JPH06133801A - スキーブーツ用組成物 - Google Patents

スキーブーツ用組成物

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JPH06133801A
JPH06133801A JP30752992A JP30752992A JPH06133801A JP H06133801 A JPH06133801 A JP H06133801A JP 30752992 A JP30752992 A JP 30752992A JP 30752992 A JP30752992 A JP 30752992A JP H06133801 A JPH06133801 A JP H06133801A
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JP
Japan
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polyolefin
olefin elastomer
polyamide resin
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Application number
JP30752992A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Maekawa
和弘 前川
Yukihiko Yagi
幸彦 八木
Akira Amano
明 天野
Toshikazu Honda
俊和 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度、低温時の耐衝撃性、耐傷付性、
耐摩耗性及び耐候性に優れているとともに、吸湿時の物
性の低下が少ないスキーブーツ用組成物を提供する。 【構成】 ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフィンと、
変性オレフィン系エラストマーと、チタン酸カリウムウ
ィスカーと、リン系化合物とをそれぞれ特定の範囲内で
含有してなる組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スキーブーツ用組成物
に関し、特に機械的強度、低温時の耐衝撃性、耐傷付
性、耐摩耗性及び耐候性に優れているとともに、吸湿時
の物性の低下が少ないスキーブーツ用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
各種スポーツ用品に種々の熱可塑性樹脂が用いられるよ
うになってきた。例えば、スキーブーツは、機械的強度
及び軽量化とともに、艶やかな着色を施すなどファッシ
ョン性が要求される。
【0003】このようなスキーブーツ用の樹脂として
は、機械的強度に優れていることからポリアミド樹脂が
広く用いられている。しかしながら、ポリアミド樹脂
は、それ単独で使用した場合には柔軟性、特に低温時に
おける柔軟性が不足し、使用中の衝撃により破壊しやす
く、また、吸水性が高いため、着雪時等濡れた場合に
は、機械的強度が大幅に低下するという問題がある。
【0004】また、ポリアミドの代わりに高密度ポリエ
チレン等のポリオレフィンを用いることが考えられる。
しかしながら、高密度ポリエチレンは、吸水性はほとん
どないものの、十分な硬度を有していないため、耐傷付
き性や耐摩耗性が劣るという問題がある。
【0005】上述したような問題を解決することを目的
として、ポリアミド樹脂及び/又はポリオレフィンにゴ
ム成分を配合することが行われているが、ポリアミド樹
脂にゴム系成分を配合したものは、実用時の剛性が低
く、スキーブーツとした時には滑走性能が低下してしま
うという問題がある。またポリオレフィンにゴム系成分
を配合したものは、表面光沢がなく、華やかさが要求さ
れる近年のスキーブーツ用には適さないという問題があ
る。そのため、種々の提案がなされている。
【0006】特公平2─24121号は、熱可塑性樹脂
を成形してなる上部外皮及び/又は底部を有するスキー
靴において、前記樹脂がポリアミド樹脂(A) と、酸変性
オレフィン共重合体(B) と、可塑剤(C) とを、(A) /
(B) =40/60〜90/10、(C) /{(A) +(B) }
=1/100〜20/100の重量比で配合してなるポ
リアミド樹脂組成物である弾性スキー靴を開示してい
る。
【0007】しかしながら、上記組成物からなるスキー
靴は、低温時の耐衝撃性について多少の改善が認められ
るものの、いまだ十分な耐衝撃性を有するものでなく、
しかも耐傷付性に劣るため、成形品の組み立て時や、搬
送時に傷が付きやすいという問題がある。このように傷
付きやすいという点は、近年のファッション性が重要視
されるスキーブーツにおいては、重要な問題である。
【0008】また、樹脂成分に可塑剤を配合することに
より、柔軟性を付与し、耐衝撃性及び耐ストレスクラッ
キング性を改善することが行われているが、そうすると
可塑剤が成形品表面にブリードアウトしてくるため、外
観を損なうという問題がある。
【0009】したがって、本発明の目的は、機械的強
