JPH06124000A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法

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JPH06124000A
JPH06124000A JP4272762A JP27276292A JPH06124000A JP H06124000 A JPH06124000 A JP H06124000A JP 4272762 A JP4272762 A JP 4272762A JP 27276292 A JP27276292 A JP 27276292A JP H06124000 A JPH06124000 A JP H06124000A
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慶史 下川
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Mitsuhiro Sasaki
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 帯電制御剤及び着色剤を含む重合性単量体組
成物を水性媒体中で分散安定剤を用いて分散させた後、
懸濁重合させて静電荷像現像用トナーを製造する方法に
おいて、分散安定剤として難水溶性無機化合物粉末、分
散安定助剤として界面活性剤を用い、分散開始時に難水
溶性無機化合物粉末の一部及び界面活性剤の一部又は全
部を加え、残りの難水溶性無機化合物粉末と残りの界面
活性剤、又は残りの難水溶性無機化合物粉末を分散途中
あるいは分散終了後に加える。 【効果】 重合中におけるトナー粒子の分散媒中での凝
集を防ぎ、分散を安定化することができるため、シャー
プな粒径分布を有するトナー粒子が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真法、静電記録
法、及び静電印刷法において静電荷像を現像するための
トナーの製造方法に関し、更に詳しくは重合を安定に行
い、粒径分布のシャープなトナー粒子を得るための懸濁
重合法による静電荷像現像用トナーの製造法の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
着色剤と樹脂を主成分とする乾式トナーを得るために
は、熱可塑性樹脂を溶融し、これに染料、顔料等の着色
剤、必要により磁性体、摩擦帯電制御剤、オフセット防
止剤、潤滑剤等を加え十分に混合した後、冷却固化し、
微粉砕した後、所要の粒径を得るための分級を行う方法
が実施されていた。
【0003】しかしながら、このような方法には種々の
欠点が存在する。第1には樹脂製造のための重合装置、
混練装置、粉砕機、分級機等の多くの装置が必要で、工
程数も多くエネルギー消費量も大きく、このためにコス
トが高くなることである。第2には混練工程で均一な混
合体が得難いことで、特に均一に分散させる為の条件が
微妙で制御困難であることが挙げられる。第3には粉砕
工程においては、鮮明でカブリのない画像を得るための
適切な微粉体粒子径範囲のものだけが得られるわけでは
なく、微粉と粗粉が副産するため分級して除去しなけれ
ばならず、工程が複雑となり、しかも希望粒径範囲を得
るための収率が低く、コストアップにつながる原因とな
っていることである。第4には得られた生成粉体は粉砕
により不定形の形状を有し、微粉体の流動性の悪さの原
因となっており、また、摩擦帯電の際の攪拌による粉砕
で微粉が生じ易く、画像のカブリの生じる原因となるこ
と等の欠点がある。
【0004】これに対して、特公昭36−10231 号、特公
昭47−51830 号、特公昭51−14895号等の公報には、懸
濁重合法によるトナーの製造方法が記載されている。こ
の懸濁重合方法は粉砕を必要とせず、製造工程も簡略化
され、前述の欠点を改良したものといえる。
【0005】懸濁重合法は、一般に、帯電制御剤、着色
剤等を含有する重合性単量体組成物を、水性媒体中に懸
濁させ、重合させる方法であり、通常ポリビニルアルコ
ール、ゼラチンなどの水溶性高分子物質、あるいはリン
酸カルシウム、炭酸カルシウム等の難水溶性無機塩粉末
を分散安定剤として媒体中に存在させ、機械的剪断力に
より単量体液滴を微細化した後、重合が行われる。しか
しながら、この懸濁重合法においても、通常行われる合
成法、分散処方で実際に必要とされる粒径分布を持つト
ナーが得られる訳ではない。
