JP3816694B2 - 絶縁塗料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだ付け性のある耐熱性絶縁電線を得ることのできる、作業性に優れる絶縁塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、モ−タ−やトランス等の電気機器の小型軽量化や高性能化が著しい。
それに伴い、電気機器の信頼性向上のために、使用材料である絶縁電線の耐熱性化が進展し、ポリエステル絶縁塗料を用いた耐熱性F種以上のポリエステル絶縁電線(PEW)、ポリエステルイミド絶縁塗料を用いたポリエステルイミド絶縁電線(EIW)やポリアミドイミド絶縁塗料を用いたポリアミドイミド絶縁電線(AIW)等が開発され実用化されている。
【0003】
一方、絶縁電線メーカーでは、主として生産性向上を目的に、作業焼付温度を上げて生産性向上を図るべく絶縁電線の製造装置の開発改良を行ってきているが、絶縁電線とする際の作業焼付温度の低温度化が可能となれば更に好都合とされている。
先に挙げた耐熱性絶縁電線であるPEW、EIW、AIW等の製造では、作業焼付温度は通常450℃以上を必要とするのに対し、ポリウレタン絶縁電線(UEW)の製造では通常300℃以上で可能である。しかしながら、このUEWの耐熱性はE種であり、電気機器メーカーの要求とする耐熱性には到達しない。
【0004】
このような事情から、絶縁電線メーカーにおいては、少なくともPEW以上の耐熱性を有し、かつPEW等製造時より低い作業焼付温度で製造可能な絶縁塗料を必要としている。一方、絶縁電線を使用する電気機器メーカーでは、主としてコストダウンを目的に省力自動化等工程の合理化を図ってきており、そのために絶縁電線として、先に述べた耐熱性のみならず、省力自動化につながる各種特性を有するものを要求してきている。
【0005】
省力自動化につながる各種特性の一つとして、端末処理における絶縁電線の絶縁被覆の剥離とはんだ付けを同時に行うはんだ付け性に対する要求がある。
絶縁電線の端末剥離の方法には、(1)機械剥離、(2)熱分解剥離、(3)薬品剥離、(4)はんだ剥離等の方法があるが、作業時間、導体の無傷化、連続処理等を考慮した時、端末の絶縁皮膜の除去とはんだ付けが一挙に可能となる方法が最も好ましいとされている。
このため、電気機器メーカーからは耐熱性と共に、絶縁被覆の剥離と同時にはんだ付け可能な絶縁電線が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
はんだ付け可能な絶縁電線として、ポリウレタン絶縁電線(UEW)があるが、前述のごとく耐熱性がE種と低い。また、UEWの耐熱性向上品として耐熱性F種のポリエステルイミドウレタン絶縁電線が開発され実用化されているが、耐熱性に優れるものは、はんだ付け性に劣り、はんだ付け性に優れるものは耐熱性に劣るなどまだ不充分な点が多くある。
その結果、耐熱性の尺度として絶縁皮膜のガラス転移温度(以下Tgと略記する)を重視し、少なくとも180℃以上のTgを有し、かつ、400℃にて2秒以下のはんだ付け性を示す絶縁被膜の形成が可能な絶縁塗料が要求されるようになってきた。
【0007】
従って、本発明の目的は、F種以上の耐熱性を有する絶縁電線の通常の作業焼付け温度よりも低い温度での焼付けが可能であり、形成された絶縁電線の絶縁皮膜の耐熱性が、Tgで180℃以上で、はんだ付け性が400℃にて2秒以下である絶縁電線の製造を可能とする絶縁塗料を提供することである。
本発明者らは上記の目的を達成すべく、架橋剤としての安定化ポリイソシアネートについて種々検討した結果、シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートとシアヌル環を有さぬ安定化ポリイソシアネートとを特定の割合で併用することによって、PEW等製造時より低い作業焼付温度で絶縁電線の製造が可能となり、かつ製造された絶縁電線は耐熱性とはんだ付け性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、(A)(a)五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、(b)芳香族ポリカルボン酸或いはその誘導体と、(c)脂肪族二価アルコールと、(d)三価以上の多価アルコールとを有機溶媒の存在下に反応させて得られる末端にOH基を有するポリエステルイミド樹脂100重量部に対して、(B)シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートを有効NCO基の量で10〜60当量%含む、シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートとシアヌル環を有さぬ安定化ポリイソシアネートの混合物50〜300重量部を配合してなることを特徴とする絶縁電線製造用絶縁塗料である。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用するポリエステルイミド樹脂(A)は、公知であり、該樹脂と安定化ポリイソシアネートを含む絶縁塗料も特開平3−190917号公報等で公知である。