度、低温時の耐衝撃性、耐傷付性、耐摩耗性及び耐候性
に優れているとともに、吸湿時の物性の低下が少ないス
キーブーツ用組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、ポリアミド樹脂と、変性ポリオ
レフィンと、変性オレフィン系エラストマーと、チタン
酸カリウムウィスカーと、リン系化合物とをそれぞれ特
定の範囲内で含有してなる組成物は、機械的強度、低温
時の耐衝撃性、耐傷付性、耐摩耗性及び耐候性に優れて
いるとともに、吸湿時の物性の低下が少なく、スキーブ
ーツ用として好適であることを見出し、本発明に想到し
た。
【0011】すなわち本発明のスキーブーツ用組成物
は、(a) ポリアミド樹脂55〜90重量%と、(b) 変性ポリ
オレフィン、あるいは前記変性ポリオレフィンを1重量
%以上含有するポリオレフィン樹脂混合物2〜25重量%
と、(c) 変性オレフィン系エラストマー、あるいは前記
変性オレフィン系エラストマーを1重量%以上含有する
オレフィン系エラストマー混合物2〜40重量%と、前記
(a) +(b) +(c) の合計100 重量部に対して、(d) チタ
ン酸カリウムウィスカー0.01〜5重量部と(e) リン系化
合物0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする。
【0012】本発明を以下詳細に説明する。まず、本発
明のスキーブーツ用組成物を構成する各成分について説
明する。
【0013】(a) ポリアミド樹脂 本発明において(a) ポリアミド樹脂としては、ヘキサメ
チレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレ
ンジアミン、2,2,4-又は2,4,4,−トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シク
ロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタ
ン)、m−又はp−キシリレンジアミンのような脂肪
族、脂環族又は芳香族のジアミンと、アジピン酸、スベ
リン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テ
レフタル酸、イソフタル酸のような脂肪族、脂環族又は
芳香族のジカルボン酸とから製造されるポリアミド、6
−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−ア
ミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸から製造され
るポリアミド、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタ
ムのようなラクタムから製造されるポリアミド、及びこ
れらの成分からなる共重合ポリアミド、又はこれらのポ
リアミドの混合物等が挙げられる。具体的にはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610 、ナイロン9、ナイロン
6/66、ナイロン66/610 、ナイロン6/11、ナイロン
6/12、ナイロン12、ナイロン46、非晶質ナイロン等が
挙げられる。これらの中では、剛性、耐熱性の良好な点
でナイロン6及びナイロン66が好ましい。
【0014】上記ポリアミド樹脂の分子量は特に制限さ
れないが、通常相対粘度ηr (JISK6810 、98%硫酸中
で測定)が0.5 以上のものが用いられ、中でも2.0以上
のものが機械的強度が優れている点で好ましい。
【0015】(b) 変性ポリオレフィン (b) 変性ポリオレフィンは、カルボキシル基、あるいは
エポキシ基を有する不飽和モノマーによる変性ポリオレ
フィンである。
【0016】上記変性ポリオレフィンにおいて、変性対
象となるポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペン
テン-1等のα−オレフィンの単独重合体、エチレンとプ
ロピレン又は他のα−オレフィンとの共重合体、もしく
はこれらのα−オレフィンの2種以上の共重合体等が挙
げられる。これらの中では、ポリプロピレン及びポリエ
チレンが好ましい。ポリプロピレンはプロピレンのホモ
ポリマーに限られず、プロピレン成分を50モル%以上、
好ましくは80モル%以上含む他のα−オレフィンとのラ
ンダム又はブロック共重合体も使用することができる。
プロピレンに共重合するコモノマーとしてはエチレンそ
の他のα−オレフィンがあり、エチレンが特に好まし
い。またポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、
線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン等を用いることができるが、特に高密度ポ
リエチレンが好ましい。
【0017】上記ポリエチレンのメルトインデックス
(MI、190 ℃、2.16kg荷重)は、0.1〜100 g/10 分が好
ましく、特に5〜20g/10 分が好ましい。
【0018】また、ポリプロピレンのメルトフローレー
