JPH0927571A - 半導体装置及びそれを用いた電子装置 - Google Patents

半導体装置及びそれを用いた電子装置

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JPH0927571A
JPH0927571A JP17461595A JP17461595A JPH0927571A JP H0927571 A JPH0927571 A JP H0927571A JP 17461595 A JP17461595 A JP 17461595A JP 17461595 A JP17461595 A JP 17461595A JP H0927571 A JPH0927571 A JP H0927571A
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metal
semiconductor device
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thermal expansion
carbon
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JP17461595A
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English (en)
Inventor
Yasutoshi Kurihara
保敏 栗原
Nobusuke Okada
亘右 岡田
Mamoru Sawahata
守 沢畠
茂 ▲高▼橋
Shigeru Takahashi
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/05Insulated conductive substrates, e.g. insulated metal substrate

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  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】製造時あるいは運転時に生ずる熱歪を軽減し、
各部材の変形,変性、あるいは破壊の恐れがなく熱放散
性や信頼性の高い絶縁型の半導体装置を提供すること。 【構成】熱伝導率の高い第1金属と第1金属より熱膨張
率の小さい第2金属をそれぞれ板面の長手方向に伸びる
ように配置し、第1金属と第2金属を板面に平行な方向
に交互に接着して一体化した支持基板と、支持基板上に
接着された絶縁基板と、絶縁基板上に接着され、炭素を
主体とする焼結体表面に金属を主成分とする層を設けた
金属化炭素基板と、金属化炭素基板上に搭載された半導
体素子とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置及びこれを
用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体素子基体を支持する部材は
非絶縁型半導体装置の一電極を兼ねる場合が多かった。
例えば、パワートランジスタチップを銅ベース上にPb
−Sn又はPb−Inソルダーを介して一体化搭載した
パワートランジスタ装置では、銅ベースはトランジスタ
のコレクタ電極と支持部材を兼ねる。このようなパワー
半導体装置では、数アンペア以上のコレクタ電流が流れ
るが、この際トランジスタチップはその内部で発熱す
る。この発熱に起因する特性の不安定性や寿命の劣化を
避けるため、銅ベースは熱放散のための部材を兼ねる。
また、高耐圧化され、大電流を流すことの可能なInsula
ted Gate Bipolar Transistor(IGBT)チップを上記
銅ベースに直接はんだ付け搭載した場合は、熱放散中継
部材としての銅ベースの役割は一層重要となる。
【0003】また、半導体装置の全ての電極を金属支持
部材から電気的に絶縁し、もって半導体装置の回路適用
上の自由度を増すことのできる構造が出現している。こ
のような絶縁型半導体装置において、すべての電極は絶
縁部材により金属支持部材を含む全てのパッケージ部材
から絶縁されて外部へ引き出される。そのために、一対
の主電極が回路上の接地電位から浮いている使用例であ
っても、電極電位とは無関係にパッケージを接地電位部
に固定できるので、半導体装置の実装が容易になる。
【0004】一方、混成集積回路装置あるいは半導体モ
ジュール装置では、一般に半導体素子を含むあるまとま
った電気回路が組み込まれるため、その回路の少なくと
も一部とこれらの装置の支持部材あるいは放熱部材等の
金属部とを電気的に絶縁する必要がある。例えば(1)杉
浦康之ほか2名による“半導体・通信用DBC基板”:
電子材料(Vol.44,No.5),65〜69頁(198
9年)には、Siチップを熱膨張緩衝材としてのMoを
介して銅板に搭載したアッセンブリを、Moメタライズ
層を形成した後Niめっきを施したアルミナ基板を介し
て、銅支持部材と一体化したパワーモジュール装置が示
されている。熱伝導率の低いアルミナ基板を絶縁体とし
て用いた場合は、モジュール装置全体としての熱伝達効
率を高めるため、発熱の著しい半導体基体から絶縁基板
に至る熱流路に熱を拡散させて広げる機能を持つ銅板の
如き高熱伝導性部材を配置する必要がある。上記アッセ
ンブリにおける銅板の第1の目的は、このような役割を
担わせることである。第2に、銅板はモジュール装置の
主電流路の役割を持つ。しかし、銅板は熱膨張率が大き
いため半導体素子の搭載に当たってはMoやW等の熱膨
張緩和材を設けることが必要である。このようなモジュ
ール装置もまた、絶縁型半導体装置である。また、上記
パワーモジュール装置における銅支持部材は、絶縁基板
から伝達された熱流を拡散させて広げる機能を持つ。
【0005】絶縁型半導体装置においても、半導体素子
を安全かつ安定に動作させるためには、半導体装置の動
作時に発生する熱をパッケージの外へ効率良く放散させ
る必要がある。この熱放散は通常、発熱源である半導体
基体からこれと接着された各部材を通じて気中へ熱伝達
させることで達成される。絶縁型半導体装置では、この
熱伝達経路中に絶縁体及び絶縁体と半導体基体を接着す
る部分等に用いられた接着材層を含む。
【0006】また、半導体装置を含む回路の扱う電力が
高くなるほど、あるいは要求される信頼性(経時的安定
性,耐湿性,耐熱性等)が高くなるほど、完全な絶縁性
が要求される。ここで言う耐熱性には、半導体装置の周
囲温度が外因により上昇した場合のほか、半導体装置の
扱う電力が大きく、半導体基体で発生する熱が大きくな
った場合の耐熱性も含む。
【0007】本発明に関連する半導体実装の技術分野に
おいて、上記(1)の他に次の技術が提案されている。
(2)特開平6−321649 号公報には、銅支持板上に窒化
アルミニウム基板、その上に炭素を主体とする焼結体基
板をそれぞれ接着し、半導体基体を炭素を主体とする焼
結体基板上にはんだ付け搭載したパワー半導体素子が開
示されている。この技術によれば、熱放散性や電機伝導
性,機械的強度に優れた炭素を主体とする焼結体基板を
用いるため、半導体装置の放熱性及び信頼性を向上させ
ることができる。また、炭素を主体とする焼結体基板と
半導体基体は熱膨張率が近似しているため、両者のはん
だ付けによる接合部の耐熱疲労性は向上したものとな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】半導体装置における発
熱量が少なく、要求される信頼性がさほど高くない場合
には、装置を構成する部材としてどのような材料を用い
ても問題はない。しかし、発熱量が大きく高い信頼性が
要求される場合には、適用されるべき部材は選択されね
ばならない。
【0009】一般に、絶縁型半導体装置では従来技術例
(1)のように、Siチップを熱膨張緩衝材としてのM
o板を介して銅板に搭載したアッセンブリを、Moメタ
ライズ層を形成した後Niめっきを施したアルミナ基板
を介して、ろう付けにより銅支持部材と一体化してい
る。ここで、熱伝導率が403W/m・Kと高く、抵抗
率が1.7×10-6Ω・cm と小さい銅板が用いられる理
由は、熱流を広げて放熱効果を高めるとともに主電流路
の役割を持たせるためである。また、銅板とSiチップ
の間にMo板を介装するのは、銅板の熱膨張率が16.
