JPH068748Y2 - シートの表面開口部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、車両のシートの表面開口部構造に関する。

（従来の技術） 第６図はリクライニング・アジャスタを内蔵する自動車
用シート１を示す斜視図である。同図において、シート
クッション２の一側部後端には開口部３が設けられ、こ
の開口部３からシートクッション２に内蔵されたリクラ
イニング・アジャスタのアッパアーム４が突出させてあ
る。このアッパアーム４はシートバック５の側部下端に
固定されており、これによってシートバック５を任意の
角度に調節できるようにしてある。

このように、シートクッション２の一部に形成した開口
部３からリクライニング・アジャスタのアッパアーム４
を突出させたシート１では、その開口部３からシートク
ッション２の内蔵機構が露出し危険であるため、従来よ
り開口部３を閉塞する各種の工夫が試みられている。

第７図は、その開口部３を樹脂製カバー５で閉塞するよ
うにした従来例の分解斜視図である。同図において、樹
脂製カバー５は開口部３に嵌合する下向きの突部５ａ
と、シートクッション２の表面に載架されるフランジ部
５ｂとからなり、突部５ａの底面には上記したアッパア
ーム４の突出を許容する図示しない隙間が形成されてい
る。

第８図は、シートクッション２を被覆するシートカバー
６の一部に、上記した開口部３を閉塞する蓋部６ａを形
成した別の従来例を示す斜視図である。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、第７図に示す従来例では、シートクッシ
ョン２上に樹脂製カバー５が配設されるため、座ったと
きの異物感が大きいばかりでなく、樹脂製カバー５の形
状が複雑でその製造のためにコストが増大するという問
題を有する。

また、第８図に示す従来例では、シートカバー６の一部
に形成した蓋部６ａを開口部３に重ねるだけであるた
め、容易に開口部３が露出してしまい見栄えが悪いとい
う問題を有する。

（考案の目的） この考案は、上記課題を解決するためになされたもの
で、座ったときに異物感を与えることがなく、見栄えも
よく安価に構成することのできるシートの表面開口部構
造を提供することを目的とする。

（目的を達成するための手段） 上記目的を達成するため、本考案に係るシートの表面開
口部構造は、アームをシートのクッション部材の一部に
形成した開口部により外側に突出させたシートの表面開
口部構造において、 前記アームの突出を許容する隙間を残して前記クッショ
ン部材の内側から前記開口部を閉塞するカバー部材と、
前記クッション部材の内側に設けられたフレームに固定
され前記カバー部材を支持するカバー支持部材と、前記
クッション部材で覆われた前記カバー部材の一部に一端
部が固定され、クッション部材の開口部口縁から表面に
かけて被覆するシートカバーとを備え、前記カバー部材
は、その表面が前記クッション部材の上面より後退する
ようにして、前記カバー支持部材によって支持されてい
る。

（作用） この考案においては、クッション部材の開口部の奥にカ
バー部材が配設されるので、座ったときの異物感を生じ
ない。また、カバー支持部材で支持された専用のカバー
部材で開口部が納まり良く閉塞されるので、シートの外
観が良くなる。

（実施例） 第５図は、この考案の一実施例である表面開口部構造が
適用される自動車のリクライニング・アジャスタ付きシ
ート７の概略の骨組み構造を示す分解斜視図である。同
図において、クッションフレーム８は、リクライニング
・アジャスタ付きシート７のシートクッションの枠体を
構成しており、バックレストフレーム９はシートバック
の枠体を構成している。クッションフレーム８の一側部
には１対の４リンク式ヒンジ機構１０が連結されてい
る。これらの４リンク式ヒンジ機構１０はそれぞれブラ
ケット１１を介して自動車のフロアのホイールハウジン
グ上に取り付けられ、４リンク式ヒンジ機構１０を介し
てシートクッションが車室の側壁に向けて起倒自在とな
るようにしてある。また、クッションフレーム８の前後
の枠部間には、折りたたみ自在な可動レッグ１２が設け
られていて、シートクッションを水平姿勢とする通常の
使用状態において、４リンク式ヒンジ機構１０で支えら
れている一側部とは反対側をこの可動レッグ１２でフロ
ア上に支持するように構成されている。リクライニング
・アジャスタ１３はシートバックの角度調節を行うため
の機構であって、その本体３０は、クッションフレーム
８の一側部に対して並行に配置された補助フレーム１４
にボルト１５で締付け固定される。一方、リクライニン
グ・アジャスタ１３の本体３０に対して軸３１（第１図
参照）により回転自在に連結されたアッパアーム１６
は、バックレストフレーム９の一側部下端に設けられた
ブラケット１７に対して、ボルト１８で締付け固定され
る。