ト (MFR 、230 ℃、2.16kg荷重)は、0.1 〜100 g/10
分が好ましく、特に0.5 〜10g/10 分が好ましい。
【0019】このようなポリオレフィンの変性用モノマ
ーとしては、カルボキシル基あるいはエポキシ基を含有
する不飽和モノマーを使用する。
【0020】カルボキシ基含有不飽和モノマーとして
は、不飽和カルボン酸又はその無水物が好ましく、例え
ばアクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸、無水
マレイン酸、無水イタコン酸、エンド−ビシクロ−[2,
2,1] −5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物 (無
水ハイミック酸) 等のジカルボン酸無水物等が挙げら
れ、特にジカルボン酸及びその無水物が好ましい。
【0021】また、エポキシ基含有不飽和モノマーとし
ては、例えばメタクリル酸グリシジルエステル、アクリ
ル酸グリシジルエステル等が挙げられる。
【0022】さらに、下記一般式(1) :
【化1】 (式中、RはH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1つ以上有する炭
素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、nは1〜4の整
数を表す。) で表されるアクリルアミド基とエポキシ基
とを有するグリシジル化合物も変性用モノマーとして用
いることができる。
【0023】好ましいグリシジル化合物としては、下記
一般式(2) で表されるものが挙げられる。
【化2】 (式中、RはH又は炭素数1〜6のアルキル基であ
る。)
【0024】このようなグリシジル化合物は、例えば特
開昭60-130580 号に示される方法により製造することが
できる。
【0025】上記変性用モノマーによる変性ポリオレフ
ィンはブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム
共重合体又は交互共重合体のいずれでもよい。
【0026】変性ポリオレフィン中の変性用モノマーの
含有量は0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%の
範囲内となるようなものであるのが好ましい。変性用モ
ノマーによる変性量が0.01重量%未満では、ポリオレフ
ィンとポリアミド樹脂との相溶性向上に十分な効果がな
く、また5重量%を超えると機械的強度が低下する。
【0027】変性ポリオレフィンの製造は溶液法又は溶
融混練法のいずれでも行うことができる。溶融混練法の
場合、ポリオレフィン、変性用モノマー及び触媒を押出
機や二軸混練機等に投入し、180 〜250 ℃の温度に加熱
して溶融しながら混練する。また溶液法の場合、キシレ
ン等の有機溶剤に上記出発物質を溶解し、90〜140 ℃の
温度で攪拌しながら行う。いずれの場合にも、触媒とし
て通常のラジカル重合用触媒を用いることができ、例え
ば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジター
シャリーブチル、過酸化アセチル、ターシャリーブチル
ペルオキシ安息香酸、過酸化ジクミル、ぺルオキシ安息
香酸、ペルオキシ酢酸、ターシャリーブチルペルオキシ
ピバレート、2,5-ジメチル-2,5- ジターシャリーブチル
ペルオキシヘキシン等の過酸化物類や、アゾビスイソブ
チロニトリル等のジアゾ化合物類等が好ましい。触媒の
添加量は変性用モノマー 100重量部に対して1〜 100重
量部程度である。
【0028】上述したような変性ポリオレフィンの溶融
粘度は、変性ポリプロピレンの場合、メルトフローレー
ト (MFR 、190 ℃、1050 g荷重) が0.1 〜500 g/10
分、特に0.5 〜50g/10分であるのが好ましく、変性ポ
リエチレンの場合、メルトインデックス (MI、190 ℃、
1050 g荷重) が 0.1〜50g/10 分、特に0.5 〜10g/10
分であるのが好ましい。
【0029】本発明においては、上述したような変性ポ
リオレフィンを、未変性のポリオレフィンで稀釈したポ
リオレフィン樹脂混合物も使用することができる。未変
性のポリオレフィンとしては、上述した変性対象のポリ
オレフィンを用いることができる。
【0030】ポリオレフィン樹脂混合物の場合、変性ポ
リオレフィンの割合は、変性ポリオレフィン+未変性の
ポリオレフィンを100 重量%として1重量%以上、好ま
しくは5重量%以上である。変性ポリオレフィンの含有
量が1重量%未満ではポリオレフィン樹脂(変性ポリオ
レフィン+未変性のポリオレフィン)とポリアミド樹脂
との相溶性向上に十分な効果がない。
【0031】ただし、変性ポリオレフィン+未変性のポ
リオレフィンを100 重量%として、変性用モノマーの含
有量を0.005 重量%以上、特に0.01〜1重量%とするの
が好ましい。変性用モノマーの含有量が0.005 重量%未
満ではポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂との相溶性
