JPH0613884B2 - 分割はめ合わせ式の頭部插通しボルト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は，ボルトを取り付けようとする板の手前側から
操作して，板の向こう側に手（もしくは工具）を差し入
れることなく，ボルトの頭部とナットとによって強固に
締結することができるように改良したボルトに関するも
のである。

［従来技術］ 板に孔をあけてボルトを插通し，ナットを螺合して固着
しようとした場合，従来のボルトでは，板の片側からボ
ルトの軸部を差しこみ，その板の反対側に付き出たボル
トの軸部にナットを螺合する方式であったために，少な
くとも板の向こう側に手（もしくは工具）を差し入れな
ければならなかった。

そこで，頭部を細長い棒状に形成したＴ字形のボルトが
用いられているが，ボルトの頭部を插通すためには孔を
長方形にあけなければならず，孔あけ作業が容易ではな
かった。

また，孔に頭部を插通した後に頭部を膨張せしめるアン
カー式のボルト状器具も広く用いられているが，複雑な
構造を要し，支持力が弱く，また取りはずすことができ
ない欠点があった。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は，前述の不具合を解消するためになされたもの
で，向こう側に入りこむことのできない板に孔をあけ，
板の手前側から操作することによって，板の向こう側に
插通したボルトの頭部とナットとによって強固に締結し
得るボルト状の部材を供給することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するため，本発明の分割はめ合わせ式
の頭部插通しボルトは，以下のごとく構成したものであ
る。

（イ）ボルトの軸部を，軸部の長さ方向に縦断する面に
よって少なくとも２個に分割し，それぞれを組み合わせ
た状態でナットを螺合できるように，軸部の外周面に雄
ネジを設ける。

（ロ）分割された軸部のそれぞれの分割面に，位置決め
用の凹凸を設ける。

（ハ）分割された軸部のそれぞれの一端に，軸部の中心
線と直角をなす方向に曲がった頭部を設ける。

（ニ）分割された軸部のそれぞれの頭部と反対側の末端
に，工具で押えつけることができる形状の端部突起を設
ける。

以上のごとく構成したことを特徴とするものである。

［作用］ 上記の構成によれば，少なくとも２個に分割されたボル
トの軸部に設けた頭部を，それぞれ順次に板の孔に插通
した後，それぞれの分割されたボルトの軸部を一体に組
み合わせることによって，ナットを螺合することができ
るので，板の向こう側に手（もしくは工具）を差し入れ
ることなく，強固に締結することができる。

［実施例］ 第１図及び第２図は，本発明の１実施例を示し，第１図
は分解した状態の斜視図，第２図は組み合わせた状態の
斜視図である。

第２図に示されているのと同様の素材を構成して，その
軸部の長さ方向に縦断する面によって分割できるように
形成すると，２の分割形ボルト１，１′が形成される。
本例では，軸部の中心線Ｘ−Ｘ′を含む面によって２個
に分割している。このとき軸部の外周面と分割面とが接
する線は，双方の分割形ボルトを組み合わせたときの合
わせ目の線（即ち分割線１ａ）に相当する。

本例のボルトの頭部５，５′は，軸部の中心線Ｘ−Ｘ′
に対して直角をなす方向に曲がった鉤状に形成してい
る。また，頭部の幅方向の寸法Ｗを軸部の直径よりも小
さく設定しているので，板の孔に頭部を容易に插通すこ
とができる。

第１図に示すごとく，分割形ボルト１，１′のそれぞれ
の分割面（即ち合わせ面Ｓ，Ｓ′）に，位置決め用凹凸
を設ける。本例では位置決め用の凹凸として，突起３と
穴４とを設けている。この突起３と穴４とをはめ合わせ
ることによって，双方の分割形ボルトを組み合わせたと
き，外周面に設けた雄ネジ２，２′が正確に整合するべ
く構成する。本発明を実施する際，位置決め用の凹凸の
形状，個数は，任意に設定することができる。