7×10-6/℃ とSiチップのそれ(Si:3.5×1
-6/℃)と大幅に異なることに基づく。即ち、熱膨張
率の差を緩和し(Moの熱膨張率:5.3×10-6
℃)、もってSiチップを一体化しているろう材及びチ
ップそのものの熱疲労破壊を防止するためである。
【0010】この場合、次のような問題点がある。その
第1は、Mo板と銅板との間の熱膨張率差が大きいこと
に起因する。このことにより、両者を一体化するための
ろう材として、一般にそれ自体剛性が高く、破壊強度が
高くそして熱疲労破壊しにくい材料、例えばAg−28
wt%Cuろう(銀ろう)やAu−20wt%Snろう
が用いられる。Mo板と銅板の一体化は、上記ろう材を
介装したMo板と銅板の積層体を、ろう材の融点以上に
加熱した後室温まで冷却することにより図られるが、各
部材はろう材の凝固点で互いに固定される。その後は凝
固したろう材により固定されたまま、各部材固有の熱膨
張率に従って収縮する。この際、上述の熱膨張率差によ
って各部材の収縮量が異なり、各部材の接着部に熱応力
ないし熱歪が残留するとともに、一体化物は反りの如き
変形を生ずる。その後、一体化物は半導体装置を組み込
むための熱処理過程や、半導体装置の稼働による熱的変
化の過程を経る。ここで生ずる熱ストレスは、上記残留
熱応力や熱歪に重畳して印加されることになる。この結
果、Mo板と銅板の間のろう付け部は破壊を生じやすく
なる。また、半導体装置を組み込む過程で、一体化物の
Mo板側には半導体基体、そして銅板側にはアルミナ板
がそれぞれはんだ付けされる。しかし、一体化物の変形
は、所望の厚さのはんだ層を均一に形成することや、空
洞のないはんだ層を形成することに対し、不利益をもた
らす。はんだ層の厚さの不均一は熱疲労破壊寿命に、そ
してはんだ層の空洞は半導体装置の放熱性にそれぞれ悪
影響を及ぼす。特に半導体基体は熱の発生及び熱的変化
を発生する源であり、そして銅板は放熱路の主要部材で
あり、半導体装置の安定動作のためには厚さの不均一性
や空洞の発生は避けなければならない。
【0011】問題点の第2は、銅板とアルミナ板(熱膨
張率:6.3×10-6/℃)の間の熱膨張率差が大きいこ
とに起因する。これらはPb−60wt%Snはんだ材
によりろう付けされ、ろう材の融点以上に加熱した後室
温まで冷却する熱処理を受ける。したがってこの場合
も、各部材がろう材の凝固点で互いに固定され、その後
は固定されたまま各部材固有の熱膨張率に従って収縮
し、接着部に熱応力ないし熱歪が残留するとともに、変
形を生ずる。一般に、パワー半導体基体はサイズが大き
く、また、パワーモジュール装置では複数の半導体基体
や他の素子も搭載されるので、絶縁基板の面積やろう付
け面積も大きくなる。このため、残留熱応力ないし歪が
大きく、各部材の変形も促進されやすい。特に、熱応力
や歪の残留はモジュール装置の稼働時の熱ストレスの重
畳を受けて一層大きな応力や歪を生ずる根源となり、は
んだ層の疲労破壊による熱流路の遮断と機械的に脆い性
質を持つ絶縁基板を破損させる原因になる。絶縁基板の
破損は、モジュール装置の正常な動作を阻害するだけで
なく、安全上の問題も生ずる。
【0012】問題点の第3は、銅板に電極部材をろう付
けする際に生ずる。例えばIGBTチップを搭載した半
導体装置では、ゲート及びエミッタ端子は銅板から電気
的に絶縁されていなければならない。この場合、端子金
属はアルミナ条片により絶縁され、この条片はPb−6
0wt%Snはんだ材によりろう付けされるのが一般的
である。アルミナ条片と銅板の熱膨張率差が大きく、問
題点の第1及び第2と同様の接着部における熱応力や歪
の残留,変形及び空隙を生ずる。この接着部には銅板を
中継して熱変化が与えられ、この際のストレスは残留熱
応力や歪に重畳して過大な応力や歪を生む。この結果、
アルミナ条片の破壊や端子の銅板からの剥離を生じ、半
導体装置の正常な電気的動作の妨げになる。また、接着
部の変形や空隙はチップから端子に至る確実なワイヤボ
ンディング配線の妨げになる。
【0013】問題点の第4は、Mo板を介装することに
より、半導体装置の積層構造が複雑化する点である。こ
のことは、部品点数及び組込工数の増大、即ち経済性の
面での不利益をもたらす。また、複雑な積層構造をとる
結果、放熱性の向上に対しても不利益をもたらす。
【0014】問題点の第5は、銅支持板とアルミナ板間
の熱膨張率が異なる点である。この場合も問題点の第2
と同様の理由により、はんだ層の破壊,熱流路の遮断,
絶縁板の破壊等に基づく信頼性低下を生ずる。具体的に
は、(1)アルミナ板と銅支持板の熱膨張率が互いに異
なるため、これらの一体化物には残留熱応力が発生する
ことである。モジュール装置に稼働時の熱ストレスが繰
返し与えられ、上記残留熱応力に重畳されると、はんだ
層の疲労破壊による熱流路の遮断と機械的に脆い性質を
持つ絶縁基板の破損を生ずる。このような破壊は、モジ
ュール装置の正常な動作を阻害するだけでなく、安全上
の問題も生ずる。(2)アルミナ板と銅支持板の熱膨張
率が互いに異なるため、これらの一体化物には反りを発
生する。モジュール装置に反りを生ずると、これを冷却
フィンに取付ける際、モジュール装置から冷却フィンに
至る経路の放熱性が損なわれ、正常な電気的動作を困難
にする。また、モジュール装置を冷却フィン上に強制的
にネジ締め搭載した場合には、新たな外力の印加により
絶縁基板の破損が助長される。
【0015】一方、従来技術例(2)に開示された半導
体装置は、Si基体が炭素を主体とする焼結体基板上に
はんだ付けされ、この基板が電気的に活性な領域にあっ
て導電機能,熱伝導路にあって熱中継もしくは熱流拡大
の機能、そして半導体基体との間の熱応力を緩和する機
能を兼備している点で優れた装置と言える。しかしなが
ら、炭素を主体とする焼結体基板は、これと熱膨張率差
が大きな銅支持板上に接着されるため、特に両者の接着
部の信頼性が課題となる。
【0016】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決し、製造時あるいは運転時に生ずる熱歪を軽減し、
各部材の変形,変性、あるいは破壊の恐れがなく信頼性
の高い絶縁型の半導体装置を提供することである。
【0017】また、本発明の他の目的は、上記半導体装
置を用いた電子装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、
熱伝導率の高い第1金属と第1金属より熱膨張率の小さ
い第2金属をそれぞれ板面の長手方向に伸びるように配
置し、第1金属と第2金属を板面に平行な方向に交互に
接着して一体化した支持基板と、支持基板上に接着され
た絶縁基板と、絶縁基板上に接着され、炭素を主体とす
る焼結体表面に金属を主成分とする層を設けた金属化炭
素基板と、金属化炭素基板上に搭載された半導体素子と
を有することを特徴とする。
【0019】本発明の電子装置は、熱伝導率の高い第1
金属と第1金属より熱膨張率の小さい第2金属をそれぞ
れ板面の長手方向に伸びるように配置し、第1金属と第
2金属を板面に平行な方向に交互に接着して一体化した
支持基板と、支持基板上に接着された絶縁基板と、絶縁
基板上に接着され、炭素を主体とする焼結体表面に金属
を主成分とする層を設けた金属化炭素基板と、金属化炭
素基板上に搭載された半導体素子とを有する半導体装置
を用いた電子装置であり、半導体装置が、負荷に給電す
る電気回路に組み込まれたことを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明半導体装置では、半導体基体,金属化炭
素部材、そして絶縁部材が順次積層された一体化物が、
第1金属と第2金属が互いに接合された複合金属からな
る支持部材に直接ろう付けして搭載される。これは、上
記支持部材の熱膨張率を調整することが可能で、上記無
機質セラミックス絶縁部材のそれとの差を7×10-6
℃以内に制御できると同時に、熱伝導率を90W/m・
K以上に調整することが可能で、熱中継機能と熱応力緩
和機能を兼備すべき部分に適用できる点に基づく。これ
と従来技術例(1)の半導体装置を比較すると、本発明
半導体装置は次のような特徴を持つ。
【0021】従来技術例(1)の場合は、Mo板と銅板
との複合一体化物に熱応力ないし歪の残留,変形を生
じ、この一体化物を組み込んだ半導体装置では、厚さ制
御や空隙のないはんだ層の形成が困難になるだけでな
く、Mo板と銅板の間の破壊を生じやすい。これに対
し、本発明半導体装置では、上記複合一体化物の代替物
として金属化炭素部材を用いる。この際、金属化炭素部
材には熱応力ないし歪の残留や変形を生じないため、金
属化炭素部材そのものの破壊を生じにくい。また、金属
化炭素部材の適用により積層構造を簡素化できるため、
放熱性や経済性の面で享受できる利点が多い。
【0022】本発明半導体装置では、金属化炭素部材に
主絶縁用セラミックス基板や端子絶縁用アルミナ条片と
直接ろう付けされる。この場合、炭素焼結体とセラミッ
クス基板の熱膨張率が近接しているため、これらの接着
部には、熱応力ないし歪の残留や変形を生じない。この
結果、セラミックス基板の破壊やろう層の熱疲労を防止
できるだけでなく、ろう層における空隙の発生を抑える
ことが可能になる。
【0023】本発明半導体装置では、第1金属と第2金
属とで構成された複合金属からなり、熱伝導率と熱膨張
率が調整された金属支持部材上に、主絶縁用セラミック
ス基板が直接ろう付けされる。この場合、金属支持部材
とセラミックス基板の熱膨張率が近接しているため、こ
れらの接着部には、熱応力ないし歪の残留や変形を生じ
ない。この結果、セラミックス基板の破壊やろう層の熱
疲労を防止できるだけでなく、ろう層における空隙の発
生を抑えることが可能になる。
【0024】上記金属支持部材における第1金属は、熱
伝導率が高い点から選択される。具体的には、Cu(熱
伝導率:403W/m・K,熱膨張率:16.7×10
-6/℃),Al(236W/m・K,23×10-6
℃),Ag(428W/m・K,19×10-6/℃),B
e(218W/m・K,14×10-6/℃),Cu−5
wt5Sn(180W/m・K,17.5×10-6
℃),Cu−32wt%Zn(106W/m・K,18.
