JPH06140038A - 水素吸蔵合金電極 - Google Patents

水素吸蔵合金電極

Info

Publication number
JPH06140038A
JPH06140038A JP4281900A JP28190092A JPH06140038A JP H06140038 A JPH06140038 A JP H06140038A JP 4281900 A JP4281900 A JP 4281900A JP 28190092 A JP28190092 A JP 28190092A JP H06140038 A JPH06140038 A JP H06140038A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
hydrogen storage
storage alloy
electrode
hydrogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4281900A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Yamamura
康治 山村
Hajime Seri
肇 世利
庸一郎 ▲辻▼
Yoichiro Tsuji
Tsutomu Iwaki
勉 岩城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP4281900A priority Critical patent/JPH06140038A/ja
Priority to DE69326374T priority patent/DE69326374T2/de
Priority to EP93105939A priority patent/EP0566055B1/en
Publication of JPH06140038A publication Critical patent/JPH06140038A/ja
Priority to US08/384,809 priority patent/US5541018A/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極の高温保存特性を向上させることができ
る水素吸蔵合金電極を提供すること。 【構成】 一般式が、ZrMnwxyNiz(ただし、
MはFe,CrまたはCoの中から選ばれた1種以上の
元素であり、0.4≦w≦0.8,0.1≦x≦0.
3,0<y≦0.2,1.0≦z≦1.5,2.0≦w
+x+y+z≦2.4,y≦x、かつz−x≦1.2)
で示され、合金相の主成分がC15(MgCu2 )型ラ
ーヴェス(Laves)相である水素吸蔵合金をベース
として、その水素吸蔵合金にZnを添加した水素吸蔵合
金を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学的な水素の吸
蔵・放出を可逆的に行える水素吸蔵合金電極に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種の電源として広く使われてい
る蓄電池として鉛電池とアルカリ電池がある。このうち
アルカリ蓄電池は高信頼性が期待でき、小形軽量化も可
能などの理由で小型電池は各種ポ−タブル機器用に、大
型電池は産業用として使われてきた。
【0003】このアルカリ蓄電池において、正極として
は一部空気極や酸化銀極なども取り上げられているが、
ほとんどの場合ニッケル極である。ポケット式から焼結
式に代わって特性が向上し、さらに密閉化が可能になる
とともに用途も広がった。
【0004】一方、負極としてはカドミウムの他に亜
鉛、鉄、水素などが対象となっているが、現在のところ
カドミウム極が主体である。ところが、一層の高エネル
ギ−密度を達成するために金属水素化物つまり水素吸蔵
合金電極を使ったニッケル−水素蓄電池が注目され、製
法などに多くの提案がされている。
【0005】水素を可逆的に吸収・放出しうる水素吸蔵
合金を負極に使用するアルカリ蓄電池の水素吸蔵合金電
極は、理論容量密度がカドミウム極より大きく、また、
亜鉛極のような変形やデンドライトの形成などもないこ
とから、長寿命・無公害であり、しかも高エネルギー密
度を有するアルカリ蓄電池用負極として期待されてい
る。
【0006】このような水素吸蔵合金電極に用いられる
合金として、一般的にはTi−Ni系およびLa(また
はMm)−Ni系の多元系合金がよく知られている。T
i−Ni系の多元系合金は、ABタイプ(A:La,Z
r,Tiなどの水素との親和性の大きい元素、B:N
i,Mn,Znなどの遷移元素)として分類できるが、
