JPH06119819A - ハンダ処理可能な耐熱性絶縁電線 - Google Patents

ハンダ処理可能な耐熱性絶縁電線

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JPH06119819A
JPH06119819A JP4291930A JP29193092A JPH06119819A JP H06119819 A JPH06119819 A JP H06119819A JP 4291930 A JP4291930 A JP 4291930A JP 29193092 A JP29193092 A JP 29193092A JP H06119819 A JPH06119819 A JP H06119819A
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acid
mol
cresol
reaction
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Application number
JP4291930A
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English (en)
Inventor
Setsuo Terada
節夫 寺田
Shigeru Yamada
滋 山田
Takashi Yakida
孝志 八木田
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Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Ukima Chemicals and Color Mfg Co Ltd
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Ukima Chemicals and Color Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた熱的、機械的、電気的、化学的特性を
有すると共に、良好なハンダ剥離性を有する絶縁電線を
提供すること。 【構成】 (A)五員環のイミド基を含有する二価カル
ボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、
(B)三価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの
混合物と、(C)二価アルコールとを反応せしめて得ら
れたポリエステルイミド樹脂を含む絶縁塗料を導体上に
塗布及び焼き付けたことを特徴とするハンダ処理可能な
絶縁電線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハンダ剥離処理が可能
な絶縁電線に関し、更に詳しくは、ハンダ剥離性、軟化
温度、耐熱性並びに加工性に優れた新規なポリエステル
イミド樹脂で被覆した絶縁電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】近年、モーターやトラン
ス等の電気機器の小型化及び軽量化は著しいものがあ
る。このことは、家電製品のみならず自動車並びに航空
機における小型化及び軽量化の一翼を担っている。更
に、電気機器の信頼性向上も強く望まれ、モーターやト
ランス等の電気機器に用いられている絶縁電線は耐熱性
の優れた材料が求められている。又、機器の小型化及び
軽量化には電線の細線化を必要とし、細線化された絶縁
電線には、従来以上の負荷がかかる為、当然その絶縁電
線にはより高性能なものが要求される様になった。
【0003】この結果、絶縁材料は耐熱化が進み、熱的
に安定な材料であるF種(155℃)のグリセリン含有
ポリエステルイミド絶縁電線、H種(180℃)のトリ
ス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(以下
THEICと省略する)含有ポリエステルイミド絶縁電
線、H種(180℃)のTHEIC含有ポリエステルア
ミドイミド絶縁電線、H種(180℃)のTHEIC含
有ポリエステル絶縁電線、K種(200℃)の芳香族ポ
リアミドイミド絶縁電線並びにM種(220℃)のポリ
イミド絶縁電線が開発された。
【0004】又、これらの諸絶縁電線は過酷な環境下で
使用される為、耐化学薬品性、耐溶剤性、耐加水分解性
並びに耐アルカリ性が求められている。前述の絶縁電線
は概して耐化学薬品性に優れている。要約すれば、絶縁
電線に関しては、耐熱化、耐化学薬品性、細線化の向上
が望まれ、絶縁塗料メーカーはこの要求に応えて来た。
絶縁電線の耐熱性等の向上と共に、電気機器メーカーで
は、コストダウンを目的として省力化、生産のライン化
並びに細線化を進めて、工程の合理化を図ると共に、従
来以上に高性能化を求めている。省力化及びライン化の
例としては、絶縁電線の端末処理のライン化がある。
【0005】現在、この端末剥離処理は、(1)機械剥
離、(2)熱分解剥離、(3)薬品剥離、(4)ハンダ
剥離等の諸方法があるが、作業時間、細線の導体の無傷
化並びに連続処理化等を考慮すると、上記の(4)のハ
ンダ剥離処理方法が最も好ましいとされている。この
為、電気機器メーカーからはハンダ剥離処理が出来る、
いわゆるハンダ剥離が可能で、且つ耐熱性がF種(15
5℃)乃至H種(180℃)の絶縁電線が強く望まれて
いる。この目的の為に、ハンダ剥離が可能なポリエステ
ルイミド絶縁電線が開発された。
【0006】ハンダ剥離処理が可能な絶縁皮膜を導体の
上に形成し得ることは公知の事実である。この分野にお
いてハンダ剥離処理が可能なという表現は、加熱された
ハンダ浴中に絶縁電線を浸漬した時、絶縁皮膜がその浸
漬部分で分解及び除去され、この時点において導体には
ハンダが付いた状態になっている為、ハンダ付けが容易
となることであり、直接ハンダ付けが出来るということ
ではない。又、最近、高品位テレビジョンの偏向ヨーク
に用いられているリッツ線の如き多数の極細線を撚り合
せた絶縁電線並びに数本の撚り合わせられた絶縁電線同
士をハンダ付けする場合には、絶縁皮膜が被ったままの
線を、ハンダ浴に浸漬することによって絶縁皮膜の剥離
とハンダ付けを一挙に行う端末処理が増えてきた。
【0007】この為には、ハンダ浴への浸漬に続いて絶
縁皮膜は出来るだけ速やかに即ち瞬時に除去されねばな
らない。ハンダ浴への浸漬が短時間であればある程好ま
しいことは言うまでもない。この目的の為にハンダ浴と