本発明の特徴は、ポリエステルイミド樹脂(A)と、その架橋剤としてシアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートを特定の割合で含むシアヌル環を有さぬ安定化ポリイソシアネートとの混合物を使用することである。上記の公報には、シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートの単独使用が開示されているが、これとシアヌル環を有さぬ安定化ポリイソシアネートを特定の割り合いで使用することによって、はんだ付け性を損なわずに耐熱性を向上できることについては全く示唆もない。
【0010】
本発明において用いられる五員環のイミド基を含有するポリエステルイミド樹脂(A)は、(a)五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、(b)芳香族ポリカルボン酸或いはその誘導体と、(c)脂肪族二価アルコールと、(d)三価以上の多価アルコールとを有機溶媒中で反応させることによって得ることができる。
【0011】
絶縁被膜の可撓性、耐熱性及びはんだ付け性の点から、(a)は5〜20当量%、(b)は10〜30当量%、(c)は25〜60当量%、(d)は10〜40当量%の割合で反応させることが好ましい。又、末端にOH基を有するポリエステルイミド樹脂を生成させるために、(a)と(b)からなる全酸成分と(c)と(d)からなる全アルコール成分を、全酸成分/全アルコール成分が1/1.4〜2.5(当量比)となるように反応させる。
【0012】
以下に五員環のイミド基を含有するポリエステルイミド樹脂(A)の製造に使用される成分について説明する。
五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸或いはその誘導体(a)は、従来公知の方法によって、例えば、次の(イ)と(ロ)、或いは(イ)と(ハ)とを反応させることによって得られる。
(イ)五員環のカルボン酸無水物基の他に少なくとも一個のその他の反応性基(カルボキシル基、カルボン酸無水物基、水酸基等)を含有するカルボン酸無水物。
(ロ)第一級アミノ基の外に少なくとも一個のその他の反応性基(カルボキシル基、水酸基、第一級アミノ基等)を含有する第一級アミン。
(ハ)ポリイソシアネート。
【0013】
五員環のカルボン酸無水物基の他に少なくとも一個のその他の反応性基を含有するカルボン酸無水物(イ)の例としては、トリカルボン酸無水物、例えば
トリメリット酸無水物、
ヘミメリット酸無水物、
ナフタリントリカルボン酸無水物、
ジフェニルトリカルボン酸無水物、
ベンゾフェノントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
また、テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、
ピロメリット酸二無水物、
ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、
ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0014】
第一級アミノ基の外に少なくとも一個のその他の反応性基を含有する第一級アミン(ロ)の例としては、例えば、
エチレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、
ジメチルヘプタメチレンジアミン、
ジメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、
ジアミノジフェニルメタン、
ジアミノジフェニルスルホン、
ジアミノジフェニルエーテル、
ジメチルビスフェニルジアミン、
ジアミノナフタレン、
フェニレンジアミン、
キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン、
更に、例えば、
モノエタノールアミン、
ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール、
アミノプロピオン酸等のアミノカルボン酸等が挙げられる。
【0015】
ポリイソシアネート(ハ)の例として、例えば、
フェニレンジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、
