JP6137493B2 - 架橋微粒子、架橋微粒子を含む水溶液の製造方法、架橋微粒子の製造方法及び架橋微粒子組成物 - Google Patents

架橋微粒子、架橋微粒子を含む水溶液の製造方法、架橋微粒子の製造方法及び架橋微粒子組成物 Download PDF

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本発明は、塗料、コーティング剤、化粧品、接着剤、粘着剤、紙加工、繊維加工分野などで用いられる架橋微粒子、架橋微粒子を含む水溶液の製造方法、架橋微粒子の製造方法及び架橋微粒子組成物に関する。
架橋微粒子を製造する方法としては、乳化重合、懸濁重合等の方法で製造されている。例えば、水中でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのごとき界面活性剤やポリビニルアルコールなどの懸濁安定剤を使用して、油性であるモノマーを所定の粒子径の乳化又は懸濁水溶液を作成し、これを重合して微粒子を得る方法が提案されている。また、活性剤として反応性活性剤を使用して上記の界面活性剤や懸濁剤を使用せず、架橋微粒子を得る方法が提案されている(特許文献1〜4)。
これらの方法は、使用する界面活性剤や懸濁安定剤が、用途に対して耐水性などの悪影響を及ぼすので、その場合には除去する必要がある。界面活性剤等の除去には、大量の水で洗浄したりして煩雑な操作が必要な場合があった。また、1μm以下の微粒子の架橋微粒子を得る方法としては、界面活性剤を使用する乳化重合で得ることができるが、そのままでは微粒子であるため、ろ過性が悪く、塩を加えて塩析させるなどして濾過する必要があった。この場合でも、塩や界面活性剤を除去するのに非常に多大な時間が必要な場合があった。また、反応性活性剤を使用した場合、この活性剤がポリマーの成分として取り込まれるため、除去する必要はないが、その高親水性である活性剤が架橋微粒子中に取り込まれることによって耐水性などが悪くなる場合があり、また、これをろ過することは、非常に煩雑である場合があった。
加えて、これらの微粒子は、ろ過、乾燥して分散媒体に分散するものであるが、微粒子分散するために、分散工程が必要であって多大なエネルギーが必要である場合があった。また、架橋微粒子という樹脂粒子であるため、物品の基材に分散して使用した場合、その基材からブリードアウトして、欠落しまう場合があった。
特開平03−131603号公報 特開平08−239408号公報 特許2543503号公報 特開2003−261605号公報
したがって、本発明の目的は、上記従来技術の状況に鑑み、ろ過等が非常に容易であり、容易に製造や分散ができ、且つ、基材に対してブリードアウトなどの起こさない、新規な1μm以下の架橋微粒子、およびそれを得る方法を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、ポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子であって、ポリマーIは、多官能性ビニル系モノマーを少なくとも5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して得られる架橋ポリマー(ビニルポリマー)であり、ポリマーIIは、90質量%以上のメタクリル酸系モノマーからなるA−Bブロックコポリマーであり、該A−BブロックコポリマーのAのポリマーブロックは、その80質量%以上が炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基及びベンジル基からなる群から選ばれるいずれかの基を有するメタクリル酸エステルを構成成分とし、且つ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算の数平均分子量が1000〜20000であって、その分子量の分布を示す分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以下である、実質的に水に不溶のポリマーブロックであり、該A−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックは、少なくともメタクリル酸を構成成分とし、且つ、その酸価が80〜250mgKOH/gであり、該A−Bブロックコポリマーは、その数平均分子量が2000〜30000であって、その分散度が1.7以下であり、且つ、その酸価が40〜200mgKOH/gであり、上記Aのポリマーブロックが上記ビニルポリマーと合一して、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子であり、平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする架橋微粒子を提供する。ここで、平均粒子径は、液体中に分散した粒子にレーザ光を照射して粒子により散乱された光の周波数強度分布から粒径分布を求める、動的光散乱式粒子径分布測定による値である。この測定方法については後述する。
上記架橋微粒子の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。前記ポリマーIの部分と前記ポリマーIIの部分との質量比が、I/II=20〜80/80〜20の範囲内にあること;前記複合粒子の平均粒子径が、20〜200nmであること;前記架橋ポリマーが、(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン系ビニルモノマー、アクリルアミド系モノマー、アルカン酸ビニル系モノマー及びマレイン酸系のビニル系モノマーからなる群から選択される2種以上のモノマーのランダム共重合物であることが挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、上記いずれかのポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子を含む水溶液の製造方法であって、水中で、ポリマーIIを構成する前記A−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックの有するカルボキシ基を、アルカリを用いて中和してA−Bブロックコポリマーを水に分散させ、これを分散安定剤として用いて、多官能性ビニル系モノマーを少なくとも5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して前記ポリマーIである架橋ポリマーを合成することで、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子を作製して水に分散した架橋微粒子を得ることを特徴とする架橋微粒子を含む水溶液の製造方法を提供する。
上記架橋微粒子を含む水溶液の製造方法の好ましい形態としては、前記A−Bブロックコポリマーが、構成成分が90質量%以上のメタクリレート系モノマーからなるA−Bブロックコポリマーを、少なくとも、ヨウ素化合物からなる重合開始化合物を用い、フォスファイト系化合物、フォスフィネート化合物であるリン系化合物、イミド系化合物である窒素系化合物、フェノール系化合物である酸素系化合物、及び、ジフェニルメタン系化合物又はシクロペンタジエン系化合物である炭化水素系化合物からなる群から選択される1種以上を触媒とし、更に、その重合温度を30〜50℃として得られたものであることが挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、上記いずれかのポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子を得るための製造方法であって、水中で、ポリマーIIを構成する前記A−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックの有するカルボキシ基を、アルカリを用いて中和してA−Bブロックコポリマーを水に分散させ、これを分散安定剤として用いて、多官能性ビニル系モノマーを少なくとも5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して前記ポリマーIである架橋ポリマーを合成することで、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子を作製して、水に分散した架橋微粒子を得、得られた架橋微粒子を含む水溶液を酸で中和して、架橋微粒子を析出させることを特徴とする架橋微粒子の製造方法を提供する。
上記架橋微粒子の製造方法の好ましい形態としては、前記A−Bブロックコポリマーが、構成成分が90質量%以上のメタクリレート系モノマーからなるA−Bブロックコポリマーを、少なくとも、ヨウ素化合物からなる重合開始化合物を用い、フォスファイト系化合物、フォスフィネート化合物であるリン系化合物、イミド系化合物である窒素系化合物、フェノール系化合物である酸素系化合物、及び、ジフェニルメタン系化合物又はシクロペンタジエン系化合物である炭化水素系化合物からなる群から選択される1種以上を触媒とし、更に、その重合温度を30〜50℃として得られたものであることが挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、上記いずれかのポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子を、有機溶剤または樹脂に分散してなることを特徴とする架橋微粒子組成物を提供する。
本発明によれば、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子である、分散媒体に容易に分散することができる、平均粒子径が1μm以下の新規な架橋微粒子が提供される。本発明によれば、該架橋微粒子を簡便に得ることができ、しかも、本発明の架橋微粒子は、その平均粒子径が1μm以下、更には200nm以下であるので、添加した物品の透明性を維持しつつ、架橋体の添加による充填効果によって、添加した物品の強度などの力学特性を向上させることができる、工業材料として有用なものである。
上記した本発明の顕著な効果は、下記の、特定の構造のA−Bブロックコポリマーを得、これをポリマーIIに利用することで、本発明の架橋微粒子である、架橋体である架橋ポリマーのポリマーIの部分と、ポリマーIIの部分とが合一された複合粒子を実現することが可能になり、初めて達成される。すなわち、本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーの、Bのポリマーブロックには、モノマーに使用したメタクリル酸に由来する酸性基であるカルボキシ基が導入されており、このカルボキシ基を中和すると、Bのポリマーブロックが水に溶解する。一方、Aのポリマーブロックは、メタクリル酸エステルを主たる構成モノマーとする水に不溶のポリマーブロックである。このような構造のA−Bブロックコポリマーを中和して水に添加すると、Aのポリマーブロックは微粒子を形成し、Bのポリマーブロックは水に溶解する。この水溶液に、架橋体を構成し得る多官能性ビニルモノマーを含むビニルモノマーを添加して重合すると、Aのポリマーブロックの粒子にビニルモノマーが取り込まれて重合し、その結果、上記ビニルモノマーの重合体である架橋ポリマーの部分と、A−Bブロックコポリマーの部分とが合一して複合化した複合粒子である架橋微粒子を簡便に得ることができる。
本発明によれば、上記した簡便な方法によって、1μm以下の架橋微粒子を容易に得ることができる。更に、本発明によれば、上記に次いで、この中和されたA−Bブロックコポリマーを酸で中和して水不溶化することで、架橋微粒子が不溶化し凝集する。この作用により、本発明の架橋微粒子は、1μm以下の微粒子でありながら、非常にろ過性がよく、ろ過に時間がかからないという特性を有するものとなる。また、本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーは、90質量%以上のメタクリル酸系モノマーからなるメタクリル酸系ポリマーであるが、メタクリル酸系ポリマーは、活性剤のような耐熱性が悪いものはなく、また耐水性も高く、ポリマー成分として働くので除去する必要がなく、大量の水を必要としないという利点がある。また、本発明の架橋微粒子を構成するポリマーIIであるA−BブロックコポリマーのAのポリマーブロックは、ポリマーIのビニルポリマー(架橋ポリマー)と合一しているが、もう一方のBのポリマーブロックは、粒子の表面を覆うものであるので、本発明の架橋微粒子を、分散媒体である有機溶剤や樹脂に添加して分散させると、Bのポリマーブロックが分散媒体に相溶、溶解して、架橋微粒子を容易に分散することができる。更に、このBのポリマーブロックは、ポリマー成分であり、上記したように分散媒体に親和、相溶するので、ブリードアウトを防止する働きをする。
また、本発明の架橋微粒子を構成するポリマーIIのA−Bブロックコポリマーを得る方法としては、リビングラジカル重合が適している。本発明では、本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーを、従来のラジカル重合において、重合開始化合物としてヨウ素化合物を使用し、必要に応じて触媒として、活性な、リン、窒素、酸素、炭素原子を持つ有機化合物を使用するリビングラジカル重合で製造することが好ましい。
本発明で利用する重合方法を模式的に示す概念図である。 本発明の実施例6の架橋微粒子−1の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例7の架橋微粒子−2の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例8の架橋微粒子−3の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例9の架橋微粒子−4の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例10の架橋微粒子−5の電子顕微鏡写真である。