しては、鉛と錫の合金が用いられている。脱皮膜並びに
ハンダ処理はいわゆる印刷回路の導体への接続における
ものと基本的に同じ方法で行われている。一方、ハンダ
付け性を有する絶縁電線としては、少なくとも2つの水
酸基並びに2官能性又はより高い官能性を有するブロッ
クイソシアネート基を有する化合物を含有するポリウレ
タン絶縁電線が使用されている。結合エネルギーの小さ
いウレタン結合やウレア結合等の熱解重合する基を主鎖
に持つポリウレタン絶縁電線は、320℃の低温領域か
ら400℃の高温領域で直接ハンダ付けが可能である。
【0008】しかしながら、ポリウレタン絶縁電線の耐
熱性は、せいぜいE種(120℃)どまりであった。こ
らに対して、最近ではTemperature Indexが130乃至
155℃の耐熱性を有すると共に、370℃のハンダ浴
でハンダ付けが可能なポリエステルイミド樹脂/ポリイ
ソシアネート樹脂被覆電線が開発された。絶縁電線をハ
ンダ剥離をする際、その耐熱性が高い程、溶融ハンダ浴
での皮膜分解温度を高くする必要があり、且つ皮膜を完
全に分解した炭化皮膜を導体上に残さない為には、溶融
ハンダ浴での浸漬処理時間を長くする必要が生じて来
た。或るラインに於けるハンダ剥離の処理条件は、高温
短時間浸漬法が採用され、520℃及び1乃至2秒でな
されている。しかしながら、溶融ハンダ浴の温度は40
0℃を超えるとハンダの酸化劣化が一段と進み、且つ銅
がハンダに溶解する速度が速くなる為に絶縁電線の線細
りの問題が生じて来る。従って、ハンダ浴の温度は少な
くとも450℃付近で、浸漬処理時間は10秒以内が好
ましい。
【0009】一方、絶縁電線に対する巻線特性への要求
は増々過酷となり、高速巻き線時の機械的負荷に耐える
ことが要求され、又、巻き線時の急激な熱負荷に耐える
為には耐熱軟化性と耐熱衝撃性が、又、耐クレージング
性等も必要となって来ている。これらの要求に対して
は、芳香族ポリアミドイミド絶縁電線が最も優れている
ことは公知であるが、これら芳香族ポリアミドイミド絶
縁電線は、前述の要求特性を満たすには過剰特性であ
り、且つ非常に高価であるうえにハンダ剥離性を有して
いない。F種(155℃)以上の耐熱性を有する絶縁電
線として、汎用的に用いられている絶縁電線は、F種の
グリセリン含有ポリエステルイミド絶縁電線、F乃至H
種のTHEIC含有ポリエステル絶縁電線、又はH種の
THEIC含有ポリエステルイミド絶縁電線である。
【0010】しかしながら、これら絶縁電線は芳香族ポ
リアミドイミド絶縁電線と同様に端末剥離処理は困難で
ある。本発明者らは、前述の要望に応えるべく鋭意研究
の結果、新規なポリエステルイミド樹脂を含む絶縁塗料
を用いることによりハンダ剥離性を向上させると共に、
F乃至H種の耐熱性(TI180℃)以上と高軟化温度
(300℃以上)を有する新規な優れた絶縁電線を見出
した。
【0011】
【問題点を解決する為の手段】即ち、本発明は、(A)
五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸或いはその
誘導体或いはこれらの混合物と、(B)三価カルボン酸
或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、(C)二価
アルコールとを反応せしめて得られたポリエステルイミ
ド樹脂を含む絶縁塗料を導体上に塗布及び焼き付けたこ
とを特徴とするハンダ処理可能な絶縁電線である。
【0012】
【作用】本発明の絶縁電線は、特定のポリエステルイミ
ド系の絶縁材料を用いた絶縁電線であり、優れた熱的、
機械的、電気的及び化学的特性を有しつつ、良好なハン
ダ剥離性を有するものである。本発明者は、絶縁電線の
ハンダ剥離性と耐熱性は全く相い反する特性であるにも
係らず、約300℃以上の軟化温度とTI185乃至1
95℃の耐熱性を有すると共に、450℃以下のハンダ
剥離性とを具備した新規なポリエステルイミド絶縁電線
を見出したことにある。上記本発明における450℃以
下のハンダ剥離性は、特定の構成のポリエステルイミド
絶縁層によって付与されたものであり、優れたハンダ剥
離性と優れた耐熱性を同時に具備した絶縁電線が提供さ
れる。
【0013】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明において使用するポ
リエステルイミド絶縁電線を製造する為の主成分である
ポリエステルイミド樹脂は、酸成分として前記の(A)
成分及び(B)成分を使用し、アルコール成分として上
記の(C)成分を使用し、これらを常法に従ってエステ
ル化して得られるものである。一般的には上記の原料は
そのまま用いられる場合が殆どであるが、これらの前駆
体を用いることも出来る。上記ポリエステルイミド樹脂
の構成要因としての(A)、(B)並びに(C)は、
(A)が5乃至30当量%、(B)が10乃至40当量
%、及び(C)が50乃至75当量%で反応して得られ
たものを主成分とするのが好ましい。
【0014】上記使用量において、(A)が5当量%未
満であると、得られる絶縁電線のハンダ剥離性と耐熱衝
撃性が不十分となり、一方、30当量%を越える場合に
は、原材料面からみてコスト高になり、又、皮膜の可と
う性も低下するので好ましくない。又、(B)が10当
量%未満であると、得られる絶縁電線のハンダ剥離性が
不十分となり、一方、40当量%を越える場合には、樹
脂合成時に困難が伴なう上に、皮膜の可とう性が低下す
るので好ましくない。又、(C)が50当量%未満であ
ると、得られる絶縁電線の皮膜の可とう性が著しく低下
し、一方、75当量%を越える場合には、得られる絶縁
電線の皮膜の軟化温度が低下するので好ましくない。
【0015】従って、本発明で使用するポリエステルイ
ミド樹脂のハンダ剥離性と軟化温度並びにF種乃至H種
の耐熱性をバランス良く満たす為に、最も好ましくは
(A)及び(B)が合計で30乃至45当量%で、且つ
(C)が55乃至70当量%となる様に反応させて得ら
れる樹脂が好ましい。本発明において用いられる五員環
のイミド基を含有する二価カルボン酸或いはその誘導体
或いはこれらの混合物(A)としては、従来公知の方法
によって次の(イ)と(ロ)或いは(イ)と(ハ)とを
反応せしめて得られるものが挙げられる。 (イ)五員環のカルボン酸無水物基の外に更に少なくと
も1個のその他の反応性基を含有する芳香族カルボン酸
無水物。この後者の反応性基はカルボキシル基、カルボ
ン酸無水物基又はヒドロキシル基等である。
【0016】上記五員環のカルボン酸無水物基の代り