【0006】ここで、トナーの粒径分布の広がりを示す
尺度として、変動係数yを、次式(1) で定義し、以下説
明することにする。 y=s/x×100 (%) …(1) ここでxは、コールターカウンター等の粒径測定器で求
められる体積平均粒径(μm)であり、sは同様にして
求められる粒径の体積分布の標準偏差(μm)を示す。
変動係数yはその値が大きい程粒径分布が広く、小さい
程粒径分布が狭いことを示す尺度となる。
【0007】具体的に説明すると、従来粉砕法によって
分級して得ているトナーは、例えば、平均粒径11μm程
度の場合、変動係数が27〜35%の値を持つのが一般的で
ある。分級によってさらに粒度分布を狭くしようとする
と、トナーの回収率が著しく低下してしまうが、その割
りには画質その他の性能面の向上は殆ど望めない。一
方、懸濁重合法においては、平均粒径11μm前後の粒子
を合成した場合には、通常この変動係数は40〜70%また
はこれ以上の値を有し、粉砕法による分級法トナーより
もはるかに広い分布を示す。
【0008】例えばポリビニルアルコールを分散安定剤
とした場合、トナー組成を有する単量体溶液を、ホモミ
キサー等を用いて水中に懸濁させ、平均粒径を10〜12μ
mに調節し、重合して得られたトナーは、3μm以下の
微細トナーや20μm以上の粗大トナーを多量に含有し、
変動係数は55〜70%と広い粒径分布を示すものである。
また、粒径分布を比較的狭くし得る難水溶性無機分散安
定剤、例えば、第3リン酸カルシウム粉末を用い、分散
安定助剤としてアニオン活性剤を併用しても、変動係数
は約40〜50%の値しか得られない。
【0009】このような粒径分布の状態は、複写中に消
費されない粒径域のトナーをも含有するため、耐刷性、
画質、帯電性その他に非常に悪い影響を及ぼす。本発明
者等が得た知見によれば、懸濁重合により得られるトナ
ーは、球状または鋭角部分を持たない準球状を有してい
るが、この場合、通常の粉砕法で得られる不定形トナー
に比べて粒径分布による性能への影響が著しく大きくな
る。即ち、球状トナーにおいては、キャリアーあるいは
感光体との付着力(Van der Walls力)が、粉砕トナーよ
りも格段に大きく、このような付着力は粒径が小さくな
る程、クーロン力に対して相対的に大きくなる傾向を示
し、無視できないレベルとなる。
【0010】そのため、このような球状トナーにおいて
は、現像時、小粒径のトナー程キャリアーから離れにく
く、より大きな粒径のトナーから消費される傾向が異常
に強くなり、現像剤中に小粒径トナーが蓄積される結
果、多数枚の複写時には粒径分布のバランスが崩れ、画
質、帯電量等の性能が好ましい状態に維持出来ないとい
う事態になる。更に、一旦感光体上に現像されたトナー
でも、このような付着力によって、相対的に小粒径のト
ナーは、コピー紙上に転写されにくく、またクリーニン
グ工程においてもブレードに掻き取られ難くなるため、
転写効率の低下や、著しい画質劣化を引き起こす。
【0011】一方、必要以上に大きな粒径のトナーも帯
電性が悪いために現像剤中に蓄積され易くなり、多数枚
の複写時には解像力の低下や階調再現性の低下などの著
しい画質劣化を引き起こす。
【0012】そこで上述の如き懸濁重合法の粒径分布を
よりシャープなものにするため、重合性単量体組成物の
分散工程を改良するための提案がなされている。特開昭
63-113561 号、特開平2−69769 号、特開平4−195153
号各公報には、分散工程に改良を加えて、シャープな粒
径分布を有するトナーを得ようとする方法が開示されて
いるが、これらの方法では、重合中に物性変化の激しい
単量体組成の場合は重合中に凝集を起こしてしまい、シ
ャープな粒径分布を有するトナー粒子は得られない。こ
れを解決するために、特開昭60−117256号、特開平2−
179650号各公報には重合中あるいは造粒終了後に分散安
定剤を追加する事で改善を行う方法が開示されている
が、これらの方法は昇温下で分散安定剤を追加している
ために重合下での追加となる。このため急激な物性変化
の起こる場合には対応できず、やはり凝集を起こしてし
まう。
【0013】従って、本発明の目的は、上述のような従
来技術の持つ欠点を解決し、変動係数が30%以下のシャ
ープな粒径分布を有するトナーの製造を可能にする静電
荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、分散開始時に分
散安定剤の一部を加え、残りの分散安定剤を分散途中あ