以下に好ましい実施形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明の架橋微粒子は、ポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子であるが、ビニル系モノマーで合成した架橋ポリマーのポリマーIの部分と、特定のポリマーIIの部分とが合一した複合粒子であり、その平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする。具体的には、本発明の架橋微粒子は、ポリマーIの部分が、少なくとも多官能性ビニル系モノマーを5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して得られる架橋ポリマーからなり、且つ、ポリマーIIの部分が、90質量%以上のメタクリル酸系モノマーからなる、下記の構造的特徴を有するA−Bブロックコポリマーからなり、これらのポリマー部が合一して複合粒子を形成していることを特徴とする。まず、A−BブロックコポリマーのAのポリマーブロックが、その80質量%以上が炭素数1〜18の、アルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基の群から選ばれるいずれかの基を有するメタクリル酸エステルを構成成分とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)におけるポリスチレン換算の数平均分子量が1000〜20000で、その分子量の分布を示す分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以下である、実質的に水に不溶のポリマーブロックであることを要する。上記に加えて、Bのポリマーブロックが、少なくともメタクリル酸を構成成分とし、そのポリマーブロックの酸価が80〜250mgKOH/gであることを要する。そして、上記AのポリマーブロックとBのポリマーブロックとからなるA−Bブロックコポリマーの数平均分子量が2000〜30000で、その分散度が1.7以下であり、且つ、その酸価が40〜200mgKOH/gであることを要する。以下、本発明の架橋微粒子を構成するポリマーI、ポリマーIIについて、それぞれ詳細に説明する。
(ポリマーI)
まず、本発明の架橋微粒子を構成するポリマーIについて説明する。ポリマーIは、上記構造を有するポリマーIIと合一して複合粒子を形成するものであり、架橋ポリマー(架橋体)となるものであることを要する。このため、少なくとも多官能性ビニル系モノマーを5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して得られる。この多官能性ビニルモノマーを含むビニル系モノマーを(共)重合することで、三次元の網目構造である架橋体とすることができる。重合の際に使用する多官能性ビニル系モノマーは、そのモノマー組成中に5質量%以上添加することで、熱溶融せず、有機溶媒などで膨潤しない、架橋ポリマーとすることができる。一方、5質量%未満では、重合して得たポリマーの三次元構造が緩く、熱で溶融してしまったり、有機溶剤を含んでしまい膨潤したりする可能性がある。より好ましくは、そのモノマー組成中に10質量%以上で使用するとよい。なお、本発明の架橋微粒子では、ポリマーIとして、この多官能性ビニル系モノマーを100質量%使用したものであっても問題はない。
ポリマーIである架橋ポリマーの部分は、少なくとも多官能性ビニル系モノマーを5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して得られる。この際に用いるビニル系モノマーとしては、従来公知のものが使用できるが、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン系モノマー、アクリルアミド系モノマー、アルカン酸ビニル系モノマー及びマレイン酸系のビニル系モノマーが使用できるが、本発明で必須とする多官能性ビニル系モノマーも、上記に挙げたと同構造のものが使用できる。上記に挙げた構造のモノマーであれば特に限定されないが、好ましくは、水に溶解しないビニル系モノマーが好ましい。水に溶解するビニル系モノマーを大量に使用すると、重合して水可溶性のポリマーとなってしまい、その形成材料に用いる多官能性ビニル系モノマーと重合して重合系が架橋固化してしまう場合がある。このため、ポリマーIの重合に用いるモノマーの組成中における水に溶解するモノマーの使用割合は、好ましくは、10質量%未満、より好ましくは5質量%未満とする。ポリマーIである架橋ポリマーは、少なくとも多官能性ビニル系モノマーを5質量%以上含むビニル系モノマーと、上記に挙げたビニル系モノマーから選択されるモノマーとのランダム共重合物であることが好ましい。
ポリマーIの重合に用いることのできるビニル系モノマーを、単官能性のビニルモノマーとして例示すると、下記のものが挙げられる。すなわち、(メタ)アクリル酸系ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどのカルボキシ基含有メタクリル酸系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどのアルキル、アルケニルの(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル、シクロアルケニルの(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレートなどの酸素原子含有(メタ)アクリレート;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート;ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化物の(メタ)アクリレート;トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン(メタ)アクリレートなどのケイ素原子含有の(メタ)アクリレート;2−(4−ベンゾキシ−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルメタクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロイロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどの紫外線を吸収するメタクリレート;テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレートなどが用いられる。必要に応じて、片末端が(メタ)アクリロイル基であるマクロモノマーなども使用できる。
スチレン系ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、ビニルアントラセン、ビニルキシレンなどが挙げられ;アクリルアミド系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられ;アルカン酸ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、ラウリン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられ;マレイン酸系モノマーとしては、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
ポリマーIの重合に用いるビニル系モノマーは、多官能性ビニル系モノマーを5質量%以上含むことを必須とするが、多官能性ビニル系モノマーとして例示すると、二官能性のモノマーとしては、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの(ポリ)エチレングリコール付加物ジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ポリマージオールとして、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンジ(メタ)アクリレート、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、メチレンビスアクリルアミド、マレイン酸ビニルなどが挙げられる。
三官能以上のモノマーとしては、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリマーポリオールの(メタ)アクリレート、トリビニルベンゼン、マレイン酸ジビニルなどが挙げられる。上記に挙げたビニル系モノマーは、いずれも共重合できるので、それらの共重合体も十分使用できる。これらのポリマーの組成、分子量、製造方法、ガラス転移点は特に限定はない。
(ポリマーII)
次に、本発明の架橋微粒子を構成するポリマーIIについて説明する。ポリマーIIは、本発明を特徴づける下記の特有の構造を有するA−Bブロックコポリマーからなる。具体的には、90質量%以上のメタクリル酸系モノマーからなるA−Bブロックコポリマーであり、Aのポリマーブロックは、その80質量%以上が炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基及びベンジル基からなる群から選ばれるいずれかの基を有するメタクリル酸エステルを構成成分とし、その数平均分子量が1000〜20000で、その分散度が1.5以下である、実質的に水に不溶のポリマーブロックであり、且つ、Bのポリマーブロックは、少なくともメタクリル酸を構成成分とし、その酸価が80〜250mgKOH/gであることを要する。更に、これらの構造のポリマーブロックからなるA−Bブロックコポリマーは、その数平均分子量が2000〜30000で、その分散度が1.7以下であり、且つ、その酸価が40〜200mgKOH/gであることを要する。本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーは、上記したように、Aのポリマーは水に不溶のポリマーブロックであり、Bのポリマーブロックはカルボキシ基を有するポリマーブロックであることから、Bのポリマーブロックのカルボキシ基を中和することで、Bのポリマーブロックが水に溶解し、Aのポリマーブロックが水に不溶なので粒子を形成する結果、微粒子が水に微分散する。
本発明を特徴づける上記A−Bブロックコポリマーについて、より詳細に説明する。まず、該コポリマーは、メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含むことを要するが、好ましくは95質量%以上、更に好ましくは100質量%からなるものである。その理由は、本発明で利用する、上記特有の構造を有するA−Bブロックコポリマーの好適な製造方法(重合方法)では、モノマーとしてメタクリレート系モノマーを用いることが特に好ましいからである。なお、この好適な製造方法については後述する。これに対し、この好適な製造方法において、スチレン等のビニル系モノマー、アクリレート系モノマー、及びビニル系モノマーなどを用いた場合は、重合末端に結合したヨウ素が安定化し過ぎてしまい、解離させるのに加温する必要がある、或いは、解離しないなどの不都合が生ずる可能性があるので好ましくない。このため、メタクリレート系モノマー以外のモノマーを多量に用いた場合は、本発明において目的とする特有の構造にならない、或いは、分子量分布が広がってしまうなどの不具合が生ずる可能性がある。ただし、メタクリレート系モノマー以外のモノマーであっても、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。
本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーは、その一方を構成するAのポリマーブロックが、その80質量%以上が炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基からなる群から選ばれるいずれかの基を有するメタクリル酸エステルを構成成分とし、その数平均分子量が1000〜20000で、その分散度が1.5以下であり、実質的に水に不溶のポリマーブロックである。前記したように、このA−Bブロックコポリマーを水に添加し、水中で、Bのポリマーブロックの有するカルボキシ基をアルカリで中和した時、中和されたBのポリマーブロックは水に溶解するが、Aのポリマーブロックは水に不溶であるので粒子を形成する。この粒子に、ポリマーIを重合させるために使用するビニル系モノマーが取り込まれて重合し、重合場となる。または、ある程度水中でモノマーが重合し、水不溶のオリゴマーとなって、それがBのポリマーブロックに取り込まれて、さらに重合する。また、この場合、Aのポリマーブロックは、ポリマーIと合一して粒子を形成するので、水に溶解しているポリマーがないので、本発明の架橋微粒子を含む水溶液とした場合に、低粘度化できることも特徴である。
上記したように、Aのポリマーブロックは水に不溶であるポリマーブロックである必要があるので、Aのポリマーブロックの形成に使用されるモノマーは、そのほとんどが水に不溶のモノマーで構成される必要がある。このため、本発明では、Aのポリマーブロックの構成成分であるモノマー組成を、その80質量%以上が、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基からなる群から選ばれるいずれかの基を有するメタクリル酸エステルであるとした。これらのモノマーが80質量%以上、好ましくは90質量%以上含有したモノマー組成で形成することで、Aのポリマーブロックは、水不溶のポリマーとなる。これらのモノマーの構造であれば特に限定されず、前記したモノマーの中でのメタクリレート系モノマーが1種以上使用される。実質的に水に不溶のポリマーブロックであることを要する。
また、本発明を特徴づけるA−BブロックコポリマーのAのポリマーブロックは、その数平均分子量(以下、Mnと略記する場合がある)が1000〜20000で、その分散度(重量平均分子量/数平均分子量、PDIと略記する場合がある)が1.5以下であることを要す。Mnが1000未満であると分子量が小さ過ぎるため、Aのポリマーブロックによって形成された粒子に取り込まれるはずの、ポリマーIを重合させるために使用するビニル系モノマーがはじき出されて異物の重合体となってしまう場合がある。一方、Mnが20000よりも大きいと、このA−Bブロックコポリマーを水に溶解させたとき、Aのポリマーブロックが形成する粒子が大きくなり過ぎてしまい、ポリマーIを構成するビニル系モノマーを取り込んで重合して複合粒子となった場合に、A−Bブロックコポリマーを構成する水可溶性のBのポリマーブロックだけでは安定性が取れず、重合中に析出したりする場合がある。AのポリマーブロックのMnの好ましい範囲は、3000〜15000である。なお、本発明では、上記した数平均分子量及び分散度を、ポリスチレンを標準物質とするGPC(Gel Permeation Chromatography)にて測定した。