に、隣接した炭素原子に結合した2個のカルボキシル基
又はそのエステル並びに半エステル並びにイミド基を形
成することの出来る限りにおいて、下記(ロ)に挙げら
れた第一級アミンとの半アミドも使用し得る。 (ロ)第一級アミノ基の外に少なくとも1個のその他の
反応性基を有する第一級アミン。この後者の反応性基は
カルボキシル基、ヒドロキシル基又は更に第一級アミノ
基等である。第一級アミノ基の代りに、その結合してい
る第一級アミノ基がイミド基を形成することの出来る限
りにおいて、そのアミンの塩、アミド、ラクタム又はポ
リアミドも使用し得る。
【0017】(ハ)ポリイソシアネート 五員環のカルボン酸無水物基及びその他の官能性基を有
する化合物(イ)の例としては、トリカルボン酸無水
物、例えば、トリメリット酸無水物、ヘミメリット酸無
水物、1,2,5−ナフタリントリカルボン酸無水物、
2,3,6−ナフタリントリカルボン酸無水物、1,
8,4−ナフタリントリカルボン酸無水物、3,4,4
´−ジフェニールトリカルボン酸無水物、3,4,4´
−ジフェニールメタントリカルボン酸無水物、3,4,
4´−ジフェニールエーテルトリカルボン酸無水物、
3,4,4´−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物等
が挙げられる。
【0018】テトラカルボン酸二無水物としては、例え
ば、ピロメリット酸二無水物、メロファニ酸二無水物、
2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水
物、1,8,4,5−ナフタリンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン酸二
無水物、3,3´,4,4´−ジフェニールテトラカル
ボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニールエ
ーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´
−ジフェニールメタンテトラカルボン酸二無水物、3,
3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物等が挙げられ、特に有用なものは、トリメリット酸
無水物である。
【0019】第一級アミノ基及びその他の官能性基を少
なくとも1個有する化合物(ロ)の例としては、エチレ
ンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジ
アミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン等の脂肪族ジアミン、4,4´−ジアミノジフェニル
メタン、4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、4,
4´−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4´−ジア
ミノジフェニルスルホン、
【0020】4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3´−ジアミノジフェニル、3,3´−ジアミノジ
フェニルスルホン、3,3´−ジメチル−4,4´−ビ
スフェニルジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、
1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミ
ン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミン、
【0021】1−イソプロピル−2,4−メタフェニレ
ンジアミン等の芳香族第1級ジアミン(特に好ましいの
は芳香族ジアミンである)、更に、例えば、3−(p−
アミノシクロヘキシル)メタンジアミノプロピル、3−
メチル−ヘプタンメチンジアミン、4,4´−ジメチル
ヘプタメチンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレ
ンジアミン、
【0022】2,5−ジメチルヘプタメチンジアミンの
如き分枝状脂肪族ジアミン、更に、例えば、1,4−ジ
アミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10
−ジメチルデカン等の脂環族ジアミン、更に、例えば、
モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジメ
チルエタノールアミンの如きアミノアルコール並びに、
例えば、グリココール、アミノプロピオン酸、アミノカ
プロン酸、アミノ安息香酸の如きアミノカルボン酸も使
用し得る。
【0023】ポリイソシアネート(ハ)の化合物の例と
しては、単一核のポリイソシアネート、例えば、m−フ
ェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシ
アネート、2,6−トリレンジイソシアネート等が挙げ
られ、多数の核を有する芳香族ポリイソシアネート化合
物の例としては、ジフェニルエーテル−4,4´−ジイ
ソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシ
アネート、ジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネ
ート、ジフェニルメタン−2,2´−ジイソシアネー
ト、ジフェニルスルホン−4,4´−ジイソシアネー
ト、ジフェニルチオエーテル−4,4´−ジイソシアネ
ート、ナフタリンジイソシアネート等があり、更に、ヘ
キサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0024】又、これらのポリイソシアネートのイソシ
アネート基をフェノール性水酸基で安定化したいわゆる
安定化イソシアネートも用いることも出来る。五員環の
イミド基を含有する二価カルボン酸として最も好ましい
のは、トリメリット酸無水物2モルと4,4´−ジアミ
ノジフェニルメタン1モル、4,4´−ジアミノジフェ
ニルエーテル1モル、ジフェニルメタン−4,4´−ジ
イソシアネート1モル或いはジフェニルエーテル−4,
4´−ジイソシアネート1モルより得られる二価カルボ
ン酸である。これら五員環のイミド基を含有する二価カ
ルボン酸としては、通常は溶剤中で(イ)と(ロ)或い
は(イ)と(ハ)を反応させて得られる。
