JPH0613111B2 - 塗装法 - Google Patents

塗装法

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JPH0613111B2
JPH0613111B2 JP60293269A JP29326985A JPH0613111B2 JP H0613111 B2 JPH0613111 B2 JP H0613111B2 JP 60293269 A JP60293269 A JP 60293269A JP 29326985 A JP29326985 A JP 29326985A JP H0613111 B2 JPH0613111 B2 JP H0613111B2
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駒治 松井
泰弘 藤井
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、下塗塗装−中塗塗装−上塗塗装からなる塗装
系に基いて形成される複合塗膜の耐チッピング性、仕上
がり外観などを向上させることに関する。
下塗塗装−中塗塗装−上塗塗装からなる塗装系は、自動
車車体、電気製品、事務機器、鋼製家具などの塗装に多
く採用されている。
このうち、耐チッピング性などの向上を最も必要として
いる自動車車体についてみると、自動車外板部におい
て、衝撃剥離による塗膜の耐食性ならびに外観(商品価
値)の低下の問題が重視されつつある。
例えば、走行中の自動車は、その車体外面部において、
周囲の走行中の車両および自らの車輪で跳ね上げられた
小石などが複合塗膜面に衝突し、その衝撃により、複合
塗膜が局部的に剥離する現象、いわゆる“チッピング”
を起こすることがしばしばある。
このチッピングによって、複合塗膜に強い衝撃力が付加
されると複合塗膜が剥離して素材金属面が露出して発錆
し、腐食するが、衝撃力が小さいと複合塗膜の表層部分
(例えば、上塗り塗膜)のみが著しく剥離する(通常こ
の現象を「ピーリング」と称している)。これらによ
り、前者は自動車外板部の耐久性が急激に低下し、後者
は美観性を損なわしめるので、いずれも好ましくない。
そこで、これらの問題を解決するために、従来から、下
塗塗料、中塗塗料および上塗塗料について程々の検討が
加えられているが、現在に至るまで、特にピーリングに
関して抜本的な解決策は見て出されていない。
さらに、上記複合塗膜に関し、上塗塗膜面の平滑性、光
沢、メタリック感、鮮映性などの向上も強く望まれてい
る。
そこで本発明者等は、下塗塗装−中塗塗装−上塗塗装か
らなる塗装系に基いて得られる複合塗膜の耐チッピング
性、特にピーリング性、仕上がり外観などを向上させる
ことを目的に鋭意研究を重ねた。
その結果、今回、中塗塗膜と上塗塗膜との層間に特定の
物理的性状を有するアクリル樹脂系塗料を塗装して中間
緩衝層を設け、そして、この塗膜が未硬化で所定範囲の
粘度にあるうちに、特定の物理的性状に調整してなる上
塗塗料を塗装することによって、前記本発明の目的を達
成することができることを見い出し、本発明を完成する
に至った。
しかして、本発明によれば、 下塗塗装−中塗塗装−上塗塗装からなる塗装工程におい
て、 上塗塗装に先立って、中塗塗膜面に、引張破断強度伸
び率が10%以上で且つ破断点応力が20kg/cm2以上
の硬化塗膜を形成しうる熱硬化性有機溶液型アクリル樹
脂系塗料を塗装し、次いで、 塗着した該熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂系塗料層
を、実質的に未硬化の状態で且つその粘度を5〜500
ポイズ(20℃)に調整した後に、 上塗塗料として、引張破断強度伸び率が40%以下で
且つ破断点応力が100kg/cm2以上である硬化塗膜を
形成することができ、しかもその塗着時の表面張力が上
記のように調整した熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂
系塗料層塗面に比べて同等もしくはそれより小さくなる
ように調整された有機溶液熱硬化性型アクリル樹脂系上
塗塗料を塗装し、且つ、 加熱硬化させた上塗塗膜が、上記の熱硬化性有機溶
液型アクリル樹脂系塗料の加熱硬化させた塗膜に比べ
て、引張破断強度伸び率がその絶対値に基いて5以上小
さく、一方、破断点応力が少なくとも80kg/cm2おお
きくなるように調整してなる ことを特徴とする塗装法が提供される。
本発明の特徴は、下塗塗装−中塗塗装−上塗塗装からな
る塗装系において、上記〜の要件の組合わせを用い
る点にある。
まず、耐チッピング性の向上は、上記、およびで
明記した特定範囲の引張破断強度伸び率(以下、単に
「伸び率」と略称することがある)および破断点応力を
有する熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂系塗料(以下、
「バリアーコート」と略称することがある(中塗塗膜と
上塗塗膜との間に介在させ、且つ上塗塗料として熱硬化
性有機溶液型アクリル樹脂系上塗塗料(以下、「溶液型
上塗塗料」と略称することがある)をウェットオンウェ
ットで塗り重ね、加熱硬化させることによって可能とな
った。
すなわち、本発明において、中塗塗膜と上塗塗膜との装
間に形成したバリアコート塗膜は、中塗・上塗両塗膜に
比べて伸び率が大きくたわみ性にもすぐれているので中
間緩衝層として作用する。しかして、複合塗膜の上塗塗
膜面に砂利などの小石が衝突してもその衝撃エネルギー
の殆どはこのバリアーコート塗膜に吸収、緩和されてそ
の下層の中塗、下塗両塗膜に波及びすることが殆どなく
なり、該両塗膜の衝撃剥離が激減し、ピーリング性が著
しく改良される。そして、素材(たとえば鋼板)が露出
することもなくなり、素地面の腐食、発錆などの問題点
も解消される。
一方、上塗塗膜は、伸び率を小さくし且つ破断点応力を
