JP3884597B2 - 絶縁塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐湿熱性及び半田剥離性を有する絶縁電線の製造に好適なポリエステル系樹脂を含む絶縁塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、モーターやトランス等の電気機器の小型軽量化や高性能化が著しい。
電気機器の信頼性向上のために使用材料である絶縁電線の耐熱性化が進展し、耐熱性F種以上のポリエステル系絶縁電線(PEW、EIW)やポリアミドイミド絶縁電線(AIW)等が開発され実用化されている。
【0003】
また、電気機器の密閉化に伴い、電気機器内部に水分が封じ込められた雰囲気における電気機器の使用温度が上昇することが多くなり、電気機器の信頼性向上のために使用材料である絶縁電線の耐湿熱性化も望まれている。一方、電気機器メーカーでは、主としてコストダウンを目的に省力自動化等工程の合理化が図られており、絶縁電線には先に述べた耐熱性や耐湿熱性のみならず、省力自動化につながる各種特性も要求されるようになってきた。
【0004】
省力自動化につながる各種特性のひとつとして、絶縁電線の端末剥離のライン化がある。
絶縁電線の端末剥離の方法には、
(1)機械剥離、
(2)熱分解剥離、
(3)薬品剥離、
(4)半田剥離
等の方法があるが、作業時間、導体の無傷化、連続処理等を考慮した時、(4)の半田剥離による方法が最も好ましい方法とされている。このため、電気機器メーカーからは耐熱性及び耐湿熱性を有し、かつ半田剥離性を有する絶縁電線が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の絶縁電線においては、耐熱性等の諸特性に加えて生産性、経済性を兼ね備えたポリエステル系絶縁電線が最も汎用化されている。ところが、実用化されているポリエステル系絶縁電線においては、耐熱性と耐湿熱性を有する物は半田剥離性を有せず、耐熱性と半田剥離性を有する物は耐湿熱性が不充分であり、これらの特性に優れた絶縁電線が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、前述した従来のポリエステル系絶縁電線の欠点を克服し、耐熱性及び耐湿熱性を有し、かつ半田剥離性を有する絶縁電線の製造に好適なポリエステル系樹脂を絶縁被膜樹脂とする絶縁塗料を提供することにある。
【0006】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、2,6−ナフタレンジカルボン酸或いはその誘導体を酸成分の一部とするポリエステル系樹脂を有機溶剤に溶解してなる絶縁塗料を使用することによって目的が達せられることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、耐熱性がF種以上で、半田剥離性を有する絶縁電線の製造に使用される絶縁塗料であって、10〜60当量%の2,6−ナフタレンジカルボン酸或いはその誘導体(A)と90〜40当量%の無水トリメリット酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタンからなるジイミドジカルボン酸(B)とからなる酸成分と、炭素数が2〜8の脂肪族多価アルコールの少なくとも一種であるアルコール成分(C)とを、アルコール成分(C)が、全酸成分当量の1.2〜2.0倍当量となる量で反応させて得られるポリエステル系樹脂を有機溶剤に溶解してなることを特徴とする絶縁塗料である。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明の絶縁塗料は、絶縁被膜形成樹脂が、2,6−ナフタレンジカルボン酸或いはその誘導体(A)と、無水トリメリット酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタンからなるジイミドジカルボン酸(B)とからなる酸成分と、炭素数が2〜8の脂肪族多価アルコールの少なくとも一種のアルコール成分(C)とを反応させて得られるポリエステル系樹脂であることが特徴である。
【0009】
上記の酸成分において、成分(A)の使用割合は全酸成分の10〜60当量%であり、成分(B)の使用割合は全酸成分の90〜40当量%である(但し、成分(A)と成分(B)の合計は100当量%である。)。(A)成分が10当量%未満で、(B)成分が90当量%を超えると、本発明の絶縁塗料を用いて得られる絶縁電線の耐湿熱性が不充分となるばかりではなく、半田剥離性も得られなくなることがあるが、成分(A)及び(B)を上記の割合で使用することによって始めて耐熱性、耐湿熱性と半田剥離性が両立する。
【0010】
従来の技術から見て、酸成分のひとつとして2,6−ナフタレンジカルボン酸或いはその誘導体(A)を用いてポリエステル系樹脂を作製することで、該樹脂の耐熱性や耐湿熱性を向上させ得ることは充分予測できることであるが、耐熱性が向上すると耐熱性と相反する特性である半田剥離性は阻害されることも容易に予測されることである。しかしながら、上記のごとく2,6−ナフタレンジカルボン酸或いはその誘導体(A)を全酸成分に対して上記の割合で用いることで、耐熱性や耐湿熱性に加えて、半田剥離性は付与されないと予測されるポリエステル系樹脂に半田剥離性が付与され、耐熱性を有するポリエステル系樹脂であるにも拘らず、半田剥離性も付与されるということは予想外のことであった。
【0011】
酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸或いはその誘導体(A)とともに、無水トリメリット酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタンからなるジイミドジカルボン酸を使用することで、耐熱性を有するポリエステル系樹脂が得られるが、これら以外の酸成分を使用することはポリエステル系樹脂の耐熱性を阻害するので好ましくない。
【0012】
本発明で使用する酸成分のなかで、2,6−ナフタレンジカルボン酸の誘導体としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルが挙げられる。又、無水トリメリット酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタンからなるジイミドジカルボン酸は、無水トリメリット酸2モルと4,4′−ジアミノジフェニルメタン1モルを脱水反応させることで得られる。
【0013】