頭部と反対側の軸部の末端には，それぞれ端部突起６を
設ける。ナットを螺合するときボルトが空転する場合
は，端部突起６を工具で押さえつけながらナットを螺合
すれば，ボルト本体が空転することなく強固に締結する
ことができる。

第３図は，本例の分割はめ合わせ式の頭部插通しボルト
を，板７の孔７ａに取り付けた状態を示す断面図であ
る。

このように取り付けるには，２個に分割されたそれぞれ
の分割形ボルト１，１′の頭部５，５′を順次に孔７ａ
に插通し，係脱自在に構成された位置決め用の凹凸であ
る突起３と穴４とをはめ合わせ，それぞれの分割形ボル
トを一体に組み合わせた後に，座金８を介してナット９
を螺合する。ナットを螺合するときボルト本体が空転す
る場合は，端部突起６を工具で押さえつけながら締結す
る。

本発明の分割はめ合わせ式の頭部插通しボルトは，第３
図のごとく，取り付けた板の手前側にボルトの軸部が突
き出た形に固定される。したがって，他の物体を板に取
り突けるために，これを任意に利用できる。

第３図では，突き出た軸部に袋ナット１０ａと一体に形
成されたフック状の掛具１０を螺着した例を示してい
る。掛具は，このほか，ヒートン，ヨーオレなど，任意
の形状のものを利用できる。

また，板とナットとの間に，孔をあけた他の板状の物体
をはさんで固定することもできる。この場合，突き出た
軸部にキャップ状の覆いをかぶせれば，ボルトの軸部に
衣服や手を引っかけて傷つけることが避けられる。

第４図，第５図及び第６図は，本発明のボルトの軸を３
個に分割した実施態様の一例を示し，第４図は平面図，
第５図は正面図，第６図は底面図である。

本例は，軸部の中心線Ｘ−Ｘ′に接し，互いに１２０度
の角度をなす３つの面によって軸部を分割して，３個の
分割形ボルト１，１′，１″を形成し，それぞれの軸部
に，鉤状の頭部５，５′，５″を設けたものである。こ
れによって，頭部が３方向に分岐した形状になるため，
板に固定したときの支持力をより高めることができる。

［発明の効果］ 以上詳述したように，本発明の分割はめ合わせ式の頭部
插通しボルトは，向こう側に入りこむことのできない板
にあけた孔に，板の向こう側に手（もしくは工具）を差
し入れることなく，手前側から操作し，ナットを螺合す
ることによって，確実，強固に締結して取り付けること
ができる。

したがって，壁板，天井板，床板，あるいは箱，管など
の外板に他の物体を固着しようとするときに，これを利
用すると好都合である。

また，取り付けた後，ボルトが不要になった場合は，こ
れを損壊することなく取りはずすこともできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の分割はめ合わせ式の頭部插通しボルト
の１実施例を示す分解斜視図，第２図は同じく組立斜視
図である。 第３図は上記実施例の分割はめ合わせ式の頭部插通しボ
ルトを板に取り付けた状態の断面図である。 第４図は本発明の分割はめ合わせ式の頭部挿通しボルト
を三分割形にした実施例を示す平面図，第５図は同じく
正面図，第６図は同じく底面図である。 １，１′，１″は分割形ボルト，１ａは分割線，２，
２′，２″は雄ネジ，３は突起，４は穴，５，５′，
５″は頭部，６は端部突起，７は板，７ａは孔，８は座
金，９はナット，１０は掛具，１０ａは袋ナット。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ボルトの軸部を，軸部の長さ方向に縦断す
   る面によって少なくとも２個に分割し，それぞれを組み
   合わせた状態でナットを螺合できるように，軸部の外周
   面に雄ネジを設け，分割された軸部のそれぞれの一端
   に，軸部の直径よりも頭部の幅方向の寸法を小さく設定
   し，軸部の中心線と直角をなす方向にＬ字型に曲がった
   頭部を設け，それぞれの頭部と反対側の軸部の末端に，
   分割された軸部を組み合わせた状態ではさみつけること
   ができるように，平坦な形状に突き出た端部突起を設け
   たことを特徴とする分割はめ合わせ式の頭部插通しボル
   ト。