大きくして強靱な塗膜に調整してあるため、小石などが
衝突してもキズ、ワレなどが発生しにくく、しかも、そ
の衝撃エネルギーは、集中することはなく上塗塗膜のそ
の周囲に分散し、単位面積あたりの負荷が小さくなっ
て、バリアーコート塗膜内への吸収が容易となるという
特性を有する。
また、本発明では、上記に規定するごとくバリアーコ
ート塗膜が実質的に未硬化で湿潤状態のうちに溶液型上
塗塗料を塗装し、かつ上記に規定したごとく溶液型上
塗塗料はその表面張力がバリアーコートと同等もしくは
それより小さくなるように調整されているので、バリア
ーコート塗膜面への上塗塗料のヌレ、なじみが著しく良
くなり、しかも両塗膜の硬化時に層間で化学的結合する
こともあり、その結果、複合塗膜の平滑性、ツヤ、鮮映
性が著しく改善され、また、付着性も向上し、両塗膜間
のピーリングのおそれが解消される。
さらに本発明により形成される複合塗膜は、バリアーコ
ート塗膜と上塗塗膜との層間で各塗料を移行して混合す
ることがないので、形成される複合塗膜の仕上がり外観
にすぐれている。
また、本発明の方法で形成される複合塗膜は、耐化学
性、耐候性、物理的性能などの塗膜特性にもすぐれてい
る。
以下、本発明の塗装法についてさらに具体的に説明す
る。
被塗材: 本発明の塗装法に従って複合塗膜を形成せしめることの
できる基材としては、特に制限がなく、任意の材質のも
のを用いることができるが、前記の耐チッピング性向上
などの観点からすれば金属を使用することが最も好まし
く、これ以外にプラスチック、ゴム、木、ガラス、無機
質材料などがあげられ、さらにこれらを2種以上組み合
わせたものであってもさしつかえない。
具体的には、これらの基材を使用してなる乗用車、トラ
ック、サファリーカー、オートバイなどの車体や部品、
および電気製品、事務機器、鋼製家具、建材などがあげ
られる。
これらの基材は、後述の下塗塗装に先立って、それ自体
公知の方法で脱脂処理、化成処理、その他通常の前処理
などを行っておくことが好ましい。
下塗塗装: 上記の被塗材に下塗塗料を塗装する工程である。本発明
で用いる下塗塗料は、それ自体既知の任意の常温乾燥型
などのタイプの有機溶剤および/または水を溶媒もしく
は分散媒とする塗料の中から、被塗材の材質、形状、用
途および次工程の中塗塗料の種類などに応じて適宜選択
できる。
そのうち、自動車車体などの金属製の被塗材に対しては
殊に電着塗料を使用することが好ましい。電着塗料とし
てはそれ自体既知のカチオン型およびアニオン型電着塗
料のいずれでも使用できる。
まず、カチオン型電着塗料には、塩基性アミノ基をもつ
樹脂もしくはオニウム塩含有樹脂をベースにし、これを
酸で中和、水溶性化(水分散化)してなる陰極析出型の
熱硬化性電着塗料が包含され、これは上記金属製被塗材
を陰極にして塗装される。
塩基性アミノ基をもつ樹脂としては、例えばビスフェ
ノール型エポキシ樹脂、エポキシ基(またはグリシジル
基)含有アクリル樹脂、アルキレングリコールのグリシ
ジルエーテル、エポキシ化ポリブタジエン、ノボラック
フェノール樹脂のエポキシ化物などのエポキシ基含有樹
脂のエポキシ基(オキシラン環)へのアミン付加;塩
基性アミノ基をもつ不飽和化合物(例えば、N,N-ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエ
チルアクリレート、N-ビニルピラゾールなど)を単量体
として用いる重合;第3級アミノ含有グリコール(例
えば、N-メチルジエタノールアミン)をグリコールの一
成分とするグリコール成分とポリイソシアネート化合物
との反応;酸無水物とジアミンとの反応によるイミノ
アミンの生成反応による樹脂へのアミノ基の導入;など
によって得られる塩基価が一般に約20〜約200の範
囲の樹脂が適している。
上記の反応に使用しうるアミンとしては、脂肪族、脂
環式もしくは芳香-脂肪族の第1級アミン、第2級アミ
ン及び第3級アミン塩などがあげられる。また該アミン
に代えて第2級スルフィド塩及び第3級ホスフィン塩な
どを使用してオニウム塩とすることもできる。
そして、上記塩基性アミノ基をもつ樹脂もしくはオニウ
ム塩含有樹脂を中和し、水溶性(水分散)するための中
和剤としては、例えば、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、乳酸、グリシンなどの有機酸;硫酸、塩
酸、リン酸等の無機酸を使用することができる。中和剤
の上記樹脂に対する配合量は、上記樹脂の塩基価(一般
に約20〜約200の範囲)を基準にして中和当量の約
0.1〜約0.4倍量の範囲が適当である。
また、カチオン型電着塗膜を加熱硬化性にするために配
合される架橋剤としては、ブロック化したポリイソシア
ネート化合物を用いるのが一般的であり、これにより、
形成された塗膜を加熱(通常、約140℃以上)すると
ブロック剤が解離して、イソイアネート基が再生し、上
記の如きカチオン性樹脂中に存在しうる水酸基などの活
性水素含有官能基と架橋反応し硬化する。
他方、アニオン型電着塗料は、主としてカルボキシル基
をもつ樹脂をベースとし、塩基性化合物で中和、水溶性
化(水分散化)してなる陽極析出型の電着塗料であっ
て、金属製被塗材を陽極として塗装される。
カルボキシル基をもつ樹脂には、例えば乾性油(あま
に油、脱水ひまし油、桐油など)に無水マレイン酸を付
加して得られるマレイン化油樹脂;ポリブタジエン
(1,2型、1,4型など)に無水マレイン酸を付加して得ら
れるマレイン化ポリブタジエン;エポキシ樹脂の不飽
和脂肪酸エステルに無水マレイン酸を付加して得られる
樹脂;高分子量多価アルコール(分子量約1000以
上のもので、エポキシ樹脂の部分エステル化物およびス
チレン/アリルアルコール共重合体なども含まれる)に
多塩基酸(無水トリメリット酸、マレイン化樹脂酸、マ
レイン化油など)を付加して得られる樹脂;カルボキ
シル基含有ポリエステル樹脂(脂肪酸変性したものも含