【0025】五員環のイミド基を含有する二価カルボン
酸を溶剤中で得る際に用いる溶剤としては、N−メチル
−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホル
ムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、クレゾール
酸、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p
−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレ
ノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノー
ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、脂
肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、
エーテル類、ケトン類並びにエステル類も用いることが
出来、これらの例としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピ
ルベンゼン、石油ナフサ、コールタールナフサ、ソルベ
ントナフサ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられ
る。これらは単独のみならず混合溶剤として用いること
も出来る。五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸
の誘導体としては、エステル或いはハライド等がある。
【0026】三価カルボン酸或いはその誘導体(B)の
例としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸の
他に、更に、トリメリット酸無水物、ヘミメリット酸無
水物、1,2,5−ナフタリントリカルボン酸無水物、
2,3,6−ナフタリントリカルボン酸無水物、1,
8,4−ナフタリントリカルボン酸無水物、3,4,4
´−ジフェニールトリカルボン酸無水物、3,4,4´
−ジフェニールメタントリカルボン酸無水物、3,4,
4´−ジフェニールエーテルトリカルボン酸無水物及び
3,4,4´−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物等
が挙げられる。これらの三価カルボン酸の誘導体として
は、そのエステルがあるも、特に有用なものは、トリメ
リット酸無水物とトリメリット酸である。
【0027】二価アルコール(C)の例としては、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−
プロパンジオール、
【0028】各種のブタン−、ペンタン−、又はヘキサ
ンジオール、例えば、1,3−又は1,4−ブタンジオ
ール 1,5−ペンタンジオール 1,6−ヘキサンジオール、ブテン−2−ジオール−
1,4、2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3、
2−エチル−2−ブチル−プロパンジオール−1,3、
1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ブテン
ジオール、
【0029】水添加ビスフェノール類(例えば、水添加
P,P´−ジヒドロキシジフェニールプロパン又はその
同族体)、環状グリコール、例えば、2,2,4,4−
テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ヒドロ
キノン−ジ−β−ヒドロキシエチル−エーテル、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサ
ンジエタノール、トリメチレングリコール、ヘキシレン
グリコール、オクチレングリコール等が挙げられる。特
に好ましいのは、エチレングリコール、1,2−プロピ
レングルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール又はこれらの
混合物である。又、本発明の効果を減じない限りにおい
ては、一部三価以上の多価アルコールを使用してもよ
く、三価以上のアルコールの例としては、グリセリン、
1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリ
メチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)
イソシアヌレート、ペンタエリスリトール等が挙げられ
る。
【0030】本発明においてこれらの原料化合物を用い
てポリエステルイミド樹脂を合成する場合の態様として
は次の如き方法が挙げられる。 (1)五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸
(A)を、先に五員環のイミド基を含有する二価カルボ
ン酸(A)の項において述べた原材料(イ)と(ロ)或
いは(イ)と(ハ)とを溶剤中で反応させて形成する。
この系中に、他の原材料である(B)及び(C)を添加
し、200乃至210℃にて3乃至7時間エステル化反
応を進めることにより、ポリエステルイミド樹脂溶液を
合成する方法。 (2)五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸
(A)を、この五員環のイミド基を含有する二価カルボ
ン酸(A)の項において述べた原材料(イ)と(ロ)或
いは(イ)と(ハ)とを溶剤中で反応させて形成する。
【0031】この系中に、他の原材料である(B)並び
に(C)より合成したポリエステル中間体を添加し、2
00乃至210℃にて3乃至5時間エステル化反応を行
なうことにより、ポリエステルイミド樹脂溶液を合成す
る方法。 (3)上記(2)の方法で得られたポリエステル中間体
の系中に、前記の原材料(イ)と(ロ)又は(イ)と
(ハ)とより合成した五員環のイミド基を含有する二価
カルボン酸(A)を添加し、200乃至210℃にて3
乃至5時間エステル化反応を進めることによりポリエス
テルイミド樹脂溶液を合成する方法。
【0032】(4)前記(2)の方法で得られるポリエ
ステル中間体溶液を100℃以下に冷却し、五員環のイ
ミド基を含有する二価カルボン酸(A)の出発原材料で
ある前記の(イ)と(ロ)とを添加し、120乃至16
0℃にてイミド基を含有する二価カルボン酸(A)を形
成すると共に、200℃迄昇温し、200乃至210℃