5×10-6/℃)の群から選択された少なくとも1種が
好ましい材料として挙げられる。これは、半導体基体か
ら発せられた熱流の大半(約80%)を第1金属領域を
選択的に経由させ、効率よく外部へ放出するために重要
な点である。このため本発明では、第1金属は、例えば
セラミックス基板の如き絶縁基板から冷却フィンに至る
熱伝達路において、連続的に連なっていることを必須と
する。換言すると、上記絶縁基板から冷却フィンに至る
熱伝達路内で、例えばインバ,42アロイ,フェルニコ
等の熱伝導率の低い金属によって導熱を阻害する構成の
支持部材は、本発明には含まれない。しかし、これら第
1金属の熱膨張率の大きい点は、熱膨張率の小さい周辺
部材との高信頼化された一体化を図る際の欠点となる。
【0025】一方、上記金属支持部材における第2金属
は、熱膨張率が小さい点から選択される。具体的には、
インバ(Fe−36wt%Ni,熱膨張率:1.5×10
-6/℃,熱伝導率:15W/m・K),42アロイ(Fe
−42wt%Ni,5×10-6/℃,13.4W/m・
K),フェルニコ(Fe−31wt%Ni−15wt%
Co,5×10-6/℃,16.7W/m・K)の群から選
択された少なくとも1種が好ましい材料として挙げられ
る。これらの金属は、上記支持部材の見かけの熱膨張率
が大きくなることを抑制する役割を受け持つ。
【0026】以上の第1及び第2金属を複合させた支持
部材は、それぞれの素材の持つ欠点を互いに補完しあ
う。例えば本発明における金属支持部材125は、図1
に示す俯瞰図のように、第1金属125Aと第2金属1
25Bを互いにサンドウイッチ状に接合,一体化させた
構成になっている。第1金属125Aと第2金属125B
で構成されるストライプ状パターンは支持部材125の
中手方向に延びている。また、第1金属125Aと第2
金属125Bはともに、熱発生源としての半導体基体あ
るいは回路基板が搭載される側の主面125aから熱が
放出される側の主面125bに至るまで連なっている。
この場合、支持部材125の物性値(熱膨張率及び熱伝
導率)は、第1金属125Aと第2金属125Bの中間
の値を有している。例えば、第1金属125AがCuで
あり第2金属125Bがインバである構成では、図2及
び図3のような相関関係を示す。これらの図を参照する
と、Cu125Aとインバ125Bからなる支持部材1
25の場合(Cuの占有率:42wt%)は、熱伝導
率:175W/m・Kと優れた放熱性を維持したまま、
熱膨張率:6.1×10-6/℃(X方向),9.2×10
-6/℃(Y方向)と半導体基体や絶縁部材のそれに近似
させることができる。ここで、X方向とはストライプ状
パターンと並行な方向、そして、Y方向とはX方向に直
角な方向を指す。また、図4は第1金属125AがAl
であり第2金属125Bがインバである場合の物性値を
示す。この複合材からなる支持部材125の場合(Al
の占有率:30wt%)は、熱伝導率:130W/m・
Kと優れた放熱性を維持したまま、熱膨張率:6.1×
10-6/℃(X方向),9.3×10-6/℃(Y方向)
と半導体基体や絶縁部材の熱膨張率に近似させることが
できる。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1は第2金属125Bとしてのインバと
第1金属125Aを組み合わせた場合の熱膨張率を示
す。熱膨張率が第1金属の占有率を増すにつれ大きくな
り、X方向の方がY方向より小さくなる傾向は、第1金
属125AがCuやAlの場合と同様である。これらの
組み合わせに基づく支持部材は、熱膨張率の許容される
範囲で任意の第1金属占有率を選択できる。また、表2
は第2金属125Bとしてのインバと第1金属125A
を組み合わせた場合の熱伝導率を示す。熱伝導率が第1
金属の占有率を増すにつれ大きくなる傾向は、第1金属
125AがCuやAlの場合と同様である。これらの組
み合わせに基づく支持部材は、熱伝導率の許容される範
囲で任意の第1金属占有率を選択できる。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】表3は第2金属125Bとしての42アロ
イやフェルニコと各第1金属125Aを組み合わせた支持部
材125の熱膨張率、そして、表4は第2金属125B
としての42アロイやフェルニコと各第1金属125A
を組み合わせた支持部材125の熱伝導率を示す。42ア
ロイやフェルニコを適用した場合も、インバを適用した
場合と同様に、熱膨張率や熱伝導率の観点で許容される
任意の第1金属占有率を選択できる。
【0033】複合材としての金属支持部材125を従来
技術例(1)における銅支持板の代替として適用した場
合は、次のような特徴が得られる。
【0034】その第1は、金属支持部材125の熱膨張
率が、絶縁部材(アルミナ,AlN,BeO,BN)のそ
れと近似するため、金属支持部材125と絶縁部材の間
のはんだ層には、熱応力ないし熱歪は残留しない点であ
る。これにより、金属支持部材125と絶縁部材間の一
体化物は反り等の変形を生じない。一体化物には残留応
力や熱歪がないため、半導体装置の稼働時の熱ストレス
の重畳を受けても、はんだ層の疲労破壊による熱流路の
遮断や絶縁部材の機械的破壊を生じにくい。このこと
は、半導体装置の正常動作の維持と安全性の確保に寄与
する。
【0035】その第2は、一体化物に反りを生じないた
め、モジュール装置から冷却フィンに至る経路の熱中継
が確実に行なわれる。また、モジュール装置を冷却フィ
ン上にネジ締め搭載することによる、絶縁部材の破壊も
生じない。このことも、半導体装置の正常動作と安全性
の維持に寄与する。
【0036】その第3は、発熱の著しい半導体基体から
絶縁部材や支持板を経て冷却フィンに至る熱流路にあっ
て、支持部材125の第1金属125Aに熱流を選択的
に導びくことが可能な点である。このことは、半導体装
置を用いた電子装置全体の放熱性を高めるのに寄与す
る。
【0037】以上のように、本発明半導体装置は、製造
時あるいは運転時に生ずる熱応力を軽減し、各部材の変
形,変性、あるいは破壊の恐れがなく信頼性の高いもの
となる。したがって、このような半導体装置を適用した
電子装置も信頼性の高いものとなる。
【0038】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明する。
【0039】〔実施例 1〕本実施例では、一方の主面
に半導体基体を搭載し他方の主面を絶縁部材と一体化す
る炭素を主体とする焼結体であって、電気的に活性な領
域にあって導電機能,熱伝導路にあって熱中継もしくは
熱流拡大の機能、そして半導体基体もしくは絶縁部材と
の間の熱応力を緩和する機能を兼備する金属化炭素部材
と、第1金属と第2金属を互いに接合した複合金属部材
であって、前記金属化炭素部材を前記絶縁部材を介装し
てはんだ付け搭載し、電気的不活性領域かつ熱伝導路に
あって熱中継機能、そして前記絶縁部材との間の熱応力
を緩和する機能を兼備した支持部材から構成される半導
体装置及びこれを電子装置に用いた例について説明す
る。
【0040】金属化炭素部材10は25mm×25mm×2
mmの寸法を有しており、図5(a)と(b)に示す構成
からなる。100は炭素焼結体又は炭素中に炭素以外の
物質を分散した炭素焼結体であり、金属化炭素部材10
は、100の表面に活性金属又は活性金属の炭化物を含
む金属化層111A,112Aを介して設けられた金属
化層111,112、又は、金属層に連なって設けられ
た金属板111B,112Bを含んでいる。
【0041】炭素焼結体は可及的に緻密で、熱伝導性や
電気伝導性を阻害する物質を含まないことが望ましい。
例えば、炭素焼結体の密度が1.6g/cm3の場合と1.