む);カルボキシル基含有アクリル樹脂;グリシジ
ル基もしくは水酸基を含有する重合性不飽和モノマーと
不飽和脂肪酸との反応生成物を用いて形成された重合体
もしくは共重合体に無水マレイン酸などを付加せしめて
得られる樹脂;などがあげられ、カルボキシル基の含有
量が酸価に基いて一般に約30〜約200の範囲のもの
が適している。そして、これらカルボキシル基含有樹脂
におけるカルボキシル基を中和し、上記脂肪を水溶性化
(水分散化)するために用いる中和剤としては、例え
ば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメ
チルアミノエタノールなどのアルカノールアミン;ジエ
チルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン;
水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ
などを使用することができる。これら中和剤の使用量
は、上記樹脂の酸価に対する理論中和当量の約0.1〜約
1.0倍当量(好ましくは0.4〜0.8倍当量)の範囲が適当
である。
また、上記樹脂を加熱硬化性にするための架橋剤として
は、ヘキサキスメトキシメチルメラミン、ブトキシ化メ
チルメラミン、エトキシ化メチルメラミンなどの低分子
量メラミン樹脂を必要に応じて使用することができる。
さらに、上記量電着塗料には、顔料(着色顔料、体質顔
料、防錆顔料など顔料の配合量は樹脂固形分100重量
部あたり150重量部未満とすることができる)、親水
性溶剤、水、その他の通常の添加剤を必要に応じて配合
し、固形分濃度を約5〜約40重量%に脱イオン水など
で調整し、しかもpHを特定範囲(カチオン型では5.5〜
8.0、アニオン型では7〜9の範囲が好ましい)に保っ
て電着塗装に供することができる。
電着塗装は常法に従って行なうことができ、例えば、浴
温15〜35℃、負荷電圧100〜400Vの条件で、
被塗物を、カチオン型では陰極に、アニオン型では陽極
として実施することができる。塗装膜厚制限されない
が、通常、硬化塗膜に基いて10〜40μの範囲とする
のが好ましい。
電着塗膜は原則として100〜200℃、好ましくは1
40〜200℃の範囲に加熱して硬化せしめられるが、
アニオン型電着塗料で空気乾燥性の不飽和脂肪酸で変性
した樹脂を用いた場合には室温で乾燥させることもでき
る。
本発明で使用する下塗塗料は、上記の電着塗料に限定さ
れず、これら以外に、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フ
ェノール樹脂などから選ばれるベース樹脂と架橋剤とし
てのアミノ樹脂とを主成分とする有機溶剤および/また
は水を媒体とするすでに公知の下塗用塗料も使用でき
る。
下塗塗膜は、次工程の中塗塗料の塗装にあたって、予
め、加熱もしくは常温で硬化させておくことが好まし
い。
中塗塗装: 下塗塗面に中塗塗料を塗装する工程である。
中塗塗料としては、付着性、平滑性、鮮映性、耐オーバ
ーベイク性、耐候性などにすぐれたそれ自体既知の熱硬
化性中塗塗料が使用できる。具体的には、油長が30%
以下の短油もしくは超短油アルキド樹脂またはオイルフ
リーポリエステル樹脂とアミノ樹脂とをビヒクル主成分
とする熱硬化性中塗塗料があげられる。これらのアルキ
ド樹脂およびポリエステル樹脂は、水酸基価30〜14
0および酸価5〜200で、しかも変性油として不飽和
油(もしくは不飽和脂肪酸)を用いたものが好ましく、
また、アミノ樹脂は、アルキル(好ましくは炭素数1〜
5個のもの)エーテル化したメラミン樹脂、尿素樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂などが適している。これら両樹脂
の配合比は固形分重量に基いてアルキド樹脂および/ま
たはオイルフリーポリエステル樹脂65〜85%、特に
70〜80%、アミノ樹脂35〜15%、特に30〜2
0%であることが好ましい。さらに、上記アミノ樹脂の
少なくとも一部をポリイソシアネート化合物やブロック
化ポリイソシアネート化合物に代えることができる。
また、該中塗塗料の形態は、有機溶液型が最も好ましい
が、上記ビヒクル成分を用いた非水分散液型、ハイソリ
ッド型、水溶液型、水分散液型、粉体型などであっても
さしつかえない。さらに、該中塗塗料には、体質顔料、
着色顔料、防食顔料、その他の塗料用添加剤などを必要
に応じて配合することができる。
本発明において、下塗塗膜面への中塗塗料の塗装法は特
に制限されず、例えばスプレー塗装、ハケ塗り、浸漬塗
装、静電塗装などを用いることができ、また塗装膜厚は
硬化塗膜にもとずいて10〜50μとするのが好まし
い。塗膜の硬化温度はビヒクル成分によって異なり、6
0〜200℃、特に100〜160℃の範囲の温度で加
熱硬化する。
バリアーコート塗装: 硬化された中塗塗膜面にバリアーコートを塗装する工程
である。
バリアーコートは、小石などの衝突による衝撃エネルギ
ーを吸収する中間緩衝層を形成させるために、上記硬化
した中塗塗面に塗装する塗料であって、本発明では殊
に、伸び率が10%以上で且つ破断点応力か20kg/cm
2の物性の塗膜を形成しうる、熱硬化性アクリル樹脂組
成物をビヒクルの主成分とし、これを有機溶剤に溶解し
てなる熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂系塗料である。
ビヒクル主成分である熱硬化性アクリル樹脂組成物は、
水酸基含有アクリル樹脂(ベース樹脂)と架橋剤とから
る。水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有ビニルモノ
マーとのその他のビニルモノマーとの共重合体であるこ
とができる。水酸基含有ビニルモノマーとしては、例え
ば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエ
チルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ヒドロキシブロピルメタクリレートなどの如きアク
リル酸またはメタクリル酸のC2〜C24ヒドロキシアル
キルエステル;N-メチロールアクリアミド、N-メチロー
ルメタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミ
ド、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N-ジヒド
ロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジヒドロキシエチル
メタクリルアミドなどの如きアクリル酸またはメタクリ
ル酸のモノーもしくはジ−C1〜C12ヒドロキシアルキ
ルアミド;一般式 (式中、RはHまたはCH3を表わし、nは0.5〜5であ
る)で示されるε−カプロラクトン変性ビニル単量体等
が挙げられ、このうち、2-ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレー
トおよび上記一般式で示されるε−カプロラクトン変性
ビニル単量体から選ばれる1種以上を用いることが好ま
しい。
その他のビニルモノマーとしては、例えば、エチルアク
リレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレー
ト、iso-ブチルアクリレート、3-ペンチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、2-ヘプチルアクリレート、
オクチルアクリレート、2-オクチルアクリレート、ノニ
ルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-エチルヘキ
シルアクリレート、2-エチルブチルアクリレートなどの
アクリル酸のC118アルキルエステル、およびペンチ
ルメタクリレート、ヘキシルシメタクリレート、2-エチ
ルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラ
ウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなど
のメタクリル酸のC518アルキルエステルが特に好ま
しい。ここに例示したこれらのアクリル酸エステルおよ
びメタクリル酸エステルは、これから誘導される単独重
合体の静的ガラス転移温度がいがれも0℃以下となる軟
質モノマーであり、本発明におけるバリアーコート用の
樹脂としては、これらから選ばれる1種以上のモノマー
と前記水酸基含有ビニルモノマーとを共重合させた水酸
基含有アクリル樹脂が好適である。また、上記軟質モノ
マーの一部分(50重量%以内)を、スチレン、メタク
リル酸メチル、メタクリン酸エチル、ビニルトルエン、
アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルアクリレート、
グリシジルメタクリレートなどから選ばれる硬質モノマ
ーの1種以上と代替して共重合せしめてなる水酸基含有
アクリル樹脂も使用できる。
該水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基価が20〜15
0、好ましくは30〜50の範囲にあり、さらに、重量
平均分子量が約5000〜200000、特に1000
0〜50000の範囲にあることが好ましい。
一方、上記水酸基含有アクリル樹脂(ベース樹脂)の架
橋剤としは、例えば、炭素数1〜5個の1価アルコール
の1種以上で変性されたメラミン樹脂、尿素樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂が好ましい。
そして、水酸基含有アクリル樹脂と架橋剤との配合割合
は、該両成分の合計量に基いて、水酸基含有アクリル樹
脂60〜90重量%、架橋剤40〜10重量%の範囲が
好ましい。
バリアーコート塗膜の伸び率および破断点応力の調整
は、水酸基含有アクリル樹脂のモノマー組成、分子量、
水酸基価、架橋剤の組成と配合量、顔料の配合量とその
組成などによって容易に行なうことができる。
本発明で用いるバリアーコートは、上記ビヒクル成分を
有機溶媒に溶解せしめた塗料であって、有機溶剤として
は上記ビヒクル成分を溶解するものであれば特に制限は
なく、例えば炭化水素系(脂肪族、芳香族、脂環族な
ど)、アルコール系、エステル系、ケトン系、エーテル
系などから選ばれる上記ビヒクル成分を溶解しうる任意
の溶剤を使用することができる。
バリアーコートには、さらに必要に応じて、粘性付与
剤、顔料(着色顔料、メタリック顔料、体質顔料、防食
顔料)、紫外線吸収剤などを適宜配合することができ
る。
本発明で用いるバリアーコートの硬化塗膜に関し、伸び
率は10%以上、好ましくは10〜100%、さらに好
ましくは10〜200%の範囲であり、且つ破断点応力
が20kg/cm2以上、好ましくは30〜700kg/cm2
さらに好ましくは40〜500kg/cm2の範囲にあるこ
とが重要である。バリアーコートの硬化塗膜の伸び率が
10%よりも小さくなると、チッピング時の衝撃エネル
ギーを十分に吸収できず、他方、破断点応力が20kg/
cm2より小さくなると、チッピング時の小石などの衝撃
によってバリアーコート塗膜も損傷を受けやすく、いず
れも中塗塗膜および電着塗膜が衝撃剥離しやすくなるか
らである。
なお、本明細書におけるバリアーコート塗膜の伸び率お
よび破断点応力の値は、恒温槽付万能引張試験機(島津
製作所オートグラフS−D型)を用い、長さ20mm試料
につき、+20℃において引張速度20mm/分で測定し
たときの値であり、これらの測定に使用する試料は、該
バリアーコートを硬化塗膜にもとずいて60μの膜厚に
なるようにブリキ板に塗装し、140℃で30分焼付け
