JPH06116307A - 重合体微粒子の製造方法 - Google Patents

重合体微粒子の製造方法

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JPH06116307A
JPH06116307A JP26438792A JP26438792A JPH06116307A JP H06116307 A JPH06116307 A JP H06116307A JP 26438792 A JP26438792 A JP 26438792A JP 26438792 A JP26438792 A JP 26438792A JP H06116307 A JPH06116307 A JP H06116307A
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polymer
vinyl
vinyl ester
polymerization
fatty acid
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JP26438792A
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English (en)
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Kazutoshi Terada
和俊 寺田
Hirotoshi Miyazaki
弘年 宮崎
Hitoshi Maruyama
均 丸山
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 サブミクロン〜ミクロンオーダーで粒子径分
布の狭い脂肪酸ビニルエステル重合体微粒子を、安定的
に、しかも効率よく製造する方法を提供することであ
る。 【構成】 炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステルを、
該ビニルエステルを溶解しかつ生成する重合体を溶解し
ない有機溶媒中で、炭素数5以上のアルコールの(メ
タ)アクリル酸エステル単位または炭素数5以上の脂肪
酸のビニルエステル単位で構成されかつ片末端にチオー
ル基または重合性二重結合を有する重合体を分散安定剤
に用いて、重合を行うことを特徴とする脂肪酸ビニルエ
ステル重合体微粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重合体微粒子の製造方法
に関し、詳しくは特定の分散安定剤を用いることによつ
て、サブミクロン〜ミクロンオーダーでしかも粒子径分
布の狭い脂肪酸ビニルエステル重合体微粒子を、安定か
つ効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真,静電写真,静電記録などに使
用されるトナーやカラムクロマトグラム用担体、また紫
外線遮断用の化粧品パウダー、塗料、さらには医療臨床
診断用などの各種の分野において、サブミクロン〜ミク
ロンオーダー、特に0.1〜30ミクロンで、しかも粒
子径分布の狭い重合体微粒子が好適なものとして強く望
まれている。
【0003】従来、これらの用途に供される重合体粒子
は、乳化重合法,シード乳化重合法,懸濁重合法によつ
て製造することが検討されている。しかしながら、乳化
重合法では、1ミクロン以下の重合体粒子しか得られな
いという問題がある。また、シード乳化重合法では、粒
子径がミクロンオーダーで狭い粒子径分布の粒子が得ら
れているが(例えば、特開昭58−106554号公
報)、この方法では0.5ミクロン前後の重合体微粒子
を最初に調製した後、粒子径を大きくするために、さら
に次の数段階の重合により粒子径を成長させる必要があ
り、操作が極めて煩雑である。さらに、懸濁重合法で
は、粒子径が大きいものしか得られず、またその粒子径
分布も広いものである。
【0004】一方、一段階の重合でサブミクロン〜ミク
ロンオーダーの単分散性の重合体微粒子を得る方法とし
て、J. Polym. Sci. Polym. Chem. Ed. Vol. 24, p.299
5 〜3007(1986)には、有機溶媒系中で分散重合する方法
が紹介されている。この方法は、単量体は溶解するが生
成する重合体は溶解しない有機溶媒中に、単量体を溶解
し、重合を行つて重合体微粒子を得るものである。さら
に、高分子40巻4号p.240〜243(1991)には、炭化水素
媒体中で、媒体に可溶なポリメタクリル酸n−ドデシル
の存在下に酢酸ビニルの重合を行い、0.05〜0.3μmの範
囲でほぼ単分散性の微粒子を合成した例およびポリメタ
クリル酸2−エチルヘキシルの存在下に酢酸ビニルの重
合を行った例が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記有機溶媒を用いる
分散重合は、サブミクロン〜ミクロンオーダーの均一な
粒子径を有する重合体微粒子が得られるが、粒子径をコ
ントロールするには狭い重合条件を設定しなければなら
ないという欠点がある。特に、比較的大きな粒子径の重
合体を製造する目的で、分散安定剤の使用量を減少させ