向上に十分な効果がない。
【0032】(c) 変性オレフィン系エラストマー (c) 変性オレフィン系エラストマーは、カルボキシル
基、あるいはエポキシ基を有する不飽和モノマーにより
オレフィン系エラストマーを変性したものである。
【0033】上記変性オレフィン系エラストマーにおい
て、変性対象となるオレフィン系エラストマーとして
は、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、4-
メチルペンテン-1等のα−オレフィンの2種又は3種以
上の共重合体ゴム、又はα−オレフィンと他種モノマー
との共重合体ゴム等が挙げられる。上記α−オレフィン
の2種又は3種以上の共重合体ゴムとしては、典型的に
はエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン
−ブテン共重合体ゴム(EBR)、及びエチレン−プロピレ
ン−ジエン共重合体ゴム(EPDM) が挙げられる。エチレ
ン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM) 中のジエ
ンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエ
ン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等の非
共役ジエン又はブタジエン、イソプレン等の共役ジエン
を使用することができる。またα−オレフィンと共重合
する他種モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸エ
ステル等を用いることができる。α−オレフィンと他種
モノマーとの共重合体の典型的な例としてはエチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。
【0034】エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)
は、エチレンの含有率が40〜90モル%、プロピレンの含
有率が10〜60モル%であることが好ましい。より好まし
い範囲は、エチレンが50〜90モル%、プロピレンが10〜
50モル%である。
【0035】また、EPR のメルトインデックス(190
℃、2.16kg荷重)は0.5 〜15g/10分の範囲内にあるの
が好ましく、より好ましくは3〜9g/10分である。
【0036】エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)は、
エチレンの含有率が60〜97モル%、ブテン−1の含有率
が3〜40モル%であることが好ましい。より好ましい範
囲は、エチレンが80〜95モル%、ブテン−1が5〜20モ
ル%である。
【0037】また、EBR のメルトインデックス(190
℃、2.16kg荷重)は0.5 〜15g/10分の範囲内にあるの
が好ましく、より好ましくは3〜9g/10分である。
【0038】また、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合体(EPDM) は、エチレンの含有率が40〜89モル%、プ
ロピレンの含有率が10〜59モル%、及びジエンの含有率
が1〜10モル%であることが好ましい。
【0039】さらに、EPDMのムーニー粘度ML1+8 (100
℃) は5〜100 の範囲内にあるのが好ましく、より好ま
しくは10〜50である。
【0040】エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EP
R)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)及びエチレン
−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM) は、基本的
には上記の繰返し単位からなるものであるが、これらの
共重合体の特性を損なわない範囲内で、他のα−オレフ
ィンなどの他の繰り返し単位を、10モル%以下の割合ま
で含んでもよい。
【0041】さらに、本発明においてはオレフィン系エ
ラストマーとして、水添スチレン−ブタジエンブロック
共重合体(SEBS:スチレン−エチレン・ブチレン−
スチレンブロック共重合体)、水添スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体(SEPS:スチレン−エチレン・
プロピレン−スチレンブロック共重合体)等のエラスト
マーも用いることができる。
【0042】上記エラストマー成分におけるスチレンの
含有率は5〜50重量%であるのが好ましく、さらに、そ
のメルトフローレート(MFR 、230 ℃、2.16kg) は0.1
〜100 g/10 分の範囲内にあるのが好ましく、より好ま
しくは1〜50g/10 分である。
【0043】このようなオレフィン系エラストマーの変
性用モノマーとしては、上述した変性ポリオレフィンと
同様のものを用いることができる。
【0044】変性オレフィン系エラストマー中の変性用
モノマーの含有量は0.01〜5重量%、好ましくは0.5 〜
