JPH0612692Y2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両用シートの内、特にＳバネの張設状態を変
更できるようにした構造に関する。

［従来の技術］ 車両用シートには、実開昭６０−３６７４５号公報等に
開示されている如く、シートフレームの対抗するフレー
ム部間に架設される複数のＳバネについて、そのＳバネ
の張状態ないしは張力を変更可能にすることにより座り
心地を調整できるようにしたものがある。

このシート構造は、枠状のシートフレームにおける左右
フレーム部の内側に一対の支持フレームを配置するとと
もに、これら両支持フレーム間の長さをハンドル付きの
調整手段によって任意に調整することにより、両支持フ
レーム間に架設される複数のＳバネの張状態を変えるも
のである。

前記調整手段は、両支持フレームの一端が対応フレーム
部に軸支され、揺動側である他端同士がフレーム部間に
あって両端部側に逆ネジのネジ部を持つボルト部材を介
在して連結され、またボルト部材の一端に設けられたハ
ンドルを操作して両支持フレームを相互に近接または離
反される構成である。

［考案が解決しようとする課題］ このような、シート構造は、座者体重あるいは趣向によ
って、Ｓバネの張状態を変えることにより座り心地を変
えられるので商品価値が大きく向上する。ところが、従
来提案されているものは何れの構造も次のような不具合
があった。

第１に、Ｓバネの張状態を変えるための操作部材（ハン
ドル）を必須としていることである。この操作部材は、
邪魔にならないようシートの側部または前側や前側下部
に配置されるものの、この部分には各種のシートアジャ
スタ用の操作部材も設けられるために煩雑になり、安全
性や外観的にも問題となり易い。

第２に、同じＳバネの張力を変えるだけなので得られる
座り心地にも自ずと限界がある。つまり、Ｓバネ自体を
全く異なるバネ特性のものに交換して座り心地を調整す
ることは構造的に不可能であった。

本考案の目的は、Ｓバネの張力を必要に応じて変えられ
ることに加え、Ｓバネ自体の交換を構造的に行えるよう
にすることで、座者にとって最も良好な乗り心地性を得
られるようにした車両用シートを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するため、本考案は、シートフレームの
対抗するフレーム部間に架設される複数のＳバネを有
し、前記Ｓバネの張状態を変更可能にした車両用シート
において、前記シートは、前記シートフレームを持つ周
囲部と、前記周囲部の内側に開閉可能に組み付けられる
メイン部とで構成され、また、前記周囲部の内側にあっ
てＳバネの配置方向に沿って露出状態に突設されて、Ｓ
バネの係止端を選択的に係止する複数の係止部を形成し
たフックを備え、前記メイン部を開けて、前記Ｓバネの
係止端の係止位置を前記フックの係止部を介して変えら
れるようにした。

［作用］ 以上の構成によれば、Ｓバネにおける係止端の係止位置
はフックの係止部を変えることにより容易に変更でき、
またこれによりＳバネの張状態が変化して、それに応じ
た乗り心地性を得られる。

また、シート構造としては、周囲部の内側にメイン部を
開閉可能に組み付けたことに加え、メイン部を開けると
周囲部の内側に突設されたフックが露出されることか
ら、Ｓバネ自体を外してバネ特性の全く異なるものと交
換することも容易に行える。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面を用いて詳細に説明す
る。

第１図、第２図は本考案を適用したシートバックを示し
ている。同図のシートバック１は、周囲部１ａに対し、
実質的に背が当たる部分となるメイン部２が分割形成さ
れている。

メイン部２は、周囲部１ａの内側に押し込められて一体
のシートバック１を形成する形状であり、その両側下部
に突設された回動軸としてのピン３を介して周囲部１ａ
に対して開閉可能に組み付けられている。

周囲部１ａは、その上下内側にあってＳバネ４の配置方
向に沿って露出状態に突設されて、Ｓバネ４の係止端を
係止する複数のフック５を備えている。

前記各フック５は、第３図に示す如く周囲部１ａ内の芯
材としてのシートフレームＢ側にその上端を固定するこ
とにより、周囲部１ａの内側に突出した状態に取り付け
られている。各フック５には下端と中間に係止部５ａ，
５ｂが表面側に形成されており、ここに各Ｓバネ４の対
応係止端を引っ掛けて係止可能としている。

なお、前記係止部５ａ，５ｂは上下方向に２個設けた例
を示したが、より多く設けることも可能である。

各Ｓバネ４は、従来同様に所定のピッチおよびバネ特性
を持つものである。この実施例では、各Ｓバネ４の下係
止端がシートフレームＢ側の下フレーム部に専用フック
等を介して或は溶接等で固定される一方、その上係止端
が前述の係止部５ａ，５ｂの何れかに係止される。但
し、Ｓバネ４の下係止端についても、前述のような各フ
ック５を介て係止してもよい。

なお、Ｓバネ４の掛け外しおよび係止作業は、通常、専
用の治具等が用いられて、メイン部２を開けた状態でフ
ック５ａ，５ｂの何れかに簡単に操作できるようになっ
ている。

したがって、この構造では、各Ｓバネ４の上係止端を係
止する係止部５ａ，５ｂを変更することでＳバネ４の張
状態が異なることになり、それに応じて乗り心地性の変
化を得られることである。

以上の実施例では本考案をシートバックに適用した場合
について説明したが、本考案はこれに限られずシートク
ッションにも同様に適用できる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案に係る車両用シートにあっ
ては、従来構造に対し、Ｓバネの張状態を変えるための
操作部材（ハンドル等）が不用であることから、シート
外観上、違和感を与えたり煩雑にならない。

また、周囲部の内側にメイン部を開閉可能に組み付けた
シート構造であることから、メイン部を開閉してＳバネ
自体を外してバネ特性の全く異なるものと交換したり、
加えてメイン部自体を交換可能にすることも容易であ
り、そのシートに座るオーナーの体型や体重、趣向など
に応じ、個人別により適合した乗り心地性の良好なシー
トを安価に作成することができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案を適用したシートバックを示す斜視図、
第２図は前記シートバックのメイン部を開けた状態を示
す斜視図、第３図は要部を示す断面図である。 １……シートバック １ａ……周囲部 Ｂ……シートフレーム ２……メイン部 ４……Ｓバネ ５……フック ５ａ，５ｂ……係止部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートフレームの対抗するフレーム部間に
   架設される複数のＳバネを有し、前記Ｓバネの張状態を
   変更可能にした車両用シートにおいて、 前記シートは、前記シートフレームを持つ周囲部と、前
   記周囲部の内側に開閉可能に組み付けられるメイン部と
   で構成され、また、前記周囲部の内側にあってＳバネの
   配置方向に沿って露出状態に突設されて、Ｓバネの係止
   端を選択的に係止する複数の係止部を形成したフックを
   備え、 前記メイン部を開けて、前記Ｓバネの係止端の係止位置
   を前記フックの係止部を介して変えられることを特徴と
   する車両用シート。