    がAlN,BeO,BN,アルミナの群から選択された
    1種からなる半導体装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記絶縁部材がY
    23,CaOの群から選択された少なくとも1種を含有
    したAlNである半導体装置。
  7. 【請求項7】請求項5において、前記支持部材の熱膨張
    率と前記絶縁部材の熱膨張率の差が7×10-6/℃以下
    に調整された半導体装置。
  8. 【請求項8】請求項1または2において、前記無機質セ
    ラミックス粉末の粒径が3〜300μmである半導体装
    置。
  9. 【請求項9】請求項1,2,3,4,5,6,7または
    8において、前記支持部材の表面がNi,Ag,Au,
    Pt,Sn,Sb,Cu,Zn,Pdの群から選択され
    た少なくとも1種の金属、又は、Ni,Ag,Au,P
    t,Sn,Sb,Cu,Zn,Pdの群から選択された
    少なくとも2種の金属を含む合金によって被覆されてい
    る半導体装置。
  10. 【請求項10】請求項1において、前記金属化炭素部材
    が、前記炭素を主体とする焼結体基体と前記金属層がT
    i,Zr,Hf,Crの群から選択された少なくとも1
    種の活性金属又は前記活性金属の炭化物を含む物質によ
    り接合されている半導体装置。
  11. 【請求項11】請求項1または10において、前記活性
    金属又は活性金属の炭化物を含む物質が、前記炭素を主
    体とする焼結体基体の内部に侵入している半導体装置。
  12. 【請求項12】請求項1または10において、前記炭素
    を主体とする焼結体基体が、炭素中にCu,Ag,A
    l,In,Cd,W,Ni,Mo,Mg,Be,Ir,
    Pd,Rhの群から選択された少なくとも1種の金属、
    又は、SiC,BeO,AlN,BN,Si34,Al
    23、から選択された少なくとも1種のセラミックス、
    又は、前記金属とセラミックスを分散した複合焼結体で
    ある半導体装置。
  13. 【請求項13】請求項12において、前記複合焼結体が
    前記金属を60wt%未満添加されているか、もしく
    は、前記セラミックスを10wt%未満を添加されてい
    る半導体装置。
  14. 【請求項14】請求項1または10において、前記金属
    化炭素部材の熱伝導率が90W/m・K以上に調整され
    ている半導体装置。
  15. 【請求項15】請求項1または10において、前記絶縁
    部材がAlN,BeO,BN,アルミナの群から選択さ
    れた1種からなる半導体装置。
  16. 【請求項16】請求項15において、前記絶縁部材がY
    23,CaOの群から選択された少なくとも1種を含有
    したAlNである半導体装置。
  17. 【請求項17】請求項15において、前記金属化炭素部
    材の熱膨張率が前記絶縁部材の熱膨張率より小さいこ
    と、又は、前記金属化炭素部材の熱膨張率と前記絶縁部
    材の熱膨張率の差が7×10-6/℃以下に調整された半
    導体装置。
  18. 【請求項18】請求項1,10ないし17において、前
    記金属層の表面がCu,Ni,Ag,Au,Pt,P
    d,Sn,Pb,Sb,Al,Znの群から選択された
    少なくとも1種の金属、もしくは、Cu,Ni,Ag,
    Au,Pt,Pd,Sn,Pb,Sb,Al,Znの群
    から選択された2種以上の金属からなる合金で被覆され
    た半導体装置。
  19. 【請求項19】請求項1ないし18において、前記金属
    化炭素部材上に1以上の前記半導体基体が搭載された半
    導体装置。
  20. 【請求項20】請求項1ないし18において、前記金属
    化炭素部材の面積に対する前記半導体基体の占有面積が
    50%以下である半導体装置。
  21. 【請求項21】請求項19または20において、前記半
    導体基体がIGBT素子又はダイオード素子で構成され
    た半導体装置。
  22. 【請求項22】請求項1ないし18において、前記金属
    化炭素部材又は前記支持部材と前記絶縁部材がはんだ付
    けにより一体化されており、一体化された領域が500
    mm2 以上10000mm2 以下の面積を有している半導体
    装置。
  23. 【請求項23】請求項1ないし18において、前記半導
    体装置が50Hz以上30kHz以下の周波数のもとで
    作動する半導体装置。
  24. 【請求項24】半導体基体を搭載する炭素を主体とする
    焼結体基体に金属層を設けた部材であって、電気的に活
    性な領域にあって導電機能,熱伝導路にあって熱中継も
    しくは熱流拡大の機能、そして半導体基体もしくは絶縁
    部材との間の熱応力を緩和する機能を兼備する金属化炭
    素部材と、マトリックス金属に無機質セラミックス粉末
    が分散された部材であって、前記金属化炭素部材を前記
    絶縁部材を介装してはんだ付け搭載し、電気的不活性領
    域かつ熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡大の機
    能、そして前記絶縁部材との間の熱応力を緩和する機能
    を兼備する支持部材から構成される半導体装置が、負荷
    に給電する電気回路に組み込まれたことを特徴とする電
    子装置。
  25. 【請求項25】請求項24において、前記半導体装置が
    回転装置に給電する電気回路に組み込まれて前記回転装
    置の回転速度を制御するか、もしくは、それ自体が移動
    する装置に前記回転装置とともに組み込まれて前記移動
    装置の移動速度を制御する電子装置。
  26. 【請求項26】請求項24または25において、前記回
    転装置に給電する電気回路がインバータ回路である電子
    装置。
  27. 【請求項27】請求項24,25または26において、
    前記半導体装置が流体を撹拌又は流動させる装置に組み
    込まれて、被撹拌物又は流動物の移動速度を制御する電
    子装置。
  28. 【請求項28】請求項24,25または26において、
    前記半導体装置が物体を加工する装置に組み込まれて、
    被加工物の研削速度を制御する電子装置。
  29. 【請求項29】請求項24,25または26において、
    前記半導体装置が発光体に給電する電気回路に組み込ま
    れて、前記発光体の放出光量を制御する電子装置。
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JP2000043186A (ja) * 1998-07-31 2000-02-15 Nippon Steel Corp 熱良導複合材料
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