本発明で使用するA−Bブロックコポリマーを構成するAのポリマーブロックのPDIは、1.5以下であることを要する。これは、分子量のバラツキを示す指標であり、1であると完全に分子量が同じであり、大きい値ほど分子量が小さいものから大きいものまで含むことを示している。ここで、PDIが1.5以下であるということは、比較的分子量が揃っており、大きい分子量や小さい分子量を含まないことを示す。これは前記した分子量範囲に影響を与え、PDIが小さくなれば、分子量分布が狭くなるので、先に述べたそれぞれに不都合な場合を生じる、小さ過ぎる分子量、具体的には1000未満の分子量のものや、大きい分子量、具体的には20000よりも大きい分子量のもの、それぞれの比率が減少できる。より好ましくは、PDIが1.3以下となるようにする。
次に、本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーを構成するBのポリマーブロックについて説明する。Bのポリマーブロックは、少なくともメタクリル酸を構成成分とし、Bのポリマーブロックの酸価が80〜250mgKOH/gであることを要する。なお、酸価とは、樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、測定としては、有機溶媒(例えば、トルエン/エタノール=70/30質量比)に溶解させた樹脂を、0.1N水酸化カリウムを滴定液、フェノールフタレイン液を指示薬として滴定して行うことができる。また、配合比から理論的に計算によっても求めることができる。本発明では、酸価はそれらの値を使用する。このメタクリル酸由来のカルボキシ基が導入されたBのポリマーブロックは、アルカリで中和することでイオン化して水に溶解するようになる。この水に溶解させるためには、その酸価は80〜250mgKOH/gであることが必要になる。80mgKOH/gより小さいと、中和した時のBのポリマーブロックの水への溶解性が悪い場合があるし、本発明のビニル系モノマーを重合した後、Bのポリマーブロックの水可溶性だけでは水溶解性が不十分となって、重合中析出する場合がある。一方、250mgKOH/gより多いと、カルボキシル基である酸基が多くなって、物品に使用した場合、分散媒体との相溶性が悪くなる可能性があるし、親水性基であるため耐水性が悪くなる場合がある。より好ましくは100〜200mgKOH/gである。
Bのポリマーブロックの酸価がこの範囲内となる場合、メタクリル酸の含有量は、Bのポリマーブロック中に12.26〜38.13質量%含有することになる。従って、上記のメタクリル酸量になるように、他のメタクリレートを共重合することが必須となる。このモノマーはメタクリル酸系モノマーであれば特に限定はない。
次にA−Bブロックコポリマー全体として説明する。本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーは、その数平均分子量が2000〜30000で、その分散度が1.7以下であり、且つ、その酸価が40〜200mgKOH/gであることを要する。まず、Mnは2000〜30000の範囲である。そして、先述したように、Aのポリマーブロックの数平均分子量は前記した通り、Mn=1000〜20000である。このことから、A−BブロックコポリマーのMnからAのポリマーブロックのMnを引くことでBのポリマーブロックの数平均分子量が算出できるが、その場合、Bの数平均分子量が取り得る範囲は、1000〜29000である。このBのポリマーブロックの分子量が1000より小さいと水への溶解性が悪くなり、架橋微粒子を重合する際、安定性が悪く析出する場合がある。一方、Bのポリマーブロックの分子量が29000より大きいと、Bのポリマーブロックの酸価の値にもよるが、水に溶解した場合、粘度が高くなったりする場合がある。
また、本発明を特徴づけるA−BブロックコポリマーのPDIは1.7以下である。前記したようにPDIが小さいと分子量が揃っていることを示し、PDIが1.7より大きいと、前記した不都合な場合を生じる分子量範囲の分子鎖を多く含むこととなってしまい、本発明の効果を減ずる場合がある。より好ましくは1.5以下である。
更に、Bの酸価に由来するA−Bブロックコポリマー全体の酸価は、Aのポリマーブロックの質量を加味することで、Bの酸価より小さくなり、40〜200mgKOH/gである。これはそれぞれのモノマー組成比によって変わるので、モノマーの比率等で数値としては限定することはできないが、上記のAのポリマーブロックの酸価、AのポリマーブロックとBのポリマーブロックの分子量(分子量はその配合比率による)に左右されるものであって、前記した酸価や分子量の範囲で記載され、全体として40〜200mgKOH/gになるように設計される。酸価が40mgKOH/gより小さいと、A−Bブロックコポリマー全体として水への溶解性のバランスが悪く粒子が大きくなってしまい、析出する場合があり、200mgKOH/gより大きいと、Bの酸価が大き過ぎることになり、前記した理由から好ましくない。A−Bブロックコポリマーの全体の酸価としては、50〜150mgKOH/gが好ましい。以上が本発明のポリマーIIであるA−Bブロックコポリマーの構成である。
[A−Bブロックコポリマーの製造方法]
以上のような構成成分からなる本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーは、通常のラジカル重合で得ることは難しい。ラジカル重合すると、カルボキシル基を有すランダムコポリマーとなってしまう。すなわち、本発明で規定する構造のA−Bブロックコポリマーを簡便に得るには、リビングラジカル重合を利用することが必要になる。特に好ましくは、本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーは、以下の製造方法で得るとよい。その具体的な方法としては、重合開始化合物と触媒との存在下、リビングラジカル重合する工程を有し、該工程で使用する重合開始化合物が、ヨウ素又はヨウ素化合物の少なくともいずれかであり、該工程で使用する触媒が、ハロゲン化リン、フォスファイト系化合物、フォスフィネート化合物、イミド系化合物、フェノール系化合物、ジフェニルメタン系化合物及びシクロペンタジエン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、且つ、その重合温度が30〜50℃であるとよい。
リビングラジカル重合としては、様々な方法が発明されており、アミンオキシドラジカルの解離と結合を利用するニトロキサイド法(Nitroxide mediated polymerization:NMP法)、銅、ルテニウム、ニッケル、鉄等の重金属と、これらの重金属と錯体を形成するリガンドとを使用し、ハロゲン化合物を開始化合物として用いて重合する原子移動ラジカル重合(Atom transfer radical polymerization:ATRP法)、ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物等を開始化合物として使用するとともに、付加重合性モノマーとラジカル開始剤を使用して重合する可逆的付加開裂型連鎖移動重合(Reversible addition- fragmentation chain transfer:RAFT法)及びMADIX法(Macromolecular Design via Interchange of Xanthate)、有機テルル、有機ビスマス、有機アンチモン、ハロゲン化アンチモン、有機ゲルマニウム、ハロゲン化ゲルマニウム等の重金属を用いる方法(Degenerative transfer:DT法)などが挙げられる。これらの方法も重合開始化合物を用いており、本発明に適応することができる。
しかしながら、下記に述べるように、上記に挙げた方法はいずれも、本発明で規定する構造のA−Bブロックコポリマーを得るには最適とは言い難い。例えば、NMP法では、テトラメチルピペリジンオキシドラジカルなどのアミンオキシドを使用するが、100℃以上の高温条件下で重合することが必要とされるし、メタクリレート系モノマーを用いた場合には、重合が進行しないといった問題もある。
また、ATRP法では、重金属を使用する必要があるし、酸化還元を伴う重合方法なので、厳しい条件での酸素の除去が必要であるし、アミン化合物をリガンドとして錯体を形成させて重合する方法では、重合系に酸性物質が存在すると錯体の形成が阻害されてしまうので、酸基を有する付加重合性モノマーをそのまま重合させることは困難である。保護基で酸基を保護したモノマーを重合し、重合後に保護基を脱離させる必要があるが、煩雑であり、酸基をポリマーブロックに導入することは容易なことではない。
RAFT法及びMADIX法では、先ず、ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物などの特殊な化合物が必要であり、これらは硫黄系の化合物であるので、得られるポリマーには硫黄系の不快な臭気が残りやすく、着色されている場合もある。このため、得られたポリマーから臭気や着色を除去する必要が生じる。メタクリレート系モノマーの重合も十分に進行しない場合がある。また、そのジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物などの硫黄エステルは、アミノ基で分解する可能性があり、ポリマーが低分子量化したり、硫黄臭が発生したりする問題もある。
更に、DT法では、ATRP法と同様に重金属を使用する必要がある。このため、得られたポリマーから重金属を除去する必要があるとともに、発生した重金属を含む廃水を浄化しなければならないといった、廃水処理の問題がある。
そのような状況下で、本発明で利用した重合方法は、重金属化合物の使用が必須でなく、ポリマーの精製が必須でなく、特殊な化合物を合成する必要がなく、市場にある比較的安価な材料を用いるだけで容易に製造することができる。また、重合条件が穏和であり、従来のラジカル重合方法と同様の条件で重合することができる方法であり、特筆すべきは、カルボキシル基やリン酸基などを有するモノマーをそのままリビングラジカル重合できるところにある。
具体的には、本発明で利用したA−Bブロックコポリマーの製造方法では、重合開始化合物及び触媒の存在下、メタクリレート系モノマーを含有するモノマー成分をリビングラジカル重合する工程(重合工程)を含むことを特徴とする。そして、重合開始化合物が、ヨウ素とヨウ素化合物の少なくともいずれかである。本発明で採用するこのリビングラジカル重合では、様々な官能基が含まれていても使用できる。
重合工程では、ヨウ素とヨウ素化合物の少なくともいずれかを重合開始化合物として使用して、メタクリレート系モノマーを含有するモノマー成分をリビングラジカル重合によって重合する工程である。重合開始化合物として用いられるヨウ素やヨウ素化合物に熱や光を与えると、ヨウ素ラジカルが解離する。そして、ヨウ素ラジカルが解離した状態でモノマーが挿入された後、直ちにヨウ素ラジカルがポリマー末端ラジカルと再度結合して安定化し、停止反応を防止しながら重合反応が進行する。
ヨウ素化合物の具体例としては、2−アイオド−1−フェニルエタン、1−アイオド−1−フェニルエタンなどのアルキルヨウ化物;2−シアノ−2−アイオドプロパン、2−シアノ−2−アイオドブタン、1−シアノ−1−アイオドシクロヘキサン、2−シアノ−2アイオド−2,4−ジメチルペンタン、2−シアノ−2−アイオド−4−メトキシ−2,4−ジメチルペンタンなどのシアノ基含有ヨウ化物などを挙げることができる。
これらのヨウ素化合物は、市販品をそのまま使用してもよいが、従来公知の方法で調製したものを使用することもできる。例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾ化合物とヨウ素とを反応させることで、ヨウ素化合物を得ることができる。また、上記のヨウ素化合物のヨウ素が臭素または塩素などのハロゲン原子に置換した有機ハロゲン化物に、第4級アンモニウムアイオダイドやヨウ化ナトリウムなどのヨウ化物塩を反応させ、ハロゲン交換させることでもヨウ素化合物を得ることができる。
重合工程では、重合開始化合物とともに、重合開始化合物のヨウ素を引き抜くことができる触媒を使用する。触媒としては、ハロゲン化リン、フォスファイト系化合物、フォスフィネート化合物などのリン系化合物;イミド系化合物などの窒素系化合物;フェノール系化合物などの酸素系化合物;ジフェニルメタン系化合物、シクロペンタジエン系化合物などの炭化水素系化合物を用いることが好ましい。なお、これらの触媒は、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
リン系化合物の具体例としては、三ヨウ化リン、ジエチルフォスファイト、ジブチルフォスファイト、エトキシフェニルフォスフィネート、フェニルフェノキシフォスフィネートなどを挙げることができる。窒素系化合物の具体例としては、スクシンイミド、2,2−ジメチルスクシンイミド、マレイミド、フタルイミド、N−アイオドスクシンイミド、ヒダントインなどを挙げることができる。酸素系化合物の具体例としては、フェノール、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、t−ブチルフェノール、カテコール、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエンなどを挙げることができる。炭化水素系化合物の具体例としては、シクロヘキサジエン、ジフェニルメタン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルなどを挙げることができる。
この触媒の使用量(モル数)は、重合開始化合物の使用量(モル数)未満とすることが好ましい。触媒の使用量(モル数)が多過ぎると、重合が制御され過ぎてしまい、重合が進行しにくくなる場合がある。また、リビングラジカル重合の際の温度(重合温度)は30〜50℃とすることが好ましい。重合温度が高過ぎると、重合末端のヨウ素が分解してしまい、末端が安定せずにリビング重合とならない場合がある。またこの重合方法では、末端はヨウ素が結合しており、このヨウ素をラジカルとして解離させてラジカルが発生して、その末端が安定であることが好ましい。ここで、アクリレートやビニル系などの場合、末端は2級のヨウ化物であり、比較的安定でヨウ素ラジカルとして外れず、重合が進行しない、または分布が広くなってしまうという可能性がある。温度を上げて解離することができるが、好ましは、上記温度範囲で温和に重合することが環境、エネルギーの点で好ましい。従ってラジカルが発生しやすく、比較的安定な3級のヨウ化物のほうが好ましく、本発明で利用するリビングラジカル重合は、メタクリレート系のモノマーの重合に適している。