ジフェニルエーテルジイソシアネート、
ジフェニルスルホンジイソシアネート、
ナフタレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、
キシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0016】
五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸として好ましいのは、得られる絶縁電線の耐熱性の点よりトリメリット酸無水物2モルと芳香族ジアミン1モルより得られる二価カルボン酸である。経済的にはトリメリット酸無水物2モルとジアミノジフェニルメタン1モルより得られる二価カルボン酸が好ましい。
これら五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸は、通常溶剤中で(イ)と(ロ)或いは(ハ)を反応させることによって得られる。
【0017】
上記の反応に使用される溶剤としては、例えば、
N−メチル−2−ピロリドン、
ジメチルホルムアミド、
フェノール、
クレゾ−ル、
キシレノール酸等の極性溶剤、
キシレン、
ソルベントナフサ、
メチルエチルケトン、
酢酸エチル等の炭化水素溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独又は混合溶剤として用いることもできる。
【0018】
芳香族ポリカルボン酸或いはその誘導体(b)としては、例えば、
テレフタル酸、
イソフタル酸、
無水フタル酸、
ジメチルテレフタル酸、
ジメチルイソフタル酸、
トリメリット酸無水物、
ナフタリントリカルボン酸無水物、
ジフェニルトリカルボン酸無水物、
ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、
ピロメリット酸二無水物、
ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、
ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上の混合物として使用することができる。
【0019】
脂肪族二価アルコール(c)としては、例えば、
エチレングリコール、
ジエチレングリコール、
1,3ープロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、
1,2−プロピレングリコール、
1,3−ブタンジオ−ル等が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上の混合物として使用することができる。
【0020】
三価以上の多価アルコール(d)としては、例えば、
グリセリン、
ペンタエリスリトール、
1,1,1−トリメチロールエタン、
1,1,1−トリメチロールプロパン、
トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌネート等が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上の混合物として使用することができる。
【0021】
本発明において使用する末端にOH基を有するポリエステルイミド樹脂の製造においては、各成分を前述の割合で使用することが好ましく、五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物(a)が5当量%未満の場合、また脂肪族二価アルコール(c)が60当量%を超え、三価以上の多価アルコール(d)が10当量%未満では得られる絶縁電線の耐熱性が不充分となる。
【0022】
本発明において使用する末端にOH基を有するポリエステルイミド樹脂(A)は、公知の方法によって製造することができ、製造方法は特に限定されない。例えば、以下のような従来公知の方法が挙げられる。
(1)溶剤中にて前述の(イ)と(ロ)或いは(ハ)にて五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸を形成させた後、この系中に脂肪族二価アルコール、三価以上の多価アルコール、芳香族多価カルボン酸或いはその誘導体を加え、200〜250℃にて3〜15時間反応させる方法。
(2)溶剤中にて前述の(イ)と(ロ)或いは(ハ)にて五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸を形成させる。別に脂肪族二価アルコール、三価以上の多価アルコール、芳香族多価カルボン酸或いはその誘導体からなるポリエステル中間体を形成させる。その後、これらの反応生成物を200〜250℃にて3〜15時間反応させる方法。
