JP5607407B2 - 有機−無機複合粒子及び塗料組成物、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
前記高分子ラジカル開始剤はエチレングリコール重合体からなる部分構造をもち、分子量が1000以上であり、
前記混合液は、更に界面活性剤を含むことにある。このような構成を採用することにより、無機粒子の表面に効率的に有機材料層を形成することができる。
エチレングリコール重合体からなる部分構造を端部にもつビニル重合体から形成され、前記部分構造にて前記無機粒子表面に付着する有機材料層と、
を有することにある。
前記有機−無機複合粒子をビヒクル中に混合・分散させる混合分散工程と、
を有することにある。
本実施形態の有機−無機複合粒子の製造方法は無機粒子とラジカル重合性モノマーと高分子ラジカル開始剤とを水性溶媒中に分散させて混合液を調製し、その混合液内にて重合反応させるものである。その結果、無機粒子の表面にラジカル重合性モノマー由来の有機材料層が形成される。重合反応は加熱、光照射(紫外線照射)などにより行う。重合反応が進行している間には混合液を撹拌したり、混合液に超音波を照射するなどして振動を加えたりすることが望ましい。重合反応は不活性雰囲気下にて行うことが望ましい。例えば重合反応を行う系中に、窒素、希ガスなどを導入することができる。なお、無機粒子、ラジカル重合性モノマー、高分子ラジカル開始剤、及び水性溶媒の混合方法は、それぞれ、一度に全部混合することもできるし、一部ずつ混合することもできるし、滴下などにより少しずつ混合することもできる。 更に、顔料、染料などと共に重合させることで本実施形態の有機−無機複合粒子として任意の色にて着色することができる。その場合、着色は有機材料層に対して行うことになる。
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なり、水素原子又はハロゲン置換もしくは非置換の低級アルキルを示し、R4は有機基を示す)で示される。具体的には、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体、(メタ)アクリロニトリル、イソプレン、1,3−ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。なかでも、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましい。
本実施形態の有機−無機複合粒子は無機粒子1と有機材料層2とを備える(図1(a)、(b))。無機粒子は上述した本実施形態の有機−無機複合粒子の製造方法にて採用したものがそのまま採用できるため更なる説明は省略する。
本実施形態の塗料組成物は、上述した本実施形態の有機−無機複合粒子とビヒクルとその他必要に応じて選択される材料とを備える。ビヒクルとしては本実施形態の塗料組成物が適用される対象物、塗装方法などに応じて適正に選択できる。一般的には高分子組成物や、有機溶媒(水系溶媒、油性溶媒など)、水が採用できる。本実施形態の有機−無機複合粒子は顔料などとして配合される。有機−無機複合粒子の製造方法としては上述の有機−無機複合粒子の製造方法が採用できる。
(試験1:試験例1〜3及び比較例1:ラジカル重合性モノマーの量について)
・表面処理工程により表面を疎水化した無機粒子(疎水性無機粒子)の調製
無機粒子としては球状シリカ粒子及び球状アルミナ粒子を用いた。球状シリカ微粒子には、アドマテックス製シリカ(C1:平均粒径0.3μm、C2:平均粒径0.5μm、C5:平均粒径1.5μm)、球状アルミナ微粒子には、アドマテックス製アルミナ(AO502:平均粒径0.7μm)を用い、それぞれに対して信越化学製ビニルシランカップリング剤 (KBM1003)で表面処理を行い、疎水性無機粒子を得た。なお、ビニルシランカップリング剤を反応させる量としては、それぞれの無機粒子の表面に存するOH基が全て反応できるように選択した。
・疎水性無機粒子のスラリー調製
上述した疎水性無機粒子を40g、イオン交換水45g、イソプロパノール(IPA)15gを混合・分散し、それぞれの無機粒子を40質量%含有するIPA/水混合溶媒スラリーを得た。
・試験例1の有機−無機複合粒子の製造
100mLバイアル瓶に、水40g、界面活性剤としての花王(株)製ネオペレックスG−15(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.01g、和光純薬製のPEG系高分子ラジカル開始剤VPE−0601(分子量6000)を0.3g秤量し、ついで疎水性球状シリカ微粒子(C2:0.5μm)のIPA/水混合溶媒40質量%スラリーを4g秤量後封止し、窒素バブリングを10分行った。
・試験例2及び3の有機−無機複合粒子の製造
ラジカル重合性モノマーの量を変更した以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。試験例2ではMMA及びBMAを共に0.1gとし、試験例3ではMMA及びBMAを共に1.0gとした。
・評価
(1)有機材料層の形成の有無
得られた有機−無機複合粒子について透過型電子顕微鏡(TEM)により観察して目視で判断した。
(2)有機材料層の量の測定
得られた有機−無機複合粒子についてIPAで洗浄(実施形態で説明した条件で)し、160℃で3時間乾燥後、カーボン量分析装置(HORIBA製 EMIA−321V)によりカーボン量を測定することで有機材料層の量を測定した。
・結果
結果を図2に示す。ラジカル重合性モノマーの量が増えるに従い、有機材料層の形成量も増えることが分かった。試験例1の有機−無機複合粒子についてTEM写真を図3に示す。図より明らかなように無機粒子の周囲に有機材料層が取り囲むように被覆している様子がよく分かった。
(試験2:試験例1、4及び5:高分子ラジカル開始剤の量について)
・試験例4及び5の有機−無機複合粒子の製造
高分子ラジカル開始剤の量を変更した以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。試験例4では高分子ラジカル開始剤VPE601を0.1gとし、試験例5では0.5gとした。
・結果