この特徴として充放電サイクルの初期には比較的大きな
放電容量を示すが、充放電を繰り返すと、その容量を長
く維持することが困難であるという問題がある。また、
AB5 タイプのLa(またはMm)−Ni系の多元系合
金は、近年電極材料として多くの開発が進められ、特に
Mm−Ni系の多元系合金はすでに実用化されている
が、この合金系も比較的放電容量が小さいこと、電池電
極としての寿命性能が不十分であること、材料コストが
高いなどの問題を有している。したがって、さらに放電
容量が大きく長寿命である新規の水素吸蔵合金材料が望
まれている。
【0007】これに対して、AB2 タイプのラーヴェス
(Laves)相合金は水素吸蔵能が比較的高く、高容
量かつ長寿命の電極として有望である。すでにこの合金
系については、例えば、ZrαVβNiγMδ系合金
(特開昭64−60961号公報)やAxByNiz系
合金(特開平1−102855号公報)などを提案して
いる。また、充放電サイクル初期の放電特性を改善した
合金(特願平3−66354,平3−66355,平3
−66358,平3−66359明細書)などを提案し
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、AB2
タイプのラーヴェス(Laves)相合金を電極に用い
た場合、Ti−Ni系やLa(またはMm)−Ni系の
多元系合金に比べて放電容量は大きいが、充放電サイク
ルの初期での放電特性が非常に悪いという問題があっ
た。そこで、Zr−Mn−V−M−Ni系合金(MはF
eまたはCoの中から選ばれた1種以上の元素)で組成
を調整することにより、高容量を維持したまま初期放電
特性を改善することができた。しかし、密閉電池にした
場合、アルカリ電解液への合金組成の溶出が激しく、溶
出した元素が導電性の酸化物などの形で析出して短絡の
原因となり、例えば65℃中で放置するとすぐに電池電
圧が低下するという課題がある。
【0009】本発明は、従来のこのような課題を考慮
し、電極の高温保存特性を向上させることができる水素
吸蔵合金電極を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、合金相の主成
分がC15(MgCu2)型ラーヴェス(Laves)
相である水素吸蔵合金をベースとして、水素吸蔵合金に
Znを添加した水素吸蔵合金またはその水素化物を用い
て製造された水素吸蔵合金電極である。
【0011】また、ベースとなる水素吸蔵合金は、一般
式が、ZrMnwxyNiz(ただし、MはFe,Cr
またはCoの中から選ばれた1種以上の元素であり、
0.4≦w≦0.8,0.1≦x≦0.3,0<y≦
0.2,1.0≦z≦1.5,2.0≦w+x+y+z
≦2.4,y≦x、かつz−x≦1.2)で示される請
求項1記載の水素吸蔵合金電極である。
【0012】
【作用】本発明は、水素吸蔵合金電極が、合金相の主成
分がC15(MgCu2 )型ラーヴェス(Laves)
相である水素吸蔵合金をベースとして、水素吸蔵合金に
Znを添加した水素吸蔵合金またはその水素化物を用い
て製造されているので、アルカリ電解液への合金組成の
溶出を抑制することができる。
【0013】また、ベースとなる水素吸蔵合金に、一般
式が、ZrMnwxyNiz(ただし、MはFe,Cr
またはCoの中から選ばれた1種以上の元素であり、
0.4≦w≦0.8,0.1≦x≦0.3,0<y≦
0.2,1.0≦z≦1.5,2.0≦w+x+y+z
≦2.4,y≦x、かつz−x≦1.2)で示される合
金を用いているので、電気化学的な充放電特性において
初期から効率よく多量の水素を吸蔵−放出させることが
できる。
【0014】
【実施例】以下に、本発明をその実施例を示す図面に基
づいて説明する。 (実施例1)まず、以下のように合金試料を製造した。
すなわち、市販のZr,Mn,V,Co,Zn,Ni金
属を原料として、アルゴン雰囲気中、アーク溶解炉で加
熱溶解することにより、(表1)に示したようにZrM
0.60.2Co0.1Ni1.2をベースとして、それに対し
てZnを0〜10wt%添加した合金を作製した。次い
で、真空中、900〜1100℃で12時間熱処理し、
合金試料とした。
【0015】
【表1】
【0016】この合金試料の一部はX線回折などの合金
分析および水素ガス雰囲気における水素吸収−放出量測
定(通常のP(水素圧力)−C(組成)−T(温度)測
定)に使用し、残りは電極特性評価に用いた。
【0017】試料No.1は従来合金であり、Znが添
加されていない比較例である。試料No.7〜8は本発
明よりZnの添加量が大きい比較例であり、試料No.