硬化させたのち、水銀アマルガム法により単離したもの
である。
本発明では、上記ビヒクル成分が上記範囲内の伸び率及
び破断点応力を有していれば、それ自体でバリアーコー
トに使用できるが、上記範囲から逸脱している場合ある
いは範囲内であっても伸び率及び/または破断点応力を
微調整したい場合などにおいて、必要に応じて粘性付与
剤を配合することができる。該粘性付与剤としては、上
記ビヒクルとの相溶性が良好な樹脂、例えばポリオキシ
テトラメチレングリコールなどが好適であり、これらの
配合量は上記ビヒクル100重量部あたり1〜50重量
部の範囲が好ましい。さらに、必要に応じて、可塑剤
(例えば、ジオクチルフタレート、トリクレシルホスフ
ェート、セバシン酸ジブチルなど)、タレ止メ剤(例え
ば、アルミニウムステアレート、シリケートなど)、紫
外線吸収剤を通常使われている適宜量で配合することも
できる。
さらに、上記バリアーコート塗膜は、中塗塗膜及び後述
する上塗塗膜との付着性に優れていることも重要なファ
クターであり、それぞれの塗膜に対する付着力は少なく
とも25kg/cm2以上であることが望ましい。ここで付
着力は、中塗塗面に塗装したバリアーコート塗面もしく
はさらに上塗塗装した塗面にアタッチメントを固着し、
抗張力測定装置で該アタッチメントを剥離するのに要し
たエネルギー(kg/cm2)である。すなわち、各塗料を所
定の条件で塗装し、硬化させた後、バリアーコート塗面
および上塗塗面に、該塗面との接触面が直径5mmの円形
であるアタッチメントをエポキシ樹脂系二液形接着剤で
固着し、次いで、該アタッチメントを、ショッパー式抗
張力測定装置(上島製作所)で、20℃において、引っ
張り速度50mm/分で各塗膜から剥離するのに要する動
力を測定する。
本発明において、バリアコートはすでに硬化せしめた中
塗塗膜面に塗装するのであるが、その塗装方法は、前記
中塗塗装と同様にして行なえる。その塗装膜厚は、硬化
塗膜に基いて1〜20μ、特に5〜15μの範囲とする
のが好ましい。また、バリアーコート塗膜を上塗塗膜と
同系統の色調にしておくと、色彩的な仕上がり性が一段
と向上し、かつ上塗塗膜がチッピングなどによって剥離
しても、その部分の損傷が目立ちにくいという利点があ
る。
上塗塗装: バリアーコート塗膜面に溶液型上塗塗料を塗装する工程
である。
溶液型上塗塗料の塗装は、バリアーコート塗膜が未乾燥
状態で且つその塗着しているバリアーコート塗膜層の粘
度が5〜500ポイズ、好ましくは5〜100ポイズ、
さらに好ましくは10〜50ポイズ(いずれも20℃に
おいて)の範囲内にあるバリアーコート塗膜面に対して
行なう。塗着しているバリアーコート塗膜層の粘度が5
ポイズより低い状態で上塗塗料を塗装すると、上塗塗料
が流れたり、タレたりするので好ましくなく、一方、塗
着しているバリアーコートの粘度が500ポイズより高
くなったり、硬化後に上塗塗料を塗装すると、上塗塗料
のバリアーコート塗膜に対するヌレ、なじみが低下し、
上塗塗面の平滑性、ツヤ、鮮映性、メタリック感などの
仕上がり性などが低下するので好ましくはない。
本発明において、塗着したバリアーコートの粘度の測定
は、該バリアーコートをブリキ板に前記方法で塗装し、
(塗装できるだけ実際に即した条件で行なうことが好ま
しい)、塗着したバリアーコートをガラスビンに捕集
し、それをコーンアンドプレート型粘度計で、20℃に
おいて、ズリ速度10sec-1における粘度を読みとるこ
とによって行なう。
塗着したバリアーコートの粘度調整は、塗装時における
該塗料の不揮発分濃度、溶剤組成、粘度などを適宜調整
することによって容易に行なえ、塗装直後の塗着粘度が
前記範囲より低い場合は室温で放置するかもしくは予備
加熱して溶剤などを揮発せしめることによって調整でき
る。
本発明において、このように調整したバリアーコート塗
膜面に塗装する溶液型上塗塗料は、 (i)硬化塗膜が、伸び率は40%以下、好ましくは2〜
30%、さらに好ましくは2〜20%であり、且つ破断
点応力が100kg/cm2以上、好ましくは100〜10
00kg/cm2、さらに好ましくは200〜600kg/cm2
の範囲内の物性値を有していること、 (ii)バリアーコート塗膜面に塗着した溶液型上塗塗料塗
液の表面張力が、該バリアーコート塗膜のそれと同等も
しくはそれより小さいこと、および (iii)硬化せしめたバリアーコート塗膜に比べて、伸び
率がその絶対値に基いて5以上小さく、好ましくは8〜
990小さい、さらに好ましくは10〜195小さく、
且つ破断点応力が80kg/cm2以上大きい、好ましくは
90〜900kg/cm2、さらに好ましくは100〜50
0kg/cm2大きいこと の要件を有していることが重要である。
すなわち、該上塗塗料の塗膜の伸び率ならびに破断点応
力および塗料の表面張力などを、上記(i)〜(iii)に記載
の要件を満たすごとく調整することによって前記したよ
うな技術効果が得られる。したがって、上記(i)の要件
において、上塗硬化塗膜の伸び率が40%よりも大きく
なると、一般に塗膜の硬さが不十分となり、耐溶剤性も
低下し、また破断点応力が100kg/cm2より小さくな
ると耐チッピング性の向上が望めず、(ii)の要件におい
て、上塗塗料の表面張力がバリアーコート塗膜のそれよ
り大きくなると、上塗塗料のバリアーコート塗面へのヌ
レ、なじみなどが十分でなく、仕上がり外観がむしろ低
下するおそれがあり、さらに(iii)の要件において、伸
び率および破断点応力が上記は範囲から逸脱すると耐チ
ッピング性の著しい改善は期待できない。
表面張力に関し、バリアーコート塗面に塗着した溶液型
上塗塗料塗液の表面張力が、該バリアーコート塗面のそ
れよりも0.2〜2.0小さいことが特に好ましい。
本発明において、バリアーコート塗膜面に塗装する溶液
型上塗塗料は、好適には、水酸基含有アクリル樹脂と架
橋剤とを有機溶剤に溶解されてなるものを主成分とする
熱硬化性塗料である。