また、重合工程においては、通常、ラジカルを発生しうる重合開始剤を添加する。重合開始剤としては、従来公知のアゾ系開始剤や過酸化物系開始剤が使用される。なお、上記の重合温度の範囲で十分にラジカルが発生する重合開始剤を用いることが好ましい。具体的には、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、などのアゾ系開始剤を用いることが好ましい。当該重合開始剤の使用量は、モノマーに対して0.001〜0.1モル倍とすることが好ましく、0.002〜0.05モル倍とすることが更に好ましい。重合開始剤の使用量が少な過ぎると重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、重合開始剤の使用量が多過ぎると、リビングラジカル重合反応ではない通常のラジカル重合反応が副反応として進行してしまう場合がある。
リビングラジカル重合は、有機溶剤を使用しないバルク重合であってもよいが、有機溶剤を使用する溶液重合とすることが好ましい。有機溶剤としては、重合開始化合物、触媒、モノマー成分、及び、重合開始剤などの成分を溶解しうるものであることが好ましい。
有機溶剤の具体例としては、ヘキサン、オクタン、デカン、イソデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルトリエチレングリコール、メチルジプロピレングリコール、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコール系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルシクロプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、カプロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、琥珀酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルなどのエステル系溶剤;クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、カプロラクタムなどのアミド系溶剤の他、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチルなどを挙げることができる。なお、これらの有機溶剤は、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの重合に使用した有機溶剤は、樹脂溶液としてそのまま使用できるが、溶液からポリマーを取りだして固形として使用することも好ましい形態である。この際の取り出す方法は特に限定されず、従来公知の方法が利用できる。例えば、貧溶剤に析出して取り出す、または、重合した後、その重合溶液にアルカリ水を添加して水溶液化し、水で希釈して酸を加えて水不溶化させて析出させてもよい。または、重合した後、その重合溶液にアルカリ水を添加して水溶液化し、重合溶剤を留去させる一方でBのポリマーブロックが中和された、Aのポリマーブロックが粒子となった水溶液として使用してもよい。
溶液重合する場合において、重合液の固形分濃度(モノマー濃度)は5〜80質量%とすることが好ましく、20〜60質量%とすることが更に好ましい。重合液の固形分濃度が5質量%未満であると、モノマー濃度が低過ぎて重合が完結しない場合がある。一方、重合液の固形分濃度が80質量%超またはバルク重合であると、重合液の粘度が高過ぎてしまい、撹拌が困難になって重合収率が低下する傾向にある。リビングラジカル重合は、モノマーがなくなるまで行うことが好ましい。具体的には、重合時間は0.5〜48時間とすることが好ましく、実質的には1〜24時間程度とするとよい。また、重合雰囲気は特に限定されず、通常の範囲内で酸素が存在する雰囲気であっても、窒素気流雰囲気であってもよい。また、重合に使用する材料(モノマーなど)は、蒸留、活性炭処理、またはアルミナ処理などにより不純物を除去したものを用いてもよいし、市販品をそのまま用いてもよい。更に、遮光下で重合を行ってもよいし、ガラスなどの透明容器中で重合を行ってもよい。
本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマーは、リビングラジカル重合する際のメタクリレート系モノマー類と、重合開始化合物の使用バランスをモル比で調整することによって、主鎖の分子量が制御されたものになる。具体的には、重合開始化合物のモル数に対して、モノマーのモル数を適切に設定することで、その主鎖が、任意の分子量であるポリマーを得ることができる。例えば、重合開始化合物を1モル使用し、分子量100のモノマーを500モル使用して重合した場合、「1×100×500=50000」の理論分子量を有するポリマーを得ることができる。すなわち、主鎖のポリマーの理論分子量を下記式(A)で算出することができる。なお、上記の「分子量」は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)のいずれをも含む概念である。
「主鎖のポリマーの理論分子量」=「重合開始化合物1モル」×「モノマー分子量」×「モノマーのモル数/重合開始化合物のモル数」 ・・・(A)
重合開始化合物の量は前記した通りである。
なお、重合工程においては、2分子停止や不均化の副反応を伴う場合があるので、上記の理論分子量を有する主鎖のポリマーが得られない場合がある。これらの副反応が起こらずに得られたものであることが好ましい。また、重合率は100%でなくてもよい。更に、重合を一旦終了した後、重合開始化合物や触媒を添加して残存するモノマーを消費させて重合を完結させてもよい。すなわち、本発明では、先に述べたような製造方法で、本発明で規定する特定の構造のA−Bブロックコポリマーが生成して、これを主成分として含んでいるものであれば、本発明の架橋微粒子に利用できる。好ましくは、製造されたコポリマーの80%以上が、本発明で規定する特定のA−Bブロックコポリマーであれば、その効果が十分に得られる。
また、A−Bブロックコポリマーのブロック化のポリマー重合の順序としては、特に限定はされず、Aのポリマーブロックを形成するモノマーを重合した後、Bのポリマーブロックを形成するモノマーを添加して重合してもよいし、反対の順序で行ってもよい。
上記で得られたA−Bブロックコポリマーは、重合開始化合物に由来するヨウ素原子が結合した状態のままであってもよいが、ヨウ素原子を脱離させることが好ましい。ヨウ素原子をA−Bブロックコポリマーから脱離させる方法としては、例えば、A−Bブロックコポリマーを加熱したり、酸やアルカリで処理したりすればよい。また、A−Bブロックコポリマーをチオ硫酸ナトリウムなどで処理してもよい。脱離したヨウ素は、活性炭やアルミナなどのヨウ素吸着剤で処理して除去するとよい。
(架橋微粒子を含む水溶液の製造方法)
以上、本発明の架橋微粒子を構成する、ポリマーIである架橋ポリマー、ポリマーIIであるA−Bブロックコポリマー及びその製造方法についてそれぞれ説明したが、次に、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子である本発明の架橋微粒子の製造方法について説明する。本発明の架橋微粒子は、下記のようにすることで容易に得られる。まず、水中にて、前記したA−Bブロックコポリマーを構成するBのポリマーブロックの重合成分であるメタクリル酸由来のカルボキシ基を、アルカリを用いて中和して、A−Bブロックコポリマーを水に分散する。そして、これを分散安定剤として用い、水に分散したA−Bブロックコポリマーの存在下、ポリマーIの形成成分である、少なくとも多官能性ビニル系モノマーを5質量%以上含むビニル系モノマーを重合させることで容易に得られる。
図1に、上記した重合によって、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とを合一して複合化し、本発明の架橋微粒子を作製する際の概念図を示す。図1の上段に示したように、本発明で規定する水に不溶のポリマーブロックであるAのポリマーブロックと、カルボキシ基を有するBのポリマーブロックとを有するA−Bブロックコポリマーを水中でアルカリを添加すると、Bのポリマーブロックのカルボキシ基が中和され、水に不溶のAのポリマーが粒子とになって、ほぼ透明に(10nm以下)分散溶解する。次いで、ビニル系モノマーを添加して重合すると、Aのポリマーブロックの粒子にモノマーが取り込まれて重合し架橋ポリマーとなって、本発明の平均粒子径が1μm以下である架橋微粒子を得ることができる。
上記したように、本発明の架橋微粒子を作製する場合、水を媒体として使用する。使用する媒体には、必要に応じて、水に溶解する有機溶媒、エチレングリコールやグリセリンなどの水可溶性有機溶媒を水と併用してもよい。このような、水と必要に応じて水可溶性有機溶媒を含有させた媒体中で、A−Bブロックコポリマーの存在下、アルカリを加えることで、Bのポリマーブロックのカルボキシ基が中和されてイオン化し、水に溶解する。一方、Aのポリマーブロックは水に不溶であるので、粒子化する(図1上段参照)。次に、このA−Bブロックコポリマーの水溶液を使用し、ビニルモノマーを重合させてポリマーIの部分を形成し、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とを複合化する(図1下段参照)。この際に使用するA−Bブロックコポリマーの水溶液中のA−Bブロックポリマーの濃度は特に限定されないが、好ましくは3〜30質量%とする。この質量より少ないとビニル系モノマーを重合する際に重合固形分が少なすぎて重合率が上がらない場合があり、多いと水溶液の粘度が高くなり過ぎて撹拌できない場合がある。より好ましくは5〜25質量%がよい。
前記したが、A−Bブロックコポリマーを重合した後、その有機溶剤のまま、アルカリを添加してBのポリマーブロックのカルボキシ基を中和して水溶液化し、そのまま、或いはその有機溶媒を留去して、前記したA−Bブロックコポリマーの水溶液としてもよい。
上記で使用されるアルカリとしては、特に限定はなく、アンモニアや有機アミン、アルカリ金属水酸化物が使用できる。これらのアルカリは特に限定はされず、具体的には、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3−アミノ−3−メチル−1プロパノールなどの有機アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が使用できる。このアルカリのカルボキシ基に対する量は特に限定されず、カルボキシ基を全部中和できる量を使用してもよいし、過剰であってもよいし、また、カルボキシ基が余る量であってもよい。このカルボキシ基が余る量の場合は、中和されたBのポリマーブロックが水に溶解することが必要である。
前記したように、本発明の架橋微粒子は、上記のようにしてBのポリマーブロックが水に溶解し、Aのポリマーブロックが粒子を形成しているA−Bブロックコポリマーの水溶液に、多官能性ビニル系モノマーを5質量%以上含むビニル系モノマーを添加して重合させることで得られる。すなわち、このビニル系モノマーが、ポリマーIIのA−Bブロックコポリマーを構成するAのポリマーブロックの粒子に取り込まれ重合し、この結果、ポリマーI(架橋ポリマー)の部分とポリマーIIの部分とが合一し複合化した本発明の架橋微粒子となる。この場合、一度にビニル系モノマーを加えてもよいが、好ましくは滴下装置を使用して徐々に滴下するとよい。徐々に滴下することで、Aのポリマーブロック粒子に効率よく取り込まれ、すなわち、Aのポリマーブロック粒子がビニル系モノマーで膨潤して、その系中にてビニル系モノマーが重合してポリマーI(架橋ポリマー)が形成されるので、より良好な状態に複合化された本発明の架橋微粒子を得ることができる。
ポリマーIを形成するためのビニル系モノマーを重合する場合の重合開始剤としては、従来公知のものが使用され、特に限定されない。過酸化物系、アゾ系の重合開始剤が用いられ、水性、油性の重合開始剤が用いられる。水性の重合開始剤の場合は、重合媒体である水へあらかじめ添加する、または、水溶液として徐々に滴下するなどの方法が取れる。油性の重合開始剤の場合は、ビニル系モノマーに溶解させて使用することが好ましい。これらの重合開始剤としては、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオアミヂジン)ジヒドロクロリド)、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン)テトラハイドレイトなどが挙げられるが、特に限定されない。好ましくは、アルカリがアルカリ金属水酸化物やアンモニアの場合は、過酸化物が好ましくは、アルカリが有機アミンの場合は、アゾ系開始剤が好ましい。特に有機アミンの場合、過酸化物を使用すると有機アミンを酸化させてしまい、重合が進行しない場合がある。この重合開始剤のビニル系モノマーに対する量は特に限定されない。好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.5〜2質量%である。
上記ビニル系モノマーの重合に関する重合条件は特に限定されず、従来公知の方法がとられる。使用する重合開始剤の半減期に合った重合温度、重合時間をとり、十分重合を完結させることが好ましい。また、ポリマーIとポリマーIIの固形分濃度に関しては、特に限定はないが、5〜40質量%が好ましい。5質量%未満だと前記したように重合率が悪い場合があり、40質量%超では粘度が上がってしまう場合がある。
(架橋微粒子の製造方法)