にて3乃至5時間エステル化反応を進めることによりポ
リエステルイミド樹脂溶液を合成する方法。 (5)五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸
(A)の出発原材料である前記原材料の(イ)と(ロ)
と、他の原材料である(B)及び(C)とを一斉に混合
し、この系中で120乃至160℃にてイミド化反応を
行うと共に、200℃迄昇温し、200乃至210℃に
て3乃至5時間直接エステル化反応を行うことによりポ
リエステルイミド樹脂溶液を合成する一斉反応方法があ
る。
【0033】原材料である(A)、(B)及び(C)の
反応によって得られたポリエステルイミド樹脂は、溶剤
により溶解或いは適当な濃度に調整し、本発明で使用す
る絶縁塗料を得る。溶剤の例としてはフェノール性水酸
基を有する溶剤、例えば、フェノール、o−クレゾー
ル、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレ
ノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノー
ル、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、
3,5−キシレノール、o−n−プロピルフェノール、
2,4,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリ
メチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノー
ル、4−エチル−2−メチルフェノール、5−エチル−
2−メチルフェノール及びこれらの混合物であるクレゾ
ール酸を用いるのが好ましい。その他、N−メチル−2
−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性
溶剤を用いることが出来る。又、稀釈溶剤として、例え
ば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル類、ア
セタール類、ケトン類、エステル類等を用いる事が出来
る。
【0034】脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素として
は、例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキ
サン、デカリン、ジペンテン、ピネン、p−メンタン、
デカン、ドデカン、テトラデカン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イ
ソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、p−シメン、テ
トラリン或いはこれらの混合物、石油ナフサ、コールタ
ールナフサ、ソルベントナフサが挙げられる。本発明で
使用するポリエステルイミド樹脂絶縁塗料に最も有用な
溶剤はクレゾール酸である。クレゾール酸は180乃至
230℃の沸点範囲を有しており、これは、フェノー
ル、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾー
ル、キシレノール類を含有している。
【0035】このクレゾール酸の一部を芳香族炭化水
素、例えば、石油ナフサ、コールタールナフサ、ソルベ
ントナフサ等で稀釈することによって、絶縁塗料を導体
上に塗布及び焼付けて絶縁電線を製造する際の作業性を
向上させることが出来る。これら稀釈溶剤としては、例
えば、キシレン、ソルベントナフサ2号、ソルベッソ#
100並びにソルベッソ#150等が挙げられ、これら
の使用量は溶剤の重量の0乃至30%であるが、好まし
くは10乃至20%である。
【0036】この様にして得られた本発明で使用する絶
縁塗料を導体上に塗布及び焼付けて絶縁電線を製造する
際、少量の金属乾燥剤を用いることは絶縁電線の表面平
滑性を改善すると共に、引き取り速度を速くすることが
出来、その作業性を一段と向上させるので好ましい。こ
れら金属乾燥剤としては、亜鉛、カルシウム又は鉛のオ
クトエート、リノレート等が有用であり、例えば、亜鉛
オクトエート、カルシウムナフテネート、亜鉛ナフテネ
ート、鉛ナフテネート、鉛リノネート、カルシウムリノ
レート、亜鉛レジネート等であり、その他にはマンガン
ナフテネート、コバルトナフテネート等が挙げられる。
【0037】しかしながら、更に有利なのはこれら金属
乾燥剤の代りにチタン酸及びジルコン酸の化合物を用い
ることである。代表的なチタン酸化合物としては、例え
ば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタ
ネート、テトラヘキシルチタネート、テトラメチルチタ
ネート、テトラプロピルチタネート、テトラオクチルチ
タネート等のテトラアルキルチタネート類が挙げられ
る。又、テトラアルキルチタネートをオクチレングリコ
ール、トリエタノールアミン、2,4−ペンタジエン、
アセト酢酸エステル等と反応させて得られるテトラアル
キルチタニウムキレート類も有用である。
【0038】又、テトラアルキルチタネートをステリア
リン酸等と反応させて得られるテトラアルキルチタニウ
ムアシレートも有用である。ジルコン酸の化合物として
は、上記チタン酸化合物に対応するテトラアルキルジル
コネート類、ジルコニウムキレート類、ジルコニウムア
シレート類が挙げられる。これらの金属化合物の添加量
は、前記絶縁塗料の固形分に対して0.1乃至6.0重
量%、好ましくは1乃至3重量%である。又、硬化剤と
してポリイソシアネートのイソシアネート基をフェノー
ルやクレゾール等でブロックした安定化ポリイソシアネ
ートを用いることが出来る。これらの例としては、
【0039】2,4−トリレンジイソシアネートの環状
三量体、2,6−トリレンジイソシアネートの環状三量
体、ジフェニールメタン−4,4´−ジイソシアネート
の三量体、3モルのジフェニールメタン−4,4´−ジ
イソシアネートと1モルのトリメチロールプロパンとの
反応生成物、3モルの2,4−トリレンジイソシアネー
トと1モルのトリメチロールプロパンとの反応生成物、
3モルの2,6−トリレンジイソシアネートと1モルの
トリメチロールプロパンとの反応生成物、3モルの2,
4−トリレンジイソシアネートと1モルのトリメチロー
ルエタンとの反応生成物、
【0040】3モルの2,6−トリレンジイソシアネー
トと1モルのトリメチロールエタンとの反応生成物、混