2〜6は本発明にかかる実施例1の水素吸蔵合金の例で
ある。
【0018】まず、各合金試料について、X線回折測定
を行った。その結果、いずれの合金試料についても合金
相の主成分はC15型ラーヴェス(Laves)相(M
gCu2 型fcc構造)であることを確認した。また、
真空熱処理後のものは熱処理前と比べるとfccのピー
クがより大きく鋭くなったので、熱処理することにより
C15型Laves相の割合が増大し、合金の均質性お
よび結晶性も向上したことがわかった。結晶格子定数に
ついてはZnの添加量が増加するにつれて小さくなった
が、いずれも7.04〜7.07Åであった。
【0019】次に、各合金試料について、70℃におい
てPCT測定を行った。いずれの合金試料についても水
素化特性はほぼ同じであるが、Znの添加量が3wt%
を越えると水素吸蔵量が少し低下した。また、真空熱処
理することにより熱処理前と比べてプラトー領域の平坦
性が良くなっており、水素吸蔵量も増大した。
【0020】以上のような合金試料について、電気化学
的な充放電反応によるアルカリ蓄電池用負極としての電
極特性、特に、初期放電特性を評価するために単電池試
験を行った。
【0021】試料No.1〜8の合金を400メッシュ
以下の粒径になるように粉砕し、この合金粉末1gと導
電剤としてのカーボニルニッケル粉末3gおよび結着剤
としてのポリエチレン微粉末0.12gを十分混合撹伴
し、プレス加工により24.5Φ×2.5mmHの円板
状に成形した。これを真空中、130℃で1時間加熱
し、結着剤を溶融させて水素吸蔵合金電極とした。
【0022】この水素吸蔵合金電極にニッケル線のリー
ドを取り付けて負極とし、正極として過剰の容量を有す
る焼結式ニッケル極を、セパレータとしてポリアミド不
織布を用い、比重1.30の水酸化カリウム水溶液を電
解液として、25℃において一定電流で充電と放電を繰
り返し、各サイクルでの放電容量を測定した。なお、充
電電気量は水素吸蔵合金1gあたり100mA×5時間
であり、放電は同様に1gあたり50mAで行い、0.
8Vでカットした。その結果を図1に示す。図1は横軸
に充放電サイクル数を、縦軸に合金1gあたりの放電容
量を示したものであり、図中の番号は表1の試料No.
と一致している。図1からZnの添加量が増加するにつ
れて初期放電特性が悪くなることがわかる。しかし、1
サイクル目の放電容量が試料No.7〜8ではZnを添
加しない場合(試料No.1)の50%以下になったの
に対して、試料No.2〜6ではZnを添加しない場合
の70%以上であり、初期放電特性の低下があまり大き
くないことがわかった。
【0023】さらに、これらの水素吸蔵合金電極を用い
て以下に示したような方法で密閉形ニッケル−水素蓄電
池を作製した。
【0024】400メッシュ以下の粉末にした各水素吸
蔵合金をそれぞれカルボキシメチルセルローズ(CM
C)の希水溶液と混合撹拌してペースト状にし、電極支
持体として平均ポアサイズ150ミクロン、多孔度95
%、厚さ1.0mmの発泡状ニッケルシートに充填し
た。これを120℃で乾燥してローラープレスで加圧
し、更にその表面にフッ素樹脂粉末をコーティングして
水素吸蔵合金電極とした。
【0025】この電極をそれぞれ幅3.3cm、長さ2
1cm、厚さ0.40mmに調整し、リード板を所定の
2カ所に取り付けた。そして、正極およびセパレータと
組み合わせて円筒状に3層を渦巻き状にしてSCサイズ
の電槽に収納した。このときの正極は公知の発泡式ニッ
ケル極を選び、幅3.3cm、長さ18cmとして用い
た。この場合もリード板を2カ所に取り付けた。また、
セパレータは親水性を付与したポリプロピレン不織布を
使用し、電解液としては、比重1.20の水酸化カリウ
ム水溶液に水酸化リチウムを30g/l溶解したものを
用いた。これを封口して密閉形電池とした。この電池は
正極容量規制であり理論容量を3.0Ahにした。
【0026】このようにして作製した電池を、20℃に
おいて、充電は0.5C(2時間率)で150%まで、
放電は0.2C(5時間率)で終止電圧1.0Vとして
充放電を20サイクル行い、その後65℃中に放置し
た。図2に保存日数に対する各電池電圧を示す。図中の
番号は表1の試料No.と一致している。従来合金であ
る試料No.1では保存日数が10日を過ぎると電池電
圧が急激に低下したのに対して、Znを添加した試料N
o.2〜8では30日の保存でも電池電圧の低下が非常
に小さいことがわかった。
【0027】最後に単電池試験結果と65℃保存試験結
果とを一つにまとめて図3に示す。図3は横軸にZnの
添加量を、左側の縦軸に単電池試験における1サイクル
目の放電容量(グラフは△−△で示す折れ線)を、右側
の縦軸に65℃保存試験において30日保存後の電池電
圧(グラフは○−○で示す折れ線)を示したものであ
る。この図よりZnを0.5〜5wt%添加すれば、添
加前のベースとなる水素吸蔵合金電極の放電容量および
初期放電特性を維持しつつ、高温保存特性にも優れた水
素吸蔵合金電極が得られることがわかった。これは、Z
nを添加することによりアルカリ電解液中への合金組成
の溶出が抑えられるためである。しかし、Znは初期活