次に、以上のようにして得られる架橋微粒子の水溶液から、架橋微粒子を得る方法を説明する。本発明の架橋微粒子は上記重合後では、ポリマーIIのA−Bブロックコポリマーを構成するBのポリマーブロックがアルカリで中和されて水溶液化して水に安定に粒子として存在しているものである。このため、このBのポリマーブロックの中和されているカルボキシ基に対して、酸性物質を加えることで、Bのポリマーブロックが水に不溶化することが可能になる。上記のようにすることで、本発明の架橋微粒子が析出して凝集する。この際に使用する酸性物質としては、特に限定はなく、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸などが用いられる。より具体的には、上記で得た架橋微粒子の水溶液をそのまま撹拌しながら、好ましくは、固形分を5〜10質量%になるように水で希釈して撹拌しながら、前記した酸性物質、或いは、それらの水希釈水溶液を徐々に添加して脱中和して、Bのポリマーブロックを析出させる。十分中和することが好ましく、pHを3〜5までにするとよい。その後、必要に応じて加温して、より凝集性を高めてもよい。析出した後、系内では、架橋微粒子は凝集して大きい粒子となっているので、ろ過が非常に容易となる。また、洗浄も生成した塩を除去するだけなので、洗浄も容易である。架橋微粒子の水溶液から析出・凝集した本発明の架橋微粒子は、ろ過、洗浄後、乾燥して粉砕して使用する。本発明の架橋微粒子は、以上の操作で簡便に得ることができる。この方法は、予め粒子径をそろえたり、安定剤や活性剤を除く必要がなく、単に、特定の構造のA−Bブロックコポリマーを水に溶解し、重合開始剤を加え、ビニル系モノマーを添加して重合し、酸で析出してろ過するだけで得られる容易な方法である。
(架橋微粒子の特性)
以上のようにして得られる本発明の架橋微粒子の特性について説明する。本発明の架橋微粒子は、上記のような方法で簡便に得られる、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一して複合化したポリマーIとポリマーIIとからなる、平均粒子径が1μm以下の架橋微粒子であることを特徴とする。本発明の架橋微粒子を構成するポリマーIの部分とポリマーIIの部分は、そのポリマーIとポリマーIIの質量比が、20〜80/80〜20であることが好ましい。本発明の架橋微粒子の構成では、特に、ポリマーIIの量が重要であり、ポリマーIIが20質量未満の場合は、水可溶化するBのポリマーブロックの量が少なくなって、重合中に析出する恐れがあり、80質量%よりも多いと、架橋ポリマーであるポリマーIの量が少なくなってしまい、モノマーが充填されないフリーのA−Bブロックコポリマーが残る恐れがあるので好ましくない。また、本発明の架橋微粒子の特徴の一つとして、このA−Bブロックコポリマーの比率を変えることで、本発明の架橋微粒子の平均粒子径を調整できる点が挙げられる。使用するA−Bブロックコポリマーの、組成、分子量、酸価によって、A−Bブロックコポリマーの使用量による平均粒子径が異なるので、一概に、A−Bブロックコポリマーの使用量が、この使用量であればこの粒子径となるといった数量化はできないが、その平均粒子径を、使用するA−Bブロックコポリマーの量でコントロールできることも、本発明の架橋微粒子の特徴である。
本発明の架橋微粒子の平均粒子径は、その動的光散乱式粒子径分布測定による平均粒子径が1μm以下であるが、用途にもよるが、その平均粒子径が20〜200nmであることがより好ましい。なお、平均粒子径の測定については後述する。前記した本発明で規定する製造方法で得られる本発明の架橋微粒子の一番の特徴は、下記の点にある。前記した架橋微粒子を含む水溶液の製造方法で得られるものは、非常に微細な微粒子になるが、このような粒径の微粒子は、通常はろ過するのに非常に煩雑な工程を取るものである。これに対し、本発明の架橋微粒子の製造方法では、先に述べた通り、酸で析出させるだけで、大きな粒子となって凝集して、ろ過性が非常によく、生産効率が非常に良好なものにできる。また、本発明の架橋微粒子は、微粒子で且つ架橋粒子であるため、微粒子でありながら、架橋ポリマー部であるポリマーIが熱溶融したり、有機溶媒で膨潤したりすることがないという利点がある。
上記したように、本発明で規定する架橋微粒子の平均粒子径は、ナノ粒子の平均粒子径の測定に一般的に用いられている動的光散乱式粒子径分布測定による値である。この動的光散乱式粒子径分布測定とは、液体中に分散した粒子にレーザ光を照射して、粒子により散乱された光の周波数強度分布から粒径分布を求める方法である。より詳しくは、液体中に分散した粒子にレーザ光を照射し、粒子により散乱された光の周波数強度分布を測定し、該分布から粒径分布を求める、いわゆる動的光散乱理論に基づいて平均粒子径を導き出す測定方法である。粒子は、液体中では不規則に運動している(ブラウン運動)。その粒子に一定周波数のレーザ光を照射し、粒子からの散乱光を光電子増倍管で検出する。散乱光の周波数は、粒子の不規則な運動によりわずかに入射光の周波数からずれる。つまり、相対的に大きい粒子はゆっくり動き、小さい粒子は速く動くため、個々の粒子の速さに応じた周波数のずれを生じ、全粒子からの周波数のずれの総和が散乱光強度の「ゆらぎ」として観測される。この「ゆらぎ」の周波数強度分布と粒子の大きさの関係を演算アルゴリズムにて解析すると粒子径が計算できるという光子相関法を利用した測定方法である。本発明で規定する平均粒子径は、上記方法によって求めた値であるが、その際の測定装置には、堀場製作所製の「SZ−100」(商品名)を用いた。
本発明の架橋微粒子は、前記したように、ポリマーIとポリマーIIとからなる、合一され複合化された架橋微粒子であるが、架橋微粒子の製造の際に、必要に応じて、影響を与えない範囲で、界面活性剤、好ましくは反応性活性剤を使用してもよい。使用できる量としては、ポリマーIの形成材料であるビニル系モノマーの2質量%以下である。また、本発明の架橋微粒子は、機能性の添加剤を架橋微粒子に内包させたものでもよい。その添加剤は特に限定はされないが、例えば、染料や顔料などの着色剤(この場合は着色微粒子となる)、紫外線吸収剤、光安定剤、薬剤、医療用マーカー類、シリカなどの無機材料、ワックスなどの流動化剤、帯電防止剤などが挙げられ、特に限定されない。
以上のようにして得られた本発明の架橋微粒子は、各種製品の基材である有機溶剤や樹脂に添加して、製品の強度等を高めるための添加剤として使用することができる。本発明の架橋微粒子を有機溶剤や樹脂に添加した場合、本発明を特徴づけるA−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックが、溶媒や樹脂に溶解、相溶して、容易に微粒子に分散することができる。樹脂の場合は、Bのポリマーブロックがポリマーであるために、樹脂からブリードアウトすることがなく、良好な添加剤となる。これらの有機溶剤、樹脂は特に限定はなく、有機溶剤としては、前記した有機溶剤が挙げられ、樹脂としては、例えば、オレフィン系、エステル系、アクリル系、ウレタン系、エンジニアプラスチック、ゴム系、フッ素系の樹脂が挙げられる。
本発明の架橋微粒子は、微粒子であり、且つ、架橋されているため、透明性が期待され、更に、添加することで、力学的強度を向上させることが期待される。用途については特に限定はないが、例示すると、化粧品、人工大理石用添加剤、光拡散剤、研磨剤、滑り性付与剤、トナー、塗料用艶消し剤、光拡散用の添加剤、低密度ポリエチレンからなる包装材のブロッキング防止材をはじめ、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤や免疫診断試薬用担体、液晶パネル用のスペーサ、導電性微粒子の基材粒子等が挙げられる。また、本発明の架橋微粒子は、粒子表面に存在するカルボキシ基を利用して、反応させたりすることで機能性の架橋微粒子とすることができる。
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
[合成例1:A−Bブロックコポリマーの合成]
まず、撹拌機、逆流コンデンサー、温度計及び窒素導入管を取り付けた2リッターのセパラブルフラスコの反応装置に下記のものを仕込み、下記のようにしてAのポリマーブロックを構成するポリマーを合成した。具体的には、上記反応装置に、有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、BDGと略記)を631.1部、重合開始化合物としてのヨウ素化合物を得るため、ヨウ素を2.0部と、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、V−70と略記)を7.4部、触媒としてジフェニルメタン(以下、DPMと略記)を0.3部、更に、モノマーとして、メタクリル酸ベンジル(以下、BzMAと略記)を112.8部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、HEMAと略記)を10.4部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。2時間後、ヨウ素の褐色が消え、この間に、重合開始剤であるV−70がヨウ素と反応してヨウ素化合物である重合開始化合物となったことが確認できた。更に、上記の温度を維持して3時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ16.1%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。以下の重合率も、上記と同様の方法で算出した。また、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)を展開溶媒とするGPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が6100、分子量分布(PDI)が1.15であった。数平均分子量は、前記したように、THF溶媒を展開溶媒とするGPCの示差屈折率検出器の測定値である。得られたポリマーの組成は、BzMA/HEMA=約91.6/8.4である。以上のようにして、Aのポリマーブロックを構成するポリマー溶液を得た。また、サンプリング物を水に添加したところ、樹脂が析出し、水と分離した。この結果、Aのポリマーブロック(A鎖)は水に不溶であることが確認された。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、BzMAを123.3部、メタクリル酸(以下、MAAと略記)を30.1部、V−70を4.6部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロック(B鎖)を形成した。これを一部サンプリングし、固形分を測定したところ、30.3%であり、重合率はほぼ100%であった。また、サンプリング物について、トルエン/イソプロパノール=1/1を溶媒として、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液を滴定液、フェノールフタレインを指示薬として、酸価を測定したところ、71.2mgKOH/gであった。また、B鎖中の酸価を計算により求めると127.8mgKOH/gであった。ここで、B鎖中の酸価は、以下のように算出した。
まず、B鎖組成1部あたりのMAA量を求める。
30.1/(123.3+30.1)=0.1962部
次いで、MAAの分子量を86.1、KOHの分子量を56.1として用いると、B鎖の酸価は、
(0.1962/86.1)×56.1×1000=127.8mgKOH/gと算出される。
以下に示したB鎖の酸価も同様に、この方法にて算出した値である。
上記で得られたポリマーのMnは10100、PDIは1.43であった。Aのポリマーブロックを形成した際よりも分子量が高分子量側にずれていることが確認されたことより、A−Bブロックコポリマーが形成されたと考えられる。Bのポリマーブロックの数平均分子量は、A−Bブロックコポリマーの分子量からAのポリマーブロックを引いた値として算出することができ、4000と算出された。以下に示したBのポリマーブロックの分子量同様に、この方法にて算出した値である。
次いで、200mlビーカーに28%アンモニア水を23.4部、イオン交換水を142.3部加えて、混合液を調製した。そして得られた混合液を、上記で得たA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。このA−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水1680部を添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターの電極を入れ、撹拌しながらpHを測定したところpH9.6であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を加えていき、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂をろ過、洗浄して、A−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。固形分は、55.3%、Mnは10100、PDIは1.43であった。また、滴定にて測定したA−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は71.2mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。なお、以下に示した酸価は、いずれも上記と同様の方法で測定した値である。上記で得られたA−Bブロックコポリマーの水ペーストを、BCP−1と称す。A−Bブロックコポリマーの水ペーストの固形分は、本発明で規定するポリマーIIに該当する。よって、表中にBCP−1をポリマーIIとして示す場合がある。後述するように、実施例では、BCP−1を分散安定剤(保護剤)として使用して、特定のビニル系モノマーを重合してポリマーIである架橋ポリマーを合成して、本発明の架橋微粒子を調製する。
[比較合成例1:ランダムコポリマーの合成]
合成例1と同様の反応装置を使用し、有機溶剤としてBDGを645.4部投入し、70℃に加温した。そして、予め別容器に調製しておいたモノマー溶液を、反応装置の2Lセパラブルフラスコ中に1.5時間かけて滴下した。予め別容器に調製したモノマー溶液は、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を溶解させ、更に、BzMA236.1部、HEMA10.4部、MAA30.1部を加えて調製した。滴下終了後、更に同温度で5時間重合させて、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の固形分は30.4%であった。ポリマーのMnは9600、PDIは1.98、酸価は71.2mgKOH/gであった。