まず、水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、前記バリア
ーコート塗装の項で例示した水酸基含有ビニルモノマー
とその他のビニルモノマーとから選ばれる1種以上を用
いて共重合せしめることによって得られるが、上塗塗膜
は一般にバリアーコート塗膜に比べて物性的に剛直であ
りために、その他のビニルモノマーとして、前記軟質モ
ノマーよりも硬質モノマー(前掲)を主成分とすること
もありうる。そして、該水酸基含有アクリル樹脂は、水
酸基価が20〜150、好ましくは30〜70、重量平
均分子量が約5000〜200000好ましくは100
0〜50000の範囲内にあることが望ましい。
一方、上記水酸基含有アクリル樹脂(ベース樹脂)の架
橋剤といては、例えば、炭素数1〜5個の1価アルコー
ルの1種以上で変性されたメラミン樹脂、尿素樹脂、ベ
ンゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂が好ましい。
そして、水酸基含有アクリル樹脂と架橋剤との配合割合
は、該両成分の合計量に基いて、水酸基含有アクリル樹
脂60〜90重量%、架橋剤40〜10重量%の範囲が
好ましい。
有機溶剤は、これらの水酸基含有アクリル樹脂および架
橋剤を溶解するものであればよく、具体的には前記バリ
アーコート塗装の項で例示した溶剤が好適である。
本発明において、溶液型上塗塗料を、未乾燥状態で且つ
特定の粘度範囲に調整してなるバリアーコート塗膜面に
塗装し、本発明の目的とする複合塗膜を形成する方法と
して、例えば次の方法があげられる。
まず、溶液型上塗塗料は、メタリック顔料および/また
は着色顔料を配合してなるメタリック塗料、ソリッドカ
ラー塗料、顔料を殆どもくしは全く含まないクリヤー塗
料(カラークリヤーも含む)の3種に分けることができ
る。
そして、これらを用いて上塗塗膜を形成する方法とし
て、 (a)メタリック塗料またはソリッドカラー塗料をバリア
ーコート塗膜面に塗装後、加熱してバリアーコート塗膜
と共に硬化せしめる方法: (b)メタリック塗料またはソリッドカラー塗料を上記バ
リアーコート塗膜面に塗装し、次いでクリヤー塗料を塗
装した後、加熱してバリアーコート塗膜と共にこれらの
両塗膜も同時に硬化せしめる方法: (c)メタリック塗料またはソリッドカラー塗料を上記バ
リアーコート塗膜面に塗装し、加熱してバリアーコート
塗膜と共に硬化させた後、さらにクリヤー塗料を塗装
し、加熱する方法: などがある。
これらの上塗り塗料は、スプレー塗装、静電塗装などで
塗装することが好ましい。また、上塗塗膜厚は、乾燥塗
膜に基いて、上記(a)では25〜40μの範囲、上記(b)
および(c)では、メタリック塗料ならびにソリッドカラ
ー塗料は10〜30μの範囲、クリヤー塗料は25〜5
0の範囲がそれぞれ好ましい。硬化条件は配合樹脂成分
によって任意に選択できるが、一般には80〜170
℃、特に120〜150℃で10〜40分間加熱するの
が好ましい。
本発明の方法に従いバリアーコート塗膜面上に形成せし
める上塗塗膜の厚さは、硬化塗膜に基いて一般に25μ
以上、好ましくは30〜70μ、さらに好ましくは35
〜50μの範囲になるようにするのが望ましい。
上塗塗料には、さらに必要に応じて、粘性付与剤、顔料
(着色顔料、メタリック顔料、体質顔料、防食顔料)、
紫外線吸収剤などを適宜配合する事が出来る。
本発明において、上塗塗膜の伸び率および破断点応力の
調整は、水酸基含有アクリル樹脂のモノマー成分、分子
量ならびに水酸基価、架橋剤の組成と配合量、顔料の配
合量と組成などを適宜選択することによって行なうこと
ができる。
上塗塗膜の伸び率及び破断点応力の測定は、前記バリア
ーコート塗膜におけると同様にして行なうことができ
る。
本発明において、上塗塗料に関する前記要件(i)〜(iii)
は、少なくとも、バリアーコート塗膜面と直接に接触す
る上塗塗料〔例えば、前記(a)〜(c)におけるメタリック
塗料およびソリッドカラー塗料〕が有していればよい
が、さらにこれらの上塗塗膜面に塗り重ねる前記(b)〜
(c)のクリヤー塗料もまた、上記要件(i)〜(iii)を有す
ることが望ましい。
上塗塗料を、前記要件(i)〜(iii)に適合させるための調
整方法として、水酸基含有アクリル樹脂自体のガラス転
移温度を高くする、さらに分子量が比較的大きく且つ架
橋性官能基が多い樹脂を選択し架橋剤、硬化触媒などの
配合量を適当にコントロールする、体質顔料などの配合
量を調整する、などの方法があげられ、これから選ばれ
る1種以上の方法により前記要件に容易に適合させるこ
とができる。
しかし、いずれにしても、上塗塗料によって形成される
塗膜の正確な物性は、これら塗料の少量を用いて実際に
塗膜サンプルを形成し、前述の方法で伸び率および破断
点応力を測定することによって知ることができ、これに
よって本発明の方法に適合する塗料を選択することがで
きる。
本発明の塗装法に従い、下塗塗装−中塗塗装−(硬化)
−バリアーコート塗装−(ウェットオンウェット)−上
塗装置−(加熱硬化)の工程に基いて形成される複合塗
膜の性能は、耐チッピング性、ピーリング性、仕上がり
外観(例えば、平滑性、光沢、鮮映性、肉持感など)が
著しく改善され、さらに耐化学性、耐候性、物理的性能
などもすぐれているという利点がある。
次に、実施例および比較例により本発明をさらに説明す
る。
I.試料の調整 (1)被塗材 ボンデライト#3030(日本パーカーライジング
(株)製、リン酸亜鉛系金属表面処理剤)で化成処理し
た鋼板(大きさ300×90×0.8mm)。
(2)下塗塗料 (A)カチオン型電着塗料:エレクロン#9200(関西
ペイント(株)製、エポキシポリアミド系カチオン型電
着塗料、グレー色)。
(B)アニオン型電着塗料:エレクロン#7200(関西
ペイント(株)製、ポリブタジエン系アニオン型電着塗
料)。