ると重合が不安定になり、ブロッキングが生じたり粒子
径分布が広くなるなどの問題があつた。また、得られた
重合体微粒子スラリーの保存安定性が悪く、静置中に粒
子の凝集が生じることがあつた。
【0006】上述のような従来の分散重合における分散
安定剤としては、単量体は溶解するが生成する重合体は
溶解しない有機溶媒に、均一に溶解するものが使用され
ていた。この分散安定剤は、分散重合中に生成する重合
体粒子表面に吸着し保護コロイドとして作用するものと
考えられており、分散安定剤と重合体とが重合中にグラ
フト共重合体またはブロック共重合体を生成し、この共
重合体が保護コロイド剤として機能するものと推測され
ている。しかしながら、この共重合体は、重合中に少量
生成するものであり、その生成速度や生成量は実質的に
制御が困難である。特に、大粒径で単分散性の重合体粒
子を得る場合には、分散安定剤の量をできるだけ少なく
して重合の場を粒子内部に留め、溶液中での重合を抑制
して新粒子の生成を極力阻止しなければならない。この
ような場合、重合安定性に問題が生じたり重合終期に単
分散性が崩れたりすることが多い。また、得られた重合
体微粒子スラリーの保存安定性が悪く、静置中に粒子の
凝集が生じることがしばしばであつた。本発明の目的
は、サブミクロン〜ミクロンオーダーの粒子径で、かつ
粒子径分布の極めて狭い単分散性の脂肪酸ビニルエステ
ル重合体微粒子を、安定的にしかも効率よく製造する方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、粒子径や
粒子径分布を制御しやすく、かつ重合安定性にすぐれた
重合体微粒子の製造方法を開発すべく鋭意検討を重ね
た。その結果、分散安定剤として、炭素数5以上のアル
コールの(メタ)アクリル酸エステル単位または炭素数
5以上の脂肪酸のビニルエステル単位で構成されかつ片
末端にチオール基または重合性二重結合を有する重合体
を用いることにより、上記目的を達成しうることを見出
した。本発明はこのような知見に基いて完成したもので
ある。
【0008】すなわち、本発明は、炭素数4以下の脂肪
酸のビニルエステルを、該ビニルエステルを溶解しかつ
生成する重合体を溶解しない有機溶媒中で、炭素数5以
上のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル単位また
は炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステル単位で構成さ
れかつ片末端にチオール基または重合性二重結合を有す
る重合体を分散安定剤に用いて、重合を行うことを特徴
とする脂肪酸ビニルエステル重合体微粒子の製造方法を
提供するものである。
【0009】本発明の方法において、重合すべき単量体
(原料の単量体)は、炭素数4以下の脂肪酸のビニルエ
ステルであり、具体的には例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、また二種以上を併用
してもよいが、これらの中で、とりわけ酢酸ビニルが最
も好ましい。また、原料のビニルエステルに少量の他の
単量体を添加して共重合することも可能であるが、その
場合、本発明の主旨である本発明において用いられる有
機溶媒にビニルエステルが溶解しかつ生成する重合体が
有機溶媒に溶解しないことが肝要であり、そのような他
の単量体の含有量としては30重量%以下、より好まし
くは20重量%以下である。そのような単量体の具体例
としては、例えば、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、
2−エチルカプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウ
リン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ステアリン酸
ビニル等の炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステル;エ
チレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸等のカル
ボン酸含有単量体及びその無水物又はそのエステル;ジ
メチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、
アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート;塩化ビニル、フツ化ビニル
等のハロゲン化ビニル等が挙げられる。また、得られる
重合体微粒子に架橋を導入する目的で分子中に二個以上
の重合性二重結合を持つ化合物を共存して用いることも
可能であり、そのような化合物の具体例としては、例え
ばジビニルエーテル、ジアリルエーテル、フタル酸ジア
リル、クロトン酸ビニル、マレイン酸ビニル、マレイン
酸ジビニル、ジアリルアミン、アリル(メタ)アクリレ
ート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブ
チレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンジ
(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリ
レート、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられる。
【0010】また、本発明の方法において用いる有機溶
媒は、炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステルは溶解す
るが、生成する重合体は溶解しない有機溶媒であり、具
体的には例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オ
クタン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、
n−テトラデカン等の直鎖状炭化水素;2−メチルペン
タン等の分岐状炭化水素;シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン等の脂環式炭化水素;石油エーテル、ガソリ
ン、灯油、n−パラフィン、流動パラフィン、石油ベン
ジン等の炭化水素類;ジエチルエーテル等のエーテル類
等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独または二種
以上を混合して使用してもよい。さらには目的に応じて
他の有機溶媒や水を少量添加することも差し支えなく、
そのような有機溶媒としては、具体的には例えば、メチ
ルアルコール,エチルアルコール等のアルコール類;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチ
ル、酢酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモ
ノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエー
テル,エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエ
ーテルアルコール類;テトラヒドロフラン,ジメトキシ
エタン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホル
ムアミドなどが挙げられる。また、本発明の方法におい
て、有機溶媒と原料であるビニルエステルとの配合割合
は、様々な状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は
有機溶媒/ビニルエステル(重量比)=60/40〜9
5/5、好ましくは70/30〜90/10である。
【0011】本発明の方法において用いられる分散安定
剤は、上述の如く、炭素数5以上のアルコールの(メ
タ)アクリル酸エステル単位または炭素数5以上の脂肪
酸のビニルエステル単位で構成されかつ片末端にチオー
ル基または重合性二重結合を有する重合体(単独重合体
または共重合体)である。本発明において用いられる分
散安定剤は使用する有機溶媒に溶解しかつ生成する樹脂
粒子の保護コロイドとして機能する。
【0012】ここで炭素数5以上のアルコールの(メ
タ)アクリル酸エステルとしては、炭素数5以上のアル
コールのメタクリル酸またはアクリル酸のエステルであ
れば特に制限はないが、具体的には例えば、n−ペンチ
ル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリ
レート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデ
シル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アク
リレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステルとして
は、炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステルであれば特
に制限はないが、具体的には例えば、吉草酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルカプロ
ン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ス
テアリン酸ビニル、バーサティツク酸ビニル等が挙げら
れる。本発明の分散安定剤としては上記の炭素数5以上
のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル単位または
炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステル単位で構成され
かつ片末端にチオール基または重合性二重結合を有する
重合体からなるが、本発明において用いられる溶媒との
相溶性を失わない範囲(具体的には30重量%以下の少
量)において他の成分を含有することも差し支えない。
そのような他の成分の具体例としては例えば、エチレ
ン、プロピレン等のα−オレフィン;(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸等のカルボン