次いで、300mlビーカーに28%アンモニア水を23.4部、イオン交換水を151部の混合液を調製した。これを、得られたランダムコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、ランダムコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたランダムコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水1670部を添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターの電極を入れ、撹拌しながらpHを測定したところ、pH9.5であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を加えていき、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄してランダムコポリマーの水ペーストを得た。固形分は、50.8%、Mnは、9600、PDIが1.98であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は71.2mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。得られたポリマーをRCP−1と称す。このランダムコポリマーの水ペーストは、本発明で規定するポリマーIIに替えて使用して微粒子を調製するものであるので、表中で、これをポリマーIIIとして示す場合がある。
合成例1で得られた本発明の実施例に使用するA−Bブロックコポリマーの物性を表1に、比較例に用いる比較合成例1で得られたランダムコポリマーの物性を表2に、それぞれ示した。
[実施例1:架橋微粒子の水溶液PM−1の合成]
撹拌機、逆流コンデンサー、温度計、滴下装置及び窒素導入管を取り付けた1リッターのセパラブルフラスコの反応装置に、窒素気流下、合成例1で得たポリマーIIに該当するA−Bブロックコポリマーの水ペースト(BCP−1)を126.6部(ポリマー純分70部)、イオン交換水を231.7部、28%アンモニア水10.8部を加え、75℃に加温し、A−Bブロックコポリマーを溶解させた。若干青味のあるほとんど透明の水溶液となった。該溶液を、その後に、下記のビニルモノマーを重合する際の分散安定剤(保護剤)として用いた。別容器に、スチレン(以下、Stと略記)27部、ジビニルベンゼン(以下、DVBと略記)3部を量りとり、均一に混合してビニルモノマー混合液を調製した。該モノマー混合溶液は、次に説明するようにしてポリマーIの部分を形成させることで、実施例の架橋微粒子を作製するためのものである。
溶解したA−Bブロックコポリマーが入っている上記の反応装置のセパラブルフラスコに、過硫酸カリウム(以下、KPSと略記)を0.3部添加し、上記で調製したビニルモノマー混合液を、その滴下装置に仕込み、2時間かけて滴下し、ビニルモノマーを重合させた。その後3時間熟成し、冷却して取り出したところ、白色のポリマーエマルジョン水溶液(架橋微粒子の水溶液)を得た。このポリマーエマルジョン水溶液の固形分は、25.0%、平均粒子径26.2nmであった。この平均粒子径の測定には、動的光散乱式粒子径分布測定装置である「SZ−100」(堀場製作所製)を用いた。以下、同様に、この装置を用いてポリマーエマルジョン水溶液(架橋微粒子の水溶液)の平均粒子径の測定を行った。上記で得られた架橋微粒子の水溶液をPM−1と称す。PM−1の固形分は、ビニルモノマーが重合してなるポリマーIと、ポリマーIIのA−Bブロックコポリマーからなる架橋微粒子である。
[実施例2〜5:架橋微粒子の水溶液PM−2〜5の合成、比較例1、2:架橋微粒子の水溶液HPM−1、2の合成]
実施例1と同様の反応装置を用い、同様の方法で、合成例1で得たポリマーII(BCP−1)或いは比較合成例1で得たポリマーIII(RCP−1)を用いて、表3、表4に示した配合で架橋微粒子の水溶液をそれぞれ調製した。水溶液中のポリマー分が25%になるように、水の量は適宜調整した。
上記した実施例1〜5、及び、比較例1、2で合成した各架橋微粒子の水溶液の物性を、表5にまとめて示した。
実施例の架橋微粒子の水溶液は、いずれも、ビニルモノマーを重合させて、ポリマーIIとポリマーIとを合一にして複合化するビニルモノマーの重合途中に粒子の凝集がほとんど観察されずに安定であり、また重合を完結させることができた。この結果、本発明で規定する方法は、非常に優れた方法であることが確認された。また、表5に示されているように、ポリマーIの形成材料であるビニルモノマーを重合させる際に分散安定剤(保護剤)として用いたポリマーIIのA−Bブロックコポリマーの割合が小さくなるにつれて、得られるポリマーエマルジョン(架橋微粒子の水溶液)の平均粒子径が大きくなることが分かった。このことから、ポリマーIの重合に使用するビニルモノマーに対し、A−Bブロックコポリマー(ポリマーII)の量を変化させることにより任意のポリマー微粒子が得られることが分かった。
一方、比較例1の架橋微粒子の水溶液HPM−1は、ポリマーIを形成するビニルモノマーの重合中から粒子の凝集が観察され、また、析出物がみられる結果であった。粗大粒子が多く生成し、平均粒子径が実施例の架橋微粒子よりも非常に大きくなった。更に、比較例2では、ポリマーIII(RCP−1)/ポリマーI=30/70の比率となるようにビニルモノマーの重合を行ったが、途中で粒子凝集が激しく起こり、撹拌も困難で、析出物が多く重合を完結させることができなかった。
以上のことから、ポリマーIIである特定のA−Bブロックコポリマーを使用し、ビニルモノマーを重合させる簡便な方法で、ポリマーIとポリマーIIが合一して複合化した本発明の架橋微粒子を安定的に得ることができることが確認された。さらに、本発明の架橋微粒子の製造方法は、ポリマーIを形成するビニルモノマーの量に対し、ポリマーIIのA−Bブロックコポリマーの量を変化させることで、得られる架橋微粒子の平均粒子径を、20〜200nmという極微細な領域で適宜にコントロールすることができる、従来にない非常に優れた方法であることが確認された。
[比較例3]
合成例1と同様の装置を使用し、窒素気流下、水116.7部を仕込んで75℃に撹拌した。また、別容器に、5%ポリビニルアルコール(ケン化度87〜89mol%、20℃にて4%水溶液粘度20.5〜24.5cps、以下、PVAと略記。)水溶液を200部量りとった。このPVA水溶液200部に、Stを90部、DVBを10部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、ホモジナイザーにて8000回転、10分撹拌して、モノマー懸濁液を作成した。得られたモノマー懸濁液を、上記の水を仕込んで加温した反応装置に仕込んで、撹拌しながら75〜80℃で4時間重合した。この一部をサンプリングし、固形分を測定したところ、23.8%であり、ほとんど重合が完結していた。平均粒子径を測定したところ、5.4μmの平均粒子径であり、大きい粒子径の架橋微粒子であった。以上のようにしてPVAを保護コロイドとして得られた比較の架橋微粒子を、HPM−3とする。
[比較例4]
合成例1と同様の反応装置に滴下装置を装着し、水300部を仕込んで、窒素気流下、65℃に加温した。また、別容器に、Stを90部、DVBを10部、反応性活性剤としてラテムルPD−420(花王社製)を3部仕込んで均一溶液とし、モノマー混合液を調製した。次いで、KPSを0.5部仕込み、滴下装置に、上記で調製したモノマー混合液を仕込んで2時間かけて滴下した。重合が進行し、青白色から白色の乳化液を得た。この一部をサンプリングし、固形分を測定したところ、25.2%であり、ほとんど重合が完結していた。また、平均粒子径を測定したところ、146nmであった。以上のようにして得られた比較の架橋微粒子を、HPM−4とする。
[実施例6:架橋微粒子−1の調製]
実施例1で得られた架橋微粒子の水溶液であるPM−1中の架橋微粒子は、ナノサイズであり、そのままではろ過ができないため、以下の方法で析出させ、架橋微粒子を得た。具体的には、実施例1で得られた水溶液のPM−1の100部を、固形分5%なるように水400部で希釈した。次いで、pHメーターを装着し、0.1N塩酸を徐々に添加し、pH3になるまで添加した。その間、系がいったん増粘して本発明の架橋微粒子が析出した。これは、PM−1に含まれるA−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックの中和されているカルボキシ基が、カルボキシ基となって水に不溶となったことにより析出したものである。これをろ過するために、4Aろ紙を装着した150mmヌッチェに移し、減圧ろ過した。ろ液の流出が速く、5分間もかからずにろ過が終了した。次いで、イオン交換水500部で3回洗浄した。この洗浄も非常に速いものであった。得られたペーストを80℃、24時間乾燥し、粉砕した。これを架橋微粒子−1とする。
[実施例7〜10:架橋微粒子−2〜5の調製]
実施例6と同様にして、実施例2〜5で得られたPM−2〜5についても同様の処理を行い、架橋微粒子を析出させた。すべて、実施例6と同様に、ろ過性が非常によいものであった。実施例2〜5で、析出、ろ過、水洗して得られた架橋微粒子を、それぞれ、架橋微粒子−2〜5とする。
次いで、実施例6〜10で得られた架橋微粒子−1〜5について、電子顕微鏡観察を行った。この写真を図2〜6に示した。これらの図から分かるように、本発明の架橋微粒子を構成するポリマーIである架橋ポリマーが粒子を形成し、ポリマーIIであるA−Bブロックポリマーがその粒子を覆うようなまたは膜となっていた。
[比較例5:比較架橋微粒子−1の調製]
比較例3で得られたPVAを保護コロイドとするHPM−3を105部、水395部で希釈して固形分5%とした。この溶液を実施例6と同様にしてろ過を試みた。しかし、非常にろ過が遅く、1日たってもほとんどろ過できていなかった。これは水溶解性のPVAというポリマー成分が存在することで、粘度が出てしまう上に、ろ紙との親和性も生じることによって、ろ過が遅くなったと考えられる。そこで、別容器に移し替え、0.5%過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を5部添加して、撹拌してPVAを分解させた。保護コロイドであるPVAが分解されたことにより、ポリマーが不安定となって凝集が見られた。次いで、これを実施例6と同様にろ過したところ、PVAを分解しなかった場合よりはろ過が速くなったが、完全にろ別するまでに12時間を要した。更に、洗浄も合成例6と同様に行ったが、ろ過が遅い結果であった。これを乾燥して粉砕し、比較架橋微粒子−1とした。
[比較例6:比較架橋微粒子−2の調製]
比較例4の、反応性活性剤を使用して得たHPM−4は、本発明と同様にナノサイズであるため、そのままではろ過ができない。そこで、HPM−4を99.2部用い、固形分が5%になるように25℃で飽和食塩水400.8部に添加して従来公知の方法である塩析をした。その後、実施例6と同様にしてろ過を行った。しかし、この場合は、塩析させて凝集させても、微粒子であり、ろ過が遅く、ろ別するのに12時間かかってしまった。また、塩を大量に含むので、その除去に大量の水が必要であり、また、塩が除去されていくので、凝集が解かれるためか、更に遅いろ過性であった。また、一部はろ液となって流れてしまう結果であった。これを乾燥粉砕し、比較架橋微粒子−2とした。
上記した実施例6、比較例5及び6の結果から、本発明の架橋微粒子は、架橋体でありながら、他の方法で得られる他の構成の架橋微粒子と異なり、ろ過性が良好であることが確認された。
[応用例]
実施例6〜10、比較例5、6でそれぞれに得た架橋微粒子及び比較架橋微粒子を各10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部をそれぞれサンプルガラス瓶に仕込んで、スターラーピースを入れ、マグネチックスターラーにて、70℃の湯浴にて2時間撹拌した。その結果、本発明で規定する実施例6〜10の架橋微粒子−1〜5は、いずれも分散した。粒子径が最も細かい架橋微粒子−1は、ほとんど透明であり、架橋微粒子−2〜5を用いた系では、粒子径が大きくなるにつれ、白濁度が増すという分散液を得ることができた。
これに対し、比較例5の比較架橋微粒子−1を用いた系では、真っ白い分散液となったが、ところどころ分散しきれていない凝集体が見られた。これは、本発明の実施例の架橋微粒子とは違い、粒子径が大きい架橋微粒子の分散体であることによる。また、比較例6の架橋微粒子−2を用いた系では、一部分散しているが、ほとんどが分散していないぶつぶつの凝集物がそのまま存在するものであった。微粒子体の凝集物なので、簡単な撹拌だけで分散することはなかった。これらの結果から、本発明の実施例の架橋微粒子を用いることで、その架橋微粒子の構成成分である、A−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックが溶媒に溶解することで、微粒子状に分散することが達成できたと考えられる。上記したように、本発明の実施例の架橋微粒子を用いることで、架橋されたナノ粒子の微粒子の有機溶剤分散液を高濃度で得ることができることを確認した。
以上の実施例及び応用例より、本発明で規定する架橋微粒子は、簡便な方法で、安定に重合して得ることができ、更に、A−Bブロックコポリマーの量を変化させることで、微細な粒子径を適宜にコントロールでき、また、その後の処理方法のろ過性も良好であり、分散性も良好であることが見出された。以下、本発明で規定する架橋微粒子を、様々な組成で作製して、上記の効果を確認した。
<Bのポリマーブロックの酸価の検討>
[合成例2:A−Bブロックコポリマー−2の合成]