るいは分散終了後に加えることにより、重合性単量体の
分散媒中での分散を安定化し、平均粒径3〜50μmのシ
ャープな粒径分布を有するトナー粒子が得られる事を見
出し、本発明を完成するに到った。
【0015】即ち本発明は、帯電制御剤及び着色剤を含
む重合性単量体組成物を水性媒体中で分散安定剤を用い
て分散させた後、懸濁重合させて静電荷像現像用トナー
を製造する方法において、分散安定剤として難水溶性無
機化合物粉末、分散安定助剤として界面活性剤を用い、
分散開始時に難水溶性無機化合物粉末の一部及び界面活
性剤の一部又は全部を加え、残りの難水溶性無機化合物
粉末と残りの界面活性剤、又は残りの難水溶性無機化合
物粉末を分散途中あるいは分散終了後に加えることを特
徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するも
のである。
【0016】本発明の分散工程における液温は0〜40
℃、好ましくは0〜30℃、更に好ましくは0〜20℃に調
整されることが好ましい。液温は水性媒体を利用してい
ることから、0℃以下では水の凍結が起こるため不可能
であり、40℃以上では反応が進行してしまうため、均一
な粒径分布が得られなくなる。
【0017】以下、本発明のトナーの製造方法について
具体的に説明する。まず、重合性単量体にカーボンブラ
ック等の着色剤、帯電制御剤、ワックス、その他必要に
応じてトナー特性改良剤を加え、これらを公知の固液分
散機によって混合分散させる。この分散液に重合開始剤
を溶解して得られた単量体組成物を、難水溶性無機化合
物粉末及び界面活性剤の存在下に水性媒体中にトナーに
適した粒径に分散させる。
【0018】本発明で用いられる分散安定剤である難水
溶性無機化合物粉末としては、アルカリ土類金属の塩、
例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム
等の難水溶性無機化合物粉末が挙げられる。本発明にお
いて、難水溶性無機化合物粉末として好ましく用いられ
るリン酸カルシウムとは、第3リン酸カルシウム(Ca3(P
O4)2)、ヒドロキシアパタイト(mCa3(PO4)2・nCa(OH)2)
、第2リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等を
指すが、ヒドロキシアパタイト及び第3リン酸カルシウ
ムが最も好ましい。
【0019】これらの難水溶性無機化合物粉末は、重合
性単量体組成物100 重量部に対して、合計で 0.2〜400
重量部を分割添加する。分割添加の際の添加量は、分散
開始時に 0.1〜300 重量部、分散途中又は分散終了後に
0.1〜300 重量部、好ましくは分散開始時に 0.5〜150
重量部、分散途中又は分散終了後に 0.5〜150 重量部用
いられる。難水溶性無機化合物粉末の添加量が0.2 重量
部未満では分散効果が不十分であり、凝集粒子が生成
し、好ましくない。400 重量部を越えると粘度上昇が起
こり攪拌が不均一になり凝集粒子が生成し好ましくな
い。
【0020】本発明に用いられる界面活性剤としては、
アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性のものが用
いられる。アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸
ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸
塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウ
ム等の高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン
酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、β−
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩
等のナフタレンスルホン酸誘導体、ジアルキルスルホコ
ハク酸ナトリウム塩、フェノキシエチル・アリルスルホ
コハク酸エステルアンモニウム塩等のスルホコハク酸誘
導体、ジアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノ
ールエーテル硫酸塩、アルキル硫酸トリエタノールアミ
ン等が挙げられるが、これらのうち特に好ましくは、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びスルホコハク