酸含有単量体及びその無水物又はそのエステル;ジメチ
ルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、アク
リロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート;塩化ビニル、フツ化ビニル等の
ハロゲン化ビニル等に由来する単位が挙げられる。 分
散安定剤の分子量としては特に制限はなく、また各種の
状況によりその好適範囲は異なるが、通常は数平均分子
量として5000〜200000、好ましくは7000
〜100000である。この数平均分子量が5000未
満では、生成する重合体の保護コロイドとしての役割が
十分発現されず、逆に200000を超えると、分散安
定剤を製造する際に問題が生ずる場合がある。
【0013】本発明において用いられる分散安定剤は重
合体鎖の片末端にチオール基または重合性二重結合を有
することが必要である。ここで、重合性二重結合として
は本発明において用いるビニルエステルとのラジカル共
重合性を有していれば特に制限はないが、例えば脂肪酸
ビニル型、(メタ)アクリレート型、(メタ)アクリル
アミド型、アリル型、ビニルエーテル型、アリルエーテ
ル型等の中から適宜選ばれる。スチリル型の二重結合を
用いてもよいが、用いる単量体との共重合性が悪く、好
ましくない。これらの重合性二重結合及びチオール基は
重合体末端に直結していても良く、あるいはアルキレン
基、エステル基、エーテル基、アミド基、芳香族基等の
結合を介して重合体末端に結合していても良い。チオー
ル基または重合性二重結合は必ずしも重合体の全片末端
に存在していなくても良いが、得られる重合体微粒子ス
ラリーの保存安定性の点で、重合体の全片末端に対して
30モル%以上が必要であり、好ましくは50モル%以
上、最も好ましくは70モル%以上である。
【0014】なお、本発明の方法において、分散安定剤
の使用量(配合比率)は、特に制限はなく様々な状況に
応じて適宜定めればよいが、通常は原料であるビニルエ
ステル100重量部に対して、0.5〜25重量部、好
ましくは2〜15重量部の範囲で選定される。
【0015】本発明において用いる分散安定剤は、各種
の方法によつて製造することができるが、その内好適な
製造法の例を挙げれば、次の(1)〜(4)の如くであ
る。 (1)まず、チオ酢酸等のチオカルボン酸を連鎖移動剤
に使用して、分散安定剤を構成する単量体を重合開始剤
の存在下に重合し、分子末端にチオカルボン酸基を有す
る重合体を得る。次いで、このチオカルボン酸基を、酸
またはアルカリ触媒の存在下で加水分解を行い、重合体
片末端にチオール基を有する重合体を合成する。 (2)上記重合体片末端にチオール基を有する重合体の
チオール基を、一分子中に二重結合を二個有する化合物
に付加させ、重合体片末端に二重結合を有する重合体を
合成する。 (3)一分子中に水酸基、カルボン酸基、アミノ基等の
反応性基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤に
使用して、分散安定剤を構成する単量体を重合開始剤の
存在下に重合し、分子末端に反応性基を有する重合体を
得る。次いで、該重合体の反応性基との反応性を有する
カルボン酸基、カルボン酸クロリド基、水酸基等の反応
性基および重合性二重結合を有する化合物を、該重合体
に反応させることにより、重合体片末端に二重結合を有
する重合体を合成する。 この内(1)の方法が簡便且つ最も効率良く目的とする
分散安定剤を合成できことから最も好ましい。
【0016】本発明の方法では、上述した分散安定剤の
存在下でビニルエステルの重合を行うが、この場合には
重合開始剤を使用することが好ましい。ただし、重合開
始剤を使用せずに放射線等の活性エネルギー線の照射に
より重合を開始することもできる。重合開始剤を使用す
る場合、重合開始剤の種類は、使用する溶媒に溶解する
ものであれば特に制限はなく、具体的には例えば、過酸
化ベンゾイル,アゾビスイソブチロニトリル,過酸化ラ
ウロイルなどの一般的なラジカル開始剤が使用可能であ
る。重合開始剤の配合比率は、特に制限はないが、一般
には、原料のビニルエステル100重量部に対して、
0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重部であ
る。半減期の短い重合開始剤を使用する場合には、重合
初期に一括添加するほかに、適宜間隔で後添加(ディレ
イ添加)を行つてもよい。なお、本発明の方法を行うに
あたつては、反応温度は、目的とする重合体粒子の粒子
径によつて適宜設定されるが、一般には−50〜90
℃、好ましくは−30〜75℃の範囲で設定される。
【0017】本発明の方法における製造工程についての
一例を簡単に説明すれば、次のとおりである。即ち、撹
拌機,還流冷却器,窒素導入装置を備えた重合槽に溶媒
を仕込み、次いで、前述した分散安定剤を添加し、撹拌
下に充分窒素置換した後、所定の温度に加熱して分散安
定剤を溶解する。その後、所定量のビニルエステルと重
合開始剤を添加し、重合反応を開始する。生成する重合
体は粒子を形成し、重合率とともに粒子径が増大する。