(3)脂肪族二価アルコール、三価以上の多価アルコール、芳香族多価カルボン酸或いはその誘導体からなるポリエステル中間体を形成させる。この系中に、溶剤と前述の(イ)と(ロ)或いは(ハ)を添加して五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸を生成させ、続いて200〜250℃にて3〜15時間反応させる方法。
(4)溶剤中に前述の(イ)、(ロ)或いは(ハ)、脂肪族二価アルコール、三価以上の多価アルコール、芳香族多価カルボン酸或いはその誘導体を一括添加しし、先ず、120〜180℃にて五員環のイミドの基を含有する二価カルボン酸を生成させ、続いて200〜250℃にて3〜15時間反応させる方法。
【0023】
上記の反応及び希釈に使用する溶剤としては、例えば、
フェノール、
クレゾール、
キシレノール、
ジメチルホルムアミド、
N−メチル−2−ピロリドン等の極性溶剤を用いることができる。
また、希釈時の補助溶剤としては、例えば、
トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の炭化水素系溶剤を用いることができる。
【0024】
上記で得られる末端にOH基を有するポリエステルイミド樹脂を溶剤に溶解し、適当な濃度に調整することにより本発明の絶縁塗料が得られる。通常は、上記で得られるポリエステルイミド樹脂の溶液が用いられる。
溶剤としては、通常、フェノール性水酸基を有する溶剤が用いられるが、最も有用な溶剤はクレゾール酸である。クレゾール酸はフェノール、クレゾール、キシレノールを含み、180〜230℃の沸点範囲を有している。
【0025】
本発明の絶縁塗料には安定化ポリイソシアネートが架橋剤として添加される。
本発明で使用する安定化ポリイソシアネートは、シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネ−トとシアヌル環を有さない安定化ポリイソシアネ−トとの混合物である。
シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートは、有機ポリイソシアネートを三量化させて環状化合物としたものであり、例えば、
トリレンジイソシアネートから得られる安定化ポリイソシアネートであるデスモジュールCT−ステーブル(バイエル社製)、
イソホロンジイソシアネートから得られる安定化ポリイソシアネートであるデスモジュール PL340、デスモジュールBL4265(住友バイエルウレタン社製)、
ヘキサメチレンジイソシアネートから得られる安定化ポリイソシアネートであるデスモジュールTPLS2759、スミジュールBL3175(住友バイエルウレタン社製)等が挙げられる。これらは単独で或いは混合して使用することができる。
【0026】
混合して使用するシアヌル環を有さない安定化ポリイソシアネートとしては、例えば、
4,4′ージフェニルメタンジイソシアネートから得られる安定化ポリイソシアネートであるミリオネートMS−50(日本ポリウレタン工業製)及びコロネート2503(日本ポリウレタン工業製)、
トリレンジイソシアネートから得られる安定化ポリイソシアネートであるデスモジュールAP−ステーブル(バイエル社製)等が挙げられる。これらは単独で或いは混合して使用することができる。
【0027】
安定化ポリイソシアネート混合物においては、シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートの割合は、その有効NCO基量が該混合物中の全有効NCO基量の10〜60当量%、好ましくは20〜50当量%となる量である。ここで、有効NCO基量とは、安定化ポリイソシアネート中のブロック剤の解離によって再生されるイソシアネート基の量をいう。
シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートの有効NCO基量が10当量%未満では、PEW用絶縁塗料より低い作業焼き付け温度で得られる絶縁電線の耐熱性が不充分であり、60当量%を超えると得られる絶縁電線のはんだ付け性が悪化し、さらに経時的な伸長ピンホールが発生し実用化に困難が生じる。
【0028】
本発明の絶縁塗料における安定化ポリイソシアネート混合物(B)の使用割合は、本発明で使用する末端にOH基を有するポリエステルイミド樹脂(A)100重量部に対して、50〜300重量部、好ましくは75〜200重量部の割合である。50重量部未満では要求の耐熱性及びはんだ付け性を満足する絶縁電線の製造は困難であり、300重量部を超えると耐熱性が悪くなる。
【0029】
安定化ポリイソシアネート混合物(B)は、溶剤に溶解し或いは直接上記の該ポリエステルイミド樹脂(A)の溶液に配合して混合、溶解させる。必要ならば更に溶剤を加えて均一に溶解させる。溶解及び希釈時の溶剤としては、ポリエステルイミド樹脂の合成に使用する前述の溶剤が使用される。