上記の酸成分(A)及び(B)と反応させるアルコール成分(C)としては、炭素数が2〜8の脂肪族多価アルコールが適当である。炭素数が9以上の脂肪族多価アルコ−ルは得られるポリエステル系樹脂の耐熱性を低下させるので好ましくない。また、芳香族や複素環を有する多価アルコールの使用は得られるポリエステル系樹脂の半田剥離性を阻害するので好ましくない。
また、アルコール成分(C)の使用割合は、全酸成分当量に対して1.2〜2.0倍当量であることが好ましい。アルコール成分(C)の使用割合が1.2倍未満ではポリエステル系樹脂の合成反応中にゲル化を起こしやすく実用化が困難であり、2.0倍を超えると得られるポリエステル系樹脂の重合度が低すぎ、このポリエステル系樹脂を用いた絶縁塗料を電線に焼き付けた際の皮膜形成能に劣り、好ましくない。
【0014】
本発明で使用するアルコ−ル成分(C)としては、例えば、
エチレングリコール、
ジエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、
1,2−プロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール等が挙げられる。
【0015】
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、上記の酸成分(A)及び(B)と、アルコール成分(C)を用いてエステル化反応ないしはエステル交換反応等の従来公知の方法によって合成されるが、ポリエステル系樹脂の合成(製造)方法は特に制限されない。反応は通常溶剤中で行われるが、反応時の溶剤及び希釈の溶剤の例としては、例えば、
フェノール、
クレゾール、
クレゾール酸、
キシレノール、
ジメチルホルムアミド、
N−メチル−2−ピロリドン等の極性溶剤が挙げられ、これらは単独又は混合して用いることができる。また、希釈時の補助溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の炭化水素系溶剤を用いることができる。これらの中で特に有用なものは、芳香族炭化水素であるキシレンやソルベントナフサであり、絶縁塗料を導体上に焼き付けて絶縁電線を製造する際の作業性を向上させることができる。
【0016】
本発明の絶縁塗料は、上記のポリエステル系樹脂を上記の溶剤又は溶剤と補助溶剤に溶解することで得られるが、通常は、合成反応後のポリエステル系樹脂の溶液がそのまま、あるいは希釈して用いられる。本発明の絶縁塗料を導体上に焼き付けて絶縁電線を製造する際、絶縁塗料に少量の金属乾燥剤やチタン酸の化合物を添加することは絶縁電線の製造引き取り速度を速くすると共に絶縁電線の表面平滑性を一層向上させるので好ましい。
金属乾燥剤としては、例えば、オクテン酸亜鉛やナフテン酸鉛等が挙げられる。最も有用なものは、チタン酸の化合物であり、例えばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等が挙げられ、添加量としては前記絶縁塗料の固形分100重量部に対して0.1〜8.0重量部好ましくは1.0〜6.0重量部である。
【0017】
その他、本発明の絶縁塗料には、本発明の特徴を害しない範囲であれば、ポリイソシアネートのイソシアネート基をフェノール等でブロックした安定化イソシアネートやポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン等の熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、染料、顔料、潤滑剤、その他塗料用添加剤等を適宜添加することができる。
【0018】
本発明の絶縁塗料を用いて絶縁電線を製造するには、本発明の絶縁塗料を適当な溶剤にて作業に適した粘度に調整後、軟銅線等の導体上に常法に従って塗布、焼き付けして絶縁層を形成させる従来公知の方法が用いられる。
【0019】
【実施例】
次に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】
参考例1
攪拌機、窒素導入管、コンデンサー及び温度計を取り付けた5リットルフラスコに、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル1,220g(5モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、グリセリン233g(2.5モル)を仕込み、窒素を吹き込みながら加熱していくと160℃にてエステル交換反応に伴う脱メタノールが開始した。10時間かけて240℃に昇温し、240℃にて3時間反応させた後、クレゾール1,360gを仕込んで反応を停止させた。更にクレゾール431g、キシレン185gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート68gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この絶縁塗料を、炉長2.5mの横型焼付炉にて、導体径0.32mmの銅線に、炉温500℃、ダイス6回、引取速度22m/分の条件で塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0021】
参考例2
参考例1と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル610g(2.5モル)、テレフタル酸ジメチルエステル485g(2.5モル)、エチレングリコール116g(1.88モル)、1,3−ブタンジオール169g(1.88モル)、グリセリン233g(2.5モル)を5リットルフラスコに仕込んで反応を行った後、クレゾール1,290gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール407g、キシレン174gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート65gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この絶縁塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0022】
参考例3
参考例1と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル244g(1モル)、テレフタル酸ジメチルエステル776g(4モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、グリセリン233g(2.5モル)を仕込んで反応を行った後、クレゾール1,160gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール368g、キシレン158gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート58gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この絶縁塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0023】