所定時間の重合を行つた後、冷却して重合反応を停止す
る。得られた重合体微粒子は脱液後、洗浄および乾燥を
行う。重合後の操作は、洗浄を繰り返したり凍結乾燥を
行つたりするなどの種々の方法を採用することができ
る。
【0018】本発明の方法によれば、平均粒径0.1〜
30μm、好ましくは0.1〜10μmで、かつ変動係
数(標準偏差/平均粒径×100)25%以内の重合体
微粒子が容易に得られる。また、この方法を行うにあた
つて、系中にカーボンブラックやシリカなどの有機また
は無機顔料,ワツクス類,染料構造を有する単量体等
を、適宜添加して重合することもできる。また、本発明
の方法では、分散安定剤として、炭素数5以上のアルコ
ールの(メタ)アクリル酸エステル単位または炭素数5
以上の脂肪酸のビニルエステル単位で構成されかつ片末
端にチオール基または重合性二重結合を有する重合体単
独でも充分に分散安定化効果が得られるが、例えば本発
明において用いる有機溶媒に可溶の他の重合体等を分散
安定剤として併用することもできる。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例を挙げて詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例によつて限定されるもので
はない。なお実施例中、特に断りのない限り、「%」お
よび「部」は重量基準を表す。 実施例1 チオ酢酸を連鎖移動剤として用い、アゾビスイソブチロ
ニトリルを触媒として用いて、ラウリルメタクリレート
モノマーを、トルエン溶媒中70℃で10時間重合を行
い、分子末端にチオ酢酸基を有するポリラウリルメタク
リレートを得た。次に、トルエンおよびメチルアルコー
ルの混合溶媒(トルエン:メチルアルコール=3:1)
中で、水酸化ナトリウムを0.1倍モル(ポリラウリル
メタクリレートのチオ酢酸基のモルに対して)用いて、
ポリラウリルメタクリレート末端のチオ酢酸基のけん化
を行い、分子末端にチオール基を有するポリラウリルメ
タクリレートを得た。得られた重合体について浸透圧蒸
気圧法で数平均分子量を測定したところ27000であ
つた。傾斜パドル型撹拌機,温度計,窒素導入口,単量
体仕込口および還流冷却器を備えた500ミリリツトル
のガラス製セパラブルフラスコに、溶媒としてn−ヘキ
サン300ミリリツトルを入れ、上述の重合体2.14
gを仕込んで充分窒素置換した後、内温を70℃に昇温
した。酢酸ビニル43gおよび重合開始剤としてアゾビ
スイソブチロニトリル0.26gの混合液を添加し、6
0℃で重合を開始した。重合開始後4時間目と7時間目
にアゾビスイソブチロニトリルを各0.13g追加し
た。合計12時間の重合を継続した後、冷却した。電気
泳動光散乱光度計(大塚電子(株)製、ELS−800
型)を用いて、得られた重合体微粒子の数平均粒子径、
標準偏差および変動係数を測定したところ、数平均粒子
径は0.50μm、標準偏差は0.071μmおよび変
動係数は14.2%であつた。
【0020】実施例2 チオ酢酸を連鎖移動剤として用い、アゾビスイソブチロ
ニトリルを触媒として用いて、ラウリルアクリレートモ
ノマーを、トルエン溶媒中70℃で10時間重合を行
い、分子末端にチオ酢酸基を有するポリラウリルメタク
リレートを得た。次に、トルエンとメチルアルコールの
混合溶媒(トルエン:メチルアルコール=3:1)中
で、アンモニアを0.5倍モル(ポリラウリルアクリレ
ートのチオ酢酸基のモルに対して)用いて、ポリラウリ
ルアクリレート末端のチオ酢酸基のけん化を行い、分子
末端にチオール基を有するポリラウリルアクリレートを
得た。得られた重合体について浸透圧蒸気圧法で数平均
分子量を測定したところ21000であつた。次に、実
施例1で使用した重合体に代えて、上記の重合体を使用
した他は、実施例1と同様にして、酢酸ビニルの分散重
合反応を実施した。実施例1と同様にして、得られた重
合体微粒子の数平均粒子径、標準偏差および変動係数を
測定したところ、数平均粒子径は0.48μm、標準偏
差は0.073μmおよび変動係数は15.2%であつ
た。
【0021】実施例3 実施例1で用いたラウリルメタクリレートの代わりにバ
ーサテイツク酸ビニルを用いた以外は、実施例1と同様
にして、数平均分子量11000の片末端にチオール基
を有するポリバーサテイツク酸ビニルを得た。次に、実
施例1で使用した重合体に代えて、上記の重合体を使用
した他は、実施例1と同様にして、酢酸ビニルの分散重
合反応を実施したところ、得られた重合体微粒子の数平
均粒子径は0.46μm、標準偏差は0.073μmお
よび変動係数は15.9%であつた。
【0022】実施例4 実施例1で用いたラウリルメタクリレートの代わりにピ
バリン酸ビニルを用いた以外は実施例1と同様にして数
平均分子量32000の片末端にチオール基を有するポ
リピバリン酸ビニルを得た。次に、実施例1で使用した
重合体に代えて、上記の重合体を使用した他は、実施例
1と同様にして、酢酸ビニルの分散重合反応を実施した
ところ、得られた重合体微粒子の数平均粒子径は0.5
6μm、標準偏差は0.097μmおよび変動係数は1
7.3%であつた。