(3)中塗塗料 (A)短油性アルキド樹脂系塗料 多塩基酸成分として無水フタル酸、テレフタル酸を主に
用いた大豆油変性アルキド樹脂(油長:15%、水酸基
価:80、酸価:15)75重量%とブチルエーテル化
メチルメラミン樹脂25重量%(固形分比)とからなる
ビヒクル成分100重量部あたり、顔料(チタン白、バ
リタ)を150重量部配合してなる中塗塗料。
(B)オイルフリーアルキジ樹脂系塗料 多塩基酸成分として無水フタル酸、無水トリメリット酸
を主に用いたオイルフリーアルキド樹脂(水酸基価:8
0、酸価:10)70重量%とブチルエーテル化メチル
メラミン樹脂30重量%とからなるビヒクル成分100
重量部あたり顔料(チタン白、バリタ)を100重量部
配合してなる中塗塗料。
(4)バリヤーコート (4-1)水酸基含有アクリル樹脂の製造 (a)スチレン15重量部、メチルアクリレート17重量
部、エチルアクリレート16重量部、ε−カプロラクト
ン変性ビニルモノマー(注:1)40重量部、ヒドロキ
シエチルアクリレート10重量部およびアクリル酸2重
量部を、重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニト
リルを用いてキシレン中で重合せしめ、樹脂固形分含有
率60重量%の水酸基含有アクリル樹脂溶液を製造し
た。該アクリル樹脂の重量平均平均分子量は約3000
0であった。
(b)スチレン15重量部、メチルメタクリレート20重
量部、エチルメタクリレート23重量部、n-ブチルアク
リレート30重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート
10重量部およびアクリル酸2重量部を、重合開始剤
α,α′−アゾビスイソブチロニトリルを用いてキシレ
ン中で重合せしめ、樹脂固形含有率50重量%の水酸基
含有アクリル樹脂溶液を製造した。該アクリル樹脂の重
量平均分子量は約35000であった。
(注:1)ε−カプロラクトン変性ビニルモノマーは、 ニルモノマーである。
(4-2)バリヤーコートの製造 第1表に記載した上記(4-1)で製造した水酸基含有アク
リル樹脂(a)または(b)を含む成分を混合、分散してバリ
ヤーコート(A)〜(F)を製造した。第1表の数値は各成分
の配合量を示し、単位は重量部である。
(5)熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂系塗料 (5-1)水酸基含有アクリル樹脂の製造 (c)スチレン20重量部、エチルメタクリレート36重
量部、n-ブチルメタクリレート30重量部、ヒドロキシ
エチルメタクリレート12重量部およびアクリル酸2重
量部を重合開始剤(α,α′−アゾビスイソブチロニト
リル)を用いてキシレン中で共重合せしめて、樹脂固形
分50重量%の水酸基含有アクリル樹脂溶液を製造し
た。該アクリル樹脂の重量平均分子量は約35000で
あった。
(5-2)メタリック塗料の製造 第2表に記載した成分に基いて、通常の方法で混合、分
散し、上塗塗料用メタリック塗料を製造した。
第2表において、 (*1)アクリル樹脂溶液の配合量は樹脂固形分量であ
る。
(*2)アルミペースト4919:東洋アルミニウム
(株)製、メタリック用リン片状アルミニウム顔料のペ
ースト (5-3)クリヤー塗料の製造 攪拌機、温度計、還流冷却機等の備わった通常のアクリ
ル樹脂反応容器にセロソルブアセテート40部を仕込み
加熱攪拌し、135℃に達してから下記の単量体混合物
を3時間かかって添加した。
メチルメタクリレート 10部 i−ブチルメタクリレート 30 n−ブチルメタクリレート 12部 2−エチルヘキシルメタクリレート 20 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 25 メタクリル酸 3 セロソルブアセテート 50 α,α′−アゾビスイソブチロニトリル 4 上記単量体混合物を添加後1時間、反応を135℃のま
ま続け、その後セロソルブアセテート10部、α,α′
−アゾビスイソブチロニトリル0.6部よりなる混合物
を1時間30分かかって添加した。その後2時間反応さ
せた後、減圧下でセロソルブアセテートを留去し樹脂分
濃度65%に調整し、アクリル樹脂溶液を製造した。ア
クリル樹脂溶液の樹脂分の数平均分子量(蒸気圧浸透法
で測定)は6100であり、アクリル樹脂溶液A−2の
粘度はZ2(ガードナー気泡粘度、25℃)であった。
このアクリル樹脂溶液を用いて下記配合で、デイスパー
分散によりクリヤー塗料Aを作成した。
65% アクリル樹脂溶液 A−2 108部 70% ユーバン20SE−60 43 60% アクリル樹脂非水分散液 B−2 54部 1% レイボーNo.3(注1) 0.1 (注1)レイボーケミカル(株)製シリコン添加剤 II.実施例、比較例 上記I調整した試料を用いて、被塗材に下塗塗料、中塗
塗料、バリアーコートおよび上塗塗料を第3表に示した
組み合せで下記のごとく塗装した。
(1)下塗塗装: カチオン電着塗装条件:浴固形分濃度19重量%、浴温
度28℃、pH6.5、負荷電圧約250V、180秒間
通電。
アニオン電着塗装条件:浴固形分濃度12重量%、浴温
度30℃、pH7.8、負荷電圧約200V、180秒間
通電。
上記いずれもの場合も電着塗装後水洗し、風乾後、17
0℃で30分加熱して塗膜を硬化させた。膜厚は硬化塗
膜に基いて20μであった。
(2)中塗塗装: 加熱硬化せしめた電着塗膜面に、中塗塗料(A)、(B)を静
電塗装機で塗装し、140℃で30分間加熱して塗膜を
硬化した。膜厚は硬化塗膜に基いて25μである。
(3)バリアーコート塗装: 加熱硬化した中塗塗膜面に、粘度をフォードカップ#4
で15秒(20℃)に調整したバリアーコート(A)〜(F)
を、スプレー塗装機で硬化膜厚が10μになるように塗
装した。粘度調整は、スワゾール1500/イソブタノ
ール/トルエン=3/1/6(重量比)からなるシンナ
ーで行った。塗装後、室温で放置し、塗着しているバリ