試験1と同様の評価を行った結果を図2に示す。高分子ラジカル開始剤の量が少ないほど形成される有機材料層の量が増加することが分かった。高分子ラジカル開始剤の量が1.5gから0.3gに減らしたときにはカーボン量が2.4%から2.7%へと変化したのに対し、0.3gから0.1gに減らしたときには2.7%から3.5%へと大きく増加した。
(試験3:試験例1、6〜8:無機粒子の粒径及び種類について)
・試験例6〜8の有機−無機複合粒子の製造
無機粒子の粒径又は種類を変更した以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。試験例6では無機粒子として平均粒径1.5μmのシリカ粒子を、試験例7では平均粒径0.3μmのシリカ粒子を、試験例8では平均粒径0.6μmのアルミナ粒子を用いた。
・結果
試験1と同様の評価を行った結果を図2に示す。無機粒子の粒径、種類によらず、有機−無機複合粒子が得られた。無機粒子としてシリカ粒子を用いた場合には平均粒径が小さくなるにつれて有機材料層の量が増加した。これは粒径が小さいほど比表面積が大きくなるため、より多くの有機材料層が形成できたものと考えられる。無機粒子としてアルミナ粒子を用いた場合には同程度の粒径をもつシリカ粒子(試験例1)よりも多くの有機材料層が形成された。
(試験4:試験例1、9、10:高分子ラジカル開始剤の種類について)
・試験例9、10の有機−無機複合粒子の製造
高分子ラジカル開始剤の種類を変更した以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。試験例9では高分子ラジカル開始剤として和光純薬製PEG系高分子ラジカル開始剤VPE−0201(分子量2000)を、試験例10では和光純薬製シロキサン系高分子ラジカル開始剤VPS−1001を用いた。
・結果
試験1と同様の評価を行った結果を図2に示す。試験例1及び9の結果より、高分子ラジカル開始剤の分子量が2000〜6000の範囲であっても有機材料層が形成されることが分かった。形成される有機材料層の量は分子量が2000の方が僅かに少なかったが殆ど差異が無かった。
(試験5:試験例1、11:ラジカル開始剤の種類について)
・試験例11の有機−無機複合粒子の製造
高分子ラジカル開始剤に代えて無機系のラジカル開始剤である過硫酸カリウム(三菱ガス化学株式会社製、KPS、分子量152)を用いた以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。その結果、無機粒子の表面に有機材料層の形成は認められなかった。なお、混合したラジカル重合性モノマーは消費され、それらラジカル重合性モノマー由来の重合体が生成した。これは無機系のラジカル開始剤では無機粒子表面への吸着が認められず、無機粒子の存在とは独立してラジカル重合性モノマーの重合反応が進行するためであると考えられる。
(試験6:試験例1、12、13:界面活性剤の種類及び量について)
・試験例12、13の有機−無機複合粒子の製造
試験例12では界面活性剤をエマール2FG(花王製、ラウリル硫酸ナトリウム)に変更した以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。試験例13では界面活性剤を用いなかった以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。
・結果
試験1と同様の評価を行った結果を図2に示す。試験例1及び12の結果より、界面活性剤の種類を変更しても有機材料層が形成されることが分かった。試験例13の結果より、界面活性剤を用いないことにより、有機材料層の形成が少なくなることが分かった。
(試験7:試験例1、14、15:ラジカル重合性モノマーの種類について)
・試験例14、15の有機−無機複合粒子の製造
試験例14ではラジカル重合性モノマーとしてBMAに代えてアクリル酸ブチル(BA)を、試験例15ではMMAに代えてBAを用いた以外は、試験例1の製造方法と同様の方法で製造した。
・結果
試験1と同様の評価を行った結果を図2に示す。ラジカル重合性モノマーの種類を変更しても有機材料層が形成されることが分かった。試験例14及び15の結果より、ラジカル重合性モノマーとしてはMMAの方がBMAよりも有機材料層の形成が多くなることが分かった。
2…有機材料層(及び有機材料層を構成する化合物)
21…ポリエチレングリコールからなる部分構造 22…ビニル重合体からなる部分
Claims (7)
- 体積平均粒径が1000μm以下の無機粒子と、ラジカル重合性モノマーと、エチレングリコール重合体からなる部分構造をもち分子量が1000以上の高分子ラジカル開始剤と、界面活性剤とを水性溶媒中に溶解乃至は分散させた混合液を調製し、その混合液内にて反応させることにより前記無機粒子の表面に前記ラジカル重合性モノマー由来の有機材料からなる有機材料層を形成することを特徴とする有機−無機複合粒子の製造方法。
- 飽和アルキル基、不飽和アルキル基、及び芳香族アルキル基よりなる群から選択される1種以上の官能基を前記無機粒子の表面に導入する表面処理工程を有する請求項1に記載の有機−無機複合粒子の製造方法。
- 前記無機粒子は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、ガラス粉末、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムからなる群から選択される1種以上の材料である請求項1又は2に記載の有機−無機複合粒子の製造方法。
- 前記無機粒子は体積平均粒径が0.1μm〜3.0μmのシリカである請求項1〜3の何れか1項に記載の有機−無機複合粒子の製造方法。
- 前記高分子ラジカル開始剤はエチレングリコール重合体からなる部分構造をもつアゾ化合物であり、分子量が1000〜20000である請求項1〜4の何れか1項に記載の有機−無機複合粒子の製造方法。
- 前記有機材料層に含まれる炭素原子の質量は前記有機−無機複合粒子全体の質量を基準として1.0%以上である請求項1〜5の何れか1項に記載の有機−無機複合粒子の製造方法。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の有機−無機複合粒子の製造方法により有機−無機複合粒子を製造する工程と、
前記有機−無機複合粒子をビヒクル中に混合・分散させる混合分散工程と、
を有することを特徴とする塗料組成物の製造方法。
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