【0030】
このようにして得られた絶縁塗料に、必要に応じて、有機金属化合物を添加することは、絶縁電線の製造引き取り速度をなお一層速くすると共に絶縁電線の表面平滑性を向上させるので好ましい。
有機金属化合物としては、例えばオクテン酸亜鉛やナフテン酸鉛のごとくの脂肪族または脂環式カルボン酸の亜鉛や鉛等の金属塩、ジブチルチンラウレートやジブチルチンジアセテート等の錫化合物等が挙げられる。
更に、本発明の絶縁塗料には、本発明の特徴が損なわれない範囲で、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン等の熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、染料、顔料、潤滑剤、その他塗料用添加剤等を添加することも可能である。
【0031】
本発明の絶縁塗料を、適当な溶剤にて作業に適した粘度に調整後、軟銅線等の導体上に常法に従って塗布すれば、PEW用の塗料より低い作業焼付温度で焼き付けして絶縁電線とすることができる。そして、得られた絶縁電線は耐熱性とはんだ付け性に優れている。
更に、本発明絶縁塗料にて製造された絶縁電線の上層には、巻線性のために流動パラフィンや固形パラフィン等のルブリカントを塗布させることができる他、他の諸特性を付与させるために一般的に行われている如く、他の絶縁塗料を塗布、焼き付けした絶縁層を設けることも可能である。例えば、更に耐熱性を要求される場合にはポリイミド系絶縁塗料又はポリアミドイミド系絶縁塗料、巻線性を要求される場合には6,6ナイロンのようなポリアミド系塗料、コイル自己支持化を要求される場合には自己融着塗料、例えば、ポリビニルブチラール、フェノキシ、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン系塗料を塗布することができる。
【0032】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
参考例1
攪拌機、窒素ガス導入管、コンデンサー及び温度計付き5リットルフラスコに、ジメチルテレフタレート680g(3.5モル)、エチレングリコール260g(4.2モル)、グリセリン260g(2.8モル)及びテトラブチルチタネート3gを仕込み、加熱していくと160℃にてエステル交換反応に伴う脱メタノールが開始した。200℃まで10時間かけ徐々に昇温させた後、クレゾール1,170gを仕込み反応を停止させた。100℃まで冷却後、この系にトリメリット酸無水物580g(3.0モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン300g(1.5モル)を仕込み窒素ガスを吹き込みながら再び加熱していくと、120℃にて、系が黄濁し、140℃にて脱水が始まりジイミドジカルボン酸の生成が開始した。150℃にて5時間保持後、更に加熱し200℃にて5時間保持してエステル化反応を行わせしめた後、クレゾール酸580gにて希釈し反応を停止させ、樹脂分50重量%のポリエステルイミド樹脂溶液を得た。
【0034】
参考例2
参考例1と同様の装置にて、ジメチルテレフタレート390g(2.0モル)、トリメリット酸無水物190g(1.0モル)、エチレングリコール310g(3.4モル)、グリセリン310g(5.0モル)及びテトラブチルチタネート3gを仕込み、参考例1と同様に反応させた後、クレゾール1,200gを仕込み反応を停止させた。100℃まで冷却後、この系にトリメリット酸無水物580g(3.0モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン300g(1.5モル)を仕込み再び参考例1と同様に反応させた後、クレゾール酸600gにて希釈し反応を停止させ、樹脂分50重量%のポリエステルイミド樹脂溶液を得た。
【0035】
参考例3
参考例1と同様の装置にて、ジメチルテレフタレート680g(3.5モル)、エチレングリコール310g(5.0モル)、トリメチロールプロパン450g(3.4モル)及びテトラブチルチタネート3gを仕込み、参考例1と同様に反応させた後、クレゾール1,320gを仕込み反応を停止させた。100℃まで冷却後、この系にトリメリット酸無水物580g(3.0モル)、4,4′ージアミノジフェニルメタン300g(1.5モル)を仕込み、再び参考例1と同様に反応させた後、クレゾール酸660gにて希釈し反応を停止させ、樹脂分50重量%のポリエステルイミド樹脂溶液を得た。
【0036】
実施例1