性を低下させる効果も有しているため、Znの添加量が
増加するにつれて初期放電特性が悪くなるが、Znの添
加量がベースとなる水素吸蔵合金に対して2〜3wt%
以下であれば、あまり大きな影響を及ぼさない。 (実施例2)市販のZr,Mn,V,Fe,Cr,C
o,Zn,Ni金属を原料として、アルゴン雰囲気中、
アーク溶解炉で加熱溶解することにより、表2に示した
ように、Znの添加量を1.5wt%とした各種合金を
作製した。表2に示したのはベースとなる水素吸蔵合金
の組成である。ただし、Mn量xが0.8以上のものは
アーク炉で作製すると多量のMnが蒸発し、目的合金を
得ることが困難であるため、誘導加熱炉で作製した。次
いで、真空中、900〜1100℃で12時間熱処理
し、合金試料とした。
【0028】
【表2】
【0029】この合金試料の一部はX線回折などの合金
分析および水素ガス雰囲気における水素吸収−放出量測
定(通常のP(水素圧力)−C(組成)−T(温度)測
定)に使用し、残りは電極特性評価に用いた。
【0030】試料No.9〜14はベースとなる水素吸
蔵合金の組成が本発明の実施例2とは異なる比較例であ
り、試料No.15〜27は本発明にかかる実施例2の
水素吸蔵合金の例である。まず、各合金試料について、
X線回折測定を行った。その結果、いずれの合金試料に
ついても合金相の主成分はC15型ラーヴェス(Lav
es)相(MgCu2 型fcc構造)であることを確認
した。また、真空熱処理後のものは熱処理前と比べると
fccのピークがより大きく鋭くなったので、熱処理す
ることによりC15型ラーヴェス(Laves)相の割
合が増大し、合金の均質性および結晶性も向上したこと
がわかった。特にMn量xが0.8以上のものについて
も均一組成の目的合金が得られたことを確認した。結晶
格子定数については、試料No.10は7.03Åより
小さかったが、それを除くといずれも7.03〜7.1
0Åであった。
【0031】次に、各合金試料について、70℃におい
てPCT測定を行った。試料No.10および11は水
素平衡圧力が大きく、試料No.11および13はプラ
トー領域の平坦性が非常に悪かった。これらを除くとい
ずれの合金試料についても水素化特性はそれほど大きな
違いはなく、水素吸蔵量はH/M=1.0〜1.2であ
り、試料No.10,11,13,14に比べて10〜
20%大きいことがわかった。また、真空熱処理するこ
とにより熱処理前と比べてプラトー領域の平坦性が良く
なっており、水素吸蔵量も増大した。このようなことは
Znを添加しない場合と同様の傾向であり、Znを1.
5wt%添加しても添加前と比べて水素化特性はほぼ同
じであることが確認できた。
【0032】以上のような合金試料について、電気化学
的な充放電反応によるアルカリ蓄電池用負極としての電
極特性を評価するために前述の実施例1と同様の方法で
単電池試験を行った。その結果を図4に示す。図4は横
軸に充放電サイクル数を、縦軸に合金1gあたりの放電
容量を示したものであり、図中の番号は表2の試料N
o.と一致している。いずれの試料も充放電サイクル初
期の放電特性は優れており、Znを添加しても初期活性
の低下は見られなかった。しかし、試料No.10,1
1,13,14は水素吸蔵量自体が小さいため飽和容量
が小さく、試料No.9はNi量が少ないため電気化学
的な活性に乏しく飽和容量が小さかった。また、試料N
o.12はMn量が多いためMnのアルカリ電解液中へ
の溶出が激しく、充放電サイクルを繰り返すと放電容量
が大きく低下した。これに対して本発明の水素吸蔵合金
電極では飽和容量が0.34〜0.37Ah/gであ
り、Znの添加による容量の低下はほとんどなかった。
【0033】更に、これらの水素吸蔵合金電極を用いて
実施例1と同様の方法で密閉形ニッケル−水素蓄電池を
作製し、65℃保存試験を行った。その結果を図5に示
す。図5は保存日数に対する各電池電圧を示したもので
あり、図中の番号は表2の試料No.と一致している。
試料No.12,13は保存日数10〜20日で電池電
圧が急激に低下した。これはそれぞれMn量,V量が多
いのでZnを添加してもアルカリ電解液中への溶出を抑
えきれないためと思われる。しかし、それら以外は、い
ずれも30日にわたる保存でも電池電圧の低下が非常に
小さいことがわかった。
【0034】以上のような単電池試験結果と65℃保存
試験結果とを考え合わせると、試料No.12,13以
外はZnの添加により良好な高温保存特性が得られた
が、高容量かつ優れた初期放電特性を有するのはベース
となる水素吸蔵合金が本発明の実施例2の合金組成のも
のだけであった。
【0035】また、本発明のベースとなる水素吸蔵合金
にZnを0.5,2,5wt%添加した場合においても
同様の単電池試験結果および65℃保存試験結果が得ら
れることを確認した。
【0036】ここで、本発明の水素吸蔵合金電極のベー
スとなる水素吸蔵合金の合金組成の作用について説明す
る。この合金組成は高容量かつ優れた初期放電特性を確
保するためのものである。
【0037】Vは水素吸蔵−放出量の増加に寄与し、N
iは吸蔵−放出量の低下を引き起こすが電気化学的な水