参考例4
参考例1と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル427g(1.75モル)、エチレングリコール326g(5.25モル)、プロピレングリコール171g(2.25モル)を仕込み、窒素を吹き込みながら加熱していくと160℃にてエステル交換反応に伴う脱メタノールが開始した。8時間かけて200℃とした後、クレゾール760gを添加して一旦反応を停止させた。この系を120℃とした後、無水トリメリット酸416g(2.17モル)を仕込み再び加熱すると180℃にてエステル化反応に伴う脱水が開始した。180℃から240℃まで6時間掛けて昇温しながら反応させた後、クレゾール383gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール363g、キシレン155gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート57gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この絶縁塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0024】
参考例5
参考例4と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル488g(2モル)、テレフタル酸ジメチルエステル291g(1.5モル)、エチレングリコール326g(5.25モル)、グリセリン140g(1.5モル)を仕込んで反応させた後、クレゾール287gを加えて一旦反応を停止させ、この系に無水トリメリット酸192g(1モル)を仕込み再び反応させた後、クレゾール882gを仕込んで反応を停止させた。更にクレゾール370g、キシレン159gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート59gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この絶縁塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0025】
実施例1
参考例4と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル366g(1.5モル)、テレフタル酸ジメチルエステル485g(2.5モル)、エチレングリコール279g(4.5モル)、グリセリン186g(2モル)を仕込んで反応させた後、クレゾール263gを添加して一旦反応を停止させる。100℃以下に冷却し、この系に無水トリメリット酸384g(2モル)と4,4′−ジアミノジフェニルメタン198g(1モル)を仕込み、再び加熱していくと、140℃にてイミド化反応に伴う脱水、続いて180℃にてエステル化反応に伴う脱水が開始する。140℃から6時間掛けて210℃とし、更に210℃にて3時間反応させた後、クレゾール286gを仕込み、反応を停止させた。更にクレゾール494g、キシレン212gで希釈後、100℃にてテトラブチルチタネート79gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0026】
実施例2
実施例1と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル366g(1.5モル)、エチレングリコール372g(6モル)、グリセリン93g(1モル)を仕込んで反応させた後、クレゾール644gを添加して一旦反応を停止させた。この系に無水トリメリット酸704g(3.67モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン198g(1モル)を仕込み、再び反応させた後、クレゾール860gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール475g、キシレン203gで希釈後、100℃にてテトラブチルチタネート75gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0027】
実施例3
実施例1と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル732g(3モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、グリセリン233g(2.5モル)を仕込み、反応させた後クレゾール1,655gを加えて一旦反応を停止させた。この系に無水トリメリット酸768g(4モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン396g(2モル)を仕込んで再び反応させた後、クレゾール368gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール638g、キシレン274gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート101gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0028】
実施例4
実施例1と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル366g(1.5モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、プロピレングリコール114g(1.5モル)、グリセリン140g(1.5モル)を仕込み反応させた後クレゾール669gを加えて一旦反応を停止させた。この系に無水トリメリット酸512g(2.67モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン198g(1モル)を仕込み再び反応させた後、クレゾール894gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール494g、キシレン212gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート78gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0029】