75g/cm3 の場合を比較すると、前者の熱伝導率は後
者の0.7倍 になる。実用的な熱伝導率90W/m・K
以上を得るには密度1.65g/cm3以上であることが望
ましい。また、炭素焼結体中に不純物としてのFeが2
wt%含まれる場合は、それが1wt%の場合に比べ熱
伝導率:約0.7倍そして電気抵抗率:1.3倍となる。
即ち、緻密性や熱伝導性及び電気伝導性の阻害物質を含
まないことが望まれるのは、熱拡散板用導電部材として
有効にその役割を担わせるためである。熱伝導性や電気
伝導性を阻害するように作用する物質としては、上述の
Feのほか、Sb,Cr,Hg,Pb,Bi,Ta,P
t,Mnが挙げられる。逆に、熱伝導性や電気伝導性の
観点で阻害要因にならない物質としては、Cu,Ag,
Al,Au,In,Cd,W,Ni,Mo,Mg,B
e,Ir,Pd,Rh等が挙げられる。以上の観点から
半導体装置に適用する炭素焼結体としては、密度1.65g
/cm3 以上,純度99%以上であることが好ましい。
【0042】炭素焼結体に緻密性が要求される第2の理
由は、炭素それ自身は極めて吸着性の強い物質であるこ
とによる。焼結体に揮発性物質が吸着されると、金属化
の際の熱処理工程で吸着物質を放出し、金属化層の品質
を損なうばかりでなく、半導体装置を組み込むはんだ付
けの際にも、はんだ層のぬれ性を阻害したり、気泡を生
じたりするためである。
【0043】また、本発明の炭素焼結体には、炭素に炭
素以外の物質を分散させた焼結体も含まれる。この一例
である炭素−30wt%銅の複合焼結体の場合は、熱膨
張率:5.7×10-6/℃ ,熱伝導率:300W/m・
Kそして電気抵抗率:約60×10-6Ω・cmである。上
記の物性値を有する複合炭素部材も、半導体基体として
のSi,絶縁部材としてのAlN,アルミナ,BeO,
BNと熱膨張率が近似するだけでなく、優れた熱伝導性
と電気伝導性が付与されているため、絶縁型半導体装置
における半導体基体搭載用熱拡散板部材ないし導電部材
として好適である。
【0044】しかし、炭素焼結体又は炭素以外の物質を
分散した炭素焼結体は、それ単独では熱拡散板部材とし
て半導体装置に組み込むことは困難である。これに組み
込むためには、上記焼結体の被接着面に金属化処理を施
して金属層を形成する必要が有る。この金属層は、半導
体基体や絶縁基板とのろう付けを可能にする目的で設け
られるものであり、Ti,Zr,Hf,Crなどの活性
金属によって形成される。
【0045】図6は炭素焼結体から金属層に至る間の界
面状態を説明する断面図である。炭素焼結体100の内
部に向けて、活性金属又は活性金属の炭化物を含む界面
層111A,112Aが侵入している。この侵入は炭素
焼結体の粒界を選択してなされる。X線回折によると、
金属化層111,112と炭素焼結体100の間の界面
領域には、表5に示す界面層111A,112Aが形成
される。
【0046】
【表5】
【0047】一方、上記焼結体は半導体装置の主電流路
としての役割を兼ねるから、その電気抵抗率は可及的に
小さいことが望ましい。上記した炭素焼結体は、Cu
(1.7×10-6Ω・cm)やMo(5.6×10-6Ω・c
m),はんだ材(Pb−5wt%Sn:20×10-6Ω・c
m)等よりは高抵抗で大電流を通電する場合には、発熱
や電力損失の問題が発生する。上述した金属層や金属板
は、電気的には炭素焼結体より低抵抗であり、電流路確
保の点で炭素焼結体の欠点を補うものとしても作用す
る。また、主電流路の低抵抗化は、上述の金属化層によ
る以外に焼結体の厚さを増したり、導電性の良い金属と
の複合体、例えば上述した炭素−30wt%銅の如き複
合焼結体を用いることにより可能である。ろう付け性能
及び低抵抗化の観点で選択される上記金属層は、Cu,
Ni,Ag,Au,Pt,Pd,Sn,Pb,Sb,A
l,Znを含む合金にTi,Zr,Hf等の活性金属が
添加されていることが望ましい。また、同様の観点から
選択される上記金属板は、Cu,Ni,Al,Ag,F
e,Sb,Zn,真鍮,青銅,銅−ベリリウム合金,4
2アロイ,Fe−Ni−Co合金等が望ましい。
【0048】複合焼結体は、炭素焼結体の中に炭素以外
の物質が均一に分散されている状態が望ましい。この理
由は、複合焼結体の物性に異方性が生じないためであ
る。例えば、熱膨張率に異方性を有する複合材を絶縁型
半導体装置に適用した場合は、熱拡散板は特定の方向に
対しては半導体基体や絶縁基板と整合して膨張,収縮す
るので問題ないが、これ以外の方向に対しては整合性の
ない膨張,収縮をするので半導体装置の製造時及び使用
時に生ずる問題が多い。
【0049】炭素以外の分散物質は、炭素焼結体そのも
のの欠点を補う立場で選択されねばならない。例えば、
機械的強度、特に引張り応力に対する耐破壊強度が劣る
点、導電性が劣る点を改善するだけでなく、熱伝導性を
更に高めるのに寄与できるものである必要がある。この
観点から推奨される金属物質としては、Cu,Ag,A
l,Au,In,Cd,W,Ni,Mo,Mg,Be,
Ir,Pd,Rh等が挙げられる。これらの金属物質
は、重量比で60wt%以下であることが望ましい。こ
の理由は、60wt%以上では複合焼結体の物性、特に
熱膨張率が大きくなり、炭素焼結体の好ましい点が消失
するためである。これらの金属物質は、上述の観点で選
択される限り、単一の種類に限定される必要はなく、複
数の種類にわたって添加されることが許される。また、
添加金属物質が複数の種類にわたる場合でも、60wt
%より少ない範囲ではそれぞれの金属物質の量を任意に
調整して良い。
【0050】本発明において、炭素以外の分散物質は金
属に限定されず、上述したように炭素焼結体の欠点を補
う立場で選択される限り、非金属物質であっても良い。
例えば、SiC,BeO又はAl23を含有したSi
C,AlN,Y23又はCaOを含有したAlN,B
N,BeO,Si34等のセラミックスが挙げられる。
これらの物質は、複合焼結体の熱伝導率,熱膨張率を調
整するのに有効である。しかし、これらの物質は電気抵
抗率が高く、複合焼結体のそれも高めるように作用する
から、添加量は複合焼結体の電気伝導性を著しく損なわ
ない量に限る必要がある。例えば、Y23又はCaOを
含有したAlNを10wt%添加した複合焼結体では、
これを添加しない炭素焼結体に比べ、熱伝導率,熱膨張
率,機械的強度は不変であるが、電気抵抗率は1.2 倍
になる。他の非金属物質を添加した場合も、これと同様
の傾向を示す。
【0051】支持部材125は、40mm×95mm×3mm
の寸法を有する、Niめっき(厚さ:5μm)した複合
金属であり、熱膨張率:6.1×10-6/℃(X方向),
9.2×10-6/℃(Y方向),熱伝導率:175W/
m・Kなる物性値を有している。以上の性質を得るため
に、支持部材125は、図1に示したように第1金属1
25AとしてのCu(占有率:42wt%)と第2金属
125Bとしてのインバが互いにサンドウイッチ状に接
合,一体化されたものとなっている。これによって形成
されるストライプパターンは、支持部材125の長手方
向に延びている。この支持部材125は、第1金属12
5Aと第2金属125Bを約1000℃のもとでホット
プレスして両素材を拡散的に接合した後,両素材金属1
25Aと125Bによりストライプパターンが形成され
た面を所定厚さまで圧延したものである。引続き、上記
圧延材を所定寸法にプレス切断した後、無光沢Niめっ
きを施し、これを約600℃の水素雰囲気中で熱処理し
た。
【0052】図7は第1金属125Aと第2金属125
Bからなる接合界面部のEPMAによるライン分析波形
を示す。第1金属と第2金属の構成金属は互いに他の領
域に拡散しており、両素材金属は拡散によって接合され
ていることを確認できる。
【0053】以上の手順を経て得られた支持部材125
には、−55〜150℃の温度サイクル試験が施され
た。この試験を1000回与えた後物性値を測定した。
熱膨張率は6.2×10-6/℃(X方向),9.1×10
-6/℃(Y方向)、そして、熱伝導率は178W/m・
Kと、初期値とほとんど同じ値が維持された。また、支
持部材125の寸法変化や変形は全く観測されなかっ
た。
【0054】以上に述べた金属化炭素部材10と支持部
材125は、IGBT素子を搭載した2000V,75