合した3モルの2,4−及び2,6−トリレンジイソシ
アネートと1モルのトリメチロールプロパンとの反応生
成物、混合した2,4−及び2,6−トリレンジイソシ
アネートの環状三量体等をフェノール或いはクレゾール
でブロックした安定化ポリイソシアネート等が挙げられ
る。更に、ジフェニールメタン−4,4´−ジイソシア
ネートをキシレノールでブロックした安定化イソシアネ
ートも有用である。
【0041】その他、フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホ
ルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹
脂、エポキシ樹脂並びにシリコーン樹脂を1乃至5重量
%添加することにより絶縁電線の外観作業性を更に向上
することが出来る。これら樹脂が1重量%に満たない場
合には、作業性の改善には効果がない。5重量%以上添
加した場合には、ハンダ剥離の際炭化物を著しく形成す
るので好ましくない。特に好ましい樹脂はフェノール−
ホルムアルデヒド樹脂とキシレン−ホルムアルデヒド樹
脂であり、これらの樹脂を1乃至2重量%添加すること
により絶縁電線のハンダ剥離性を損なうことなく、外観
作業性を向上させることが出来る。
【0042】以上が本発明で使用するポリエステルイミ
ド絶縁塗料の内容であり、本発明のハンダ処理可能な絶
縁電線は、上記のポリエステルイミド絶縁塗料を導体上
に塗布及び焼付けて所定の皮膜厚さとすることによって
提供される。この際に使用する導体とは、例えば、銅、
銀又はステンレス鋼線であり、適用される導体径は極細
線から太線までいずれの径のものでもよく、特定の導体
径のものに限定されるものではない。一般的には径が約
0.050乃至2.0mm程度の銅線に主として適用さ
れている。
【0043】上記導体上に絶縁皮膜を形成する方法は従
来公知の方法に準拠すればよく、例えば、フェルト絞り
方式やダイス絞り方式の如き方法により絶縁塗料を塗布
し、連続的に約350乃至550℃の温度の焼付炉中を
数回又は十数回通すことによって所望の絶縁皮膜が形成
される。その絶縁皮膜の厚さは、JIS、NEMA或い
はIEC等の規格に規定された皮膜厚さである。
【0044】
【実施例】以下の参考例、比較例及び実施例で本発明の
内容を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。 参考例1 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)をクレゾ
ール600gの中に加え、次いで4,4´−ジアミノジ
フェニールメタン99g(0.5モル)を添加し、この
混合物を140℃にて6時間反応した。冷却後淡黄色で
微細結晶の沈殿物が得られた。これをアルコールで数回
洗浄しろ別して五員環のジイミドジカルボン酸を得た。
【0045】参考例2 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)をクレゾ
ール600gの中に加え、次いで4,4´−ジアミノジ
フェニールエーテル100g(0.5モル)を添加し、
この混合物を180℃にて4時間反応した。冷却後褐色
の結晶沈殿物が得られた。これをアルコールで数回洗浄
しろ別して五員環のジイミドジカルボン酸を得た。
【0046】参考例3 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)をクレゾ
ール600gの中に加え、次いで4,4´−ジアミノジ
フェニールスルホン124g(0.5モル)を添加した
後、この混合物を160℃にて4時間反応した。冷却後
白色の結晶沈殿物が得られた。これをアルコールで数回
洗浄しろ別して五員環のジイミドジカルボン酸を得た。
【0047】参考例4 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)をクレゾ
ール600gの中に加え、次いでp−フェニレンジアミ
ン108g(0.5モル)を添加し、この混合物を18
0℃にて4時間反応した。冷却後緑褐色の結晶沈殿物が
得られた。これをアルコールで数回洗浄しろ別して五員
環のジイミドジカルボン酸を得た。
【0048】参考例5 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)をクレゾ
ール600gの中に加え、次いでヘキサメチレンジアミ
ン58g(0.5モル)を添加し、この混合物を180
℃にて4時間反応した。冷却後白色の結晶沈殿物が得ら
れた。これをアルコールで数回洗浄しろ別して五員環の
ジイミドジカルボン酸を得た。
【0049】参考例6 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)とp−ア
ミノ安息香酸137g(1.0モル)とをクレゾール6
00gの中に加えて分散させた。この混合物を150℃
にて4時間反応した。冷却後白色粉末の微粒状沈殿物が
得られた。これをアルコールで数回洗浄しろ別して五員
環のジイミドジカルボン酸を得た。
【0050】参考例7 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)とジフェ
ニールメタン−4,4´−ジイソシアネート125g
(0.5モル)とをソルベントナフサ(日石化学ハイゾ
ール#100)150gの中に添加し、この混合物を1
50℃にて4時間反応した。反応が進行するにつれて著
しい発泡が起こり、次いで固化した。この固化物を粉砕
し、五員環のジイミドジカルボン酸を得た。
【0051】参考例8 トリメリット酸無水物192g(1.0モル)とジフェ
ニールエーテル−4,4´−ジイソシアネート126g
(0.5モル)とをソルベントナフサ(日石化学ハイゾ
ール#100)150gの中に添加し、この混合物を1
50℃にて4時間反応した。反応が進行するにつれて著
しい発泡が起こり、次いで固化した。この固化物を粉砕
し、五員環のジイミドジカルボン酸を得た。
【0052】実施例1 撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び冷却管を備えた
2,000ccの四つ口フラスコに、参考例1と同様に
して、トリメリット酸無水物192g(1.0モル)を
クレゾール500gの中に加えて分散させた。次に、
4,4´−ジアミノジフェニールメタン99g(0.5
モル)を添加し、この混合物を150℃にて3時間反応
させて、五員環のジイミドジカルボン酸273g(1.