素の吸蔵−放出に対する活性の向上に寄与する。しか
し、V量xが0.1より小さいとVの効果が現れず、
0.3を越えると合金の均質性が悪くなり逆に吸蔵−放
出量は減少する。また、Ni量zが1.0より小さいと
電気化学的な活性に乏しく放電容量が小さくなり、1.
5より大きいと水素平衡圧力が大きくなり水素吸蔵−放
出量が減少する。したがって、V量xおよびNi量zは
それぞれ0.1≦x≦0.3,1.0≦z≦1.5が適
当である。しかし、VとNiは相反する効果を及ぼすの
でV量xとNi量zのバランスが重要であり、たとえx
およびzが上記の範囲内であってもz−xが1.2を越
えると水素吸蔵−放出量が小さくなってしまう。よっ
て、xおよびzが上記の範囲内で、かつz−x≦1.2
であることが必要である。
【0038】M(MはFe,CrまたはCoの中から選
ばれた1種以上の元素)も電気化学的な水素の吸蔵−放
出に対する活性の向上に寄与する。しかし、M量yが
0.2を越えると合金の水素吸蔵−放出能に影響を及ぼ
し水素吸蔵−放出量が小さくなる。したがって、M量y
は0<y≦0.2が適当であるが、V量xより多いと水
素平衡圧力が上昇し放電容量が小さくなってしまう。よ
ってM量に関しては0<y≦0.2、かつy≦xである
ことが必要である。
【0039】MnはPCT曲線における水素平衡圧力の
平坦性に影響を及ぼし、Mn量が0.4以上でその平坦
性が非常に良くなり、放電容量が増加する。しかし、M
n量が0.8を越えると、Mnの電解液への溶出が激し
くなって寿命特性が悪くなる。したがって、Mn量は
0.4≦w≦0.8が適当である。
【0040】以上のように、実施例1と実施例2の結果
から、高容量および優れた初期放電特性を損なわずに良
好な高温保存特性を有するためには、ベースとなる水素
吸蔵合金が本発明の合金組成の条件を満たし、さらにZ
nがベースとなる水素吸蔵合金に対して0.5〜5wt
%含まれていることが必要であることがわかった。
【0041】従って、本発明の電極を用いて構成したア
ルカリ蓄電池、例えばニッケル−水素蓄電池は、従来の
この電池に比べて高容量および優れた初期放電特性を損
なわずに高温保存特性を改善することが可能になる。
【0042】なお、上記実施例では、いずれも合金の均
質化熱処理を行う温度を900〜1100℃の範囲とし
たが、これに限らず、900〜1300℃の範囲で熱処
理を行えばよい。これは、900℃より低い温度では熱
処理の効果がなく、又1300℃を越える温度では合金
中の成分、特にMnが蒸発して組成が変化するためであ
る。
【0043】また、上記実施例では、いずれも合金の均
質化熱処理を真空中で行ったが、これに代えて、例えば
アルゴンガス等の不活性ガス中で行ってもよい。
【0044】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、水素吸蔵合金にZnを添加した水素吸蔵合金ま
たはその水素化物を用いているので、水素吸蔵合金電極
の高温保存特性を向上できるという長所を有する。
【0045】また、ベースとなる水素吸蔵合金に、一般
式が、ZrMnwxyNiz(ただし、MはFe,Cr
またはCoの中から選ばれた1種以上の元素であり、
0.4≦w≦0.8,0.1≦x≦0.3,0<y≦
0.2,1.0≦z≦1.5,2.0≦w+x+y+z
≦2.4,y≦x、かつz−x≦1.2)で示される合
金を用いた場合、高容量および優れた初期放電特性を損
なわないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる実施例1および比較例の単電池
試験結果を示す充放電サイクル特性図である。
【図2】実施例1および比較例の65℃保存試験結果を
示す高温保存特性図である。
【図3】ZrMn0.60.2Co0.1Ni1.2へのZn添加
量と放電容量および保存後電池電圧との相関を示す図で
ある。
【図4】本発明にかかる実施例2および比較例の単電池
試験結果を示す充放電サイクル特性図である。
【図5】実施例2および比較例の65℃保存試験結果を
示す高温保存特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩城 勉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金相の主成分がC15(MgCu2
    型ラーヴェス(Laves)相である水素吸蔵合金をベ
    ースとして、前記水素吸蔵合金にZnを添加した水素吸
    蔵合金またはその水素化物を用いて製造されたことを特
    徴とする水素吸蔵合金電極。
  2. 【請求項2】 ベースとなる前記水素吸蔵合金は、一般
    式が、ZrMnwxyNiz(ただし、MはFe,Cr
    またはCoの中から選ばれた1種以上の元素であり、
    0.4≦w≦0.8,0.1≦x≦0.3,0<y≦
    0.2,1.0≦z≦1.5,2.0≦w+x+y+z
    ≦2.4,y≦x、かつz−x≦1.2)で示されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵合金電極。