A級の半導体装置900に適用された。図8は半導体装
置900の要部俯瞰図である。図において、支持部材1
25上に31mm×60mm×0.63mm のAlNからなる
絶縁部材122がPb−50wt%Snはんだ124(図
示を省略、厚さ:200μm)により接着され、絶縁部
材122上には金属化炭素部材10が2個並んでPb−
50wt%Snはんだ123(図示を省略、厚さ:20
0μm)により接着され、金属化炭素部材10にはIG
BT素子(13mm×13mm×0.3mm)101がダイオ
ード素子(10mm×10mm×0.3mm)101′ととも
にSn−5wt%Sb−0.6wt%Ni−0.05wt
%Pはんだ113(図示を省略、厚さ:200μm)に
より接着されている。各素子101,101′にはAl
線(直径:550μm)117によるワイヤボンディン
グが施され、エミッタ電極13b,ゲート電極13cに
接続されている。銅条片からなるこれらの電極13b,
13cは、3mm×23mm×2mmのアルミナ条片114に
ろう層(図示を省略、Sn−5wt%Sb−0.6wt
%Ni−0.05wt%P,厚さ:200μm)13′
により接着され、アルミナ条片114は同じろう層(図
示を省略)14′により金属化炭素部材10に接着され
ている。
【0055】上記構造体において、AlNからなる絶縁
部材122は焼結助材としてのY23を約5wt%添加
したものであり、これにより焼結体の緻密化と高熱伝導
化が図られている。Y23以外にCaOを焼結助材とし
て用いることも可能である。絶縁部材122の両主面に
はMo・Mnメタライズ層が形成され、この層の表面に
はNiめっき層が形成されている。
【0056】金属化炭素部材10は、コレクタ電極13
aを担う。コレクタ電極13a,エミッタ電極13b,
ゲート電極13cには、それぞれ外部端子116,11
6′や中継端子126が設けられ、更に各半導体基体1
01,101′,金属化炭素部材10等が外気から完全
に遮断されるように、エポキシ系樹脂製ケース(図示を
省略)を設けるとともに同ケース内にシリコーンゲルや
エポキシ系樹脂を充填,硬化させて半導体装置900を
得た。この半導体装置900は、図9に示した回路を構
成している。なお、本実施例では比較用として、金属化
炭素部材10及び支持部材125を銅板〔半導体基体搭
載部に先行技術例(1)と同様にMoを設けている〕
に、そして、AlNからなる絶縁部材122を同寸法の
アルミナ絶縁基板に置き換えた試料も作製した。半導体
装置900は最終的に、図10に示す電動機950の回
転数制御用インバータ装置に組み込まれた。
【0057】半導体装置900の素子101−支持部材
125間の熱抵抗は、0.25℃/Wと、比較試料の熱
抵抗0.42℃/W より低い値が得られた。低熱抵抗化
が図られたのは、熱流路を金属化炭素部材10,AlN
からなる絶縁部材122,支持部材125を高熱伝導性
部材で構成したこと、及び、熱膨張率緩和部材を除外し
て簡素な積層構造をとり得たことが第1の要因である。
また、絶縁部材122から半導体基体101,101′
に至る積層体の変形を軽減でき、それ自体変形しにくい
部材10及び125を用いているため、〔支持部材12
5〕−〔絶縁基板122〕−〔金属化炭素部材10〕間
のはんだ付け接着部における気泡等の欠陥が低減された
ことも第2の要因として挙げられる。〔半導体基体10
1,101′〕−〔金属化炭素部材10〕−〔絶縁基板
122〕の積層一体化物を形成した段階での反り量(腹
の高さ)は、最大30μmであった。これは、比較試料
の半導体基体−銅板−絶縁部材の積層一体化物の300
μmより大幅に小さい値である。
【0058】本実施例において、半導体装置の熱抵抗は
比較試料と同等の0.42℃/W までは許される。この
熱抵抗を得るために必要な金属化炭素部材10及び支持
部材125の熱伝導率は、90W/m・K以上である。
このような熱伝導率は、金属化炭素部材10の場合は、
炭素焼結体(純度:99%)の密度が1.65g/cm3
上であるか、又は、炭素マトリックスにCu,Ag,A
l,Au,In,Cd,W,Ni,Mo,Mg,Be,
Ir,Pd,Rhの群から選択された少なくとも1種の
金属を分散した複合焼結体にすることにより得られる。
また、支持部材125の場合は、図3及び図4(a)を
参照すると、第1金属がCuそして第2金属がインバの
構成ではCu占有率:20wt%以上で、また、Alと
インバの構成ではAl占有率:35wt%以上で、90
W/m・K以上を得ることが可能である。
【0059】また、半導体装置900に間欠通電し、支
持板125の温度を30〜100℃間で繰返し変化させ
る試験を施した。図11は間欠通電試験による熱抵抗の
推移を示す。本実施例の半導体装置の熱抵抗(A)は3
5000回まではほとんど変動を示さず、40000回
に至って0.28W/℃ とわずかに上昇している。しか
し、この程度の熱抵抗上昇は、半導体装置900の機能
に支障を及ぼすものではない。これに対し、比較試料の
熱抵抗(B)は試験回数が増えるにつれ顕著な上昇を示
し、1000回では初期値の2倍以上に達している。こ
のように、本実施例半導体装置900は、比較試料より
格段に安定して優れた放熱性が維持されている。比較試
料が早期に放熱性の低下を生じた主な原因は、半導体基
体−Mo板間のはんだ層ではなく、銅板(半導体基体搭
載部にMoを設けている)とアルミナ絶縁基板の間にお
けるはんだ層の熱疲労破壊であった。これは、銅板とア
ルミナ絶縁基板の熱膨張率が大幅に異なること、及び、
Moを搭載した銅板の変形が著しいことによる。本実施
例の半導体装置900が優れた信頼性を示した最大の理
由は、金属化炭素部材10と半導体基体101,10
1′間の熱膨張率差がほとんどないため、はんだ113
に過大な熱応力や熱歪が作用せず、同はんだの熱疲労破
壊が避けられたためである。金属化炭素部材10の熱膨
張率が絶縁部材122と近似したため、はんだ123に
作用する熱応力や熱歪が軽減されたこと、そして、上述
の積層一体化物の反り量が少ないため、絶縁部材122
−支持部材125間のはんだ層124に極端に薄い部分
を有していないことも、熱抵抗の変動が少なく、信頼性
の向上が図られた理由である。更に、支持部材125の
熱膨張率が絶縁部材122と近似したため、はんだ層1
24に作用する熱応力や熱歪が軽減されたことも、信頼
性の向上が実現された理由である。
【0060】図12は金属化炭素部材と絶縁部材の間の
熱膨張率差と熱抵抗変化率の関係を示す。ここで得たデ
ータは、試料に上述と同様の間欠通電試験を30000
回施し、試験の前後における熱抵抗変化を示している。
また、絶縁部材122と支持部材125間の熱膨張率差
は、2×10-6/℃と小さくなるように調整されてい
る。熱抵抗の変化は、用いた絶縁部材の種類や金属化炭
素部材の構成には関係なく、熱膨張率差が7×10-6
℃を越えた場合に顕著に生じている。この際の熱抵抗上
昇の主因は、はんだ層123の熱疲労破壊によるもので
ある。このことは、はんだ層123の高信頼化のために
は、上記熱膨張率差を7×10-6/℃以下に調整する必
要があることを示唆している。
【0061】上述の間欠通電試験では、金属化炭素部材
10−支持部材125間の電気絶縁性、そして、金属化
炭素部材10−エミッタ電極13b,ゲート電極13c
間の電気絶縁性を追跡した。この結果、40000回の
試験後における絶縁耐圧(周波数:60Hz)は7kV
以上と、初期値と同等の値が維持され、絶縁部材122の
破壊による耐圧劣化は観測されなかった。この効果も上
述と同様に、金属化炭素部材10が絶縁基板122や条
片114と近似した熱膨張率を有しているため、これら
の部材に過大な熱応力や熱歪が作用しないためである。
【0062】本実施例によれば、比較試料に比べて、放
熱性を実質上犠牲にせずに信頼性を向上させることがで
きた。この効果は、絶縁部材122の面積、したがって
金属化炭素部材10の面積(比較試料における銅板の面
積)が大きくなるほど顕著であった。その一例を図13
により説明する。この図は本実施例構造(A)の半導体
装置の金属化炭素部材10−絶縁部材122間接着面積
〔比較試料構造(B)にあっては、銅板−アルミナ絶縁
基板間接着面積〕と温度サイクル印加後の故障発生率の
関係を示すグラフである。温度サイクルは−55〜15