合成例1と同様の装置を使用し、有機溶剤としてBDGを596.1部、ヨウ素を2.0部、V−70を7.4部、触媒としてDPMを0.3部、更に、モノマーとして、BzMAを112.8部、HEMAを10.4部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。上記の温度を維持して5時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ16.9%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。GPCにて分子量を測定したところMnが6000、PDIが1.19であった。このポリマーはBzMA/HEMA=約91.6/8.4である。以上のようにして、Aのポリマーブロック溶液を得た。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、BzMAを93.4部、MAAを44.8部、V−70を4.1部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロックを形成した。形成したB鎖中の酸価を計算により求めると、211.3mgKOH/gである。このコポリマー溶液は固形分30.2%であり、ほぼ100%の重合率であることが確認できた。得られたA−Bブロックコポリマーの酸価を測定したところ、111.2mg/KOHであった。また、Mnは9200、PDIは1.46であった。これより、Bのポリマーブロックの分子量は、3200と算出された。
次いで、合成例1と同様にして、200mlビーカーに28%アンモニア水を34.8部、イオン交換水を139.5部加えて混合液を調製し、これを得られたA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたA−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水を1570部添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターを装着し、撹拌しながらpHを測定したところpH9.7であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄して、A−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。得られた水ペーストの固形分は、54.5%、Mnは9300、PDIが1.45であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は111.2mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。このA−Bブロックコポリマーの水ペーストをBCP−2と称す。
[合成例3:A−Bブロックコポリマー−3の合成]
合成例1と同様の装置を使用し、有機溶剤としてBDGを659部、ヨウ素を2.0部、V−70を7.4部、触媒としてDPMを0.3部、更に、モノマーとして、BzMAを112.8部、HEMAを10.4部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。上記の温度を維持して5時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ15.5%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。GPCにて分子量を測定したところ、Mnが6000、PDIが1.20であった。このポリマーはBzMA/HEMA=約91.6/8.4である。以上のようにして、Aのポリマーブロック溶液を得た。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、BzMAを142.7部、MAAを20.7部、V−70を2.5部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロックを形成した。形成したB鎖中の酸価を計算により求めると82.6mgKOH/gである。このコポリマー溶液は固形分30.0%であり、ほぼ100%の重合率であることが確認できた。得られたA−Bブロックコポリマーの酸価を測定したところ、47.1mg/KOHであった。またMnは12000、PDIは1.44であった。これより、Bのポリマーブロックの分子量は、6000と算出された。
次いで、200mlビーカーに28%アンモニア水を16.1部、イオン交換水を172.5部加えて混合液を調製し、これを得られたA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたA−Bブロックコポリマーのアンモニア中和物を5Lビーカーに移したのち、イオン交換水を1730部添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターを装着し、撹拌しながらpHを測定したところpH9.4であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄してA−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。得られた水ペーストの固形分は、57.5%、Mnは12300、PDIが1.43であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は47.1mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。これをBCP−3と称す。
<Aのポリマーブロックの分子量の検討>
[合成例4:A−Bブロックコポリマー−4の合成]
合成例1と同様の装置を使用し、有機溶剤としてBDGを738.9部、ヨウ素を3.0部、V−70を11.2部、触媒としてDPMを0.5部、更に、モノマーとして、BzMAを84.6部、HEMAを7.8部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。上記の温度を維持して5時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ10.5%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。GPCにて分子量を測定したところMnが3100、PDIが1.13であった。このポリマーはBzMA/HEMA=約91.6/8.4である。以上のようにして、Aのポリマーブロック溶液を得た。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、BzMAを185.0部、MAAを45.2部、V−70を6.9部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロックを形成した。形成したB鎖中の酸価を計算により求めると127.9mgKOH/gである。このポリマー溶液は固形分30.2%であり、ほぼ100%の重合率であることが確認できた。得られたA−Bブロックコポリマーの酸価を測定したところ、91.4mg/KOHであった。またMnは7100、PDIは1.41であった。これよりBのポリマーブロックの分子量は、4100と算出された。
次いで、300mlビーカーに28%アンモニア水を35.1部、イオン交換水を172.2部加えて混合液を調製し、これを得られたA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたA−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水1900部を添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターの電極を入れ、撹拌しながらpHを測定したところpH9.7であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄してA−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。得られた水ペーストの固形分は、51.3%、Mnは、7300、PDIが1.41であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は91.4mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。これをBCP−4と称す。
[合成例5;A−Bブロックコポリマー−5の合成]
合成例1と同様の装置を使用し、有機溶剤としてBDGを774.5部、ヨウ素を2.0部、V−70を7.4部、触媒としてDPMを0.3部、更に、BzMAを169.2部、HEMAを15.6部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。上記の温度を維持して5時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ19.0%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。GPCにて分子量を測定したところMnが7700、PDIが1.20であった。このポリマーはBzMA/HEMA=約91.6/8.4である。以上のようにして、Aのポリマーブロック溶液を得た。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、BzMAを123.3部、MAAを30.1部、V−70を4.6部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロックを形成した。形成したB鎖中の酸価を計算により求めると127.9mgKOH/gである。このポリマー溶液は固形分30.3%であり、ほぼ100%の重合率であることが確認できた。得られたA−Bブロックコポリマーの酸価を測定したところ、58.1mg/KOHであった。またMnは12100、PDIは1.49、ピークトップ分子量は18100であった。これよりBのポリマーブロックの分子量は、4400と算出された。
次いで、300mlビーカーに28%アンモニア水を23.4部、イオン交換水を202.4部加えて混合液を調製し、これを得られたA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたA−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水を2000部添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターを装着し、撹拌しながらpHを測定したところpH9.7であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄してA−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。得られた水ペーストの固形分は、52.7%、Mnは、12200、PDIが1.48であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は58.1mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。これをBCP−5と称す。
合成例2〜5で得られたA−Bブロックコポリマーの組成及び物性を表6にまとめて示した。
[実施例11〜16:架橋微粒子の水溶液PM−6〜11の合成]
上記の合成例1〜5で得たポリマーIIに該当するA−Bブロックコポリマーの水ペーストをそれぞれ分散安定剤(保護剤)に用い、実施例1と同様にして、表7でまとめた配合にて、本発明の実施例の架橋微粒子の水溶液を合成した。その際、A−Bブロックコポリマーの量はすべて60部、使用するビニルモノマーの量はすべて40部となるようにした。
実施例11〜16で合成した各架橋微粒子の水溶液の物性を表8にまとめて示した。
実施例11〜16では、各架橋微粒子の水溶液を、析出もなく安定に重合できることが確認された。また、実施例6と同様にして酸で析出させて、本発明の実施例の架橋微粒子を得ることができた。ろ過性も良好であることを確認した。また応用例と同様にして分散したところ、いずれの架橋微粒子も容易に分散することを確認した。これらの実施例から、ポリマーIIのA−Bブロックコポリマーの酸価や分子量、或いは、架橋ポリマー(ポリマーI)の組成などによって、合成される架橋微粒子の平均粒子径が変化することが分かった。このことは、これらの設計によっても、合成する架橋微粒子の平均粒子径をコントロールすることが可能であることを意味しており、本発明で規定する架橋微粒子は、製造の際に多様な設計が可能であることが分かった。
[合成例6:(MMA/EHMA)−b−(MMA/MAA)の合成]
合成例1と同様の装置を使用し、有機溶剤としてBDGを407.3部、ヨウ素を2.0部、V−70を7.4部、触媒としてDPMを0.3部、更に、モノマーとして、MMAを64.1部、メタクリル酸2−エチルヘキシル(以下、EHMAと略記)を15.8部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。上記の温度を維持して5時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ16.0%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。また、GPCにて分子量を測定したところ、Mnが4200、PDIが1.22であった。このポリマーはMMA/EHMA=約80.2/19.8である。以上のようにして、Aのポリマーブロック溶液を得た。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、MMAを70.0部、MAAを30.1部、V−70を3.0部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロックを形成した。形成されたB鎖中の酸価を計算により求めると195.9mgKOH/gであった。このポリマー溶液は固形分29.9%であり、ほぼ100%の重合率であることが確認できた。
また、得られたA−Bブロックコポリマーの酸価を測定したところ、108.7mg/KOHであった。またMnは7200、PDIは1.41であった。これより、Bのポリマーブロックの分子量は、3000と算出された。