  3. 【請求項3】 Znの含有量が、ベースとなる前記水素
    吸蔵合金に対して0.5〜5wt%であることを特徴と
    する請求項1、又は2記載の水素吸蔵合金電極。
  4. 【請求項4】 Znが添加された水素吸蔵合金又はその
    水素化物を、900〜1300℃の真空中もしくは不活
    性ガス雰囲気中で均質化熱処理を施した合金を用いて製
    造されたことを特徴とする請求項1、2、又は3記載の
    水素吸蔵合金電極。
JP4281900A 1992-04-13 1992-10-20 水素吸蔵合金電極 Pending JPH06140038A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4281900A JPH06140038A (ja) 1992-10-20 1992-10-20 水素吸蔵合金電極
DE69326374T DE69326374T2 (de) 1992-04-13 1993-04-13 Wasserstoffspeicherlegierung Elektrode
EP93105939A EP0566055B1 (en) 1992-04-13 1993-04-13 A hydrogen storage alloy electrode
US08/384,809 US5541018A (en) 1992-04-13 1995-02-06 Hydrogen storing alloy electrode

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4281900A JPH06140038A (ja) 1992-10-20 1992-10-20 水素吸蔵合金電極

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06140038A true JPH06140038A (ja) 1994-05-20

Family

ID=17645528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4281900A Pending JPH06140038A (ja) 1992-04-13 1992-10-20 水素吸蔵合金電極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06140038A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5149383A (en) Hydrogen storage alloy electrode
JPS60241652A (ja) 金属水素化物を用いた電気化学用電極
EP0506084B1 (en) A hydrogen storage alloy and an electrode using the same
JPH05287422A (ja) 水素吸蔵合金電極
JP2579072B2 (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH0953136A (ja) 水素吸蔵合金および水素吸蔵合金電極
JPH0765833A (ja) 水素吸蔵合金電極
JP2563638B2 (ja) 水素吸蔵合金電極
JP3248762B2 (ja) 水素吸蔵合金電極及びその製造方法
JPH06140038A (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH0582125A (ja) 水素吸蔵合金電極
US5541018A (en) Hydrogen storing alloy electrode
JPH073365A (ja) 水素吸蔵合金および水素吸蔵合金電極
JP3352479B2 (ja) 水素吸蔵合金電極及びその製造方法
JP3470987B2 (ja) 水素吸蔵合金および水素吸蔵合金電極
JPH05347156A (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH0463240A (ja) 水素吸蔵合金電極およびこれを用いた電池
JPH05343056A (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH05343055A (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH05343054A (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH06150918A (ja) 水素吸蔵合金電極及びその製造方法
JPH08319529A (ja) 水素吸蔵合金および水素吸蔵合金電極
EP0612856B1 (en) Hydrogen storage alloy and electrode therefrom
JPH05343057A (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH0696763A (ja) 水素吸蔵合金電極及びその製造方法