0℃のもとで500回与えた。図によれば、接着面積が
約500mm2 までは、A,Bともに故障発生率は0%で
ある。500mm2 を越えると、Bでは加速的に故障発生
率が増加するのに対し、Aでは8000mm2 までは0%
が維持されている。なお、ここで言う故障とは、主とし
てはんだ層123に生じたクラック、あるいは部分的剥
離のことである。
【0063】図14は支持板と絶縁部材の間の熱膨張率
差と熱抵抗変化率の関係を示す。ここで得たデータは、
試料に上述と同様の間欠通電試験を30000回施し、
試験の前後における熱抵抗変化を示している。また、金
属化炭素部材10と絶縁部材122の間の熱膨張率差
は、2×10-6/℃と小さくなるように調整されてい
る。熱抵抗の変化は、用いた絶縁部材の種類や支持板の
構成には関係なく、熱膨張率差が7×10-6/℃を越え
た場合に顕著に生じている。この際の熱抵抗上昇の主因
は、はんだ層124の熱疲労破壊によるものである。こ
のことは、はんだ層124の高信頼化のためには、上記
熱膨張率差を7×10-6/℃以下に調整する必要がある
ことを示唆している。
【0064】放熱性を損なわずに信頼性を向上させるた
めの本発明の効果は、絶縁部材122の面積、したがって
支持板125の面積(比較試料における銅支持板の面
積)が大きくなるほど顕著である。その一例を図15に
より説明する。この図は本実施例構造(A)の半導体装
置の〔絶縁部材122〕−〔支持部材125〕間接着面
積〔比較試料構造(B)にあっては、アルミナ絶縁基板−
銅支持板間接着面積〕と温度サイクル印加後の故障発生
率の関係を示すグラフである。温度サイクルは−55〜
150℃のもとで1000回与えた。図によれば、接着
面積が約300mm2 までは、A,Bともに故障発生率は
0%である。300mm2 を越えると、Bでは加速的に故
障発生率が増加するのに対し、Aでは50000mm2
では0%が維持されている。なお、ここで言う故障と
は、主としてはんだ層125に生じたクラック、あるい
は部分的剥離のことである。このように、温度サイクル
数が1000回と多いにもかかわらず、本実施例構造の
試料では大面積の領域まで故障を生じていない。これ
は、金属化炭素部材10から支持部材125に至る積層
構造体の熱膨張率が整合していることによる。
【0065】本実施例の半導体装置900には、密度が
1.8g/cm3(金属化炭素部材10)と小さい部材が適用
されているため、装置900の重量が低減されている。
この点は、半導体装置900を電子装置用として実装す
る際の作業を容易にさせるだけでなく、電子装置の小
型,軽量化に寄与する所が大きい。
【0066】本実施例の半導体装置900を組み込んだ
図10のインバータ装置を用いて、電動機950の回転
数制御を試みた。図16はスイッチング周波数とIGB
T素子101の発熱温度の関係を示す。スイッチング損
失は周波数を増すにつれて増えるが、商用電源の50H
zから30kHzまでの間では、素子101が安定して
動作する温度の125℃を越えることはなかった。この
間、電動機950は特別な異常を伴わずに作動した。
【0067】また、インバータ装置及び電動機は、電気
自動車にその動力源として組み込まれた。この自動車に
おいては、動力源から車輪に至る駆動機構を簡素化でき
たためギヤーの噛み込み比率の違いにより変速していた
従来の自動車に比べ、変速時のショックが軽減された。
更に、この自動車は、0〜250km/hの範囲でスム
ーズな走行が可能であったほか、動力源を源とする振動
や騒音の面でも従来の気筒型エンジンを搭載した自動車
の約1/2に軽減することができた。
【0068】更に、本実施例の半導体装置900を組み
込んだインバータ装置,ブラシレス直流電動機とともに
冷暖房機(冷房時の消費電力:5kW,暖房時の消費電
力:3kW,電源電圧200V)に組み込まれた。図1
7はこの際の電動機の効率(A)を示すグラフである。
従来の交流電動機を用いた場合(B)と比較して示す。
本実施例の場合は、比較した全回転数範囲で、従来の場
合より10%以上高い効率を示している。この点は、冷
暖房機使用時の電力消費を低減するのに役立つ。また、
室内の温度が運転開始から設定温度に到達するまでの時
間は、本実施例の場合は従来の交流電動機を用いた場合
より約1/2に短縮された。
【0069】本実施例と同様の効果は、半導体装置90
0が他の流体を撹拌又は流動させる装置、例えば洗濯
機,流体循環装置等に組み込まれた場合でも享受でき
る。
【0070】〔実施例 2〕本実施例では、金属化炭素
部材上に多数個の半導体装置基体が密集して搭載され、
これらが複合金属支持板上に搭載された半導体装置と、
これを用いた電子装置について説明する。
【0071】本実施例の金属化炭素部材10は、炭素粉
末に30wt%の銅粉末を添加した混合粉末を出発材料
とし、この圧粉成形体を焼結して得た複合体100を母
材にしている。この複合炭素焼結体100は、熱膨張
率:5.7×10-6/℃ ,熱伝導率:約300W/m・
K,抵抗率:約60×10-6Ω・cm、そして相対密度:
90%)で、物性値に異方性のないものである。図18
は複合炭素焼結体100の断面構造模式図を示す。炭素
の焼結体粒子100Aのマトリックスの中に、銅焼結体
粒子100Bが埋め込まれている。埋め込まれた銅粒子
100Bは焼結体100のいずれの部分にもほぼ均等に
分散されていて、方向性は見られない。上述した物性に
異方性が見られないのは、この点に基づく。炭素焼結体
100に実施例1と同様に銅板111B,112Bをろ
う付けして部材(62mm×80mm×2mm)10を得た。
図19は一例としての炭素−銅複合焼結体の物性を示す
グラフである。複合焼結体では、銅粉末の添加量を増す
につれ、熱膨張率(A)や熱伝導率(B)を増し、抵抗
率(C)を減ずる。これらの物性値は、絶縁型半導体装
置の導電性部材として許される範囲内では、いかなる値
でも選択され得る。
【0072】しかし、電力用半導体装置の信頼性に重き
を置く場合には、炭素部材10は接着される相手部材よ
り熱膨張率の小さい方が好ましい。熱膨張率が相手部材
より過度に大きいと、ろう付けされた一体化物が室温に
戻る際に炭素部材10に引張り応力が作用する。複合焼
結体100は引張り応力に対する破壊耐量は金属ほどに
は大きくなく破損を生じやすいからである。半導体基体
になり得る材料の熱膨張率はSi:4.2×10-6
℃,Ge:5.8×10-6/℃,GaAs:6.5×10
-6/℃,GaP:5.3×10-6/℃ 、そして、絶縁部
材になり得る材料の熱膨張率はAlN:4.3×10-6
/℃、BeO:7.5×10-6/℃,アルミナ:6.3×
10-6/℃,BN:3.7×10-6/℃である。これら
の中で最も熱膨張率の大きいベリリヤのそれを越えない
ようにするためには、複合炭素部材100中の銅は60
wt%を越えないようにする必要がある。
【0073】表6は熱膨張率が7.6×10-6/℃ を越
えない金属添加物の添加量範囲を示す。この表から、銅
以外の金属添加物の場合は、最大60wt%未満までの
添加が許される。
【0074】
【表6】
【0075】金属化炭素部材10は、支持部材(95mm
×110mm×5mm)125にPb−60wt%Snはん
だ(厚さ:200μm)124により接着されたアルミ
ナ絶縁基板(68mm×86mm×0.63mm)122上
に、Sn−5wt%Sb−0.6wt%Ni−0.05w
t%Pはんだ(厚さ:200μm)123により搭載さ
れた。この部材10には、Sn−5wt%Sb−0.6
wt%Ni−0.05wt%Pはんだ(厚さ:200μ
m)113により、IGBT素子(13mm×13mm×
0.3mm,6個)101と、ダイオード素子(13mm×
13mm×0.3mm,2個)101′が接着された。
【0076】支持部材125はCuマトリックス金属に
AlNセラミックス粉末を分散した複合金属から構成さ
れており、熱膨張率:6.5×10-6/℃ ,熱伝導率:
215W/m・k,密度:5.5g/cm3なる物性値(AlN
粉末の分散量:60体積%)を有している。これらの物
性値は方向性を持っていない。AlN粉末はY23が焼
結助材及び高熱伝導化のために5wt%添加されてお
り、常圧焼結法で1700℃で焼結した後、粒径50μm以
下に粉砕されたものである。粒径30μm,純度99.