3重量%の範囲内となるようなものであるのが好まし
い。変性用モノマーによる変性量が0.01重量%未満であ
ると、オレフィン系エラストマーとポリアミド樹脂との
相溶性向上に十分な効果がなく、また5重量%を超える
と機械的強度が低下する。
【0045】変性オレフィン系エラストマーの製造は上
述した変性ポリオレフィンの製造と同様に溶液法又は溶
融混練法のいずれでも行うことができる。溶融混練法の
場合、オレフィン系エラストマー、変性用モノマー及び
触媒を押出機や二軸混練機等に投入し、150 〜250 ℃の
温度に加熱して溶融しながら混練する。また溶液法の場
合、キシレン等の有機溶剤に上記出発物質を溶解し、60
〜140 ℃の温度で攪拌しながら行う。
【0046】本発明においては、上述したような変性オ
レフィン系エラストマーを、未変性のオレフィン系エラ
ストマーで稀釈したオレフィン系エラストマー混合物も
使用することができる。未変性のオレフィン系エラスト
マーとしては、上述した変性対象のオレフィン系エラス
トマーを用いることができる。
【0047】オレフィン系エラストマー混合物の場合、
変性オレフィン系エラストマーの割合は、変性オレフィ
ン系エラストマー+未変性のオレフィン系エラストマー
を100 重量%として1重量%以上、好ましくは10重量%
以上である。変性オレフィン系エラストマーの含有量が
1重量%未満では、オレフィン系エラストマーとポリア
ミド樹脂との相溶性向上に十分な効果がない。
【0048】ただし、変性オレフィン系エラストマー+
未変性のオレフィン系エラストマーを100 重量%とし
て、変性用モノマーの含有量を0.005 重量%以上、特に
0.1 〜2重量%とするのが好ましい。変性用モノマーの
含有量が0.001 重量%未満ではオレフィン系エラストマ
ーとポリアミド樹脂との相溶性向上に十分な効果がな
い。
【0049】(d) チタン酸カリウムウィスカー チタン酸カリウムウィスカーは、K2 TiO3 又はK2
Ti2 5 の化学式で表されるものであり、一般には、
2 TiO3 で表されるものを指す。上記チタン酸カリ
ウムウィスカーは、0.1 〜0.3 の嵩比重、10〜30μmの
平均繊維長、0.5 〜10μmの平均繊維径及び10〜60のア
スペクト比を有する。
【0050】上述したようなチタン酸カリウムウィスカ
ーは、例えばエポキシ系シランカップリング剤等により
表面処理を施したものが好ましい。
【0051】(e) リン系化合物 リン系化合物としては、アルキルホスファイト、アルキ
ルアリルホスファイト、アリルホスファイト、アルキル
ホスホナイト等のリン系安定剤を挙げることができる。
例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、1,1,3−ト
リス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5
−t−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリルペンタエ
リスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンホス
ホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル−4
−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト等を挙げることができる。
【0052】なお、リン系化合物以外の安定剤、例えば
フェノール化合物では、着色の原因となるため、華やか
さの要求されるスキーブーツ用には適しないので、添加
しないほうが好ましい。
【0053】上述したような各成分の配合割合は、(a)
ポリアミド樹脂が55〜90重量%、好ましくは65〜85重量
%であり、(b) 変性ポリオレフィン(あるいはそれを含
有するポリオレフィン樹脂混合物)が2〜25重量%、好
ましくは5〜20重量%であり、(c) 変性オレフィン系エ
ラストマー (あるいはそれを含有するオレフィン系エラ
ストマー混合物) が2〜40重量%、好ましくは5〜30重
量%である。
【0054】ポリアミド樹脂が55重量%未満では、ポリ
アミド樹脂のマトリックス相が形成されないため、機械
的強度及び硬度(耐傷付性)が低下し、一方90重量%を
超えると、吸水時の機械的強度の保持率が低下する。
【0055】変性ポリオレフィン(あるいはそれを含有
するポリオレフィン樹脂組成物)が2重量%未満では、
吸水時の機械的強度の保持率が低下し、一方25重量%を
超えると、硬度が低下する。
【0056】変性オレフィン系エラストマー (あるいは
それを含有するオレフィン系エラストマー混合物) が2
重量%未満では、耐衝撃性、特に低温時の耐衝撃性が十
分でなく、一方40重量%を超えると、機械的強度及び表
面光沢が低下する。
【0057】また、(d) チタン酸カリウムウィスカーの
配合量は、樹脂成分((a) +(b) +(c) )の合計100 重
量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1 〜3重
量部である。チタン酸カリウムウィスカーの配合量が0.