0当量)を得る。この系を100℃以下に冷却した後、
トリメリット酸無水物64g(1.0当量)及びエチレ
ングリコール105g(3.4当量)を添加し、混合撹
拌して200℃まで6時間かけて昇温し、尚この温度で
5時間反応させた。
【0053】この五員環のジイミドジカルボン酸は、生
成したポリエステル成分と反応し透明な樹脂溶液が得ら
れる。反応の度合は、粘度上昇で測定することとし経時
的に試料採取を行った。反応の終点は樹脂試料の粘度が
40%クレゾール中でZ(ガードナー粘度計)となっ
た時に、クレゾールを加え不揮発分40%とし、これに
前述の日石化学ハイゾール#100を加え不揮発分35
%の樹脂溶液とする。更に樹脂分に対して2%のテトラ
ブチルチタネートとtert−ブチルフェノールとを主
成分とするフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を2%加
え本発明で使用する絶縁塗料とした。
【0054】実施例2 撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び冷却管を備えた
1,000ccの四つ口フラスコに、トリメリット酸無
水物192g(1.0モル)をクレゾール500gの中
に加えて分散させた。次に4,4´−ジアミノジフェニ
ールメタン99g(0.5モル)を添加し、150℃で
3時間反応させて五員環のジイミドジカルボン酸273
g(1.0当量)を得る。この混合物を100℃以下に
冷却する。別途、上述と同様の500ccの反応容器に
てトリメリット酸無水物64g(1.0当量)、エチレ
ングリコール105g(3.4当量)及びキシレン30
gを混合撹拌して200℃まで6時間かけて昇温し、こ
の温度で5時間反応させた。
【0055】このポリエステル成分を80℃まで冷却し
た後、前述の五員環のジイミドジカルボン酸の分散溶液
中に添加すると共に再び反応を開始する。反応は200
℃まで5乃至7時間かけて行う。五員環のジイミドジカ
ルボン酸は、ポリエステル成分と反応し透明な樹脂溶液
が得られる。反応の度合は、粘度上昇で測定することと
し経時的に試料採取を行った。反応の終点は樹脂試料の
粘度が40%クレゾール中でZ+(ガードナー粘度
計)となった時に、クレゾールを加え不揮発分40%と
し、これに日石化学ハイゾール#100を加え不揮発分
35%の樹脂溶液とする。かくして得られた樹脂溶液を
実施例1における如く処理して本発明で使用する絶縁塗
料とした。
【0056】実施例3 撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び冷却管を備えた
2,000ccの四つ口フラスコに、トリメリット酸無
水物64g(1.0当量)及びエチレングリコール10
5g(3.4当量)及びキシレン30gを混合撹拌して
200℃まで6時間かけて反応させ、ポリエステル成分
を合成した。これにクレゾールを500g添加すると共
に80℃まで冷却した後、トリメリット酸無水物192
g(1.0モル)及び4,4´−ジアミノジフェニール
メタン96g(0.5モル)を添加し、反応温度を20
0℃にまで昇温する。この間140乃至150℃にて五
員環のジイミドジカルボン酸(1.0当量)が生成及び
析出する為この系は濁って高粘性となるが、昇温するに
従ってポリエステル成分に吸収されて溶液状となり、次
いで透明な樹脂溶液となる。反応温度を200℃にて1
乃至2時間保温する。
【0057】反応の度合は、粘度上昇で測定することと
し経時的に試料採取を行った。反応の終点は樹脂試料の
粘度が40%クレゾール中でZ(ガードナー粘度計)
となった時に、クレゾールを加え不揮発分40%とし、
これに日石化学ハイゾール#100を加え不揮発分35
%の樹脂溶液とする。かくして得られた樹脂溶液を実施
例1における如く処理して本発明で使用する絶縁塗料と
した。
【0058】実施例4 撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び冷却管を備えた
2,000ccの四つ口フラスコに、トリメリット酸無
水物256g(1.33当量)、4,4´−ジアミノジ
フェニールメタン99g(0.5モル)、エチレングリ
コール105g(3.4当量)及びクレゾール500g
を添加し、混合撹拌して200℃まで6時間かけて昇温
する。この間140℃で五員環のジイミドジカルボン酸
が生成し、析出することで濁って高粘性を呈する。昇温
するにつれ析出した五員環のジイミドジカルボン酸は徐
々にポリエステル成分に吸収される。200℃で5時間
反応を継続する。
【0059】反応の度合は、粘度上昇で測定することと
し経時的に試料採取を行った。反応の終点は樹脂試料の
粘度が40%クレゾール中でZ+(ガードナー粘度
計)となった時に、クレゾールを加え不揮発分40%と
し、これに前述の日石化学ハイゾール#100を加え不
揮発分35%の樹脂溶液とする。かくして得られた樹脂
溶液を実施例1における如く処理して本発明で使用する
絶縁塗料とした。
【0060】実施例5 実施例3の配合例におけるエチレングリコール105g
(3.4当量)の代わりに、1,6ヘキサンジオール2
00g(3.4当量)を用いて実施例3と同様の方法で
本発明で使用する絶縁塗料を得た。
【0061】実施例6 実施例3の配合例におけるエチレングリコール105g
(3.4当量)の代わりに、エチレングリコール74g
(2.4当量)と1,2−プロピレングリコール38g
(1.0当量)を用いて実施例3と同様の方法で本発明
で使用する絶縁塗料を得た。 実施例7 実施例3の配合例におけるエチレングリコール105g
(3.4当量)の代わりに、エチレングリコール84g
(2.7当量)と1,3−ブタンジオール32g(0.