99% のCu粉末とAlN粉末をバインダーとともに
混合した後成形し、この成形体を真空中で1000℃,
100MPaのもとで加圧熱処理し、上記寸法の支持板
を得た。この支持板には、Niを厚さ約4μmに電解め
っきした。ここで、AlN粉末にY23を添加したAl
Nを用いるのは、この粉末に190W/m・kと高い熱
伝導率を付与し、支持部材125の高熱伝導化を図るた
めである。このような高熱伝導化や低熱膨張化を図る目
的のもとでは、粉末としてCaOを助材にして焼結した
AlNを用いることが許される。
【0077】以上の手順を経て得られた支持部材125
には、55〜150℃の温度サイクル試験が施された。
この試験を1000回与えた後物性を測定したが、熱膨
張率:6.4×10-6/℃、熱伝導率:210W/m・
k、密度:5.5g/cm3 と、上記初期値とほとんど同
じであり、方向性もないことが確認された。また、支持
部材125の寸法変化や変形は全く観測されなかった。
【0078】以下実施例1と同様の部材搭載,配線,パ
ッケージングを施し、半導体装置900を得た。この装
置900は、搭載された全ての素子が並列に接続され、
等価的に図20に示す回路を構成している。また、比較
用として、金属化炭素部材10と支持部材125を同寸
法の銅板に置き換えた試料も製作した。半導体装置90
0は最終的に、図10に示した電動機950の回転数制
御用インバータ装置に組み込まれた。
【0079】本実施例における支持部材125から半導
体基体101,101′に至る部材構成では、半導体基
体(3.5×10-6/℃)−金属化炭素部材(5.7×1
-6/℃)−絶縁部材(6.3×10-6/℃)−支持板
(6.5×10-6/℃)と、熱膨張率が近似されてい
る。このため、接着面積が4960mm2 と大きいにもか
かわらず、一体化物の反り量は15μmに過ぎず、各接
着部に残留する熱応力も少ないことを裏付けている。こ
れは、半導体装置900を冷却フィンに取り付ける際に
熱伝導路が遮断されるのを防止するのに役立つととも
に、取り付けの際のネジ締めによる装置900の構成部
品の破損防止に寄与する。
【0080】以上により得られた半導体装置900の半
導体基体101−支持部材125間の熱抵抗は、0.0
39℃/W と極めて小さい値であった。このように低
い値が得られたのは、前記実施例1の場合と同様の理由
の他に、多数の発熱する半導体基体101,101′が
有効な熱伝導路内に搭載されているため、前記実施例1
の場合より実効的な放熱性が向上していることによる。
即ち、半導体基体101,101′が金属化炭素部材1
0の面積に占める割合は27.3% に及んでいる。この
ように、本実施例構造の放熱機能は、特に発熱素子の占
有面積が大きくなる場合に有効に発揮される。図21は
金属化炭素部材の面積に対する半導体基体の占有面積と
熱抵抗の関係を示す。占有面積が50%になるまでの範
囲では、金属化炭素部材の熱流拡大の機能が有効に作用
するため、熱抵抗は逐次減少する。しかし、50%を越
えると熱流拡大の機能が反映されなくなるため、熱抵抗
は上昇に転ずる。したがって、本実施例構成の半導体装
置は、占有面積50%までは放熱機能を向上させること
が可能である。
【0081】半導体装置900には、−55℃〜+15
0℃の温度サイクルが3000回印加された。これによ
る半導体基体101−支持部材125間熱抵抗は0.0
43℃/Wとわずかに変化したものの、この変化量は装
置900の使用上は全く問題ない範囲である。熱抵抗変
化を生じなかった理由は、〔半導体基体101,10
1′〕−〔金属化炭素部材10〕−〔絶縁部材122〕
−〔支持部材125〕積層構造全体の熱膨張率が整合され
ているため、はんだ層113,123,124の熱疲労破
壊が抑制されたことによる。
【0082】また、半導体装置900に間欠通電試験を
施し、支持部材125の温度を30〜100℃の間で繰
返し変化させた。図22は間欠通電試験による熱抵抗の
推移を示す。熱抵抗は50000回まではほとんど変化
を示さず、60000回に至ってわずかに上昇し始めて
いるのみである。このように安定した放熱性が維持され
たのは、上記した温度サイクル試験の場合と同様の理由
に基づく。
【0083】次いで、24個の本実施例半導体装置90
0が、図10と同様のインバータ回路に組み込まれた。
ここでは、1相分として8個の半導体装置900が割り
当てられている。これにより得られたインバータ装置
(電源電圧:2000V,ピーク出力電流:650A,
平均周波数:2kHz)は、電車用の主電動機(190
kW)の速度制御に供された。この結果、走行開始(加
速)時に電動機が発する騒音は平均周波数1.5kHz
の場合より1/3低く、そして、短い駅間距離(1.2k
m)を想定した走行試験でも表定速度40km/hと優
れた運行性能が得られた。これは、高周波化されて発熱
の著しい半導体基体101を効率的に冷却できるため、
同基体が安定的に動作するためである。
【0084】以上に説明したように、本実施例の半導体
装置900は、電動機の回転速度や移動装置の走行速度
を制御するのに有用である。本実施例と同様の半導体装
置がエレベータ,エスカレータ,ベルトコンベヤー等の
物体を運搬する装置やその装置に組み込まれた場合で
も、電車に組み込まれた場合と同様の効果が得られる。
本発明において、焼結炭素部材100上に設けられる金
属層111Bは、部材100の主面の全面に設けられる
ことを必須とするものではない。電気伝導性や熱伝導性
に関して支障がない限り、その上に搭載する素子や部材
がろう付けされる領域にのみに選択的に設けられて良
く、そして、選択的に設けられる金属層111Bは複数
であっても良い。また、はんだ材やろう材に対するぬれ
性を向上させるために、金属化層111,112,金属
板111B,112Bの表面にCu,Ni,Ag,A
u,Pt,Pd,Sn,Sb,Al,Zn、もしくは、
これらの合金を被覆することは好ましいことである。
【0085】本発明において、ろう材113,123,
124等は実施例に開示した材料のみには限定されな
い。半導体装置が製作されるプロセス,半導体装置に要
求される特性特に耐熱疲労信頼性に応じて、種々の成分
及び組成のものを選択しうる。例えば、Pb−5wt%
Sb,Pb−52wt%Sn−8wt%Bi、Au−1
2wt%Ge,Au−6wt%Si,Au−20wt%
Si,Al−11.7wt%Si,Ag−4.5wt%S
i,Au−85wt%Pb,Au−26wt%Sb,Cu−
69.3wt%Mg,Cu−35wt%Mn,Cu−3
6wt%Pb,Cu−76.5wt%Sb,Cu−16.
5wt%Si,Cu−28wt%Ti,Cu−10wt
%Zr、又は、これらを任意に組み合わせたろう材を適
用できる。
【0086】本発明において、半導体装置は負荷に給電
する電気回路に組み込まれて使用される。この際、
(1)半導体装置が、回転装置に給電する電気回路に組
み込まれて上記回転装置の回転速度を制御するか、もし
くは、それ自体が移動する装置に回転装置とともに組み
込まれて上記移動装置の移動速度を制御する場合、
(2)前記回転装置に給電する電気回路がインバータ回
路である場合、(3)半導体装置が流体を撹拌又は流動
させる装置に組み込まれて、被撹拌物又は被流動物の移
動速度を制御する場合、(4)半導体装置が物体を加工
する装置に組み込まれて、被加工物の研削速度を制御す
る場合、(5)半導体装置が発光体に組み込まれて、上
記発光体の放出光量を制御する場合、そして、(6)半導
体装置が50Hzないし30kHzの周波数のもとで作
動する場合にも上記実施例の場合と同様の効果,利点を
享受できる。
【0087】本発明において、金属化炭素部材10に搭
載される素子は半導体基体に限定されず、例えばコンデ
ンサ,抵抗体,コイル等が搭載されても良い。
【0088】本発明において、半導体装置の電気回路
は、図10及び図21に示したものに限定されない。例
えば、図24に示すように、半導体装置の内部で種々の
電気回路が設けられていることは、これを電子装置に用
いる上で支障になるものではない。また、半導体基体1
01又は101′がサイリスタやトランジスタであった
り、1個の半導体基体101又は101′の中に図9に
示したインバータ回路又はインバータ回路とともにこれ
を制御する回路が形成されていてもよい。この際、半導
体装置の内部の電気回路に受動素子が組み込まれている
ことも、好ましいことである。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、製造時あるいは運転時
に生ずる熱歪を低減し、各部材の変形,変性、あるいは
破壊の恐れがなく、熱放散性や信頼性に優れた絶縁型の
半導体装置を提供することができる。また、運転時の性
能や信頼性が優れ、消費電力の少ない電子装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属支持部材の断面模式図である。
【図2】金属支持部材の熱膨張率を示すグラフである。
【図3】金属支持部材の熱伝導率を示すグラフである。
【図4】金属支持部材の熱膨張率および熱伝導率を示す
グラフである。
【図5】金属化炭素部材の断面図である。
【図6】炭素焼結体から金属層に至る間の界面状態を説
明する図である。
【図7】第1金属と第2金属の接合界面部のEPMAに
よるライン分析波形を示す。
【図8】本発明の一実施例の半導体装置の要部俯瞰図で
ある。
【図9】半導体装置の回路図である。
【図10】半導体装置が組み込まれたインバータ装置の
回路である。
【図11】間欠通電試験による熱抵抗の推移を示すグラ
フである。
【図12】金属化炭素部材と絶縁部材の間の熱膨張率差
と熱抵抗変化率の関係を示すグラフである。
【図13】金属化炭素部材−絶縁基板間の接着面積と温
度サイクル印加後の故障発生率の関係を示すグラフであ
る。
【図14】支持板と絶縁基板間の熱膨張率差と熱抵抗変
化率の関係を示すグラフである。
【図15】絶縁基板−支持板間の接着面積と温度サイク
ル印加後の故障発生率の関係を示すグラフである。