比較例1
参考例1と同様にして、テレフタル酸ジメチルエステル970g(5モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、グリセリン233g(2.5モル)を仕込んで反応を行った後、クレゾール1,108gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール351g、キシレン151gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート56gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0030】
比較例2
参考例1と同様にして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル61g(0.25モル)、テレフタル酸ジメチルエステル922g(4.75モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、グリセリン233g(2.5モル)を添加して反応を行った後、クレゾール1,120gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール355g、キシレン152gで希釈後、100℃にて、テトラブチルチタネート56gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0031】
比較例3
参考例4と同様にして、テレフタル酸ジメチルエステル679g(3.5モル)、エチレングリコール372g(6モル)、グリセリン93g(1モル)にて反応を行い、クレゾール1,068gを添加して一旦反応を停止させた後、無水トリメリット酸192g(1モル)を仕込み再び反応させた後、クレゾール1,068gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール339g、キシレン145gで希釈後、100℃にてテトラブチルチタネート54gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0032】
比較例4
参考例4と同様にして、テレフタル酸ジメチルエステル582g(3モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、グリセリン233g(2.5モル)を仕込んで反応させた後、クレゾール698gを加えて一旦反応を停止させた。この系に、無水トリメリット酸768g(4モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン396g(2モル)を仕込み、再び反応させた後、クレゾール341gを仕込んで反応を停止させた。更にクレゾール591g、キシレン253gで希釈後、100℃にてテトラブチルチタネート94gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0033】
比較例5
参考例1と同様の装置にて、無水トリメリット酸1,280g(6.67モル)、エチレングリコール465g(7.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン495g(2.5モル)、クレゾール1、634gを仕込み、反応させた後、クレゾール364gを仕込んで反応を停止させた。更にクレゾール630g、キシレン270gで希釈後、100℃にてテトラブチルチタネート100gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0034】
比較例6
参考例1と同様の装置にて、テレフタル酸ジメチルエステル776g(4モル)、エチレングリコール233g(3.75モル)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート653g(2.5モル)、無水トリメリット酸384g(2モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン198g(1モル)、クレゾール211g、を仕込み反応させた後、クレゾール1,702gを仕込み反応を停止させた。更にクレゾール603g、キシレン259gで希釈後、100℃にてテトラブチルチタネート96gを配合し、樹脂分40%の絶縁塗料を得た。
この絶縁塗料を、参考例1と同様にして銅線に塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線を製造した。
【0035】
〔縁電線の評価〕
得られた各絶縁電線の試験は、外観、密着性、ピンホ−ル、可とう性、軟化点、絶縁破壊電圧及び半田剥離性についてはJIS C 3003(エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法)に従って、耐湿熱性については700mlのオートクレーブにJIS C3003の絶縁破壊電圧試験での2ケ撚り試料を、水0.2vol%と共に封入し、120℃の恒温槽に168時間放置後JIS C3003の絶縁破壊電圧試験に従って行い、その初期値に対する保持率を測定した。以上の測定結果を表1及び2に示す。
【0036】
【0037】
【0038】
表1及び表2の結果は、本発明の絶縁塗料を用いた絶縁電線が、従来のポリエステル系絶縁電線の欠点を克服し、耐熱性、耐湿熱性及び半田剥離性を有していることを示している。
【0039】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、半田剥離性を有すると同時に耐熱性と耐湿熱性をも有する絶縁電線の製造に好適な絶縁塗料が提供される。本発明の絶縁塗料を用いた絶縁電線は、近年の電気機器に用いるポリエステル系絶縁電線に対する要求特性に充分応えることができる。
Claims (1)
- 耐熱性がF種以上で、半田剥離性を有する絶縁電線の製造に使用される絶縁塗料であって、10〜60当量%の2,6−ナフタレンジカルボン酸或いはその誘導体(A)と90〜40当量%の無水トリメリット酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタンからなるジイミドジカルボン酸(B)とからなる酸成分と、炭素数が2〜8の脂肪族多価アルコールの少なくとも一種であるアルコール成分(C)とを、アルコール成分(C)が全酸成分当量の1.2〜2.0倍当量となる量で反応させて得られるポリエステル系樹脂を有機溶剤に溶解してなることを特徴とする絶縁塗料。
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