01重量部未満では、耐摩耗性(硬度)向上効果が十分で
なく、また5重量部を超えると、耐衝撃性が低下する。
【0058】さらに、(e) リン系化合物の配合量は、樹
脂成分((a) +(b) +(c) )の合計100 重量部に対し
て、0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5 重量部であ
る。リン系化合物の配合量が0.01重量部未満では耐候性
が十分でなく、また1重量部を超えると着色の原因とな
る。
【0059】本発明のスキーブーツ用組成物には、その
他にその改質を目的として、適宜他の添加剤を添加する
ことができる。
【0060】上述したような各成分からなる本発明のス
キーブーツ用組成物は、上述した各成分を一軸押出機、
二軸押出機等の押出機などを用いて、220 〜300 ℃で加
熱溶融状態で混練することにより得ることができる。な
お、チタン酸カリウムウィスカーは、樹脂成分(ポリア
ミド、変性ポリオレフィン及び変性オレフィン系エラス
トマー)に始めから添加して溶融混練してもよいし、あ
るいは樹脂成分をある程度溶融混練した後添加し、さら
に溶融混練してもよい。
【0061】このようにして得られる本発明のスキーブ
ーツ用組成物は、通常の射出成形法により、スキーブー
ツとすることができる。上記射出成形の条件としては、
シリンダ温度を220 〜300 ℃、特に230 〜250 ℃、金型
温度を20〜100 ℃、射出圧力を300 〜1000kg/cm2 とす
るのが好ましい。
【0062】
【作用】本発明のスキーブーツ用組成物は、ポリアミド
樹脂と、変性ポリオレフィンと、変性オレフィン系エラ
ストマーと、チタン酸カリウムウィスカーと、さらにリ
ン系化合物とをそれぞれ特定の範囲内で含有してなるの
で、機械的強度、低温時の耐衝撃性、耐傷付性、耐摩耗
性及び耐候性に優れているとともに、吸湿時の物性の低
下が少ない。
【0063】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、ポリアミド樹脂と、変性ポ
リオレフィンと、変性オレフィン系エラストマーとを本
発明の範囲内で配合することにより、ポリアミド樹脂の
有する機械的強度、耐傷付性(硬度)、耐ストレスクラ
ッキング性と、変性ポリオレフィンの有する低吸水性
と、変性オレフィン系エラストマーの有する耐衝撃性と
がそれぞれ発揮され、またチタン酸カリウムウィスカー
の添加により機械的強度及び耐傷付性(硬度)が補強さ
れ、さらに、リン系化合物の添加により着色性を損なう
ことなく、耐候性を保持することにより、スキーブーツ
用樹脂組成物としてそれぞれ好適な物性を有するためで
あると考えられる。
【0064】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。なお、原料となる樹脂成分及びチタン酸カリウ
ムウィスカーとしては以下のものを使用した。 [1] ポリアミド樹脂 ナイロン6:Ny6〔D−L−INT、JSR─アライ
ド(株)製、相対粘度(JIS K6810 、98%硫酸中で測
定)〔ηr 〕2.7 〕 [2] 変性ポリオレフィン ・無水マレイン酸変性ポリプロピレン CMPP:〔無水マレイン酸付加量0.03重量%、メルト
フローレート(190℃、1050g荷重) 5g/10 分〕 [3] 変性オレフィン系エラストマー ・無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体ゴム CMEBR〔無水マレイン酸の付加量0.9 重量%、メル
トフローレート(190℃、1050g荷重) 2g/10 分〕 [4] チタン酸カリウムウィスカー K2 TiO3 :〔大塚化学(株)製 トフィカ、平均繊
維長15μm、平均繊維径0.5 μm、アスペクト比30〕 [5] リン系化合物 P:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト [6] フェノール系化合物 Ph:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メ
タン
【0065】実施例1〜3及び比較例1〜6 第1表に示す配合割合でポリアミド樹脂(Ny6)、変
性ポリプロピレン(CMPP)、変性オレフィン系エラ
ストマー(CMEBR)、チタン酸カリウムウィスカー
(K2 TiO3 )及びリン系化合物(P)又はフェノー
ル系化合物(Ph)をドライブレンドした後、45mmφの
二軸押出機(L/D=30) により、250 ℃、200 rpmで混
練して組成物のペレットを得た。
【0066】得られたペレットを用いて、射出成形によ
り後述する物性試験の試験片を作成し、乾燥条件下及び
吸水条件下での曲げ弾性率及びその保持率、低温(−3
0℃)におけるアイゾット衝撃強度、耐傷付性(ロック
ウェル硬度)、耐摩耗性及び耐候性の評価を行った。結
果を第2表に示す。
【0067】第 1 表組成(重量部) 実施例1 実施例2 実施例3 Ny6 65 65 65 CMPP 15 15 5 CMEBR 20 20 30 K2 TiO3 3 0.1 3 P 0.1 0.1 0.1
【0068】第 1 表 (続 き)組成(重量部比較例1 比較例2 比較例3 Ny6 65 80 80 CMPP 15 − − CMEBR 20 20 20 K2 TiO3 − − 3 P 0.1 0.1 0.1 Ph − − −