アーコートの粘度を20〜30ポイズ(20℃)に調整
してから(粘度測定は前記の通り)後、上塗塗装した。
なお、第3表において、比較例9では、バリアーコート
(A)を塗装後、140℃で30分間加熱して硬化せしめ
たものであり、比較例10はバリアーコートを塗装しな
い例である。
(4)上塗塗装: このように粘度調整したもしくは硬化せしめたバリアー
コート塗膜面および中塗塗膜面(比較例10)に、メタ
リック塗料(A)〜(E)を静電塗装機で塗装し、室温で約1
0分間放置してからクリヤー塗料(A)を静電塗装機で塗
装し、しかる後、140℃で30分間加熱して、バリア
ーコート塗膜、メタリック塗膜およびクリヤー塗膜を同
時に硬化せしめた。
塗装時の塗料粘度は、フォードカップ#43(20℃)
で、メタリック塗料は15秒、クリヤー塗料は25秒で
あった。塗装膜厚は、硬化塗膜に基いて、メタリック塗
膜は15μ、クリヤー塗膜は30μである。
クリヤー塗料の硬化塗膜の伸び率は7%、破断点応力は
330kg/cm2であった。
III.性能試験結果 上記の実施例および比較例において塗装した塗板を用い
て塗膜性能試験を行なった。その結果を後記の第4表に
示す。
[試験方法] (*1)耐チッピング性: 試験機器:Q−G−Rグラベロメーター(Qパネル会
社製品) 吹付けられる石:7号砕石(JIS A5001規
格) 吹付けられる石の容量:約50ml 吹付けエアー圧力:2.5kg/cm2 試験時の温度:約−20℃ 塗面への吹付角度:45° 試験板を、ドライアイスで−20℃に調整したメタノー
ル中に5分間浸漬したあと、それを試験片保持台にとり
つけ、約2.5kg/cm2の吹付けエアー圧力で約50ml
の砕石を試験片に発射せしめた後、そのピーリング性お
よび耐塩水噴霧性を評価した。ピーリング性は目視観察
し下記の基準で評価し、耐塩水噴霧性は試験片をJIS
Z2371によって960時間、塩水噴霧試験を行
い、次いで塗面に粘着セロハンテープを粘着し、急激に
剥離した後の被衝撃部からの発錆の有無、腐食状態、塗
膜ハガレなどを観察する。
ピーリング性 ◎(良):上塗塗膜の一部に衝撃によるキズが極く僅か
認められる程度で、中塗塗膜及び電着塗膜の剥離を全く
認めず。
△(やや不良):上塗塗膜に衝撃によるキズが多く認め
られ、しかも中塗塗膜及び電着塗膜の剥れも散見。
×(不良):上塗塗膜の大部分が剥離し、被衝撃部およ
びその周辺を含めた被衝撃部の電着塗膜が剥離。
耐塩水噴霧性 ◎:発錆、腐食、塗膜ハガレなどは認められない。
○:錆、腐食および塗膜ハガレがわずか認められる。
△:錆、腐食および塗膜ハガレがやや多く認められる。
×:錆、腐食および塗膜ハガレが著しく発生。
(*2)耐水性:40℃の水中に10日間浸漬した後の
塗膜外観を目視で評価し、さらに室温で24時間風乾
後、素地に達するように刃物で塗膜をクロスカットし、
そのカット部に粘着セロハンテープを貼着し、それを急
激にはがした後の塗面を目視評価した。
塗膜外観 ◎:フクレ、ハガレなどの異常が全く認められない。
付着性 ◎:異常なし △:カット部に塗膜のハガレを多く認める (*3)光沢: 20°鏡面反射率 (*4)鮮映性: 鮮映性測定器JCRI−GGD−166型cd計(発売元
日本色彩研究所)を用いて測定した。角度は55°で
あった。
(*5)メタリック感: 目視によって評価。
◎:良好 △:メタリックムラ多く認められる ×:メタリックムラ著しく発生
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉浦 新治 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 田淵 一郎 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 久米 政文 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 宇田川 孝 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 松井 駒治 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 藤井 泰弘 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下塗塗装−中塗塗装−上塗塗装からなる塗
    装工程において、 上塗塗装に先立って、中塗塗膜面に、引張破断強度伸
    び率が10%以上で且つ破断点応力が20kg/cm2以上
    の硬化塗膜を形成しうる熱硬化性有機溶液型アクリル樹
    脂系塗料を塗装し、次いで、 塗着した該熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂系塗料層
    を、実質的に未硬化の状態で且つその粘度を5〜500
    ポイズ(20℃)に調整した後に、 上塗塗料として、引張破断強度伸び率が40%以下で
    且つ破断点応力が100kg/cm2以上である硬化塗膜を
    形成することができ、しかもその塗着時の表面張力が上
    記のように調整した熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂
    系塗料層塗面に比べて同等もしくはそれより小さくなる
    ように調整された熱硬化性有機溶液型アクリル樹脂系塗
    料を塗装し、且つ、 加熱硬化させた上塗塗膜が、上記の熱硬化性有機溶
    液型アクリル樹脂系塗料の加熱硬化させた塗膜に比べ
    て、引張破断強度伸び率がその絶対値に基いて5以上小
    さく、一方、破断点応力が少なくとも80kg/cm2大き
    くなるように調整してなる ことを特徴とする塗装法。
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