酸誘導体である。
【0021】また、カチオン性界面活性剤としては、ス
テアリルアミン塩酸塩、ジオレイルアミン硫酸塩等のア
ルキルアミン塩、ステアリルトリメチルアンモニウムク
ロライド等の4級アルキルアンモニウム塩、ラウリルジ
メチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド等が、両
性界面活性剤としては、ラウリルベタイン等のアルキル
ベタイン等が、ノニオン性界面活性剤としてはポリオキ
シエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル、ソルビタンモノラウレート等のソルビタン脂肪酸エ
ステル等が挙げられる。
【0022】これらの界面活性剤は、難水溶性無機化合
物粉末に対して0.01〜10重量%、好ましくは 0.1〜5重
量%の範囲で用いられる。また、これらは2種以上混合
して用いても良い。これらの界面活性剤は、分散開始時
に一部加え残りを分散途中あるいは分散終了後に加えて
も良いし、分散開始時に全部加えても良い。
【0023】本発明においては、難水溶性無機化合物粉
末としてリン酸カルシウムを用い、界面活性剤としてア
ニオン性界面活性剤を用いる組合せが特に好ましい。
【0024】本発明に用いられる帯電制御剤は正帯電性
のもの或いは負帯電性のもののいずれでも良く、例えば
アゾ系錯体染料のような負帯電性の帯電制御剤を用いた
場合は、負帯電性トナーが、またニグロシンのような正
帯電性のものを用いた場合は、正帯電性トナーが得ら
れ、必要に応じて使い分けることができる。帯電制御剤
の添加量は重合性単量体 100重量部に対して、0.1 〜5
重量部が好ましく、更に好ましくは、0.5 〜3重量部で
ある。
【0025】本発明に用いられる重合性単量体として
は、重合可能な炭素数3〜25の単量体が使用でき、例え
ば、スチレン、p−クロルスチレン、p−メチルスチレ
ン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニ
ル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブ
チルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、ドデシル
アクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso-ブチ
ルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、t−ブチルアミノメチルメタクリレート、アクリロ
ニトリル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等
が単独或いは混合して用いられる。
【0026】更に、本発明においては、ジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、グリシジルアクリレート等の多官能性モノマーを
架橋剤として上記モノマーに加えることにより、更に耐
久性の優れたトナーが製造できる。多官能性モノマーの
添加量は重合性単量体100 重量部に対して0.05〜20重量
部、好ましくは0.1 〜5重量部が良い。
【0027】本発明に用いられる着色剤としては、黒色
トナーの場合サーマルブラック法、アセチレンブラック
法、チャンネルブラック法、ファーネスブラック法、ラ
ンプブラック法等により製造される各種のカーボンブラ
ック、又カラートナーの場合、銅フタロシアニン、モノ
アゾ系顔料(C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Orange3
6, C.I.Pigment Red 22) 、ジスアゾ系顔料(C.I.Pigmen
t Yellow 83) 、アントラキノン系顔料(C.I.Pigment Bl
ue 60) 、ジスアゾ系染料(Solvent Red 19)、ローダミ
ン系染料(Solvent Red 49)等が挙げられる。
【0028】本発明において、重合開始剤としては、一
般に用いられる油溶性の過酸化物系或いはアゾ系開始剤
が利用できる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウ
ロイル、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−ア
ゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、オルソクロ
ル過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル
等が挙げられる。これらは重合性単量体100 重量部に対
して0.1 〜10重量部、好ましくは0.5 〜5重量部用いら
れる。
【0029】又、本発明において得られるトナーは、い
わゆる離型剤として知られている低分子量オレフィン重
合体をオフセット防止、流動性改良、定着性の改良など
の目的で含有することができる。この低分子量オレフィ
ン重合体は本発明に用いる着色剤と共に単量体の重合中
に存在させておくことが好ましい。本発明のトナーに使
用される低分子量オレフィン重合体としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマ
ー、塩素化ポリエチレンワックス等が挙げられる。上記
の低分子量オレフィン重合体の使用量は、トナーの樹脂
成分100 重量部当たり1〜20重量部、好ましくは3〜15
重量部であり、1重量部未満では十分なオフセット防止
効果を有しない場合があり、また20重量部を越えると重
合中ゲル化することがあるので好ましくない。
【0030】更に、本発明において得られるトナーは磁
性体を含有させることができ、一成分トナーとして用い
ることができる。磁性体を含有させる場合は、着色剤と
同様に、重合性単量体中に分散させて用いるのが好まし
い。磁性体の含有量は重合性単量体100 重量部に対して
20〜200 重量部が好ましく、更に好ましくは50〜150重
量部である。また本発明は、物性変化の特に激しい、界
面重合法あるいはin situ 重合法によって製造されるカ
プセルトナーにも応用できる。
【0031】本発明のトナーを用いて、例えば電子写真
法により画像を形成するにはセレン感光体、又は酸化亜
鉛、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫セレン化
カドミウム、酸化鉛、硫化水銀等の無機光導電性材料を
結着剤樹脂中に分散含有させた感光層を導電性支持体上
に設けた感光体、又はアントラセン、ポリビニルカルバ
ゾール等の有機光導電性材料を必要に応じて結着剤樹脂
中に含有させた感光層を導電性支持体上に設けた感光体
が用いられる。このような感光体の感光層表面に、例え
ばコロトロン又はスコロトロン帯電器を用いてコロナ放
電により全面帯電を行い、次いでこれに光等により像様
の露光を施して静電荷像を形成する。次いでこの静電荷
像を、例えばカスケード法又は磁気ブラシ法により、例
えば本発明のトナーと硝子玉又は鉄粉キャリアーとの混
合体からなる現像剤で現像してトナー像を形成する。こ
のトナー像は、例えばコロナ放電下に転写紙と圧着され
て転写紙上に転写される。この転写紙上に転写されたト
ナー像は離型性を有するフッ素樹脂又はシリコーンゴム
で被覆された熱ロール定着器により加熱定着される。
【0032】次に、本発明による静電荷像現像用トナー
の製造プロセスの具体例を述べる。重合性単量体、着色
剤、帯電制御剤、離型剤及び必要なら磁性体を混合攪拌
した後、重合開始剤を溶解する。次にこの混合液を水中
に加え、続いてこれに難水溶性無機化合物粉末の一部及
び界面活性剤の一部又は全部を分散開始時に加える。残
りの難水溶性無機化合物粉末と残りの界面活性剤、又は
残りの難水溶性無機化合物粉末を分散途中あるいは分散
終了後に加える。その後、昇温することにより懸濁重合
させて、この重合体を洗浄、濾過、乾燥を行った後、シ
リカ等の微粉末を表面に付着させる等の表面処理を施す
事によりトナーを得る。ここで分散開始時とは分散を開
始する以前又は開始直後の時期を示し、分散途中あるい
は分散終了後とは分散を開始してから、重合を行わせる
ための昇温を開始する以前の間の時期を示す。
【0033】本発明における重合性単量体組成物の水性
媒体中への分散には以下に示す様な分散機を用いること
ができる。高速回転式の分散機としては、T.K.ホモミキ
サー(特殊機化工業(株)製)、クレアミックス(エム
テクニック(株)製)、スラッシャー((株)三井三池
製作所製)、マイルダー((株)荏原製作所製)、T.K.
ハイラインミル(特殊機化工業(株)製)、T.K.ホモミ
ックラインフロー(特殊機化工業(株)製)、T.K.パイ
プラインホモミクサー(特殊機化工業(株)製)、T.K.
ホモミックラインミル(特殊機化工業(株)製)、T.K.