次いで、合成例1と同様にして、200mlビーカーに28%アンモニア水を23.4部、イオン交換水を96.6部加えて、混合液を調製した。そして、この混合液を得られたA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたA−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水を1080部添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターを装着し、撹拌しながらpHを測定したところpH9.6であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄してA−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。得られた水ペーストの固形分は、53.3%、Mnは、7300、PDIが1.40であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は108.7mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。これをBCP−6と称す。
[合成例7:(CHMA/BMA)−b−(CHMA/MAA)の合成]
合成例1と同様の装置を使用し、有機溶剤としてBDGを608.9部、ヨウ素を2.0部、V−70を7.4部、触媒としてDPMを0.3部、更に、モノマーとして、CHMAを107.7部、メタクリル酸ブチル(以下、BMAと略記)を11.4部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。上記の温度を維持して5時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ16.2%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。GPCにて分子量を測定したところ、Mnが5900、PDIが1.19であった。このポリマーはCHMA/BMA=約90.4/9.6である。以上のようにして、Aのポリマーブロック溶液を得た。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、CHMAを117.8部、MAAを30.1部、V−70を4.4部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロックを形成した。形成したB鎖中の酸価を計算により求めると132.6mgKOH/gである。このポリマー溶液は固形分30.1%であり、ほぼ100%の重合率であることが確認できた。また、得られたA−Bブロックコポリマーの酸価を測定したところ、73.5mg/KOHであった。また、Mnは10000、PDIは1.43であった。これより、Bのポリマーブロックの分子量は、4100と算出された。
次いで、合成例1と同様にして、200mlビーカーに28%アンモニア水を23.4部、イオン交換水を154.6部加えて混合液を調製し、これを得られたA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたA−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水を1602部添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターを装着し、撹拌しながらpHを測定したところpH9.5であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄してA−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。固形分は、56.9%、Mnは、10100、PDIが1.42であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は73.4mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。これをBCP−7と称す。
[合成例8:(CHMA/BMA)−b−(MMA/MAA)の合成]
合成例1と同様の装置を使用し、有機溶剤としてBDGを497.4部、ヨウ素を2.0部、V−70を7.4部、触媒としてDPMを0.3部、更に、モノマーとして、CHMAを107.7部、メタクリル酸ブチル(以下、BMAと略記)を11.4部、仕込んで撹拌し、45℃に加温した。上記の温度を維持して5時間重合を行い、この時点で反応溶液の一部をサンプリングした。このサンプリング物の固形分を測定したところ19.0%であり、これに基づいて算出した重合率はほぼ100%であった。GPCにて分子量を測定したところMnが5800、PDIが1.20であった。このポリマーはCHMA/BMA=約90.4/9.6である。以上のようにして、Aのポリマーブロック溶液を得た。
次いで、上記で得たAのポリマーブロック溶液を40℃に降温した後、MMAを70.0部、MAAを30.1部、V−70を4.4部添加して、更に40℃で4時間重合し、Bのポリマーブロックを形成した。形成したB鎖中の酸価を計算により求めると195.9mgKOH/gである。このポリマー溶液は固形分29.8%であり、ほぼ100%の重合率であることが確認できた。得られたA−Bブロックコポリマーの酸価を測定したところ、89.3mg/KOHであった。また、Mnは9000、PDIは1.45であった。これより、Bのポリマーブロックの分子量は、3200と算出された。
次いで、合成例1と同様にして、200mlビーカーに28%アンモニア水を23.4部、イオン交換水を122.7部加えて、混合液を調製し、これを得られたA−Bブロックコポリマー溶液に撹拌しながら添加し、A−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を得た。得られたA−Bブロックコポリマーのアンモニア水溶液を5Lビーカーに移した後、イオン交換水を1315部添加し、ディゾルバーを用いてよく撹拌し、固形分約10%の樹脂溶液を調製した。この溶液中にpHメーターを装着し、撹拌しながらpHを測定したところpH9.7であった。
次いで、この水溶液に10%塩酸水溶液を徐々に加えていったところ、樹脂が中和されて析出していることを確認した。更に10%塩酸水溶液を、pHが3.0以下となるところまで加えた。析出した樹脂を、ろ過、洗浄してA−Bブロックコポリマーの水ペーストを得た。得られた水ペーストの固形分は、56.3%、Mnは、9100、PDIが1.45であった。また、A−Bブロックコポリマーの樹脂酸価は89.3mgKOH/gであり、ほぼ理論値どおりであった。これをBCP−8と称す。
合成例6〜8で得られたA−Bブロックコポリマーの組成及び物性を表9にまとめて示した。
[実施例17〜19:架橋微粒子の水溶液PM−12〜19の合成]
上記の合成例6〜8で得たポリマーIIに該当するA−Bブロックコポリマーの水ペーストをそれぞれ分散安定剤(保護剤)に用い、実施例1と同様にして、表10でまとめた配合にて、本発明の架橋微粒子の水溶液を合成した。その際、A−Bブロックコポリマーの量はすべて60部、使用するビニルモノマーの量はすべて40部となるようにした。
実施例17〜19で合成した各架橋微粒子の水溶液の物性を表11にまとめて示した。
実施例17〜19では、各架橋微粒子の水溶液は、析出もなく安定に重合できることが確認された。また、実施例6と同様にして酸で析出させて、本発明の実施例の架橋微粒子を得ることができた。ろ過性も良好であることを確認した。また応用例と同様にして分散したところ、いずれの架橋微粒子も容易に分散することを確認した。これらの実施例から、分散安定剤に用いたポリマーIIのA−Bブロックコポリマーのモノマー組成を様々に変え、更に、ポリマーIの形成に、様々な単官能モノマー、架橋モノマーを用いても架橋微粒子を製造できることを確認した。
本発明によれば、本発明を特徴づけるA−Bブロックコポリマー(ポリマーII)を分散安定剤(保護剤)として用い、多官能性ビニル系モノマーを少なくとも5質量%以上含むビニル系モノマーで乳化重合を行ってポリマーIを形成することで、重合途中に粒子凝集を起こさずに安定的に重合ができ、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子が得られ、且つ、ポリマーIとポリマーIIの使用量、或いは、そのモノマー組成を調節することで、任意の粒子径のナノサイズの架橋微粒子の水溶液を、簡便に調製することができる。上記のようにして簡便に得られるポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子である本発明の架橋微粒子は、用途に応じて任意の粒子径のナノサイズの架橋微粒子とできることから、例えば、塗料、コーティング剤、化粧品、接着剤、粘着剤、紙加工、繊維加工分野などの多様な用途での利用が期待される。

Claims (9)

  1. ポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子であって、
    ポリマーIは、多官能性ビニル系モノマーを少なくとも5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して得られる架橋ポリマー(ビニルポリマー)であり、
    ポリマーIIは、90質量%以上のメタクリル酸系モノマーからなるA−Bブロックコポリマーであり、
    該A−BブロックコポリマーのAのポリマーブロックは、その80質量%以上が炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基及びベンジル基からなる群から選ばれるいずれかの基を有するメタクリル酸エステルを構成成分とし、且つ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算の数平均分子量が1000〜20000であって、その分子量の分布を示す分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以下である、実質的に水に不溶のポリマーブロックであり、
    該A−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックは、少なくともメタクリル酸を構成成分とし、且つ、その酸価が80〜250mgKOH/gであり、
    該A−Bブロックコポリマーは、その数平均分子量が2000〜30000であって、その分散度が1.7以下であり、且つ、その酸価が40〜200mgKOH/gであり、
    上記Aのポリマーブロックが上記ビニルポリマーと合一して、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子であり、その平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする架橋微粒子。
  2. 前記ポリマーIの部分と前記ポリマーIIの部分との質量比が、I/II=20〜80/80〜20の範囲内にある請求項1に記載の架橋微粒子。
  3. 前記複合粒子の平均粒子径が、20〜200nmである請求項1又は2に記載の架橋微粒子。
  4. 前記架橋ポリマーが、(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン系ビニルモノマー、アクリルアミド系モノマー、アルカン酸ビニル系モノマー及びマレイン酸系のビニル系モノマーからなる群から選択される2種以上のモノマーのランダム共重合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋微粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子を含む水溶液の製造方法であって、
    水中で、ポリマーIIを構成する前記A−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックの有するカルボキシ基を、アルカリを用いて中和してA−Bブロックコポリマーを水に分散させ、これを分散安定剤として用いて、多官能性ビニル系モノマーを少なくとも5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して前記ポリマーIである架橋ポリマーを合成することで、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子を作製して水に分散した架橋微粒子を得ることを特徴とする架橋微粒子を含む水溶液の製造方法。
  6. 前記A−Bブロックコポリマーが、構成成分が90質量%以上のメタクリレート系モノマーからなるA−Bブロックコポリマーを、少なくとも、ヨウ素化合物からなる重合開始化合物を用い、フォスファイト系化合物、フォスフィネート化合物であるリン系化合物、イミド系化合物である窒素系化合物、フェノール系化合物である酸素系化合物、及び、ジフェニルメタン系化合物又はシクロペンタジエン系化合物である炭化水素系化合物からなる群から選択される1種以上を触媒とし、更に、その重合温度を30〜50℃として得られたものである請求項5に記載の架橋微粒子を含む水溶液の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子を得るための製造方法であって、
    水中で、ポリマーIIを構成する前記A−BブロックコポリマーのBのポリマーブロックの有するカルボキシ基を、アルカリを用いて中和してA−Bブロックコポリマーを水に分散させ、これを分散安定剤として用いて、多官能性ビニル系モノマーを少なくとも5質量%以上含むビニル系モノマーを重合して前記ポリマーIである架橋ポリマーを合成することで、ポリマーIの部分とポリマーIIの部分とが合一した複合粒子を作製して、水に分散した架橋微粒子を得、得られた架橋微粒子を含む水溶液を酸で中和して、架橋微粒子を析出させることを特徴とする架橋微粒子の製造方法。
  8. 前記A−Bブロックコポリマーが、構成成分が90質量%以上のメタクリレート系モノマーからなるA−Bブロックコポリマーを、少なくとも、ヨウ素化合物からなる重合開始化合物を用い、フォスファイト系化合物、フォスフィネート化合物であるリン系化合物、イミド系化合物である窒素系化合物、フェノール系化合物である酸素系化合物、及び、ジフェニルメタン系化合物又はシクロペンタジエン系化合物である炭化水素系化合物からなる群から選択される1種以上を触媒とし、更に、その重合温度を30〜50℃として得られたものである請求項7に記載の架橋微粒子の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーIとポリマーIIとからなる架橋微粒子を、有機溶剤または樹脂に分散してなることを特徴とする架橋微粒子組成物。
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