第１図は上記したリクライニング・アジャスタ１３を内
蔵したシートクッション１９の一部を拡大して示す縦断
面図である。同図において、シートクッション１９のク
ッション部材２０の表面側の一部には、リクライニング
・アジャスタ１３のアッパアーム１６を突出させるため
の開口部２１が形成されている。そして、この開口部２
１はクッション部材２０の裏面側に配置されたカバー部
材２２により、アッパアーム１６の突出する隙間２３だ
けを開放して閉塞されている。このカバー部材２２は樹
脂からなり、その一方の側部はクッションフレーム８の
一側部に固定された概形逆Ｕ字状のカバー支持部材２４
によって、また他方の側部はクッションフレーム８の補
助フレーム１４に固定された同じく概形逆Ｕ字状のカバ
ー支持部材２５によってそれぞれ支持されている。すな
わち、カバー部材２２の両側辺上面には、第４図に斜視
図で示すような嵌合溝２６がそれぞれ形成され、これら
の嵌合溝２６に対応するカバー支持部材２４，２５の上
辺部を嵌着させることによって支持されている。

また、上記したカバー部材２２の表面側におけるクッシ
ョン部材２０で覆われている部分には、シートカバー２
７の端部が縫い付けられており、このシートカバー２７
によって、カバー部材２２はその開口部２１口縁から表
面にわたって被覆されている。クッション部材２０の開
口部２１の下側角部にはピアノ線などから芯線２８を張
設することによって補強がはかられ、シートカバー２７
に外側から張力を与えてもその部分が形崩れしないよう
にしてある。

第２図は、このようにしてシートクッション１９の開口
部２１をカバー部材２２で閉塞した状態を示す斜視図で
あり、第３図はその開口部２１の隙間２３からリクライ
ニング・アジャスタ１３のアッパアーム１６が突出して
いる状態を示す斜視図である。

なお、カバー部材２２のうち、隙間２３に近い半部２６
ａ（第４図で斜線を施した部分）は軟質樹脂で形成し
て、その部分のたわみ変形によりアッパアーム１６が隙
間２３の幅方向に変位するのをある程度許容する一方、
カバー部材２２のその他の部分は硬質樹脂で形成して、
カバー支持部材２４，２５による支持が確実にはかられ
るようにしてある。

（考案の効果） 以上のように、この考案のシート表面開口部構造によれ
ば、アームの突出を許容する隙間を残して、クッション
部材の開口部をそのクッション部材の裏面側からカバー
部材で閉塞する一方、クッション部材で覆われるカバー
部材の表面の一部のシートカバーの一端部を固定して、
このシートカバーでクッション部材をその開口部口縁か
ら表面にかけて被覆するように構成したので、低コスト
でシート開口部を見栄えよく閉塞することができ、しか
も座ったときに異物感を与えることがないなどの効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例であるシートの表面開口部
構造を示す縦断面図、第２図はその表面開口部構造の斜
視図、第３図はその表面開口部の外観斜視図、第４図は
そのカバー部材の部分斜視図、第５図はその表面開口部
構造が適用されるシートの骨組み構造を示す斜視図、第
６図は自動車用シートの外観斜視図、第７図は従来の表
面開口部構造を示す分解斜視図、第８図は従来の別の表
面開口部構造を示す外観斜視図である。 ８…クッションフレーム、 １４…補助フレーム、１６…アッパアーム、 １９…シートクッション、 ２０…クッション部材、２１…開口部、 ２２…カバー部材、２３…隙間、 ２４，２５…カバー支持部材、 ２７…シートカバー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アームをシートのクッション部材の一部に
   形成した開口部により外側に突出させたシートの表面開
   口部構造において、 前記アームの突出を許容する隙間を残して前記クッショ
   ン部材の内側から前記開口部を閉塞するカバー部材と、 前記クッション部材の内側に設けられたフレームに固定
   され前記カバー部材を支持するカバー支持部材と、 前記クッション部材で覆われた前記カバー部材の一部に
   一端部が固定され、クッション部材の開口部口縁から表
   面にかけて被覆するシートカバーとを備え、 前記カバー部材は、その表面が前記クッション部材の上
   面より後退するようにして、前記カバー支持部材によっ
   て支持されていることを特徴とするシートの表面開口部
   構造。