7当量)を用いて実施例3と同様の方法で本発明で使用
する絶縁塗料を得た。
【0062】実施例8 実施例3の配合例におけるエチレングリコール105g
(3.4当量)の代わりに、エチレングリコール53g
(1.7当量)と1,6−ヘキサンジオール100g
(1.7当量)を用いて実施例3と同様の方法で本発明
で使用する絶縁塗料を得た。 実施例9 トリメリット酸無水物64g(0.9当量)、エチレン
グリコール155g(5.0当量)、キシレン20g、
クレゾール900g、トリメリット酸無水物384g
(2.0モル)及び4,4´−ジアミノジフェニールメ
タン198g(1.0モル)[即ちジイミドジカルボン
酸(2.0当量)]とを実施例3と同様の方法で反応さ
せると共に同様に本発明で使用する絶縁塗料を得た。
【0063】実施例10 トリメリット酸無水物256g(4.0当量)、エチレ
ングリコール310g(10.0当量)、キシレン20
g、クレゾール1,100g、トリメリット酸無水物1
92g(1.0モル)及び4,4´−ジアミノジフェニ
ールメタン99g(0.5モル)[即ちジイミドジカル
ボン酸(1.0当量)]とを実施例3と同様の方法で反
応させると共に同様に本発明で使用する絶縁塗料を得
た。
【0064】実施例11乃至15 実施例2の配合例におけるトリメリット酸無水物192
g(1.0モル)と4,4´−ジアミノジフェニールメ
タン99g(0.5モル)の代わりに参考例2乃至6の
五員環のジイミドジカルボン酸を用いて以下実施例2と
同様にして本発明で使用する絶縁塗料を得た。
【0065】実施例16 実施例3の配合例におけるトリメリット酸無水物192
g(1.0モル)と4,4´−ジアミノジフェニールメ
タン99g(0.5モル)の代わりに参考例8の五員環
のジイミドジカルボン酸を用いて以下実施例3と同様に
して本発明で使用する絶縁塗料を得た。
【0066】比較例1 撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び冷却管を備えた
2,000ccの四つ口フラスコ中に、ジメチルテレフ
タレート340g(3.5当量)、エチレングリコール
155g(5.0当量)、グリセリン154g(5.0
当量)、リサージ0.4g及びキシレン300gを添加
して混合撹拌し、180℃まで昇温し、この温度で5時
間反応させた。これに参考例7で得られた五員環のジイ
ミドジカルボン酸410g(1.5当量)を徐々に添加
し、反応温度を200℃にまで昇温する。
【0067】この間五員環のジイミドジカルボン酸はポ
リエステル成分と反応し透明な樹脂溶液が得られる。次
いで反応温度を240℃まで昇温すると共に1乃至2時
間保温した後、減圧蒸留を行い十分粘稠になった時点で
クレゾールを加え不揮発分40%とし、これに日石化学
ハイゾール#100を加え不揮発分35%の樹脂溶液と
する。更に樹脂分の3%のテトラブチルチタネートを加
え比較例で使用する絶縁塗料とした。
【0068】比較例2 撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び冷却管を備えた
2,000ccの四つ口フラスコ中に、ジメチルテレフ
タレート340g(3.5当量)、エチレングリコール
155g(5.0当量)、グリセリン154g(5.0
当量)、リサージ0.4g及びキシレン300gを添加
して混合撹拌し、180℃まで昇温し、この温度で5時
間反応させた。
【0069】これを80℃まで冷却した後、トリメリッ
ト酸無水物288g(1.5モル)と4,4´−ジアミ
ノジフェニールメタン149g(0.75モル)とを添
加し、反応温度を200℃にまで昇温する。この間14
0乃至150℃にて生成した五員環のジイミドジカルボ
ン酸はポリエステル成分と反応し透明な樹脂溶液が得ら
れる。次いで反応温度を240℃まで昇温すると共に1
乃至2時間保温した後、減圧蒸留を行い十分粘稠になっ
た時点でクレゾールを加え不揮発分40%とした。これ
に比較例1と同様の処理を行いで比較例で使用する絶縁
塗料とした。
【0070】比較例3 比較例2のエチレングリコール155g(5.0当量)
の代わりに、1,6−ヘキサンジオール295g(5.
0当量)を用いて比較例2と同様の方法で比較例で使用
する絶縁塗料を得た。
【0071】これら絶縁塗料の性能試験を行うにあたっ
ては、本発明及び比較例の絶縁塗料を次の条件で塗布及
び焼付けを行って本発明及び比較例の絶縁電線を製造し
た。 導体径;0.32m/m 焼付炉;有効炉長2.5mの横型焼付炉 焼付温度;500℃(最高温度) 絞り方式;ダイス方式 塗布回数;6回 皮膜厚さ;0.025乃至0.030m/m
【0072】試験方法はJIS C 3003−198
4のエナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法
に準じて行った。試験結果は第1表の通りである。上記
の試験結果から明らかな如く、本発明によるポリエステ
ルイミド絶縁塗料を用いた場合には、従来のポリエステ
ルイミド絶縁塗料を用いたものに対して、軟化温度並び
にハンダ剥離性並びに限界温度(TI)が著しく向上し
ていることが明らかである。尚、TI(Temperatur Inde
x)は、IEC 251-1978 Methods oftest for windingwires
Part 1: Enamelled wiresに準拠した。
【0073】
【表1】
【0074】
【効果】以上の如き本発明によれば、電線の皮膜を特定
のポリエステルイミド樹脂から形成することによって、
軟化温度、ハンダ剥離及び限界温度が著しく改善された
ハンダ処理可能な絶縁電線が経済的に提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八木田 孝志 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)五員環のイミド基を含有する二価
    カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、
    (B)三価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの
    混合物と、(C)二価アルコールとを反応せしめて得ら
    れたポリエステルイミド樹脂を含む絶縁塗料を導体上に
    塗布及び焼き付けたことを特徴とするハンダ処理可能な
    絶縁電線。
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