【0023】実施例5 実施例1で用いたラウリルメタクリレートの代わりにス
テアリルメタクリレートを用いた以外は実施例1と同様
にして数平均分子量16000の片末端にチオール基を
有するポリステアリルメタクリレートを得た。次に、実
施例1で使用した重合体に代えて、上記の重合体を使用
した他は、実施例1と同様にして、酢酸ビニルの分散重
合反応を実施したところ、得られた重合体微粒子の数平
均粒子径は0.46μm、標準偏差は0.075μmお
よび変動係数は15.2%であつた。
【0024】実施例6 実施例1で得られた片末端にチオール基を有するラウリ
ルメタクリレートおよびエチレングリコールジメタクリ
レート(チオール基の10モル倍)を、トルエン中で4
0℃で5時間反応させた後、メタノールで過剰のエチレ
ングリコールジメタクリレートを除去した。得られた重
合体を乾燥後、NMRスペクトルを測定したところ、二
重結合に由来するピークが観察された。次に、実施例1
で使用した重合体に代えて、上記の重合体を使用した他
は、実施例1と同様にして、酢酸ビニルの分散重合反応
を実施したところ、得られた重合体微粒子の数平均粒子
径は0.71μm、標準偏差は0.14μmおよび変動
係数は19.7%であつた。
【0025】実施例7 実施例1で実施した重合反応において、分散安定剤であ
る片末端にチオール基を有するポリラウリルメタクリレ
ートの量を変化させて重合を行つた。得られた重合体ス
ラリーについて、重合体粒子の数平均粒子径および標準
偏差を測定した。また、得られたスラリーを室温で1カ
月静置後、同様の測定を行つた。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1より、分散安定剤の使用量を変えるこ
とにより、平均粒径を変化させることができ、どの実験
においても優れた単分散性の重合体微粒子が得られるこ
とが分かる。さらに、1カ月静置後も重合体微粒子の平
均粒径および単分散性は殆ど変化がない。
【0028】比較例1 実施例1で使用した分散安定剤の代わりに、数平均分子
量27500のポリラウリルメタクリレートを用い、分
散安定剤の使用量を変えたほかは、実施例1と同様にし
て酢酸ビニルの分散重合を行つた。得られた重合体スラ
リーについて、重合体粒子の数平均粒子径および標準偏
差を測定した。また、得られたスラリーを室温で1カ月
静置後、同様の測定を行つた。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2より、重合体微粒子の平均粒径を大き
くするために、分散安定剤の使用量を減らすと、重合安
定性が低下し、単分散性も悪化することが分かる。ま
た、1カ月静置すると平均粒径が大きくなり、単分散性
も悪化することが分かる。
【0031】
【発明の効果】本発明の方法によれば、得られる重合体
微粒子は優れた単分散性を有し、しかも、使用する分散
安定剤の添加量を調節するだけで、重合体粒子の粒子径
を自在に制御することができる。また、重合体微粒子の
粒径を大きくすべく、分散安定剤の使用量を減らした場
合でも、安定して重合が行え、かつ得られる重合体微粒
子の粒度分布は単分散性(シヤープ)である。さらに、
本発明の方法によれば、得られるスラリーは保存安定性
に優れており、その工業的意義は大きい。このように、
本発明の方法によつて得られる重合体微粒子は、サブミ
クロン〜ミクロンオーダーの単分散性に優れた重合体微
粒子であつて、電子写真,静電写真,静電記録などに使
用されるトナー、カラムクロマトグラム用担体、また紫
外線遮断用の化粧品パウダー、塗料さらには医療臨床診
断用などの各種の分野で幅広くかつ有効に利用される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル
    を、該ビニルエステルを溶解しかつ生成する重合体を溶
    解しない有機溶媒中で、炭素数5以上のアルコールの
    (メタ)アクリル酸エステル単位または炭素数5以上の
    脂肪酸のビニルエステル単位で構成されかつ片末端にチ
    オール基または重合性二重結合を有する重合体を分散安
    定剤に用いて、重合を行うことを特徴とする脂肪酸ビニ
    ルエステル重合体微粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002047316A (ja) * 2000-08-01 2002-02-12 Nitto Boseki Co Ltd 末端にメルカプト基を有するアリルアミン類重合体およびその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002047316A (ja) * 2000-08-01 2002-02-12 Nitto Boseki Co Ltd 末端にメルカプト基を有するアリルアミン類重合体およびその製造方法
JP4631137B2 (ja) * 2000-08-01 2011-02-16 日東紡績株式会社 末端にメルカプト基を有するアリルアミン類重合体およびその製造方法

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