ハイビスラインミクサー(特殊機化工業(株)製)、DI
SHO (コルマ社製)等があり、、静止羽根または槽内形
状による分散機としては、ALM ホモジナイザー(ゴーリ
ン社製)、スタチックミキサーPSM (ペッツホルド社
製)、スルザーミキサー(スルーザーブラザース(株)
製)、ハイミキサー(東レ(株)製)、ノリタケスタチ
ックミキサー(ノリタケ(株)製)、T.K.フィスカリン
(特殊機化工業(株)製)、T.K.−ROSS LPDミクサー
(特殊機化工業(株)製)、T.K.−ROSS ISGミクサー
(特殊機化工業(株)製)及びコーズ・マゼラー(中国
火薬(株)製)等があり、渦巻ノズルを備えた分散機と
しては、ハイドロシャー(ゴーリン社製)等がある。
【0034】
【実施例】以下実施例及び比較例により、本発明を詳細
に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるもので
はない。尚、例中の部はすべて重量基準である。
【0035】実施例1 スチレン85部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、
カーボンブラック(三菱化成(株)製、#44)6部、帯
電制御剤(保土ケ谷化学(株)製、アイゼンスピロンブ
ラックTRH) 1.5部の混合物をT.K.ホモミキサー(特殊機
化工業(株)製)にて、10分混合した。この混合液に
2,2’−アゾビスイソバレロニトリル10部を溶解させ
た後、この液を、ヒドロキシアパタイト・スラリー〔日
本化学工業(株)製、スーパータイト(ヒドロキシアパ
タイト100 重量部に水900 重量部を混合したスラリ
ー)〕100 部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.025 部の水溶液180 部中に加え、T.K.ホモミキサ
ーにて回転数13000 rpm で3分間、液温を15℃にして混
合攪拌し、重合性単量体組成物を懸濁分散させた。この
懸濁液にヒドロキシアパタイト・スラリー80部、及びド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.025 部を加え、
セパラブルフラスコ中、通常の攪拌機にて100 rpmの攪
拌速度で、窒素雰囲気下、75℃で8時間重合反応を行わ
せた。さらに塩酸洗浄、水洗を行った後、40℃にて減圧
乾燥機で10時間乾燥させた。得られたトナーの粒径及び
粒径分布をコールターカウンター(TA−II型、アパーチ
ャー径50μm)で測定した。得られたトナーの平均粒径
は9.3 μm、変動係数は25%であった。
【0036】実施例2 懸濁分散前に加えるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム量を0.05部とし、分散終了後あるいは分散途中には
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを加えない以外
は、実施例1と同じ方法でトナーを製造した。得られた
トナーの平均粒径は9.5 μm、変動係数は29%であっ
た。
【0037】比較例1 懸濁分散前に加えるヒドロキシアパタイト・スラリー量
を180 部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量を
0.05部とし、分散終了後あるいは分散途中には、ヒドロ
キシアパタイト・スラリー及びドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムを加えない以外は、実施例1と同じ方法
でトナーを製造した。得られたトナーの平均粒径は8.1
μm、変動係数は73%であった。
【0038】比較例2 懸濁分散前に加えるヒドロキシアパタイト・スラリー量
を100 部とし、分散終了後には、ヒドロキシアパタイト
・スラリーを80部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウムは分散開始時、分散終了後あるいは分散途中のいず
れにも加えない以外は、実施例1と同じ方法でトナーを
製造した。得られたトナーの平均粒径は13.7μm、変動
係数は49%であった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、重合中におけるトナー
粒子の分散媒中での凝集を防ぎ、分散を安定化すること
ができるため、シャープな粒径分布を有するトナー粒子
が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 三普 和歌山市小松原6丁目6−17

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯電制御剤及び着色剤を含む重合性単量
    体組成物を水性媒体中で分散安定剤を用いて分散させた
    後、懸濁重合させて静電荷像現像用トナーを製造する方
    法において、分散安定剤として難水溶性無機化合物粉
    末、分散安定助剤として界面活性剤を用い、分散開始時
    に難水溶性無機化合物粉末の一部及び界面活性剤の一部
    又は全部を加え、残りの難水溶性無機化合物粉末と残り
    の界面活性剤、又は残りの難水溶性無機化合物粉末を分
    散途中あるいは分散終了後に加えることを特徴とする静
    電荷像現像用トナーの製造方法。
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