【図16】スイッチング周波数と半導体素子の発熱温度
との関係を示すグラフである。
【図17】電動機の効率を示すグラフである。
【図18】金属を添加した複合炭素焼結体の断面構造模
式図である。
【図19】炭素−銅系複合焼結体の物性を示すグラフで
ある。
【図20】半導体装置の回路を示す図である。
【図21】金属化炭素部材の面積に対する半導体基体の
占有面積と熱抵抗の関係を示すグラフである。
【図22】間欠通電試験による熱抵抗の推移を示すグラ
フである。
【図23】半導体装置に内蔵された他の電気回路の例で
ある。
【符号の説明】
10…金属化炭素部材、100…炭素焼結体、111,
112…金属化層、111A、112A…界面層、10
1,101′…半導体基体、114,122…絶縁部
材、125…支持部材、125A…第1金属、125B
…第2金属、113,123,124…ろう材、115
…電極材、116,116′…端子、126…中継端
子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼橋 茂 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱伝導率の高い第1金属と前記第1金属よ
    り熱膨張率の小さい第2金属をそれぞれ板面の長手方向
    に伸びるように配置し、前記第1金属と第2金属を板面
    に平行な方向に交互に接着して一体化した支持基板と、 前記支持基板上に接着された絶縁基板と、 前記絶縁基板上に接着され、炭素を主体とする焼結体表
    面に金属を主成分とする層を設けた金属化炭素基板と、 前記金属化炭素基板上に搭載された半導体素子とを有す
    る半導体装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記第1金属はCu,
    Al,Ag,Be,Sn,Znの群から選択された少な
    くとも1種の金属からなり、前記第2金属は少なくとも
    FeとNiを主成分として含む合金からなることを特徴
    とする半導体装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記支持基板
    の表面には、Ni,Cu,Ag,Au,Pt,Pd,S
    n,Sb,Al,Znから選択された少なくとも1種の
    金属からなる層が形成されることを特徴とする半導体装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記支持基板の熱伝導
    率は90W/m・K以上であることを特徴とする半導体
    装置。
  5. 【請求項5】請求項1において、前記絶縁基板はAl
    N,BeO,BN,アルミナの群から選択された1種か
    らなることを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記絶縁基板はY
    23,CaOの群から選択された少なくとも1種を含有
    したAlNであることを特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】請求項1,2または5において、前記支持
    基板の熱膨張率と前記絶縁基板の熱膨張率の差は7×1
    -6/℃以下であることを特徴とする半導体装置。
  8. 【請求項8】請求項1,2または5において、前記絶縁
    基板の熱膨張率は前記支持基板の熱膨張率より小さいこ
    とを特徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】請求項1において、前記金属化炭素基板
    は、前記炭素を主体とする焼結体と前記金属を主成分と
    する層がTi,Zr,Hf,Crの群から選択された少
    なくとも1種の活性金属又は前記活性金属の炭化物を含
    む物質により接合されていることを特徴とする半導体装
    置。
  10. 【請求項10】請求項1または9において、前記活性金
    属又は活性金属の炭化物を含む物質は、前記炭素を主体
    とする焼結体の内部に侵入していることを特徴とする半
    導体装置。
  11. 【請求項11】請求項1または9において、前記炭素を
    主体とする焼結体は、炭素中にCu,Ag,Al,I
    n,Cd,W,Ni,Mo,Mg,Be,Ir,Pd,
    Rhの群から選択された少なくとも1種の金属、又は、
    SiC,BeO,AlN,BN,Si34,Al23
    から選択された少なくとも1種のセラミックス、又は、
    前記金属および前記セラミックスを分散した複合焼結体
    であることを特徴とする半導体装置。
  12. 【請求項12】請求項11において、前記複合焼結体は
    前記少なくとも1種の金属を60wt%未満添加される
    か、もしくは、前記少なくとも1種のセラミックスを1
    0wt%未満添加されたものであることを特徴とする半
    導体装置。
  13. 【請求項13】請求項1または9において、前記金属化
    炭素基板の熱伝導率は90W/m・K以上であることを
    特徴とする半導体装置。
  14. 【請求項14】請求項1において、前記金属化炭素基板
    の熱膨張率は前記絶縁基板の熱膨張率より小さい、又
    は、前記金属化炭素基板の熱膨張率と前記絶縁基板の熱
    膨張率の差は7×10-6/℃以下であることを特徴とす
    る半導体装置。
  15. 【請求項15】請求項1において、前記金属を主成分と
    する層の表面はCu,Ni,Ag,Au,Pt,Pd,
    Sn,Pb,Sb,Al,Znの群から選択された少な
    くとも1種の金属、もしくは、Cu,Ni,Ag,A
    u,Pt,Pd,Sn,Pb,Sb,Al,Znの群か
    ら選択された2種以上の金属からなる合金で被覆される
    ことを特徴とする半導体装置。
  16. 【請求項16】請求項1または9において、前記金属化
    炭素基板上に1個以上の前記半導体素子が搭載されたこ
    とを特徴とする半導体装置。
  17. 【請求項17】請求項1または9において、前記金属化
    炭素基板の前記半導体素子を搭載する方の面積に対する
    前記半導体素子の占有面積の割合は50%以下であるこ
    とを特徴とする半導体装置。
  18. 【請求項18】請求項1または9において、前記半導体
    素子はIGBT素子又はダイオード素子を備えたことを
    特徴とする半導体装置。
  19. 【請求項19】請求項1または9において、前記金属化
    炭素基板または前記支持基板と、前記絶縁基板ははんだ
    付けにより一体化されており、一体化された領域は50
    0mm2以上10000mm2 以下の面積を有していること
    を特徴とする半導体装置。
  20. 【請求項20】請求項1又は9において、前記半導体装
    置は出力周波数が50Hz以上30kHz以下で作動す
    ることを特徴とする半導体装置。
  21. 【請求項21】熱伝導率の高い第1金属と前記第1金属
    より熱膨張率の小さい第2金属をそれぞれ板面の長手方
    向に伸びるように配置し、前記第1金属と第2金属を板
    面に平行な方向に交互に接着して一体化した支持基板
    と、 前記支持基板上に接着された絶縁基板と、 前記絶縁基板上に接着され、炭素を主体とする焼結体表
    面に金属を主成分とする層を設けた金属化炭素基板と、 前記金属化炭素基板上に搭載された半導体素子とを有す
    る半導体装置を用いた電子装置であり、 前記半導体装置が、負荷に給電する電気回路に組み込ま
    れたことを特徴とする電子装置。
  22. 【請求項22】請求項21において、前記第1金属はC
    u,Al,Ag,Be,Sn,Znの群から選択された
    少なくとも1種の金属からなり、前記第2金属は少なく
    ともFeとNiを主成分として含む合金からなることを
    特徴とする電子装置。
  23. 【請求項23】請求項21または22において、前記支
    持基板の表面には、Ni,Cu,Ag,Au,Pt,P
    d,Sn,Sb,Al,Znから選択された少なくとも
    1種の金属からなる層が形成されることを特徴とする電
    子装置。
  24. 【請求項24】請求項1において、前記支持基板の熱伝
    導率は90W/m・K以上であることを特徴とする電子
    装置。
  25. 【請求項25】請求項21において、前記半導体装置
    は、回転装置に給電する電気回路に組み込まれて前記回
    転装置の回転速度を制御するか、もしくはそれ自体が移
    動する装置に前記回転装置とともに組み込まれて前記移
    動装置の移動速度を制御することを特徴とする電子装
    置。
  26. 【請求項26】請求項21または25において、前記回
    転装置に給電する電気回路はインバータ回路であること
    を特徴とする電子装置。
  27. 【請求項27】請求項21,25または26において、
    前記半導体装置は流体を撹拌又は流動させる装置に組み
    込まれ、被撹拌物又は流動物の移動速度を制御すること
    を特徴とする電子装置。
  28. 【請求項28】請求項21,25または26において、
    前記半導体装置は物体を加工する装置に組み込まれ、被
    加工物の研削速度を制御することを特徴とする電子装
    置。
  29. 【請求項29】請求項21において、前記半導体装置は
    発光体に給電する電気回路に組み込まれ、上記発光体の
    放出光量を制御することを特徴とする電子装置。
  30. 【請求項30】請求項29において、前記発光体に給電
    する電気回路はインバータ回路であることを特徴とする
    電子装置。
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