攪拌機、温度計付き5リットルフラスコに、参考例1のポリエステルイミド樹脂溶溶液1,000g、デスモジュールCT−ステーブル(バイエル社製;有効NCO14重量%)240g、コロネート2503(日本ポリウレタン工業社製;有効NCO重量10%)510g、クレゾール酸1,250g、キシレン1,160g及びナフテン酸亜鉛10gを仕込み、80℃にて均一溶解させ、樹脂分30重量%の絶縁塗料を得た。
【0037】
実施例2
実施例1と同様にして、参考例2のポリエステルイミド樹脂溶液1,000g、デスモジュールCT−ステーブル(バイエル社製)195g、コロネート2503(日本ポリウレタン工業社製)805g、クレゾール酸1,590g、キシレン1,400g及びナフテン酸亜鉛15gを溶解させ、樹脂分30重量%の絶縁塗料を得た。
【0038】
実施例3
実施例1と同様にして、参考例2のポリエステルイミド樹脂溶液1,000g、デスモジュールBL4265(住友バイエルウレタン社製;有効NCO重量8%)395g、コロネート2503(日本ポリウレタン工業社製)740g、クレゾール酸1,590g、キシレン1,260g及びナフテン酸亜鉛15gを溶解させ、樹脂分30重量%の絶縁塗料を得た。
【0039】
実施例4
実施例1と同様にして、参考例3のポリエステルイミド樹脂溶液1,000g、デスモジュールCT−ステーブル(バイエル社製)195g、コロネート2503(日本ポリウレタン工業社製)805g、クレゾール酸1,590g、キシレン1,410g及びナフテン酸亜鉛15gを溶解させ、樹脂分30重量%の絶縁塗料を得た。
【0040】
比較例1
実施例1と同様にして、参考例2のポリエステルイミド樹脂溶液1,000g、コロネート2503(日本ポリウレタン工業社製)1,000g、クレゾール酸1,590g、キシレン1,395g及びナフテン酸亜鉛15gを溶解させ、樹脂分30重量%の絶縁塗料を得た。
【0041】
比較例2
実施例1と同様にして、参考例1のポリエステルイミド樹脂溶液1,000g、デスモジュールCT−ステーブル(バイエル社製)470g、コロネート2503(日本ポリウレタン工業社製)280g、クレゾール酸1,250g、キシレン1,160g及びナフテン酸亜鉛10gを溶解させ、樹脂分30重量%の絶縁塗料を得た。
【0042】
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた絶縁塗料を、炉長2.5mの横型焼付炉にて、導体径0.20mmの銅線に、炉温400℃、フェルト8回、引き取り速度50m/分の条件で塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.015mmの絶縁電線を製造した。この焼付条件は、通常、PEW、EIW、AIWの製造には作業焼付温度が低すぎ適さない条件である。
得られた絶縁電線の外観、はんだ付け性、耐熱性等を試験した。
尚、外観、密着性、可撓性、耐軟化性、絶縁破壊電圧、はんだ付け性についてはJIS C 3003(エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法)に従って行った。耐熱性の尺度であるTgは、理学電機社製熱機械測定装置を使用し、圧縮荷重法(荷重20g)にて10℃/分の昇温速度の条件で測定した。
これらの電線特性の試験結果を表1に示す。
【0043】
表 1(絶縁電線特性)
Figure 0003816694
(注)不可:10秒間浸しても剥離しない
【0044】
表1の結果は、本発明の絶縁塗料を用いることにより、得られる絶縁電線は、従来のはんだ付け性の絶縁電線の欠点を克服した、優れた耐熱性とはんだ剥離性を有していることを示している。
【0045】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、EIWの製造における作業焼付温度よりも低いUEWの製造における作業焼付温度で、耐熱性及びはんだ剥離性に優れた絶縁電線の製造が可能な絶縁塗料が提供される。

Claims (1)

  1. (A)(a)五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、(b)芳香族ポリカルボン酸或いはその誘導体と、(c)脂肪族二価アルコールと、(d)三価以上の多価アルコールとを、有機溶媒の存在下に反応させて得られる末端にOH基を有するポリエステルイミド樹脂100重量部に対して、(B)シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートを有効NCO基の量で10〜60当量%含む、シアヌル環を有する安定化ポリイソシアネートとシアヌル環を有さぬ安定化ポリイソシアネートの混合物50〜300重量部を配合してなることを特徴とする絶縁電線製造用絶縁塗料。
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