【0069】第 1 表 (続 き)組成(重量部比較例4 比較例5 比較例6 Ny6 100 65 65 CMPP − 15 15 CMEBR − 20 20 K2 TiO3 3 3 3 P 0.1 − − Ph − 0.1 −
【0070】 第 2 表 物 性 実施例1 実施例2 実施例3 曲げ弾性率の保持率(1) 80 80 80 アイゾット衝撃強度(−30℃)(2) 70 70 75 ロックウェル硬度(3) 100 100 95 耐摩耗性(4) 3 4 3 耐候性(5) 5 5 5
【0071】 第 2 表 (続 き) 物 性 比較例1 比較例2 比較例3 曲げ弾性率の保持率(1) 80 40 40 アイゾット衝撃強度(−30℃)(2) 70 15 10 ロックウェル硬度(3) 96 90 95 耐摩耗性(4) 10 8 5 耐候性(5) 5 5 10
【0072】 第 2 表 (続 き) 物 性 比較例4 比較例5 比較例6 曲げ弾性率の保持率(1) 30 80 80 アイゾット衝撃強度(−30℃)(2) 3 70 65 ロックウェル硬度(3) 120 100 100 耐摩耗性(4) 2 3 3 耐候性(5) 10 30 20
【0073】(1)曲げ弾性率:23℃において、ASTM D790
により乾燥条件下、及び吸水条件下(40℃の温水にテ
ストピースを浸漬して50%RH飽和吸水量相当まで吸水さ
せた場合) についての曲げ弾性率(単位はkg/cm2 )を
それぞれ測定し、その保持率(単位は%)を算出した。 (2)アイゾット衝撃強度:−30℃においてASTM D256 に
より測定(単位はkg・cm/cm)した。 (3)ロックウエル硬度:ASTM D758 Rスケールにより測
定した (単位はR) 。 (4)耐摩耗性:ASTM D1044によりテーバー摩耗を測定
(単位はmg/1000サイクル) した。 (5)耐候性:63℃、雨有のサンシャインウェザーメー
ター内に168時間放置した後の黄色度の差(ΔYI)
を測定した。
【0074】第2表から明らかなように、実施例1〜3
の組成物は、吸水条件下での曲げ弾性率の保持率、低温
時の耐衝撃性、耐傷付性、耐摩耗性及び耐候性が良好で
あった。これに対して、各比較例の組成物は上記値の少
なくとも1つが大幅に劣るものであった。
【0075】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明のスキー
ブーツ用組成物は、ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフ
ィンと、変性オレフィン系エラストマーと、チタン酸カ
リウムウィスカーと、リン系化合物をそれぞれ特定の範
囲内で含有してなるので、機械的強度、低温時の耐衝撃
性、耐傷付性、耐摩耗性及び耐候性に優れているととも
に、吸湿時の物性の低下が少ない。このような本発明の
組成物は、スキーブーツ用の樹脂として極めて好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:26) (72)発明者 本田 俊和 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 東 燃化学株式会社技術開発センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) ポリアミド樹脂55〜90重量%と、
    (b) 変性ポリオレフィン、あるいは前記変性ポリオレフ
    ィンを1重量%以上含有するポリオレフィン樹脂混合物
    2〜25重量%と、(c) 変性オレフィン系エラストマー、
    あるいは前記変性オレフィン系エラストマーを1重量%
    以上含有するオレフィン系エラストマー混合物2〜40重
    量%と、前記(a) +(b) +(c) の合計100 重量部に対し
    て、(d) チタン酸カリウムウィスカー0.01〜5重量部と
    (e) リン系化合物0.01〜1重量部とを含有することを特
    徴とするスキーブーツ用組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001172498A (ja) * 1999-12-06 2001-06-26 Hyundai Motor Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2017509763A (ja) * 2014-04-02 2017-04-06 アルケマ フランス 溶融状態で高いレベルの流動性を有する、新規耐衝撃性改質熱可塑性組成物

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JP2001172498A (ja) * 1999-12-06 2001-06-26 Hyundai Motor Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2017509763A (ja) * 2014-04-02 2017-04-06 アルケマ フランス 溶融状態で高いレベルの流動性を有する、新規耐衝撃性改質熱可塑性組成物
US10800918B2 (en) 2014-04-02 2020-10-13 Arkema France Impact-modified thermoplastic composition having a higher level of fluidity in the melted state

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